JP4329645B2 - 逆止弁 - Google Patents
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Description
図7は、従来の逆止弁510の構造を示す図である。弁座部材520は、流体が流入する流路520fを備えており、ここから逆止弁510内に流体が流れ込む。弁体524は、ばね525によってケース522に取り付けられており、このばね525は弁体524を弁座部材520側に附勢する。このため、ケース522が弁座部材520に取り付けられると、弁体524はばね525によって弁座部材520に押し付けられることになる。
また、ケース522には連通口522bが設けられ、ここを通って流体がケース522の内外を自由に流通できるようになっている。
図8に示される閉じた状態では、弁体524はばね525に附勢されて弁座部材520に押し付けられ、弁体524のシール面524aが弁座部材520の座面520gに密着してシール構造が形成される。また、弁体524の位置と形状は、連通口522bを完全に塞ぐようになっている。このため流体は流れない。
この差圧がばね525の力より強くなると、弁体524は弁座部材520から離れる方向に移動し、シール面524aが弁座部材520から離れるためシール構造が開放される。また、弁体524が移動するのに伴い、弁体524と重なって完全に塞がれていた連通口522bにおいて、一端522c付近で弁体524と重ならない開口部分ができ、この開口部分を通って流体が流れる。
このような一部の逆止弁においては、弁体が着座した状態から少しでも移動すると、連通口に開口部分ができることになる。このため、流量が比較的小さい場合でも開口面積が急に大きくなる。これによって流体が過剰に流れ、その結果として流入側と吐出側との差圧が急激に小さくなる。そしてばねに押されて弁体が連通口を閉じる方向に移動してしまう。こうして、弁体は連通口の開口面積がそれほど大きくない時点で往復運動を繰り返すこととなる。
このようなハンチング現象は、逆止弁の異音や振動という不具合を発生させる。
また、この発明に係る逆止弁は、少なくとも一方の端部に吸入口が設けられ、他方の端部が外部と遮蔽され、両端部が周壁で接続されたハウジングであって、吸入口よりも他方の端部側に設けられた弁座と、当該弁座よりもさらに他方の端部側における周壁の一部に設けられた連通窓とを有する弁ハウジングと、弁ハウジング内に摺動可能に配置された、周壁の内周面と嵌合する外周面を有する弁体であって、弁ハウジング内における一方の端部側に摺動された際に弁座に着座するシール面を有する弁体と、弁体における一方の端部側へ弁体を押す付勢部材と、を備えた逆止弁であって、連通窓における弁座側の端は、周壁において、弁体のシール面部が弁座に着座した際における、弁体の外周面の最も一方の端部側の位置に対応する位置から、他方の端部側に特定長だけ隔たっており、弁体が、弁座に着座した状態から他方の端部側へ略特定長摺動した状態に至るまでの各状態においては、周壁と弁体の外周面とが、互いに対向する空間によって第一絞りを形成することを特徴とするものである。
弁体が着座した状態からの摺動距離が小さいうちは、連通窓に弁ハウジングの内外を直接連通する開口部分ができず、第一絞りが流体の流量を制限する。
また、この発明に係る逆止弁において、弁体は、シール面における弁座と当接する位置よりも内側において、当該シール面から突出された凸部を有し、凸部は、その外周面が、少なくとも弁座にシール面が接触した際に、弁ハウジングにおける弁座と吸入口との間の流路の内周面と嵌合し、外周面と当該内周面とが、互いに対抗する空間によって第二絞りを形成し、弁座の摺動方向に対して垂直方向の断面積は、第二絞りの方が第一絞りよりも小さいことを特徴とするものであってもよい。
第二絞りは、第一絞りよりも断面積が小さいので絞り効果が高く、より短い長さで同等の絞り効果をもたらす。
実施の形態1.
