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JP4345700B2 - 画像記録装置 - Google Patents

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JP4345700B2
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Description

本発明は、記録用紙に画像を記録する画像記録装置に関し、特に、記録用紙にインク滴を吐出することにより画像記録を行うインクジェット記録装置に関するものである。
インクを用いた画像記録装置(通常、「インクジェット記録装置」と称される。)では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等の色相の異なるインクが記録ヘッドに供給され、記録ヘッドが所定の方式に従って各色のインクを吐出し、記録用紙上にドットを形成することによって、カラー画像が形成されるようになっている。近年のインクジェット記録装置は、いわゆる「縁なし記録」と称される手法の画像記録を行うことができるようになっている。この「縁なし記録」とは、記録用紙の全面にインクが吐出される(すなわち、記録用紙の外縁までインクが吐出される)ことにより、写真と同様の画像記録が実現される記録方法である。
この縁なし記録が実行される場合には、記録用紙は、その外縁部に余白が形成されないように精緻に搬送されなければならない。すなわち、搬送される記録用紙の端部の位置が正確に検知されなければならず、そのため、従来から種々の画像記録方法が提案されている。例えば、記録ヘッドを保持するキャリッジにメディアセンサが搭載され、画像が記録用紙に所定送り量(例えば1/4インチ)だけ記録されるごとに当該メディアセンサが当該記録用紙の両端部の位置を検出し、その検出結果に基づいて上記キャリッジの走査が制御される画像記録方法が提案されている。
上記画像記録方法では、メディアセンサは、例えば発光素子及び受光素子からなる。発光素子から発せられた光が被検体により反射され、この反射光を受光素子が受光することによって被検体としての記録用紙の存在が検知される。このようなメディアセンサにより正確に記録用紙の位置が検知されるためには、このメディアセンサを記録用紙に対して低速で相対移動させる必要があり、したがって、上記画像記録方法では、記録用紙の端部の検出に長時間を要する。その結果、画像記録に要する時間も長くなるという問題があった。この問題を解決するための一つの手段として、従来では、記録用紙の端部のセンシングの仕方を工夫した画像記録制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−90316公報
本発明は、かかる背景のもとになされたものであって、その目的は、搬送される記録用紙の位置を迅速にセンシングし、高速且つ良好な画像記録(特に、インクジェット記録装置の場合は、良好な縁なし記録)が実現される新たな画像記録装置を提供することである。
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係る画像記録装置は、記録用紙を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、記録用紙への画像記録動作を行う記録ヘッドと、記録用紙の表面に光を照射する光源及び当該記録用紙からの反射光を受光する受光素子を有する検知手段と、上記記録ヘッド及び検知手段を保持し、上記搬送方向と直交する主走査方向に往復移動する走査キャリッジと、上記検知手段により検知された記録用紙の主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を端部位置情報として記憶する記憶手段とを備え、上記記憶手段に記憶された端部位置情報に基づいて上記走査キャリッジが移動しつつ上記記録ヘッドが作動することにより記録用紙に画像が記録される画像記録装置であって、上記記録用紙の搬送方向の先頭位置において、上記走査キャリッジを記録速度より低速で移動させつつ上記検知手段により記録用紙の主走査方向両端位置を上記検知手段で検知し且つ当該検知された主走査方向両端位置を端部位置情報として記憶手段に記憶すると共に、上記搬送手段により記録用紙が先頭位置から所定量搬送されるごとに、上記端部位置情報に基づいて、記録用紙の端部領域で上記走査キャリッジを記録速度より低速で移動させつつ、上記検知手段により記録用紙の主走査方向両端位置の検知を実行する制御手段を備えている。
この構成によれば、画像記録に先立って、記録用紙の先頭位置における当該記録用紙の主走査方向一端及び他端の位置が検知される。このとき、走査キャリッジは、記録速度より低速で移動される。この記録速度とは、記録ヘッドが作動しているとき(すなわち画像記録時)の移動速度である。このような低速で走査キャリッジが移動されつつ検知手段が記録用紙をセンシングするので、記録用紙の主走査方向両端の位置が精密に検知される。また、記憶手段は、上記検知された先頭位置における主走査方向両端の位置を端部位置情報として記憶する。この端部位置情報に基づいて、記録ヘッドが作動し、画像が記録される。さらに、この記録用紙が所定量搬送される度に(すなわち、画像記録にともなって記録用紙が搬送方向下流側に送られる度に)、上記端部位置情報に基づいて、記録用紙の端部領域においてのみ上記走査キャリッジが低速で移動され、当該記録用紙の主走査方向両端の位置が検知される。つまり、記録用紙の端部領域についてのみ主走査方向両端の位置が精密に検知される。このため、記録用紙が先頭位置から所定量搬送されるごとに、きわめて短時間で記録用紙のセンシングが行われる
(2) 上記制御手段は、上記記録用紙の端部領域を除く用紙中間領域を短時間で通過するように上記走査キャリッジを上記記録速度より高速移動させるものであるのが好ましい。上記用紙中間領域において走査キャリッジが高速移動されることにより、上記中間検出点における記録用紙の端部位置の検知時間が短くなる。
(3) 上記制御手段は、上記走査キャリッジが上記用紙中間領域を通過するときに上記検知手段の作動を停止させるものであるのが好ましい。この構成では、上記用紙中間領域についてはセンシングが行われないので、上記走査キャリッジが高速移動され得る。これにより、上記記録用紙の端部位置の検知時間が短くなる。加えて、用紙中間領域については、検知手段が検知した情報を処理する必要がないので、制御手段が備えるメモリの容量も小さくされ得るという利点がある。
(4) 上記制御手段は、上記記録ヘッドが作動しているときに上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知されるように上記検知手段を作動させるものであるのが好ましい。この構成では、印字中においても検知手段が作動して当該記録用紙の端部位置がセンシングされる。したがって、仮に画像記録が行われている記録用紙が斜行した場合には、これが印字中に確実に検出され、しかも、検出された斜行量に基づいて上記走査キャリッジの移動が制御され得るという利点がある。ここで、走査キャリッジは、印字中には上記記録速度で移動し、この記録速度は、前述のように記録用紙の端部位置の検知が行われるときの移動速度(検知速度)よりも大きい。そのため、印字中に上記記録用紙の端部位置がセンシングされたとしても、当該端部位置の精密なセンシングは困難である。しかし、少なくとも、当該端部位置の概略位置が検知され得るので、印字中の記録用紙の斜行は、確実に検出される。
