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JP4378210B2 - 磁性微粒子分散型樹脂キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

磁性微粒子分散型樹脂キャリア及び二成分系現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法において、電子写真感光体又は静電記録誘導体等の静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像して顕像化するための二成分系現像方法を適用した現像装置に用いられる磁性微粒子分散型樹脂キャリアの改良に関する。また、本発明は該磁性微粒子分散型樹脂キャリアを有する二成分系現像剤に関する。
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光ドラム)上に電気的潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤で現像を行ってトナー像を形成して可視像化し、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー像を定着して複写物を得るものである。電子写真法における現像方法は、主としてキャリアが不要な一成分系現像方法と、トナーとキャリアを用いる二成分系現像方法に分けられ、特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタには、二成分系現像方法が好適に用いられている。
二成分系現像方法としては、磁石を内包した現像スリーブ上に非磁性トナーと磁性キャリアを有する二成分系現像剤の磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを現像剤層厚規制部材により所定の現像剤層厚とした後、感光ドラムに対向する現像領域へと磁気ブラシを搬送し、該現像領域においては、感光ドラムと現像スリーブの間に所定の現像バイアスを印加しながら、該磁気ブラシを感光ドラム表面に近接/又は接触させることによって、上記静電潜像をトナー像として顕像化する方法が知られている。
このような二成分系現像剤に使用される磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、又は磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリア等が挙げられる。鉄粉キャリアにおいては、キャリア自身の抵抗率が低いために、静電潜像の電荷がキャリアを通してリークしてしまい、静電潜像を乱すことから画像欠陥を生じてしまう場合がある。また、フェライトキャリアにおいては、キャリア自身の抵抗率は比較的高いものの、大きな飽和磁化を有しているために磁気ブラシが剛直となりやすく、トナー像に磁気ブラシのはき目ムラを生じてしまう場合がある。
このような問題を解決するために、磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリアが好適に用いられる(例えば、特許文献1参照)。磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、フェライトキャリアよりも抵抗率が比較的に高く、且つ飽和磁化も小さく、真比重も小さくなることから、静電潜像の電荷リークを防止するとともに、磁気ブラシも剛直になることがないので、画像欠陥やはき目ムラのない良好なトナー画像を形成することができる。
鉄粉キャリアやフェライトキャリアを用いる二成分系現像剤においては、粒子間の衝突及び粒子と現像器内との衝突のような機械的衝突、又はこの衝突による発熱によって、トナー粒子の一部がキャリアの表面に物理的に付着して膜を形成してしまう、所謂スペント現象が生じてしまう場合がある。この現象が起こってしまうと、キャリア表面上にトナーの成分による膜が徐々に蓄積され、キャリアとトナー粒子との間の摩擦帯電がトナー粒子間の摩擦帯電に置換されてしまい、二成分系現像剤全体の摩擦帯電特性が劣化して、その結果、コピー画像の地肌部にトナーが多数付着する、所謂地汚れが生じ、コピー品質が低下する場合もある。更に、スペントが顕著となると、現像剤全体を交換する必要が生じ、コストアップとなってしまう場合がある。
これに対して、上述した磁性微粒子分散型樹脂キャリアは飽和磁化が小さく、且つ真比重が小さいため、上記したようなスペントに対しては有利である。磁性微粒子分散型樹脂キャリアは粒子に形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い球形形状にすることが比較的に容易であるため、流動性に優れており、さらに、粒子サイズを広範囲に制御することができることから高速複写機や高速レーザービームプリンタに適用することが期待されている。更に、磁性微粒子分散型キャリア表面にアミノシランカップリング剤及びフルオロアルキルユニット、メチレンユニット等を有する樹脂でコートし、トナースペントを防止する提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、高速複写機や高速レーザービームプリンタのような高速化に対応しようとした場合、磁気力が低いが故に感光体上へのキャリア付着を起こしてしまい、画質を乱してしまう場合がある。
磁性微粒子分散型樹脂キャリアにおいては、汎用性、コストの観点からも、磁性微粒子としてマグネタイトが使用される場合が多いが、磁気力を高くするためにマグネタイト含有量を高くしようとすると、抵抗率の低いマグネタイトがキャリア表面に存在しやすくなることで静電潜像の電荷のリークが発生したり、キャリアの残留磁化が高くなることで現像剤の流動性が低下したり、磁気力の高いマグネタイトの磁気的凝集によるキャリア中への分散性の低下により各キャリア間の物性にバラツキが生じ、トナーの帯電分布が不均一となることで、高濃度でドット再現性の優れた良好な画像を得ることができなくなってしまう場合がある。
マグネタイトの含有量を低くしようとすると、キャリアとしての抵抗率は高くなるものの、上記のような磁気力の低下による感光体上へのキャリア付着と共に、キャリアが絶縁化され、現像時に現像電極として働かなくなるためにハーフトーンとベタ黒との間にエッジ効果が出る、所謂白抜け現象が発生しやすくなり、画像欠陥を生じる場合がある。
これに対して、磁気力は維持しつつ流動性の高い磁性微粒子を用いた磁性キャリアが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、磁性キャリア自体の残留磁化及び流動性のバランスについては十分であるが、抵抗率や飽和磁化については未だ不十分である。上記問題点を更に改良するべく、残留磁化及び流動性のバランスを維持したままで、抵抗率や飽和磁化が高い磁性キャリアが望まれている。
特開平9−281807号公報 特開2000−39740号公報 特開2002−328493号公報
本発明の課題は、静電潜像への電荷のリークやトナー像へのはき目ムラ、トナーのキャリアへのスペントを防止でき、且つ高速化に伴う感光体上へのキャリア付着も無く、白抜け等のない良好な画像を形成することのできる磁性微粒子分散型樹脂キャリアを提供することである。
また本発明の別の課題は、上記磁性微粒子分散型樹脂キャリアを用いることにより、異なる環境下においても長期に渡って、高濃度でドット再現性に優れた画像を得ることができる二成分系現像剤を提供することである。
本発明者等は、磁性微粒子分散型樹脂キャリアにおいて、キャリアの残留磁化及び流動性を維持したままで、磁性微粒子の抵抗率を特定の範囲とすることによって、キャリアとしての電気抵抗、飽和磁化を向上できることがわかり、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)磁性微粒子及びバインダー樹脂を少なくとも含有する磁性微粒子分散型樹脂コアと、該磁性微粒子分散型樹脂コアの表面を被覆する被覆層を有する磁性キャリアにおいて、
前記磁性微粒子の抵抗率は1×10〜1×1010Ω・cmであり、
前記磁性微粒子は、Fe、及びMg成分、Ca成分、Ti成分、Zn成分のうち少なくとも一種以上含有し、各元素換算の総量が総Fe量に対して0.3〜4.0質量%であることを特徴とする磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
(2)前記磁性微粒子は、表面から10質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合B(質量%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合C(質量%)との比が、下記式(1)を満足することを特徴とする(1)の磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
0.3≦B/C<1.0 (1)
(3)前記磁性微粒子分散型キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合A(質量%)が下記式(2)を満足し、且つ抵抗率が1×10〜1×1011Ω・cmであることを特徴とする(1)または(2)の磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
5.0≦A≦30 (2)
(4)トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤において、
前記トナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を少なくとも含有し、重量平均粒径が3.0〜9.0μmであり、
前記磁性キャリアは、(1)〜(3)のいずれかの磁性微粒子分散型樹脂キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
(5)前記結着樹脂は少なくともポリエステルユニットを含み、前記トナーの円相当径2μm以上のトナーにおける粒子の平均円形度が0.920以上0.970以下であることを特徴とする(4)の二成分系現像剤。
本発明によれば、キャリアの残留磁化及び流動性を維持したままで、キャリアとしての電気抵抗、飽和磁化を向上し得る磁性キャリアを提供することができる。
該磁性キャリアを用いた二成分系現像剤は、画像形成に用いた場合、静電潜像への電荷のリークやトナー像へのはき目ムラ、トナーのキャリアへのスペントを防止でき、且つ高速化に伴う感光体上へのキャリア付着も無く、白抜け等のない高濃度でドット再現性の優れた良好な画像を形成できる。さらに、本発明の二成分系現像剤は、トナーの帯電性や定着性を良好に維持したままで、転写性やクリーニング性を著しく向上することが可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、磁性微粒子をバインダー樹脂に分散した磁性微粒子分散型樹脂コアを有している。静電潜像の電荷のリークやトナー画像へのはき目ムラ、トナーのキャリア粒子へのスペントの防止、また高速化に伴う感光体へのキャリア付着も無く、白抜け等のない高濃度でドット再現性の優れた良好な画像を得るためには、この磁性微粒子分散型樹脂コア中の磁性微粒子の電気的特性や磁気特性が大きく関与している。従来、磁性微粒子は電気抵抗が低いがために、非磁性微粒子との併用等により磁性微粒子分散型樹脂キャリアとしての抵抗調整や磁気力調整を行ってきたが、本発明者等は、磁性微粒子自体を高抵抗化することで磁性キャリアの電気抵抗を向上し、且つ磁気特性や流動性を維持することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、磁性微粒子及びバインダー樹脂を少なくとも含有する磁性微粒子分散型樹脂コアと、該磁性微粒子分散型樹脂コアの表面を被覆する被覆層を有し、磁性微粒子分散型樹脂コア中の磁性微粒子は、抵抗率が1×10〜1×1010Ω・cmである。磁性微粒子の抵抗率が上記範囲を満たすことで、キャリアとして飽和磁化を下げることなく電気抵抗を向上することができ、静電潜像の電荷のリークや高速化に伴う感光体へのキャリア付着もなく、白抜け等のない高濃度でドット再現性の優れた良好な画像を得ることができる。磁性微粒子の抵抗率が1×10Ω・cmより低いと、キャリアとしての抵抗率が低くなってしまうことから静電潜像の電荷のリークが起こりやすくなり画像不良となる場合がある。一方、磁性微粒子の抵抗率が1×1010Ω・cmより高いと、キャリアとしての抵抗率が高くなってしまうことから、白抜け等の画像不良が発生しやすくなってしまう。
