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JP6262490B2 - 口腔内速崩壊性錠剤用組成物 - Google Patents

口腔内速崩壊性錠剤用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、口腔内の唾液又は少量の水の存在下において速やかにかつ良好に崩壊する口腔内速崩壊性錠剤用の造粒物、この造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤、及び口腔内速崩壊性錠剤の製造方法に関するものである。
経口固形製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が一般的に知られている。しかしながら、これらの剤形で取り扱い性が良く、かつ服用し易いものは少ない。例えば、錠剤及びカプセル剤は、その形状が大きくなるに従い飲み込み難くなるという問題があり、また、顆粒剤及び散剤は、服用時にむせるという問題や歯の間に入り込むという問題がある。更に、これらの剤形はいずれも服用時に水を必要とし、緊急時や、重症患者が寝ながらにして服用することは困難であるという問題もある。
水なしで服用できる剤形としては、錠剤を噛み砕いて服用するチュアブル錠が知られているが、現在提供されているものは崩壊性が悪く、高齢者、小児及び幼児の患者、嚥下困難な患者、寝たきりの患者等が服用することは困難であるという問題がある。
従って、水なしでも容易に服用することができ、また手軽に何時、何処でも随時服用することのできる口腔内速崩壊性錠剤の開発が要望されている。
このような口腔内速崩壊性錠剤を製造する技術としては、薬物懸濁液をPTPの鋳型に精密充填し、低温通風乾燥する方法や(特許文献1)、薬剤、糖類、結合剤の混合物を少量の水或いは水とアルコール混液で湿潤し、この湿潤混合品(粉体)を極めて低い圧力で成形し、乾燥する方法(特許文献2)が知られている。
しかし、これらの方法は、特殊な製造設備を必要とし、また、それに伴い製造工程が複雑であるという問題がある。
そのため、簡単な製造設備を用いて簡単な工程で製造可能であり、かつ口腔内で優れた崩壊性を示すと共に実用上問題のない成型性を有する製剤の開発が望まれている。
特許第2807346号 特許第2919771号
従って、本発明は、簡単な製造装置を用いて簡単な工程で製造でき、且つ口腔内で速やかな崩壊性を有するとともに、実用に耐えうる適度な成型性を有する口腔内速崩壊性錠剤、その製造方法、及びこの口腔内速崩壊性錠剤の構成材料となる造粒物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、糖類、及び糖アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む賦形剤、及びタンニン酸を含む口腔内速崩壊性錠剤用組成物を調製するに当たり、溶解状態のタンニン酸を用いて各原料を混合し、乾燥することにより、錠剤用組成物を調製し、得られた錠剤用組成物を、必要に応じて、結合剤、及び/又は崩壊剤などと共に圧縮成型することにより、特殊な製造装置を使用することなく簡単な工程で、従来の口腔内速崩壊性錠剤と同等又はそれ以上の崩壊性と成型性とを兼ね備えた口腔内速崩壊性錠剤が製造できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の口腔内速崩壊性錠剤用組成物、口腔内速崩壊性錠剤、及び口腔内速崩壊性錠剤の製造方法を提供する。
項1. 糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤、並びにタンニン酸を含む口腔内速崩壊性錠剤用組成物であって、溶解状態のタンニン酸を用いて各原料を混合し、乾燥することにより得られる、口腔内速崩壊性錠剤用組成物。
項2. 溶解状態のタンニン酸を、口腔内速崩壊性錠剤用組成物のその他の原料に噴霧することにより混合し、乾燥することにより得られる項1に記載の口腔内速崩壊性錠剤用組成物。
項3. 糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤を含む口腔内速崩壊性錠剤用組成物原料に、溶解状態のタンニン酸を噴霧しながら、造粒操作を行う項2に記載の口腔内速崩壊性錠剤用組成物。
項4. 糖類が乳糖水和物であり、糖アルコール類がマンニトールである項1〜3の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用組成物。
項5. 項1〜4の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤用組成物を含む口腔内速崩壊性錠剤。
項6. さらに、結合剤、及び/又は崩壊剤を含有する項5に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項7. 結合剤が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項6に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項8. 崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である項6又は7に記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項9. 日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である項5〜8の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項10. 硬度が40N以上である項5〜9の何れかに記載の口腔内速崩壊性錠剤。
項11. 糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤、並びにタンニン酸を含む口腔内速崩壊性錠剤用組成物の製造方法であって、溶解状態のタンニン酸を用いて各原料を混合する第1工程と、得られた混合物を乾燥する第2工程とを含む、口腔内速崩壊性錠剤用組成物の製造方法。
