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JP4324237B2 - パン又は菓子用米粉 - Google Patents

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Description

本発明は、パン又は菓子用米粉に関する。より詳細には、上新粉等を主成分とする米粉に関するものである。
通常、発酵パンの主原料として利用されているのは、小麦粉又はライ麦粉であり、小麦パンはふっくら膨らんだ食感が好まれている。小麦粉は、水を加えて練り合わせると、小麦粉中のタンパク質のグリアジンとグルテニンによってガム状の粘弾性を有するグルテンになり、発酵で生じる炭酸ガスを生地中に包蔵する機能が発揮され、発酵パンの容積拡大につながることが知られている。
一方、東南アジア諸国では米が伝統的に主食として用いられているが、日本では米の消費量が年々低下しており、自給率の高い米を消費して食糧自給率を上げることが望まれている。また、将来予測される食料不足の問題を解決するため、小麦に比べて単位面積当たりの収量が多く、栄養学的にもすぐれたバランス食品である米を、その用途を拡大したり消費量を増加させることも望まれている。
発酵パンの主原料として、米粉を小麦粉の代替として利用する方法が提案されている。しかし、従来から和菓子の材料として用いられている上新粉等の米粉を小麦粉の代替として用いても小麦粉の場合のようには発酵生地が得られず、食味に劣るパンしか得られなかった。そこで、米粉を小麦粉の代替として利用するためには、例えば、ロール製粉機で粗粉砕した後、気流粉砕機で微粉砕して200メッシュの篩を通過する区分を90%以上にした米粉を製造する方法(例えば、特許文献1を参照)、ペクチナーゼを溶解した水溶液に米を浸漬処理した後、脱水、製粉、仮焼する方法(例えば、特許文献2を参照)、あるいは、有機酸水溶液(ペクチナーゼを含んでもよい)に米を浸漬した後、脱水、製粉する方法(例えば、特許文献3を参照)などが開示されている。
特公平4−73979号公報 特公平7−100002号公報 特開2002−153215号公報
しかし、前記のような米粉を製造するには、特殊な製粉工程による微粉砕技術及び/又はペクチナーゼ等の酵素や有機酸を用いて処理する工程を必要とし、費用がかかる。
そこで、本発明の目的は、特殊な技術や処理を要せず、従来の製粉方法により得られ、従来と同様の製造工程で製造できるとともに外観、内相、食味及び日持ちに優れたパン又は菓子を製造することのできる米粉を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく、小麦粉よりも粒子径が大きい故従来不可能であると信じられていた上新粉等の米粉を用いて、配合する原料や発酵条件について鋭意研究したところ、意外にも以下の構成を有する米粉により上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のパン用米粉は、小麦粉を使用しないものであって、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉又は高速回転打撃製粉により得られたものであり、粒度が、米粉(酵素処理したものを除く)を100メッシュの篩にかけ、100メッシュの篩を通過した区分を140メッシュの篩と200メッシュの篩に順次かけ、各篩上に残った米粉の重量を測定し、前記米粉100重量%中140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜40重量%含み、200メッシュを通過した区分が53.12重量%以上であることを特徴とする。また本発明のケーキ、パイ、スコーン、マフィン又はシュークリーム用米粉は、小麦粉を使用しないものであって、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉又は高速回転打撃製粉により得られたものであり、粒度が、米粉(酵素処理したものを除く)を100メッシュの篩にかけ、100メッシュの篩を通過した区分を140メッシュの篩と200メッシュの篩に順次かけ、各篩上に残った米粉の重量を測定し、前記米粉100重量%中140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜40重量%含み、200メッシュを通過した区分が53.12重量%以上であることを特徴とする。
上記の発明においては、前記米粉は石臼製粉により得られたものであることが好ましく、前記石臼製粉は水挽き製粉であることが好ましい。
[作用効果]
本発明の米粉は、従来の製粉方法により製造可能であり、該米粉を使用すると、従来の小麦粉パン又は菓子の製造工程と同様の工程で米粉パン又は菓子を製造することができる。前記米粉に種々の副原材料を配合することにより、様々な種類のパン又は菓子の製造に便利な原料を提供することができる。
本発明の米粉を使用したパン又は菓子の製造方法によると、第1発酵工程を大幅に短縮するか省略することにより製造工程の時間が短縮されるばかりでなく、機械耐性がよく、作業性に優れ、既存の設備を利用して小麦粉パン又は菓子と同等以上の外観、内相、食味及び日持ちに優れた米粉パン又は菓子を製造することができる。また、本発明の米粉を使用することにより、発酵工程が周囲の温度に大きく依存して熟練を要する小麦粉の場合と比較して、発酵時間が短縮されるので所要時間が半減するとともに、周囲の温度に影響されにくく、発酵時間を制御するだけで容易に米粉パン又は菓子を製造することができる。
本発明の米粉を使用して得られるパン又は菓子は、小麦粉パン又は菓子と同等の食味を呈するとともに原料の米の特徴であるもっちり感やしっとり感もあり、さらに、日持ちがよく、食味も落ちにくいので、流通経路を拡大することができ、米の消費拡大ばかりでなくパン又は菓子全体の消費拡大にもつながる。