また、本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いられる磁性微粒子としては、Mg成分、Ca成分、Ti成分、Zn成分のうち少なくとも一種以上含有し、各元素換算の総量が総Fe量に対して0.3〜4.0質量%含有したマグネタイト粒子が好ましい。Mg成分、Ca成分、Ti成分、Zn成分の存在分布と総量を制御したマグネタイト粒子を磁性微粒子型樹脂キャリアの磁性微粒子として用いることにより、キャリアとしての磁気特性を低下させることなく電気抵抗を向上させ、また磁性微粒子間の磁気的凝集を抑制でき得ることからキャリアとしての流動性を著しく向上させることができる。
各元素換算の総量が0.3%未満の場合は、マグネタイト粒子の電気抵抗や流動性に対する改善効果が小さい傾向にある。また、4.0質量%を超える場合は、電気抵抗や流動性の向上は十分認められるものの、マグネタイト粒子の磁気特性の低下が生じやすくなる。
上記マグネタイト粒子は、Fe以外のMg、Ca、Ti、Znのうち少なくとも一種以上の添加元素をマグネタイト粒子の内部よりも表面に多く含有することが好ましい。マグネタイト粒子の表面に露出していない場合は、マグネタイト粒子の電気抵抗や流動性の改善効果が得られない場合がある。
そこで、Fe以外のMg、Ca、Ti、Znのうち少なくとも一種以上の添加元素は、マグネタイト粒子の結晶が形成される前に含有させておくことが必要である。そして、Fe以外の添加元素のマグネタイト粒子表面への含有量を多くするため、例えば、マグネタイト結晶の生成時におけるFe以外の添加元素の添加時期や析出温度、pHを調整する方法が挙げられるが、何らそれらの方法に限定されるものではない。このようにして得られたマグネタイト粒子は、Fe以外のMg、Ca、Ti、Znのうち少なくとも一種以上の添加元素が未添加のものと比較して、マグネタイト粒子の電気抵抗や流動性を著しく向上し、それを磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いた場合、キャリアの性能をより効果的に発揮できる。
また、Fe以外のMg、Ca、Ti、Znのうち少なくとも一種以上の添加元素は、上述した以外の添加元素も使用可能である。例えば、Si、P、S、Cr、Co、Ni、Cuの中から選ばれる少なくとも一種以上を上述した添加元素も合わせた総量で総Fe量に対して0.3〜4.0質量%となるように含有させることが好ましい。
以下に、本発明における磁性微粒子として用いることのできるマグネタイト粒子の好ましい製造方法を説明する。
本発明に用いることのできるマグネタイト粒子は、第一鉄塩水溶液とアルカリ溶液とを中和混合して得られた水酸化第一鉄スラリーを酸化してマグネタイト粒子を製造する方法において、Fe以外のMg、Ca、Ti、Zn等の各元素成分を含有する化合物等を、所定のpH、且つ温度に調整した第一鉄塩水溶液に添加、混合することにより得られた水酸
化第一鉄スラリーを使用することより製造できる。
第一鉄塩として利用できるものは、硫酸第一鉄、塩化第一鉄等、水に可溶性の塩ならば特に限定されない。また、Fe以外のMg、Ca、Ti、Zn等の各元素成分を含有する化合物として使用できるものは、第一鉄塩水溶液中で加水分解を起こして水酸化物として析出しない硫酸塩、塩化物、硝酸塩等から適宜選ばれる。
水酸化第一鉄スラリーを生成させる際のアルカリ溶液量は、Fe以外のMg、Ca、Ti、Zn等の各元素をマグネタイト粒子表面に必要な含有量や、求めるマグネタイト粒子の形状に応じて適宜調整する。
アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水溶液等の水酸化アルカリ水溶液を用いることができる。
本発明で使用できるマグネタイト粒子は、粒状粒子であれば、球状、六面体状、八面体状、多面体状等、いかなる粒子でも問題は無いが、キャリア中への分散性の面から、球状であることがより好ましい。
こうして得られた水酸化第一鉄スラリーを用いて、常法の酸素含有ガス、好ましくは空気をスラリー中に吹き込みながら酸化反応を行い、酸化反応終了後のスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕処理を行い、マグネタイト粒子を得る。
本発明に使用できる磁性微粒子は、上記マグネタイト粒子であることが好ましい。さらに磁性微粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合B(質量%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合C(質量%)との比が、下記式(1)を満足することが好ましい。
0.3≦B/C<1.0 (1)
磁性微粒子のB/C比を上記範囲とすることで、キャリアとしての飽和磁化を下げることなく抵抗率を向上することができ、また、キャリア中での磁性微粒子間の磁気的凝集を抑制し、キャリア中での磁性微粒子の分散性が向上され、それにより、各キャリア粒子間の物性のバラツキを防止できる。また、磁性微粒子の抵抗率とB/C比が上記範囲を満たすことで、磁性微粒子分散型樹脂キャリアを二成分系現像剤に用いた場合、トナーの帯電分布をよりシャープ化でき、更にはキャリアの強度が向上し現像剤の耐久性が向上することで、長期に渡って良好な画像を得ることができる。
磁性微粒子のB/C比が0.3未満の場合は、磁性微粒子表面近傍のFe2+の割合が十分とは言えず、キャリアとしての電気抵抗は高いが磁気特性も悪化する傾向がある。B/C比が0.3未満である磁性微粒子を含有する磁性微粒子分散型樹脂キャリアを二成分系現像剤として画像形成に用いた場合、感光体上へのキャリア付着が生じる場合がある。また磁性微粒子のB/C比が1.0以上の場合は、磁気特性は向上するものの電気抵抗が低くなり、磁性微粒子間の磁気的凝集が悪化し、電荷のリークやキャリア中での磁性微粒子の分散性が低下する傾向がある。
0.3≦B/C<1.0を満たす磁性微粒子としては、上記製造法により得られたマグネタイト粒子を用いればよい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合A(質量%)が下記式(2)を満足し、且つ抵抗率が1×10〜1×1011(Ω・cm)であることが好ましい。
5.0≦A≦30 (2)
磁性微粒子分散型樹脂キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合とキャリアの抵抗率を上記範囲とすることで、二成分系現像剤として画像形成に用いた場合、静電潜像への電荷のリークやトナー像へのはき目ムラ、トナーのキャリアへのスペントを防止でき、且つ高速化に伴う感光体上へのキャリア付着も無く、白抜け等のない高濃度でドット
再現性の優れた良好な画像を形成できる。
キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合が30質量%を超える場合は、二成分系現像剤として磁気ブラシ現像方法に用いた場合、磁気力が高くなり過ぎて磁気ブラシが剛直となり、はき目ムラを生じたり、耐久が進むにつれてトナースペントを促進してしまう場合がある。またFe2+の割合が5質量%未満の場合は、二成分系現像剤として画像形成に用いた場合、磁気力が小さくなり過ぎて感光体へのキャリア付着を起こしたり、キャリアとしての抵抗率も高くなってしまうことから、白抜け現象が発生しやすくなり画質を乱してしまう場合がある。以上のことより、本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合は5.0質量%以上30質量%以下であるが、特に好ましいのは10質量%以上25質量%以下である。
また、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの抵抗が1×10Ω・cm未満の場合は、二成分系現像剤として画像形成に用いた場合、白抜けは良化するが、微小ドットの静電潜像を乱し、ハーフトーン再現性に劣る傾向がある。また、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの抵抗率が1×1011Ω・cmを超える場合は、白抜けが悪化してしまい、潜像電位を十分に満たす現像性を得ることができず、画像が悪化する場合がある。
本発明に用いられる磁性微粒子はBET法による比表面積が2.0〜20m/gであることが好ましい。この範囲にあることで、磁性微粒子分散型樹脂キャリア中への磁性微粒子の分散性が更に良好となり、磁性微粒子分散型樹脂キャリア表面の磁性微粒子の均一分散性が向上する。それにより、キャリアの流動性が良く、また、トナーの帯電分布を更にシャープ化できると共に、キャリアの強度を更に向上することができることから、二成分系現像剤の耐久性を更に向上することができる。
磁性微粒子のBET値が2.0m/g未満の場合は、キャリア中へ内包させにくくなり、磁性微粒子分散型樹脂キャリア表面が不均一となり、キャリアの流動性が著しく低下すると共に、トナーの帯電分布が不均一となってしまう場合がある。
磁性微粒子のBET値が20m/gを超える場合は、磁気微粒子の表面積が大きくなりすぎ、磁性微粒子の磁気的凝集が悪化し、磁性微粒子分散型樹脂キャリア中での磁性微粒子の分散性が悪化して、各キャリア間の物性のバラツキが大きくなってしまう場合がある。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いる磁性微粒子は、1000×(10/4π)・A/m(1000エルステッド)磁界下での磁化の強さ(σ1000)が50〜200Am/kg(好ましくは50〜100Am/kg)、残留磁化(σr)が2〜20Am2/kg(好ましくは2〜10Am/kg)のものが好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いる磁性微粒子は、圧密処理等の公知の方法で高抵抗化処理をして使用することもできる。この圧密処理等は、磁気特性を低下させない条件下で、磁性微粒子の高電気抵抗化が可能であるため、好ましく用いられる。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いる磁性微粒子は、カップリング剤によってカップリング処理されていてもよい。カップリング処理剤としては、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、有機酸基、エステル基、ケトン基、ハロゲン化アルキル基及びアルデヒド基から選ばれた1種又は2種以上の官能基を有する有機化合物やそれらの混合物が使用でき、いずれも本発明の目的を達成することができる。これらのうち、好ましくはシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤であり、特にシラン系カップリング剤が好ましい。更に、好ましい官能基としてエポキシ基、アミノ基又はメルカプト基を有するカップリング剤が、磁性微粒子分散型樹脂キャリア中に磁性微粒子が均一に分散しやすいので好ましく、更には、エポキシ基を有するカップリ
ング剤が、温湿度の影響を受けにくく、キャリアの帯電付与能が安定する点で好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いる磁性微粒子の量としては、磁性微粒子分散型樹脂キャリアに対して70〜95質量%、より好ましくは、80〜92質量%含有することが磁性微粒子分散型樹脂キャリアの真比重を小さくし、機械的強度を十分に確保する上で好ましい。
さらに、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁気特性や真比重を調整するために、磁性微粒子分散型樹脂キャリア粒子中には磁性微粒子に加えて、更に、非磁性無機化合物微粒子を配合しても良い。磁性微粒子と更に非磁性無機化合物微粒子とを含有させる際は、非磁性無機化合物微粒子と磁性微粒子の磁気特性や真比重の違いにより、キャリア粒子中への分散性が均一でないと、キャリア粒子間での物性のバラツキが生じたり、キャリアの粒子形状が球状とならない場合が生じてしまうことがあることから、両微粒子のキャリア粒子中への分散性が均一となるようなものを選択して用いることが好ましい。