本発明によれば、画像記録される記録用紙の先頭において端部位置が詳細に検知され、この検知された端部位置に基づいて画像記録動作が制御される。すなわち、長時間を要する上記端部位置の詳細な検知は、当該記録用紙の先頭でのみ行われ、その後の所定量搬送された検出点においては、上記端部位置は簡易に検知される。したがって、高速で良好な画像記録が実現される。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機10(画像記録装置)の外観斜視図である。
複合機10は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能を有する。複合機10のうちプリンタ部11が本発明に係る画像記録装置(本実施形態では、特にインクジェット記録装置)に相当する。プリンタ機能以外の機能が省略されていてもよい。したがって、本発明は、スキャナ部12が省略され、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタにも適用され、さらに通信部を備えたファクシミリ機能等を有するものにも適用され得る。
本発明が複合機であるインクジェット記録装置として実施される場合には、本実施形態に係る複合機10のような小型装置として構成されてもよいし、複数の給紙カセットや自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えた大型装置として構成されてもよい。もっとも、本発明は、インクジェット記録装置にのみ適用されるものではなく、被記録媒体(典型的には記録用紙)への画像記録動作を行う記録ヘッドを備えた画像記録用紙一般に適用され得る。また、複合機10は、主に図示されていないコンピュータと接続されて、当該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて記録用紙に画像や文書を記録するように構成されていてもよい。さらに、複合機10は、デジタルカメラと接続されて、当該デジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、各種記録媒体が装填されることにより、当該記録媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録するように構成されていてもよい。
図1が示すように、複合機10は、概ね幅広薄型直方体の外形を呈し、複合機10の高さ寸法より横幅寸法及び奥行寸法が大きく設定されている。複合機10の下部にプリンタ部11が設けられている。プリンタ部11は、正面に開口13を有する。給紙トレイ14及び排紙トレイ15がこの開口13に露出するようにして上下2段に設けられている。給紙トレイ14は、記録用紙を貯蔵するためのものであり、A4サイズ以下の、B5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が収容可能となっている。給紙トレイ14は、スライドトレイ16を備えている。必要に応じてスライドトレイ16が引き出されることにより、トレイ面が拡大されるようになっている。給紙トレイ14に収容された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送されて所定の画像が記録され、排紙トレイ15へ排出されるようになっている。
複合機10の上部にスキャナ部12が設けられている。このスキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。複合機10は、原稿カバー17を備えている。原稿カバー17は、複合機10に対して開閉自在に設けられており、複合機10の天板として構成されている。原稿カバー17の下側に、図示されていないプラテンガラス及び画像読取キャリッジが設けられている。プラテンガラスは原稿を載置するためのものである。画像読取キャリッジは、このプラテンガラスの下方に設けられており、主走査方向(複合機10の幅方向)にスライド可能である。画像読取キャリッジは、複合機10の幅方向にスライドすることによって原稿を走査する。
複合機10の正面上部に操作パネル18が設けられている。この操作パネル18は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するための装置である。操作パネル18は各種操作ボタンや液晶表示部を備えている。複合機10は、この操作パネル18からの操作指示によって、あるいはプリンタドライバを介してコンピュータから送信される指示によって動作するようになっている。操作パネル18やプリンタドライバは、例えば、記録用紙のサイズ(はがきサイズ、A4サイズ等)等を入力する入力手段として機能し得る。また、複合機10の正面の左上部にスロット部19が設けられている。記録媒体である各種小型メモリカードがこのスロット部19に装填されるようになっている。小型メモリーカードに記録された画像データは、液晶表示部に表示される。そして、操作パネル18が操作されることにより、小型メモリーカードに記録された任意の画像がプリンタ部11によって記録用紙に記録される。
図2は、複合機10のプリンタ部11の構造を示す模式図である。同図において、紙面に垂直な方向が複合機10の幅方向であって上記主走査方向である。
複合機10の底部に給紙トレイ20が設けられている。この給紙トレイ20の奥側(図中右側)には、給紙トレイ20に積載された記録用紙を分離して上方へ案内するための分離傾斜板21が配設されている。この分離傾斜板21から上方へ向かって搬送路22が形成されている。搬送路22は、上方へ延びた後に左方へ湾曲し、複合機10の背面側から正面側へと延びている。さらに、この搬送路22は、画像記録部23を通過して排紙トレイ24へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、搬送路22により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部23に至る。画像記録部23が記録用紙に画像記録を行った後、この記録用紙は、排紙トレイ24に排出されることとなる。この搬送路22に沿う方向が記録用紙の搬送方向である。この搬送方向と上記主走査方向とは、直交している。
給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25(搬送手段)が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路22へ供給する。給紙ローラ25の構造は既知であって、例えば、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の先端に軸支されている。この給紙ローラ25は、駆動伝達機構を介してモータに連結されている。この駆動伝達機構は、複数のギアが噛合されて構成され得る。上記モータが作動することにより、その駆動力が給紙ローラ25に伝達され、給紙ローラ25が回転するようになっている。