本発明のパン又は菓子用米粉は、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉又は高速回転打撃製粉により得られたものであり、粒度が、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜50重量%含むものであることを特徴とする。
本発明の米粉は、粳米又はもち米の生米を粉砕、粉末化したものである。粳米の種類としてはジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米等特に制限されるものではない。もち米の種類も、特に制限されるものではない。粉砕する前の生米は、精白米、玄米、屑米、古米など特に制限されるものではない。
本発明の米粉は、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉等の従来からの製粉方法により得られたものである。前記製粉方法は、玄米そのもの又は玄米を精米した後、洗米し、又は洗米せずに、各製粉方法に応じた製粉装置を用いて粉砕し、篩にかけて得られる。米又は米粉の乾燥は、製粉方法に応じて粉砕前又は粉砕後に行われる。洗米工程を省略した製粉方法の場合は、米粉の乾燥工程も省略することができる。
製粉装置としては、例えば胴搗き製粉の場合は杵やスタンプミル、ロール製粉の場合はロール製粉機、石臼製粉の場合は各種石臼、気流粉砕製粉の場合は気流粉砕機、高速回転打撃製粉の場合はハンマーミル又はピンミルがあげられる。石臼製粉は、各種石臼を用いて乾式製粉又は水挽き製粉(湿式製粉)を行う。高速回転打撃製粉は、ハンマーミル又はピンミルを用いて乾式製粉又は湿式製粉を行う。
また、各種製粉方法で粉砕した米粉は、篩にかけて米粉の粒度を整えることが好ましい。米粉パンの出来上がりを良好にするためには、80〜100メッシュの篩を通過させた米粉を用いることが好ましい。
このようにして得られる米粉としては、従来から和菓子の原料として用いられている上用粉もしくは上新粉又は白玉粉もしくはぎゅうひ粉と称されるものが例示されるが、前記製粉方法により得られる米粉であれば特に制限されない。
本発明の米粉の粒度は、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜50重量%含む。粒度は、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して25〜40重量%がより好ましく、30〜35重量%がさらに好ましい。米粉の粒度が前記のようであれば、本発明の生地を作製する際の作業性に優れ、得られるパン又は菓子の外観及び内相も良好である。
前記粒度は、一定重量の米粉を100メッシュの篩にかけ、100メッシュの篩を通過した区分を140メッシュの篩と200メッシュの篩に順次かけ、各篩上に残った米粉の重量を測定し、その合計により求めた値である。なお、本発明で用いる米粉は、良好な発酵が行われるようにするには100メッシュの篩上に残る区分が10重量%以下となるように製粉することが望ましい。
前記米粉の水分率は、原料の米の種類や製粉方法により異なるが、通常7〜15%であり、11〜13.5%が好ましい。水分率は、加熱乾燥法により米粉を常圧下100℃で乾燥させ、恒量に達した後乾燥前後の重量を測定し、下記式:(乾燥前の重量−乾燥後の重量)÷乾燥前の重量×100により求める。水分率が前記範囲であれば米粉の固まりが生じにくく、本発明の生地を作製する際の作業性に優れる。
本発明の米粉は、以下のように使用することができる。
(1)本発明の米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部とで穀粉100重量部とし、米粉とグルテンのなじみをよくするマルトース1〜30重量部を含むパン又は菓子用米粉組成物とする。
上記米粉組成物は、さらに白糠1〜30重量部を含むものであることが好ましく、マルトースを除く糖類、食塩、ガム質、乳成分、卵成分、油脂、無機塩類及びビタミン類からなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに配合することが好ましい。
(2)本発明の米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部とで穀粉100重量部とし、米粉とグルテンのなじみをよくするマルトース1〜30重量部、及び少なくとも水及び酵母と任意に油脂を混合して捏ね上げた後、第1発酵工程を無し、又は第1発酵工程の所要時間を30分以下としてパン又は菓子用の生地を製造する。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子用の生地の製造方法における生地は、酵母を使用しない菓子用の生地であり、米粉やグルテンに液体を加え、所望によりその他の原料を加え、混合することにより得られる。加える液体は、水、牛乳、卵などがあげられる。その他の原料は、米粉組成物に記載したものと同様である。混合条件は、製造するパン又は菓子の種類に応じて当業者であれば適宜設定することができる。目的に応じて、適宜生地をねかせてもよい。
(3)本発明の米粉80〜85重量部とグルテン20〜15重量部とで穀粉100重量部とし、米粉とグルテンのなじみをよくするマルトース1〜30重量部、及び少なくとも水及び酵母と任意に油脂とを混合して捏ね上げた後、第1発酵工程を無し、又は第1発酵工程の所要時間を30分以下として生地を製造し、該生地を焼成してパン又は菓子を製造する。
上記製造方法においては、製造した生地を成型する工程をさらに含むことが好ましい。また成型した生地を最終発酵させることが好ましい。油脂を配合する場合は、水及び酵母と同時に混合して捏ね上げることが重要である。同時に混合して捏ね上げることにより、水分が米粉の粒子内に入りにくくなり、生地が軽く仕上がる。
加える水は特に制限されるものではなく、牛乳などの液体であってもよい。加水量は、水分率が14%の米粉を用いた場合、穀粉100重量部に対して75〜90重量部である。加水量が75重量部未満であると製造したパン又は菓子が粉っぽくなり、90重量部を越えると生地が粥状になり、作業性、機械適性に劣るようになる。なお、生地に牛乳や卵等の液体成分を混合する場合は、前記加水量にこれらの液体成分中の水分も加える。
