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JP4314183B2 - 燃料電池及び燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池及び燃料電池用セパレータ Download PDF

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Description

本発明は、電解質の両側に一対の電極が設けられた電解質・電極構造体と、セパレータとが水平方向に積層され、前記電解質・電極構造体と前記セパレータとの間には、前記一対の電極の面方向に沿ってそれぞれ反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、積層方向に貫通して前記反応ガス流路の略水平方向に向かう出口側に連通する反応ガス排出連通孔が、前記セパレータの水平方向一端部に形成される燃料電池及び燃料電池用セパレータに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ電極触媒(電極触媒層)と多孔質カーボン(拡散層)からなるアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持する発電セルにより構成されている。通常、燃料電池では、この発電セルを所定の数だけ積層した燃料電池スタックが使用されている。
この種の燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス(反応ガス)、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス(反応ガス)、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されている。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
上記の燃料電池では、積層されている各発電セルのアノード側電極及びカソード側電極に、それぞれ反応ガスである燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するため、内部マニホールドを構成する場合が多い。この内部マニホールドは、発電セルの積層方向に貫通して設けられる反応ガス供給連通孔及び反応ガス排出連通孔を備えており、電極面に沿って反応ガスを供給する反応ガス流路の入口及び出口には、前記反応ガス供給連通孔及び前記反応ガス排出連通孔がそれぞれ連通している。
ところで、酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス排出連通孔(反応ガス排出連通孔)には、発電時に生成される反応生成水が導入され易く、この酸化剤ガス排出連通孔内に滞留水が存在する場合がある。一方、燃料ガスが流れる燃料ガス排出連通孔(反応ガス排出連通孔)には、生成水の逆拡散や結露等による滞留水が発生するおそれがある。これにより、酸化剤ガス排出連通孔や燃料ガス排出連通孔が滞留水によって縮小又は閉塞され易く、酸化剤ガスや燃料ガスの流れが妨げられて発電性能が低下するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1のガスマニホールド一体型セパレータ及び燃料電池が知られている。この特許文献1では、図6に示すように、セパレータ1の鉛直方向(矢印X方向)上方側に、水平方向(矢印Y方向)一端側に位置して燃料ガス導入マニホールド孔2が設けられている。セパレータ1の鉛直方向下方側には、水平方向他端側に位置して燃料ガス排出マニホールド孔3が設けられている。
このセパレータ1の面内には、燃料ガス流路溝部4が設けられている。燃料ガス流路溝部4と燃料ガス導入マニホールド孔2とは、燃料ガス導入口5を介して連結される一方、前記燃料ガス流路溝部4と燃料ガス排出マニホールド孔3とは、燃料ガス排出口6を介して連結されている。セパレータ1の上部には、冷却水導入マニホールド孔7a及び酸化剤ガス導入マニホールド孔8a、8aが設けられる一方、前記セパレータ1の下部には、冷却水排出マニホールド孔7b及び酸化剤ガス排出マニホールド孔8b、8bが設けられている。
この場合、燃料ガス導入口5及び燃料ガス排出口6は、それぞれ鉛直方向に延在する複数の燃料ガス通流溝5a、6aを備えている。燃料ガス通流溝5a、6aの幅は、燃料ガス流路溝4の溝幅よりも大きく設定されており、前記燃料ガス通流溝5a、6aの断面積は、前記燃料ガス流路溝4の断面積よりも大きくなっている。
これにより、燃料ガス通流溝5a、6aの流体抵抗を低下させることができ、セパレータ1の燃料ガス流路の流体抵抗を低下させるとともに、凝縮した水を容易に排出することが可能になり、水詰まりを阻止することができる、としている。
特開2000−164227号公報(図1)
通常、燃料電池スタックを自動車等の車両に搭載しようとする場合、前記燃料電池スタックを自動車の床下に設置することが最も実用的である。従って、車室内の居住空間を十分に確保するためには、燃料電池スタック全体の高さ方向の寸法を低く設定する必要がある。
そこで、上記のセパレータ1において、高さ方向の寸法である矢印X方向の寸法を低く設定するために、燃料ガス導入マニホールド孔2、冷却水導入マニホールド孔7a及び酸化剤ガス導入マニホールド孔8a、8aと、酸化剤ガス排出マニホールド孔8b、8b、冷却水排出マニホールド孔7b及び燃料ガス排出マニホールド孔3とを、前記セパレータ1の矢印A方向両端部に設けることが考えられる。