給紙アーム26は、基端軸27の周りに回動可能に設けられている。これにより、給紙アーム26は、基端軸27を揺動中心として上下方向に揺動可能である。給紙アーム26は、待機状態では、図示されていない給紙クラッチやバネ等により上側へ跳ね上げられており、記録用紙を供給する際に下側へ揺動する。給紙アーム26が下側へ揺動することにより、その先端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙の表面に圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転する。給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力は、最上位置の記録用紙を分離傾斜板21へ送り出す。この記録用紙は、その先端が分離傾斜板21に当接して上方へ案内され、搬送路22へ送り込まれる。なお、給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合がある。しかし、この記録用紙は分離傾斜板21に当接することによって制止される。
搬送路22は、画像記録部23等が配設されている箇所以外では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とにより区画形成されている。この複合機10では、外側ガイド面は、複合機10のフレームの内壁面により構成されており、内側ガイド面は、複合機10のフレーム内に設けられたガイド部材の表面によって構成されている。また、特に搬送路22が曲がっている箇所には、搬送コロが設けられていてもよい。同図では搬送コロが図示されていないが、搬送コロは、搬送路22の幅方向(同図において紙面に垂直な方向)を回転中心軸方向として回転自在に設けられていてもよい。搬送コロは、そのローラ面が外側ガイド面又は内側ガイド面に露出するように取り付けられる。この搬送コロが設けられることにより、記録用紙は、搬送路22が曲がっている箇所においてもガイド面に接触して円滑に搬送される。
搬送路22が下方から上方へUターンした後の下流側に、上記画像記録部23が設けられている。図3は、画像記録部23の構成を模式的に示す斜視図であり、図4は、画像記録部23の構成を模式的に示すブロック図である。
図2及び図3が示すように、画像記録部23の上流側に駆動ローラ60及び押さえローラ61(搬送手段)が設けられている。これら駆動ローラ60及び押さえローラ61は、搬送路22を搬送される記録用紙47を狭持し、プラテン41上へ送る。一方、画像記録部23の下流側に排紙ローラ62及び押さえローラ63(搬送手段)が設けられている。これら排紙ローラ62及び押さえローラ63は、記録済みの記録用紙47を狭持して搬送する。駆動ローラ62は、モータ64により回転駆動され、排紙ローラ62も同様のモータにより回転駆動されるようになっている。これにより、記録用紙47は、所定の改行幅で間欠的に送られるようになっている。
押さえローラ61は、駆動ローラ60を所定の押圧力で押圧するように駆動ローラ60に対して弾性付勢されている。したがって、駆動ローラ60と押さえローラ61との間に記録用紙47が進入した場合には、押さえローラ61は、記録用紙47の厚み分だけ弾性的に退避しつつ駆動ローラ60と協働して記録用紙47を狭持する。このため、駆動ローラ60の回転力は、確実に記録用紙47へ伝達される。押さえローラ63も排紙ローラ62に対して同様に設けられている。ただし、押さえローラ63は、記録済みの記録用紙47に圧接するので、記録用紙47に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に形成されているのが好ましい。
駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された記録用紙47は、所定の改行幅でプラテン41上を間欠搬送される。記録ヘッド43は、記録用紙47の改行ごとに主走査方向にスライドされ、記録用紙47の先端側から画像記録を行う。画像記録が行われた記録用紙47は、その先端側から排紙ローラ62及び押さえローラ63に狭持される。換言すれば、記録用紙47は、先端側を排紙ローラ62及び押さえローラ63に、後端側を駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、記録ヘッド43が記録用紙47に画像の記録を行う。さらに、記録用紙47が搬送されると、記録用紙47の後端が駆動ローラ60及び押さえローラ61を通過する。これにより、記録用紙47は、駆動ローラ60及び押さえローラ61から開放され、排紙ローラ62及び押さえローラ63によって所定の改行幅で間欠して搬送される。この場合も、記録ヘッド43は、記録用紙47に画像の記録を行う。記録用紙47の所定領域に画像が記録された後は、排紙ローラ62が連続的に回転駆動され、排紙ローラ62及び押さえローラ63により狭持された記録用紙47は、排紙トレイ24へ排出される。
図2ないし図4が示すように、画像記録部23は、ヘッド部28と、ヘッド部28と対向配置されたプラテン41と、後述される記録ヘッド43(本実施形態では、インクジェット記録ヘッド)にインクを供給するサブタンク29〜36と、このサブタンク29〜36にインクを供給するカートリッジタイプのインクタンク37〜40と、各インクタンク37〜40からインクを引き出すポンプ(図示せず)と、このポンプの駆動等を制御する図示されていない制御装置(制御手段)とを備えている。この制御装置については、後に詳述される。
インクタンク37〜40は、カートリッジタイプである必要はなく、要するにインクを貯留しておけるものであればよい。画像記録部23は、プラテン41上を搬送される記録用紙47に画像記録を行うものである。すなわち、ヘッド部28が、インクタンク37〜40から供給されるブラック(Bk)・マゼンタ(M)・シアン(C)・イエロー(Y)等の各色インクを吐出しながら主走査方向にスライドされることにより、記録用紙47に画像が記録される。
各インクタンク37〜40に、可撓性チューブからなる接続管94〜97が連結されている。後述されるようにヘッド部28は、図4において左右方向にスライドされるようになっている。接続管94〜97は可撓性を備え且つ十分な長さに設定されている。したがって、接続管94〜97は、ヘッド部28のスライドに滑らかに追従するように変形することができる。
図3が示すように、ヘッド部28は、走査キャリッジ42を備えている。上記サブタンク29〜36は、この走査キャリッジ42に保持されている。ヘッド部28は、上記記録ヘッド43を備えており、この記録ヘッド43も走査キャリッジ42に保持されている。記録ヘッド43は、走査キャリッジ42の下面に露出するように配置されており、サブタンク29〜36から記録ヘッド43へインクが供給される。走査キャリッジ42は、案内シャフト44に支持されており、この案内シャフト44に沿ってスライドすることができる。走査キャリッジ42には無端ベルト45が取り付けられている。この無端ベルト45にベルト駆動モータ46がプーリを介して連結されており、ベルト駆動モータ46が作動することによってヘッド部28が主走査方向にスライドする。
