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JP4330123B2 - スライド式の多芯筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸筒内に、複数の筆記体を配設してなるスライド式の多芯筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特開2001−239791号公報「スライド式の多芯筆記具」に開示されているように、軸筒内に、複数の筆記体を配設し、各筆記体の後端に、コイルスプリングにより軸筒後端方向に付勢して配設したスライド部材を、各スライド部材に形成した隆起部が、軸筒後端部に形成した窓部より突出した状態で、摺動自在に収納し、一方の隆起部を軸筒先端方向に前進せしめることで、一方のスライド部材に形成した係止部が、軸筒後端部に形成した一方の被係止部に係止することで、一方の筆記体の先端部を軸筒先端開口部より突出し、他方の隆起部を軸筒先端方向に前進せしめることで、他方のスライド部材に形成した解除突起が、一方のスライド部材に当接し、被係止部に係止していた一方の係止部の係止を解除し、さらに他方の隆起部を軸筒先端方向に前進せしめ、他方の係止部を軸筒後端部に形成した他方の被係止部に係止することで、他方の筆記体の先端部を軸筒先端開口部より突出可能なスライド式の多芯筆記具はよく知られている。
【0003】
こうしたスライド式の多芯筆記具は、インキの種類や色、ボール径、或いはシャープペンシルとボールペン等、種類の異なる複数の筆記体を配設しているため、インキ色と同色のスライド部材を用いたり、ボール径を表示する等、筆記体の相違を視覚的に判断するようにしていた。
【0004】
ところで、近年、ユニバーサルデザインに代表される、誰もが使用し易い筆記具が注目及び要求されていて、こうした中、スライド式の多芯筆記具においては、スライド部材に形成した隆起部の形状を変更することにより、視覚だけでなく、触覚的に筆記体の相違を判断するスライド式の多芯筆記具が市販されている。
【0005】
【特許文献1】
「特開2001−239791号公報」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、隆起部は、筆記体を出没させる操作体であるため、隆起部の形状によっては、指に触れた時の感触が悪くなったり、操作性に問題を生じる恐れがあったり、隆起部全体の形状は相違していても、指が当接する部分だけでは、形状の相違が判断しにくい等の問題があった。
【0007】
本発明の目的は、視覚だけでなく、操作感によって、筆記体の相違を判断できる、スライド式の多芯筆記具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、軸筒内に、複数の筆記体をコイルスプリングにより軸筒後端方向に付勢し配設し、各筆記体の後端に装着したスライド部材の隆起部が、軸筒後端部に一体または付設部材に形成した窓部より外方に突出した状態で摺動自在に収納し、前記隆起部を軸筒先端方向に前進操作することによって、スライド部材に形成した係止部を、軸筒後端部に一体または付設部材に形成した、前記スライド部材の係止部に対応する被係止部に係止させ、筆記体の先端部を軸筒先端開口部より突出するスライド式の多芯筆記具において、前記スライド部材の係止部に対応する被係止部の軸筒後端から長さを筆記体によって相違させ、前記筆記体の先端部が没入状態から突出状態にするまでの、前記隆起部を操作する操作距離を、筆記体により相違させる。
【0009】
また、前記各隆起部を操作する操作荷重が異なる。
【0010】
本発明において、操作荷重とは、隆起部を操作して筆記先端部が突出状態を維持させるのに必要な操作荷重で、筆記体を軸筒の後端方向に付勢しているスプリングを縮める荷重と、操作時に生じる部品間の摩擦力とを総合した荷重である。操作荷重は、スプリングの弾発力に左右されるところが大きいので、現実問題としては、スプリングの弾発力を選定することにより、操作荷重を設定すればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。同部材、同箇所を示すものに対しては、同符号を付してある。
本発明のスライド式の多芯筆記具1は、前軸2の後端部に後軸3を螺着して軸筒本体を形成し、後軸3内に配設した区画室18の摺動孔18aに、2本の種類の異なる筆記体A、Bを連通させ、コイルスプリング16、17により軸筒後端3a後方に付勢させ収納してある。筆記体Aは、黒色の油性インキ(図示せず)をインキ収容筒19の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したチップ部材からなる筆記先端部20を圧入装着してある。筆記体Bは、黒色の剪断減粘性を付与したインキ(図示せず)を収容したインキ収容筒21の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したチップ部材からなる筆記先端部23を、チップホルダー22を介して圧入装着してある。また、インキ収容筒19、21の後端開口部には、操作体となるスライド部材5、11の先端部を圧入装着し、このスライド部材5、11の隆起部6、12が後軸3に形成した窓部4、10から後軸3の外周面より突出した状態に保持してある。
【0012】