その際、図7に示すように、燃料ガス流路溝部4の出口近傍は、燃料ガス排出口6に向かって水平方向に延在するとともに、前記燃料ガス排出口6を構成する燃料ガス通流溝6aは、前記燃料ガス流路溝部4と燃料ガス排出マニホールド孔3との間で水平方向に延在することになる。
しかしながら、燃料ガス通流溝6aが水平方向に配置されるため、燃料ガス流路溝部4に発生する結露水(逆拡散した生成水を含む)が、前記燃料ガス通流溝6に滞留するおそれがある。これにより、燃料ガス通流溝6aが滞留水によって縮小又は閉塞され易く、燃料ガスの流れが妨げられて発電性能が低下するという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、電解質・電極構造体の発電領域から反応ガス排出連通孔に水を円滑且つ確実に排出するとともに、簡単な構成で、良好な発電性能を確保することが可能な燃料電池及び燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極が設けられた電解質・電極構造体と、セパレータとが水平方向に積層され、前記電解質・電極構造体と前記セパレータとの間には、前記一対の電極の面方向に沿ってそれぞれ反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、前記セパレータの水平方向一端部には、前記反応ガス流路の出口側に連通する反応ガス排出連通孔が積層方向に貫通して形成される燃料電池である。
また、本発明は、電解質の両側に一対の電極が設けられた電解質・電極構造体と水平方向に交互に積層され、前記一対の電極の面方向に沿ってそれぞれ反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、水平方向一端部には、前記反応ガス流路の出口側に連通する反応ガス排出連通孔が積層方向に貫通して形成される燃料電池用セパレータである。
そして、少なくとも一方の反応ガス流路(少なくとも酸化剤ガス流路又は燃料ガス流路のいずれか一方)の出口側は、水平方向に向かって延在するとともに、前記反応ガス流路の出口側の水平方向延長上に位置して前記反応ガス排出連通孔が設けられ、セパレータは、前記反応ガス流路の出口側と反応ガス排出連通孔との間に反応ガス出口通路を設けるとともに、前記反応ガス出口通路は、前記セパレータが水平方向に積層される際に前記反応ガス排出連通孔側に向かって重力方向下方に傾斜している。
さらに、反応ガス出口通路は、反応ガス流路側の端部の少なくとも一部が、前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置されることが好ましい。このため、反応ガス流路の端部から、すなわち、発電領域から反応ガス出口通路に凝縮水を円滑且つ確実に排出することができる。
さらにまた、反応ガス出口通路の重力方向下方には、反応ガス流路の出口側と反応ガス排出連通孔とを繋ぎ、且つ前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置される通路が設けられることが好ましい。これにより、通路を介して発電領域から反応ガス出口通路に凝縮水を円滑且つ確実に排出することが可能になる。
本発明によれば、反応ガス流路の出口側と反応ガス排出連通孔とを繋ぐ反応ガス出口通路が、前記反応ガス排出連通孔側に向かって重力方向下方に傾斜している。従って、発電領域に存在する凝縮水は、反応ガス流路に導入されるガス流と重力とを利用して反応ガス排出連通孔に確実に排出される。これにより、発電領域から反応ガス排出連通孔への排水が効率的に遂行され、簡単な構成で、良好な発電性能を確保することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を組み込む燃料電池スタック10の概略斜視説明図である。この燃料電池スタック10は、車載用として使用されており、図示しないが、例えば、自動車等の車両の床下に収容されている。
燃料電池スタック10は、複数の単セル(燃料電池)12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。
燃料電池スタック10は、例えば、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持され、あるいは、矢印A方向に延在する複数のタイロッド(図示せず)により一体的に締め付け保持される。
図2に示すように、各単セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)22と、前記電解質膜・電極構造体22を挟持する第1及び第2金属セパレータ24、26とを備える。第1及び第2金属セパレータ24、26は、金属製薄板を波形状やディンプル形状等にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有している。なお、第1及び第2金属セパレータ24、26に代替して、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
電解質膜・電極構造体22は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜28と、該固体高分子電解質膜28を挟持するアノード側電極30及びカソード側電極32とを備える。
アノード側電極30及びカソード側電極32は、カーボンペーパ等からなるガス拡散膜(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散膜の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜28の両面に形成される。
