JP4380654B2 - ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
第2には、バイオマス資源が植物資源であることを特徴とする上記第1に記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第3には、ポリエステル中の窒素原子含有量が、該ポリエステルに対して質量比で0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とする上記第1又は第2に記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第4には、ポリエステル中の窒素原子含有量が、該ポリエステルに対して質量比で0.01ppm以上50ppm以下であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第6には、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)が1.0以上であることを特徴とする上記第1〜第5のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第7には、ポリエステルのYI値が、−10以上30以下であることを特徴とする上記第1〜第6のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第8には、ジカルボン酸が、バイオマス資源から誘導されたコハク酸であることを特徴とする上記第1〜第7のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第10には、3官能以上の多官能化合物単位の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、0.0001モル%以上0.5モル%以下であることを特徴とする上記第9に記載のバイオマス資源由来ポリエステルである。
第11には、ジカルボン酸とジオールとの反応によりポリエステルを製造する方法において、反応に供するジカルボン酸原料及びジオール原料の少なくとも一つがバイオマス資源から誘導されたものであり,該バイオマス資源から誘導されたジカルボン酸原料及びジオール原料中の窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上2000ppm以下であることを特徴とする上記第1に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法というものである。
第12には、窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする上記第11に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法というものである。
第13には、窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とする上記第11又は第12に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法というものである。
第14には、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能化合物の存在下で反応させることを特徴とする上記第11〜第13のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法である。
第15には、上記第11〜第14のいずれかに記載の製造方法により得られるバイオマス資源由来ポリエステルというものである。
第16には、上記第1〜第10及び第15のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステル99.9〜0.1重量%に対して汎用の熱可塑性樹脂、生分解性樹脂、天然樹脂、または多糖類を0.1〜99.9重量%配合したことを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステル樹脂組成物である。
第17には、上記第1〜第10及び第15のいずれかに記載のバイオマス資源由来ポリエステルを成形してなる成形体というものである。
第18には、上記第16に記載のバイオマス資源由来ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体というものである。
また、現在の大気圏の地球環境下で植生した天然材料から発酵等の手法により入手した、いわゆるジオールまたはジカルボン酸をポリエステルのモノマーとして使用するために、原料が非常に安価に入手できる。植物原料生産が各地に分散して多様化できるので、原料供給が非常に安定していること、および大気圏の地球環境下において為されるために、二酸化炭素の吸収および放出の物質収支の較差が比較的均衡している。しかも環境に非常に優しい、安全なポリエステルと認識できる。このような本発明のポリエステルは、材料の物性、構造および機能において評価できるばかりでなく、化石燃料由来のポリエステルには全く期待できない、リサイクルを含めた循環型社会の実現性を潜在的に保有する利点を有する。これは、従来型の化石燃料依存型の指向とは異なる、あらたな視点のポリエステル製造プロセスを提供するものであるから、新たな第2ステージのプラスチックという、全く新たな視点から、プラスチック材料の利用および発展に著しく寄与するものである。本発明のポリエステルは、土壌投棄をやめて仮に焼却処分しても、有害物、悪臭を発生することが少ない。
本発明のポリエステルは、バイオマス資源から製造されたジカルボン酸及び/又はジオールを重縮合することによって得られるポリエステルにおいて、ポリエステルの分子内に共有結合されている官能基に含まれる窒素を除いたポリエステル中の窒素原子含有量が0.01ppm以上1000ppm以下とすることにより、ポリエステルの所定の機能、特性を高くすることができたものである。本発明でいうppmとは質量ppmのことをいう。
ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸或いはこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも脂肪族ジカルボン酸を主成分とするものが好ましい。本発明でいう主成分とは、全ジカルボン酸単位に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90%モル以上を示す。
本発明において、これらのジカルボン酸は、バイオマス資源から誘導されるものが好ましい。
本発明でいうバイオマス資源とは、植物の光合成作用で太陽の光エネルギーがデンプンやセルロースなどの形に変換されて蓄えられたもの、植物体を食べて成育する動物の体や、植物体や動物体を加工してできる製品等が含まれる。この中でも、より好ましいバイオマス資源としては、例えば、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣、水産物残渣、家畜排泄物、下水汚泥、食品廃棄物等が挙げられる。この中でも木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣等の植物資源が好ましく、より好ましくは、木材、稲わら、籾殻、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、芋、油脂、古紙、製紙残渣であり、最も好ましくはとうもろこし、さとうきび、キャッサバ、サゴヤシである。これらのバイオマス資源は、一般に、窒素原子やNa、K、Mg、Ca等の多くのアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有する。
微生物変換に用いる微生物としては、ジカルボン酸の生産能を有すれば特に限定されないが、例えば、Anaerobiospirillum属 (米国特許第5143833号明細書)等の嫌気性細菌、Actinobacillus属(米国特許第5504004号明細書)、Escherichia属(米国特許第5770435号明細書)等の通性嫌気性細菌(E.coli(J.Bacteriol.,57:147−158)又はE.coliの株の変異体(特表2000−500333号公報、米国特許第6159738号明細書)など)、Corynebacterium属(特開平11−113588号公報)などの好気性細菌、Bacillus属、Rizobium属、Brevibacterium属、Arthrobacter属に属する好気性細菌(特開2003−235593号公報)、Bacteroidesruminicola、Bacteroidesamylophilus等の嫌気性ルーメン細菌を用いることができる。
コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム属に属する微生物、ブレビバクテリウム属に属する微生物又はアースロバクター属に属する微生物が挙げられ、このうち好ましくは、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属するものが挙げられ、更に好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に属する微生物が挙げられる。
微生物変換においては、pHが低くなると微生物の代謝活性が低くなったり、或いは微生物が活動を停止するようになり、製造歩留まりが悪化したり、微生物が死滅するため、通常には中和剤を使用する。通常はpHセンサーによって反応系内のpHを計測し、所定のpH範囲となるように中和剤の添加によりpHを調節する。中和剤の添加方法については特に制限はなく、連続添加であっても間欠添加であってもよい。
