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JP4451193B2 - パターン形成体の製造方法 - Google Patents

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JP4451193B2
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Description

本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体の製造方法等に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
そこで、基材上に、光触媒と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する材料とを含有する特性変化パターン形成用塗工液を用いて光触媒含有層を形成し、パターン状に露光することにより、特性が変化したパターンを形成する方法等が本発明者等において検討されてきた(特許文献1)。この方法によれば、上記光触媒含有層の特性を利用して、容易に着色層等の機能性部を形成することを可能とすることができる。
ここで、このような光触媒含有層を用いたパターン形成体の製造方法等において、光触媒を励起させるための露光には、例えば水銀ランプやメタルハライドランプ等の高エネルギーのランプを用い、強い強度でエネルギーを照射する方法が、製造効率等の面から用いられている。しかしながら近年、例えばカラーフィルタ等の大面積化が求められており、これらの方法では、照射可能な面積が狭く、またさらなる製造効率の向上も求められていた。
特開2001−074928号公報
そこで、カラーフィルタ等の製造に用いることが可能な、表面に特性が変化したパターンが形成されたパターン形成体を、効率よく大面積に製造する方法の提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有するパターニング用基板を調製するパターニング用基板調製工程と、
少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、上記特性変化層とを所定の間隙となるように配置し、0.1mW/cm〜10mW/cmの強度でエネルギーを照射し、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
本発明においては、上記パターニング用基板調製工程で調製されたパターニング用基板が、上記特性変化層を有することから、エネルギー照射工程において、上記光触媒含有層側基板と対向させてエネルギーを照射することにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、容易に特性が変化した特性変化パターンを有するパターン形成体を製造することができる。またこの際、本発明においては、上記エネルギー照射工程で照射するエネルギーを、一般的なパターニングに用いられるエネルギーの強度と比較して弱いものとすることから、効率よく光触媒を励起させることができ、格段に積算光量を少ないものとすることができる。したがって、本発明によれば、効率よくパターン形成体を製造することが可能となるのである。
上記発明においては、上記パターニング用基板の上記基材上に遮光部が形成されており、上記エネルギー照射工程における上記エネルギーの照射が、上記基材側から行われることが好ましい。この場合、エネルギー照射工程において、フォトマスク等を用いることなく、遮光部が形成されていない領域のみの特性変化層の特性を変化させることができる。したがって、フォトマスク等の位置合わせ等の工程が必要なく、より効率よくパターン形成体を製造することができるからである。またさらに、この場合、上記エネルギー照射工程により照射されるエネルギーが、散乱光であったとしても、光が拡散することなく、特性変化層と対向する光触媒含有層に到達することができるため、エネルギー照射工程に用いられる光源の選択の幅が広がる、という利点も有する。
また、上記発明においては、上記エネルギー照射が、250nm〜450nmの範囲内の波長の光を放出する蛍光ランプにより行われることが好ましい。これにより、波長の長い低エネルギーのランプを用いてエネルギーを照射することができるため、特別な装置や設備が必要ないものとすることができるからである。また、上記波長の光であれば、人体に影響のないものとすることができる、という利点も有する。
またこの場合、上記蛍光ランプが冷陰極型蛍光ランプであり、かつブラックライト、健康ランプ、殺菌灯のいずれかのランプであることが好ましい。これらのランプは、線光源とすることができるため、一時に大面積のパターニング用基板に対してエネルギーを照射することが可能となるからである。またこれらのランプの照射には特別な装置が必要なく、また比較的長寿命であることから、製造コストの面からも好ましいものとすることができる。
また、本発明はパターン形成体の製造方法により製造されたパターン形成体の、上記特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有することを特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記パターン形成体上には、特性が変化した特性変化パターンが形成されていることから、この特性変化パターンの特性の差を利用して、容易に高精細な機能性部を形成することが可能となる。
またさらに、本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、着色層を形成する着色層形成工程であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、例えば上記特性変化パターンの濡れ性の差等を利用して、容易に高精細な着色層を例えばインクジェット法等により形成することができる。
また、本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であることを特徴とする導電性パターンの製造方法を提供する。
本発明によれば、例えば上記特性変化パターンの特性の差を利用して、例えば電界ジェット法等により、容易に金属配線を形成することができる。
本発明においては、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、有機エレクトロルミネッセント(以下、有機ELとする場合もある。)層を形成する工程であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差を利用して、高精細なパターン状に有機EL層を形成することができ、高品質な有機EL素子とすることができる。
またさらに、本発明は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成する工程であることを特徴とするバイオチップ用基材の製造方法を提供する。
本発明によれば、生体物質と付着性を有する機能性部を高精細なパターン状に形成することができ、高品質なバイオチップ用基材とすることができる。
本発明によれば、効率よく光触媒を励起させることができ、低い積算光量で表面の特性が変化した特性変化パターンを有するパターン形成体を製造することが可能となる、という効果を奏する。
本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体の製造方法、そのパターン形成体を用いた機能性素子の製造方法等に関するものである。以下、それぞれについて説明する。
A.パターン形成体の製造方法
まず、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、基材と、上記基材上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有するパターニング用基板を調製するパターニング用基板調製工程と、
少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、上記特性変化層とを所定の間隙となるように配置し、所定の強度でエネルギーを照射し、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成するエネルギー照射工程と
を有することを特徴とするものである。
本発明のパターン形成体の製造方法は、例えば図1に示すように、基材1とその基材1上に形成された特性変化層2とを有するパターニング用基板3を調製するパターニング用基板調製工程(図1(a))と、光触媒含有層11と基体12とを有する光触媒含有層側基板13を準備し、この光触媒含有層側基板13の光触媒含有層11と、上記特性変化層2とを所定の間隙となるように配置し、例えばフォトマスク4等を用いて、所定の方向から所定の強度でエネルギー5を照射し(図1(b))、特性変化層2の特性が変化した特性変化パターン6を形成する(図1(c))特性変化パターン形成工程とを有するものである。
