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JP4458623B2 - タンク用キャップ装置 - Google Patents

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JP4458623B2
JP4458623B2 JP2000169913A JP2000169913A JP4458623B2 JP 4458623 B2 JP4458623 B2 JP 4458623B2 JP 2000169913 A JP2000169913 A JP 2000169913A JP 2000169913 A JP2000169913 A JP 2000169913A JP 4458623 B2 JP4458623 B2 JP 4458623B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンク開口を閉じるためのタンク用キャップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のタンク用キャップとして、ガスケットを装着した燃料キャップを、燃料タンクに接続されるフィラーネックに対して、2〜3回転することにより給油口を開閉する構成が知られている。上記燃料キャップの複数回の操作は、十分に締めない状態を招いたりする場合があるので、これを解決する技術として、所定角度、例えば、90゜程度回転するだけで燃料キャップによりフィラーネックの給油口を閉じる構成が知られている。
【0003】
図17は従来の燃料キャップをフィラーネックに装着する前の状態を説明する説明図である。図17において、燃料キャップ100は、フィラーネックFNの注入口FNbを開閉するケーシング本体102と、ケーシング本体102に装着された蓋体104と、ケーシング本体102の上部に装着されたガスケットGSとを備えている。また、ケーシング本体102と蓋体104との間には、図示しないラチェット機構が設けられており、蓋体104とケーシング本体102との間に所定以上のトルクが生じたときに、蓋体104がケーシング本体102に対して空回りするように作用する。
【0004】
また、ケーシング本体102の外周下部には、ケーシング側係合部102aが形成されている。一方、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部FNcが形成されている。この開口側係合部FNcの内周側の一部には、燃料キャップ100のケーシング側係合部102aを軸方向に挿入可能なネック側挿入切欠FNdが形成されている。
【0005】
図18は燃料キャップ100をフィラーネックFNに装着する動作を説明する説明図である。図18において、開口側係合部FNcは、軸方向に沿って所定の傾斜角度αだけ傾斜するとともに、この角度に合わせてケーシング側係合部102aのガイド面102bも傾斜している。
【0006】
燃料キャップ100をFNの注入口FNbを閉じる動作について説明する。いま、ケーシング側係合部102aをネック側挿入切欠FNdに位置合わせして、燃料キャップ100をフィラーネックFNに挿入した状態にて、燃料キャップ100を所定角度(約90゜)回転すれば、ケーシング側係合部102aが開口側係合部FNcに倣って係合することにより、燃料キャップ100がフィラーネックFNに装着される。これと同時に、ガスケットGSは、ケーシング本体102とフィラーネックFNとの間で圧縮されてシール作用を果たす。さらに、蓋体104を回転すると、ラチェット機構により空回りして、節度感を与えて、燃料キャップ100が注入口FNbを閉じたことを確認できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記燃料キャップ100の閉じ動作において、開口側係合部FNcの傾斜角度αを小さくすると、燃料キャップ100の操作角度が大きくなり、操作性を損なうだけでなく、燃料キャップ100が180゜以上回転して抜けてしまうことがある。逆に、傾斜角度αを大きくすると、ガスケットGSの締め代変化率、つまりガスケットGSが圧縮される割合が増大し、ガスケットGSのゴム反発力が大きくなる。このため、ガスケットGSが十分に圧縮される前に、回転トルクが大きくなり、ラチェット機構で空回りし、高いシール性を得ることができない。