発酵法を含む製造方法により得られるジカルボン酸の精製方法は、電気透析を用いる方法、イオン交換樹脂を用いる方法、塩交換法等が知られている。例えばジカルボン酸塩を分離し純粋な酸を生成する電気透析および水分解工程を組み合わせて用いることによって製造し、更なる精製を、一連のイオン交換カラムに生成物ストリームを通すことによって達成しても良いし、ジカルボン酸の過飽和溶液に変換するための水分解電気透析を用いても良い(米国特許第5,034,105号明細書)。また、塩交換法としては、例えばジカルボン酸のアンモニア塩を硫酸水素アンモニウム及び/または硫酸と十分に低いpHで混合して反応させジカルボン酸及び硫酸アンモニウムを生成させても良い(特表2001−514900号公報)。イオン交換樹脂を用いる具体的方法としては、ジカルボン酸の溶液から遠心分離、濾過等により菌体等の固形分を除去した後、イオン交換樹脂で脱塩し、その溶液から結晶化或いはカラムクロマトグラフィーによりジカルボン酸を分離精製する方法が挙げられる。その他の精製方法としては、特開平3−30685号公報に記載のように水酸化カルシウムを中和剤として醗酵し、硫酸により硫酸カルシウムを析出させて除去した後、強酸性イオン交換樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂を用いて処理する方法や特開平2−283289号公報に記載のように発酵法により生成した琥珀酸塩を、電気透析した後、強酸性イオン交換樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂を用いて処理する方法が例示される。更には、USP6284904号明細書ならびに特開2004−196768号公報に記載の方法も好適に使用される。すなわち、本発明においては、精製方法はどのような方法を用いても良く、上記の、電気透析を用いる方法、イオン交換樹脂を用いる方法、硫酸等の酸で処理する方法、水、アルコール、カルボン酸或いはそれらの混合物を用いた晶析ならびに洗浄、ろ過、乾燥などの上記の公知文献や本発明の参考例に記載の任意の単位操作を任意の組み合わせで、必要に応じて繰り返し実施することにより本発明に適した精製されたモノマー原料を製造することができる。これらの中では、特に、コスト、効率の点でイオン交換法又は塩交換法が好ましく、工業的生産性の点で塩交換法が特に好ましい。
上述の方法にてバイオマス資源から誘導されたジカルボン酸には、バイオマス資源由来、発酵処理ならびに酸による中和工程を含む精製処理に起因して不純物として窒素元素が含まれてくる。具体的には、アミノ酸、たんぱく質、アンモニウム塩、尿素、発酵菌由来等の窒素元素が含まれてくる。
窒素原子含有量が上記の範囲にあるジカルボン酸を用いることで、得られるポリエステルの着色の減少に有利になる。また、ポリエステルの重合反応の遅延化を抑制する効果も併せ持つ。
本発明において、上述の方法で得られたバイオマス資源由来のジカルボン酸をポリエステル原料として使用するにあたり、重合系に連結される該ジカルボン酸を貯蔵するタンク内の酸素濃度を一定値以下に制御してもよい。これによりポリエステルの不純物である窒素源の酸化反応による着色を防止することができる。
ジカルボン酸の貯蔵タンク内の圧力は、通常、大気圧(常圧)である。
本発明においてジオール単位とは、芳香族ジオール及び/又は脂肪族ジオールから誘導されるものであり、公知の化合物を用いることができるが、脂肪族ジオールを使用するのが好ましい。
脂肪族ジオールとは、2個のOH基を有する脂肪族及び脂環式化合物であれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常10以下、好ましくは6以下の脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中では、より融点の高いポリマーが得られる理由から偶数のジオール又はそれらの混合物が好ましい。
この内、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、その中でも、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオールが好ましく、更には、1,4−ブタンジオ−ルが特に好ましい。本発明においては、1,4−ブタンジオールを主成分として使用する場合のその含有量は、特には限定されないが、全ジオール単位に対して、通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
両末端ヒドロキシポリエーテルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール及びポリ1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合ポリエーテル等を使用することもできる。これらの両末端ヒドロキシポリエーテルの使用量は、ポリエステル中の含量として、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下に計算される量である。
例えば、発酵法により得られたコハク酸、コハク酸無水物、コハク酸エステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン等から化学合成により1,4−ブタンジオールを製造しても良いし、発酵法により得られた1,3−ブタジエンから1,4−ブタンジオールを製造してもよい。この中でもコハク酸を還元触媒により水添して1,4−ブタンジオールを得る方法が効率的で好ましい。
バイオマス資源由来から誘導されたジオールには、バイオマス資源由来、発酵処理ならびに酸による中和工程を含む精製処理に起因して不純物として窒素原子が含まれてくる場合がある。この場合、具体的には、アミノ酸、蛋白質、アンモニア、尿素、発酵菌由来の窒素原子が含まれてくる。
また、別の態様としては、ジカルボン酸原料及びジオール中に含まれる窒素原子含有量が、前述の原料総和に対して質量比で、上限は通常2000ppm以下、好ましくは、1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下である。下限は特に制限されないが、通常、0.01ppm以上、好ましくは、0.05ppm以上、0.1ppm以上である。
本発明において、色相の良いポリマー製造に用いられるジオールの酸化生成物の含有量の上限は、通常、ジオール中、10000ppm以下、好ましくは、5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、最も好ましくは2000ppm以下である。一方、下限は特に制限されないが、通常、1ppm以上、好ましくは、精製工程の経済性の理由から10ppm以上、より好ましくは100ppm以上である。
本発明においては、通常、ジオールは蒸留による精製工程を経てポリエステル原料として使用される。
本発明のジオール単位及びジカルボン酸単位を主体とするポリエステルの製造は、重合反応液中の窒素の量を制御する他は、ポリエステルを製造する公知技術で行うことができる。このポリエステルを製造する際の重合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
ポリエステルを製造する際に用いるジオールの使用量は、ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化中の留出があることから、1〜20モル%過剰に用いられる。後述する脂肪族オキシカルボン酸を使用する際の使用量は、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し好ましくは0〜60モル、より好ましくは1.0〜40モル、特に好ましくは2〜20モルである。
従って、本発明においては、重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜14族金属元素を含む化合物が挙げられる。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。これらの触媒成分は、上記の理由からバイオマス資源から誘導されるポリエステル原料中に含まれる場合がある。その場合は、特に原料の精製を行わず、そのまま金属を含む原料として使用してもよい。しかしながら、製造するポリエステルによってはポリエステル原料中に含まれるナトリウムやカリウム等の1族金属元素の含有量が少ない程、高重合度のポリエステルが製造しやすい場合がある。その様な場合には1族金属元素が実質含まれない程度まで精製された原料が好的に使用される。
より詳細には、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0.05×103Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
製造反応中の反応槽中の酸素濃度は、下限は、特に限定されないが通常1.0×10−9%以上、好ましくは1.0×10−7%以上であり、上限が通常10%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは、0.1%以下、最も好ましくは、0.01%以下である。酸素濃度が低すぎる場合には、管理工程が煩雑となる傾向があり、また、高すぎる場合には、上記の理由で得られるポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
ここで言う“最終攪拌速度”とは、後述する縮重合反応中において、所望の粘度のポリマーを製造した際の攪拌装置の最低攪拌回転数を示す。但し、製造ポリマー抜き出し操作等に伴う攪拌装置の停止操作は、縮重合反応中の定義の中には含まれない。
エステル化反応時の攪拌速度は、下限が通常30rpm以上、好ましくは、50rpm以上、より好ましくは、80rpm以上であり、上限は、1000rpm以下、好ましくは500rpm以下である。攪拌速度が遅すぎる場合には、留去効率が悪く、エステル化反応が遅くなる傾向があり、例えばジオールの脱水反応や脱水環化等が引き起こされる傾向がある。それによりジオール/ジカルボン酸の比率が崩れて重合速度が低下したり、より過剰のジオールを仕込む必要が生じる等の欠点を有する、また、速すぎる場合には、余計な動力を消費するため経済的に不利である。
移送管内の圧力は、通常、0.1kPaから1MPaであるが、操作性の観点から0.05MPa以上0.3Mpa以下程度の圧力で使用される。