走査キャリッジ42は、メディアセンサ115(検知手段)を備えている。このメディアセンサ115は、上記記録用紙47の存在及びその端部位置を検知するためのものであって、光源及び受光素子を有している。光源は、下方に光りを発することができる。この光源から発せられた光は、ヘッド部28側に搬送された記録用紙47の表面に照射される。プラテン41上まで記録用紙47が搬送されていない場合は、上記光はプラテン41に照射される。上記記録用紙47又はプラテン41に照射された光は、反射される。上記受光素子は、この反射光を受光し、受光量に応じて出力する。この出力の値は、いわゆるAD値(電圧値)によって表される。前述のように走査キャリッジ42がスライドされることによって、メディアセンサ115が上記プラテン41上を走査する。そして、上記AD値の変化に応じて、記録用紙47がプラテン41上に存在すること及びその端部の位置が検知される。また、後述されるように、制御装置69は、上記AD値に応じて当該記録用紙47の種類(用紙タイプ)を判定することができるようになっている。
また、同図では図示されていないが、複合機10のフレームに位置センサ(本実施形態では、エンコーダ)が設けられている。このエンコーダは、走査キャリッジ42のプラテン41上の位置を検出し、その位置データ(電圧値)を上記制御装置69に送信する。後述されるが、制御装置69のCPUは、この位置データに基づき、走査キャリッジ42のプラテン41上の位置を算出する。したがって、走査キャリッジ42がスライドした場合に、記録用紙47に対する記録ヘッド43及びメディアセンサ115の相対的位置が上記制御装置69によって把握される。
本実施形態に係る複合機10の特徴とするところは、記録用紙47が後述のように搬送され、且つその端部位置がメディアセンサ115によってセンシングされるようになっている点であり、これにより、プラテン41上に配置された記録用紙47の端部位置が迅速に検知され、その結果、高速且つ良好な縁なし記録が実現されるようになっている。
図5は、記録ヘッド43の拡大底面図であって、記録ヘッド43の下面の構造が詳細に図示されている。
同図が示すように、記録ヘッド43の下面にインク吐出口48が設けられている。本実施形態では、このインク吐出口48を構成する4列のノズルが縦方向に並設されている。同図において「縦方向」とは、記録用紙47の搬送方向である。同図において最も右端に位置するノズルは、ブラックインク(Bk)に対応しており、このノズルからブラックインク(Bkインク)が吐出される。このBkインク用のノズルに隣り合うように順に、3列のノズルが設けられている。各列のノズルは、それぞれ、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)に対応しており、各ノズルからは、イエローインク(Yインク)、マゼンタインク(Mインク)、シアンインク(Cインク)がそれぞれ吐出される。すなわち、この記録ヘッド43は、4色のインクを吐出することができる。また、この記録ヘッド43の下面に上記メディアセンサ115の光源116及び受光素子117が露出しており、光源116から発せられた光が記録用紙47等に反射し、この反射光が受光素子117によって受光される。
図6は、ヘッド部28の断面図である。
同図が示すように、インク吐出口48を構成する複数のノズル49が、記録ヘッド43の下部にBk、Y、M、Cの各カラーインクに対応して並んでいる。各カラーインクに対応する各ノズル49ごとに、その上流側にマニホールド50が形成されている。マニホールド50は、ノズル49の一端側に形成された供給管51と、ノズル49に連続して形成されたマニホールド室52とから構成されている。上記供給管51から供給されたインクは、マニホールド室52を通じて各ノズル49に分配されるようになっている。
マニホールド室52のノズル49と対向する面は、インクが流れる下流側へ向かって下降するように傾斜しており、マニホールド室52の断面積は、下流側へ向かって漸次小さくなるように構成されている。マニホールド50により分配されたインクをインク吐出口48からインク滴として吐出するための機構は、既知の種々の機構が採用され得る。この機構は、典型的には、ノズル49の側壁が圧電材料で構成され、この圧電材料の変形がインク滴を噴出させるものが採用される。
上記マニホールド50の上側にバッファタンク53が配設されている。バッファタンク53は、ノズル49及びマニホールド50と同様に各カラーインクに対応して設けられている。このバッファタンク53が前述の各サブタンク29〜36の一部又は全部を構成していてもよい。上記インクタンク37〜40内のインクは、インク供給口54を通じて各サブタンク29〜36に供給される。このように、インクタンク37〜40から直接ノズル49へインクが供給されずに、インクが一旦バッファタンク53(サブタンク29〜36)にストックされることにより、インク内に発生した気泡が除去され、ノズル49に気泡が進入することが防止される。また、バッファタンク53(サブタンク29〜36)内で捕捉された気泡は、図示されていない気泡排出口から除去される。
各カラーインク(Bk、Y、M、C)に対応する各サブタンク29〜36(バッファタンク53)は、それぞれ、嵌合部56を備えている。この嵌合部56に上記インク供給口54が設けられている。図6では明確に図示されていないが、この嵌合部56に上記可撓性チューブからなる接続管94〜97が連結されている(図3参照)。したがって、図4が示すように、インクタンク37とサブタンク29とが接続管94により接続され、インクタンク38とサブタンク32とが接続管95により接続され、インクタンク39とサブタンク34とが接続管96により接続され、インクタンク40とサブタンク36とが接続管97により接続されている。
図3が示すように、インクタンク37〜40は、ホルダ65に保持されている。前述のように、インクタンク37〜40は、それぞれ、Bkインク、Mインク、Cインク、Yインクを貯留している。各インクタンク37〜40の下部に、それぞれ、上記サブタンク29〜36の嵌合部56(図6参照)に接続される接続部66が設けられている。そして、上記接続管94〜97は、これら接続部66に連結されている。
上記ポンプが作動すると、Yインクがインクタンク40から引き出され、接続管97を介してサブタンク36へ送られる。同様にして、Cインクがインクタンク39からサブタンク34に供給され、Mインクがインクタンク38からサブタンク32へ供給され、Bkインクがインクタンク37からサブタンク29へ供給される。そして、前述のように、各サブタンク29〜36(バッファタンク53)は、供給管51を通じてマニホールド室52と連通しているから(図6参照)、インクタンク37〜40から供給された各カラーインクがサブタンク29〜36(バッファタンク53)及びマニホールド50を通ってノズル49に流れる。記録ヘッド43は、各カラーインクをインク吐出口48からインク滴として吐出する。
図7は、複合機10の制御装置69の構成を示すブロック図である。
同図が示すように、制御装置69は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えた中央処理部70を有し、この中央処理部70が、バス71及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)72を介して、各種センサ、プリンタ部11、スキャナ部12、操作パネル18等とデータ送受信可能に接続されている。