本発明によれば、上記パターニング用基板調製工程で調製されたパターニング用基板が特性変化層を有することから、エネルギー照射工程において、特性変化層と光触媒含有層側基板の光触媒含有層とを対向させてエネルギーを照射することにより、光触媒含有層中の光触媒の作用により、特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成することができる。したがって、この特性変化パターンの特性の差を利用して、例えばカラーフィルタの着色層等、様々な機能性部を形成することが可能な、パターン形成体を容易に形成することができる。
ここで、本発明のエネルギー照射工程においては、一般的に光触媒を用いたパターニングの際に照射されるエネルギーと比較して、弱い強度のエネルギーを照射する。光触媒は、高いエネルギーを照射して励起させる場合より、低いエネルギーを照射して励起させる場合のほうが、量子効率がよく、積算光量を少ないものとすることができる。したがって、本発明によれば、少ないエネルギー量で効率よくパターン形成体を製造することができるのである。
以下、本発明におけるパターン形成体の製造方法の各工程について詳しく説明する。
(1)パターニング用基板調製工程
まず、本発明のパターニング用基板調整工程について説明する。上記パターニング用基板調製工程は、基材と、その基材上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有するパターニング用基板を調製する工程であれば特に限定されるものではなく、通常、基材上に特性変化層を形成する工程とすることができる。以下、本工程において調整されるパターニング用基板に用いられる特性変化層および基材について説明する。
(特性変化層)
まず、本工程により調製されるパターニング用基板に用いられる特性変化層について説明する。本発明に用いられる特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する層であれば、その特性の変化の種類等は特に限定されるものではない。例えば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、例えば物質との密着性が変化する層であってもよく、また例えば細胞との接着性が変化する層等とすることができる。
本発明においては特に上記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように変化する濡れ性変化層、または上記エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、分解除去される分解除去層であることが好ましい。上記特性変化層がこれらの層であることにより、パターン形成体の特性変化パターンを利用して、パターン形成体上に機能性部を形成する際に、機能性部の形成が容易となるからである。以下、このような濡れ性変化層および分解除去層について説明する。
a.濡れ性変化層
まず、本発明のパターニング用基板調製工程において調製されるパターン形成体に用いられる濡れ性変化層について説明する。本発明に用いられる濡れ性変化層は、後述するエネルギー照射工程において、照射されるエネルギーによって励起された光触媒の作用により、液体との接触角が低下する層であれば特に限定されるものではない。本発明においては、上記特性変化層が濡れ性変化層であることにより、本発明により製造されるパターン形成体の特性変化パターン上に、例えばインクジェット法等により、高精細な機能性部を形成することが可能となる。
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、製造されたパターン形成体上に機能性部を形成する機能性部形成用塗工液、例えば機能性素子がカラーフィルタであれば、着色層を形成するための着色層形成用塗工液、機能性素子が金属配線であれば、金属配線形成用塗工液等に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上述した機能性部形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
なお、本発明においては、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上低い場合には親液性領域、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上高い場合には撥液性領域とすることとする。
本発明に用いられる濡れ性変化層は中でも、後述するエネルギー照射工程においてエネルギー照射されていない部分、すなわち撥液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が、10°以上、中でも表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。これは、エネルギー照射されていない部分が、撥液性が要求される部分であることから、上記液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、例えばカラーフィルタの着色層を形成する着色層形成用塗工液をインクジェット方式等により塗布し、硬化させて形成する場合等に、撥液性領域にも着色層形成用塗工液が付着する可能性がある等、高精細に着色層等の機能性部を形成することが困難となるからである。
また、上記濡れ性変化層は、後述するエネルギー照射工程においてエネルギー照射された部分、すなわち親液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が9°未満、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高い場合は、例えばカラーフィルタの着色層を形成する着色層形成用塗工液を、親液性領域においてもはじいてしまう可能性があり、例えばインクジェット法により着色層形成用塗工液を塗布した際に、着色層形成用塗工液が十分に塗れ広がらない等、着色層等の機能性部を形成することが難しくなる可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
本発明に用いられる濡れ性変化層は、この濡れ性変化層中にフッ素が含有され、さらにこの濡れ性変化層表面のフッ素含有量が、濡れ性変化層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記濡れ性変化層が形成されていてもよく、またエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより濡れ性変化層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を含むように形成されていてもよい。
このような特徴を有する濡れ性変化層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性領域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
したがって、このような濡れ性変化層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、例えばパターン形成体上に機能性部を形成する際に、この親液性領域のみに機能性部を形成することが容易に可能とすることができる。
上述したような、フッ素を含む濡れ性変化層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギー照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分とエネルギー未照射部分との濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような濡れ性変化層に例えば機能性部を形成することにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度良く機能性素子を得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
このような濡れ性変化層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy,ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
ここで、このような濡れ性変化層に用いられる材料としては、上述した濡れ性変化層の特性、すなわちエネルギー照射により接触する光触媒含有層中の光触媒により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記の(1)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、例えば、特開2003−195029号公報に記載されているようなオルガノポリシロキサンを用いることができる。
またさらに、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 0004451193
