JP4348581B2 - ロジン系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を含有する紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロジン系エマルションサイズ剤、並びに当該サイズ剤を含有する電子写真用紙、新聞紙などの紙に関して、乳化安定性に優れ、広いpH領域で良好なサイズ効果を発揮する水性エマルション型のロジン系サイズ剤、及び当該サイズ剤の利用によりサイズ性に優れた紙を提供する。
【0002】
【発明の背景】
従来型のロジン系サイズ剤による酸性抄造においては、抄紙機械の腐食、紙の経時的な変色や脆化の問題が知られているため、過去40年ほどに亘り、中性ないしアルカリ領域で使用可能なサイズ剤の研究が続けられて来た。
中性サイズ剤としては、アルキルケテンダイマー(AKD)やアルケニルコハク酸無水物(ASA)などの合成サイズ剤が汎用されているが、これらの合成サイズ剤は分散状態での安定性が悪くて抄造機械を汚損したり、AKDにおいてはサイズ効果の立ち上がりが遅いうえ、紙への滑りが生じて操業性、製品の品質などに問題がある。
【0003】
【従来の技術】
このため、上記合成サイズ剤の改良と並行して、天然資源であるロジンを有効利用した中性ロジン系サイズ剤の開発が進んでいる。
例えば、本出願人は、先に、特開平6-33395号公報、或は特開平6-57146号公報で、ロジンをジカルボン酸又は酸無水物基を有するジエステルに変性する方法や、ロジンを多価アルコールと、3価以上の多価カルボン酸類と、α,β−不飽和多塩基酸類とで変性する方法を開示しており、これらの変性ロジンは中性サイズ剤として有用である。
また、特開昭60-161472号公報には、ホルムアルデヒド及び/又はα,β−不飽和カルボニル化合物類で強化し、且つ、第三級アミノアルコール類でエステル化したロジンの変性物が開示され、特開昭62-223393号公報や特開昭62-250297号公報には、C、H、Oからなる3価アルコール及び4価アルコールの少なくとも1種、又はこれらの多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸誘導体とでロジンを変性する方法が開示されており、これらのロジン変性物も中性サイズ剤として有用なことが述べられている。
【0004】
一方、ロジン系樹脂をカチオン性乳化剤で水性エマルション化したサイズ剤としては、先ず、特開昭50-36703号公報(以下、従来技術1という)に、ロジン類とα,β−不飽和有機酸類を反応させた強化ロジンを、水溶性アミノポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂(以下、ポリアミドアミン樹脂という)などで水中に乳化分散したエマルションが開示され、このロジン系エマルションサイズ剤を用いたpH6.5或は7.5での抄造例が示されている。
また、特開昭63-120198号公報には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びスチレン類と、(メタ)アクリル酸アルキルアミノエステル又はそのアミド誘導体とを反応させた共重合体の四級化物を乳化分散剤として、強化ロジン類を水中に乳化分散した中性ロジン系エマルションサイズ剤が、さらに、特開平3-227481号公報には、疎水性基を有するカチオン性(メタ)アクリルアミド系ポリマーで強化ロジン類などを水中に乳化分散した中性ロジン系エマルションサイズ剤が夫々開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のカチオン性乳化剤で乳化分散した水性エマルション型のロジン系サイズ剤は、後述の試験例にも示すように、広いpH領域でのサイズ性の発現に問題があったり、乳化安定性に劣り、サイズ剤としての実用水準を具備しない場合が多いのである。
【0006】
本発明は、ロジン系樹脂をカチオン性乳化剤で水中に分散したエマルションサイズ剤において、中性〜弱アルカリ性を含む広いpH領域での良好なサイズ性と、優れた乳化安定性を同時に達成することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
特公昭47−4723号公報(以下、従来技術2という)には、ポリアミドアミン−エチレンイミン−エピクロルヒドリン樹脂が、製紙工業用の脱水剤、凝結剤、或は保持剤として有用なことが開示され、試験項目でも、脱水促進性、或は充填剤保持性の各種試験例が挙げられている。
一方、前記従来技術1には、強化ロジンをカチオン性ポリアミドアミン樹脂で乳化分散する技術が開示されているが、本発明者らは、上記従来技術2の樹脂が分子中にエチレンイミン基とアミドアミン基を兼備し、適正な疎水性/親水性バランスを期待できることに着目して、脱水剤などを用途とする従来技術2の樹脂を前記従来技術1の乳化技術に適用することを着想し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明1は、(A)ロジン類、ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させた強化ロジン類、ロジン類に多価アルコール類を反応させたロジンエステル類、及び、ロジン類に多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類、又は多価アルコール類と3価以上の多価カルボン酸類とα,β−不飽和カルボン酸類を反応させた強化ロジンエステル類からなる群より選ばれたロジン系樹脂の少なくとも一種と、
(B)カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂とを、
カチオン性樹脂/ロジン系樹脂=1/9〜1/18の重量比で含有し、
当該カチオン性樹脂を乳化剤として上記ロジン系樹脂を水中に分散させたロジン系エマルションサイズ剤である。
【0009】
本発明2は、上記本発明1において、カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂が、
ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンとを縮合反応させて塩基性ポリアミドアミンを得て、この塩基性ポリアミドアミンに1,2−アルキレンイミンをグラフト重合させ、このグラフト化ポリアミドアミンを2官能性化合物により架橋した高分子樹脂であることを特徴とするロジン系エマルションサイズ剤である。
【0010】
本発明3は、上記本発明2において、ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸などの少なくとも一種であり、
ポリアルキレンポリアミンがジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミンなどの少なくとも一種であり、
1,2−アルキレンイミンがエチレンイミン、1,2−プロピレンイミンなどの少なくとも一種であり、
2官能性化合物がエピクロルヒドリン、アクリル酸エステルなどの少なくとも一種であることを特徴とするロジン系エマルションサイズ剤である。
【0012】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかのロジン系エマルションサイズ剤をパルプスラリーに含有させて、湿式抄造した紙である。
【0013】
本発明5は、上記本発明1〜3のいずれかのロジン系エマルションサイズ剤を表面サイズ剤として塗工した紙である。