中央処理部70のROMは、所定のコンピュータプログラムを記憶している。CPUは、このコンピュータプログラムにしたがい、各種センサの情報に基づいて種々の演算を行う。これにより、駆動ローラ60の駆動源であるモータ64(LFモータ)の回転制御、ヘッド部28をスライドさせるためのベルト駆動モータ46(CRモータ)の回転制御、インクタンク37〜40からインクを引き出すための上記ポンプの作動制御及びメディアセンサ115から送信される情報(上記AD値)に基づくプラテン41上における記録用紙47の存在の判定その他所定の演算等が行われる。
上記CPUは、上記メディアセンサ115からの情報(上記AD値)に基づいて、プラテン41上における記録用紙47の存在及びその端部位置の検出を次のようにして行う。すなわち、まず、走査キャリッジ42が走査されることにより、メディアセンサ115が記録用紙47上を移動しセンシングする。プラテン41は、通常明度の低い色相に設定されており、記録用紙47は、通常明度の高い色相(典型的には白色)に設定されている。したがって、メディアセンサ115が記録用紙47をセンシングした場合、測定値としてのAD値は、当該記録用紙47の端部(プラテン41と記録用紙47との境界部)において急激に変化する。このAD値の変化は、制御装置69のCPUが判断する。移動するメディアセンサ115の位置は、上記エンコーダによって例えば1/150インチごとに把握されるから、メディアセンサ115のプラテン41上の位置とAD値とが検出されれば、AD値について一定の閾値が設けられることにより、当該記録用紙47の存在及び端部位置(主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置)が把握される。また、上記CPUは、上記メディアセンサ115からの情報(上記AD値)に基づき、上記ROMに記憶されたコンピュータプログラムにしたがって記録用紙47の用紙タイプを判定する。すなわち、このCPUは、上記受光素子の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定する。
これら記録用紙47の主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の先頭検出点及び中間検出点において検出される。後に詳述されるが、先頭検出点とは、記録用紙47の一端及び他端の位置を定量的に検出するための検出点であって、当該記録用紙47の搬送方向の先頭位置である。また、中間検出点とは、上記先頭検出点を基準に搬送方向後方に所定距離(例えば1/4インチ)ごとに設定された検出点である。さらに、上記CPUは、先頭検出点及び複数の中間検出点において検出された上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置に基づき、当該記録用紙47の斜行量を演算により決定することができるようにもなっている。
上記各検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置並びに当該記録用紙47の斜行量、用紙タイプ及び用紙サイズは、それぞれ関連づけられて上記RAM(記憶手段)に記憶される。すなわち、用紙タイプ情報と、用紙サイズ情報と、先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置、各中間検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を含む端部位置情報とが当該記録用紙47に関する情報のグループを構成する。この場合において、上記斜行量が上記端部位置情報に含まれていてもよい。そして、上記CPUは、これら情報に基づいて、後述のようなヘッド部28の制御を行う。
複合機10は、操作パネル18からの入力のほか、例えばパーソナルコンピュータ(PC)73と接続され、このコンピュータ73から送信された画像データや文書データに基づいて記録用紙47に画像や文書を記録することもできる。そのために、パーソナルコンピュータ73とデータを送受信するためのインタフェース(I/F)も備えている。なお、本実施形態で示した制御装置69の構成は一例であり、したがって、後述の制御を行う制御装置であれば、他の構成が採用されてもよいことは勿論である。
図8は、インクがインクタンク37〜40からサブタンク29〜36を経て記録ヘッド43へ送られるインク供給経路及び記録ヘッド43の動作位置を模式的に示したものである。
インクタンク37〜40から供給されたインクは、前述のようにサブタンク29〜36(バッファタンク53:図6参照)に貯留されてインク中の気泡が捕捉される。このインクは、供給管51(図6参照)からマニホールド室52へ流れてノズル49に分配され、インク吐出口48からインク滴として吐出される。このようにして記録ヘッド43が各カラーインクのインク滴を吐出しながら、画像記録範囲W1をスライドすることにより、記録ヘッド43の下方を搬送される記録用紙47に画像が記録される。
同図が示すように、記録ヘッド43の画像記録範囲W1外であって走査可能範囲W2の両端側には、パージ機構74及び廃インクトレイ75がそれぞれ配設されている。パージ機構74は、記録ヘッド43のノズル49等から気泡や異物を吸引除去するためのものであって、上記ポンプを備えている。記録ヘッド43が走査可能範囲W2の右端(パージ位置)にスライドすると、パージ機構74のキャップ76が上方へ移動し、キャップ76は、記録ヘッド43の下面にインク吐出口48を覆うように密着する。このキャップ76に上記ポンプが接続されている。このポンプが作動することによって、記録ヘッド43のノズル49等からインクが吸引され、上記各サブタンク29、32、34及び36に送られる。本実施形態に係る複合機10では、インクタンク37〜40は外部と連通しており、インクタンク37〜40内の圧力は、大気圧となっている。また、記録ヘッド43は、インクタンク37〜40よりも下方に配置されている。したがって、記録ヘッド43がインクを吐出することによって、大気圧が作用しているインクタンク37〜40内のインクが上記接続管94〜97(図4参照)を介して連続的に記録ヘッド43へ供給される。さらに、記録ヘッド43をスライドさせるためのベルト駆動モータ46の制御、キャップ76の移動制御、上記ポンプの制御は、上記制御装置69が行う。
廃インクトレイ75は、記録ヘッド43からのインクの空吐出を受けるためのものである。このようなインクの空吐出は、一般にフラッシングと呼ばれる。フラッシングの際には、記録ヘッド43が走査可能範囲W2の左端(フラッシング位置)に移動され、その位置で各カラーインクが廃インクトレイ75へ向かって空吐出される。なお、パージ機構74及び廃インクトレイ75の左右の配置は特に限定されるものではなく、走査可能範囲W2において前述と左右反対に配置しても、左右のいずれか一方に両者を配置してもよい。
本実施形態では、走査キャリッジ42がフラッシング位置(図8において左端)に配置されたときに、上記エンコーダは、初期値(原点)に設定される。ただし、走査キャリッジ42がパージ位置(図8における右端)に配置されたときに、上記エンコーダが原点に設定されていてもよい。要するに、走査キャリッジ42がパージ位置あるいはフラッシング位置にあるときに、当該走査キャリッジ42の基準位置が設定される。
インクタンク37〜40を保持したホルダ65(図3参照)は、例えば走査可能範囲W2の右端に設置されることができる。もっとも、このホルダ65は、走査可能範囲W2の左端、その他複合機10のフレームのデッドスペースに配置されていてもよいことは勿論である。