重合反応槽より抜き出す際のポリエステルの温度は、重合終了後、反応槽の圧力を減圧からから常圧以上に復圧した際の樹脂温度をTeとしたとき、下限は、(Te−50)℃以上、好ましくは(Te−30)℃以上であり、より好ましくは、(Te−20)℃以上、最も好ましくは、(Te−10)℃以上であり、上限が(Te+20)℃以下、好ましくは(Te+10)℃以下、より好ましくは、Te℃以下である。温度が低すぎる場合には、抜き出し時のポリエステルの粘度が上昇し、抜き出し難くなり生産性に問題が生じる傾向があり、また、高すぎる場合には、ポリエステルの熱分解が顕著になる傾向がある。
また、本発明において、重合反応終了後、重合反応槽より抜き出されたストランド状のポリエステルを特定温度以下の水性媒体に接触させてもよい。これにより、高粘度のポリエステルの分解を抑制させたまま得ることができる。
また、溶媒の温度は、下限が通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上であり、より好ましくは、0℃以上、最も好ましくは、4℃以上であり、上限が通常20℃以下、好ましくは15℃以下、より好ましくは、10℃以下である。温度が低すぎる場合には、媒体の冷却設備運転コストが高くなり経済的に不利になる傾向があり、また、高すぎる場合には、ストランドでの抜き出し時にポリエステルの熱分解が顕著になる傾向がある。
<ポリエステル>
本発明のポリエステルとは、上記に列挙したジカルボン酸単位およびジオール単位の範疇に属する各種化合物を主体とする成分の反応により製造されるポリエステルはすべて本発明のポリエステルに含まれるが、典型的なものとして、以下のポリエステルが具体的に例示できる。
シュウ酸を用いたポリエステルとしては、シュウ酸とエチレングリコールのポリエステル、シュウ酸と1,3−プロピレングリコールのポリエステル、シュウ酸とネオペンチルグリコールのポリエステル、シュウ酸と1,6−ヘキサメチレングリコールのポリエステル、シュウ酸と1,4−ブタンジオールのポリエステル及びシュウ酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールのポリエステルなどが例示できる。
その他、上記のジカルボン酸を組み合わせたポリエステルも好ましい組み合わせであり、コハク酸とアジピン酸とエチレングリコールのポリエステル、コハク酸とアジピン酸と1,4−ブタンジオールのポリエステル、テレフタル酸とアジピン酸と1,4−ブタンジオールのポリエステル及びテレフタル酸とコハク酸と1,4−ブタンジオールのポリエステルなどが例示できる。
具体的にそのポリエステルの態様を示すと、2官能のオキシカルボン酸として乳酸を用いると、例えば、コハク酸−1,4−ブタンジオール−乳酸の共重合ポリエステルやコハク酸−アジピン酸−1,4−ブタンジオール−乳酸の共重合ポリエステルとなる。グリコール酸を用いると、例えば、コハク酸−1,4−ブタンジオール−グリコール酸の共重合ポリエステルである。オキシカルボン酸単位はそれ以外の相当するオキシカルボン酸及びその誘導体も原料として用いられる。具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、カプロラクトン、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸などの2官能のオキシカルボン酸を任意に変えて、所定の共重合ポリエステルが製造できる。
共重合成分の3官能以上の多価アルコールとしてペンタエリスリトールを用いると、例えば、コハク酸−1,4−ブタンジオール−ペンタエリスリトールの共重合ポリエステルやコハク酸−アジピン酸−1,4−ブタンジオール−ペンタエリスリトールの共重合ポリエステルとなる。3官能以上の多価アルコールを任意に変えて、所望の共重合ポリエステルが製造できる。これらの共重合ポリエステルを鎖延長(カップリング)した高分子量のポリエステルも本発明のポリエステルの範疇に属する。
共重合成分の3官能のオキシカルボン酸としてリンゴ酸を用いる場合、例えば、コハク酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸の共重合ポリエステル、コハク酸−アジピン酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸の共重合ポリエステル、コハク酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸−酒石酸の共重合ポリエステル、コハク酸−アジピン酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸−酒石酸の共重合ポリエステル、コハク酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸−クエン酸の共重合ポリエステル、コハク酸−アジピン酸−1,4−ブタンジオール−リンゴ酸−クエン酸の共重合ポリエステルとなる。3官能のオキシカルボン酸を任意に変えて、所望の共重合ポリエステルが製造できる。
本発明のポリエステルの物性特性は、ポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートアジペートのような脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸のポリエステルを例に説明すると、密度が1.2〜1.3g/cm3、融点は80〜120℃、引張強度30〜80Mpa、極限伸び300〜600%、引張弾性率400〜700Mpa、引張降伏点強度30〜40Mpa、衝撃試験強度5〜20kJ/m2程度、ガラス転移点−45〜−25℃というような汎用のポリマーが有する特性を保有する。また、特定の用途を対象とした場合には、前記のような範囲の域を超えた、任意の広範囲の特性を保有するポリエステルとすることができる。さらに各種成形手段により成形品を製造することができる程度の融点、メルトインデックス、溶融粘弾性の特性を有することができる。これらの特性は、使用目的に応じて、ポリエステル原料や添加物の種類、重合条件或いは成形条件等を変えることにより任意に調整することができる。
〔還元粘度(ηsp/c)測定条件〕
粘度管:ウベローデ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
本発明のポリエステルは、ポリエステル(0.5g)をフェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液(容量:1dl)に室温で溶解させた際、均一に溶解するポリエステルが好ましく、ポリエステルの不溶成分が生じる場合、通常、不溶成分量は全ポリエステル中、1重量%以下、より好ましくは、0.1重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルは、土壌中の生分解速度が、全ての構成単位が石油資源の原料から得られた同じ化学構造のポリエステルの生分解速度より、1.01倍以上、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは、1.1倍以上である。
すなわち、同様の条件で行った生分解性試験において石油資源の原料から得られたポリエステルAの土中での1ヶ月後の重量減少率をa(%)、ポリエステルAと同じ化学構造であり原料の一部が植物由来原料である本発明のポリエステルBの土中での1ヶ月後の重量減少量率をb(%)とすると好ましくはb/a≧1.1、より好ましくはb/a≧1.2、さらに好ましくは1.5倍以上である。
A0:土壌に埋設前のポリエステルAの重量
A1:土壌に埋設1ヶ月後のポリエステルAの重量
b(%)=100×(B0−B1)/B0
B0:土壌に埋設前のポリエステルBの重量
B1:土壌に埋設1ヶ月後のポリエステルBの重量
また、本発明の効果を損なわない限り、本発明のポリエステルに、他の共重合成分を導入することができる。他の共重合成分としては炭酸エステル成分、エーテル成分、アミド成分等を共重合しても良い。またカーボネートやジイソシアネート等で鎖延長剤を用いても良い。また末端基をカルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール又はカルボン酸で封止しても良い。
カルボジイミド化合物は単独で使用することもできるが、複数の化合物を混合して使用することもできる。
より具体的には、ジオールとジカルボン酸(またはその無水物)とを触媒反応させて得られる、末端基が実質的にヒドロキシル基を有し、重量平均分子量(Mw)が20,000以上、好ましくは40,000以上のポリエステルに上記鎖延長剤を反応させることにより、より高分子量化したポリエステル系樹脂を得ることができる。重量平均分子量が20,000以上のプレポリマーは、少量のカップリング剤の使用で、溶融状態といった苛酷な条件下でも、残存する触媒の影響を受けないので反応中にゲルを生ずることなく、高分子量のポリエステルを製造することができる。
鎖延長時の圧力は、通常、0.01MPa以上、1MPa以下、好ましくは、0.05MPa以上、0.5MPa以下、より好ましくは、0.07MPa以上、0.3MPa以下であるが、常圧が最も好ましい。
珪酸エステルは、環境保全ならびに安全性の面の理由からは、特にその使用量に制限はされないが、操作が煩雑になったり、重合速度に影響を与える可能性があるため、その使用量は少ない方が良い場合がある。従って、この含有量は、ポリエステルを構成する全単量体単位に対して、0.1モル%以下とするのが好ましく、10−5モル%以下とするのが更に好ましい。
このように、本発明のポリエステルとは、ポリエステル、共重合ポリエステル、および鎖延長(カップリング)した高分子量のポリエステル、および変性ポリエステルを包含するものをポリエステルと総称している。
しかし、本発明のポリエステルにおいて重要なことは、安全、安心、無害というような、いわゆるグリーンプラの信頼を確保するということが、重要な課題である。本発明の生分解ポリエステルが信頼を確保する為には、窒素原子の存在が微妙に影響をする。