項12. 第1工程において、溶解状態のタンニン酸を、口腔内速崩壊性錠剤用組成物のその他の原料に噴霧することにより混合する項11に記載の、口腔内速崩壊性錠剤用組成物の製造方法。
項13. 第1工程において、溶解状態のタンニン酸を、口腔内速崩壊性錠剤用組成物のその他の原料に噴霧しながら、造粒操作を行う項12に記載の方法。
項14. 糖類が乳糖水和物であり、糖アルコール類がマンニトールである項12又は13に記載の方法。
項15. 糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤、並びにタンニン酸を含む原料を、溶解状態のタンニン酸を用いて混合する第1工程と、得られた混合物を乾燥して口腔内速崩壊性錠剤用組成物を得る第2工程と、この口腔内速崩壊性錠剤用組成物を圧縮成型するか、又はこの口腔内速崩壊性錠剤用組成物、並びに添加剤、及び/若しくは医薬有効成分の混合物を圧縮成型する第3工程とを含む、口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。
項16. 第1工程において、溶解状態のタンニン酸を、口腔内速崩壊性錠剤用組成物のその他の原料に噴霧することにより混合する項15に記載の口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。
項17. 第1工程において、口腔内速崩壊性錠剤用組成物のその他の原料に、溶解状態のタンニン酸を噴霧しながら、造粒操作を行う項16に記載の方法。
項18. 添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である項15〜17の何れかに記載の方法。
本発明の口腔内速崩壊性錠剤は、口腔内で優れた崩壊性を示すと共に適度な成型性を有する製剤であるため、服用性に優れたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)口腔内速崩壊性錠剤用組成物
本発明の口腔内速崩壊性錠剤用組成物は、糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の賦形剤、並びにタンニン酸を含む口腔内速崩壊性錠剤用組成物であって、溶解状態のタンニン酸を用いて各原料を混合し、乾燥することにより得られる組成物である。
本発明において、「口腔内速崩壊性錠剤用」とは、口腔内速崩壊性錠剤の構成材料ないしは製造材料としての用途を有するという意味である。
賦形剤の糖類としては、乳糖水和物、無水乳糖、白糖、精製白糖、果糖、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、トレハロース等が挙げられ、糖アルコール類としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、イソマルト等が挙げられる。造粒物を口腔内で素早く崩壊させ得る点で、糖類の乳糖水和物、及び糖アルコール類のマンニトールが好ましい。
糖類、及び糖アルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の使用量は、口腔内速崩壊性錠剤用組成物の全量に対して、約10重量%以上が好ましく、約20重量%以上がより好ましく、約30重量%以上がさらにより好ましい。
タンニン酸は、各種の植物材料から抽出できる。例えば、柿の実、栗の渋皮、五倍子、没食子、タラ末、マメ科のタマリンドの種子皮、又はミモザ樹皮などから水又はエタノールを用いて抽出できる。好ましくは、第16改正日本薬局方に収載されている五倍子、又は没食子から抽出したタンニン酸を用いることができる。タンニン酸は未精製品であっても、精製品であってもよいが、精製品がより好ましい。
タンニン酸の使用量は、乾燥後の口腔内速崩壊性錠剤用組成物の全量に対して、好ましくは約0.001重量%以上、より好ましくは約0.01重量%、さらにより好ましくは約0.1重量%以上となる量とすればよい。この範囲であれば、この口腔内速崩壊性錠剤用組成物を用いて製造した錠剤が、十分な崩壊性を有するものとなる。また、タンニン酸の使用量は、乾燥後の口腔内速崩壊性錠剤用組成物の全量に対して、好ましくは約30重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、さらにより好ましくは約10重量%以下となる量とすればよい。この範囲であれば、この造粒物を用いて製造した錠剤が、十分な成型性を有するものとなる。
タンニン酸溶液としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類からなる群より選ばれる1種以上を含む液にタンニン酸を溶解させた溶液が挙げられる。この溶液中のタンニン酸の濃度は、タンニン酸以外の材料の種類や、口腔内速崩壊性錠剤用組成物の調製操作(例えば、造粒操作)の種類等によって適宜定めることができ、約0.001〜30重量%とすることができる。
タンニン酸溶液は、特別な操作をすることなく、そのままその他の原料に混合ないしは配合してもよく、その他の原料に噴霧することにより混合ないしは配合してもよい。何れの場合も、得られる組成物中のタンニン酸濃度が均一になるようにすればよい。
また、タンニン酸以外の原料を、タンニン酸と共に、又はタンニン酸とは別に溶液状態とし、噴霧等の方法で、その他の原料に配合することもできる。さらに、タンニン酸を含む全原料を溶液状態とし、板などに噴霧することで、成形することもできる。
口腔内速崩壊性錠剤用組成物は、糖類及び糖アルコール以外にも賦形剤を含むことができ、このような賦形剤として、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン類;グリシン、アラニンなどのアミノ酸類;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸類;結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類;タルク;酸化チタン;ポビドン;ヒドロキシプロピルセルロース;プルラン;ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー;コポリビドン等の1種以上が挙げられる。
