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JP4351359B2 - ステビア抽出物を配合したh2受容体拮抗剤含有製剤 - Google Patents

ステビア抽出物を配合したh2受容体拮抗剤含有製剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、H2受容体拮抗剤に、甘味剤としてステビア抽出物を配合してなる経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、薬剤を用いた十二指腸潰瘍や吻合部潰瘍の治療には、H2受容体拮抗剤やプロトンポンプ阻害剤が第1選択薬として使用されている。また、胃潰瘍治療においても、強力な胃酸分泌抑制作用を有するH2受容体拮抗剤やプロトンポンプ阻害剤と種々の粘膜防御因子増強剤等の服用が中心であり、高い治癒率が得られるようになってきた。特に、ファモチジン、ラニチジン又はシメチジン等のH2受容体拮抗剤は、最近では、医療用医薬品としてだけではなく一般薬として薬局店頭においても販売されるようなってきている。
しかしながら、これらのH2受容体拮抗剤は、わずかに苦味や特異な味等の不快な味を有する為、内服時の口腔内における服用感は、良好ではなかった。薬剤に由来する不快な味は、通常、製剤中への甘味剤の添加やフィルムコーティングや糖衣コーティング等の皮膜の被覆を施すことにより、ある程度のマスクは可能である。しかしながら、皮膜の被覆を施すことは口腔内での製剤の崩壊遅延をもたらす為、特に、高齢者にとっても服用が容易な口腔内で迅速に崩壊する口腔内速崩壊性錠剤を調製する場合には難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、H2受容体拮抗剤を含有する服用感に優れる製剤、即ち、H2受容体拮抗剤由来のわずかな苦味や特異な味等の不快な味をマスクし、味を改善できる経口製剤の開発が、非常に待ち望まれている。
特に、高齢者にとって服用が容易であり、嚥下能力のある成人においても水なしでも服用できるH2受容体拮抗剤を含有する口腔内速崩壊性錠剤の開発において、口腔内で不快な味を感じることなく、しかも安定性に優れる速崩壊性錠剤が待望されている。
以上のような状況に鑑み、本発明者らは、H2受容体拮抗剤を含有してなる不快な味を改善した経口製剤並びにその製造法を探索すべく鋭意研究を行った。その結果、以下に示す構成により所期の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、H2受容体拮抗剤にステビア抽出物を配合してなる経口製剤である。本発明に係るH2受容体拮抗剤は、通常、苦味や特異な味等の不快な味を有しており、例えば、ファモチジン、ラニチジン又はシメチジンを挙げることができるが、もちろんこれらの化合物に限定される訳ではない。
また、本発明に係る経口製剤も特に限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤又は散剤などが挙げられる。
本発明に係るステビア抽出物は、甘味剤としての機能を有しており、その配合比率は、通常、経口製剤1重量部に対して0.0001〜0.2重量部であり、好ましくは0.001〜0.1重量部であり、更に好ましくは0.001〜0.05重量部である。
【0005】
本発明は、また、ファモチジンに、ステビア抽出物を配合してなる錠剤である。
さらに、本発明は、ファモチジンに、ステビア抽出物を配合してなる速崩壊性錠剤である。本発明に係る速崩壊性錠剤とは、少量の水や口中の唾液で迅速に崩壊する錠剤であり、例えば、服用後に口腔内で迅速に崩壊する口腔内速崩壊性錠剤が挙げられる。また、本発明に係る速崩壊性錠剤の製造法は、特に限定されないが、例えば、ファモチジンに糖類とステビア抽出物を混合し、結合剤を含有させた水又は含水有機溶媒で練合後、鋳型に充填しフィルムを介して圧縮成型する方法等が挙げられる。
【0006】
本発明におけるH2受容体拮抗剤に甘味剤としてステビア抽出物を配合してなる経口製剤は、H2受容体拮抗剤に由来する不快な味を改善するという顕著な効果を有している。また、該経口製剤は、驚くべきことに、加温・加湿保存条件下においても製剤の外観の着色変化やH2受容体拮抗剤の化学的分解が認められず製剤安定性に優れるという特性を有している。