また、本発明においては、ポリエステル中に共有結合された官能基とは、上記のジイソシアネート化合物やカルボジイミド化合物から誘導されたウレタン官能基、未反応のイソシアネート官能基、尿素官能基、イソ尿素官能基ならびに未反応のカルボジイミド官能基を指す。従って、本発明においては、ポリエステル中に共有結合された官能基以外で含まれる窒素原子含有量は、ポリエステル中に含まれる総窒素原子含有量から上記のウレタン官能基、未反応のイソシアネート官能基、尿素官能基、イソ尿素官能基ならびに未反応のカルボジイミド官能基に帰属される窒素原子含有量を差し引いた値である。ウレタン官能基、未反応のイソシアネート官能基、尿素官能基、イソ尿素官能基ならびに未反応のカルボジイミド官能基の含有量は、13C NMRやIR等の分光学的測定やポリエステルの製造時の仕込み量から算出される。
反応液中の窒素原子の含有量を制御する方法は、製造されるポリエステルが必要な性質を有する限り制限されないが、例としては、原料の精製により原料に含まれる窒素原子含有物を除く方法、重合中に窒素原子含有物を除去する方法などが挙げられる。
本発明のポリエステルは公知の各種の樹脂とブレンド(混練)により、任意の広範囲の特性を保有するポリエステル組成物とすることができる。例えば、ブレンド比によりその物性値は大きく変動するため特には限定されないが、後述するポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とをブレンドさせた系では、引張強度30〜60Mpa、極限伸び3〜400%、引張弾性率500〜3000Mpa、引張降伏点強度30〜50Mpa、曲げ強度30〜100Mpa、曲げ弾性率600〜4000Mpa、衝撃試験強度5〜20kJ/m2程度というような汎用のポリマーが有する特性を保有できる。同様に、軟質系の芳香族系ポリエステルとのブレンド系では、引張強度30〜70Mpa、極限伸び400〜800%、引張降伏点強度10〜30Mpaというような汎用のポリマーが有する特性を保有できる。更には、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABS、PET、ポリスチレン等の汎用樹脂との組み合わせにより密度が1〜1.4g/cm3、融点は150〜270℃、引張強度30〜80Mpa、極限伸び100〜600%、ガラス転移点−85〜150℃というような汎用のポリマーが有する特性を保有できる。これらの特性は、使用目的に応じて、ポリエステル原料や各種樹脂の種類、ブレンド量比や成形条件等を変えることにより任意に調整することができる。
これらの生分解性高分子のブレンド量は、単に生分解という目的では、両者がいずれも生分解性樹脂であるという事情からすれば、本発明のバイオマス由来のポリエステル99.9〜0.1重量%に対して、生分解性高分子が0.1〜99.9重量%程度ブレンドしても適正に生分解性特性が発現するので、最も適正な特性の発現が可能な組成物である。しかし、本発明のバイオマス由来のポリエステルの観点からは、バイオマス由来のポリエステルが99.9〜40重量%であり、生分解性高分子が0.1〜60重量%程度のブレンドが好ましく、特に、生分解性高分子を5〜50重量%程度のブレンドがより好ましい。
本発明のバイオマス由来のポリエステルと天然樹脂、多糖類との相溶性の問題もある。これらを解決すれば、本発明のバイオマス由来のポリエステルと天然樹脂の組成物からなる材料は、使用済後の材料を投棄すれば、早期生分解消失はないにしても、天然樹脂、多糖類は腐敗して、土壌改良剤、堆肥としても有効である。この種のポリエステル組成物は、積極的に自然に、特に土壌に投棄することが推奨される場合があり、まさに、グリーンプラ製品としての有意性を高めることになる。以下に各樹脂の具体的な組成物を開示するが、特に限定されるものではない。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
また、従来公知の各種添加剤を配合して組成物にすることも出来る。
添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤や各種界面活性剤などの樹脂用添加剤が挙げられる。これらの添加量は、全組成物中、通常0.01〜5重量%である。これ等は一種又は二種以上の混合物として用いる事もできる。
無機系フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。無機系フィラーの含有量は、全組成物中、通常1〜80重量%であり、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%である。無機系フィラーの中には、炭酸カルシウム、石灰石のように、土壌改良剤の性質を持ちものもあり、これらの無機系フィラーを特に多量に含むバイオマス由来のポリエステル組成物を、土壌に投棄すれば、生分解後の無機系フィラーは残存して、土壌改良剤としても機能するので、グリーンプラとしての有意性を高める。農業資材、土木資材のように、土壌中に投棄するような用途の場合には、化成肥料、土壌改良剤、植物活性剤のようなものを添加したポリエステルを成形品とすることは、本発明のポリエステルの有用性を非常に高めることになる。
組成物の調製は、従来公知の混合/混練技術は全て適用できる。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また混錬機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混錬機、一段型、二段型連続式混錬機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。混練の方法としては、加熱溶融させたところに各種添加剤、フィラー、熱可塑性樹脂を添加して配合する方法などが挙げられる。また、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的でブレンド用オイル等を使用することも出来る。
このような成形法により、単層フィルム、多層フィルム、延伸フィルム、収縮フィルム、ラミネートフィルム、単層シート、多層シート、延伸シート、パイプ、電線/ケーブル、モノフィラメント、マルチフィラメント、各種不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、延伸テープやバンド、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体などの各種成形品が得られる。また得られる成形品は、ショッピングバッグ、ゴミ袋、農業用フィルム等の各種フィルム、化粧品容器、洗剤容器、食品容器、漂白剤容器等の各種容器類、釣り糸、漁網、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、緩衝材、医療材料、電気機器材料、家電筐体、自動車材料などの用途への使用が期待される。
なお、以下の例における特性値は、次の方法により測定した。また、本発明おけるppmとは、質量ppmである。
希薄溶液粘度(還元粘度):ポリエステルを濃度0.5g/dLとなるようにフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に溶解し、溶液が30℃の恒温槽中で粘度管を落下する時間t(sec)を測定した。また溶媒のみの落下する時間t0(sec)を測定し30℃での還元粘度ηsp/C(=(t−t0)/t0・C)を算出した(Cは溶液の濃度)。
末端カルボキシル基量:得られたポリエステルをベンジルアルコールに溶解し0.1NNaOHにて滴定した値であり、1×106g当たりのカルボキシル基当量である。
YI値:JIS K7105の方法に基づいて測定した。
<遺伝子破壊用ベクターの構築>
(A)枯草菌ゲノムDNAの抽出
LB培地[組成:トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、NaCl 5gを蒸留水1Lに溶解]10mLに、枯草菌(Bacillus subtilis ISW1214)を対数増殖期後期まで培養し、菌体を集めた。得られた菌体を10mg/mLの濃度にリゾチームを含む10mM NaCl/20mMトリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。
枯草菌SacB遺伝子の取得は、上記(A)で調製したDNAを鋳型とし、既に報告されている該遺伝子の塩基配列(GenBank Database AccessionNo.X02730)を基に設計した合成DNA(配列番号1および配列番号2)を用いたPCRによって行った。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、68℃で2分からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの68℃での保温は5分とした。
大腸菌プラスミドベクターpHSG396(宝酒造:クロラムフェニコール耐性マーカー)500ngに制限酵素PshBI10ユニットを37℃で一時間反応させた後、フェノール/クロロフォルム抽出およびエタノール沈殿により回収した。クレノウフラグメント(Klenow Fragment:宝酒造製)により両末端を平滑化した後、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いてMluIリンカー(宝酒造)を連結、環状化させ、大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を34μg/mLクロラムフェニコールを含むLB寒天培地に塗抹した。得られたクローンから常法によりプラスミドDNAを調製し、制限酵素MluIの切断部位を有するクローンを選抜し、pHSG396Mluと命名した。
カナマイシン耐性遺伝子の取得は、大腸菌プラスミドベクターpHSG299(宝酒造:カナマイシン耐性マーカー)のDNAを鋳型とし、配列番号3および配列番号4で示した合成DNAをプライマーとしたPCR法によって行った。