上記製造方法においては、上記穀粉100重量部に対してさらに白糠を加えることができ、該白糠を加える場合、白糠10重量部当たり6〜7重量部の水を追加する。
酵母は、パンや菓子の製造に通常用いられているサッカロミセス・セレビシエのパン酵母が制限なく用いられ、生酵母又は乾燥酵母があげられる。生酵母の添加量は、酵母の種類により適宜設定することができる。乾燥酵母の添加量は、穀粉100重量部に対して通常0.5〜2重量部程度である。その他の原料としては、上記米粉組成物に配合する副原料があげられる。
上記の本発明の米粉の用途である米粉組成物、パン又は菓子用の生地の製造方法並びにパン又は菓子の製造方法において使用するマルトースは、米粉とグルテンのなじみをよくするために配合されるものであり、マルトースの割合は、米粉、グルテンを含む穀粉100重量部に対して1〜30重量部であり、1.5〜3重量部が好ましい。
本発明の米粉を使用してパン又は菓子を製造する場合には、その種類によって必要に応じ、マルトースを除く糖類、食塩、ガム質、乳成分、卵成分、油脂、無機塩類及びビタミン類からなる群より選ばれる1種又は2種以上をさらに配合することが好ましい。
糖類としては、ぶどう糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖、又はソルビト−ル、マルチトール、パラチニット、水添水飴などの糖アルコールがあげられる。食塩としては、塩化ナトリウムが99%以上の精製塩、又は天日塩もしくは粗塩等の粗製塩が制限なく用いられる。
ガム質としては、米粉、グルテン、白糠、その他の原料のなじみをよくする作用を有するものであれば特に制限されないが、アルギン酸、キサンタンガム、デキストリン、セルロース等があげられる。乳成分としては粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳等があげられる。
卵成分としては、卵黄、卵白、全卵その他の卵に由来する成分があげられる。油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、オリーブ油等があげられる。
無機塩類としては、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、焼成カルシウム、アンモニウムミョウバン等があげられる。
ビタミン類としては、ビタミンC、ビタミンB1 、ビタミンB2 、ビタミンD、ビタミンE、カロチン等があげられる。
また、本発明の米粉の用途である米粉組成物並びにパン又は菓子の製造方法においては、各種の食品又は食品添加物を配合してもよく、例えば、植物の果実、種子もしくは枝葉、又はイーストフード、乳化剤などがあげられる。
パン又は菓子用の生地の製造における混合条件は、市販のミキサーを用い、製造するパン又は菓子の種類に応じて当業者であれば適宜設定することができる。同様に、捏ね上げ温度も当業者であれば適宜設定することができ、通常20〜30℃であるが、25〜30℃が好ましい。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子の製造方法においては、第1発酵工程は無しでも可能であり、第1発酵工程を設ける場合は30分以下が好ましい。生酵母の場合は、フロアータイムは0分が好ましく、乾燥酵母の場合は、前記捏ね上げ温度と同温度で30分程度が好ましい。油脂を使用しないで生地を製造する場合は、乾燥酵母を用いることが好ましい。
生地の成型工程においては、得られた生地を所望の重量に分割し、分割した生地を、目的のパン又は菓子の形状に応じて成型する。ここで、成型前にベンチタイムを15〜25分設けることが好ましい。
成型した生地は、最終発酵をする工程に供せられる。本発明では第1発酵工程は無し、又は第1発酵工程が30分以下であるので、最終発酵工程(ホイロタイム)を十分取る必要がある。ホイロタイムは、当業者であれば適宜設定することができるが、温度35〜38℃で湿度75〜80%の場合、通常30分以上、好ましくは40〜60分である。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子の別の製造方法においては、発酵生地は、米粉組成物に水及び酵母を加え、所望によりその他の原料を加え、混合し、所定の時間発酵させることにより得られる。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子用の生地の製造方法における生地は、捏ね上げ後成型前の生地、成型した生地、成型した生地を最終発酵させた生地のいずれの段階の生地をも含む。該生地は、続けて下記のパン又は菓子の製造方法に供してもよく、一旦冷蔵又は冷凍保存してもよい。冷蔵又は冷凍保存した生地は、そのまま、又は解凍した後、下記調理工程に供することができる。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子の製造方法においては、米粉とグルテンを含む米粉組成物と少なくとも水及び酵母と任意に油脂とを混合して捏ね上げた後、実質的に第1発酵工程を経ずに生地を製造する工程、前記生地を成型する工程、成型した生地を最終発酵する工程ならびに最終発酵した生地を焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱又は加圧加熱により調理する工程を含む。
