JP4224252B2 - 有機el素子用化合物、有機el素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL(電界発光)素子に関し、詳しくは、有機化合物からなる薄膜に電界を印加して光を放出する素子に用いられる化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、電子注入電極とホール注入電極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子およびホールを注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子である。
【0003】
有機EL素子の特徴は、10V前後の電圧で数100から数10000cd/m2ときわめて高い輝度の面発光が可能であり、また蛍光物質の種類を選択することにより青色から赤色までの発光が可能なことである。
【0004】
有機EL素子の任意の発光色を得るための手法としてドーピング法があり、アントラセン結晶中に微量のテトラセンをドープすることで発光色を青色から緑色に変化させた報告(Jpn. J. Appl. Phys., 10,527(1971)) がある。また積層構造を有する有機薄膜EL素子においては、発光機能を有するホスト物質に、その発光に応答しホスト物質とは異なる発光を放出する蛍光色素をドーパントとして微量混入させて発光層を形成し、緑色から橙〜赤色へ発光色を変化させた報告(特開昭63−264692号公報)がなされている。
【0005】
黄〜赤色の長波長発光に関しては、発光材料あるいはドーパント材料として、赤色発振を行うレーザー色素(EPO281381号)、エキサイプレックス発光を示す化合物(特開平2−255788号公報)、ペリレン化合物(特開平3−791号公報)、クマリン化合物(特開平3−792号公報)、ジシアノメチレン系化合物(特開平3−162481号公報)、チオキサンテン化合物(特開平3−177486号公報)、共役系高分子と電子輸送性化合物の混合物(特開平6−73374号公報)、スクアリリウム化合物(特開平6−93257号公報)、オキサジアゾール系化合物(特開平6−136359号公報)、オキシネイト誘導体(特開平6−145146号公報)、ピレン系化合物(特開平6−240246号公報)がある。
【0006】
また、ベンゾフルオランラン誘導体が非常に高い蛍光量子収率を有することは、J,Am.Chem.Soc 1996、118,2374−2379に記載されており、特開平10−330295号公報および特開平11−233261号公報では種々のホスト材料にベンゾフルオランテンより誘導されるジベンゾ〔f,f’〕ジインデノ〔1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm〕ペリレン誘導体をドーピングして発光層とした有機EL素子を開示している。
【0007】
他の発光材料として縮合多環芳香族化合物(特開平5−32966号公報、特開平5−214334号公報)も開示されている。またドーパント材料としても種々の縮合多環芳香族化合物(特開平5−258859号公報)が提案されている。
【0008】
しかしながら、これら従来の蛍光材料では純青に近い発光色が得られた例は極めて少なく、高品位のフルカラーディスプレイを実現する上でも、高効率の純青系蛍光材料が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な輝度の発光、特に長波長における発光が得られ、優れた色純度、特にフルカラーディスプレイに用いるのに十分な色純度が得られ、かつ良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子用化合物、および有機EL素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の構成により達成される。
(1) 下記式(1)で表される基本骨格を有する有機EL素子用化合物。
Xn−Y ・・・ (1)
[式(1)中、Xは下記式(2)で表される化合物を表し、同一であっても異なっていてもよい。Yは単結合もしくは置換または非置換のアリール基、または複素環基からなる連結基を表し、nは2または3の整数を表す。ただし、YがR7 とR7 、R8 とR8 またはR7 とR8 の位置の組み合わせで結合するとき、単結合および下記式(11)、(12)で表される化合物は含まない。]
【0011】
【化19】
【0012】
[式(2)中、R1 〜R8 およびa〜dは水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、または置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(2) 前記Yは下記化合物より選択される1種である上記(1)の有機EL素子用化合物。
【0013】
【化20】
【0014】
(3) 前記nは2である上記(1)または(2)の有機EL素子用化合物。
(4) ドーパントとして用いられる上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL素子用化合物。
(5) 電子輸送材料である上記(1)〜(4)のいずれかの有機EL素子用化合物。
(6) ホール注入または輸送材料である上記(1)〜(4)のいずれかの有機EL素子用化合物。
(7) 下記式(3a)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0015】