筆記体Aを使用する際には、隆起部6を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめることで、スライド部材5の係止部7が後軸3に形成した、係止部7に対応した被係止部9に係止することにより、筆記体Aの筆記先端部20を軸筒先端開口部2aから突出した状態を維持させて使用する。この状態から筆記体Bを使用する場合には、スライド部材11の隆起部12を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめることで、スライド部材12の解除突起14が、被係止部7に係止しているスライド部材5に当接し、係止部7を押し出し、スライド部材5の係止を解除させ、コイルスプリング16の弾発力によって元の状態に戻る。さらに隆起部12を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめることで、スライド部材11の係止部13が、対応した被係止部15に係止して、筆記体Bの筆記先端部23を突出した状態を維持させて使用することができる。
【0013】
また、スライド部材11の係止部13が後軸3に形成した、被係止部15に係止させ、筆記体Bの筆記先端部23を軸筒先端開口部2aから突出した状態を維持させている状態から、スライド部材5の隆起部6を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめることで、スライド部材5の解除突起8が、被係止部15に係止しているスライド部材11に当接し、係止部13を押し出し、スライド部材11の係止を解除させ、コイルスプリング17の弾発力によって元の状態に戻る。
【0014】
後軸3に形成した被係止部9、15は、各筆記体に付設したスライド部材5、11の係止部7、13に対応させて形成してあり、軸筒後端から被係止部9まで長さL、軸筒後端から係止部15まで長さMを相違させている。(L<M)同様に、後軸3に形成した窓部4、10の軸方向の長さを相違させてある。また、スライド部材5、11の全長や解除突起8、14の位置も、軸筒後端から被係止部9まで長さL、軸筒後端から係止部まで長さMによって、係止及び解除が対応できるように形成してある。
【0015】
その結果、筆記体Aを使用する時に、隆起部6を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめ、スライド部材5の係止部7が、後軸3に形成した被係止部9に係止するまでの操作距離L’と、筆記体Bを使用する時に、隆起部12を軸筒先端開口部2a方向に前進せしめ、スライド部材11の係止部13が、後軸3に形成した被係止部15に係止するまでの操作距離M’が相違(L’<M’)しているので、筆記体A、Bの違いを、操作距離によって判断することができる。
【0016】
また、筆記体A、Bを、軸筒後端方向に付勢するコイルスプリング16、17の弾発力を相違させることにより、隆起部6、12を軸筒先端開口部2a方向に前進させる時の操作荷重も相違するため筆記体A、Bの違いを判断しやすい。
【0017】
スライド式の多芯筆記具は、複数の筆記体を収納しているため、目的によって色やボール径を変更できるので非常に便利であるが、例えば、青色、赤色、黒色の3色ボールペンにおいて、青色や赤色に比べ、黒色の使用頻度が高い等、使用者によって、各筆記体の使用頻度が異なっているため、使用頻度が高い筆記具に対応するスライド部材の操作距離を短く、且つ操作荷重を小さく設定するほうが好ましい。
【0018】
本実施の形態では、便宜上、軸筒内に被係止部や窓部を形成しているが、被係止部や窓部を形成した付設部材を軸筒に付設してもよい。
【0019】
また、本発明のスライド式の多芯筆記具は、前述したボールペン2本の多芯筆記具に限定されるものではなく、ボールペン3本や4本、あるいはシャープペンシルとボールペンなど、複数の筆記体を配設してなるスライド式の多芯筆記具に用いることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、前述したような構成なので、視覚だけでなく、操作感によって、筆記体の相違を判断できる、スライド式の多芯筆記具を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態におけるスライド式の多芯筆記具を示す縦断面図である。
【図2】図1における筆記体Aを突出した状態を示す縦断面図である。
【図3】図1における筆記体Bを突出した状態を示す縦断面図である。
【図4】図1における一部を省略した図である。
【図5】スライド部材の移動状態を示す一部を省略した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 スライド式の多芯筆記具
2 前軸
2a 先端開口部
3 後軸
3a 軸筒後端
4、10 窓部
5、11 スライド部材
6、12 隆起部
7、13 係止部
8、14 解除突起
9、15 被係止部
16、17 コイルスプリング
20、23 筆記先端部
L、M 軸筒後端から被係止部までの距離
L’、M’ 隆起部を操作する操作距離

Claims (2)

  1. 軸筒内に、複数の筆記体をコイルスプリングにより軸筒後端方向に付勢し配設し、各筆記体の後端に装着したスライド部材の隆起部が、軸筒後端部に一体または付設部材に形成した窓部より外方に突出した状態で摺動自在に収納し、前記隆起部を軸筒先端方向に前進操作することによって、スライド部材に形成した係止部を、軸筒後端部に一体または付設部材に形成した、前記スライド部材の係止部に対応する被係止部に係止させ、筆記体の先端部を軸筒先端開口部より突出するスライド式の多芯筆記具において、前記スライド部材の係止部に対応する被係止部の軸筒後端から長さを筆記体によって相違させ、前記筆記体の先端部が没入状態から突出状態にするまでの、前記隆起部を操作する操作距離を、筆記体により相違させたことを特徴とするスライド式の多芯筆記具。
  2. 前記各隆起部を操作する操作荷重が異なることを特徴とする請求項1に記載のスライド式の多芯筆記具。
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