【0014】
本発明6は、上記本発明4又は5において、サイズ剤を内添し又は塗工した紙が、電子写真用紙、インクジェット用紙、新聞紙、板紙より選ばれたことを特徴とする紙である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、第一に、カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂を乳化剤として、各種のロジン系樹脂を水中に分散させたロジン系エマルションサイズ剤であり、第二に、このロジン系エマルションサイズ剤を内添方式でサイジングした紙であり、或は、このエマルションサイズ剤を表面サイズ剤として塗工した紙である。
上記ロジン系樹脂は、ロジン類、強化ロジン類、ロジンエステル類、強化ロジンエステル類からなる群より選ばれた少なくとも一種である。
上記ロジン類は、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンを単用又は併用でき、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、或はその他の化学的に修飾されたロジンを含む概念である。
上記強化ロジン類は、公知の方法によりロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させたものをいう。この場合、反応温度は150〜300℃程度、反応時間は1〜24時間程度である。α,β−不飽和カルボン酸類の仕込み量は、ロジン類100重量部に対してα,β−不飽和カルボン酸類20重量部程度以下である。
上記α,β−不飽和カルボン酸類はα,β−不飽和カルボン酸又はその酸無水物などであり、具体例としては、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0016】
上記ロジンエステル類は、ロジン類と多価アルコールを公知のエステル化法により製造したものをいう。エステル化反応の条件としては、ロジン類と多価アルコールの仕込み比率はロジンのカルボキシル基当量に対してアルコールの水酸基当量比換算でCOOH/OH=1/0.2〜1.2程度、反応温度は150〜300℃程度、反応時間は2〜30時間程度が夫々適当である。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の4価アルコール、或は、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマルブチルジエタノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられる。
【0017】
上記強化ロジンエステル類は、ロジン類に多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類を順次、又は同時に反応させることにより得られる。
多価アルコールとのエステル化反応、α,β−不飽和カルボン酸類との強化反応は前述の通りである。
尚、ロジン類のエステル化反応を高温度で行った後にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させると、レボピマール骨格を有するロジン類が減少し、デヒドロアビエチン酸骨格に異性化して、反応が進行しにくい場合があるため、注意を要する。逆に、ロジン類とα,β−不飽和カルボン酸類とを予め反応させた後、高温でエステル化反応を行う場合も、分子量の大きい高分子縮合物が生成し易いために、同様に注意が必要である。
一方、上記強化ロジンエステル類は、ロジン類に多価アルコール類と3価以上の多価カルボン酸類とα,β−不飽和カルボン酸類を順次又は同時に反応させることによっても得ることができる。
上記多価カルボン酸類は架橋反応を目的として添加され、pH7以上のサイズ性を向上する作用が期待できる。その具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、或はこれらの酸無水物やエステルなどが挙げられる。
この場合、仕込み時の全カルボキシル基当量に対する水酸基当量の比率はCOOH/OH=1/0.2〜2.0であり、ロジン系樹脂100重量部に対するα,β−不飽和カルボン酸類の添加量は2〜20重量部であることが好ましい。
また、多価カルボン酸類の添加量は全カルボン酸の0.5〜20モル%程度が好ましい。0.5モル%より少ないとpH7以上でのサイズ性が若干不充分になる場合があり、20モル%以上になると架橋反応が進行しすぎて良好な乳化性を損なう恐れが出て来る。
【0018】
上記カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂は、基本的にポリアミドアミンポリマーをエチレンイミンなどのアルキレンイミンとエピクロルヒドリンなどの二官能性化合物で変性した樹脂であり、より具体的には、ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンとを縮合反応させて塩基性ポリアミドアミンを得て、この塩基性ポリアミドアミンに1,2−アルキレンイミンをグラフト重合させ、このグラフト化ポリアミドアミンを2官能性化合物により架橋した高分子樹脂である。
上記ポリアミドアミンポリマーを構成する一方のジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸などであり、他方のポリアルキレンポリアミンはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミンなどである。
ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンのモル比率は、ジカルボン酸/ポリアルキレンポリアミン=1/0.8〜1/1.5、好ましくは1/0.9〜1/1.2である。
上記ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンの縮合は公知の方法で高められた温度で行われ、生成する水を留去しながら反応を行う。
得られた水溶性の塩基性ポリアミドアミンは、50重量%水溶液中で100cp以上、特に150〜2000cp(25℃;ヘプレル粘度計での球落下法による)の粘度を有し、塩基性窒素の含有率は100%樹脂に対して2.8〜14重量%、特に4.2〜8.4重量%が好ましい。
尚、このポリアミドアミン樹脂には、第三成分として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン、アミノカルボン酸、又はそのラクタム(例えば、カプロラクタム)などの少なくとも一種を縮合含有することができる。
【0019】
次いで、上記ポリアミドアミン樹脂をグラフト化する前記1,2−アルキレンイミンはエチレンイミン、1,2−プロピレンイミンなどである。
このグラフト反応は、ポリアミドアミン樹脂中の−NH−基の窒素原子にアミノエチル−側鎖、或はポリ−(アミノエチル)−側鎖をグラフト化させる反応であり、一般に、ポリアミドアミンの塩基性窒素のモル当たり0.005〜1.0当量の酸性触媒の存在下に、1〜20モル(特に、2〜15モル)の1,2−アルキレンイミンを25〜110℃(特に、40〜100℃)で、ポリアミドアミンの溶液に徐々に添加することにより行われる。
当該反応はポリアミドアミンの40〜90重量%水溶液の中で行うのが好ましいが、有機溶媒中で行うこともできる。