【0008】
このように、燃料キャップ100を90゜程度の小さな回転操作角度で、ガスケットGSによる十分なシール性を確保することが難しいという問題があった。また、ケーシング側係合部102aのコーナー102cが開口側係合部FNcに当たる際に、コーナー102cと開口側係合部FNcとの間で大きな負荷が加わる。このため、燃料キャップ100を閉めるための回転トルクが大きくなり、十分に閉めることができず、上述したシール性を高めることができない場合もある。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、小さな操作角度で、シール部材によるシール性を向上させたタンク用キャップ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するためになされた本発明は、
開口側係合部を有するタンク開口と、
このタンク開口を閉じるとともに、開口側係合部に係合することでタンク開口に対して抜止するキャップ側係合部を有するキャップと、
上記タンク開口のシール面とキャップの外周部との間に介在して、その間をシールするシール部材と、
を備え、
上記開口側係合部は、挿入切欠を有し、タンク開口の内壁からキャップが閉まる軸方向と直角方向に対して所定角度だけ傾斜して突設され、
上記キャップ側係合部は、上記挿入切欠を通じて開口側係合部の下側に挿入されるようにキャップの外周部の一部に突設され、
キャップを60〜120゜で回転操作することにより開口側係合部にキャップ側係合部を係合させるタンク用キャップ装置において、
上記キャップ側係合部は、キャップをタンク開口に挿入した状態にて該キャップを閉じ方向へ回転することにより、開口側係合部の端部に当たってから該開口側係合部の下面に係合するガイド面を有し、
上記ガイド面は、上記所定角度より上記軸方向と直角方向に対してなす角度を大きく傾斜して形成された第1傾斜部と、上記所定角度とほぼおなじ角度で傾斜した第2傾斜部とを備え、
上記第1傾斜部は、キャップをタンク開口に挿入して閉じ方向に回転すると、開口側係合部の端部に当たり、さらにキャップの回転につれて開口側係合部の端面に倣ってキャップを軸方向へ移動するようにガイドし、
上記第2傾斜部は、キャップの回転方向への移動量をx、キャップの軸方向への移動量をyとし、締め代変化率TRをy/xと定義したときに該締め代変化率TRが第1傾斜部より小さく形成され、キャップの回転につれて開口側係合部の下面に倣ってキャップを軸方向へ移動するようにガイドすること、
を特徴とする。
【0011】
本発明にかかるタンク用キャップ装置では、キャップをタンク開口に挿入して閉じ方向へ回転すると、キャップ側係合部が開口側係合部に係合して装着されるとともに、キャップとタンク開口との間に介在するシール部材を押圧することにより、その間をシールする。
【0012】
キャップが閉まる際に、キャップ側係合部のガイド面が開口側係合部に倣って係合する。この過程において、ガイド面は、キャップの閉じ方向への回転につれて、その角度が緩くなるように形成し、つまり初期の段階で傾斜角度を大きく形成している。このようにガイド面の傾斜角度を初期の段階に大きくして締め代変化率が大きくなっても、シール部材を圧縮する初期の段階では、シール部材の反力が小さいから、トルクが大きくなり過ぎることなく、十分にシール部材の締め代をとることができる。そして、初期の過程を過ぎて、さらにシール部材を圧縮すると、ガイド面は、その角度が緩やかになり、シール部材の締め代変化率が小さい状態で確実にシール性を高めることができる。
【0013】
したがって、シール部材を圧縮する初期の段階にて、傾斜角度の大きなガイド面を開口側係合部に倣わせることにより、短い回転操作角度であっても、大きな反力を受けることなく、シール部材に対し締め代を十分にとることができ、よって高いシール性を得ることができる。