反応液組成:鋳型DNA1ng、PyrobestDNAポリメラーゼ(宝酒造) 0.1μL、1倍濃度添付バッファー、0.5μM各々プライマー、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。
増幅産物の確認は、0.75%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約1.1kbの断片を検出した。ゲルからの目的DNA断片の回収は、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて行った。回収したDNA断片は、T4 ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 Polynucleotide Kinase:宝酒造製)により5′末端をリン酸化した。
上記(C)で構築したpCMB1を制限酵素Van91IおよびScaIで切断して得られた約3.5kbのDNA断片を0.75%アガロースゲル電気泳動により分離、回収した。これを上記(D)で調製したカナマイシン耐性遺伝子と混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結し、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mLカナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。
<LDH遺伝子破壊株の作製>
(A)ブレビバクテリウム・フラバムMJ233−ES株ゲノムDNAの抽出
A培地[尿素 2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5g、K2HPO40.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeSO4・7H2O 6mg、MnSO4・4−5H2O6mg、ビオチン 200μg、チアミン 100μg、イーストエキストラクト 1g、カザミノ酸 1g、グルコース 20g、蒸留水1Lに溶解]10mLに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株を対数増殖期後期まで培養し、得られた菌体から上記参考例1の(A)に示す方法にてゲノムDNAを調製した。
MJ233株ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の取得は、上記(A)で調製したDNAを鋳型とし、特開平11−206385号公報に記載の該遺伝子の塩基配列を基に設計した合成DNA(配列番号5および配列番号6)を用いたPCRによって行った。
反応液組成:鋳型DNA 1μL、TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造) 0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.2μM各々プライマー、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。
増幅産物の確認は、0.75%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約0.95kbの断片を検出した。ゲルからの目的DNA断片の回収は、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて行った。
(C)ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子破壊用プラスミドの構築
上記(B)で作製したpGEMT/CgLDHを制限酵素EcoRVおよびXbaIで切断することにより約0.25kbからなるラクテートデヒドロゲナーゼのコーディング領域を切り出した。残った約3.7kbのDNA断片の末端をクレノウフラグメントにて平滑化し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて環状化させ、大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上で生育した株を、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAを制限酵素SacIおよびSphIで切断することにより、約0.75kbの挿入断片が認められたクローンを選抜し、これをpGEMT/ΔLDHと命名した。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株の形質転換に用いるプラスミドDNAは、pKMB1/ΔLDHを用いて塩化カルシウム法(Journal of Molecular Biology,53,159,1970)により形質転換した大腸菌JM110株から調製した。
この様にして得られた株の中には、そのラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子がpKMB1/ΔLDHに由来する変異型に置き換わったものと野生型に戻ったものが含まれる。ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子が変異型であるか野生型であるかの確認は、LBG培地にて液体培養して得られた菌体を直接PCR反応に供し、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子の検出を行うことによって容易に確認できる。ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子をPCR増幅するためのプライマー(配列番号7および配列番号8)を用いて分析すると、野生型では720bp、欠失領域を持つ変異型では471bpのDNA断片を認めるはずである。
上記(D)で作製したブレビバクテリウム・フラバムMJ233/ΔLDH株をA培地に植菌し、30℃で15時間好気的に振とう培養した。得られた培養物を遠心分離(3,000×g、4℃、20分間)して菌体を回収後、ナトリウム−リン酸緩衝液[組成:50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)]で洗浄した。
<コリネ型細菌発現ベクターの構築>
(A)コリネ型細菌用プロモーター断片の調製
コリネ型細菌で強力なプロモーター活性を有することが報告された特開平7−95891号公報の配列番号4に記載のDNA断片(以降TZ4プロモーターと称する)を利用することとした。本プロモーター断片の取得は、参考例2の(A)で調製したブレビバクテリウム・フラバムMJ233ゲノムDNAを鋳型とし、特開平7−95891号公報の配列番号4に記載の配列を基に設計した合成DNA(配列番号9および配列番号10)を用いたPCRによって行った。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で30秒からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は2分とした。
次に、pUC/TZ4を制限酵素BamHIおよびPstIで切断して調製したDNA断片に、5′末端がリン酸化された合成DNA(配列番号11および配列番号12)から成り、両末端にそれぞれBamHIとPstIに対する粘着末端を有するDNAリンカーを混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。本DNAリンカーには、リボソーム結合配列(AGGAGG)およびその下流に配したクローニングサイト(上流から順に、PacI、NotI、ApaI)が含まれている。
この様にして構築したpUC/TZ4−SDを制限酵素PstIで切断後、クレノウフラグメントにて末端を平滑化し、次いで制限酵素KpnIで切断することにより生じた約0.3kbのプロモーター断片を、2.0%アガロースゲル電気泳動により分離、回収した。
コリネ型細菌にて安定的に自立複製可能なプラスミドとして、特開平12−93183記載のpHSG298par−repを利用する。本プラスミドは、ブレビバクテリウム・スタチオニスIFO12144株が保有する天然型プラスミドpBY503の複製領域および安定化機能を有する領域と大腸菌ベクターpHSG298(宝酒造)に由来するカナマイシン耐性遺伝子および大腸菌の複製領域を備える。pHSG298par−repを制限酵素SseIで切断後、クレノウフラグメントにて末端を平滑化し、次いで制限酵素KpnIで切断することによって調製したDNAを、上記(A)で調製したTZ4プロモーター断片と混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mLカナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。
この培地上で生育した株を、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAの中から制限酵素NotIによって切断されるものを選抜し、該プラスミドをpTZ4と命名した(図3に構築手順を示した)。
<ピルベートカルボキシラーゼ活性増強株の作製>
(A)ピルベートカルボキシラーゼ遺伝子の取得
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来ピルベートカルボキシラーゼ遺伝子の取得は、参考例2の(A)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されているコリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株の該遺伝子の配列(GenBank Database Accession No.AP005276)を基に設計した合成DNA(配列番号13および配列番号14)を用いたPCRによって行った。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、68℃で4分からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの68℃での保温は10分とした。PCR反応終了後、Takara Ex Taq(宝酒造)を0.1μL加え、さらに72℃で30分保温した。