単セル12の矢印B方向の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔40a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔42a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔(反応ガス排出連通孔)44bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
単セル12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔44a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔42b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔(反応ガス排出連通孔)40bが、矢印C方向に配列して設けられる。
図2及び図3に示すように、第1金属セパレータ24の電解質膜・電極構造体22に向かう面24aには、酸化剤ガス流路(反応ガス流路)46が設けられる。酸化剤ガス流路46は、複数の酸化剤ガス流路溝46aを有し、前記酸化剤ガス流路溝46aは、矢印B方向に蛇行しながら矢印C方向に延在しており、具体的には、矢印B方向に1往復半だけ屈曲するサーペンタイン流路を構成している。
酸化剤ガス流路46の入口側と酸化剤ガス供給連通孔40a及び前記酸化剤ガス流路46の出口側と酸化剤ガス排出連通孔40bとの間に、入口流路部48a及び出口流路部48bが設けられる。入口流路部48aは、バッファ部を構成する複数のエンボス(又はディンプル)50aと、水平方向に延在して酸化剤ガス供給連通孔40aに連通する複数の酸化剤ガス入口通路52aとを備える。
出口流路部48bは、バッファ部を構成する複数のエンボス(又はディンプル)50bと、酸化剤ガス排出連通孔40bに連通する複数の酸化剤ガス出口通路(反応ガス出口通路)52bとを備える。各酸化剤ガス出口通路52bは、酸化剤ガス排出連通孔40b側(矢印B1方向)に向かって重力方向下方(矢印C1方向)に傾斜して互いに平行に配列される。
酸化剤ガス出口通路52bは、酸化剤ガス流路46側の端部の少なくとも一部が、前記酸化剤ガス流路46の最下部よりも重力方向下方に配置される。具体的には、最下位置に配設される酸化剤ガス流路溝46aを構成する凸部54の高さに対して、最下位置に配設される酸化剤ガス出口通路52bを構成する凸部56の前記凸部54側の端部位置が、距離Hだけ下方に設定される。なお、最下位置に配設される酸化剤ガス流路溝46aは、電解質膜・電極構造体22の発電領域の下端位置に対応している。
酸化剤ガス入口通路52a及び酸化剤ガス出口通路52bには、シールラインに沿ってブリッジ用の板体57a、57bが配設される。
図4に示すように、第2金属セパレータ26の電解質膜・電極構造体22に向かう面26aには、燃料ガス流路(反応ガス流路)58が設けられる。燃料ガス流路58は、酸化剤ガス流路46と同様に、矢印B方向に1往復半だけ屈曲するサーペンタイン流路を構成する複数の燃料ガス流路溝58aを有する。燃料ガス流路58の入口側と燃料ガス供給連通孔44a及び前記燃料ガス流路58の出口側と燃料ガス排出連通孔44bとの間に、入口流路部60a及び出口流路部60bが設けられる。
入口流路部60aは、バッファ部を構成する複数のエンボス(又はディンプル)62aと、水平方向に延在して燃料ガス供給連通孔44aに連通する複数の燃料ガス入口通路64aとを備える。
出口流路部60bは、バッファ部を構成する複数のエンボス(又はディンプル)62bと、燃料ガス排出連通孔44bに連通する複数の燃料ガス出口通路(反応ガス出口通路)64bとを備える。各燃料ガス出口通路64bは、燃料ガス排出連通孔44b側(矢印B2方向)に向かって重力方向下方(矢印C1方向)に傾斜して互いに平行に配列される。
燃料ガス出口通路64bは、燃料ガス流路58側の端部の少なくとも一部が、前記燃料ガス流路58の最下部よりも重力方向下方に配置される。具体的には、最下位置に配設される燃料ガス流路溝58aを構成する凸部66の高さに対して、最下位置に配設される燃料ガス出口通路64bを構成する凸部68の前記凸部66側の端部位置が、距離Hだけ下方に設定される。
燃料ガス入口通路64a及び燃料ガス出口通路64bには、シールラインに沿ってブリッジ用の板体70a、70bが配設される。
第1金属セパレータ24と第2金属セパレータ26とは、互いに対向する面24b、26bに冷却媒体流路72を一体的に形成する(図2参照)。冷却媒体流路72は、酸化剤ガス流路46の裏面側、及び燃料ガス流路58の裏面側に一体的に形成され、矢印B方向及び矢印C方向に延在する複数の冷却媒体流路溝(図示せず)を有する。この冷却媒体流路72は、冷却媒体供給連通孔42aと冷却媒体排出連通孔42bとに連通する。
図2及び図3に示すように、第1金属セパレータ24の面24a、24bには、この第1金属セパレータ24の外周端縁部を周回して第1シール部材74が射出成形等により一体的に設けられる。図2及び図4に示すように、第2金属セパレータ26の面26a、26bには、この第2金属セパレータ26の外周端縁部を周回して第2シール部材76が射出成形等により一体的に設けられる。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