【0014】
こうしたガイド面の好適な態様として、開口側係合部の角度より上記軸方向と直角方向に対してなす角度を大きく傾斜して形成された第1傾斜部と、第1傾斜部と連続して形成されかつ上記所定角度とほぼおなじ角度で傾斜した第2傾斜部とを備えて、簡単に構成することができる。しかも、キャップ側係合部は、第1傾斜部、第2傾斜部のように、傾斜角度をわずかに変化させた構造であっても、ケーシング本体と一体に射出成形により、精度よく容易に形成することができる。なお、第2傾斜部は、第1傾斜部と連続した面として形成するほか、第1傾斜部と第2傾斜部との中間の角度で傾斜した第3傾斜部を備えてもよい。
【0015】
また、ガイド面の他の態様として、軸方向と直角方向に対してなす角度を開口側係合部の所定角度より大きく傾斜して形成する構成をとることができる。なお、ガイド面は、その傾斜角度を一定とした平面とするほか、該傾斜角度を連続的に変化させることにより、曲面とするなどの、種々の形態をとることができる。
【0016】
なお、シール部材の好適な態様として、シール部材を圧縮する初期段階にて小さな反力を示すシール部材であれば、Cリング、Oリングなどの各種のシール部材を用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態にかかる燃料キャップ10(タンク用キャップ)を示す半断面図である。図1において、燃料キャップ10は、図示しない燃料タンクに燃料を補給する注入口FNb(タンク開口)を有するフィラーネックFNに装着されており、ポリアセタール等の合成樹脂材料から形成されたケーシング本体20と、このケーシング本体20の上部に装着されナイロン等の合成樹脂材料から形成される操作部としての蓋体40と、トルク機構80と、ケーシング本体20の上部外周に装着されてフィラーネックFNとの間をシールするガスケットGSとを備えている。
【0019】
次に、本実施の形態にかかる燃料キャップ10の各部の構成について詳細に説明する。上記ケーシング本体20は、フィラーネックFNの内周部に係合されるキャップ側係合部20aを有するほぼ円筒状の外管体21と、外管体21の内側に設けられた弁室形成体22とを備えている。弁室形成体22は、弁室23を備え、この弁室内に正圧弁60及び負圧弁70が収納されている。正圧弁60および負圧弁70は、燃料タンク内の所定範囲の圧力に維持するための調圧弁であるが、その詳細については、周知であるのでその説明を省略する。
【0020】
また、ケーシング本体20の上部のフランジ部33下面には、ガスケットGSが外装されている。ガスケットGSは、フランジ部33のシール保持部21aとフィラーネックFNの注入口FNbとの間に介在しており、燃料キャップ10を注入口FNbに締め込むと、シール保持部21aに対して押しつけられてシール作用を果たす。また、外管体21の外周下部には、キャップ側係合部20aが形成されている。図2はケーシング本体20のキャップ側係合部20aとフィラーネックFNとの関係を説明する説明図である。図2に示すように、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部FNcが形成されている。この開口側係合部FNcの内周側の一部には、燃料キャップ10のキャップ側係合部20aを軸方向に挿入可能なネック側挿入切欠FNdが形成されている。
【0021】
図3はケーシング本体20の外周面に突設されたキャップ側係合部20aおよび開口側係合部FNcとの関係を説明する説明図である。開口側係合部FNcは、燃料キャップ10を進退させる方向(軸方向)と直角方向に対して第1角度α1だけ傾斜して形成されている。一方、キャップ側係合部20aは、ガイド面20bを備えている。ガイド面20bは、第1角度α1より大きい第2角度α2で形成された第1傾斜部20cと、第1傾斜部20cと連続して形成されかつ上記第1角度α1と同じ角度で傾斜した第2傾斜部20dとを備えている。
【0022】