上記グラフト反応の触媒としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、塩酸、クロル酢酸、有機スルホン酸、ホウフッ化物、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、ジメチル硫酸、1,2−ジクロルエタン、p−トルエンスルホン酸又はそのエステルなどの他、公知の酸又はアルキル化剤が使用でき、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0020】
次いで、上記グラフト化ポリアミドアミン樹脂は水溶液中において2官能性化合物で架橋されて高分子の水溶性粘稠樹脂になる。
当該2官能性化合物は、エピクロルヒドリン、アクリル酸エステル、ジクロルブテン、ジクロルブタン、ジイソシアナート類などである。
架橋反応は、グラフト化ポリアミドアミン樹脂の10〜40重量%、特に15〜30重量%の水溶液中で40〜100℃の条件で行うのが好ましい。
例えば、エピクロルヒドリンで架橋する場合、並行して進む架橋剤の加水分解のため、一定粘度の溶液を生成するには、反応温度と樹脂溶液の含水量が高くなるに伴って、エピクロルヒドリンの添加量を多くすることが必要である。一般に、100重量%のグラフト化ポリアミドアミン樹脂100部に対して架橋剤1〜20部が必要である。架橋剤は少量づつ分けて添加する方が、架橋反応の制御が容易であり、ゲル化を防止することができる。
この架橋反応では、一般に、25重量%水溶液(25℃)で150cp以上、特に500cp以上の粘度を示すに至るまでグラフト化ポリアミドアミン樹脂を架橋して、最終生成物であるカチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂が得られる。但し、架橋度が増すと、急速に粘度が上昇して製造上、加工上の困難性が出て来るため、粘度の上限は4000cp程度である。
【0021】
本発明1〜3のロジン系エマルションサイズ剤は、上記カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂を乳化剤として、転相乳化法、無溶剤型乳化法、或は溶剤型乳化法などにより、前記ロジン類、強化ロジン類、ロジンエステル類、又は強化ロジンエステル類などの各種ロジン系樹脂を水中に分散させて得られる。
上記転相乳化法は、各種のロジン系樹脂と上記カチオン性の樹脂溶液を充分混練した後、攪拌しながら徐々に水を加えて、油中水型エマルションを水中油型エマルションに相反転させる方法である。
上記無溶剤型乳化法は、溶融した各種のロジン系樹脂と上記カチオン性の樹脂溶液と水を予備混合し、粗い粒子の水性エマルションを調整した後、各種ミキサー、ホモジナイザー、コロイド乳化機、高圧乳化機などを用いて微細分散させる方法である。
また、上記溶剤型乳化法は、各種のロジン系樹脂をトルエン、ベンゼン、メチレンクロライド等の有機溶剤に溶解させ、上記カチオン性の樹脂溶液と水を予備混合して粗い粒子の水性エマルションを調整した後、各種乳化機を用いて同様に微細乳化し、有機溶剤を除去する方法である。
尚、本発明で使用するカチオン性樹脂は高温乳化に際しても非常に安定であるため、生産効率の見地から、上記無溶剤型、或は溶剤型の乳化方式では、高温乳化、例えば150℃程度の高温乳化が好ましい。
【0022】
このロジン系樹脂の水性エマルションを製造する場合、エマルション中のカチオン性樹脂とロジン系樹脂の含有重量比は、カチオン性樹脂/ロジン系樹脂=1/9〜1/18であり、好ましくは1/12〜1/17である。
即ち、ロジン系樹脂に対するカチオン性樹脂の含有量(固形分換算)は5.5〜11重量%、好ましくは6.0〜8.0重量%である。
即ち、本発明のエマルションサイズ剤においては、カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂で乳化分散すると、ロジン系樹脂に対する含有量が5.5重量%の少量の場合でも、安定なエマルションを形成できるのである。
【0023】
本発明4の紙は、上記ロジン系エマルションサイズ剤を内添サイズ剤としてパルプスラリーに含有させ、これを湿式抄造した紙である。
パルプスラリーを構成するパルプ繊維には、製紙用に通常使用されるNBKP、LBKP等の木材パルプ、脱墨パルプ(DIP)などの外、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラ等の非木材パルプ、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、或は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の合成繊維などを使用できる。
上記パルプスラリーには、填料、染料、乳化安定助剤、紙力増強剤、歩留り向上剤、消泡剤などを必要に応じて添加できることはいうまでもない。
特に、分子量の大きなロジン系樹脂を乳化する場合には、ポリエチレングリコールなどの乳化安定助剤を添加すると良い。但し、サイズ性との関係で、その添加量には注意を要する。
湿式抄造で得られる紙は、電子写真用紙、インクジエット用紙等の印刷・筆記・図画用紙、新聞紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙、或は板紙、厚紙などを含む広い概念である。
【0024】
また、本発明のロジン系エマルションサイズ剤は内添サイズ剤として用いられる外、ポリビニルアルコール、酸化デンプンなどの塗工剤との相溶性も良好であることから、表面サイズ剤としても好適である。本発明5の紙は、上記サイズ剤を表面サイズ剤として塗工した紙である。
表面サイズ剤として用いる場合には、上記サイズ剤を前記酸化デンプンやポリビニルアルコールなどの水溶液に混合し、得られた塗工液を紙の種類に適した坪量でバーコーターなどを用いて塗工し、乾燥させれば良い。
また、本発明のサイズ剤は、公知のロジン系サイズ剤、或はカチオン澱粉等の公知のカチオンポリマーなどと併用することもできる。
【0025】
【作用】
本発明で使用するカチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂は、分子中にグラフト化したアルキレンイミン基を有して、中性からアルカリを含む広いpH領域で適度なカチオン性を維持し、且つ、カチオン度の調整が容易であって、アニオン帯電性のパルプ繊維に確実に自己定着することから、優れたサイズ性の原因と推定される。
また、上記カチオン性樹脂は強塩基性のアミドアミン基を含有し、適度な疎水性塊を形成して、乳化粒子の親水性/疎水性バランスに寄与するため、このことが優れたエマルション安定性の原因と推定される。
一方、冒述の従来技術1に開示されたポリアミドアミン樹脂は、ロジンエマルションのサイズ性の点で本発明のカチオン性樹脂に劣り、また、ポリエチレンイミン樹脂はロジンエマルションの粒度分布やエマルション安定性の点でやはり本発明のカチオン性樹脂に劣り、その安定化には多量の樹脂を必要とする(後述の試験例参照)。
即ち、本発明のロジン系樹脂の水性エマルションは、乳化剤にカチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂を使用するため、そのポリアミドアミン骨格を構成するアミドアミン基と、当該基本骨格にグラフト化したアルキレンイミン基との相乗作用により、良好なエマルション安定性と優れたサイズ性を共に達成でき、その一方の官能基しか有しないポリアミドアミン樹脂、或はポリエチレンイミン樹脂を乳化剤に用いたロジン系樹脂の水性エマルションに比べて、サイズ剤としての機能の点で優位性が顕著である。