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
本発明においては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々の材料を濡れ性変化層に用いることができるのであるが、上述したように、濡れ性変化層にフッ素を含有させることが、濡れ性のパターン形成に効果的である。したがって、光触媒の作用により劣化・分解しにくい材料にフッ素を含有させる、具体的にはオルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させて濡れ性変化層とすることが好ましいといえる。
なお、本発明における濡れ性変化層には、上述した材料以外に、例えば特開2003−195029号公報に記載されているものと同様の界面活性剤や、添加剤等を含有させてもよい。
このような濡れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより濡れ性変化層を形成することができる。
b.分解除去層
次に本発明に用いられる分解除去層について説明する。本発明に用いられる分解除去層は、エネルギー照射された際に光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された部分の分解除去層が分解除去される層であれば、特に限定されるものではない。
このような分解除去層は、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
なお、この分解除去層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
また、本発明に用いられる分解除去層は、凹凸を形成するのみならず、この分解除去層が、後述する基材表面と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去され、基材が露出した領域を親液性領域、上記分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、種々のパターンを形成することが容易となるからである。
ここで、上記エネルギー照射により基材が露出した領域である親液性領域と、エネルギー未照射の残存する分解除去層からなる領域である撥液性領域との濡れ性の差を利用して、例えばパターン形成体上に機能性部を形成する場合、その機能性部を形成する機能性部形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンであることが好ましい。これにより、高精細な機能性部を形成することが可能となるからである。
また、本発明の分解除去層表面の液体との接触角は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の値を示すことが好ましい。
またこの場合、後述する基材が親液性であることが好ましく、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下、中でも表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特には1°以下であることが好ましい。
分解除去層および基材の濡れ性が、上記範囲内であることにより、基材が露出した領域を親液性領域、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、高精細なパターンの形成が容易となるからである。ここで、液体との接触角は、上述した方法により測定した値である。
この場合、後述する基材は表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、基材上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。本発明においては、通常基材が露出した部分が親液性領域とされる。
また、上記のような分解除去層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
またさらに、本発明においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。このような自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、および交互吸着膜については、例えば特開2003−195029号公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
(基材)
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上記特性変化層が形成可能なものであれば、特に限定されるものではなく、パターン形成体の種類や用途等に合わせて適宜選択される。また、透明性や可撓性についても適宜選択されることとなる。また、上述したように、特性変化層が分解除去層である場合には、基材表面を親液性となるように表面処理等したものであってもよい。
このようなパターン形成体に用いられる基材としては、例えば紙基材の樹脂積層板、ガラス布・ガラス不織布基材の樹脂積層板、セラミック、金属等を用いることができる。
(パターニング用基板)
次に、本工程において調製されるパターニング用基板について説明する。本工程において調製されるパターニング用基板は、上記基材および特性変化層を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜他の部材を有していてもよい。
本発明においては、特に上記基材が透明であり、上記基材上に遮光部が形成されていることが好ましい。これにより、後述するエネルギー照射工程において、上記特性変化層と光触媒を含有する光触媒含有層とを対向させて配置し、基材側からエネルギーを照射することにより、特性変化パターンを形成することができるからである。この場合、遮光部が形成された領域においては、上記光触媒含有層にエネルギーが照射されないため、この部分での光触媒は励起されないものとすることができる。したがって、遮光部が形成されていない領域のみの特性変化層の特性を変化させることができることから、フォトマスク等を用いることなく、パターン状に特性変化パターンを形成することが可能となるのである。またこの場合、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーの光源として、例えば散乱光を用いた場合であっても、比較的光が拡散せずに光触媒含有層に到達することができる。したがって、エネルギー照射工程に用いられる光源の選択の幅が広がる、という利点も有する。
このような遮光部としては、照射されるエネルギーを遮蔽するものであれば、特に限定されるものではない。このような遮光部の形成方法は、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
またさらに本発明においては、遮光部が熱転写法により形成されたものとすることもできる。遮光部を形成する熱転写法とは、通常、透明なフィルム基材の片面に光熱変換層と遮光部転写層を設けた熱転写シートを基材上に配置し、遮光部を形成する領域にエネルギーを照射することによって、遮光部転写層が基材上に転写されて遮光部が形成されることとなるものである。このような熱転写法により形成される遮光部の膜厚としては、通常0.5μm〜10.0μm、特に0.8μm〜5.0μm程度とすることができる。
熱転写法により転写される遮光部は、通常、遮光材料と結着剤により構成されるものであり、遮光性材料としては、カーボンブラック、チタンブラック等の無機粒子等を用いることができる。このような遮光性材料の粒子径としては、0.01μm〜1.0μm、中でも0.03μm〜0.3μmの範囲内であることが好ましい。
また、結着剤としては、熱可塑性と熱硬化性とを有する樹脂組成とすることが好ましく、熱硬化性官能基を有し、かつ軟化点が50℃〜150℃の範囲内、中でも60℃〜120℃の範囲内である樹脂材料および硬化剤等により構成されることが好ましい。このような材料として具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物またはエポキシ樹脂とその潜在性硬化剤との組み合わせ等が挙げられる。またエポキシ樹脂の潜在性硬化剤としては、ある一定の温度まではエポキシ基との反応性を有さないが、加熱により活性化温度に達するとエポキシ基との反応性を有する分子構造に変化する硬化剤を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂との反応性を有する酸性または塩基性化合物の中性塩や錯体、ブロック化合物、高融点体、マイクロカプセル封入物が挙げられる。また、上記遮光部中に、上記の材料の他に、離型剤、接着補助剤、酸化防止剤、分散剤等を含有させることもできる。
(2)エネルギー照射工程