キャップ側係合部20aをネック側挿入切欠FNdに位置合わせして、燃料キャップ10をフィラーネックFNに挿入した状態にて、燃料キャップ10を所定角度(約90゜)回転すれば、キャップ側係合部20aは、矢印D1に沿って移動し、開口側係合部FNcの下面に係合することにより、燃料キャップ10がフィラーネックFNに装着される。なお、ガイド面20bが、第1傾斜部20cおよび第2傾斜部20dを有する理由については、後述する燃料キャップ10の開閉動作とともに説明する。
【0023】
図4は蓋体40及びケーシング本体20の上部に装着されるトルク機構80の周辺部を示す分解斜視図、図5は図1のV−V線に沿ったトルク機構80の付近を示す断面図である。トルク機構80は、燃料キャップ10で注入口FNbを閉じる動作の際に、蓋体40が所定以上の回転トルクを受けたときに節度感を与えて、燃料キャップ10が所定の回転トルクでフィラーネックFNに装着したことを確認できる機構である。
【0024】
ケーシング本体20の上部のフランジ部33には、回転可能かつ着脱自在に蓋体40が装着されている。蓋体40は、底壁41と、底壁41の外壁部に突設された把持部42と、底壁41の外周部に形成された側壁43とを備え、導電性樹脂を用いて射出により一体成形されている。また、側壁43の内側には、係合突部45が周方向に沿って等間隔で8カ所突設されている。この係合突部45が上記フランジ部33に係合することにより、蓋体40がケーシング本体20に組み付けられている。
【0025】
図4および図5に示すように、トルク機構80は、ケーシング本体20の外管体21の上部外周に立設された本体側リブ32,32と、蓋体40の筒状軸部46、蓋体側係合部46a,46a、蓋体側トリガ突起47,47と、スプリング82と、トルクプレート90とを備えている。すなわち、蓋体40の内側中央部には、筒状軸部46が突設されており、この筒状軸部46の外周部に、蓋体側係合部46a,46aが断面山形に突設されている。また、蓋体40の内面外周部には、蓋体側トリガ突起47,47が円弧状に突設されている。蓋体側係合部46a,46a及び蓋体側トリガ突起47,47は、蓋体40の回転軸を中心にして対称に1対形成されている。
【0026】
また、スプリング82は、ケーシング本体20とトルクプレート90との間に介在するコイルスプリングであり、ケーシング本体20の上部とトルクプレート90の外周部との間に架設されることにより、トルクプレート90をケーシング本体20に対して反時計方向に回転すると付勢力を蓄積する。
【0027】
図5に示すように、トルクプレート90は、樹脂から形成された薄い円板であり、貫通孔やガイド溝を備えている。すなわち、トルクプレート90の中央部には、中央穴91が形成され、その同心上にリブ用ガイド部93,93及びさらにその外周側にトリガ用ガイド溝95,95が形成されている。中央穴91には、蓋体40の筒状軸部46が貫通するとともに、その周縁部に弾性トルク片94,94が形成されている。弾性トルク片94,94は、支持端部94aを支点としたアーチ状の片持ちで形成されており、内周側にプレート側係合部94bが突設されて、このプレート側係合部94bの外周側に長穴94cが形成されている。弾性トルク片94,94は、プレート側係合部94bが蓋体40の蓋体側係合部46aにより押圧されると、長穴94cを狭くするように弾性変形するように形成されている(図7参照)。
【0028】
また、弾性トルク片94,94の外周側に配置されたリブ用ガイド部93,93には、本体側リブ32,32がそれぞれ挿入されている。本体側リブ32は、リブ用ガイド部93の両端である押圧端93aと押圧端93bとの間で往復動する。また、トリガ用ガイド溝95,95には、蓋体側トリガ突起47,47が挿入されている。蓋体側トリガ突起47は、トリガ用ガイド溝95の両端であるトリガ用ガイド溝95の押圧端95aと押圧端95bとの間で往復動する。
【0029】
次に、フィラーネックFNの注入口FNbを燃料キャップ10で開閉する操作を行なったときのトルク機構80の動作について説明する。なお、トルク機構80は、蓋体40の回転軸を中心に2つ設けられているので、図示の上側を中心に説明する。
【0030】