【0026】
【発明の効果】
後述の試験例に示すように、冒述の従来技術1に属するポリアミドアミン樹脂を乳化剤に使用したロジン系エマルションサイズ剤、又はポリエチレンイミン樹脂を乳化剤としたロジン系エマルションサイズ剤に比べて、カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂を乳化剤とする本発明のロジン系サイズ剤は、中性〜アルカリ性を含む広いpH領域でサイズ性に優れる。
また、ロジン系樹脂の水性エマルションにおいては、ポリアミドアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、或はこれらの混合物で乳化するより、アルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂で乳化した方が、遠心沈降度が小さく、濁度も大きく、粒径もサブミクロン領域になることから、乳化安定性にも優れる。
しかも、このカチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂を乳化剤に使用すると、ロジンエステル、強化ロジン、強化ロジンエステルなどの種類を問わずに、各種のロジン系樹脂を安定なエマルションに形成でき、その水性エマルションはサイズ剤として優れたサイズ性を示すのである。本発明のエマルションサイズ剤はpH4〜10、好ましくはpH5.5〜8.0の領域で有効なサイズ性を示す。
【0027】
従って、本発明のロジン系エマルションサイズ剤を用いると、サイズ効果に優れた電子写真用紙、インクジェット用紙、新聞紙、板紙などの各種の紙が円滑に製造でき、通常の硫酸バンドを定着剤とする酸性抄造のみならず、硫酸バンドの不存在下での中性抄造、或は炭酸カルシウムを填料とするアルカリ抄造によっても、良好なサイズ性を発揮する。
【0028】
【実施例】
以下、ロジン系エマルションサイズ剤の製造実施例、並びに当該サイズ剤を内添サイズ剤として含有した抄造紙のサイズ性、エマルション安定性の各種試験例、並びに当該サイズ剤を表面サイズ剤とした塗工紙のサイズ性試験例を順次説明する。
また、以下の実施例、試験例などの「部」、「%」は特に指定しない限り、「重量部」、「重量%」を指す。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0029】
先ず、下記のロジン系エマルションサイズ剤の実施例1〜7は、全て各種のロジン系樹脂をカチオン性のポリエチレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂(以下、PA−PEI樹脂という)で乳化した例である。
また、比較例1〜10は、各種のロジン系樹脂をポリアミドアミン樹脂(以下、PA樹脂という)、ポリエチレンイミン樹脂(以下、PEI樹脂という)、或はその混合物(ブレンド;以下、PA/PEI樹脂混合物という)で乳化した例である。
【0030】
そこで、実施例1〜7と比較例1〜10で使用しているロジン系樹脂と乳化剤の種類などを列挙すると、次の通りにまとめることができる。
Pg−Ma:トール油ロジンにプロピレングリールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステル
Gly−Tma−Ma:トール油ロジンにグリセリンとトリメリト酸とマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステル
Gly−Ma:トール油ロジンにグリセリンとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステル
Fa:トール油ロジンにフマル酸を反応させた強化ロジン
Gly:トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステル
Gly/Ma:トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルと、同ロジンにマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンの混合物(ブレンド)
乳化剤の含有量:エマルション中における各種乳化剤のロジン系樹脂に対する含有量(固形分換算)
【0031】
《実施例1》
攪拌機、温度計、還流冷却管器、分水器及び窒素ガス導入管を具備した四つ口フラスコに、窒素ガス導入下でトール油ロジン9002部を仕込んで、160℃まで昇温した。その後、155℃にてプロピレングリコール726部、マレイン酸無水物1098部を仕込んだ。そして、2時間かけて200℃まで昇温し、260℃で5時間保持しながら反応を行った後、冷却して、酸価126.5、軟化点90℃(環球法)の強化ロジンエステル10470部を得た。
【0032】
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管器及び窒素ガス導入管を具備した加熱可能な反応容器に、ジエチレントリアミン100部と水50部とアジピン酸145部を共に混入した。アジピン酸が溶解したら直ちに窒素中で溜まり液温190℃に3時間加熱し、その間に水を留去した。190℃で4時間濃縮した後、溶融物を10mmHgの減圧下で150〜140℃に冷却し、この高粘度ポリアミドアミンに130℃で水200部を加えた。
得られたポリアミドアミン樹脂の特性は次の通りであった。
固形物含量:50.9%
粘度:1361cp(25℃)
酸価:3.74(100%生成物に対して)
塩基性窒素:6.2%(100%生成物に対して)
相対粘度:0.16
但し、相対粘度は2%食塩水溶液中1%の樹脂溶液として、25℃で測定したものである。
100%の樹脂250部を有する上記樹脂水溶液にp−トルエンスルホン酸10部を加え、65℃に加熱し、3時間でエチレンイミン244部を滴下した。このグラフト反応の間、温度を80〜90℃に保持し、エチレンイミンの添加終了後、なお2時間に亘り80℃に保持して、グラフト化ポリアミドアミンの溶液を水980部で希釈した。
60℃においてこの溶液にエピクロルヒドリン12.4部を徐々に添加し(最初の2時間で9.4部、次いで、残りの4時間で3部添加し)、樹脂のゲル化が進んだ高粘度溶液を水550部で希釈し、当該水溶液をなお1時間60℃で保持し、密度1020g/cm3、15%溶液(25℃)で粘度160cp並びに相対粘度0.95を有するカチオン性のPA−PEI樹脂を得た。
尚、当該PA−PEI樹脂はPolymin SKA又はLupasol SKA(共にBASF社製)の商品名で市販されている。
【0033】
次いで、上記PA−PEI樹脂220部を水5200部に加えて、硫酸でpH3.5に調整した。
そして、前記強化ロジンエステル3663部をトルエンに溶解して、このトルエン溶液に上記PA−PEI樹脂の水溶液を予備混合した。このとき、強化ロジンエステルに対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分換算)は、前述のように、6%に調整された。
その後、上記予備混合液をゴーリンホモジナイザー(MANTON−GAULIN LABORATORY HOMOGENIZER Model 15M;Gaulin社製)に吐出圧300kgf/cm2、温度45℃で通した後、減圧蒸留によりトルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0034】
《実施例2》