【化21】
【0016】
[式(3a)中、R 1 〜R 7 およびa1〜d1、R 11 〜R 17 およびa2〜d2は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。Yは置換または非置換のフェニレン、ビフェニレン、ナフタセン、ペリレン、ピレン、フェナントレン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、アミン、トリアリールアミン、ピロール誘導体、チアゾール、チアジアゾール、フェナントロリン、キノリン、およびキノクサリンのいずれかからなる連結基を表す。]
(8) 下記式(3b)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0017】
【化22】
【0018】
[式(3b)中、R1 〜R8 およびa1 〜d1 、R11 〜R18 およびa2 〜d2 は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。Yは単結合、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基からなる連結基を表す。]
(9) 下記式(3c)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0019】
【化23】
【0020】
[式(3c)中、R1 〜R8 およびa1 〜d1 、R11 〜R18 およびa2 〜d2 は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。Yは単結合、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基からなる連結基を表す。]
(10) 下記式(A)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0021】
【化24】
【0022】
[式(A)中、R1 〜R7 およびR11 〜R17 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(11) 下記式(B)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0023】
【化25】
【0024】
[式(B)中、R1 〜R7 およびR11 〜R17 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(12) 下記式(E)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0025】
【化26】
【0026】
[式(E)中、R1 〜R8 およびR11 〜R18 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(13) 下記式(H)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0027】
【化27】
【0028】
[式(H)中、R1 〜R8 およびR11 〜R18 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(14) 下記式(X)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0029】
【化28】
【0030】
[式(X)中、R1 〜R8 およびR11 〜R18 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(15) 下記式(Z)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0031】
【化29】
【0032】
[式(Z)中、R1〜R7およびR11〜R 17 は、水素、アルキル基、置換または非置換のアリール基、あるいは複素環基を表す。]
(16) 下記式(AAA’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0033】
【化30】
【0034】
[式(AAA’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(17) 下記式(BBB’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0035】
【化31】
【0036】
[式(BBB’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(18) 下記式(CCC’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0037】
【化32】
【0038】
[式(CCC’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(19) 下記式(DDD’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0039】
【化33】
【0040】
[式(DDD’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(20) 下記式(EEE’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0041】