また、口腔内速崩壊性錠剤用組成物は、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
着色剤としては、食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。
矯味剤としては、クエン酸水和物、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
香料としては、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、スペアミント油、ケイヒ油、チョウジ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、ローズ油、ローマカミツレ油、メントール等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム等が挙げられる。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
口腔内速崩壊性錠剤用組成物は、医薬の有効成分を適量含むことができる。医薬有効成分は、この造粒物を含む口腔内速崩壊性錠剤の崩壊性、及び成型性を損なわない種類、及び量であれば良く、特に限定されない。
上記各成分を含む本発明の口腔内速崩壊性錠剤用組成物は、顆粒のような造粒物の形態であってもよく、造粒されていない粉末の形態であってもよい。造粒物を得る場合は、タンニン酸溶液、又はタンニン酸及びその他の原料を含む溶液を、その他の原料に噴霧しながら造粒操作を行えばよい。また、タンニン酸等の全原料を含む溶液を板等に噴霧することにより、板上で造粒することもできる。
造粒方法としては、噴霧乾燥造粒法、流動層乾燥造粒法等が挙げられ、簡便性に優れる点で、特に流動層乾燥造粒法が好ましく、これに用いる装置は、医薬、食品等の当業者に良く知られたものを使用することができる。
賦形剤が結合剤としても機能する成分を含む場合は、流動層造粒法が好ましい。また、賦形剤が結合剤としても機能する成分を含まない場合は、撹拌造粒法が好ましい。これにより、速崩壊性及び成型性に優れる錠剤が得られる。結合剤としても機能する賦形剤としては、デンプン類、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、コポリビドンなどが挙げられる。
(II)口腔内速崩壊性錠剤
打錠
上記説明した口腔内速崩壊性錠剤用組成物を用いて、本発明の口腔内速崩壊性錠剤(以下、「本発明の錠剤」と言うこともある)を製造するには、上記説明した本発明の口腔内速崩壊性錠剤用組成物を、必要に応じて、結合剤、崩壊剤などのその他の成分と混合し、圧縮成型すればよい。
圧縮成型には、ロータリー式打錠機、単発打錠機等の一般に錠剤の成型に使用される方法や装置を使用することができる。また、この圧縮成型における圧縮圧は、約1kN以上が好ましく、約2kN以上がより好ましく、約4kN以上がさらにより好ましい。また、60kN以下が好ましく、約30kN以下がより好ましく、約15kN以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、打錠時における臼杵の負担が少なく、さらに打錠時における打錠圧の維持もし易い。
なお、上記圧縮成型に先立ち、スクリーンミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル等を用いた整粒;振動ふるいを用いた篩過等の錠剤の製造に必要な操作に付してもよい。
錠剤は、実質的に、上記説明した本発明の口腔内速崩壊性錠剤用組成物のみで構成することもできるが、結合剤、崩壊剤などのその他の成分を含むこともできる。
その他の成分を含む場合でも、本発明の錠剤における口腔内速崩壊性錠剤用組成物の含有量は、錠剤の全量に対して、約10重量%以上が好ましく、約30重量%以上がより好ましく、約60重量%以上がさらにより好ましい。即ち、本発明の錠剤が口腔内速崩壊性錠剤用組成物以外の成分を含む場合、口腔内速崩壊性錠剤用組成物以外の含有量は、錠剤の全量に対して、約90重量%以下が好ましく、約70重量%以下がより好ましく、約40重量%以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
なお、本発明の錠剤は圧縮成型により製造されるため、造粒物の形状と、本発明の錠剤中の造粒物の形状とは、通常、異なる。
結合剤
本発明の錠剤は、結合剤を含むことができる。結合剤は、圧縮時に造粒物を相互に結合させる作用を有するものである。
結合剤としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。中でも、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースが好ましい。
結合剤の含有量は、錠剤の全量に対して、約0.01重量%以上が好ましく、約0.1重量%以上がより好ましく、約1重量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、約30重量%以下が好ましく、約20重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
結合剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
崩壊剤
本発明の錠剤は、崩壊剤を含むことができる。崩壊剤は、水を含んで膨れる成分、又は水を含んで崩れる成分である。
崩壊剤としては、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、アルギン酸、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。中でも、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
崩壊剤の含有量は、錠剤の全量に対して、約0.01重量%以上が好ましく、約0.1重量%以上がより好ましく、約1重量%以上がさらにより好ましい。また、錠剤の全量に対して、約30重量%以下が好ましく、約20重量%以下がより好ましく、約10重量%以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、実用上十分な成型性及び崩壊性を得ることができる。