実施例1を基本として、上記PA−PEI樹脂の含有量(固形分換算)を6.0%から10.5%に増量した例である。
即ち、実施例1の強化ロジンエステル217部に対して、固形分20%のPA−PEI樹脂114部を含有する条件下で、強化ロジンエステルのトルエン溶液にPA−PEI樹脂の水溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0035】
《実施例3》
ロジン系樹脂として、トール油ロジンにグリセリン、トリメリト酸無水物、マレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを使用した実施例である。
即ち、本出願人が開示した冒述の特開平6−33395号公報に基づいて、180℃でトール油ロジン87.9部にグリセリン8.2部を添加した後、250℃に加熱し、酸価が40に低下するまで約4.5時間そのままの状態を保持した。次いで、200℃に温度降下し、トリメリト酸無水物0.9部を添加した後、260℃に昇温して1時間保持した。その後、180℃に温度降下し、マレイン酸無水物7.0部を添加して、発熱反応により210℃に昇温した状態を2時間保持して、軟化点100〜110℃(環球法)、酸価70〜80の強化ロジンエステルを得た。
そして、前記実施例1と同様の手順により、上記強化ロジンエステル226.4部に対して固形分24%のPA−PEI樹脂56.6部を含有して、同強化ロジンエステルに対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分換算)を6.0%に調整する条件下で、PA−PEI樹脂の水溶液と強化ロジンエステルのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0036】
《実施例4》
ロジン系樹脂として、トール油ロジンにグリセリン、マレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを使用した例である。
即ち、冒述の特開昭62−250297号公報に基づいて、180℃でトール油ロジン88.7部にグリセリン8.3部を添加した後、250℃に加熱して6時間保持した。このとき、酸価は35に低下した。次いで、180℃に温度降下し、マレイン酸無水物7.1部を添加して強化ロジンエステルを得た。
そして、前記実施例3と同様の手順により、上記強化ロジンエステルに対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分換算)を6%に調整する条件下で、PA−PEI樹脂の水溶液と強化ロジンエステルのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0037】
《実施例5》
ロジン系樹脂として、トール油ロジンにフマル酸を反応させた強化ロジンを使用した例である。
即ち、トール油ロジン1000部にフマル酸80部を添加して、200℃で4時間反応させて、強化ロジンを得た。
そして、前記実施例3と同様の手順により、上記強化ロジンに対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分換算)を6%に調整する条件下で、PA−PEI樹脂の水溶液と強化ロジンのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0038】
《実施例6》
ロジン系樹脂として、トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルを使用した例である。
即ち、180℃でトール油ロジン88.7部にグリセリン8.3部を添加した後、250℃で6時間エステル化反応を行って、酸価35以下のロジンエステルを得た。
そして、上記ロジンエステルに対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分換算)を6%に調整する条件下で、前記実施例3と同様の手順によりロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0039】
《実施例7》
ロジン系樹脂として、トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルと、同ロジンにマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンとの混合物を使用した例である。
即ち、ロジンエステルは前記実施例6と同様の条件で製造した。
また、200℃に加熱したトール油ロジン1000部にマレイン酸無水物190部を添加した後、200℃で4時間反応させて酸価316の強化ロジンを製造した。
そして、上記ロジン系樹脂に対するPA−PEI樹脂の含有率(固形分)を6%に調整する条件下で、前記実施例3と同様の手順により、PA−PEI樹脂の水溶液と、ロジンエステル及び強化ロジンのトルエン混合溶液とを予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0040】
《比較例1》
前記実施例2に対応するもので、トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを、PA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で乳化した例である。
即ち、冒述の従来技術1に開示された樹脂に属するPA樹脂(Disconstrengh5821;Callaway Chemical社製)の溶液6.03部(固形分40%)と水55.65部を混合した(このときのpHは3.1であった)。
そして、上記強化ロジンエステル22.99部に対して固形分40%のPA樹脂6.03部を含有して、乳化剤の含有率(固形分換算)を10.5%に調整する条件下で、前記実施例2と同様の手順によってロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0041】
《比較例2》
トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA樹脂で乳化して例であり、前記比較例1に比較して強化ロジンエステルに対するPA樹脂の含有率を低減した例である。
即ち、前記比較例1を基本として、強化ロジンエステル22.99部、40%のPA樹脂3.45部、水54.79部の混合割合により、強化ロジンエステルに対するPA樹脂の含有率が6%であるロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0042】
《比較例3》
前記実施例2に対応するもので、トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを、PA−PEI樹脂に替えてPEI樹脂で乳化した例である。
即ち、ポリエチレンイミンをエピクロルヒドリンで変性したPEI樹脂(Lupasol SC−86X;BASF社製)の溶液152部(固形分15%)と水430.8部を混合して、硫酸でpH3.7に調整した。
そして、上記強化ロジンエステル217部に対して固形分15%のPEI樹脂152部を含有して、乳化剤の含有率(固形分換算)を10.5%に調整する条件下で、前記実施例2と同様の手順により、PEI樹脂の水溶液と強化ロジンエステルのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0043】
《比較例4》
トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPEI樹脂で乳化して例であり、前記比較例3に比較して強化ロジンエステルに対するPEI樹脂の含有率を低減した例である。
即ち、前記比較例3を基本として、強化ロジンエステル217部、15%のPEI樹脂186.8部、水462.9部の混合割合により、強化ロジンエステルに対するPEI樹脂の含有率(固形分換算)が6%であるロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0044】
《比較例5》
前記実施例2に対応するもので、トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを、PA−PEI樹脂に替えてポリエチレンイミンのホモポリマーとポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂との混合物(即ち、上述のPA/PEI樹脂混合物)で乳化した例である。
即ち、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂(Polymin SO;BASF社製)80%とポリエチレンイミンのホモポリマー(Lupasol Waterfree;BASF社製)20%の混合物を調製し、このカチオン性のPA/PEI樹脂混合物の合計80.9部を水501.9部に混合して、硫酸でpH3.4に調整した。
そして、上記強化ロジンエステルに対するPA/PEI樹脂混合物の含有率(固形分換算)を10.5%に調整する条件下で、前記実施例2と同様の手順により、PA/PEI樹脂混合物の水溶液と強化ロジンエステルのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0045】
《比較例6》
前記実施例3に対応するもので、PA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で強化ロジンエステルを乳化した例である。
即ち、PA樹脂(Disconstrengh5807;Callaway Chemical社製)を乳化剤に使用して、エマルション中におけるロジン系樹脂に対する乳化剤の含有率(固形分換算)を実施例3の6%から10.5%に増量する条件以外は、実施例3と同様の手順により、PA樹脂の水溶液と強化ロジンのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0046】
《比較例7》
前記実施例4に対応するもので、PA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で強化ロジンエステルを乳化した例である。
即ち、PA樹脂(Disconstrengh5807;Callaway Chemical社製)を乳化剤に使用し、エマルション中におけるロジン系樹脂に対する乳化剤の含有率を10.5%に増量する条件以外は、前記実施例4と同様の手順によりロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0047】
《比較例8》
前記実施例5に対応するもので、PA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で強化ロジンを乳化した例である。
即ち、トール油ロジン1000部にフマル酸92部を添加して、200℃で4時間反応させて、強化ロジンを得た。また、ポリアミドアミンをエピクロルヒドリンで変性したPA樹脂(Disconstrengh5809;Callaway Chemical社製)の溶液114部(固形分20%)と水468.8部を混合した。
そして、上記強化ロジン229.2部に対して固形分20%のPA樹脂114部を含有して、乳化剤の含有率(固形分換算)を10.5%に増量する条件以外は、前記実施例5と同様の手順によりロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0048】
《比較例9》
前記実施例6に対応するもので、トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルをPA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で乳化した例である。
即ち、上記ロジンエステルに対するPA樹脂の含有率(固形分)を10.5%に増量する以外は、前記実施例6と同様の手順により、PA樹脂の水溶液とロジンエステルのトルエン溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0049】
《比較例10》
前記実施例7に対応するもので、トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルと同ロジンにマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンとの混合物を、PA−PEI樹脂に替えてPA樹脂で乳化した例である。
即ち、上記ロジン系樹脂の混合物に対するPA樹脂の含有率(固形分)を10.5%に増量する以外は、前記実施例7と同様の手順により、PA樹脂の水溶液とロジン系樹脂のトルエン混合溶液を予備混合して、ホモジナイザーに通した後、トルエンを留去してロジン系エマルションサイズ剤を得た。
【0050】
そこで、上記実施例1〜7及び比較例1〜10の各ロジン系エマルションサイズ剤に関して、水性エマルションの性状試験、並びに当該サイズ剤を用いてサイジングした手抄紙のサイズ性試験を行った。
《試験例1》
トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例1と、同強化ロジンエステルをPA樹脂で乳化した比較例1を抽出し、エマルションの性状及びサイズ性を調べた。
先ず、エマルションサイズ剤の各試料44gを遠心分離器(H−103N2;国産遠心器社製)を用いて、4000rpm、30分間の条件で遠心分離し、沈降度を測定した結果、実施例1は0.15%、比較例1は1.19%を示した。
また、UKP、CSF690mlの叩解済みパルプスラリーに、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3・14H2O)を0.36%、各エマルションサイズ剤を0.24%の含有率で添加し、希硫酸又は希水酸化ナトリウムによりpHを5〜8の間で逐次変化させながら、基本的にTappi試験法T205 om−88に基づいて手抄紙を製造し、HST(Hercules Sizing Test)法によりサイズ度を測定した。
上記HST法は、ギ酸1.0%とナフトールグリーンB1.25%を含有する水性インクの紙に対する浸透抵抗力で決定され、インクが紙に浸透するのに伴って光反射率が紙の初期値から80%に減少するのに必要な時間(秒)で表される。但し、場合によっては、ギ酸を10%含有するインクを使用した。
【0051】
下表はその結果を示す。
【0052】
次いで、上記硫酸アルミニウムをアルミン酸ナトリウム(約23.5%のAl2O3を含有(固形分43%))に代替して、同様の添加条件でサイズ度を測定し、下表の結果を得た。
上記両試験結果によると、弱酸性〜中性〜アルカリ性の広いpH領域で、PA−PEI樹脂で乳化した実施例1の方が、PA樹脂で乳化した比較例1(即ち、冒述の従来技術1に属するサイズ剤)よりサイズ性に優れていることが判った。
【0053】
《試験例2》