生地を調理する方法は、焼成、フライ、蒸煮、マイクロ波加熱又は加圧加熱などの公知の方法が適宜採用できる。焼成方法としては、例えば、上面及び/又は下面から加熱するオーブン、又は、前もって加熱された炉面などに直接接触させて加熱するなどの方法を用いることができる。フライ方法としては、例えば、食用油を使って加熱する調理法、火炎上で加熱することにより蒸気を発生させて加熱する蒸し器、又は、ボイラーを用いて予め作られた蒸気を容器内に送り込んで加熱するなどの方法を用いることができる。マイクロ波による方法としては、例えば、マイクロ波を発生、照射することのできる機能を備えた機器、装置を用いて加熱するなどの方法を用いることができる。加圧加熱方法としては、例えば、高温高圧条件で加熱することのできる圧力鍋、装置を用いて加圧加熱する方法を用いることができる。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子の製造方法においては、ベンチタイム(15〜25分)も含めた全製造工程の所要時間が約60〜150分で外観、内相、食味に優れた高品質の米粉パンに仕上げることができる。これは、小麦粉を用いたパン製造の所要時間の半分以下の時間であり、本発明の製造方法は、作業性の点からも優れた方法である。
本発明の米粉の用途であるパン又は菓子の製造方法においては、発酵生地又は生地を成型する際に、アン、カレー、各種惣菜などの具材料を包み込んでアンパン、カレーパン、惣菜パンや中華饅頭等に仕上げることも有利に実施できる。あるいは、生地を加熱した後に生クリーム、カスタードクリーム等を加えることにより、ケーキ、シュークリーム等に仕上げることも可能である。
本発明のパン又は菓子用の米粉を使用して得られるものは、食パン、コッペパン、バターロール、揚げパン又は菓子パン、フランスパン、ドイツパン、ベーグル、デニッシュパン、中華饅頭、イーストドーナツ、プレッツェル、ピザもしくはナン等の発酵により得られるパン又は菓子、又はケーキ、パイ、スコーン、マフィンもしくはシュークリームなどの発酵せずに得られるパン又は菓子など多種多様に及ぶが、本発明の米粉を用いて得られるものであればこれらに限定されるものではない。
このようにして得られた米粉パン又は菓子は、日持ちがよく、冷蔵又は冷凍保存することも容易であり、必要に応じて加温、解凍して喫食し、その食味を楽しむことも有利に実施できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(試験例1)
米粉の粒度分布の測定
表1に示す種々の米粉を、50〜270メッシュの標準ふるいを用いてソニックシフター(ATMコーポレーション製)により粒度分布を測定した。
Figure 0004324237

表1より、群馬製粉米粉、株式会社波里の米粉は、140メッシュオンと200メッシュオンの値の合計値が約30〜35重量%であり、群馬製粉米粉は実施例9,11において、また株式会社波里の米粉は、実施例10で使用されている。
(実施例1)
米粉コッペパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳3重量部及びイーストフード0.1重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3重量部及び水88重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は80gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、成型を行った。成型した生地の一部は、−20℃で冷凍保存した。
成型した生地を38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、米粉コッペパンを得た。
(比較例1)
小麦粉コッペパンの製造
実施例1において、上新粉85重量部、小麦グルテン15重量部及びマルトース2.5重量部の代わりに小麦粉102.5重量部用い、水を68重量部としたこと以外は実施
例1と同様にして、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして120分間発酵させた。生地は80gに分割して
丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、成型を行った。成型した生地の一部は
、−20℃で冷凍保存した。
成型した生地を38℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、小麦粉コッペパンを得た。
(評価試験1)
実施例1で得られた米粉コッペパン及び比較例1で得られた小麦粉コッペパンの外観、内相及び食味について7人のパネラーによる官能試験を行い、以下の項目について評価した。
評価項目:(1)外観については、へこみ、膨らみ、色調
(2)内相については、切り口のきめ、色調、触感
(3)食味については、味、香を中心とした風味、口当たりを中心とした食感。
米粉コッペパンは、膨らみ、色調が小麦粉コッペパンと同等に良好である上、小麦粉コッペパンに見られるような焼成後のへこみがなかった。米粉コッペパンの内相は、きめ、色調及び触感も程良く、小麦粉コッペパンと遜色のないものであった。米粉コッペパンの食味は、口溶けがよく、しっとりとして米粉のほのかな香りもあり、小麦粉コッペパンと同等かそれ以上の評価が得られた。
(評価試験2)
コッペパンの冷凍による食味の影響
実施例1で得られた米粉コッペパン生地及び比較例1で得られた小麦粉コッペパン生地を−20℃で冷凍保存し、30日後に室温で解凍した。実施例1又は比較例1と同様にして、ホイロタイムをとり、オーブンにて焼成し、米粉コッペパン又は小麦粉コッペパンを得た。得られたコッペパンの食味について7名のパネラーにより官能試験を行ったところ、米粉コッ・BR>Yパンは冷凍後もしっとりとして食味がほとんど変化しなかったのに対し、小麦粉コッペパンはぱさつき、冷凍による食味の低下が感じられた。
(実施例2)
白糠含有米粉コッペパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.2重量部、砂糖6.6重量部、食塩2.2重量部、脱脂粉乳3.3重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.3重量部及び水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6.6重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