図1を用いて、この発明の実施の形態1に係る逆止弁10の構成を示す。
連通窓22bの形状は、二等辺三角形の角を丸めたものである。この二等辺三角形は、弁座20gに平行な対辺dと、対辺dより弁座部材20側に設けられた頂角22cとを持ち、対辺dの両側の角が等しいものである。この連通窓22bは設計も容易であり、実用的である。
連通窓22bの開口面積は、たとえば合計で約30mm2である。
またシール面24aの周囲には、テーパ面24rが形成されているが、その摺動方向の大きさはスプールの摺動方向の長さに比べて十分に小さく、無視できる程度である。
スプール24のシール面24aが弁座部材20の弁座20gに着座したときに、シール面24aと、連通窓22bの頂角22cとの摺動方向の距離は長さaとなる。長さaは、たとえば約10mmである。
この絞り26の、摺動方向に対して垂直方向の断面積、すなわちX−Xでの断面積は、連通窓22bの面積に比べて十分に小さく、たとえば約2mm2である。
また、この絞り26の摺動方向に対して垂直方向の断面の形状は、たとえばリング状である。すなわち、ケース22の内周面22eと、スプール24の外周面24fとからなる2つの同心円によって挟まれる形状である。こうすることにより、ケース22およびスプール24の構造が簡素なものとなる。
また、絞り26は、断面積が小さいほど、また長さが長いほど、流体に対する絞り効果が大きくなる。すなわち、流路20fとケース22の外部との差圧に対する流量が小さくなる。
流路20fに流入した流体が、スプール24を他方向(弁座から離れる方向)に押圧し、ばね25の付勢力に打ち勝ってスプール24を他方向に摺動させる。このため、シール面24aが弁座部材20の弁座20gから離座し、流路20fと絞り26とが連通する。
ケース22と弁座部材20の弁座20gとの距離すなわちリフト長xが長さaよりも小さい間、すなわちx<aである間は、流体は流路20fから絞り26に流れ込み、さらに連通窓22bを通ってケース22の外部へと吐出される。連通窓22bの面積は、絞り26の断面積に比べて十分に大きいので、x<aである間は、流体の流通は絞り26によって制限される。このため、リフト長xが変化しても、流量が急激に変化することはなく、したがって流路20fとケース22外部との差圧は急激には変化せず、ハンチング現象は発生しない。
こうなると、絞り26による絞り効果はなくなり、流体の流通は連通窓22bにおける開口部分の面積によって制限されるようになる。
すべてのケースについて、逆止弁の材料は真鍮であり、スプールの外径は13mmであり、絞りとなる部分の長さはテーパ面を含んで10mmであり、連通窓の数は4で、合計面積は計30mm2であり、使用流体は二酸化炭素(CO2)である。
また、測定の際は、二酸化炭素コンプレッサーに外付けして運転し、流体の流量は流量計で測定し、また差圧は逆止弁前後の差圧を差圧計で測定した。
また、この逆止弁が使用される実環境としては、流体が流通する際の流量が7kg/h以上である状態が想定される。
なお、上述のように、逆止弁が使用される環境として流量7kg/h以上の領域が想定されているので、流量7kg/hを示す補助線を記入してある。
図3すなわち断面積8.17mm2のケースの測定結果、および、図4すなわち断面積6.13mm2のケースの測定結果では、流量が7kg/hを超える領域においてハンチングの発生が見られる。また図5すなわち断面積4.08mm2のケースの測定結果では、流量が7kg/hに達する直前までハンチング現象が発生しているが、7kg/hを超えると安定する。さらに、図6すなわち断面積2.04mm2のケースの測定結果では、流量が7kg/hより十分小さい段階でハンチング現象の発生がおさまっている。
図4の測定結果を見ると、断面積6.13mm2(約6mm2)の逆止弁の場合、流量約25kg/h以上でハンチングがおさまるので、この流量を想定流量とすることが好ましい。また、ハンチングがおさまる時点での最小の差圧は約0.13MPaである。
図5の測定結果を見ると、断面積4.08mm2(約4mm2)の逆止弁の場合、流量約7kg/h以上でハンチングがおさまるので、この流量を想定流量とすることが好ましい。また、ハンチングがおさまる時点での最小の差圧は約0.135MPaである。
図6の測定結果を見ると、断面積2.04mm2(約2mm2)の逆止弁の場合、流量約5kg/h以上でハンチングがおさまるので、この流量を想定流量とすることが好ましい。また、ハンチングがおさまる時点での最小の差圧は約0.14MPaである。
以上より、最小想定流量をもとに最適な断面積を選ぶことができる。たとえば、最小想定流量が約5〜約7kg/h、約7〜約25kg/h、約25〜約65kg/h、約65kg/h以上の場合において、それぞれ断面積を、約2mm2、約4mm2、約6mm2、約8mm2とすればよい。
なお、絞りを設けない構成、すなわち、弁体が少しでも摺動すると連通窓に開口部ができるような構成については、近似的に絞りの断面積が連通窓の面積と等しいケースと考えることができる。この場合、連通窓の面積は実施の形態1における絞り26に比較してはるかに大きいので、ハンチング現象が発生しやすい。
実施の形態1において、絞り26の形状は同心円状であるが、これは異なる形状であってもよい。たとえば、ケース22とスプール24との少なくとも一方に形成された溝であってもよい。
スプール24の摺動方向の長さは、着座した状態において連通窓22bにかからない程度であるが、これは連通窓22bを塞がない長さであってもよく、また連通窓22bの一部または全部を塞ぐ長さであってもよい。
流通する流体は二酸化炭素であるが、これはフロン等の他の流体であってもよい。
ケース22およびスプール24の形状は、スプール24摺動方向に対して垂直方向の断面が略円形であるが、これは上記のようにスプール24の摺動を安定させる絞り26を形成するものであれば他の形でもよく、またケース22の断面形状とスプール24の断面形状が略相似形でなくともよい。