【化34】
【0042】
[式(EEE’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(21) 下記式(RRR’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0043】
【化35】
【0044】
[式(RRR’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(22) 下記式(SSS’)で表される基本骨格を有する上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL素子用化合物。
【0045】
【化36】
【0046】
[式(SSS’)中、R1 〜R8 、およびR11 〜R18は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
(23) 一対の電極間に少なくとも発光機能に関与する1種または2種以上の有機層を有し、
前記有機層の少なくとも1層には上記(1)〜(22)のいずれかの有機EL素子用化合物を1種又は2種以上含有する有機EL素子。
(24) 前記有機EL素子用化合物に加え、さらにアントラセン系化合物の1種又は2種以上含有する上記(23)の有機EL素子。
(25) 前記アントラセン誘導体を発光層のホスト材料として含有する上記(24)の有機EL素子。
(26) 前記有機EL素子用化合物をドーパントとして含有する上記(23)〜(25)のいずれかの有機EL素子。
(27) 前記有機EL用化合物を発光層に含有する上記(23)〜(26)のいずれかの有機EL素子。
(28) 前記有機EL用化合物を電子輸送層に含有する上記(23)〜(25)のいずれかの有機EL素子。
(29) 前記有機EL素子用化合物をホール注入輸送層に含有する上記(23)〜(28)のいずれかの有機EL素子。
(30) 2種以上の発光材料による2種以上の発光極大波長を有する上記(23)〜(29)のいずれかの有機EL素子。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の有機EL素子用化合物は、下記式(1)で表される基本骨格を有するものである。
Xn −Y ・・・ (1)
[式(1)中、Xは下記式(2)で表される化合物を表し、同一であっても異なっていてもよい。Yは単結合もしくは置換または非置換のアリール基、または複素環基からなる連結基を表し、nは2または3の整数を表す。ただし、YがR7 とR7 、R8 とR8 またはR7 とR8 の位置の組み合わせで結合するとき、単結合および下記式(11)、(12)であらわされる化合物は含まない。]
【0048】
【化37】
【0049】
[式(2)中、R1 〜R8 およびa〜dは、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、または置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。]
【0050】
上記式(1)で表される化合物についてさらに詳述する。
式(1)中、Xは上記式(2)で表される化合物を表し、各Xは同一であっても異なっていてもよい。すなわち、Xは上記式(2)で表される化合物であればそれぞれ同一の化合物であっても異なった化合物であってもよいが、同一であることが好ましい。n=3のとき、3種のXがそれぞれ異なっていてもよい。
【0051】
式(2)において、R1 〜R8 およびa〜dは、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい複素環基、アミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基のいずれかを表す。また、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基、チオフェニル基、ピリジル基、ピロール基、スチリル基、トリフェニルアミノ基、フェニルアミノ基のいずれかであり、特にメチル基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリフェニルアミノ基、フェニルアミノ基のいずれかが好ましい。
【0052】
R1 〜R8 およびa〜dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、隣り合うR1 〜R8 およびa〜dの間で縮合環を形成していてもよい。
【0053】
特に、R7 、R8 の部位は、構造的に反応活性が高いため、置換基を有することが好ましい。R7 、R8 の部位を置換基でマスクすることにより、化合物を化学的に安定にし、EL発光時の材料の劣化を防止することができる。R7 、R8 は、少なくともどちらか一方に置換基を有することが好ましく、特に双方に置換基を有することが好ましい。
【0054】
R7 、R8 の置換基としては、上記で例示したものが挙げられるが、特に、アルキル基、アリール基、アリル基、複素環基が好ましい。
【0055】
また、R7 、R8 に導入する置換基の種類により、発光波長が敏感に影響を受ける。このため、R7 、R8 に導入する置換基を選択することで、発光波長をコントロールすることもできる。
【0056】
Xの数を表すnは、2または3の整数であり、好ましくはn=2である。n=3になると、昇華性が低下し、昇華時の熱分解などが起こり、また化合物の安定性が若干低下してくる。一方、n=1では結晶化しやすく、青紫外発光となりやすく、EL発光させることが難しくなる。