図2に示すように、注入口FNbが開いた状態にて、蓋体40の把持部42を親指と人差し指で挟んで、ケーシング本体20のキャップ側係合部20aをフィラーネックFNのネック側挿入切欠FNdに位置合わせして軸方向へ挿入する。このとき、蓋体40の把持部42をほぼ鉛直方向に向けると、キャップ側係合部20aとネック側挿入切欠FNdとが挿入可能な位置に配置されて、燃料キャップ10の装着作業が容易な位置関係になっている。このとき、図6に示すように、トルク機構80の位置関係は、スプリング82の付勢力により、本体側リブ32が押圧端93aに押圧されるとともに、蓋体40の蓋体側係合部46aがトルクプレート90のプレート側係合部94bに当たった状態になっている。
【0031】
この状態から、蓋体40に対して時計方向の回動力を加えて閉じる操作を行なうと、トルク機構80は、図6の状態から、図7を経て図9に示すような一連の動作を行なう。すなわち、蓋体40に加えられた時計方向の回動力は、蓋体40の蓋体側係合部46aとトルクプレート90のプレート側係合部94bとの係合状態を介してトルクプレート90に伝えられ、トルクプレート90を同方向へ回転させる。このトルクプレート90の回転に伴ってケーシング本体20の本体側リブ32がトルクプレート90の押圧端93aで押される。これにより、蓋体40、トルクプレート90、ケーシング本体20が一体に回転して、注入口FNbを閉じる方向へ進み、キャップ側係合部20aが開口側係合部FNcに係合する力が増大する。そして、この係合する力によって生じる反力が所定回転トルク以上になると、図7に示すように、蓋体側係合部46aがプレート側係合部94bを乗り越えて、図8の第1係脱状態になる。この第1係脱状態を経ると、使用者は節度感を確認することができる。これにより、燃料キャップ10は、注入口FNbに所定の締付トルクで閉じられている状態になる。
【0032】
一方、燃料キャップ10を開くには、蓋体40の把持部42を指で摘んで、図9に示すように、反時計方向へ回転する力を加える。これにより、蓋体40の蓋体側係合部46aがトルクプレート90のプレート側係合部94bを押圧する。このとき、ケーシング本体20がフィラーネックFNに係合により拘束されているから、蓋体40及びトルクプレート90だけがスプリング82の付勢力に抗して反時計方向へ回転する。したがって、この回転にともなって本体側リブ32がリブ用ガイド部93内を相対的に押圧端93b側へ移動することになる。
【0033】
図9の状態において、本体側リブ32が弾性トルク片94の先端側に位置しないと、弾性トルク片94が撓みやすくなる。この状態から、図10に示すように、蓋体40を反時計方向へさらに回転すると、蓋体側係合部46aは、プレート側係合部94bを押圧して、本体側リブ32に当たっている部位94dを中心に大きく撓ませるとともに、長穴94cの幅を変えるように弾性変形させて、小さい押圧力でプレート側係合部94bを乗り越える第2係脱状態になる(図11の状態)。すなわち、蓋体側係合部46aは、燃料キャップ10を閉じるときよりも小さい回転トルクでプレート側係合部94bを乗り越える。
【0034】
そして、蓋体側係合部46aがプレート側係合部94bを乗り越えた位置まで蓋体40が反時計方向へ回転すると、蓋体側トリガ突起47がトルクプレート90の押圧端95aに当たる。この状態では、本体側リブ32もリブ用ガイド部93の押圧端93bに当たっているから、蓋体40に加わる回転力は、蓋体側トリガ突起47→トルクプレート90→押圧端93b→本体側リブ32→ケーシング本体20を介して伝達され、蓋体40、トルクプレート90、ケーシング本体20が一体に反時計方向へ回転する。
【0035】
そして、蓋体40と一体にケーシング本体20が約90゜回転すると(図12の状態)、キャップ側係合部20aがフィラーネックFNの開口側係合部FNcから外れて、ケーシング本体20は、フィラーネックFNに対する拘束力から解放される。このとき、ケーシング本体20は、トルクプレート90との間でスプリング82の付勢力を受けており、一方、蓋体40が指で持たれて拘束されているから、ケーシング本体20は、蓋体40及びトルクプレート90に対して反時計方向へ回転して、元の位置に戻る(図13の状態)。すなわち、蓋体40の把持部42とケーシング本体20のキャップ側係合部20aとの位置関係が初期状態に復帰する。