前記生地を、実施例1と同様に発酵、成型及び焼成を行い、白糠含有米粉コッペパンを得た。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったコッペパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。また、本実施例のコッペパンは、実施例1のコッペパンと比べて白糠に由来する甘味の食味も感じた。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(実施例3)
玄米コッペパンの製造
実施例2において、上新粉の代わりに玄米を胴搗き製粉して70メッシュの篩を通過する区分を90%以上有する玄米粉(水分率14%)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、玄米コッペパンを得た。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった玄米コッペパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(実施例4)
米粉アンパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)84重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)16重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.2重量部、砂糖22重量部、食塩1.1重量部及び脱脂粉乳3.3重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)4.4重量部、全卵16.5重量部及び水77.5重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してマーガリン11重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして50分間発酵させた。生地は40gに分割して丸
めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、アン種を入れて成型を行い、38℃、湿
度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火210℃、下火200
℃のオーブンにて8分間焼成し、米粉アンパンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったアンパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(実施例5)
米粉食パンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.2重量部、砂糖6.6重量部、食塩2.2重量部、脱脂粉乳3.3重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.3重量部及び水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止して無塩バター6.6重量部を加えた後、更に中速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は分割比容積3.7に分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、型下3.5cmの容器に入れて山食パンに成型を行い、38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火210℃、下火240℃のオーブンにて45分間焼成し、米粉山食パンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性が良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった山食パンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(実施例6)
米粉バターロールの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖14.4重量部、食塩2.04重量部、脱脂粉乳3.3重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.6重量部、全卵18重量部、牛乳24重量部及び水46重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速4分で混捏し、一時停止して無塩バター14.4重量部を加えた後、更に中速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、ロールパンに成型を行い、38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火220℃、下火200℃のオーブンにて10分間焼成し、ロールパンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったロールパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(実施例7)