【0057】
式(1)中、Yは単結合もしくは置換または非置換のアリール基、または複素環基からなる連結基を表す。ただし、YがR7 とR7 、R8 とR8 またはR7 とR8 の位置の組み合わせで結合するとき、単結合および下記式(11)、(12)で表される結合位置のナフタレンおよびアントラセン化合物は含まない。
【0058】
【化38】
【0059】
X同士の連結位置としては、特に限定されるものではなくXのいずれの位置でも、連結基のいずれの炭素で連結していてもよい。すなわち、上記式(2)で表される基本骨格のうち、R1 〜R8 およびa〜dのいずれの位置であってもかまわなが、好ましくはR1 〜R8 から選択されるいずれかの部位であり、特にR1 、R6 、R7 、およびR8 のいずれかの部位である。
【0060】
ただし、YがR7 、R8 の位置で結合する場合には、単結合の場合、つまりXどうしが直接結合する場合、および上記結合部位でのナフタレンおよびアントラセン結合基は含まない。R7 、R8 の位置でX同士が直接連結すると、昇華精製時の熱的安定性、およびEL発光時の電気化学的安定性が不安定となり、R7 、R8 の2カ所(対象位置)で結合したりする。
【0061】
また、Yは置換または非置換のフェニレン、ビフェニレン、ナフタセン、ペリレン、ピレン、フェナントレン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、アミン、トリアリールアミン、ピロール誘導体、チアゾール、チアジアゾール、フェナントロリン、キノリン、およびキノクサリンのいずれかからなる連結基が好ましく、特に置換または非置換のベンゼン、テトラセン、ペリレン、ピレン、複素環基のいずれかが好ましい。さらに、下記の化合物から選択される1種の連結基が好ましい。
【0062】
【化39】
【0063】
Xは、好ましくは下記式(3a)、(3b)、(3c)で表される化合物である。
【0064】
【化40】
【0065】
【化41】
【0066】
【化42】
【0067】
式(3a)〜(3c)において、R1 〜R8 およびa1 〜d1 、R11 〜R18 およびa2 〜d2 は、式(2)におけるR1 〜R8 およびa〜dと同義である。式(3a)〜(3c)のなかでは式(3a)で表されるものが最も好ましく、次いで式(3b)で表されるものが好ましい。
【0068】
本発明の化合物は、イオン化ポテンシャルの絶対値が5.9eVより小さいことが好ましく、特に5.8eV以下、さらに5.7eV以下であるとよい。イオン化ポテンシャルの絶対値が5.9eVより小さいと、イオン化ポテンシャルの絶対値が5.9eV程度の化合物との組み合わせ、特にアントラセンダイマーとの組み合わせにおいて良好な発光が得られるようになる。その下限としては特に限定されるものではないが、通常5.2eV程度である。
【0069】
本発明の化合物は、塩化メチレン溶液中、白金電極において半波酸化電位が1.5V 以下であることが好ましく、特に1.4V 以下、さらには1.3V 以下であるとよい。酸化電位が上記値以下であると、安定性が増し、素子の寿命が延びる。また、上記イオン化ポテンシャルと同様の効果が得られる。その下限としては特に限定されるものではないが、通常0.4V程度である。
【0070】
本発明の化合物の好ましい例を以下に示す。
【0071】
【化43】
【0072】
【化44】
【0073】
【化45】
【0074】
【化46】
【0075】
【化47】
【0076】
【化48】
【0077】
【化49】
【0078】
【化50】
【0079】
【化51】
【0080】
【化52】
【0081】
【化53】
【0082】
これらのなかでも、特に下記の式(A),(B),(E),(H),(X),(Z)、および(AAA’)、(BBB’)、(CCC’)、(DDD’)、(EEE’)、(RRR’)、(SSS’)で表される化合物が好ましい。
【0083】
【化54】
【0084】
【化55】
【0085】
【化56】
【0086】
【化57】
【0087】
【化58】
【0088】
【化59】
【0089】
【化60】
【0090】
【化61】
【0091】
【化62】
【0092】
【化63】
【0093】
【化64】
【0094】
【化65】
【0095】
【化66】
【0096】
本発明の化合物のより具体的な例を以下に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
【表9】
【0106】
【表10】
【0107】
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】
【表13】
【0110】
【表14】
【0111】
【表15】
【0112】
【表16】
【0113】
【表17】
【0114】
【表18】
【0115】
【表19】
【0116】
【表20】
【0117】
【表21】
【0118】
【表22】
【0119】
【表23】
【0120】
【表24】
【0121】
【表25】
【0122】
【表26】
【0123】
【表27】
【0124】
【表28】
【0125】
【表29】
【0126】
【表30】
【0127】
【表31】
【0128】
【表32】
【0129】
【表33】
【0130】
【表34】
【0131】
【表35】
【0132】
【表36】
【0133】
【表37】
【0134】
【表38】