【0036】
このように、燃料キャップ10を閉じる操作過程において、蓋体40の蓋体側係合部46aがトルクプレート90のプレート側係合部94bを乗り越えたときに節度感を確認でき、燃料キャップ10が所定トルクで締め付けられていることが分かるから、ガスケットGSなどの弾性にかかわらず、一定トルクで締め付けることができる。
【0037】
しかも、燃料キャップ10は、キャップ側係合部20aと開口側係合部FNcとの係合により、約90゜という小さな回転角度で操作すればよく、何回も回転する操作が不要となり、装着作業が容易である。
【0038】
また、上記トルク機構80によれば、燃料キャップ10を開くために、蓋体40に反時計方向へ回転トルクを加えたときに、プレート側係合部94bと蓋体側係合部46aとは、第1係脱状態より小さな回転トルクである第2係脱状態で係脱するから、スプリング82の付勢力を蓄積するのに支障にならず、この蓄積された付勢力により蓋体40とケーシング本体20との位置関係を初期状態に戻すことができる。
【0039】
したがって、常に燃料キャップ10で閉じる際に、蓋体40の把持部42とケーシング本体20のキャップ側係合部20aとの位置合わせが容易になり、フィラーネックFNの注入口FNbを閉じる作業が簡単になる。
【0040】
次に、燃料キャップ10を閉じる際に、図14を用いてキャップ側係合部20aが開口側係合部FNcに係合する動作について説明する。図14はキャップ側係合部20aが開口側係合部FNcに係合する一連の動作を説明する説明図である。燃料キャップ10をフィラーネックFN内に挿入すると、キャップ側係合部20aは、ネック側挿入切欠FNdに挿入され、つまり図14(A)を経て、図14(B)に示すように奥まで挿入された状態になる。
【0041】
続いて、燃料キャップ10を時計方向へ回転すると、図14(C)に示すように、第1傾斜部20cが開口側係合部FNcに倣う(第1係合過程)。さらに、図14(D)に示すように、燃料キャップ10を時計方向へ回転すると、第2傾斜部20dが開口側係合部FNcに倣って移動し(第2係合過程)、燃料キャップ10がフィラーネックFNの注入口FNbを閉じる。
【0042】
ここで、図14(C),(D)にそれぞれ示すように、キャップ側係合部20aの回転方向への移動距離をx、軸方向への移動距離をyとし、締め代変化率TRをy/xで定義し、第1係合過程および第2係合過程における回転方向への移動距離をx1,x2、軸方向の移動距離をy1,y2とすると、締め代変化率がTR1,TR2となる。このとき、第1傾斜部20cの第2角度α2は、第2傾斜部20dの第1角度α1より大きいから、第1係合過程の締め代変化率TR1は、第2係合過程の締め代変化率TR2より大きい。このように、初期の第1係合過程にて、締め代変化率TR1を大きく設定し、第2係合過程にて、締め代変化率TR2を小さくしているのは、以下の理由による。
【0043】
図15はガスケットを押し潰したときの圧縮量(締め代)とガスケットの反力との関係を説明するグラフである。図15にて、ガスケットの反力は、初期の圧縮量では緩やかに増加しているが、圧縮量の増加につれて急激に立ち上がっている。すなわち、ガスケットは、初期の段階では大きな圧縮量を得るのに小さな力でよいが、ある程度圧縮された段階では圧縮するのに大きな力を必要とする。
【0044】
図15のガスケットの性質を利用して、燃料キャップ10の閉じ動作において、上記反力の小さい第1係合過程にて、大きな締め代変化率TR1でガスケットGSを圧縮しても、ガスケットGSの反力も小さく、トルク機構80で滑ることもない。そして、第1係合過程に続く、上記反力の大きい第2係合過程にて、ガスケットGSの反力が次第に大きくなるが、小さな締め代変化率TR2でガスケットGSを徐々に圧縮するから、トルク機構80で滑ることもない。
【0045】
