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JP4233023B2 - 耐震補強用接合構造 - Google Patents

耐震補強用接合構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造部材への耐震補強用部材の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物の耐震補強のためにブレース等の耐震補強用部材を柱梁の交差部に接合する耐震補強工法が実施されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−184031号公報
【特許文献2】
特開平10−317684号公報
【特許文献3】
特開平9−279858号公報
【特許文献4】
特開平11−50690号公報
【0004】
構造物が鉄骨構造の場合は、ブレース等の耐震補強用部材を柱梁の交差部に接合する接合金具を現場溶接により接合していた。
また、構造物が鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合、耐震補強用部材を設置するために鉄骨枠組を据えつけて行っていた。
また、前記のほかにも耐震補強用部材の接合のための発明がなされている。
特開平10−184031号公報(以下、「従来例1」という。)には、鉄筋コンクリート構造又は鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱に耐震補強用部材を接合するための断面凸状の鋼板からなる接合金具を高強度繊維シートで固定する構成が開示されている。
特開平10−317684号公報(以下、「従来例2」という。)には、梁に貫通孔を形成し、耐震補強用部材をその貫通孔に挿入したピンにより接合する構成が開示されている。
特開平9−279858号公報(以下、「従来例3」という。)には、梁に貫通孔を形成し、その貫通孔を介して耐震補強用部材の接合台座をPC鋼棒で固定する構成が開示されている。
特開平11−50690号公報(以下、「従来例4」という。)には、鉄筋コンクリート構造の柱梁に耐震補強用部材を接合する接合金具をアンカーボルトを介して固定する構成が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鉄骨構造の場合の現場溶接による接合では、無理な姿勢での現場溶接のため溶接強度の信頼性が低下し、現場溶接のため溶接箇所周囲の養生が必要であり、梁上にコンクリートスラブが設置されている場合はそれを除去するハツリ作業を必要とし、ハツリ作業に伴い騒音が発生するので、既存の構造物の場合、居つき工事ができず、工事期間が長くなるという問題を有していた。
また、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合は、限られたスペースでの鉄骨枠組の据付工事が必要であり、工事期間が長期化するという問題が発生する。
さらに、鉄骨鉄筋構造では内部の鉄筋が邪魔になり、長いアンカーを施工することができないという問題が発生する。
従来例1では高強度繊維シートを用いなければならず高コストになるという問題が発生する。
従来例2では、作業範囲が隣室までおよび、独立柱でしか適用できないという問題が発生する。
従来例3では、梁を貫通してPC鋼棒で接合するので、スラブコンクリートへの穴明け作業を必要とし、騒音、振動が発生し、PC鋼棒の張力に対するコンクリート強度を必要とするという問題が発生する。
従来例4では、コンクリート厚が厚くないと適用できないという問題が発生する。
【0006】
本発明は、従来の耐震補強用接合構造のもつ課題を解決した補強工事が短期間ででき、コストが安く、工事区域を限定でき、工事区域以外のスペースを使用可能とし、耐久性の高い耐震補強用接合構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、前記課題を解決するために、耐震補強用接合構造において、異なる2方向に伸びる構造部材の交差部に耐震補強用部材を接合するための接合金具を、それぞれの構造部材に対しては接着剤、後施工アンカー、高力ボルトの中から選択される1つ又は複数の固定手段を組み合わせて接合する耐震補強用接合構造であって、一方の方向に伸びる構造部材が柱であり、他方の方向に伸びる構造部材が梁上のコンクリートスラブであり、前記耐震補強用部材がブレースであり、
前記接合金具は、柱の面に接合される第1接合プレートとコンクリートスラブの面に接合される第2接合プレートと、第1接合プレートと第2接合プレートに対してそれぞれ溶接されるガセットプレートにより構成され、前記ガセットプレートにブレース等の前記耐震補強用部材が複数の連結ボルトを介して連結され、
前記第2接合プレートは、前記ガセットプレートの端部から梁中央側に向かって張出しており、