【0135】
【表39】
【0136】
【表40】
【0137】
【表41】
【0138】
【表42】
【0139】
【表43】
【0140】
【表44】
【0141】
【表45】
【0142】
【表46】
【0143】
【表47】
【0144】
【表48】
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【0237】
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【0246】
【表150】
【0247】
【表151】
【0248】
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【0249】
【表153】
【0250】
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【0253】
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【0258】
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【0269】
【表173】
【0270】
【表174】
【0271】
【表175】
【0272】
【表176】
【0273】
【表177】
【0274】
【表178】
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【表179】
【0276】
【表180】
【0277】
【表181】
【0278】
【表182】
【0279】
【表183】
【0280】
【表184】
【0281】
【表185】
【0282】
【表186】
【0283】
【表187】
【0284】
【表188】
【0285】
【表189】
【0286】
【表190】
【0287】
【表191】
【0288】
【表192】
【0289】
【表193】
【0290】
【表194】
【0291】
【表195】
【0292】
【表196】
【0293】
【表197】
【0294】
【表198】
【0295】
【表199】
【0296】
【表200】
【0297】
【表201】
【0298】
【表202】
【0299】
【表203】
【0300】
【表204】
【0301】
【表205】
【0302】
【表206】
【0303】
【表207】
【0304】
【表208】
【0305】
【表209】
【0306】
【表210】
【0307】
【表211】
【0308】
【表212】
【0309】
【表213】
【0310】
【表214】
【0311】
【表215】
【0312】
【表216】
【0313】
【表217】
【0314】
【表218】
【0315】
【表219】
【0316】
式(I)で表されるフルオランテン誘導体は、例えば、J. Amer. Chem. Soc. 118,2374(1996)に載の方法に従って製造することができる。以下にその合成スキームの一例を示す。
【0317】
【化67】
【0318】
【化68】
【0319】
本発明の化合物は、有機EL素子の蛍光材料として極めて優れた特性を有する。特に、ド−パントとして用いた場合、色座標においてx=0.05〜0.20、y=0.02〜0.30、特にx=0.10〜0.20、y=0.05〜0.20で示されるような純青に近い発光色が得られる。
【0320】
本発明の化合物は極めて安定であり、蒸着、塗布等有機EL素子の製造工程においても安定した特性を示し、製造後も長期に渡って安定した特性を維持する。
【0321】
本発明の化合物の有機EL素子に用いる場合、ホスト材料としても、ドーパントとしても用いることができ、特にドーパントとして用いた場合、上記のような優れた発光色と、発光効率を得ることができる。本発明の化合物は、電子注入輸送性、ホール注入性、または輸送性のいずれの性質も有することから、電子輸送材料としても、ホール注入、または輸送材料としても用いることができる。
【0322】
有機EL素子のホスト材料と、ドーパントとの組み合わせを決定するにあたり、以下の点を考慮することが重要である。
【0323】
(1)構造式により組み合わせを考える。すなわち、化合物の構造そのものが発光特性に影響を与える。
【0324】
(2)ドーパント(発光材料)のイオン化ポテンシャルは、ホスト材料のイオン化ポテンシャルと同等か、これよりも小さいことが望ましい。ドーパントは発光させた際にホールトラップとして機能し、ドーパントの1重項励起子が生成しやすくなる。また、このような場合、ホストの1重項励起子と基底状態のドーパントとのエネルギー交換が生じやすくなり、発光効率が向上する。
【0325】
(3)ドーパント(発光材料)の半波酸化電位は、ホスト材料の半波酸化電位と同等か、これよりも小さいことが望ましい。ドーパントは発光させた際にホールトラップとして機能し、ドーパントの1重項励起子が生成しやすくなる。また、このような場合、ホストの1重項励起子と基底状態のドーパントとのエネルギー交換が生じやすくなり、発光効率が向上する。
【0326】
本発明の化合物を発光層に用いる場合、ホスト材料としても、ドーパントとしても用いることができ、特に青色発光用ドーパントとしての使用が好ましい。本発明の化合物をド−パントとして用いる場合、ホスト材料にはアントラセン系の材料を用いることが好ましい。また、電子輸送性材料とホール輸送性材料の混合材料をホストとする混合層での使用も好ましい。発光層には本発明の化合物以外に複数の種類の化合物を含有していてもよく、このような複数種類の化合物を含有する発光層、あるいは複数種類の発光層を積層することで複数のピーク波長を有したり、ワイド発光波長の発光層または素子を得ることも可能である。