磁性微粒子及び非磁性無機化合物微粒子の総量に対して、磁性微粒子は50〜100質量%含まれていることが、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁化の強さ及び抵抗率を調整する上で好ましい。更には磁性微粒子及び非磁性無機化合物微粒子の総量に対して、磁性微粒子が70〜100質量%含まれていることが好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、磁性微粒子が上記マグネタイト微粒子であることが好ましく、また、非磁性無機化合物微粒子としてヘマタイト(α−Fe)微粒子を、磁性キャリアの磁気特性、真比重を調整するために併用しても良い。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、上記磁性微粒子及びバインダー樹脂を少なくとも含有した磁性微粒子分散型樹脂コア(以下、「コア」ともいう)の表面にコート材によりコートされることで形成される被覆層を有するものである。本発明におけるコアを構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フラン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独でも2種以上を混合しても構わないが、少なくともフェノール樹脂を含有していることが好ましい。
本発明におけるコアを構成するバインダー樹脂と磁性微粒子(及び非磁性微粒子)との割合は、質量基準において、バインダー樹脂:磁性微粒子(及び非磁性微粒子)=1:99〜1:50であることが好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアの被覆層に用いる結着樹脂としては、公知の樹脂であればいずれも用いることができるが、好ましくは、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレン等のパーフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等が挙げられる。
特に本発明に好ましく用いられる被覆層を形成する結着樹脂としては、下記式(3)で示されるパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体がよい。
Figure 0004378210
(式中、mは0〜11の整数を示す。)
上述した上記式(3)で示されるパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体は単独でも使用できるが、重合体又は共重合体を混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。
上記式(3)において、mが11を越える場合には、樹脂が溶媒から析出しやすく、コート材に用いて被覆層を形成する場合に良好な被覆層が得にくくなる。特にmが5〜9であることが、該キャリアを二成分系現像剤として用いた場合に良好なトナー離型性とコート成膜性を兼ね備えるためにより好ましい。
さらに、被覆層の結着樹脂として、下記式(4)で示されるユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体を用いることが、コアとの密着性に優れることから好ましい。
Figure 0004378210
(式中、mは0〜11の整数を示し、nは1〜10の整数を示す。)
特に、下記式(5)で示されるユニットと下記式(6)で示される(メタ)アクリル酸エステルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体を磁性微粒子分散型樹脂キャリアの被覆層に用いることが、キャリアからのトナー離れ性を良化させるために好ましい。
Figure 0004378210
(式中、mは0〜11の整数を示し、nは1〜10の整数を示し、lは、1以上の整数を示す。)
Figure 0004378210
(式中、R1は水素又はメチル基を有し、R2は水素又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、kは1以上の整数を示す。)
上記式(5)及び(6)で示されるユニットを有する重合体又は共重合体に上記式(6)で示されるユニットをグラフト重合した樹脂が、長期間使用してもトナー離れ性の特性が維持でき、被覆層がコアから剥がれづらくなり耐剥離性に優れることから、特に好ましい。
被覆層を形成する結着樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、この熱可塑性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)において、重量平均分子量が10,000〜300,000であることが、被覆層の強度及び被覆層とコア表面との耐剥離性を高める点で好ましい。
前記被覆層を形成する結着樹脂は、THF可溶成分のGPCのクロマトグラムにおいて、分子量2,000〜100,000の領域にメインピークを有することが好ましく、さらに、分子量2,000〜100,000の領域にサブピーク又はショルダーを有することが好ましい。最も好ましくは、前記被覆層を形成する樹脂は、THF可溶成分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量20,000〜100,000の領域にメインピークを有し、分子量2,000〜19,000の領域にサブピーク又はショルダーを有するのが良い。上記分子量分布を満足していることにより、小粒径のトナーにおいても多数枚の現像が可能な現像耐久性、トナーへの帯電安定性、外添剤のキャリア表面への付着防止性がさらに向上する。
また、前記被覆層を形成する結着樹脂がグラフト重合体の場合には、グラフト重合体の幹の重量平均分子量が15,000〜200,000であり、枝の重量平均分子量が3,000〜10,000であることが好ましい。前記重量平均分子量は、グラフト重合体の幹の部分の重合条件や、グラフト重合体の枝の部分の重合条件によって調整することが可能である。
本発明においては、グラフト重合体を有する樹脂を、被覆層を形成するためのコート材に用いることが、被覆層のコア表面からの耐剥離性に優れることから特に好ましい。
また、本発明においては、被覆層を形成するための結着樹脂として、コアとの密着性、スペント防止の観点から、シリコーン樹脂を使用することもできる。シリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め好ましい帯電に制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部がシリコーン樹脂をコートする前にキャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましく、その後の被覆層が共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
前記カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに負帯電特性を付与できる。更に、アミノ基の存在は、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの場合、磁性微粒子の処理に好ましく用いられるカップリング剤とシリコーン樹脂の両者を活性化させるため、シリコーン
樹脂のキャリアコアとの密着性を更に高め、同時に樹脂の硬化を促進できるのでより強固な被覆層を形成することができる。
前記被覆層の被覆処理は、30〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。その理由は明確ではないが、下記に記載するものと予想される。
(i)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面にコート材が均一に、また平滑
に被覆される。
(ii)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
被覆層を形成するためのコート材のコアに対するコート量は、コア100質量部に対し、0.3〜4.0質量部であることが好ましい。好ましくは、0.4〜3.5質量部であり、更に好ましくは0.5質量部〜3.2質量部である。
上記範囲である磁性微粒子分散型樹脂キャリアを二成分系現像剤に用いた場合、良好なトナー離れ性を得ることができ、白抜け等の画像欠陥が起こりにくい。0.3質量部より少ないとコア表面を十分コートすることができず、本発明の効果を発現させづらい。また、4.0質量部を越えるとコート時に均一なコートができなくなり、チャージアップや、コア表面が露出し、その部分でのトナースペントを生じる場合がある。また、磁性微粒子分散型キャリアの抵抗率が高くなり、白抜け等の画像欠陥を生じる場合がある。
上記被覆層中には、キャリア表面の形状を更に均一化するため、及び/又はトナーの帯電分布をよりシャープ化するために、微粒子を含有することが好ましい。
微粒子としては、有機、無機いずれの微粒子を用いることができるが、コアにコート材をコートして被覆層を形成する際に微粒子の形状を保つことが必要であり、好ましくは、架橋樹脂微粒子又は無機微粒子を好ましく用いることができる。具体的には、架橋樹脂微粒子として、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、ナイロン樹脂微粒子等が挙げられ、無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及びアルミナ微粒子等が挙げられ、これらから単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子が帯電安定性の観点で好ましい。
これらの微粒子は、被覆層に用いる結着樹脂100質量部に対して、1〜40質量部含有させて用いることが好ましい。前記範囲で用いることにより、帯電安定性やトナー離れを良好にし、白抜け等の画像欠陥を防止することができる。1質量部未満の場合は、微粒子添加の効果を得ることができず、40質量部を超える場合、耐久中に被覆層からの欠落が発生し、耐久性に劣る傾向がある。
被覆層に用いる微粒子の粒径は、個数平均粒径で0.08〜0.70μm(より好ましくは0.10〜0.50μm)であることが、トナー離れを良好にするために好ましい。0.08μm未満の場合、被覆層中に微粒子を分散させるのが困難となり、0.70μmを超える場合、耐久中に被覆層から微粒子の欠落が発生し、耐久性に劣る傾向がある。
被覆層には、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの抵抗率を下げ過ぎず、且つキャリア表面の残留電荷を除去するために、導電性微粒子を含有するのが好ましい。
導電性微粒子としては、抵抗率が1×10Ω・cm以下のものが好ましく、更には1×10Ω・cm以下のものがより好ましい。具体的には、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、及び酸化錫から選ばれる少なくとも一種以上の導電性微粒子を含有することが好ましい。特に少量の添加量でキャリア表
面の残留電荷を除去することが可能であり、且つ粒径が小さくキャリア表面の微粒子による凹凸を阻害することがないことから、導電性微粒子としてカーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックの粒径は、個数平均粒径で10〜60nm、より好ましくは15〜50nmであることが、キャリア表面の残留電荷を良好に除去し、かつキャリアからの脱離を良好に防止するために好ましい。
カーボンブラックのDBP吸油量としては、カーボンブラック100gへのDBP吸油量が20〜500mlが好ましく、更に好ましくは、25〜300mlであり、特に好ましくは、30〜200mlである。
DBP吸油量が上記範囲の場合、キャリア表面の残留電荷除去が効率的に行われ、キャリアを帯電コントロールする上で好ましい。20ml/100g未満の場合、カーボンブラックのストラクチャーが短いため効率的な電荷除去が行われず、添加効果が発現しにくい。