前記柱へ前記接合金具における第1接合プレートの固定手段を高力ボルトとし、前記梁上のコンクリートスラブへの前記接合金具における第2接合プレートの固定手段を接着剤と後施工アンカーとの併用とし、かつ前記第2接合プレートは、その基端側および前記ガセットプレートの端部から梁中央側に向かって突出し部分においても接着剤と後施工アンカーとの併用により梁上のコンクリートスラブへ固定されていることを特徴とする。
【0009】
本第発明は、本第発明の耐震補強用接合構造において、前記接合金具の剛性を地震時の構造部材の変位に対応可能とするためガセットプレートの大きさが制御されることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の構成により、鉄骨構造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造においては、スラブコンクリートのハツリ工事に伴う騒音振動がないため、構造物を使用しながら耐震補強工事が可能となり、補強工事の上下階に影響を与えない。また、スラブコンクリートのハツリ工事が不要になるに加えハツリ後のコンクリート補修も不要となり、工期短縮が図れる。現場溶接を用いないので溶接箇所周囲の養生が不要であり、無理な姿勢での現場溶接による溶接強度の信頼性があった従来技術に比べ確実に耐震補強用部材を接合でき信頼性の高い耐震補強用接合構造となる。
鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造においては、ブレース等の耐震補強用部材を取り付けるための鉄骨枠組に代えてガセットプレートと接合プレートからなる接合金具となるため、鉄骨加工が大幅に簡素化でき、既存構造物内の狭いスペースでの鉄骨枠組みの建て込みが不要で工期短縮が図れる。
鉄骨鉄筋コンクリート構造では、後施工アンカーの長さが短いため、内部の鉄骨を気にせず施工できる。
また、鉄骨構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造、鉄筋コンクリート構造に関わらず、接合金具のガセットプレートの大きさを、地震時に構造部材の変形に追随できる程度の剛性を有するような大きさとすることにより、地震時の構造部材の変形による接合金具の構造部材からの剥離を防止し、耐震性能の高い耐震補強用接合構造となる。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の実施形態を図により説明する。図1に示される参考形態は、本発明を柱1と梁2の上にコンクリートスラブ3が打設された構造に適用したものである。ブレース等の耐震補強用部材4を柱1とコンクリートスラブ3の交差部に接合するための接合金具5は、柱1の面に接合される第1接合プレート6とコンクリートスラブ3の面に接合される第2接合プレート7と、第1接合プレート6と第2接合プレート7に対してそれぞれ直交する向きに溶接されるガセットプレート8により構成される。ガセットプレート8にブレース等の耐震補強用部材4が複数の連結ボルト9を介して連結される。第1接合プレート6と柱1とをエポキシ樹脂系接着剤等の接着剤10で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを接着剤10で接合したものである。
【0012】
図2に示される参考形態は、第1接合プレート6と柱1とを接着剤10で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを複数の後施工アンカー11で接合するものである。後施工アンカー11は、コンクリートスラブ3に浅い孔を削孔し、その浅い孔に例えば2液混合固化性の液体を別々に収容したカプセルを収容し、ボルトを挿入してカプセルを破壊し、2液を混合固化させコンクリートスラブ3にボルトを固定するケミカルアンカー、ボルト先端を拡開してコンクリートスラブ3に固定する機械式アンカーである。
【0013】
図3に示される参考形態は、第1接合プレート6と柱1とを接着剤10で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを接着剤10と複数の後施工アンカー11の併用で接合するものである。
【0014】
図4に示される参考形態は、第1接合プレート6と柱1とを複数の高力ボルト12で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを接着剤10で接合するものである。
【0015】
図5に示される参考形態は、第1接合プレート6と柱1とを複数の高力ボルト12で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを複数の後施工アンカー11で接合するものである。
【0016】