米粉デニッシュパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖12重量部、食塩2.5重量部、脱脂粉乳4.8重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)4.8重量部、及び水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速4分で混捏し、一時停止して無塩バター6重量部を加えた後、更に中速で2分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして20分間発酵させた。生地は238gに分割してシート状にし、−10℃で30分間ねかせた。次いで、シートの三折りを2回行い、さらに−10℃で30分間ねかせ、三折りをさらに1回行った。次いで、生地を厚さ3mmにのし、細三角形に切って成型を行い、30℃、加湿無しのホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて13分間焼成し、米粉デニッシュの一種米粉クロワッサンを調製した。
クロワッサン生地製造時の生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べて製造時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張も小麦粉を使用した場合と同じであり、作業性は良好であった。また、できあがったクロワッサンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後の米粉クロワッサンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性も良かった。
(実施例8)
米粉カレーパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.4重量部、砂糖6重量部、食塩2.4重量部、脱脂粉乳3.6重量部、ベーキングパウダー2.16重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.6重量部及び水94重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6.6重量部を加えた後、更に中速で2分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして40分間発酵させた。生地は40gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、カレー種を入れて成型を行い、38℃、湿度75%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火170℃、下火200℃のオーブンにて8分間焼成した後、170℃の油で揚げ、米粉カレーパンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程及びホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮され、発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった米粉カレーパンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、食味も良かった。
(実施例9)
米粉コッペパンの製造
実施例1において、(株)マツモトフーズ製上新粉の代わりに群馬製粉製の米粉(胴搗き製粉により製造し、100メッシュの篩を通過したもの、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分との合計が約30重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして米粉コッペパンを得た。
(実施例10)
米粉コッペパンの製造
実施例1において、(株)マツモトフーズ製上新粉の代わりに株式会社波里製の米粉(生米を気流粉砕したもの、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分との合計が約32重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして米粉コッペパンを得た。
(実施例11)
米粉コッペパンの製造
実施例1において、(株)マツモトフーズ製上新粉の代わりに群馬製粉製の米粉(水挽き製粉により製造し、100メッシュの篩を通過したもの、140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分との合計が約30重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして米粉コッペパンを得た。
(評価試験3)
実施例1、9、10及び11で得られた米粉コッペパンの外観、内相及び食味について7人のパネラーによる官能試験を行い、以下の項目について評価した。
評価項目:(1)外観については、へこみ、膨らみ、色調
(2)内相については、切り口のきめ、色調、触感
(3)食味については、味、香を中心とした風味、口当たりを中心とした食感。
前記4種類の米粉を原料にしたコッペパンは、外観、内相及び食感は同等であり、焼
成後のへこみがなく、パンの内相は、きめ、色調及び触感も程良く、食味も、口溶けが
よく、しっとりとして米粉のほのかな香りが感じられた。
(実施例12)
米粉コッペパンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳3重量部及びイーストフード0.1重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3重量部、水88重量部及びショートニング6重量部をミキサーを用い、26℃で、低速6分で混捏し、更に高速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、フロアータイムを取らずに前記生地を80gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、成型を行った。成型した生地の一部は、−20℃で冷凍保存した。
成型した生地を38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、米粉コッペパンを得た。