次に、本発明におけるエネルギー照射工程について説明する。本発明におけるエネルギー照射工程は、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板を準備し、上記パターニング用基板調製工程で調製されたパターニング用基板の特性変化層と、光触媒含有層とを対向させて配置し、所定の方向から所定の強度でエネルギーを照射する工程である。
以下、本工程において照射されるエネルギーおよびそのエネルギーの照射方法、本工程に用いられる光触媒含有層、および本工程に用いられる露光装置についてそれぞれ説明する。
(エネルギーおよびそのエネルギーの照射方法)
まず、本工程において照射されるエネルギーおよびそのエネルギーの照射方法について説明する。本工程において照射されるエネルギーは、所定の強度を有するものであれば、そのエネルギーの種類等は特に限定されるものではない。ここで、本工程において照射されるエネルギーの強度として具体的には、0.1mW/cm〜10mW/cm、中でも0.1mW/cm〜8mW/cm、特に0.1mW/cm〜3mW/cmの範囲内とすることが好ましい。このような強度のエネルギーは、一般的にエネルギー照射に伴う光触媒の作用を利用したパターニングに用いられるエネルギーより強度が低いものである。このような強度のエネルギーを用いることにより、効率よく光触媒を励起させることができ、通常のパターニングの際に用いられる強度のエネルギーを用いた場合より、格段に積算光量を少ないものとすることができ、効率よくパターン形成体を製造することができるのである。
ここで、本発明においては上記強度でエネルギーを照射可能なものであれば、そのエネルギーの種類等は特に限定されない。例えば、一般的なパターニングに用いられる水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源の照射強度を落として、上記範囲内の強度となるようにしてもよい。
本発明においては、特に250nm〜450nm、中でも280nm〜430nm、特に300nm〜380nmの範囲内の蛍光ランプを用いてエネルギー照射工程を行うことが好ましい。このような範囲内の波長のランプは、線光源とすることが可能であるので、大面積へのエネルギー照射が容易であり、また特別な装置等も必要とされないことから、製造コストや製造効率の面から好ましいものとすることができるからである。また、上記波長の光であれば、人体に悪影響を及ぼさないものとすることができる、という利点も有する。
ここで、上記波長の光を照射する蛍光ランプとしては、冷陰極型蛍光ランプであることが好ましい。冷陰極型蛍光ランプは、一般的に熱陰極型蛍光ランプと比較して、寿命が長いため、より低コストで露光装置を稼働させることが可能となるからである。
また上記波長の光を照射するランプとしては、一般的にブラックライト、殺菌灯、健康ランプと称される光を用いることができる。ブラックライトとは、通常300nm〜430nm程度の光を照射することが可能なランプをいう。また、健康ランプとは、通常280nm〜320nm程度の光を照射することが可能なランプをいう。またさらに、殺菌灯とは、通常250nm〜280nm程度の光を照射することが可能なランプをいう。これらのランプを用いることにより、特別な装置が必要なく、露光装置の大きさを小さいものとすることができ、またコスト面からも好ましいものとすることができるからである。
またさらに、上記蛍光ランプの形状は特に限定されるものではなく、例えば球状型のものも用いることができるが、特に直管型の蛍光ランプが用いられることが好ましい。これにより、幅方向で均一に光を照射することができ、パターニングを均一に行うことができるからである。また、上記のような蛍光ランプであれば、その長さを調整することも容易であるため、種々の幅を有するパターニング用基板に対応して後述するような露光装置を設計することが可能となる、という利点を有するからである。
ここで、本工程におけるエネルギーの照射は、上記特性変化層の特性を変化させることが可能な程度、行われることとする。このような積算光量としては、通常0.1J〜10J程度、中でも0.4J〜4J程度とすることができる。本発明においては、上記強度でエネルギーを照射することから、上記のような少ない積算光量であっても、特性変化層の特性を変化させることが可能となるのである。
また、本発明においては、後述する光触媒含有層側基板の光触媒含有層と、上記パターニング用基板の特性変化層とを対向させて配置し、上記エネルギーを照射することとなる。上記の配置とは、実質的に光触媒の作用が特性変化層表面に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、実際に物理的に接触している状態の他、所定の間隔を隔てて上記光触媒含有層と特性変化層とが配置された状態とする。この間隙は、200μm以下であることが好ましい。
本発明において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって特性変化層の特性変化の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の特性変化層に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mm以上といった大面積の特性変化層に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒含有層側基板と特性変化層との間に形成することは極めて困難である。したがって、特性変化層が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して特性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに特性変化層上の特性変化にムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積の特性変化層をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒含有層側基板と特性変化層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒含有層側基板と特性変化層とが接触することなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒含有層と特性変化層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層と特性変化層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に特性変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が特性変化層に届き難くなり、この場合も特性変化の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
本発明においては、このような配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒含有層と特性変化層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が特性変化層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した特性変化パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、特性変化層上に所定の特性変化パターンを形成することが可能となる。また、このようなスペーサを用いることにより、光触媒の作用により生じた活性酸素種が拡散することなく、高濃度で特性変化層表面に到達することから、効率よく高精細な特性変化パターンを形成することができる。
なお、上記光触媒含有層が可撓性を有する樹脂フィルム等の可撓性を有する基体上に形成された光触媒含有層基板を用いる場合においては、上述したような間隙を設けることが難しく、製造効率等の面から、上記光触媒含有層と特性変化層とが接触するように配置されていることが好ましい。
この際、光触媒含有層を加熱しながら露光することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な分解除去を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
また、上記エネルギーの照射方向は、上記パターニング用基板が遮光部を有しているか、または後述する光触媒含有層側基板が光触媒含有層側遮光部を有しているか等により、適宜選択される。
すなわち、後述する光触媒含有層側基板に、光触媒含有層側遮光部が形成されている場合は、光触媒含有層側基板側から露光が行なわれる必要があり、かつこの場合は光触媒含有層側基板が照射されるエネルギーに対して透明である必要がある。なお、光触媒含有層上に光触媒含有層側遮光部が形成され、かつこの光触媒含有層側遮光部を後述するように、スペーサとしての機能を有するように用いた場合においては、露光方向は光触媒含有層側基板側からでもパターニング用基板側からであってもよい。