pGEM/MJPCの挿入断片の塩基配列は、アプライドバイオシステム社製塩基配列解読装置(モデル377XL)およびビックダイターミネーターサイクルシークエンスキットver3を用いて決定した。その結果得られたDNA塩基配列および推測されるアミノ酸配列を配列番号15に記載する。また、アミノ酸配列のみを配列番号16に記載する。本アミノ酸配列はコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来のそれと極めて高い相同性(99.4%)を示すことから、pGEM/MJPCの挿入断片がブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来のピルベートカルボキシラーゼ遺伝子であると断定した。
上記(A)で作製したpGEM/MJPCを制限酵素PacIおよびApaIで切断することにより生じる約3.7kbからなるピルベートカルボキシラーゼ遺伝子断片を、0.75%アガロースゲル電気泳動により分離、回収した。
このDNA断片を、制限酵素PacIおよびApaIにて切断した、参考例3にて構築したpTZ4と混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mLカナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。
(C)ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/ΔLDH株への形質転換
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株内で複製可能なpMJPC1による形質転換用のプラスミドDNAは、上記(B)で形質転換した大腸菌(DH5α株)から調製した。
(D)ピルベートカルボキシラーゼ酵素活性
上記(C)で得られた形質転換株ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC/ΔLDH株をグルコース2%、カナマイシン25mg/Lを含むA培地100mlで終夜培養を行った。得られた菌体を集菌後、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)50mlで洗浄し、同組成の緩衝液20mlに再度懸濁させた。懸濁液をSONIFIER350(BRANSON製)で破砕し、遠心分離した上清を無細胞抽出液とした。得られた無細胞抽出液を用いピルベートカルボキシラーゼ活性を測定した。酵素活性の測定は100mM Tris/HCl緩衝液(pH7.5)、 0.1mg/10mlビオチン、5mM 塩化マグネシウム、50mM 炭酸水素ナトリウム、5mM ピルビン酸ナトリウム 、5mM アデノシン三リン酸ナトリウム、0.32 mM NADH、20units/1.5mlリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(WAKO製、酵母由来)及び酵素を含む反応液中で25℃にて反応させることにより行った。1Uは1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量とした。ピルベートカルボキシラーゼを発現させた無細胞抽出液における比活性は0.2U/mg蛋白質であった。なお親株であるMJ233/△LDH株をA培地を用いて同様に培養した菌体では、本活性測定方法によりピルベートカルボキシラーゼ活性は検出されなかった。
<発酵液の調製>
尿素:4g、硫酸アンモニウム:14g、リン酸1カリウム:0.5g、リン酸2カリウム0.5g、硫酸マグネシウム・7水和物:0.5g、硫酸第一鉄・7水和物:20mg、硫酸マンガン・水和物:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:200μg、酵母エキス:1g、カザミノ酸:1g、及び蒸留水:1000mLの培地100mLを500mLの三角フラスコにいれ、120℃、20分加熱滅菌した。これを室温まで冷やし、あらかじめ滅菌した50%グルコース水溶液を4mL、無菌濾過した5%カナマイシン水溶液を50μL添加し、参考例4(C)で作製したブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC/ΔLDH株を接種して24時間30℃にて種培養した。
以上の操作を30回行うことにより、コハク酸発酵液上清を103L得ることが出来た。
上記のようにして得られたコハク酸発酵液上清を103L(琥珀酸含有量5.87kg)を、減圧しながらジャケット付き攪拌槽にて濃縮し、琥珀酸の濃度が32.9%、アンモニア11.9%の濃縮液:17.8kg(計算値)を得た。これに酢酸(ダイセル化学社製)を8.58kg加えて30℃まで冷却し、更にメタノール(キシダ化学社製)を4.0kg加えて15℃まで冷却し1時間攪拌した後、20℃にて4時間攪拌を継続した。
酢酸11.3kgに得られた結晶4.9kgをいれ、85℃にて溶解し、直ちに20℃まで冷却した。既に結晶は析出していたが、そのまま更に3時間攪拌を続けた後、遠心ろ過器にてろ過を行い、琥珀酸87.9%、酢酸8.4%、アンモニア0.6%を含有する結晶2.44kgを得た。
この粗琥珀酸結晶2.0kgを28.5Lの脱塩水に溶解し、1Lのイオン交換樹脂(三菱化学社製SK1BH)をつめた塔にSV=2にて通液し、約33Lの処理液を得た。これを減圧したロータリーエバポレータに連続フィードしながら、およそ5.2Lまで濃縮した。この段階で既に結晶が析出していた。更に、5℃に冷却し、2時間攪拌を継続した後、これをろ過すると、琥珀酸96.7%の結晶1.76kgを得た。これを真空乾燥機にて乾燥すると1.68kgの琥珀酸を得る事が出来た。
上記のような方法で得られたバイオマス資源由来コハク酸を用いて、公知の方法で1,4−ブタンジオールを得た。そのような1,4−ブタンジオールは、例えば以下の方法で得られた。
バイオマス資源由来コハク酸100重量部、メタノール317重量部ならびに濃硫酸(97%)2重量部の混合液を、還流下で2時間攪拌させた。反応液を冷却後、炭酸水素ナトリウム3.6重量部を添加して60℃で30分間反応液を攪拌させた。常圧下での蒸留ならびにその蒸留残をろ過後、減圧蒸留することによりコハク酸ジメチル(収率93%)を得た。得られたコハク酸ジメチル100重量部をCuO−ZnO触媒(ズードケミー社製、T−8402)15重量部存在下、仕込みコハク酸ジメチルに対して約4倍の体積容量を持つオートクレーブ(ハステロイC)を用いて水素5MPa加圧下で攪拌させながら1時間かけて230℃まで昇温させた。その後、230℃で15MPaの水素加圧下9時間反応液を攪拌させた。反応液を冷却後、脱ガスを行った。反応液からろ過により触媒を除去した。ろ液を減圧蒸留することにより精製1,4−ブタンジオールを得た(収率81%)。製造された精製1,4−ブタンジオール中には窒素原子が0.7ppm含まれたが、硫黄原子は含まれていなかった。また、1,4−ブタンジオール中には酸化生成物である2−(4−ヒドロキシブチルオキシ)テトラヒドロフランが1000ppm含有されていた。
〔還元粘度(ηsp/c)測定条件〕
粘度管:ウベローデ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
実施例1
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、窒素原子含有量 5ppmのバイオマス資源由来コハク酸100重量部(YI=2.5)、三菱化学社製工業グレードの1,4−ブタンジオール88.5重量部、リンゴ酸0.37重量部ならびに触媒として二酸化ゲルマニウムを予め0.98重量%溶解させた88%乳酸水溶液5.4重量部を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
得られたポリエステル中の窒素原子含有量は、2ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.5、末端カルボキシル基量は26当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、実施例1の窒素原子含有量 5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部、旭化成(株)社製工業グレードのアジピン酸32重量部、三菱化学(株)社製工業グレードの1,4−ブタンジオール111.6重量部、リンゴ酸0.48重量部ならびに触媒として二酸化ゲルマニウムを予め0.98重量%溶解させた88%乳酸水溶液7.2重量部を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1.5時間かけて0.07×103Paになるように減圧し、同減圧度で1.6時間反応を行い重合を終了し、実施例1と同様の白色のポリエステル(黄色度YIは13)を得た。
得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.4、末端カルボキシル基量は22当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
原料として、実施例1の窒素原子含有量 5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部、三菱化学(株)社製工業グレードの1,4−ブタンジオール81.4重量部、エチレングリコール6.3重量部、リンゴ酸0.37重量部ならびに触媒として二酸化ゲルマニウムを予め0.98重量%溶解させた88%乳酸水溶液5.4重量部を使用した以外は実施例2と同様の重縮合反応条件によって実施例2と同様の白いポリエステルを得た(還元粘度(ηsp/c)は2.4。末端カルボキシル基量は21当量/トン。)。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