H2受容体拮抗剤にステビア抽出物を配合してなる錠剤、顆粒剤、細粒剤又は散剤の経口製剤中には、必要に応じて、糖類を始めとする通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及び/又は着色剤などを加えることができる。本発明に係る経口製剤は、H2受容体拮抗剤にステビア抽出物を配合して乾式造粒、湿式造粒等の造粒操作を施してもよいし、錠剤では添加剤を混合後に直接打錠をしてもよい。造粒操作を施す場合の造粒溶媒としては、水、有機溶媒、含水有機溶媒のいずれでもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。さらに、製剤化助剤を添加し溶媒を加えて行う練合および造粒操作は、通常用いられる装置により行うことができ、例えば、流動層造粒装置、転動造粒装置又は押し出し造粒装置を使用することができる。
【0007】
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、コーンスターチ、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、デンプン、部分α化デンプン、結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、種々のシクロデキストリン(αーシクロデキストリン、βーシクロデキストリン、γーシクロデキストリン)およびその誘導体、プルラン、アラビアゴム、珪酸類などを挙げることができる。崩壊剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、コーンスターチなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸フマル酸ナトリウムなどが挙げられ、着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用黄色4号アルミニウムレーキ及びベンガラ、三二酸化鉄、食用赤色2号、食用赤色3号及び食用赤色102号などが挙げられる。清涼化剤としては、例えば、lーメントール、ハッカ水などが挙げられる。
本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、又は2種以上を組み合わせて配合しても良い。
【0008】
本発明に係る経口製剤は、例えば、次のようにして製造することができる。
ファモチジン20g、乳糖188gとステビア抽出物2gをミキサー内で十分に混合する。この混合物に、1gのポリビニルアルコールを溶解した55%エタノール水溶液を加えて、約5分間練合する。次に、この練合物を、例えば、特開平8ー19589号公報において開示されている錠剤製造装置を用いて、鋳型に充填しフィルムを介して径8mmの杵で35kg/cm2の圧縮圧で、圧縮成型する。この成型物を、60℃の乾燥機内で約3時間の乾燥を行うことにより、一錠(210mg)中にファモチジン20mgを含む速崩壊性錠剤を製造することができる。
【0009】
【発明の効果】
本発明によると、H2受容体拮抗剤由来のわずかな苦味や特異な味等の不快な味をマスクし味を改善できる、安定性に優れた経口製剤の製造が可能である。
その効果例を以下に示す。
実験例
【0010】
本発明に係るステビア抽出物を配合したH2受容体拮抗剤含有製剤による不快な味の改善効果と良好な化学的安定性
下記に示す実施例1及び実施例2で得られた「ファモチジンに、ステビア抽出物を各々1%、2%配合した速崩壊性錠剤」について、官能試験による錠剤の味覚評価と錠剤中に含まれるファモチジンの化学的安定性の評価を行なった。
また、対照例として、甘味剤を含まない錠剤(対照例1)、アスパルテームを配合した錠剤(対照例2)、サッカリンナトリウムを配合した錠剤(対照例3)を、実施例1及び実施例2の製剤と同様の方法で甘味剤の種類のみを変えて製造し、同様の評価を行なった。
尚、官能試験による錠剤の味覚評価は、口腔内に錠剤を約10秒間含ませて錠剤の一部又は大部分が崩壊した状態になった時に、苦味又は特異な味等の不快な味を感じるかどうかの評価を行なった。また、ファモチジンの化学的安定性の評価は、40℃相対湿度75%の条件下で、以下の包装形態で各々3ヶ月間保存し、冷所保存品を対照にして錠剤外観の変化の有無を目視により評価した。
(包装形態)
(a)錠剤を開放下で保存
(b)PTP包装(ポケット部:塩化ビニル、底部:アルミニウム)して保存(PTP)
(c)PTP包装品をアルミニウム袋に入れて保存(PTP/AL包装)
(d)PTP包装品を乾燥剤と共にアルミニウム袋に入れて保存(PTP/乾燥剤/AL包装)
各処方を表1に示した。また、錠剤の味覚評価を表2に、外観安定性評価の結果を表3に各々示した。
【0011】
【表1】
Figure 0004351359