図9は、本実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。当該複合機10は、次の要領で記録用紙47に画像を記録する。
所定の画像データに基づき記録が開始されると、第1枚目の記録用紙47が給紙される(ステップS1)。記録用紙47の給紙は、給紙ローラ25によって行われ(図2参照)、駆動ローラ60及び排紙ローラ62によって搬送路22を搬送される。この記録用紙47は、所定の位置まで搬送され、画像記録に備えてセットされる。この所定の位置とは、例えば、ヘッド部28の直前の位置であって、メディアセンサ115が当該記録用紙47の先頭における側方端部を検出することができる位置である。
次に、走査キャリッジ42が移動される(ステップS2)。これにより、メディアセンサ115が当該記録用紙47の中央部に配置される。メディアセンサ115の位置は、上記エンコーダによって把握されているから、このメディアセンサ115は、容易に上記記録用紙47の中央部に配置される。そして、メディアセンサ115の光源から当該記録用紙47に向かって光りが発せられ、その反射光を受光素子が受光する。受光素子は、受光量に応じた信号(AD値)を出力する。制御装置69のCPUは、このAD値に基づき、上記光源の光量を調整する(ステップS3)。すなわち、この光源の光量調整は、当該記録用紙47の種類に応じて行われることとなる。したがって、この光量調整におけるAD値に基づき、上記CPUは、同時に当該記録用紙47の用紙タイプを判定することができる。
次に、走査キャリッジ42が移動される(ステップS4)。これにより、メディアセンサ115は、当該記録用紙47の端部位置を検出するための検出開始位置に配置される。具体的には、走査キャリッジ42は、フラッシング位置(図8における左端)に配置される。前述のように、このフラッシング位置では、上記エンコーダは、原点に設定されている。そして、メディアセンサ115が「ON」の状態となり、記録用紙47の端部を検知するための準備が整う(ステップS5)。
次に、走査キャリッジ42が移動される(ステップS6)。この走査キャリッジ42の移動方向は、図8において左から右に向かう方向である。このとき、走査キャリッジ42は、所定の検知速度で移動される。具体的には、この検知速度は、20インチ/秒である。ただし、この検知速度は、4インチ/秒〜8インチ/秒の範囲で適宜設置され得る。そして、上記先頭検出点におけるセンシングが終了すれば、メディアセンサ115が「OFF」の状態とされる(ステップS7)。
すなわち、画像記録に先立って、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。具体的には、走査キャリッジ42がスライドされ(図3参照)、メディアセンサ115によって当該記録用紙47がセンシングされる。メディアセンサ115の出力であるAD値に基づいて、制御装置69が当該記録用紙47の存在及び上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を検知する。ここで、「先頭検出点」とは、搬送される記録用紙47の側方一端及び側方他端の位置を定量的に検出するための検出点であって、記録用紙の搬送方向の先頭位置である。この先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS8)。また、当該記録用紙47の用紙サイズは、例えば上記操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS9)。さらに、前述のように、この制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS10)。このRAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶することもできる。
そして、走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出されることにより、当該記録用紙47に画像が記録される(ステップS11)。このとき、画像記録は、搬送距離(送り量)1/4インチ分だけ行われる(ステップS12)。この1/4インチ分の記録は、印字改行幅と一致されている必要はない。したがって、1/4インチの送り量に複数回の改行動作が含まれていてもよい。
その後、当該記録用紙47について画像記録が完了しているかどうかが判断される(ステップS13)。当該記録用紙47にさらに記録される場合には、中間検出点におけるセンシングが行われる(ステップS14)。当該記録用紙47への画像記録が完了した場合には、連続して記録用紙47に画像記録されるか否かが判断される(ステップS15)。連続して画像記録がなされる場合には、上記ステップS4〜ステップ14が繰り返され、連続して画像記録がなされない場合には、当該画像記録動作が終了される。
図10は、上記中間検出点におけるセンシングの要領を示すフローチャートである。
上記記録用紙47の先頭から1/4インチだけ画像記録された後に、さらに連続して画像記録がなされる場合には、メディアセンサ115が「ON」の状態となり(ステップS16)、当該記録用紙47の中間検出点におけるセンシングを行うための準備が整えられる。ここで「中間検出点」とは、上記先頭検出点を基準に搬送方向後方に所定距離(本実施形態では1/4インチ)ごとに設定された検出点であり、本実施形態では、複数の中間検出点が設けられている。そして、走査キャリッジ42が移動される(ステップS17)。この走査キャリッジ42の移動方向は、図8において左から右に向かう方向である。このとき、走査キャリッジ42は、所定の記録速度で移動される。具体的には、記録速度は、40インチ/秒である。ただし、この検知速度は、4インチ/秒〜8インチ/秒の範囲で適宜設置され得る。
走査キャリッジ42の移動中において、メディアセンサ115が当該記録用紙47の端部領域に位置するかどうかが判断される(ステップS18)。この場合の「端部領域」とは、当該記録用紙47の主走査方向一端近傍の領域である。この端部領域か否かの判断は、上記先頭検出点において検知された当該記録用紙47の端部位置情報に基づいて行われる。つまり、先頭検出点における記録用紙47の端部位置と中間検出点における記録用紙47の端部位置とは略一致しているとの前提のもとに、当該中間検出点における端部位置の近傍を上記制御装置69のCPUが算出する。そして、メディアセンサ115が上記主走査方向一端近傍の領域に位置しない場合(例えば、メディアセンサ115がプラテン41上に位置する場合)には、走査キャリッジ42は、そのまま上記記録速度で移動される(ステップS17)。一方、メディアセンサ115が上記主走査方向一端近傍の領域に位置する場合には、走査キャリッジ42が減速され、上記記録速度よりも小さい速度である上記検知速度で移動される(ステップS19)。