また、第2係合過程にて、キャップ側係合部20aは、第2傾斜部20dで開口側係合部FNcに倣って長い移動距離だけ移動するから、開口側係合部FNcに回転方向に十分に遊びを有した係合状態なり、燃料キャップ10がフィラーネックFNから抜けるのを防止することができる。
【0046】
したがって、ガスケットGSを圧縮する初期の段階(第1係合過程)にて、傾斜角度の大きな第1傾斜部20cを開口側係合部FNcに倣わせることにより、短い回転操作角度であっても、大きな反力を受けることなく、ガスケットGSに対し締め代を十分にとることができ、よって高いシール性を得ることができる。
【0047】
また、燃料キャップ10を閉める際に、キャップ側係合部20aは図14(B)から図14(C)に示すように、図示右側から左側へ移動する。この場合において、キャップ側係合部20aの第2角度α2は、開口側係合部FNcの第1角度α1より大きいので、キャップ側係合部20aのコーナー20eは、開口側係合部FNcに当たる際に、開口側係合部FNcに突っかかった状態にならない。そして、図14(D)に示すように第2傾斜部20dが開口側係合部FNcにほぼ均一に面接触した状態にて小さいトルクで倣う。よって、燃料キャップ10は、第1傾斜部20cと開口側係合部FNcとの間で大きな回転トルクを生じないでスムーズに回転する。したがって、燃料キャップ10は、従来の技術と比べて、同じ回転トルクで閉めた場合に、大きな回転角度で閉められた状態になり、つまり締め代を増加させることができる。
【0048】
また、キャップ側係合部20aは、第1傾斜部20c、第2傾斜部20dのように細かい構造であっても、ケーシング本体20と一体に射出成形により精度よく容易に形成することができる。よって、このような傾斜面を金属製のフィラーネックFNに加工成形するよりも、簡単に形成することができる。
【0049】
上述のように、ガイド面20bの傾斜角度α1,α2は、燃料キャップの形状や、ガスケットの種類によって適宜、最適な値を設定するが、例えば、燃料キャップの操作角度を60〜120゜に、ガスケットGSの締め代を1.0〜2.0mmに設定した場合に、第1角度α1は、3〜8゜に、第2角度α2は、10〜45゜に設定することが好ましく、特に、α1が3〜6゜、α2が10〜30゜に設定することが好ましい。
【0050】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0051】
(1) 上記実施の形態では、ガスケットとして、Cリングを用いたが、これに限らず、図15に示すような圧縮の初期段階にて小さな反力を示すシール部材であれば、Oリングや他のシール部材であってもよい。
【0052】
(2) また、ケーシング側係合部のガイド面の形状としては、直線的な傾斜面のほかに、図16に示すような、ケーシング側係合部20Baに湾曲した傾斜面20Bcを形成してもよく、特に、図15に示すガスケットの特性に適合した局面とすることにより、燃料キャップを閉じる際に、急激なトルク変動を感じることなく、操作性に優れたものを得ることができる。
【0053】
(3) 上記実施の形態において、上記ガスケットは、燃料キャップに装着したが、燃料キャップの閉じる方向への移動によりフィラーネックとの間をシールする位置であれば、特に限定されず、例えば、フィラーネック側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる燃料キャップ10を示す半断面図である。
【図2】ケーシング本体20のキャップ側係合部20aとフィラーネックFNとの関係を説明する説明図である。
【図3】ケーシング本体20の外周面に突設されたキャップ側係合部20aおよび開口側係合部FNcとの関係を説明する説明図である。
【図4】蓋体40及びケーシング本体20の上部に装着されるトルク機構80の周辺部を示す分解斜視図である。
【図5】図1のV−V線に沿ったトルク機構80の付近を示す断面図である。
【図6】トルク機構80の動作を説明する説明図である。
【図7】図6に続く動作を説明する説明図である。
【図8】図7に続く動作を説明する説明図である。
【図9】図8に続く動作を説明する説明図である。