【0012】
【表2】
Figure 0004351359
【0013】
【表3】
Figure 0004351359
【0014】
官能試験による錠剤の味覚評価の結果、甘味剤を配合していない錠剤では不快な味が感じられるが、甘味剤を配合した錠剤では、甘味剤(ステビア抽出物、アスパルテーム、サッカリンナトリウム)の種類にかかわらずファモチジンの苦味がマスクされた錠剤が得られた。
しかしながら、錠剤の安定性に関しては、本発明に係る甘味剤としてステビア抽出物を配合したファモチジン含有速崩壊性錠剤(実施例、1及び実施例2)は、甘味剤を含有しない速崩壊性錠剤(対照例1)と同様に大きな変化は認められれず安定であったが、アスパルテーム又はサッカリンナトリウムを各々配合したファモチジン含有速崩壊性錠剤(対照例2、対照例3)では、開放下、PTP包装、PTP/AL包装等の包装形態において外観変化が顕著に認められた。また、本実験とは別に、甘味剤としてグリチルリチン酸ジカリウムを添加した実験も行なったが、錠剤の着色変化が大きく認められ、また、HPLC分析において分解物量の増加が認められた。
本発明に係るステビア抽出物を配合したファモチジン錠剤は、不快な味の改善効果を有しており、しかも良好な化学的安定性を有していることは明らかである。
【0015】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるわけではない。
【0016】
実施例1
ファモチジン200g、乳糖1762g、1ーメントール4g、ステビア抽出物20gをミキサー内で十分に混合した。この混合物に、14gのポリビニルアルコールを300gの55%エタノール溶液に溶解した含水エタノール溶液を加えて、約5分間練合した。この練合した湿潤粉体を、特開平8ー19589号公報に示される方法(打錠機の錠剤成型用の鋳型に練合物を充填し、前記鋳型の中の湿潤粉体の少なくとも一方の面を張り付き防止フィルムを介して成型用金型により錠剤の形に成型する)で28kg/cm2の打錠圧で圧縮成型し、その後に60℃で3時間乾燥させることにより一錠200mg中にファモチジン20mgを含む錠剤を製造した。
この錠剤の硬度は、約5kgであり、精製水中の崩壊時間は15秒以内であった。
【0017】
実施例2
ファモチジン200g、乳糖1742g、1ーメントール4g、ステビア抽出物40gをミキサー内で十分に混合した。この混合物に、14gのポリビニルアルコールを300gの55%エタノール溶液に溶解した含水エタノール溶液を加えて、約5分間練合した。この練合した湿潤粉体を、特開平8ー19589号公報に示される方法(打錠機の錠剤成型用の鋳型に練合物を充填し、前記鋳型の中の湿潤粉体の少なくとも一方の面を張り付き防止フィルムを介して成型用金型により錠剤の形に成型する)で28kg/cm2の打錠圧で圧縮成型し、その後に60℃で3時間乾燥させることにより一錠200mg中にファモチジン20mgを含む錠剤を製造した。
この錠剤の硬度は、約5kgであり、精製水中の崩壊時間は15秒以内であった。
【0018】
実施例3
ファモチジン100g、乳糖400g、トウモロコシ澱粉360g、結晶セルロース100g、ステビア抽出物40gをミキサー内で十分に混合した。この混合物に、20gのヒドロキシプロピルセルロースを380gの精製水に溶解した水溶液を加えて、約5分間練合した。この練合した粉体を60℃で3時間乾燥させ、篩で篩過して1g中ファモチジン100mgを含む顆粒剤、細粒剤を製造した。
【0019】
実施例4
ファモチジン100g、乳糖400g、トウモロコシ澱粉360g、結晶セルロース100g、ステビア抽出物40gをミキサー内で十分に混合した。この混合物に、20gのヒドロキシプロピルセルロースを380gの精製水に溶解した水溶液を加えて、約5分間練合した。この練合した粉体を60℃で3時間乾燥させた後に、通常の打錠機で打錠し、一錠100mg中にファモチジン10mgを含む錠剤を製造した。

Claims (2)

  1. ファモチジン、ステビア抽出物及び結合剤を含有させた水又は含水有機溶媒を含む混合物を練合することにより湿潤粉体を得る工程、及び
    前記湿潤粉体を錠剤成型用の鋳型に充填し、フィルムを介して錠剤の形に圧縮成型する工程、
    を含む製造方法により得られる、ファモチジン及びステビア抽出物を含有する速崩壊性錠剤。
  2. ステビア抽出物の配合比率が、速崩壊性錠剤1重量部に対して0.001〜0.1重量部である請求項1記載の錠剤。
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