次に、走査キャリッジ42が上記検知速度で移動しているときに、メディアセンサ115が用紙中間領域に位置するか否かが判断される(ステップS20)。ここで、「用紙中間領域」とは、上記端部領域以外の領域であって、具体的には、上記主走査方向一端近傍の領域及び主走査方向他端近傍の領域を除く領域である。メディアセンサ115がこの用紙中間領域に位置するか否かは、上記先頭検出点において検知された当該記録用紙47の端部位置情報に基づいて行われ、メディアセンサ115が上記主走査方向一端近傍の領域内に位置せず且つ主走査方向他端近傍の領域に位置しない場合に、上記用紙中間領域に位置すると判断される。そして、メディアセンサ115がこの用紙中間領域に位置しない場合には、走査キャリッジ42は、そのまま上記検知速度で移動される(ステップS19)。一方、メディアセンサ115が上記用紙中間領域に位置する場合には、走査キャリッジ42が加速され、上記記録速度よりも大きい速度である上記記録速度で移動される(ステップS21)。
続いて、走査キャリッジ42が上記記録速度で移動しているときに、メディアセンサ115が当該記録用紙47の端部領域に位置するか否かが判断される(ステップS22)。この場合の「端部領域」とは、当該記録用紙47の主走査方向他端近傍の領域である。この端部領域か否かの判断は、前述のように、上記先頭検出点において検知された当該記録用紙47の端部位置情報に基づいて行われる。そして、メディアセンサ115がこの主走査方向他端近傍の領域に位置しない場合には、走査キャリッジ42は、引き続き上記記録速度で移動される(ステップS21)。一方、メディアセンサ115が上記主走査方向他端近傍の領域に位置する場合には、走査キャリッジ42は、上記記録速度よりも小さい速度である上記検知速度で移動される(ステップS23)。その後、当該中間検出点におけるセンシングが終了すれば、メディアセンサ115は、「OFF」の状態となり(ステップS24)、上記ステップS8が実行される(図9参照)。
このように、上記中間検出点においては、走査キャリッジ42は、当該記録用紙47の主走査方向一端近傍及び主走査方向他端近傍においてのみ上記検知速度で移動され、上記用紙中間領域では、上記記録速度で移動される。したがって、上記主走査方向一端近傍及び主走査方向他端近傍では、メディアセンサ115が低速で移動されることから、当該記録用紙47が精密に検知され、その結果、当該記録用紙47の端部位置が高精度に検知される。しかも、上記主走査方向一端近傍及び主走査方向他端近傍の領域以外の領域では、メディアセンサ115が高速で移動されることから、当該記録用紙47のセンシングが迅速に行われる。このようにメディアセンサ115が高速で移動された場合であっても、当該領域では精密制御が不要であることから、特に問題は生じない。
そして、ステップS8〜ステップS13(図9参照)は、前述の通りである。すなわち、前述の要領で検知された中間検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS8)。また、当該記録用紙47の用紙サイズは、前述のように、操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS9)。さらに、制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS10)。前述のように、このRAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶することもできる。
その後、走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出されることにより、当該記録用紙47に画像が記録される(ステップS11)。このとき、画像記録は、搬送距離(送り量)1/4インチだけ行われる(ステップS12)。この場合においても、この1/4インチ分の記録は、印字改行幅と一致されている必要はなく、したがって、1/4インチの送り量に複数回の改行動作が含まれていてもよい。次いで、当該記録用紙47について画像記録が完了しているかどうかが判断される(ステップS13)。当該記録用紙47にさらに記録される場合には、前述と同様に中間検出点におけるセンシングが行われる(ステップS14)。当該記録用紙47への画像記録が完了した場合には、連続して記録用紙47に画像記録されるか否かが判断される(ステップS15)。連続して画像記録がなされる場合には、上記ステップS4〜ステップ14が繰り返され、連続して画像記録がなされない場合には、当該画像記録動作が終了される。
本実施形態に係る複合機10では、記録用紙47に画像が記録されるときには、最初に先頭検出点において当該記録用紙47の主走査方向全域について精密検知され、主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が精度良く検知される。この主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、制御装置69のRAMに端部位置情報として記憶され、当該端部位置情報に基づいて記録ヘッド43が作動し、画像が記録される。また、当該記録用紙47の中間検出点においては、上記先頭検出点における端部位置情報に基づいて、用紙端部領域についてのみ主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が精密に検知される。つまり、当該記録用紙47の中間検出点においては、主走査方向全域について精密検知されることなく、用紙端部領域についてのみ精密検知が行われる。このため、前述のように、当該記録用紙47の端部位置の検出は高精度に行われつつも、当該記録用紙47全体としてのセンシングが迅速に行われ、その結果、いわゆる縁なし記録が行われる場合であっても、高速印字が可能となる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。図11は、本発明の第2の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録要領が上記第1の実施形態に係る記録要領と異なるところは、上記第1の実施形態では、画像記録がなされている状態では(ステップS11及びステップS12)、メディアセンサ115が「OFF」の状態であるのに対し、本実施形態では、画像記録がなされている際中においてもメディアセンサ115が「ON」の状態とされ、当該記録用紙47の端部位置の検出(ステップS25)が行われるようになっている点である。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
図12は、上記画像記録中における端部位置検出の要領を示すフローチャートである。
本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、記録用紙47が給紙され、先頭検出位置におけるセンシング及び当該センシングにより精密に検知された端部位置に基づいて画像が記録される(ステップS1〜ステップS11)。図12が示すように、画像記録と同時にメディアセンサ115が「ON」の状態とされる(ステップS26)。そして、このメディアセンサ115から出力されるAD値が上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS27)。当該画像記録が終了すれば、一旦メディアセンサ115は「OFF」の状態となる(ステップS28)。このとき、走査キャリッジ42は上記記録速度(例えば、40インチ/秒)で移動されているから、メディアセンサ115による端部検知は、走査キャリッジ42が上記検知速度(例えば、20インチ/秒)で移動される場合よりも低い精度でしか行えないが(簡易検知)、当該画像記録時に当該記録用紙47の端部情報が更新され、あるいは新たな情報として追加される。