原料として、実施例1の窒素原子含有量 5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部、三菱化学(株)社製工業グレードの1,4−ブタンジオール81.4重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール12.3重量部、リンゴ酸0.37重量部ならびに触媒として二酸化ゲルマニウムを予め0.98重量%溶解させた88%乳酸水溶液5.4重量部を使用した以外は実施例2と同様の重縮合反応条件によって実施例2と同様の白いポリエステルを得た(還元粘度(ηsp/c)は2.6。末端カルボキシル基量は17当量/トン。)。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は3.8時間かかった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、実施例1の窒素原子含有量 5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部、三菱化学(株)社製工業グレードの1,4−ブタンジオール80.4重量部ならびにリンゴ酸0.37重量部を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、0.11重量部のテトラ−n−ブチルチタネートを0.4重量部のブタノールに希釈した触媒液を反応系へ添加後、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1.5時間かけて0.07×103Paになるように減圧し、同減圧度で2時間反応を行い重合を終了し、実施例1と同様の白色のポリエステルを得た(還元粘度(ηsp/c)は2.5。末端カルボキシル基量は11当量/トン。)。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例1において、リンゴ酸0.37重量部の代わりにリンゴ酸0.74重量部を仕込んだ以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は1.1時間であった。得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は3.2、末端カルボキシル基量は63当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温でほぼ均一に溶解したが、少量の不溶物が観測された。
実施例7
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子12ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸(黄色度YIは7)100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は2時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは22)中の窒素原子含量は、3.6ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.3、末端カルボキシル基量は19当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例8
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子19ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸(黄色度YIは8)100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は2.4時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは18)中の窒素原子含量は、14ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.5、末端カルボキシル基量は19当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例9
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子115ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は2.9時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは23)中の窒素原子含量は、19ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.5、末端カルボキシル基量は19当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例10
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子180ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は2.6時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは37)中の窒素原子含量は、22ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.6、末端カルボキシル基量は19当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例11
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子230ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸(黄色度YIは11)100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は2.6時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは39)中の窒素原子含量は、27ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.4、末端カルボキシル基量は19当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例12
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子660ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸(黄色度YIは8)100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下で2.5時間重合反応を実施したが得られたポリエステルはこげ茶に着色した(黄色度YIは60以上)。
得られたこげ茶のポリエステル中の窒素原子含量は、54ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は0.7、末端カルボキシル基量は139当量/トンあった。得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で溶解させようと試みたが、かなりの量の溶け残りが観測された。
実施例13
原料として、実施例1の三菱化学社製工業グレードの1,4−ブタンジオール88.5重量部の代わりに窒素原子0.7ppmを含有するバイオマス資源から誘導した1,4−ブタンジオール88.5重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は3時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは−1)中の窒素原子含量は、2.1ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.5、末端カルボキシル基量は21当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例14
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子を含まない石油由来コハク酸(川崎化成(株)社製工業グレード(黄色度YIは2)100重量部に、三菱化学社製工業グレードの1,4−ブタンジオール88.5重量部の代わりに窒素原子0.7ppmを含有するバイオマス資源から誘導した1,4−ブタンジオール88.5重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は3.4時間であった。
得られたポリエステル(黄色度YIは7)中の窒素原子含量は、0.5ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.5、末端カルボキシル基量は28当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
実施例15
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、ジメチルテレフタレート132重量部、窒素原子0.7ppmを含有するバイオマス資源から誘導した1,4−ブタンジオール74重量部ならびに触媒としてテトラブチルチタネートを予め6重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液1.7重量部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら150℃まで加温後、215℃に昇温させながら3時間反応させた。次に、245℃まで昇温し、同時に1.5時間かけて0.07×103Paになるように減圧し、同減圧度で1.5時間反応を行い重合を終了し、白色のポリエステル(黄色度YIは0.4)を得た。
得られたポリエステル中の窒素原子含有量は、0.4ppm、ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は1.2、末端カルボキシル基量は21当量/トンあった。尚、得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で均一に溶解した。