トール油ロジンにグリセリンとトリメリト酸無水物とマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例3と、同強化ロジンエステルをPA樹脂で乳化した比較例6を抽出し、サイズ性を調べた。
上記試験例1と同様の手順により、晒しハード木材パルプ:晒しソフト木材パルプ=60:40、CSF490mlの叩解済みパルプスラリーに、炭酸カルシウムを10%、カチオン澱粉(grade Cato 232;National Starch社製)を0.96%、各エマルションサイズ剤を0.72%の含有率で添加するとともに、硫酸アルミニウムとカチオン保持助剤(Polymin 971L;BASF社製)を下表の割合で添加して(このときのpHは約7.8〜8.0であった)、手抄紙を製造してサイズ度を測定した。
【0054】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 硫酸アルミ カチオン保持 HST
の種類 濃度(%) 助剤濃度(%) (秒)
実施例3 0.96 0 153.8
比較例6 0.96 0 69.6
実施例3 0 0 46.2
比較例6 0 0 8.2
実施例3 0 0.01 349.2
比較例6 0 0.01 7.6
上記試験結果によると、グリセリンとトリメリト酸とマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを使用したサイズ剤では、カチオン保持助剤の有無に拘わらず、実施例3の方が比較例6よりサイズ性に優れることが確認できた。
【0055】
《試験例3》
トール油ロジンにグリセリンとトリメリト酸無水物とマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例3と、トール油ロジンにグリセリンとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例4と、トール油ロジンにグリセリンとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA樹脂で乳化した比較例7を抽出し、サイズ性を調べた。
上記試験例1と同様の手順により、叩解済みパルプスラリーに硫酸アルミニウムを0.96%、各エマルションサイズ剤を0.72%の含有率で添加して(このときのpHは7.8〜8.0を示した)、手抄紙を製造してサイズ度を測定した。
【0056】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 ロジン 乳化剤 HST
の種類 樹脂 の種類 (秒)
実施例3 Gly−Tma−Ma PA−PEI 445.4
実施例4 Gly−Ma PA−PEI 248.9
比較例7 Gly−Ma PA 106.4
上記試験結果において、ロジン系樹脂が、グリセリンとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルで共通する実施例4と比較例7を対比すると、PA−PEI樹脂で乳化した実施例4の方が、PA樹脂で乳化した比較例7よりサイズ度は大きかった。また、乳化剤がPA−PEI樹脂で共通する実施例3と実施例4の場合、グリセリンとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルより、グリセリンとトリメリト酸とマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルを乳化した方がサイズ度は大きかった。
【0057】
《試験例4》
トール油ロジンにフマル酸を反応させた強化ロジンをPA−PEI樹脂で乳化した実施例5と、同強化ロジンをPA樹脂で乳化した比較例8を抽出し、エマルションの性状及びサイズ性を調べた。
先ず、前記試験例1と同様の条件でエマルションサイズ剤の各試料を遠心分離し、沈降度を測定した結果、実施例5は3.9%、比較例8は6.6%を示した。
また、前記試験例1と手順により、叩解済みパルプスラリーに硫酸アルミニウムを0.36%、各エマルションサイズ剤を0.24%の含有率で添加し、pHを5〜6に逐次変化させて手抄紙を製造して、サイズ度を測定した。
尚、試験に使用したインクのギ酸濃度は10%であった。
【0058】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 pH 乳化剤 HST
の種類 の種類 (秒)
実施例5 5 PA−PEI 332.8
比較例8 5 PA 264.8
実施例5 6 PA−PEI 290.8
比較例8 6 PA 153.2
実施例5 7 PA−PEI 113.9
比較例8 7 PA 45.9
上記試験結果によると、フマル酸を反応させた強化ロジンのサイズ剤では、弱酸性〜微アルカリ性のpH領域において、PA−PEI樹脂で乳化した実施例5の方が、PA樹脂で乳化した比較例8よりサイズ性に優れることが明らかになった。
【0059】
《試験例5》
トール油ロジンにプロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例2と、同強化ロジンエステルをPA樹脂で乳化した比較例1と、同強化ロジンエステルをPEI樹脂で乳化した比較例3を抽出し(乳化剤の含有量は共に10.5%である)、サイズ性を調べた。
即ち、上記試験例1と同様の手順により、晒しハード木材パルプ:晒しソフト木材パルプ=60:40、CSF550mlの叩解済みパルプスラリーに、各エマルションサイズ剤を0.36%、硫酸アルミニウムを0.54%の含有率で添加し、さらに、全量に対して3%の炭酸カルシウムを添加して(このときのpHは約7.8〜7.9であった)、手抄紙を製造してサイズ度を測定した。
【0060】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 乳化剤 HST
の種類 の種類 (秒)
実施例2 PA−PEI 185.6
比較例3 PEI 100.9
比較例1 PA 17.4
上記試験結果によると、プロピレングリコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルのエマルションサイズ剤では、PA−PEI樹脂で乳化した実施例2の方が、PA樹脂で乳化した比較例1、或はPEI樹脂で乳化した比較例3よりサイズ性に優れることが明らかになった。
【0061】
《試験例6》
トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した実施例6と、同ロジンエステルをPA樹脂で乳化した比較例9とを抽出した。また、トール油ロジンにグリセリンを反応させたロジンエステルと同ロジンにマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンとの混合物をPA−PEI樹脂で乳化した実施例7と、同ロジン混合物をPA樹脂で乳化した比較例10とを抽出した。
そして、上記実施例7〜8及び比較例9〜10の各サイズ剤を用いて、前記試験例3と同様の手順で手抄紙を製造して、サイズ度を測定した。
【0062】
下表はその結果を示す。
上記試験結果によると、ロジンエステルを使用したサイズ剤、或はロジンエステルと強化ロジンを併用したサイズ剤では、PA−PEI樹脂で乳化した実施例6〜7の方が、PA樹脂で乳化した比較例9〜10よりサイズ性に優れることが明らかになった。
【0063】
《試験例7》
ロジン系樹脂が、トール油ロジンにプロピレングルコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルで共通する上記実施例1〜2及び比較例1〜4の6例を抽出して、各水性エマルション自体の性状を調べた。但し、遠心沈降度は前記試験例1と同様の条件で測定した。