これらの導電性微粒子は、被覆層の結着樹脂100質量部に対し1〜15質量部含有させて用いることが、キャリアの抵抗率を下げすぎず、且つキャリア表面の残留電荷除去を効率的にすることから好ましい。1質量部未満の場合は、キャリア表面の残留電荷除去の効果が発現しにくく、15質量部を超える場合には、被覆層中での分散が不安定になり、また、過剰の電荷除去効果のため、キャリア自身の帯電付与能が低下することがある。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、個数平均粒径が10〜80μmが好ましい。個数平均粒径が10μm未満であると、キャリア粒子当たりの磁化量が小さくなることで、感光体へのキャリア付着が生じやすくなる場合がある。また、80μmを超えると、トナーに対して比表面積が小さくなることで良好な帯電付与ができなくなる場合がある。高画質化及びキャリア付着を防止する為に、さらに15〜60μmが好ましく、特に20〜45μmが好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、1000×(103/4π)・A/m(1
000エルステッド)の磁界下で測定した磁化の強さ(σ1000)が15〜80Am2
/kg(emu/g)であり、残留磁化(σr)が10Am2/kg以下であることが好
ましい。磁化の強さ(σ1000)が80Am/kgを越える場合には、磁性微粒子分散型樹脂キャリアを二成分系現像剤として磁気ブラシ現像法に用いたときに磁気ブラシ中でトナーへのストレスが増大し、トナーが劣化し、またキャリアへのスペントも起こりやすくなる場合がある。また、磁化の強さ(σ1000)が15Am/kg未満の場合、現像スリーブへの磁気的拘束力がなくなり、キャリア付着し、感光体表面に付着して画像に欠陥を生ずる場合がある。また、残留磁化(σr)が10Am2/kgをこえる場合は
、磁気的凝集による流動性不良が生じる場合もある。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、真比重が2.5〜4.5g/cmが好ましく、更に好ましくは3.0〜4.0g/cmである。磁性微粒子分散型樹脂キャリアの真比重がこの範囲にあると、磁性微粒子分散型樹脂キャリアとトナーとの撹拌混合においてトナーへの負荷が少なく、キャリアへのトナースペントが抑制され、また感光体へのキャリア付着が抑制されるので好ましい。
本発明における磁性微粒子分散型樹脂コアを製造する方法としては、以下の通りである。バインダー樹脂を構成するモノマーと、上記の抵抗率、Fe2+含有割合、Fe以外の元素含有量等の物性を満たす磁性微粒子を混合し、前記モノマーを重合して磁性微粒子分散コア粒子を得る。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を形成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデ
ヒド類、メラミンとアルデヒド類;等が用いられる。具体的に例えば、硬化系フェノール樹脂を用いた磁性微粒子分散コア粒子の製造方法として、水性媒体に磁性微粒子を入れ、この水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合して磁性微粒子分散型コアを得る方法がある。
磁性微粒子分散樹脂コアを製造する他の方法としては、ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性微粒子、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融・混練して、これを冷却後、粉砕・分級を行って磁性微粒子分散コアを得る方法がある。この際、得られた磁性微粒子分散型コアを熱又は機械的に球形化して、本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリア用の磁性微粒子分散コアとして用いることが好ましい。このとき用いられるバインダー樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が、帯電付与性、耐久性、耐衝撃性、耐熱性に優れる点で好ましい。バインダー樹脂は、本発明の特性をより好適に発現させるためには、キャリア粒子中への磁性微粒子の分散性やハンドリング性の点からフェノール樹脂がより好ましい。
フェノール樹脂を生成するためのモノマーとしてのフェノール類としては、フェノール自体の他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類及びこれらの化合物のベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。中でもフェノール(ヒドロキシベンゼン)がより好ましい。
フェノール樹脂を生成するためのモノマーとしてのアルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられる。中でもホルムアルデヒドが特に好ましい。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1〜4が好ましく、特に好ましくは1.2〜3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、コアが生成し難かったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行し難いために、生成するコアの強度が弱くなる傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
フェノール類とアルデヒド類とを縮重合させる際に塩基性触媒を使用するが、通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている塩基性触媒を用いればよい。このような塩基性触媒としては、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02〜0.3が好ましい。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、被覆層に用いられる材料をコート材として用いて、上記のようにして得られたコアにコートすることにより被覆層を形成して得られる。
本発明は、上記磁性微粒子分散型樹脂キャリアを及びトナーを含有する二成分系現像剤である。次に、本発明の二成分系現像剤に用いられるトナーについて説明する。
本発明の二成分系現像剤に用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を少なくとも含有し、且つ重量平均粒径が3.0〜9.0μmである。本発明におけるトナーは、必要に応じて外添剤が添加されていてもよい。
トナーの重量平均粒径が9.0μmを超えると、静電荷像を現像するトナー粒子が大きくなるために、静電荷像に忠実な現像が行われにくく、また、静電的な転写を行うとトナ
ーが飛び散りやすくなる。また、トナーの重量平均粒径を3.0μm未満とした場合には、トナーとしてのハンドリング性が低下する。
トナーに用いられる結着樹脂としては、公知の樹脂が使用可能であるが、中でも「ポリエステルユニット」を有するポリエステル樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。
本発明で用いられる「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味する。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分を意味する。
本発明におけるトナーは、これらのポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーを原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることが好ましい。
このような結着樹脂は、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、から選択される樹脂である。
本発明におけるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成する樹脂であり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(又はブロック共重合体)である。
本発明において「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーとしては、ビニル系重合体に用いられるビニル基を有するモノマーが挙げられる。
ポリエステルユニットのモノマーである2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には以下のものが挙げられる。2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記一般式(7)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これら縮重合したポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有するので好ましい。
Figure 0004378210
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である。)
なお、本発明におけるトナーに含有される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂が好ましいが、より好ましくは、全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニットが、全結着樹脂に対して30質量%以上の樹脂である。更に好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。
全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニットが、全結着樹脂に対して30質量%以上である場合、定着性や帯電安定性が良好となる点で好ましい。
ハイブリッド樹脂に用いられるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチ
レン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーもビニル系モノマーとして挙げられる。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するスチレン誘導体もビニル系モノマーとして挙げられる。
本発明において、結着樹脂のビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤には、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
ビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットは多官能の架橋剤で架橋された構造であってもよく、そのとき用いられる多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
本発明ではビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれか一方又は両方の中に、両ユニットの成分と反応し得るモノマーを含んだハイブリッド樹脂を用いることが好ましい。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーのうちビニル系重合体ユニットの成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するビニル系モノマーのうちポリエステルユニットの成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基もしくはヒドロキシ基を有するビニル系モノマーや、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
本発明に用いられるビニル系重合体及びビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製する製造方法としては、例えば、以下の(i)〜(vi)に示す製造方法を挙げることができる。