(比較例2)
小麦粉コッペパンの製造
実施例12において、上新粉85重量部、小麦グルテン15重量部及びマルトース2.5重量部の代わりに小麦粉102.5重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3重量部及び水68重量部をミキサーを用い、26℃で、低速5分、中速3分で混捏し、一時停止してショートニング6重量部を加えた後、更に中速で3分間混捏し、生地を作製した。
次いで、これをフロアータイムとして120分間発酵させた。生地は80gに分割して丸めを行い、20分間のベンチタイムを取った後、成型を行った。成型した生地の一部は、−20℃で冷凍保存した。
成型した生地を38℃、湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、小麦粉コッペパンを得た。
(評価試験4)
実施例12で得られた米粉コッペパン及び比較例2で得られた小麦粉コッペパンの外観、内相及び食味について7人のパネラーによる官能試験を行い、以下の項目について評価した。
評価項目:(1)外観については、へこみ、膨らみ、色調
(2)内相については、切り口のきめ、色調、触感
(3)食味については、味、香を中心とした風味、口当たりを中心とした食感。
米粉コッペパンは、膨らみ、色調が小麦粉コッペパンと同等に良好である上、小麦粉コッペパンに見られるような焼成後のへこみがなかった。米粉コッペパンの内相は、きめ、色調及び触感も程良く、小麦粉コッペパンと遜色のないものであった。米粉コッペパンの食味は、口溶けがよく、しっとりとして米粉のほのかな香りもあり、小麦粉コッペパンと同等かそれ以上の評価が得られた。
(評価試験5)
コッペパンの冷凍による食味の影響
実施例12で得られた米粉コッペパン生地及び比較例2で得られた小麦粉コッペパン生地を−20℃で冷凍保存し、30日後に室温で解凍した。実施例12又は比較例2と同様にして、ホイロタイムをとり、オーブンにて焼成し、米粉コッペパン又は小麦粉コッペパンを得た。得られたコッペパンの食味について7名のパネラーにより官能試験を行ったところ、米粉コッペパンは冷凍後もしっとりとして食味がほとんど変化しなかったのに対し、小麦粉コッペパンはぱさつき、冷凍による食味の低下が感じられた。
(実施例13)
米粉食パンの製造
上新粉((株)マツモトフーズ製、水分率14%、胴搗き製粉により製造されたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、白糠(上白粉)10重量部、デキストリン2.2重量部、砂糖6.6重量部、食塩2.2重量部、脱脂粉乳3.3重量部及びイーストフード0.11重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.3重量部、水94重量部及び無塩バター6.6重量部をミキサーを用い、26℃で、低速で6分、更に高速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、前記生地をフロアータイムを取らずに分割比容積3.7に分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、型下3.5cmの容器に入れて山食パンに成型を行い、38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火210℃、下火240℃のオーブンにて45分間焼成し、米粉山食パンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性が良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程を省略でき、ホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮された。発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった山食パンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調が良好であり、裁断(スライス)も良好であった。断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。
(試験例2)
米粉の粒度分布の測定
本発明に用いられる種々の製粉方法により、米粉を調製した。得られた種々の米粉を、50〜230メッシュの標準ふるいを用いてソニックシフター(ATMコーポレーション製)により粒度分布を測定した。本発明の米粉パン及び菓子の製造方法に用いられる米粉の標準的な粒度分布は、表2に示す通りである。
Figure 0004324237

次に、本発明において好適に用いられる米粉の粒度分布を調べた。まず、二種類の米粉を準備した。一方は、粳米を搗精した白米を洗米して乾燥させた後、胴搗き製粉により粉砕し、80メッシュの篩を通過させて米粉を調製した(水分率12.8%)。他方は、粳米を搗精した白米を洗米せずにハンマーミル製粉により粉砕し、100メッシュの篩を通過させて米粉を調製した(水分率12.6%)。
得られた前記2種類の米粉を、50〜270メッシュの標準ふるいを用いてソニックシフター(ATMコーポレーション製)により粒度分布を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004324237

(実施例14)
篩を通過させた米粉を用いたコッペパンの製造
上新粉(胴搗き製粉により製造後、80メッシュの篩を通過させたもの)85重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)15重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部、脱脂粉乳3重量部及びイーストフード0.1重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3重量部、水88重量部及びショートニング6重量部をミキサーを用い、26℃で、低速6分で混捏し、更に高速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、フロアータイムを取らずに前記生地を80gに分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、成型を行った。