スプール24は略コップ状の中空形状であるが、これは中空部分を持たないものであってもよい。
ばね25は、スプール24を弁座20g方向に押す弾性体であればよく、たとえばゴム等であってもよい。
弁座部材20は円筒形の流路20fを備えるが、弁座20gを有する形状であれば流路20fを備えない形状であってもよいし、また流路20fに相当する部分を外部に連通する部材が提供するものであってもよい。
図2を用いて、この発明の実施の形態2に係る逆止弁110の構成を示す。
ケース122のフランジ122g、および、ケース122の周壁に設けられ頂角122cと対辺122dとを有する連通窓122bについては、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
この第一絞り126bの、摺動方向に対して垂直方向の断面積、すなわちY−Yと平行な平面での断面積は、連通窓122bの面積に比べて十分に小さい。さらに、上述のようにテーパ面124rが十分に小さいため、第一絞り126bの長さはbであるとみなせるものとする。
また、第一絞り126bの、摺動方向に対して垂直方向の断面の形状は、たとえばリング状である。すなわち、ケース122の内周面122eと、スプール124の第一外周面124hとからなる2つの同心円によって挟まれる形状である。こうすることにより、ケース122およびスプール124の構造が簡素なものとなる。
また、第二絞り126cの、摺動方向に対して垂直方向の断面の形状は、たとえば弁座部材120の内周面120eと、スプール124の第二外周面124iとからなる同心円状である。こうすることにより、弁座部材120およびスプール124の構造が簡素なものとなる。
(ケース122の内径)−(スプール124の第一外周面124hの径)
≒(弁座部材120の内径)−(スプール124の第二外周面124iの径)
この場合、第二絞り126cの断面積は第一絞り126bの断面積よりも小さくなるため、第二絞り126cは第一絞り126bよりも短い長さで同じ絞り効果、すなわち流体の流通を制限する効果を得ることができる。
また、長さbと長さcとの大小関係について、とくに制限はしないが、たとえばb>cである。
流路120fに流入した流体が、スプール124を他方向(弁座から離れる方向)に押圧し、ばね125の付勢力に打ち勝ってスプール124を他方向に摺動させる。このため、シール面124aが弁座部材120の弁座120gから離座し、第二絞り126cと第一絞り126bとが連通する。
x>b+cにおける逆止弁110の動作は、実施の形態1でのx>aにおける逆止弁10の動作と同様であるので、説明を省略する。
第一絞り126bの長さbおよび第二絞り126cの長さcについて、b>cであるが、これはb=cであってもよく、b<cであってもよい。長さbと長さcとの大小関係が変化すると、第一絞り126bおよび第二絞り126cがそれぞれ絞りとして作用しなくなる順序が変化するが、小流量領域においてハンチング現象を防止する効果には影響しない。
連通窓122bの数、形状、および合計面積は、上記と異なるものであってもよい。また連通窓122bの一部または全部がそれぞれ異なる形状であってもよく、それぞれ弁座120gから異なる距離にあってもよい。
ケース122およびスプール124の形状は、スプール124摺動方向に対して垂直方向の断面が略円形であるが、これは上記のようにスプール124の摺動を安定させる第一絞り126bおよび第二絞り126cを形成するものであれば他の形でもよく、またケース122の断面形状とスプール124の断面形状が略相似形でなくともよい。また、第一絞り126bと第二絞り126cは異なる形状であってもよい。
スプール124は略コップ状の中空形状であるが、これは中空部分を持たないものであってもよい。
ばね125は、スプール124を弁座120g方向に押す弾性体であればよく、たとえばゴム等であってもよい。
Claims (2)
- 少なくとも一方の端部に吸入口が設けられ、他方の端部が外部と遮蔽され、両端部が周壁で接続されたハウジングであって、前記吸入口よりも前記他方の端部側に設けられた弁座と、当該弁座よりもさらに他方の端部側における周壁の一部に設けられた連通窓とを有する弁ハウジングと、
前記弁ハウジング内に摺動可能に配置された、前記周壁の内周面と嵌合する外周面を有する弁体であって、前記弁ハウジング内における前記一方の端部側に摺動された際に前記弁座に着座するシール面を有する弁体と、
前記弁体における前記一方の端部側へ前記弁体を押す付勢部材と、
を備えた逆止弁であって、
前記連通窓における前記弁座側の端は、前記周壁において、前記弁体のシール面部が前記弁座に着座した際における、前記弁体の外周面の最も前記一方の端部側の位置に対応する位置から、前記他方の端部側に特定長だけ隔たっており、
前記弁体が、前記弁座に着座した状態から前記他方の端部側へ略前記特定長摺動した状態に至るまでの各状態においては、前記周壁と前記弁体の前記外周面とが、互いに対向する空間によって第一絞りを形成し、
前記弁体は、前記シール面における前記弁座と当接する位置よりも内側において、当該シール面から突出された凸部を有し、
前記凸部は、その外周面が、少なくとも前記弁座に前記シール面が接触した際に、前記弁ハウジングにおける前記弁座と前記吸入口との間の流路の内周面と嵌合し、前記外周面と当該内周面とが、互いに対抗する空間によって第二絞りを形成し、
前記弁座の摺動方向に対して垂直方向の断面積は、前記第二絞りの方が前記第一絞りよりも小さい
ことを特徴とする逆止弁。 - 請求項1に記載の逆止弁において、
前記第一絞りおよび前記第二絞りの少なくとも一方は、その前記摺動方向に対して垂直方向の断面形状がリング状である
ことを特徴とする逆止弁。
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