【図10】図9に続く動作を説明する説明図である。
【図11】図10に続く動作を説明する説明図である。
【図12】図11に続く動作を説明する説明図である。
【図13】図12に続く動作を説明する説明図である。
【図14】キャップ側係合部20aが開口側係合部FNcに係合する一連の動作を説明する説明図である。
【図15】ガスケットを押し潰したときの圧縮量(締め代)とガスケットの反力との関係を説明するグラフである。
【図16】他の実施の形態にかかるケーシング側係合部20Baの周辺を示す説明図である。
【図17】従来の燃料キャップをフィラーネックに装着する前の状態を説明する説明図である。
【図18】従来の燃料キャップをフィラーネックに装着する動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…燃料キャップ
20…ケーシング本体
20a…キャップ側係合部
20b…ガイド面
20c…第1傾斜部
20d…第2傾斜部
20e…コーナー
20Ba…ケーシング側係合部
20Bc…傾斜面
21…外管体
21a…シール保持部
22…弁室形成体
23…弁室
32…本体側リブ
33…フランジ部
40…蓋体
41…底壁
42…把持部
43…側壁
45…係合突部
46a…蓋体側係合部
46…筒状軸部
47…蓋体側トリガ突起
60…正圧弁
70…負圧弁
80…トルク機構
82…スプリング
90…トルクプレート
91…中央穴
93b…押圧端
93a…押圧端
93…リブ用ガイド部
94…弾性トルク片
94a…支持端部
94b…プレート側係合部
94c…長穴
94d…部位
95…トリガ用ガイド溝
95a…押圧端
95b…押圧端
100…燃料キャップ
GS…ガスケット
FN…フィラーネック
FNb…注入口
FNc…開口側係合部
FNd…ネック側挿入切欠

Claims (2)

  1. 開口側係合部(FNc)を有するタンク開口と、
    このタンク開口を閉じるとともに、開口側係合部(FNc)に係合することでタンク開口に対して抜止するキャップ側係合部(20a)を有するキャップと、
    上記タンク開口のシール面とキャップの外周部との間に介在して、その間をシールするシール部材と、
    を備え、
    上記開口側係合部(FNc)は、挿入切欠を有し、タンク開口の内壁からキャップが閉まる軸方向と直角方向に対して所定角度だけ傾斜して突設され、
    上記キャップ側係合部(20a)は、上記挿入切欠を通じて開口側係合部(FNc)の下側に挿入されるようにキャップの外周部の一部に突設され、
    キャップを60〜120゜で回転操作することにより開口側係合部(FNc)にキャップ側係合部(20a)を係合させるタンク用キャップ装置において、
    上記キャップ側係合部(20a)は、キャップをタンク開口に挿入した状態にて該キャップを閉じ方向へ回転することにより、開口側係合部(FNc)の端部に当たってから該開口側係合部(FNc)の下面に係合するガイド面(20b)を有し、
    上記ガイド面(20b)は、上記所定角度より上記軸方向と直角方向に対してなす角度を大きく傾斜して形成された第1傾斜部(20c)と、上記所定角度とほぼおなじ角度で傾斜した第2傾斜部(20d)とを備え、
    上記第1傾斜部(20c)は、キャップをタンク開口に挿入して閉じ方向に回転すると、開口側係合部(FNc)の端部に当たり、さらにキャップの回転につれて開口側係合部(FNc)の端面に倣ってキャップを軸方向へ移動するようにガイドし、
    上記第2傾斜部(20d)は、キャップの回転方向への移動量をx、キャップの軸方向への移動量をyとし、締め代変化率TRをy/xと定義したときに該締め代変化率TRが第1傾斜部(20c)より小さく形成され、キャップの回転につれて開口側係合部(FNc)の下面に倣ってキャップを軸方向へ移動するようにガイドすること、
    を特徴とするタンク用キャップ装置。
  2. 請求項1のタンク用キャップ装置において、上記シール部材は、Cリングであるタンク用キャップ装置。
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