本実施例の検討において、ポリエステル中の窒素原子の含有量が高いほど生分解性が高い傾向があることが見出された。一方、窒素原子の含有量が多いほどポリエステルの着色や重合阻害が著しくなる傾向があることが判る。また、窒素原子の含有量が多いほど、一部ゲル化により生成したと考えられる有機溶媒に対する不溶物が多くなる傾向があり、これらが製品中へ混入されると製品の景観を損ねたり、物性の低下が引き起こされる。
実施例1において窒素原子含有量5ppmの発酵法で製造したコハク酸に替えて、石油由来の市販品原料を用いてポリエステルの製造を行った。コハク酸は川崎化成(株)社製工業グレード(黄色度YIは2)を使用し、1,4−ブタンジオールは三菱化学(株)社製工業グレードを使用した以外は実施例1と同様の方法で実施例1と同様のポリエステルを製造した。製造されたポリエステル中には窒素原子は検出されなかった。得られたポリエステルを、実施例1と同様な試験を行った。結果を表1に示す。
上記の方法で製造したフィルムを5cm×18cmの大きさに切り取り、土壌に埋設した。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月のフィルムの重量減少率を測定した。結果を表に示す。
原料として、実施例1の窒素原子5ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部の代わりに窒素原子5000ppmを含有するバイオマス資源から誘導したコハク酸100重量部を使用した以外は実施例1と同様の重縮合反応条件によってポリエステルを製造した。0.07×103Paの減圧下で2.5時間重合反応を実施したが、ポリエステルの粘度の上昇は観測されなかった。ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は0.3であり、窒素原子の含有量は1200ppmであった。得られたポリエステル(0.5g)は、1dLのフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に室温で溶解させようと試みたが、かなりの量の溶け残りが観測された。
以下に参考例として、本発明のポリエステルおよび各種組成物の成形例および諸物性例を示す。
<組成物の調製>
表2に示す配合割合(重量%)で組成物1および2を調製した。組成物の調製は、テクノベル社製二軸押し出し機(KZW15)を用い、混練温度190℃で実施した。
エコフレックス:ビーエーエスエフジャパン製
また表3に示す配合割合(重量%)で組成物3〜5を調製した。組成物の調製は、東洋精機社製ラボプラストミルを用い、混練温度190℃で実施した。
表4に示すサンプルをCSI社製卓上射出成形機、ミニマックス成形機を用いて射出成形を行った。成形温度200℃とした。物性評価結果も併せて表4に示す。評価はいずれも23℃、50%RH環境下で実施した。
Tダイ成形機を用い、表5に示すサンプルのシート成形を行った。成形温度200℃、ロール温度30℃、シート厚みは500μmとした。物性評価結果も併せて表5に示す。評価はいずれも23℃、50%RH環境下で実施した。
表6に示すサンプルを用いてインフレ成形を行った。成形温度160℃、ブロー比2.5、フィルムの厚みは20μmとした。物性評価結果も併せて表6に示す。評価はいずれも23℃、50%RH環境下で実施した。
本発明のポリエステルを190℃、10MPaでプレス成形し、厚み1mmのシートを作製した。得られたシートを固体状態において,バルブ付き圧力容器内に仕込み、圧力容器内の温度を、外部熱源を用いて100℃まで加熱すると同時に圧力容器内に二酸化炭素を仕込んだ。この際ポンプで加圧することにより15MPaまで昇圧した。その後2時間,100℃の一定温度,15MPaの一定圧力を保持し、2時間後、圧力容器のバルブを全開放して,急速に圧力容器内の圧力を解放することで発泡体を得た。得られた発泡体は水中で押しても泡が出てこない、独立気泡率の高いものであった。
本発明のポリエステルの特徴は、従来の地下の化石燃料依存型、例えば石油資源の依存型のポリエステルに対比して、その地球環境におけるその存在意義において、従来型の認識とは全く異なる理由が成立する。
特に、現在の大気圏という地球環境下で植生した天然材料から発酵等の手法により入手した、いわゆるジオール単位またはジカルボン酸単位をポリエステルのモノマーとして使用するために、原料が非常に安価に入手できる。また、人為的に植物増産を計画的に任意にできるために、植物原料生産が各地、各国に分散して多様化できるので、原料供給にリスクが少なく安定して供給ができる。さらに、モノマーの入手、ポリエステルの合成および生分解という、ポリエステルの原料の段階から使用済みの廃棄という最終段階に至るサイクルが、専ら大気圏下という地球環境の自然プロセスに準拠したものである故に、本発明のポリエステルは信頼性ならびに安心感を与えるサイクルとなる。これは、ポリエステルの技術開発、産業の発展および消費社会の拡充において、無視することができない、重要な背景であることが明らかである。
Claims (18)
- 主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位及びジオール単位であるポリエステルにおいて、該ポリエステルの原料であるジカルボン酸及びジオールの少なくとも一方がバイオマス資源から得られたものであって、ポリエステルの分子内に共有結合されている官能基に含まれる窒素原子を除いたポリエステル中の窒素原子含有量が、該ポリエステルに対して質量比で0.01ppm以上1000ppm以下であることを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステル。
- バイオマス資源が植物資源であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステル中の窒素原子含有量が、該ポリエステルに対して質量比で0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステル中の窒素原子含有量が、該ポリエステルに対して質量比で0.01ppm以上50ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)が0.5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステルの還元粘度(ηsp/c)が、1.0以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステルのYI値が、−10以上30以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ジカルボン酸が、バイオマス資源から誘導されたコハク酸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ポリエステルが、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能化合物単位を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- 3官能以上の多官能化合物単位の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、0.0001モル%以上0.5モル%以下であることを特徴とする請求項9に記載のバイオマス資源由来ポリエステル。
- ジカルボン酸とジオールとの反応によりポリエステルを製造する方法において、反応に供するジカルボン酸原料及びジオール原料の少なくとも一つがバイオマス資源から誘導されたものであり,該バイオマス資源から誘導されたジカルボン酸原料及びジオール原料中の窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上2000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
- 窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする請求項11に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
- 窒素原子含有量が、原料の総和に対して質量比で0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項11又は12に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
- 3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能化合物の存在下で反応させることを特徴とする請求項11〜13いずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
- 請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法により得られるバイオマス資源由来ポリエステル。
- 請求項1〜10及び15のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステル99.9〜0.1重量%に対して熱可塑性樹脂、生分解性樹脂、天然樹脂、または多糖類を0.1〜99.9重量%配合したことを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜10及び15のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルを成形してなる成形体。
- 請求項16に記載のバイオマス資源由来ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形体。
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