上記制御装置69のCPUは、上記RAMに記憶された端部位置情報に基づいて、当該記録用紙47への画像記録中における斜行量を算出する。そして、この斜行量が当該画像記録動作において許容されるべきものかどうかが判断される(ステップS29)。この斜行量が微少であり、当該画像記録動作において許容されるべきものであるならば、そのまま画像記録が続行される(ステップS12:図11参照)。一方、上記斜行量が許容されないものである場合には、当該斜行量に基づいて記録ヘッド43の補正が行われる(ステップS30)。具体的には、記録ヘッド43からのインク滴の吐出タイミングが補正され、記録用紙47の端部位置に合わせてインク滴が吐出されたうえで、画像記録が続行される(ステップS12:図11参照)。また、上記斜行量が過大であり、上記補正が不可能であると判断された場合には、当該記録用紙47への記録は中止される(ステップS32)。
本実施形態では、画像記録中においても当該記録用紙47の端部位置が簡易にセンシングされるので、仮に画像記録中に当該記録用紙47が斜行した場合であっても、これが確実に検知される。しかも、この検知された斜行量に基づいて走査キャリッジ42の移動や記録ヘッド43からのインク滴の吐出が制御されるので、良好な画像記録が実現される。
次に、上記各実施形態の変形例について説明される。図13は、上記各実施形態の変形例に係る中間検出点におけるセンシングの要領を示すフローチャートである。
上記第1及び第2の実施形態では、図10が示すように、上記中間検出点でのセンシングにおいては、メディアセンサ115が用紙中間領域に存在するときであってもメディアセンサ115が「ON」の状態である。すなわち、メディアセンサ115が高速(記録速度)で移動されるときも端部位置がセンシングされ続けている。しかし、この用紙中間領域については、検知された端部位置情報は重要ではない。したがって、中間検出点でのセンシングにおいては、図13が示すように、メディアセンサ115が用紙中間領域に存在するときには、当該メディアセンサ115が「OFF」の状態とされてもよい(ステップS33)。
本変形例では、上記用紙中間領域についてはセンシングが行われないので、当該領域では走査キャリッジ42が高速移動され得る。これにより、上記中間検出点における記録用紙47の端部位置のセンシング時間が短縮される。加えて、用紙中間領域については、制御装置69は、メディアセンサ115が出力するAD値を記憶、処理する必要がないので、RAM容量も小さくされ得るという利点がある。
本発明は、記録ヘッドを備えた画像記録装置、典型的にはインクジェット記録装置に適用され得る。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機の外観斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る複合機のプリンタ部の構造を示す模式図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機の画像記録部の構成を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係る複合機の画像記録部の構成を模式的に示すブロック図である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係る複合機の記録ヘッドの拡大底面図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係る複合機のヘッド部の断面図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係る複合機の制御装置の構成を示すブロック図である。 図8は、本発明の第1の実施形態に係る複合機のインク供給経路及び記録ヘッドの動作位置を模式的に示す図である。 図9は、本発明の第1の実施形態に係る複合機による記録要領を示すフローチャートである。 図10は、本発明の第1の実施形態に係る複合機による記録要領の要部を示すフローチャートである。 図11は、本発明の第2の実施形態に係る複合機による記録要領を示すフローチャートである。 図12は、本発明の第2の実施形態に係る複合機による記録要領の要部を示すフローチャートである。 図13は、本発明の各実施形態の変形例に係る記録要領の要部を示すフローチャートである。
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
18・・・操作パネル
42・・・走査キャリッジ
43・・・記録ヘッド
60・・・駆動ローラ
62・・・排紙ローラ
69・・・制御装置
70・・・中処理部
115・・・メディアセンサ
116・・・光源
117・・・受光素子

Claims (4)

  1. 記録用紙を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
    記録用紙への画像記録動作を行う記録ヘッドと、
    記録用紙の表面に光を照射する光源及び当該記録用紙からの反射光を受光する受光素子を有する検知手段と
    上記記録ヘッド及び検知手段を保持し、上記搬送方向と直交する主走査方向に往復移動する走査キャリッジと、
    上記検知手段により検知された記録用紙の主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を端部位置情報として記憶する記憶手段とを備え、
    上記記憶手段に記憶された端部位置情報に基づいて上記走査キャリッジが移動しつつ上記記録ヘッドが作動することにより記録用紙に画像が記録される画像記録装置であって、
    上記記録用紙の搬送方向の先頭位置において、上記走査キャリッジを記録速度より低速で移動させつつ上記検知手段により記録用紙の主走査方向両端位置を上記検知手段で検知し且つ当該検知された主走査方向両端位置を端部位置情報として記憶手段に記憶すると共に、上記搬送手段により記録用紙が先頭位置から所定量搬送されるごとに、上記端部位置情報に基づいて、記録用紙の端部領域で上記走査キャリッジを記録速度より低速で移動させつつ、上記検知手段により記録用紙の主走査方向両端位置の検知を実行する制御手段を備えている画像記録装置。
  2. 上記制御手段は、
    上記記録用紙の端部領域を除く用紙中間領域を短時間で通過するように上記走査キャリッジを上記記録速度より高速移動させる請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 上記制御手段は、
    上記走査キャリッジが上記用紙中間領域を通過するときに上記検知手段の作動を停止させる請求項1又は2に記載の画像記録装置。
  4. 上記制御手段は、
    上記記録ヘッドが作動しているときに上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知されるように上記検知手段を作動させる請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
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