(i)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレ
ンドする方法であり、ブレンド品は、有機溶剤(例えば、キシレン)に前記樹脂を溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去することによって製造される。なお、ハイブリッド樹脂には、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
(ii)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加)と、ポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)及びポリエステルユニットのいずれか一方との反応、又は両方との反応により製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(iii)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブ
リッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット(必要に応じてポリエステル系モノマーも添加)と、ビニル系重合体ユニット及びビニル系モノマーとのいずれか一方又は両方との反応により製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(iv)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加することによりハイブリッド樹脂が製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
(v)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造
後、ビニル系モノマー及び/又はポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及/又はポリエステル樹脂、又は更にハイブリッド樹脂が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド成分は上記(ii)〜(iv)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(vi)ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(i)〜(vi)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユ
ニットには、分子量や架橋度の異なる複数種の重合体ユニットを使用することができる。なお、本発明におけるビニル系重合体とは、ビニル系単重合体又はビニル系共重合体を意味し、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
本発明におけるトナーの結着樹脂として好ましく用いられるポリエステルユニットを有する樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布においてメインピークを分子量3,500〜15,000の領域に有していることが好ましく、さらに分子量4,000〜13,000の領域に有することが好ましい。また、Mw/Mnが3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少する傾向がある。一方、メインピークが分子量15000を超える領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及びOHPの透過性が低下する傾向がある。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性が減少する傾向がある。
本発明におけるトナーの結着樹脂として好ましく用いられるポリエステルユニットを有
する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が40〜90℃で、軟化温度(Tm)が80〜150℃であることが、保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、着色剤の分散性を両立させる上で好ましい。
また、本発明におけるトナーの結着樹脂として好ましく用いられるポリエステルユニットを有する樹脂は、酸価が50mgKOH/g未満であることが現像耐久安定性や着色剤の分散性を良化させる点で好ましい。
本発明に用いられるトナーは、定着性を著しく向上することができるため、トナー粒子に離型剤としてのワックスを含有していることが好ましい。
本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル等のエステルワックス、カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス及び脂肪酸とアルコールのエステルであるエステル化物が挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合又は低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、又はこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスはその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
本発明に用いられるワックスは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が60〜130℃の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは65〜125℃の範囲であり、特に好ましくは65〜110℃の範囲である。
ワックスの最大吸熱ピーク温度が60〜130℃の範囲の場合、ワックスがトナー粒子中で適度に微分散性されるため、本発明の効果を発現させるために好ましい。一方、最大吸熱ピークが60℃未満の場合、トナーの耐ブロッキング性が悪化し、逆に最大吸熱ピークが130℃を超える場合、定着性が悪化する傾向にある。
本発明におけるトナーに用いられる着色剤としては、公知の染料又は/及び顔料が使用される。顔料単独使用でもかまわないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28等の塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45又は下記一般式(8)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
Figure 0004378210

(式中、nは1〜5の整数を示す。)
イエロー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20等である。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162等の染料も使用することができる。
本発明に用いられる黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄粒子、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン用の着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
本発明においてトナーを製造する際、結着樹脂に予め着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。このことにより、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることで、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
トナーの製造において、結着樹脂を用い着色剤をマスターバッチ化させることで得られるトナーは、多量の着色剤を用いた場合においても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが出来る。
トナー中における着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部、最も好ましくは2〜10質量部が良い。色再現性、現像性の点で好ましい。
本発明におけるトナーは、その帯電性を安定化させるために公知の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1〜10質量部含まれることが好ましく、0.1〜5質量部含まれることがより好ましい。このような荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが
知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
本発明の二成分系現像剤はカラー画像形成に用いられることから、荷電制御剤としては無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸金属化合物が好ましい。
本発明におけるトナーは、粉砕・分級後、流動化剤等をヘンシェルミキサー等の混合機でトナー粒子に添加することにより、トナーの流動性を向上して用いることができる。
トナー粒子に添加する流動化剤としては、トナー粒子に添加することにより流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂微粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等のシリカ微粉末、それらをシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により疎水化表面処理を施した処理シリカ微粉末等がある。
乾式製法シリカとしては、従来公知の技術によって、例えば、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化によって生成された微粉末(いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもの)が挙げられる。具体的には、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
上記製造方法において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉末を得ることも可能であり、それらも包含する。シリカ微粉末の粒径は、平均一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉末を使用するのが良い。
酸化チタン微粉末としては、硫酸チタンを加水分解して焼成する硫酸法;四塩化チタンを高温で酸化する塩素法、チタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネート等の揮発性チタン化合物の低温酸化(熱分解、加水分解)法;により得られる酸化チタン微粉末が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
アルミナ微粉末としては、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉末が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ型、これらの混晶型、アモルファスのものが好ましく用いられる。
疎水化表面処理の方法としては、上記の流動化剤として用いられる微粉末と反応又は物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、又は物理的に処理することによって付与される
流動化剤として好ましいものは、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉末を有機ケイ素化合物で処理したものである。有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは単独で又は2種以上の混合物で用いることができる。