一方、パターニング用基板に遮光部が形成されている場合は、パターニング用基板側から露光を行うことが可能であり、この場合は、パターニング用基板が照射されるエネルギーに対して透明である必要がある。
また、後述する光触媒含有層がパターン状に形成されている場合における露光方向は、上述したように、光触媒含有層と特性変化層とが対向する部分にエネルギーが照射されるのであればいかなる方向から照射されてもよい。
また、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合は、フォトマスクが配置された側の基板、すなわち光触媒含有層側基板もしくはパターニング用基板のいずれかが透明である必要がある。
上述したようなエネルギー照射が終了すると、光触媒含有層側基板が特性変化層との接触位置から離され、これにより図1(c)に示すように特性変化層2の特性が変化した特性変化パターン6が形成される。
(光触媒含有層側基板)
次に、本工程に用いられる光触媒含有層側基板について説明する。本工程に用いられる光触媒含有層側基板は、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有するものであり、通常、基体と、その基体上に光触媒含有層が形成されているものである。この光触媒含有層側基板は、例えばパターン状に形成された光触媒含有層側遮光部やプライマー層等を有していてもよい。以下、本工程に用いられる光触媒含有層側基板の各構成について説明する。
a.光触媒含有層
まず、光触媒含有層側基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本発明に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、隣接する特性変化層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
本発明において用いられる光触媒含有層は、例えば図1に示すように、基体12上に全面に形成されたものであってもよいが、例えば図2に示すように、基体12上に光触媒含有層11がパターン上に形成されたものであってもよい。
このように光触媒含有層をパターン状に形成することにより、後述するエネルギー照射工程において説明するように、光触媒含有層を特性変化層と所定の間隔をおいて配置させてエネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いるパターン照射をする必要がなく、全面に照射することにより、特性変化層上の特性が変化したパターンを形成することができる。この光触媒処理層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
また、実際に光触媒含有層に面する特性変化層上の部分のみの、特性が変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒含有層と特性変化層とが面する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、上記酸化チタンとして可視光応答型のものを用いてもよい。可視光応答型の酸化チタンとは、可視光のエネルギーによっても励起されるものであり、このような可視光応答化の方法としては、酸化チタンを窒化処理する方法等が挙げられる。
酸化チタン(TiO)は、窒化処理をすることにより、酸化チタン(TiO)のバンドギャップの内側に新しいエネルギー準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。その結果、通常酸化チタン(TiO)の励起波長は380nmであるが、その励起波長より長波長の可視光によっても、励起されることが可能となるのである。これにより、種々の光源によるエネルギー照射の可視光領域の波長も酸化チタン(TiO)の励起に寄与させることが可能となることから、さらに酸化チタンを高感度化させることが可能となるのである。
ここで、本発明でいう酸化チタンの窒化処理とは、酸化チタン(TiO)の結晶の酸素サイトの一部を窒素原子での置換する処理や、酸化チタン(TiO)結晶の格子間に窒素原子をドーピングする処理、または酸化チタン(TiO)結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配する処理等をいう。
酸化チタン(TiO)の窒化処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性酸化チタンの微粒子をアンモニア雰囲気下で700℃の熱処理により、窒素をドーピングし、この窒素のドーピングされた微粒子と、無機バインダや溶媒等を用いて、分散液とする方法等が挙げられる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化層上の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化層上の特性を変化させることが可能となる。
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基体上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基体上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基体上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
b.基体
次に、光触媒含有層側基板に用いられる基体について説明する。本発明においては、図1に示すように、光触媒含有層側基板13は、少なくとも基体12とこの基体12上に形成された光触媒含有層11とを有するものである。この際、用いられる基体を構成する材料は、後述するエネルギー照射工程におけるエネルギーの照射方向や、得られるパターン形成体が透明性を必要とするか等により適宜選択される。
また本発明に用いられる基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。これは、エネルギー照射方法により適宜選択されるものである。
なお、基体表面と光触媒含有層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
c.光触媒含有層側遮光部
本発明に用いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
このような光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板は、光触媒含有層側遮光部の形成位置により、下記の二つの態様とすることができる。
一つが、例えば図3に示すように、基体12上に光触媒含有層側遮光部14を形成し、この光触媒含有層側遮光部14上に光触媒含有層11を形成して、光触媒含有層側基板とする態様である。もう一つは、例えば図4に示すように、基体12上に光触媒含有層11を形成し、その上に光触媒含有層側遮光部14を形成して光触媒含有層側基板とする態様である。
いずれの態様においても、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒含有層側遮光部が、上記光触媒含有層と特性変化層との配置部分の近傍に配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができることから、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
ここで、本発明においては、図4に示すような光触媒含有層12上に光触媒含有層側遮光部14を形成する態様である場合には、光触媒含有層と特性変化層とを所定の位置に配置する際に、この光触媒含有層側遮光部の膜厚をこの間隙の幅と一致させておくことにより、上記光触媒含有層側遮光部を上記間隙を一定のものとするためのスペーサとしても用いることができるという利点を有する。
すなわち、所定の間隙をおいて上記光触媒含有層と特性変化層とを対向させた状態で配置する際に、上記光触媒含有層側遮光部と特性変化層とを密着させた状態で配置することにより、上記所定の間隙を正確とすることが可能となり、そしてこの状態でエネルギーを照射することにより、特性変化層と遮光部とが接触している部分の特性変化層は、特性が変化せず、特性変化パターンを精度良く形成することが可能となるのである。また、この際、エネルギーの照射方向は上記基体側からに限定されず、例えば基体の側面からであってもよい。
このような光触媒含有層側遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、光触媒含有層側遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
なお、上記説明においては、光触媒含有層側遮光部の形成位置として、基体と光触媒含有層との間、および光触媒含有層表面の二つの場合について説明したが、その他、基体の光触媒含有層が形成されていない側の表面に光触媒含有層側遮光部を形成する態様も採ることが可能である。この態様においては、例えばフォトマスクをこの表面に着脱可能な程度に密着させる場合等が考えられ、特性変化パターンを小ロットで変更するような場合に好適に用いることができる。