成型した生地を38℃、湿度80%のホイロにて40分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、米粉コッペパンを得た。
(比較例3)
従来技術による米粉を用いたコッペパンの製造
特開2002−95404号公報に記載の方法に準じて、米粉コッペパンを製造した。上新粉(胴搗き製粉により製造後、70メッシュの篩を通過させたもの、通過後の米粉は粒径が180〜200μmに主要分布を示す)86重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)12重量部、増粘剤としてデキストリン2重量部、砂糖9重量部、食塩5重量部、脱脂粉乳5.5重量部、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)3.5重量部及び水76重量部を混合してパン生地を作製した。
次いで、前記生地を80gに分割して丸めを行い、成型を行った。成型した生地を28℃、湿度72%のホイロにて55分間の発酵を行った。発酵終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて14分間焼成し、米粉コッペパンを得た。
(評価試験6)
実施例14で得られた米粉コッペパン及び比較例3で得られた米粉コッペパンの外観、内相及び食味について7人のパネラーによる官能試験を行い、以下の項目について評価した。
評価項目:(1)外観については、へこみ、膨らみ、色調
(2)内相については、切り口のきめ、色調、触感
(3)食味については、味、香を中心とした風味、口当たりを中心とした食感。
実施例14の米粉コッペパンは、膨らみ、色調が比較例2の小麦粉コッペパンと同等に良好であった。実施例14の米粉コッペパンの内相は、きめ、色調及び触感も程良く、小麦粉コッペパンと遜色のないものであった。実施例14の米粉コッペパンの食味は、口溶けがよく、しっとりとして米粉のほのかな香りもあり、小麦粉コッペパンと同等かそれ以上の評価が得られた。
一方、比較例3の米粉コッペパンは、膨らみが実施例14の米粉パンの半分程度であり、色調が濃いきつね色であり、外観は実施例14の米粉コッペパンや比較例2の小麦粉コッペパンとは大きく異なるものであった。比較例3の米粉パンの内相は、触感が固く発酵が良好に進んでいなかったように見受けられた。さらに、その食味も固く、口溶けが悪く、塩分を強く感じた。
(実施例15)
米粉食パンの製造
上新粉(水分率12.3%、気流粉砕製粉により製造されたもの)82重量部、小麦グルテン(グリコ栄養食品製、商品名「A−グルGX」)18重量部、マルトース2.5重量部、砂糖6重量部、食塩2重量部及び脱脂粉乳5重量部をミキサーを用いて混合し、プレミックス粉を調製した。前記プレミックス粉に、海洋酵母(三共フーヅ(株)製)2.5重量部、水75重量部及び無塩バター8重量部をミキサーを用い、26℃で、低速で6分、更に高速で4分間混捏し、生地を作製した。
次いで、前記生地をフロアータイムを取らずに分割比容積3.7に分割して丸めを行い、15分間のベンチタイムを取った後、型下3.5cmの容器に入れて山食パンに成型を行い、38℃、湿度80%のホイロにて60分間の発酵を行った。発酵終了後、上火220℃、下火230℃のオーブンにて50分間焼成し、米粉山食パンを調製した。
本実施例で調製した生地は付着性なく、操作性、機械適性が良好で、小麦粉を使用した場合と比べてフロアータイム工程を省略でき、ホイロ工程での発酵時間は半分程度に短縮された。発酵時の生地の膨張は同じであり、作業性は良好であった。また、できあがった山食パンは、容積の増加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調が良好であり、裁断(スライス)も良好であった。断面のきめも程良く、食味も良かった。更に、1週間冷蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化がなく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかった。

Claims (2)

  1. 胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉又は高速回転打撃製粉により得られたものであり、粒度が、米粉(酵素処理したものを除く)を100メッシュの篩にかけ、100メッシュの篩を通過した区分を140メッシュの篩と200メッシュの篩に順次かけ、各篩上に残った米粉の重量を測定し、前記米粉100重量%中140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜40重量%含み、200メッシュを通過した区分が53.12重量%以上である、小麦粉を使用しないン用の米粉。
  2. 胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉又は高速回転打撃製粉により得られたものであり、粒度が、米粉(酵素処理したものを除く)を100メッシュの篩にかけ、100メッシュの篩を通過した区分を140メッシュの篩と200メッシュの篩に順次かけ、各篩上に残った米粉の重量を測定し、前記米粉100重量%中140メッシュの篩上に残る区分と200メッシュの篩上に残る区分とを合計して20〜40重量%含み、200メッシュを通過した区分が53.12重量%以上である、小麦粉を使用しないケーキ、パイ、スコーン、マフィン又はシュークリーム用の米粉。
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