本発明に用いられる流動化剤として、乾式法シリカを、アミノ基を有するカップリング剤又はシリコーンオイルで疎水化表面処理したものを用いることが好ましい。
本発明に用いられる流動化剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上、好ましくは50m/g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子に対する流動化剤の割合は、トナー粒子100質量部に対して好ましくは0.01〜8質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
トナーを製造する手順について説明する。本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理や分級処理を行ってトナー粒子を得、トナー粒子に必要に応じて前記流動化剤を混ぜることによって製造することが可能である。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、一軸又は二軸押出機が主流となっており、例えば、(株)神戸製鋼所製のKTK型二軸押出機、東芝機械(株)製のTEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製の二軸押出機、ブス社製のコ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業(株)製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング(株)製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、本発明において好ましくは重量平均粒径3.0〜9.0μmの分級品を得る。
必要に応じて、例えば(株)奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン(株)製のメカノフージョンシステムを用いて表面改質及び球形化処理を行ってもよい。このような場合では必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械(株)製)等の篩分機を用いても良い。更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナー粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
また、本発明に使用可能なトナーを製造する他の方法として、懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体には不溶な水系有機溶剤を用い、直接トナー粒子を生成する分散重合方法、又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用いトナー粒子を製造する方法等を用いてもよい。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in site重合法、コアセルベーション法等の製造方法も使用することもで
きる。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を生成する場合には、重合開始剤として、2,2’−アゾヒス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するための公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、分散剤として無機系酸化物を用いることができる。無機系酸化物としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機系化合物としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。これらは水相に分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。また、これら分散剤の微細化のための0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン型、アニオン型又はカチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンダデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
トナーの製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下に示す製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。単量体中に低軟化物質からなる離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散させた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機又はホモミキサー、ホモジナイザー等により分散させる。好ましくは単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、更に、耐久特性向上の目的で、未反応の重合性単量体及び副生成物を除去するために反応後半又は反応終了後に、一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄及びろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
本発明に用いられるトナーの形状としては、トナーの円相当径2μm以上のトナーに含まれる粒子の平均円形度が0.920以上0.970以下であることが好ましい。
トナーの平均円形度がこの範囲にあることで、トナーの帯電性や定着性を良好に維持したままで、転写性やクリーニング性を著しく向上することが可能である。
トナーの平均円形度が0.920より小さくなると、トナー粒子間、またトナー−キャリア粒子間、さらにはトナーと感光ドラムや中間転写体といった電子写真部材との接触面積のバラツキが大きくなり、トナーの帯電分布が不均一となることで、各部材からのトナー離れが悪化し、特に転写不良を生じる場合がある。また、上記流動化剤を添加した場合でも、トナー粒子表面への均一添加が困難となるため、トナーの流動性や転写性に対する改善はほとんど得られない場合がある。
トナーの平均円形度が0.970を超える場合は、トナーの形状が真球状に近づくため、転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けてしまう等のクリーニング不良が生じたり、表面改質及び球形化処理等を過剰に行うことにより、トナー粒子中のワックスがしみ出しやすくなり、現像性の低下や電子写真部材の汚染等が生じてしまう場合もある。
以上説明してきたように、上記磁性微粒子分散型樹脂キャリア及びトナーを用いた二成分系現像剤とすることで、帯電性、定着性、転写性、クリーニング性を更に向上した二成分系現像剤を得ることができる。
電気抵抗や飽和磁化が高く、残留磁化や流動性が良好な磁性微粒子分散樹脂コアを有する上述の磁性微粒子分散型樹脂キャリアと、帯電性や定着性、転写性、クリーニング性に優れた上述のトナーを二成分系現像剤に用いることで、トナーの帯電分布を更にシャープ化でき、また、感光体上に形成される静電潜像に対して、電荷のリークやはき目ムラ、エッジ効果等により潜像を乱すことなく、またトナーの選択現像やトナーへのストレス、キャリアへのトナースペントを更に軽減できることで、現像剤劣化が抑制された二成分系現像剤を得ることが可能となるため、トナーの諸特性を更に高度に維持することができるという相乗効果を有し、異なる環境下においても長期に渡って高濃度でドット再現性の優れた画像を得ることができる。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアとトナーを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
以下に本発明に関わる物性の分析・測定方法について述べる。
(1)磁性微粒子分散型樹脂キャリア中の総Fe量に対するFe2+の割合A(質量%)及び磁性微粒子中の総Fe量に対するFe2+の割合B及びC(質量%)、磁性微粒子中の総Fe量に対するFe以外の金属元素の割合(質量%)
<試料の準備>
本発明においては、上記物性測定に使用する磁性微粒子及び非磁性微粒子として、コア形成前の磁性微粒子及び非磁性微粒子からなる粉末又は、磁性微粒子分散型樹脂コアから磁性微粒子及び非磁性微粒子を分離した粉末を、サンプルとする。いずれの場合も物性値は変わらないが、本測定方法では煩雑を避けるため、磁性微粒子分散型樹脂キャリアからコア及び磁性微粒子、非磁性微粒子を分離して得る粉末を用いる。磁性微粒子及び非磁性微粒子からなる粉末を得る方法として、下記のように前処理を行う。
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリアから被覆層を分離するため、被覆層が可溶な有機溶媒(例えばメチルエチルケトン、トルエン、及びその混合溶媒)を用いて、超音波分散器による剥離を行い、磁石等を用いて被覆層とコアの分離を行う。
得られたコアから磁性微粒子を分離するため、コアを沸点の高い有機溶媒(例えば、N−メチルピロリドン等)に浸漬し、オイルバスにて180〜190℃に加温することによりバインダー樹脂を膨潤させた後、超音波分散器により磁性微粒子の脱離を行い、遠心分離器等で磁性微粒子分散液として分離を行う。得られた分散液を、メチルエチルケトン等の有機溶媒で置換・洗浄し、有機溶媒を揮発させることで、磁性微粒子及び非磁性微粒子からなる粉末を得る。
得られた粉末を用いて、磁性微粒子分散型樹脂キャリア中のFe2+量を以下のようにして算出する。該粉末から磁石等を用いて磁性微粒子の分離を行う。得られた磁性微粒子を用い、以下のようにして磁性微粒子中のFe2+比を算出する。
<磁性微粒子分散型樹脂キャリア中の総Fe量に対するFe2+量の割合A(質量%)>
3800mlの脱イオン水に磁性微粒子及び非磁性微粒子からなる粉末試料25gを加え、ウォーターバスで35〜40℃を保ちながら、攪拌速度3.5s−1で攪拌する。このスラリー中に特級塩酸試薬424mlを溶解した塩酸水溶液(脱イオン水)1250mlを加え、溶解を開始する。
溶解開始から全て溶解して透明になったところで、100mlサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターでろ過して、ろ液を採取する。採取したろ液の内、25mlをICP(プラズマ発光分析)によって鉄元素濃度の定量を行う。定量の際は、鉄元素濃度が既知のサンプルを準備し検量線を作成した上で、上記溶解した鉄元素濃度を定量する。
磁性微粒子分散型樹脂キャリア中のFe2+量の割合Aは、残りのろ液25mlに脱イオン水約75mlを加えて試料を調整して、指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加えて、0.1N重クロム酸カリウムを用いて酸化還元滴定し、該試料が青紫色に着色したところを終点として滴定量を求め、次式により磁性微粒子分散型樹脂キャリア中のFe2+の総Fe量に対する割合A(質量%)を求める。
Figure 0004378210
<磁性微粒子中の総Fe量に対するFe2+の割合B及びC(質量%)>
粒子表面から10質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合B(質量%)及び残りの90質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合C(質量%)は、以下のようにして求められる。
3800mlの脱イオン水に磁性微粒子及び非磁性微粒子から磁性微粒子だけを分離した粉末試料25gを加え、ウォーターバスで35〜40℃を保ちながら、攪拌速度200rpmで攪拌する。このスラリー中に特級塩酸試薬424mlを溶解した塩酸水溶液(脱イオン水)1250mlを加え、溶解を開始する。