崩壊剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
その他の成分
本発明の錠剤は、賦形剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、香料、防腐剤等の医薬品に一般的に使用される添加剤を適量含むことができる。また、医薬有効成分を含むこともできる。
添加剤、及び医薬の有効成分は、それぞれ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を用いてもよい。
このようにして得られる本錠剤は、実用上問題ない適度な成型性を有し、更に口腔内での優れた崩壊性を有している。
本発明の錠剤は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法による崩壊時間(特に、崩壊試験器(富山産業製)を用いて測定した崩壊時間)が、30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることが好ましく、10秒以下であることがさらにより好ましい。
本発明の錠剤は、硬度(特に、錠剤硬度計(富山産業製)を用いて測定した硬度)が50N以上であることが好ましく、60N以上であることがより好ましく、70N以上であることがさらにより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)物性試験
<崩壊試験>
試験は、第16改正日本薬局方解説書に規定の崩壊試験法に従い、但し、崩壊試験器(富山産業製)を用いて実施し、試験数は6錠とし、その崩壊時間の平均値で評価した。
<硬度試験>
試験は、錠剤硬度計(富山産業製)を用いて実施し、試験数は10錠とし、その硬度の平均値で評価した。
(2)錠剤の製造
実施例1
後掲の表1に示す組成に基づき、流動層造粒乾燥機にマンニトールを投入した後、流動させながら、タンニン酸を適量の水に溶解した液を徐々に噴霧して造粒した。次に、この造粒品を流動層造粒機で引き続き乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
比較例1
後掲の表1に示す組成に基づき、流動層造粒乾燥機にマンニトールを投入した後、流動させながら、適量の水を徐々に噴霧して造粒した。更に、この造粒品を流動層造粒機で引き続き乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品にその他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
実施例2〜4
後掲の表2に示す組成に基づき、流動層造粒乾燥機に医薬有効成分とマンニトールを投入した後、流動させながら、タンニン酸を適量の水に溶解した液を徐々に噴霧して造粒した。更に、この造粒品を流動層造粒機で引き続き乾燥した後、この乾燥品を整粒した。更に、この整粒品に、その他の添加剤を加えて、混合した後、打錠機を用い、約8kNの打錠圧で、1錠の直径が8.5mmで、その質量が240mgの錠剤を得た。
(3)結果
実施例1及び比較例1の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表1に示す。
Figure 0006262490
表1から明らかなように、実施例1の錠剤は、崩壊時間が15秒で、更に硬度が62Nで、優れた崩壊性と成型性を示した。これに対し、タンニン酸を含まない比較例1の錠剤は、崩壊時間が12秒で、特に崩壊性に問題は認めなかったが、硬度が24Nで、実施例1の錠剤に比べて低く、成型性が悪かった。
実施例2〜4の錠剤の組成、崩壊試験及び硬度試験の結果を下記の表2に示す。
Figure 0006262490
表2から明らかなように、実施例2〜4の錠剤は、崩壊時間がそれぞれ12秒、15秒及び16秒で、硬度がそれぞれ65N、65N及び59Nであり、優れた崩壊性と成型性を示した。
本発明の口腔内速崩壊性錠剤は、複雑な製造工程や特殊な製造装置を使用しないで製造できるものであり、かつ、含有する医薬有効成分の種類にかかわらず優れた崩壊性と成型性を兼ね備えたものである。従って、工業的な大規模生産に適すると同時に、種々の医薬有効成分を配合することのできる口腔内速崩壊性錠剤として、広く利用可能なものである。

Claims (9)

  1. 溶解状態のタンニン酸を噴霧することにより、賦形剤としてマンニトールを含む原料を混合する第1工程と、得られた混合物を乾燥する第2工程とを含む、口腔内速崩壊性錠剤用組成物の製造方法。
  2. 第1工程において、溶解状態のタンニン酸を噴霧しながら、造粒操作を行う請求項1に記載の方法。
  3. 溶解状態のタンニン酸を噴霧することにより、賦形剤としてマンニトールを含む原料を混合する第1工程と、得られた混合物を乾燥して口腔内速崩壊性錠剤用組成物を得る第2工程と、この口腔内速崩壊性錠剤用組成物を圧縮成型するか、又はこの口腔内速崩壊性錠剤用組成物、並びに添加剤、及び/若しくは医薬有効成分の混合物を圧縮成型する第3工程とを含む、口腔内速崩壊性錠剤の製造方法。
  4. 第1工程において、溶解状態のタンニン酸を噴霧しながら、造粒操作を行う請求項に記載の方法。
  5. 添加剤が、結合剤、及び/又は崩壊剤である請求項又はに記載の方法。
  6. 結合剤が、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、及び結晶セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の方法。
  7. 崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロースカルシウム、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項又はに記載の方法。
  8. 日本薬局方に規定される崩壊試験により測定される崩壊時間が30秒以内である請求項の何れかに記載の方法。
  9. 硬度が40N以上である請求項の何れかに記載の方法。
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