d.プライマー層
次に、本発明の光触媒含有層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本発明において、上述したように基体上に光触媒含有層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒含有層を形成して光触媒含有層側基板とする場合においては、上記光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成してもよい。
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成することにより、プライマー層は光触媒の作用による特性変化層の特性変化を阻害する要因となる光触媒含有層側遮光部および光触媒含有層側遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、光触媒含有層側遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で特性変化の処理が進行し、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
なお、本発明においてプライマー層は、光触媒含有層側遮光部のみならず光触媒含有層側遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた光触媒含有層側遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
本発明におけるプライマー層は、光触媒含有層側基板の光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
(露光装置)
次に、本工程に用いられる露光装置について説明する。本工程に用いられる露光装置は、上述したような強度でエネルギーを照射することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、上述したエネルギーの光源の種類等によって適宜選択される。
ここで、本発明においては、上述したように上記光源として、250nm〜450nmの範囲内の波長の光を放出する蛍光ランプを用いることが好ましく、このような蛍光ランプを用いる際の露光装置としては、例えば図5に示すように、上記パターニング用基板を支持するパターニング用基板支持部21と、上記光触媒含有層側基板を支持する光触媒含有層側基板支持部22と、上記エネルギーを照射するエネルギー照射部23と、上記エネルギー照射部を支持する外枠部24とが設けられた露光ユニット25を有するもの等とすることができる。このような露光装置の各構成について説明する。
a.エネルギー照射部
まず、本工程に用いられる露光装置におけるエネルギー照射部について説明する。上記エネルギー照射部は、通常、上記範囲内の波長を有する蛍光ランプを複数本並べて配置したもの等とすることができる。これらの蛍光ランプの数や、蛍光ランプの長さ等は、パターニング用基板の種類や大きさ等に合わせて適宜選択される。
このようなエネルギー照射部に用いられる上記波長を有する蛍光ランプの種類等については、上述したものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
b.パターニング用基板支持部
次に、上記露光装置に用いられるパターニング用基板支持部について説明する。上記パターニング用基板支持部は、後述するようなパターニング用基板を、露光ユニット中で安定して支持することが可能なものであれば特に限定されるものではない。そのパターニング用基板基板支持部の形状等は、上記パターニング用基板の形状や用途等に合わせて適宜選択されることとなり、例えばパターニング用基板の全面を支えるような構造であってもよく、またパターニング用基板の一部を支持するような構造であってもよい。
このようなパターニング用基板支持部は、パターニング用基板を支持することが可能な強度を有するものであれば、その材料等は特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミック等の無機材料や、プラスチック等の有機材料も用いることができる。
c.光触媒含有層側基板支持部
次に、上記露光装置に用いられるパターニング用基板支持部について説明する。上記光触媒含有層側基板支持部は、上記光触媒含有層側基板を、上記パターニング用基板と所定の距離となるように配置することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、上記パターニング用基板支持部と同様のものとすることができる。
ここで、本発明においては、上記パターニング用基板支持部と上記光触媒含有層側基板支持部のどちらが、上記エネルギー照射部に近接して配置されていてもよく、上述したエネルギーの照射方向によって、適宜選択される。
d.外枠部
次に、上記露光装置に用いられる外枠部について説明する。上記外枠部は、上述したエネルギー照射部を支持するものであり、上記エネルギー照射部を、所定の位置に固定することが可能なものであれば特に限定されるものではない。上記露光装置においては、上記外枠部と上記パターニング用基板支持部や光触媒含有層側基板支持部とが別々に構成されていてもよく、また上記外枠部が、パターニング用基板支持部、光触媒含有層側基板支持部、およびエネルギー照射部を支持するもの等とされていてもよい。
ここで、本発明に用いられる露光装置は、上記露光ユニットが、2段以上積み重ねられていてもよく、この場合には、この外枠部が、隣接する露光ユニット間で、各露光ユニットから照射される光を遮蔽するものであることが好ましい。これにより、隣接する露光ユニットから照射される光の影響を受けることなく、各露光ユニットごとに目的とするパターン状にパターン形成体をパターニングすることが可能となるからである。なおこの場合、隣接する露光ユニット間で光を遮蔽することが可能であれば、特にその外枠部の形状等は限定されるものではなく、例えば図5に示すように、露光ユニット25の側面まで、エネルギー照射部23から照射された光を遮蔽するものであってもよく、また例えば側面においては光を遮蔽しないような構造となっているもの等であってもよい。
なお、この外枠部の大きさや形状は、露光するパターニング用基板の面積等に応じて適宜選択されることとなる。
またこのような外枠部を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、上記露光ユニットが2段以上積み重ねられる場合には、上記エネルギー照射部から照射されるエネルギーを遮蔽するものであることが好ましい。具体的には金属やセラミック等の無機材料、プラスチック等の有機材料等を挙げることができる。
ここで、上記外枠部が、隣接する露光ユニット間に形成される場合、エネルギー照射部と、パターニング用基板支持部を挟んで対向する内壁(例えば図5においてmで示される側)は、照射されるエネルギーを吸収するように形成されていることが好ましい。エネルギー照射部と対向する内壁がエネルギーを反射する場合には、内壁によって反射された光によって、光触媒含有層中の光触媒が励起され、目的としない領域までパターニングが行われてしてしまうこととなるからである。このように外枠部のパターニング用基板支持部側の内壁にエネルギー吸収性を付与する方法としては、例えば内壁を黒色としたり、エネルギー吸収層を形成する方法等が挙げられる。また、反射防止層等を設けてもよい。
一方、上記外枠部の、エネルギー照射部が形成される側(例えば図5においてnで示される側)の内壁は、照射されるエネルギーを反射するように形成されていることが好ましい。これにより、内壁によって反射されたエネルギーによっても、光触媒を励起させることができ、よりエネルギーの利用効率を良好なものとすることができるからである。このように外枠部のエネルギー照射部側の内壁にエネルギー反射性を付与する方法としては、例えば内壁を鏡面としたり、エネルギー反射層を形成する方法等が挙げられる。
e.露光ユニット
次に、本発明に用いられる露光装置における露光ユニットについて説明する。上記露光ユニットは、上記エネルギー照射部、パターニング用基板支持部、光触媒含有層側基板支持部、および上記外枠部を有するものであれば、露光ユニット中でのエネルギー照射部やパターニング用基板支持部の配置等は特に限定されるものではなく、上記エネルギーの照射方向等によって適宜選択される。
例えば、エネルギー照射部が露光ユニットの上面に形成され、パターニング用基板支持部および光触媒含有層側基板支持部が、露光ユニットの下方に形成されているものであってもよく、またエネルギー照射部が、露光ユニットの下面に形成され、パターニング用基板支持部および光触媒含有層側基板支持部が、露光ユニットの上方に形成されているものであってもよい。またさらに、上記エネルギー照射部やパターニング用基板支持部等は、複数設けられていてもよく、例えばエネルギー照射部が露光ユニットの中央部に形成され、その上下にパターニング用基板支持部等が形成されているもの等とすることもできる。