溶解開始から全て溶解して透明になるまで、10分毎に50mlサンプリングし、0.1μmメンブランフィルターでろ過して、ろ液を採取する。採取したろ液の内、25mlをICP(プラズマ発光分析)によって鉄元素濃度の定量を行い、下記式より鉄元素溶解率を求める。定量の際は、鉄元素濃度が既知のサンプルを準備し検量線を作成した上で、上記溶解した鉄元素濃度を定量する。
Figure 0004378210
各サンプル中のFe2+含有量は、残りのろ液の内、25mlに脱イオン水約75mlを加えて試料を調整して、指示薬としてジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを加えて、0.1N重クロム酸カリウムを用いて酸化還元滴定し、該試料が青紫色に着色したところを終点として滴定量を求め、各サンプル中のFe2+の割合を求める。
ここで求められた鉄元素溶解率とFe2+の割合の関係をプロットし、鉄元素溶解率が10質量%に到達したときのFe2+の割合をB(質量%)、鉄元素溶解率が10質量%から100質量%の間のFe2+の割合をC(質量%)とする。
<磁性微粒子中の総Fe量に対するFe以外の金属元素の割合(質量%)>
磁性微粒子中の総Fe量に対するFe以外の金属元素の割合(質量%)に関しても、上記手法を用いて磁性微粒子を溶解し、得られたろ液をICP(プラズマ発光分析)を用いてFe以外の金属元素濃度の定量を行い、その定量値と溶解した鉄元素濃度から磁性微粒子中の総Fe量に対するFe以外の金属元素の割合(質量%)を求める。
(2)磁性微粒子の比表面積BETの測定
磁性微粒子の比表面積は以下のように測定する。BET法にしたがって、比表面積測定装置Tristar3000((株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、B
ET多点法を用いて、比表面積を算出する。比表面積の測定前には、試料管に試料を約9g精秤し、室温で24時間真空引きを行って前処理をしておく。
また、磁性微粒子は測定方法(1)と同様にして磁性微粒子分散型樹脂キャリア中から分離する。
(3)磁性微粒子分散型樹脂キャリア、磁性微粒子、非磁性微粒子の抵抗率の測定
磁性キャリア、磁性微粒子、非磁性微粒子の抵抗率は、図1に示した測定装置を用いて行う。必要に応じて、前処理を行い、試料の調製を行う(磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いられている磁性微粒子、非磁性微粒子は、上記Fe2+の含有量測定の前処理と同様にして、得ることができる)。
抵抗率の測定は、セルEに、試料を充填し、該充填試料に接するように下部電極11及び上部電極12を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって行う。本発明における抵抗率の測定条件は、充填試料と電極との接触面積S=約2.4cm、試料の厚みd=約0.2cm、上部電極の荷重240gとする。電圧の印加条件は、印加条件I、II、IIIの順に印加し、印加条件IIIでの印加電圧での電流
を測定する。その後、試料の厚みdを正確に測定し、それぞれの電界強度(V/cm)における抵抗率(Ω・cm)を計算により求め、電界強度3000V/cmにおける抵抗率を、試料の抵抗率とする。
印加条件I:(0V→1000V:30秒おき200Vずつステップ状に増大)
II:(1000Vで30秒ホールド)
III:(1000V→0V:30秒おき200Vずつステップ状に減少)
試料の抵抗率(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
(4)結着樹脂、トナー、被覆層用結着樹脂のGPC測定による分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。測定には、HLC−8120GPC(東ソー(株)製)を用いる。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー(株)製又はPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.
6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポ
リスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105
の組み合わせを挙げることができる。
(5)被覆層中の微粒子の粒径測定
被覆層中の微粒子の粒径は以下のように測定する。磁性微粒子分散型樹脂キャリアからトルエン等の被覆層の結着樹脂が可溶な溶媒を用いて、溶媒に溶けだした成分を得、走査電子顕微鏡(50,000倍)により、粒径が5nm以上の微粒子をランダムに500個以上抽出し、長軸と短軸をデジタイザにより測定し、平均したものを粒径とし、500個以上の粒子の粒径分布(10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムから)のピークになる粒径をもって個数平均粒径として算出する。
(6)被覆層中のカーボンブラック(導電性微粒子)の粒径測定
被覆層中のカーボンブラックの粒径は以下のように測定する。磁性微粒子分散型樹脂キャリアからトルエン等の被覆層の結着樹脂が可溶な溶媒を用いて、溶媒に溶けだした成分を得、走査電子顕微鏡(50,000倍)により、粒径が5nm以上のカーボンブラックをランダムに500個以上抽出し、長軸と短軸をデジタイザにより測定し、平均したもの
を粒径とし、500個以上の粒子の粒径分布(10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムから)のピークになる粒径をもって個数平均粒径として算出する。
(7)被覆層中のカーボンブラックのDBP吸油量測定
カーボンのDBP吸油量は、JIS−K 6221−1982 6.1.2 A法(機械
練り法)によるDBP吸油量(ジブチルフタレート吸油量)により算出する。
(8)磁性微粒子分散型樹脂キャリア及び磁性微粒子の磁化の強さ測定
磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁化の強さは、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁気特性と磁性微粒子分散型樹脂キャリアの真比重とから求められる。磁気微粒子分散型樹脂キャリアの磁気特性は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定した。測定環境は、23℃・50%RHとした。
測定方法としては、円筒状のプラスチック容器に十分密になるように磁性微粒子分散型樹脂キャリアを充填し、一方で79.6kA/m(1キロエルステッド)の外部磁場を作り、この状態で前記容器に充填した磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、前記容器に充填した磁性微粒子分散型樹脂キャリアの実際の質量を測定して、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの磁化の強さ(Am/kg)を求める。
(9)磁性微粒子分散型樹脂キャリアの真比重の測定
磁性微粒子分散型樹脂キャリア粒子の真比重は、例えば乾式自動密度計1330((株)島津製作所製)により求めることができる。
(10)磁性微粒子分散型樹脂キャリアの粒径の測定
磁性微粒子分散型樹脂キャリアの平均粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上のキャリア子を300個以上抽出し、デジタイザにより水平方向フェレ径をキャリア粒径として測定し、平均した値を磁性微粒子分散型樹脂キャリアの個数平均粒径として算出する。
(11)トナーの粒径の測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II又はコールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)を用いる。電解液は、約1%NaCl水溶液を用いる。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された電解液や、例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン(株)製)が使用できる。
測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記測定装置により、試料の体積及び個数をチャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布とを算出する。得られたこれらの分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
(12)トナーの平均円形度測定
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス(株)製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
Figure 0004378210
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
Figure 0004378210
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分け、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス(株)製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
以下、具体的製造例及び実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
[磁性微粒子の製造]
<マグネタイト微粒子の製造例1:(M−1)>
2mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルに0.1molの硫酸カルシウム水溶液を2リットル及び0.2molの硫酸亜鉛水溶液を3リットル添加し、5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液45リットルを混合して水酸化第一鉄スラリーを得る。この水酸化第一鉄スラリーをpH7.5、温度90℃に維持して機械攪拌を行いながら、空気を吹き込み酸化反応を行った。得られたマグネタイト微粒子を含むスラリーを常法のろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、マグネタイト微粒子(M−1)を得た。得られたマグネタイト微粒子(M−1)の物性を表1に示す。
<マグネタイト微粒子の製造例2〜9:(M−2)〜(M−9)>
マグネタイト微粒子の製造例1において、硫酸第一鉄水溶液に加える硫酸マグネシウム水溶液、硫酸カルシウム水溶液、硫酸チタニル水溶液、硫酸亜鉛水溶液の使用量を適宜変更して水酸化第一鉄スラリーを得て、空気流入量及び反応温度、反応時間を変更する以外は同様にして、マグネタイト粒子(M−2)〜(M−9)を得た。得られたマグネタイト微粒子(M−2)〜(M−9)の物性を表1に示す。
<マグネタイト微粒子の製造例10〜13:(M−10)〜(M−13)>
マグネタイト微粒子製造例1におけるCa成分及びZn成分を含有する硫酸塩は添加しないで、空気流入量及び反応温度、反応時間を変更する以外は同様にして、マグネタイト微粒子(M−10)〜(M−13)を得た。得られたマグネタイト微粒子(M−10)〜(M−13)の物性を表1に示す。
Figure 0004378210
[被覆層に用いるコート材の製造]
<コート材の製造例1>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、下記式(9)で示されるユニットを有するモノマー46質量部、メチルメタクリレート51質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管及びすり
合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、グラフト共重合体溶液(固形分35質量%)を得た。グラフト共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、20,000であった。
Figure 0004378210