図6に示される実施形態は、第1接合プレート6と柱1とを高力ボルト12で接合し、第2接合プレート7とコンクリートスラブ3とを接着剤10と複数の後施工アンカー11の併用で接合するものである。
【0017】
接合金具5のガセットプレート8の大きさは、ブレース等の耐震補強用部材4の端部を接合するために必要な複数の連結ボルト9が配置でき、また第1及び第2接合プレート6、7との必要溶接長が確保できる最小限の大きさとし、接合金具5の剛性を、地震時に構造部材である柱、梁、コンクリートスラブ3の変形に対応可能とする。ガセットプレート8の大きさが大きいと、接合金具5の剛性が大きくなり、地震時の構造部材の変形に対応できず、接合プレートと構造部材との接合が破壊されてしまうからである。
【0018】
以上、各参考または実施形態は柱1と梁2上のコンクリートスラブ3の交差部に接合金具5を接合する場合を例として採用しているが、図7に示されるように各形態を柱とコンクリート梁の交差部、トラス構造等の他の構造部材との交差部に用いることができるものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の構成により、鉄骨構造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造においては、スラブコンクリートのハツリ工事に伴う騒音振動がないため、構造物を使用しながら耐震補強工事が可能となり、補強工事の上下階に影響を与えない。また、スラブコンクリートのハツリ工事が不要になるに加えハツリ後のコンクリート補修も不要となり、工期短縮が図れる。現場溶接を用いないので溶接箇所周囲の養生が不要であり、無理な姿勢での現場溶接による溶接強度の信頼性があった従来技術に比べ確実に耐震補強用部材を接合でき信頼性の高い耐震補強用接合構造となる。
鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造においては、ブレース等の耐震補強用部材を取り付けるための鉄骨枠組に代えてガセットプレートと接着板からなる接合金具となるため、鉄骨加工が大幅に簡素化でき、既存構造物内の狭いスペースでの鉄骨枠組みの建て込みが不要で工期短縮、施工コストの低減が図れる。
さらに、鉄骨鉄筋コンクリート構造では、後施工アンカーの長さが短いため内部の鉄骨に干渉せずに施工できる。
また、鉄骨構造、鉄骨鉄筋コンクリート構造、鉄筋コンクリート構造に関わらず、接合金具のガセットプレートの大きさを、地震時に構造部材の変形に追随できる程度の剛性を有するような大きさとすることにより、地震時の構造部材の変形による接合金具の構造部材からの剥離を防止し、耐震性能の高い耐震補強用接合構造となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す図。
【図2】 本発明の一実施形態を示す図。
【図3】 本発明の一実施形態を示す図。
【図4】 本発明の一実施形態を示す図。
【図5】 本発明の一実施形態を示す図。
【図6】 本発明の一実施形態を示す図。
【図7】 本発明の一実施形態を示す図。
【符号の説明】
1:柱
2:梁
3:コンクリートスラブ
4:耐震補強用部材
5:接合金具
6:第1接合プレート
7:第2接合プレート
8:ガセットプレート
9:連結ボルト
10:接着剤
11:後施工アンカー
12:高力ボルト
29:上部ガイド部

Claims (2)

  1. 異なる2方向に伸びる構造部材の交差部に耐震補強用部材を接合するための接合金具を、それぞれの構造部材に対して接合する耐震補強用接合構造であって、一方の方向に伸びる構造部材が柱であり、他方の方向に伸びる構造部材が梁上のコンクリートスラブであり、前記耐震補強用部材がブレースであり、
    前記接合金具は、柱の面に接合される第1接合プレートとコンクリートスラブの面に接合される第2接合プレートと、第1接合プレートと第2接合プレートに対してそれぞれ溶接されるガセットプレートにより構成され、前記ガセットプレートにブレース等の前記耐震補強用部材が複数の連結ボルトを介して連結され、
    前記第2接合プレートは、前記ガセットプレートの端部から梁中央側に向かって張出しており、
    前記柱へ前記接合金具における第1接合プレートの固定手段を高力ボルトとし、前記梁上のコンクリートスラブへの前記接合金具における第2接合プレートの固定手段を接着剤と後施工アンカーとの併用とし、かつ前記第2接合プレートは、その基端側および前記ガセットプレートの端部から梁中央側に向かって突出し部分においても接着剤と後施工アンカーとの併用により梁上のコンクリートスラブへ固定されていることを特徴とする耐震補強用接合構造。
  2. 前記接合金具の剛性を地震時の構造部材の変位に対応可能とするためガセットプレートの大きさが制御されることを特徴とする請求項1に記載の耐震補強用接合構造。
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