また例えば、露光ユニットが縦置きとされるもの等であってもよい。
ここで、本発明における露光ユニット中には、上記パターニング用基板支持部やエネルギー照射部の他に、例えば温度や湿度等を制御する制御部等、必要に応じて種々の機能部を有していてもよい。また、上記パターニング用基板支持部または光触媒含有層側基板支持部とエネルギー照射部との間に、フォトマスク等を支持するマスク支持部等の部材を有していてもよい。
f.露光装置
次に、本工程に用いられる露光装置について説明する。本工程に用いられる露光装置は、上記露光ユニットを有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば一つの露光ユニットのみからなるものであってもよく、また上記露光ユニットが2つ以上積み重ねられたものであってもよい。露光ユニットが積み重ねられる場合の上記露光ユニットの数は、露光ユニットの大きさ等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2段〜20段程度、中でも4段〜10段程度とされる。なお、本発明においては、隣接する露光ユニットの外枠部は一体として形成されているものであってもよい。
(3)その他
本発明においては、上記パターニング用基板調製工程およびエネルギー照射工程以外に、例えば光触媒含有層側基板を調整する工程等、必要な工程を適宜有していてもよい。
B.機能性素子の製造方法
次に、本発明の機能性素子の製造方法について説明する。本発明の機能性素子の製造方法は、上記「A.パターン形成体の製造方法」で製造されたパターン形成体の、上記特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記パターン形成体は、特性の変化した特性変化パターンが形成されていることから、この特性変化パターンの特性の差を利用して容易に機能性部を形成する機能性部形成工程を行うことができるのである。
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
本発明における機能性部形成工程に用いられる機能性部形成用塗工液としては、上述したように機能性素子の種類、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであるが、例えば、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。また、機能性部形成用塗工液としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
また本発明に用いられる機能性部形成用塗工液としては、上記特性変化パターンに付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、また特性変化パターン上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部形成用塗工液の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で硬化する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
本発明における上記機能性部形成工程は、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット、電界ジェット、ディスペンサーを用いる方法等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて行われることが好ましい。これらの方法を用いることにより、機能性部を均一かつ高精細に形成することが、可能となるからである。
ここで、本発明においては、上記機能性素子の製造方法の中でも、特に機能性部が着色層であるカラーフィルタの製造方法、機能性部が金属配線である導電性パターンの製造方法、機能性部が生体物質と付着性を有するバイオチップ用基材の製造方法、機能性部が有機EL層である有機EL素子の製造方法であることが好ましい。これらの機能性素子の機能性部は、上述したパターン形成体の特性の差を利用して、容易に形成することが可能となるからである。
C.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、着色層を形成する工程であるものである。
本発明によれば、パターン形成体における上記特性変化層が例えば表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層ある場合、その濡れ性変化層上には濡れ性の変化した濡れ性変化パターンが形成されている。したがって、この表面の濡れ性の差を利用してインクジェット法等により着色層を容易に形成することが可能となり、高精細な着色層を有するカラーフィルタを製造することができるのである。
このような着色層は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。この着色層における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
本発明において、この着色層を着色する方法としても特に限定されるものではなく、例えば、公知の着色層形成用塗工液をスプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の方法で塗布する塗布方式や、真空薄膜形式等を挙げることができるが、本発明においては、インクジェット方式により着色されることが好ましい。これにより、上記特性変化パターン上に高精細に着色層を形成することができるからである。
ここで、このような着色層の形成に用いられる着色層形成用塗工液等としては、一般的なカラーフィルタの着色層に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
D.導電性パターンの製造方法
次に、本発明の導電性パターンの製造方法について説明する。本発明の導電性パターンの製造方法は、上記機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であるものである。
本発明によれば、上述した特性変化パターンの特性の差を利用して、例えば電界ジェット法等をより金属ペースト等を塗布することにより、高精細な金属配線が形成された導電性パターンを製造することができる。
なお本発明においては、上記特性変化層上に金属配線が形成されることから、特性変化層の電気抵抗が、1×10Ω・cm〜1×1018Ω・cm、中でも1×1012Ω・cm〜1×1018Ω・cmの範囲内とすることが好ましい。これにより、優れた導電性パターンとすることが可能となるからである。
ここで、本発明の導電性パターンの製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的な導電性パターンにおけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.有機EL素子の製造方法
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。本発明の有機EL素子の製造方法は、上述した機能性素子の製造方法における機能性部形成工程が有機EL層を形成する工程であることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記特性変化パターンの特性の差を利用して、容易に有機EL層の塗り分け等を行うことができ、高精細な有機EL層が形成された有機EL素子を製造することが可能となるのである。
また、本発明においては特に、上記特性変化層中に導電性材料が含有されていることが好ましい。これにより、例えば表面に第1電極層が形成された基材上に、上記特性変化層を形成した場合であっても、特性変化層が正孔等を通過させることができ、これらの層の特性変化パターンを利用して形成された有機EL層と、第1電極層との間で導通をはかることが可能となるからである。本発明の有機EL素子は、この有機EL層上に第2電極層を形成すること等により得ることができる。
なお、本発明の有機EL素子の製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的な有機EL素子におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
F.バイオチップ用基材の製造方法
次に、本発明におけるバイオチップ用基材の製造方法について説明する。本発明のバイオチップ用基材の製造方法は、上述した機能性素子の製造方法における機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成することを特徴とするものである。本発明の機能性部形成工程は、例えば上述した特性変化パターン上に生体物質と付着性を有する材料を付着等させる工程等とすることができる。これにより、パターン状に生体物質と付着性を有するバイオチップ用基材とすることができるのである。