【0064】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 固形分 乳化剤 乳化剤量 遠心沈降度
の種類 (%) の種類 (%) (%)
実施例1 40.2 PA−PEI 6.0 0.2
比較例2 40.9 PA 6.0 10.1
比較例4 39.5 PEI 6.0 15.5
実施例2 39.9 PA−PEI 10.5 0.3
比較例1 40.4 PA 10.5 2.8
比較例3 40.3 PEI 10.5 2.1
上記試験結果の遠心沈降度を見ると、PA樹脂又はPEI樹脂でロジン系樹脂を乳化する場合、乳化剤量が6%では沈降度の数値が大きく、エマルション安定性が不良となってしまうため(比較例2と4参照)、10.5%に増量する必要があることが確認できた(比較例1と3参照)。
これに対して、本発明のPA−PEI樹脂で乳化したサイズ剤では、乳化剤量が6%でもエマルション安定性はきわめて良好であった(実施例1と2参照)。
【0065】
《試験例8》
トール油ロジンにプロピレングルコールとマレイン酸無水物を反応させた強化ロジンエステルをPA−PEI樹脂で乳化した前記実施例1と、同強化ロジンエステルをPA/PEI樹脂混合物(即ち、前述した通り、PA樹脂とPEI樹脂のブレンド)で乳化した比較例5とを抽出して、各水性エマルション自体の性状を調べた。この場合、遠心沈降度は前記試験例1と同様の条件で測定した。
【0066】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 固形分 乳化剤 乳化剤量 遠心沈降度
の種類 (%) の種類 (%) (%)
実施例1 38.5 PA−PEI 6.0 0.2
比較例5 28.2 PA/PEI 10.5 2.7
上記遠心沈降度から判断すると、ロジン系樹脂をPA/PEI樹脂混合物で乳化した比較例5は、PA−PEI樹脂で乳化した実施例1に比べてエマルション安定性が劣ることが確認できた。
【0067】
一方、上記実施例1と比較例5の各エマルションサイズ剤を用いて湿式抄造した紙により、サイズ性を試験した。
即ち、晒しハード木材パルプ:晒しソフト木材パルプ=80:20、CSF450mlの叩解済みパルプスラリーに、各エマルションサイズ剤を0.5%、硫酸アルミニウムを2.0%の含有率で添加し、pHを6.0又は7.5に調整して、その他は上記試験例1と同様の条件により手抄紙を製造して、サイズ度を測定した。
【0068】
下表はその結果を示す。
サイズ剤 pH HST
の種類 (秒)
実施例1 6.0 390.5
比較例5 6.0 380.2
実施例1 7.5 135.9
比較例5 7.5 129.4
上記試験結果によると、前述したように、PA/PEI樹脂混合物で乳化したロジン系樹脂の水性エマルションは、PA−PEI樹脂で乳化したものより乳化安定性が劣ることから、当該サイズ性の点でも比較例5の方が実施例1より若干悪くなることが判った。
【0069】
以上の各種試験例では、本発明のロジン系エマルションサイズ剤を内添サイズ剤として含有する紙のサイズ性を調べたが、下記の試験例では、市販の表面サイズ剤との比較において、本発明のサイズ剤を表面サイズ剤として塗工した紙のサイズ性を調べた。
【0070】
《表面サイジング紙のサイズ性試験例》
先ず、次の組成よりなる複数の塗工液1〜5を調製した。
塗工液1:酸化澱粉(MS−3800;日本食品加工社製)4%の含有水溶液
塗工液2:酸化澱粉4%と前記実施例1のロジン系エマルションサイズ剤0.1%の含有水溶液
塗工液3:酸化澱粉4%と前記実施例1のロジン系エマルションサイズ剤0.2%の含有水溶液
塗工液4:酸化澱粉4%と市販の表面サイズ剤(ハーサイズ KN−500;ハリマ化成社製)0.1%の含有水溶液
塗工液5:酸化澱粉4%と上記市販の表面サイズ剤0.2%の含有水溶液
但し、上記市販の表面サイズ剤はスチレン−アクリル酸系共重合物を有効成分とするサイズ剤である。
【0071】
次いで、坪量67g/m2の未塗工中性上質紙を原紙として、上述の各種塗工液をこの原紙の表面上に、吸液量が固形で1.5g/m2になるように調整しながらラボサイズプレスにて塗工した後、回転式ドラムドライヤーを用いて90℃、90分の条件で乾燥し、温度20℃、湿度65%の恒温・恒湿室で一夜調湿してから、塗工液の種類ごとにサイズ度(秒)をステキヒト法(JIS P8122)により測定した。
【0072】
下表はその結果を示す。
上記試験結果によると、本発明のロジン系エマルションサイズ剤は、表面サイズ剤として使用した場合でも、市販の表面サイズ剤と同レベルのサイズ効果を発揮することが明らかになった。
Claims (6)
- (A)ロジン類、ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させた強化ロジン類、ロジン類に多価アルコール類を反応させたロジンエステル類、及び、ロジン類に多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類、又は多価アルコール類と3価以上の多価カルボン酸類とα,β−不飽和カルボン酸類を反応させた強化ロジンエステル類からなる群より選ばれたロジン系樹脂の少なくとも一種と、
(B)カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂とを、
カチオン性樹脂/ロジン系樹脂=1/9〜1/18の重量比で含有し、
当該カチオン性樹脂を乳化剤として上記ロジン系樹脂を水中に分散させたロジン系エマルションサイズ剤。 - カチオン性のアルキレンイミン変性ポリアミドアミン樹脂が、
ジカルボン酸とポリアルキレンポリアミンとを縮合反応させて塩基性ポリアミドアミンを得て、この塩基性ポリアミドアミンに1,2−アルキレンイミンをグラフト重合させ、このグラフト化ポリアミドアミンを2官能性化合物により架橋した高分子樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のロジン系エマルションサイズ剤。 - ジカルボン酸がコハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸などの少なくとも一種であり、
ポリアルキレンポリアミンがジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミンなどの少なくとも一種であり、
1,2−アルキレンイミンがエチレンイミン、1,2−プロピレンイミンなどの少なくとも一種であり、
2官能性化合物がエピクロルヒドリン、アクリル酸エステルなどの少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載のロジン系エマルションサイズ剤。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロジン系エマルションサイズ剤をパルプスラリーに含有させて、湿式抄造した紙。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロジン系エマルションサイズ剤を表面サイズ剤として塗工した紙。
- サイズ剤を内添し又は塗工した紙が、電子写真用紙、インクジェット用紙、新聞紙、板紙より選ばれたことを特徴とする請求項4又は5に記載の紙。
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