得られたグラフト共重合体溶液30質量部に対して、メラミン樹脂微粒子(個数平均粒径0.25μm)0.7質量部、カーボンブラック(個数平均粒径35nm、DBP吸油量50ml/100g)1.2質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーにて攪拌しコート材αを得た。
<コート材の製造例2>
コート材の製造例1におけるカーボンブラックの添加量を24質量部に変えた以外はコート材の製造例1と同様にしてコート材βを作製した。
<コート材の製造例3>
コート材の製造例1において、上記式(9)で示されるユニットを有するモノマー4質量部、メチルメタクリレートマクロマー93部に変更し、メラミン樹脂及びカーボンブラック添加しない以外はコート材の製造例1と同様にしてコート材γを作製した。
[磁性微粒子分散型樹脂キャリアの製造]
<磁性微粒子分散型樹脂キャリアの製造例1>
まず、下記材料を用いて以下のようにして、磁性微粒子分散樹脂コアを得た。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(37質量%水溶液) 6質量部
・マグネタイト微粒子(M−1) 84質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性微粒子分散樹脂コアを得た。
次に、得られたコア1000質量部を、剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、コート材α30質量部を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させてコア表面へのコートを行い、被覆層を形成した。この樹脂コートされた磁性微粒子分散型樹脂キャリアを100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、目開き76μmの篩で分級して個数平均粒径32μm、総Fe2+量が19.6質量%、抵抗率2.8×10Ω・cm、真比重3.6g/cm、磁化の強さ64.8Am/kg、残留磁化5.88Am/kgの磁性微粒子分散型
樹脂キャリア(C−1)を得た。得られた磁性微粒子分散型樹脂キャリア(C−1)の物性を表2に示す。
<磁性微粒子分散型樹脂キャリアの製造例2〜13>
磁性微粒子分散型樹脂キャリアの製造例1において、磁性微粒子を(M−2)〜(M−13)に変え、ヘマタイトの使用量(表2を参照)、コート材の種類を変更した以外は、磁性微粒子分散型樹脂キャリアの製造例1と同様にして、磁性微粒子分散型樹脂キャリア(C−2)〜(C−13)を得た。得られた磁性微粒子分散型樹脂キャリア(C−2)〜(C−13)の物性を表2に示す。
Figure 0004378210
[トナーの製造]
<トナーの製造例1>
ビニル系重合体ユニットのビニル系モノマーとして、スチレン1.1mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.14mol、アクリル酸0.1mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリエステルユニットのポリエステル系モノマーとして、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン0.8mol、テレフタル酸0.8mol、無水トリメリット酸0.6mol、フマル酸1.5mol及びジブチルスズオキサイドを0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管
を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートより上記ビニル系モノマー、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで245℃に昇温を行い、4時間反応させてポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂Aを得た。ハイブリッド樹脂Aは、重量平均分子量80000、数平均分子量3200の樹脂を得た。
・ハイブリッド樹脂A 100質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.7質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 4.8質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により分級を行い、シアントナー粒子を得た。チラーユニット等の冷却機構を具備したメカノフュージョンシステムを用い表面改質を行い、重量平均粒径6.5μm、平均円形度0.945のシアントナー粒子を得た。
得られたシアントナー粒子100質量部にイソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次平均粒径55nmの酸化チタン微粉末を1.0質量%、疎水性シリカ微粉末1.0質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、トナーaを得た。
<トナー製造例2〜3>
トナー製造例1において、表面改質時の処理時間を変えることにより平均円形度0.920及び0.970のシアントナー粒子とした以外は、トナー製造例1と同様にして、トナーb及びcを得た。
<実施例1>
磁性微粒子分散型樹脂キャリア(C−1)92質量部に対し、トナーaを8質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤とした。
この現像剤を用い、キヤノン(株)製のフルカラー複写機CLC5000改造機(レーザースポット径を絞り、600dpiで出力でき、定着ユニットの定着ローラの表層をPFAチューブに変え、オイル塗布機構を取り外した改造をCLC5000に施した機器)を用いて、常温常湿下N/N(23℃、50%RH)、常温低湿下N/L(23℃、5%RH)、高温高湿下H/H(30℃、80%RH)で印字比率10%、30000枚連続の画出し評価を行った。現像条件は、現像スリーブと感光体を現像領域において順方向で回転させ、感光体に対して現像スリーブを1.8倍とし、Vd:−600V、Vl:−110V、Vdc:−460Vとし、Vpp2.1kV、周波数1.9kHzとした。画出しの評価項目と評価基準を下記に示し、評価結果を表3に示す。
<ドット再現性>
上記トナー及び上記改造機を用いて30H画像を形成し、この画像を目視にて観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づき評価した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。評価基準は以下の通りである。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感があり、問題である。
E:非常にガサツキ感がある。
<画像濃度>
上記ベタ画像を180℃で定着させたときの定着画像を、濃度計X−Rite500型により濃度測定を行い、6点の平均値をとって画像濃度とした。
<キャリア付着>
Vdcを−400Vとし、上記ベタ白画像を出力した後、現像部とクリーナー部との間の感光体上の部分に透明な接着テープを密着させてサンプリングし、5cm×5cm中の感光体上に付着していた磁性微粒子分散型樹脂キャリアの個数をカウントし、1cmあたりの付着キャリアの個数を算出した。評価基準は以下の通りである。
A:10個/cm以下
B:11〜20個/cm
C:21〜50個/cm(実用レベル下限)
D:51〜100個/cm
E:101個/cm以上
<白抜け評価>
転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する。その画像をスキャナで読みとり、二値化処理を行う。二値化画像の搬送方向におけるあるラインの輝度分布(256階調)をとり、そのときのハーフトーンの輝度に接線を引き、ベタ部輝度と交わるまでのハーフトーン部後端の接線からずれた輝度の領域(面積:輝度数の和)をもって、白抜け度とする。評価基準は以下の通りである。
A:50以下、殆ど目立たず、非常に良好である。
B:51〜150、良好である。
C:151〜300、白抜けはあるが、実用上問題ないレベルである。
D:301〜600、白抜けが目立ち、問題である。
E:601以上、非常に目立つ。
<トナースペント>
本発明で用いる二成分系現像剤を、CLC5000の現像器に入れ、各環境下において現像スリーブをプロセススピード800mm/secの速度で1時間空回転させ、その後、スリーブ表面から二成分系現像剤をサンプリングし、トナーとキャリアを分離し、空回転後のキャリアの走査電子顕微鏡(SEM)で観察を行うとともに、ハーフトーン画像を出力してトナースペント性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:キャリア表面にトナーがほとんど付着していない
B:キャリア表面にトナー若干付着しているが、実用上問題ない
C:トナーの融着は発生しているが、地汚れは発生しない(実用下限レベル)
D:トナー融着が発生し、地汚れが若干見受けられる
E:トナー融着が発生し、地汚れが顕著である
<実施例2〜13、比較例1〜4>
実施例1で用いた磁性微粒子分散型樹脂キャリアとトナーを、表3に示した組み合わせにした以外は、実施例1と同様にして画出しし、評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0004378210
本発明の磁性微粒子分散型樹脂キャリア、磁性微粒子の抵抗率を測定するために用いられる装置の概略図である。
符号の説明
11:下部電極
12:上部電極
13:絶縁物
14:電流計
15:電圧計
16:定電圧装置
17:試料
18:ガイドリング
d:試料厚み
E:抵抗測定セル

Claims (5)

  1. 磁性微粒子及びバインダー樹脂を少なくとも含有する磁性微粒子分散型樹脂コアと、該磁性微粒子分散型樹脂コアの表面を被覆する被覆層を有する磁性キャリアにおいて、
    前記磁性微粒子の抵抗率は1×10〜1×1010Ω・cmであり、
    前記磁性微粒子は、Fe、及びMg成分、Ca成分、Ti成分、Zn成分のうち少なくとも一種以上含有し、各元素換算の総量が総Fe量に対して0.3〜4.0質量%であることを特徴とする磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
  2. 前記磁性微粒子は、表面から10質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合B(質量%)と、残りの90質量%中における総Fe量に対するFe2+の割合C(質量%)との比が、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
    0.3≦B/C<1.0 (1)
  3. 前記磁性微粒子分散型樹脂キャリア中における総Fe量に対するFe2+の割合A(質量%)が下記式(2)を満足し、且つ抵抗率が1×10〜1×1011Ω・cmであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性微粒子分散型樹脂キャリア。
    5.0≦A≦30 (2)
  4. トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤において、
    前記トナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を少なくとも含有し、重量平均粒径が3.0〜9.0μmであり、
    前記磁性キャリアは、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性微粒子分散型樹脂キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
  5. 前記結着樹脂は少なくともポリエステルユニットを含み、前記トナーの円相当径2μm以上のトナーにおける粒子の平均円形度が0.920以上0.970以下であることを特徴とする請求項4に記載の二成分系現像剤。
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