ここで、このようなバイオチップ用基材上に、生体物質を固定化させることにより、バイオチップを得ることができる。このようなバイオチップ表面では、上記機能性薄膜が固定化層として働き、ここにDNAやタンパク質等の生体物質が固定化されて種々の用途に用いられるのである。
このような生体物質の固定化技術は、酵素を不溶性担体に固定化したバイオリアクターの研究開発において盛んに研究された固定化技術を応用することができる。その技術内容については、例えば、千畑一郎編、“固定化酵素”、講談社サイエンティフィック、1975及び、その参考文献に詳しい。
なお、バイオチップには、電気的読み取り法を用いる場合があり、このような場合は上記バイオチップ用基材表面に電極を形成する必要がある。この際には、上述した導電性パターンの製造方法の欄で説明した方法により電極を形成してもよく、また一般的なフォトレジスト法等により形成するようにしてもよい。
ここで、本発明においては、上記特性変化層に、感光性保護基で保護された官能基を有する分子を用い、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護して細胞との接着性を有するようなものとし、この細胞との接着性を有するパターン状に細胞を接着させてバイオチップとしたもの等とすることも可能である。
ここで、本発明におけるバイオチップ用基材の製造方法に用いられる各部材の材料や形成方法等については、一般的なバイオチップ用基板におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例]
<パターニング用基板の作製>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)1.5g、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)5.0g、及び0.01N塩酸2.5gを24時間常温にて攪拌して撥液付与剤を作製した。
前記撥液付与剤をイソプロピルアルコールにて20倍に希釈し、特性変化層形成用組成物を調整した。前記特性変化層形成用組成物をガラス基板(NA−35 NHテクノガラス製)上にスピンコートすることによりパターニング用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
チタニアゾル(STS‐01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比=1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈し、光触媒含有層形成用組成物とした。
前記光触媒含有層形成用組成物を、クロム製の黒色遮光層が幅40μm、ピッチ150μmのラインアンドスペース状に形成された石英ガラス基板上にスピンコートし、200℃で15分間焼成することにより光触媒含有層側基板を作製した。
<露光>
前記パターニング用基板の特性変化層と前記光触媒含有層側基板の光触媒含有層とを10μmの間隔となるように配置し、前記光触媒含有層側基板側からブラックライト(東芝ライテック製FL-40S-BLB)によりエネルギーを1200秒照射することにより露光を行った。前記ブラックライトの照度をスペクトロラジオメーター(ウシオ電気社製 USR40)により測定した結果、1.5mW/cmであり、積算光量は1.8J/cmとなった。
<カラーフィルタの作製>
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開始剤5重量部、およびUV硬化樹脂70重量部を含むRGB各色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインク(着色インク)を、上記パターニング用基板の特性が変化した部位に塗布後、UV処理を行って硬化させることにより画素部を形成し、カラーフィルタを作製した。ここで、赤色、緑色、および青色の各インクについて溶剤としてはポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュア369(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を用いた。また顔料としては、赤色インクについては、C.I.Pigment Red177、緑色インクについてはC.I.Pigment Green36、青色インクについてはC.I.Pigment Blue15およびC.I.Pigment Violet 23をそれぞれ用いた。
[比較例1]
実施例と同様に作製した光触媒含有層側基板とパターニング用基板を配置したあと、超高圧水銀ランプからエネルギーを照射することによって露光を行った以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。この際、前記超高圧水銀ランプの照度を実施例と同様に測定した結果、200mW/cmであり、露光時間を調整し、積算光量を1.8J/cmとした。
[比較例2]
積算露光量を10J/cmとした以外は、比較例1と同様にカラーフィルタを作製した。
[カラーフィルタの評価]
実施例、比較例1および比較例2にて作製したカラーフィルタの外観評価結果と積算露光量の関係を表1に示す。比較例1および比較例2においては、積算光量が少なく、特性変化層の特性を良好に変化させることができず、着色層に白抜けが生じた。しかしながら、本発明によれば、10倍以上も少ないエネルギー照射量で白抜けのない良好なカラーフィルタを作製することができた。
Figure 0004451193
本発明のパターン形成体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のエネルギー照射工程に用いられる光触媒含有層側基板の一例を示す概略断面図である。 本発明のエネルギー照射工程に用いられる光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のエネルギー照射工程に用いられる光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のエネルギー照射工程に用いられる露光装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 …基材
2 …特性変化層
3 …パターニング用基板
5 …エネルギー
6 …特性変化パターン
11…光触媒含有層
12…基体
13…光触媒含有層側基板

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有するパターニング用基板を調製するパターニング用基板調製工程と、
    少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板の前記光触媒含有層と、前記特性変化層とを所定の間隙となるように配置し、0.1mW/cm〜10mW/cmの強度でエネルギーを照射し、前記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成するエネルギー照射工程と
    を有し、
    前記エネルギー照射が、250nm〜450nmの範囲内の波長の光を放出する蛍光ランプにより行われ、
    前記蛍光ランプが冷陰極型蛍光ランプであり、かつブラックライト、健康ランプ、殺菌灯のいずれかのランプであることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  2. 前記パターニング用基板の前記基材上に遮光部が形成されており、前記エネルギー照射工程における前記エネルギーの照射が、前記基材側から行われることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法により製造されたパターン形成体の、前記特性変化パターン上に機能性部を形成する機能性部形成工程を有することを特徴とする機能性素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、着色層を形成する着色層形成工程であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  5. 請求項3に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、金属配線を形成する工程であることを特徴とする導電性パターンの製造方法。
  6. 請求項3に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、有機エレクトロルミネッセント層を形成する工程であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法。
  7. 請求項3に記載の機能性素子の製造方法の機能性部形成工程が、生体物質と付着性を有する機能性部を形成する工程であることを特徴とするバイオチップ用基材の製造方法。
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