図1に示すように、酸化剤ガス供給連通孔40aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔44aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔42aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。
酸化剤ガスは、図2に示すように、酸化剤ガス供給連通孔40aから第1金属セパレータ24の酸化剤ガス流路46に導入される。酸化剤ガス流路46では、図3に示すように、酸化剤ガスが一旦入口流路部48aに導入された後、複数の酸化剤ガス流路溝46aに分散される。このため、酸化剤ガスは、各酸化剤ガス流路溝46aを介して蛇行しながら、電解質膜・電極構造体22のカソード側電極32に沿って移動する(図2参照)。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔44aから第2金属セパレータ26の燃料ガス流路58に導入される。この燃料ガス流路58では、図4に示すように、燃料ガスが一旦入口流路部60aに導入された後、複数の燃料ガス流路溝58aに分散される。さらに、燃料ガスは、各燃料ガス流路溝58aを介して蛇行し、電解質膜・電極構造体22のアノード側電極30に沿って移動する(図2参照)。
従って、電解質膜・電極構造体22では、カソード側電極32に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極30に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、カソード側電極32に供給されて消費された酸化剤ガスは、出口流路部48bから酸化剤ガス排出連通孔40bに排出される(図2及び図3参照)。同様に、アノード側電極30に供給されて消費された燃料ガスは、出口流路部60bから燃料ガス排出連通孔44bに排出される(図2及び図4参照)。
一方、冷却媒体供給連通孔42aに供給された冷却媒体は、第1及び第2金属セパレータ24、26間に形成された冷却媒体流路72に導入される(図2参照)。この冷却媒体流路72では、冷却媒体が水平方向(矢印B方向)及び鉛直方向(矢印C方向)に移動する。従って、冷却媒体は、電解質膜・電極構造体22の発電面の全面にわたって冷却した後、冷却媒体排出連通孔42bに排出される。
この場合、第1の実施形態では、図3に示すように、第1金属セパレータ24に出口流路部48bが設けられるとともに、この出口流路部48bは、酸化剤ガス流路46の出口側と酸化剤ガス排出連通孔40bとの間に配設される酸化剤ガス出口通路52bを備えている。そして、酸化剤ガス出口通路52bは、酸化剤ガス排出連通孔40b側に向かって重力方向下方に傾斜している。
このため、酸化剤ガス流路46の発電領域に存在する生成水は、この酸化剤ガス流路46に供給される酸化剤ガスのガス流と重力とを利用して、酸化剤ガス排出連通孔40bに確実に排出される。これにより、発電領域から酸化剤ガス排出連通孔40bへの排水が効率的に遂行されるとともに、簡単な構成で、良好な発電性能を確保することが可能になるという効果が得られる。
さらに、酸化剤ガス出口通路52bは、酸化剤ガス流路46側の端部の少なくとも一部が、前記酸化剤ガス流路46の最下部よりも重力方向下方に距離Hだけ離間して配置されている。従って、酸化剤ガス流路46の出口側と酸化剤ガス出口通路52bとの間に滞留水が存在することがなく、前記酸化剤ガス流路46の端部から、すなわち、発電領域から酸化剤ガス出口連通孔40bに生成水を円滑且つ確実に排出することが可能になる。
一方、図4に示すように、第2金属セパレータ26は、出口流路部60bを備えており、この出口流路部60bは、燃料ガス流路58の出口側と燃料ガス排出連通孔44bとの間に燃料ガス出口通路64bを設けている。そして、燃料ガス出口通路64bは、燃料ガス排出連通孔44bに向かって重力方向下方に傾斜している。
このため、燃料ガス流路58に発生する凝縮水は、この燃料ガス流路58に導入される燃料ガスのガス流と重力とを利用して、燃料ガス排出連通孔44bに確実に排出される等、上記の出口流路部48bと同様の効果が得られる。
また、第1の実施形態では、単セル12の水平方向一端縁部に、酸化剤ガス供給連通孔40a、冷却媒体供給連通孔42a及び燃料ガス排出連通孔44bが形成されるとともに、水平方向他端縁部に、燃料ガス供給連通孔44a、冷却媒体排出連通孔42b及び酸化剤ガス排出連通孔40bが形成されている。従って、単セル12は、上下両端部に連通孔を設けておらず、高さ方向(矢印C方向)の寸法を有効に短尺化することができる。
これにより、燃料電池スタック10は、高さ方向の寸法が可及的に短尺化され、例えば、燃料電池自動車(図示せず)の床下に搭載しても、車室内の居住空間を十分に確保することが可能になる。
なお、第1の実施形態では、酸化剤ガス流路46及び燃料ガス流路58は、サーペンタイン流路を構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、矢印B方向に延在する直線状流路溝や矢印B方向に一回折り返すU字状流路溝等により構成してもよい。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの単セルを構成する第1金属セパレータ80の正面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第1金属セパレータ80には、酸化剤ガス出口通路52bの重力方向下方に、酸化剤ガス流路46の出口側と酸化剤ガス排出連通孔40bとを繋ぎ、且つ前記酸化剤ガス流路46の最下部よりも重力方向下方に配置される通路82が設けられる。この通路82は、出口流路部48bの下端位置から下方に一旦延在した後、水平方向に延在して酸化剤ガス排出連通孔40bの下端縁部に連通する。
この第2の実施形態では、酸化剤ガス流路46の最下部よりも重力方向下方に配置される通路82が設けられるため、前記酸化剤ガス流路46の出口側と酸化剤ガス出口通路52bとの間に滞留水が存在することがない。これにより、発電領域から酸化剤ガス排出連通孔40bに生成水を確実に排出することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視図である。 前記燃料電池スタックを構成する単セルの要部分解斜視図である。 前記単セルを構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 前記単セルを構成する第2金属セパレータの正面説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの単セルを構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 特許文献1のセパレータの正面説明図である。 前記セパレータの左右方向に連通孔が形成される際の一部説明図である。
符号の説明
10…燃料電池スタック 12…単セル
22…電解質膜・電極構造体 24、26、80…金属セパレータ
28…固体高分子電解質膜 30…アノード側電極
32…カソード側電極 40a…酸化剤ガス供給連通孔
40b…酸化剤ガス排出連通孔 42a…冷却媒体供給連通孔
42b…冷却媒体排出連通孔 44a…燃料ガス供給連通孔
44b…燃料ガス排出連通孔 46…酸化剤ガス流路
46a…酸化剤ガス流路溝 48a、60a…入口流路部
48b、60b…出口流路部 52a…酸化剤ガス入口通路
52b…酸化剤ガス出口通路 58…燃料ガス流路
58a…燃料ガス流路溝 64a…燃料ガス入口通路
64b…燃料ガス出口通路 72…冷却媒体流路

Claims (8)

  1. 電解質の両側に一対の電極が設けられた電解質・電極構造体と、セパレータとが水平方向に積層され、前記電解質・電極構造体と前記セパレータとの間には、前記一対の電極の面方向に沿ってそれぞれ反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、前記セパレータの水平方向一端部には、前記反応ガス流路の出口側に連通する反応ガス排出連通孔が積層方向に貫通して形成される燃料電池であって、
    少なくとも一方の反応ガス流路の出口側は、水平方向に向かって延在するとともに、前記反応ガス流路の出口側の水平方向延長上に位置して前記反応ガス排出連通孔が設けられ、
    前記セパレータは、前記反応ガス流路の出口側と前記反応ガス排出連通孔との間に反応ガス出口通路を設けるとともに、
    前記反応ガス出口通路は、前記反応ガス排出連通孔側に向かって重力方向下方に傾斜することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、複数の前記反応ガス出口通路は、互いに平行に配列されることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記反応ガス出口通路は、前記反応ガス流路側の端部の少なくとも一部が、前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置されることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記反応ガス出口通路の重力方向下方には、前記反応ガス流路の出口側と前記反応ガス排出連通孔とを繋ぎ、且つ前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置される通路が設けられることを特徴とする燃料電池。
  5. 電解質の両側に一対の電極が設けられた電解質・電極構造体と水平方向に交互に積層され、前記一対の電極の面方向に沿ってそれぞれ反応ガスを供給する反応ガス流路が形成されるとともに、水平方向一端部には、前記反応ガス流路の出口側に連通する反応ガス排出連通孔が積層方向に貫通して形成される燃料電池用セパレータであって、
    少なくとも一方の反応ガス流路の出口側は、水平方向に向かって延在するとともに、前記反応ガス流路の出口側の水平方向延長上に位置して前記反応ガス排出連通孔が設けられ、
    前記セパレータは、前記反応ガス流路の出口側と前記反応ガス排出連通孔との間に反応ガス出口通路を設けるとともに、
    前記反応ガス出口通路は、前記セパレータが水平方向に積層される際に前記反応ガス排出連通孔側に向かって重力方向下方に傾斜することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  6. 請求項5記載のセパレータにおいて、複数の前記反応ガス出口通路は、互いに平行に配列されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  7. 請求項5又は6記載のセパレータにおいて、前記反応ガス出口通路は、前記反応ガス流路側の端部の少なくとも一部が、前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載のセパレータにおいて、前記反応ガス出口通路の重力方向下方には、前記反応ガス流路の出口側と前記反応ガス排出連通孔とを繋ぎ、且つ前記反応ガス流路の最下部よりも重力方向下方に配置される通路が設けられることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
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