【0327】
本発明の化合物をホスト材料として使用する場合、ドーパントには種々の有機EL用蛍光物質を用いることができる。なかでも、下記の実施例で用いるナフタセン系のルブレン誘導体やジフェニルナフタセン誘導体、ペリレン系赤色蛍光材料、ペンタセン系赤色蛍光材料、ジスチリルアミン誘導体系材料等が好ましい。
【0328】
本発明の化合物をホール注入輸送層に用いる場合、ホール輸送性材料としても、発光材料としても用いることができる。ホール輸送性材料として用いる場合、ドーパントとして上記で挙げたものを用いることができる。
【0329】
本発明の化合物を電子注入輸送層に用いる場合、電子輸送性材料としても、発光材料としても用いることができる。電子輸送性材料として用いる場合、ドーパントとして上記で挙げたものを用いることができる。また、この電子注入輸送層が上記混合層であってもよい。
【0330】
本発明の化合物をドーパントとして用いる場合、そのドーピング量としては、好ましくは30質量%以下、より好ましくは0.1〜20質量%、さらには0.1〜10質量%、特に0.1〜5質量%である。
【0331】
本発明の化合物を有機EL素子に用いることにより、以下のような優れた効果が得られる。
【0332】
(1)モノマー系(n=1)をアントラセン系のホスト材料で発光させることは極めて困難であるが、本発明の化合物は容易に発光し、極めて高い発光輝度が得られる。
【0333】
(2)連結基Yにより発光色をコントロールすることができる。すなわち、例えばYをアミノ基にすると緑色系の発光が得られ、トリフェニルアミンにすると水色系の発光が得られる。従って、発光色の調整が容易に行える。
【0334】
(3)Z位置で単結合したXの2量体は、昇華精製、蒸着時などに分子内重合もしくは分解しやすいが、本発明の化合物は極めて安定であるため使いやすい。
【0335】
(4)縮合多環芳香族炭化水素化合物でありながら、電子、ホールの両方を輸送する必要のある有機EL用材料に極めて適した材料である。
【0336】
(5)発光材料として優れた性能を有し、NTSC信号に近い純青色で7.3cd/Aという高効率で発光させることができる。
【0337】
(6)ホスト材料として優れた性能を有し、ナフタセン誘導体、ルブレン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアミン誘導体など、幅広い化合物と組み合わせて用いることができる。
【0338】
(7)高いガラス転移温度(Tg)を有し、高温保存特性に優れた素子を得ることができる。
【0339】
上記のようなホスト材料とドーパントとを含有する発光層は、ホール(正孔)および電子の注入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層は本発明の化合物の他、比較的電子的にニュートラルな化合物を用いることで、電子とホールを容易かつバランスよく注入・輸送することができる。
【0340】
ホスト材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合の混合比は任意である。本発明の化合物をホスト材料とする場合、発光層に80〜99.9質量%含有されていることが好ましく、特に90〜99.9質量%、さらには95.0〜99.5質量%含有されていることが好ましい。
【0341】
また、発光層の厚さは、分子層一層に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好ましい。
【0342】
また、混合層の形成方法としては、異なる蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもできる。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ましいが、場合によっては、化合物が島状に存在するものであってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形成する。
【0343】
<アントラセン系化合物>
本発明の素子の好ましいホスト材料の一つである、フェニルアントラセン誘導体は式(5)で示されるものである。
【0344】
本発明の素子では式(5)、好ましくは式(5−1)、式(5−2)に示されるアントラセン誘導体を好ましくはホスト材料として用いることにより、ドーパント材料との相互作用を抑え、ドーパントからの強い発光を得ることが出来る。また、このアントラセン誘導体は、耐熱性、耐久性に優れ、長寿命の素子を得ることができる。
【0345】
このEL素子において、素子の色純度を保ち、かつ効率が最大となるドーピング濃度は、1質量%程度であるが、2〜3質量%程度でも1割程度以下の減少のみで、十分に実用に耐えうる素子を得ることができる。
【0346】
【化69】
【0347】
式(5)において、A101 は、モノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。Lは水素、単結合または二価の連結基を表す。nは1または2の整数である。
【0348】
上記式(5)、好ましくは下記式(5−1)、式(5−2)に示される化合物である。
【0349】
【化70】
【0350】
【化71】
【0351】
上記化合物の蒸着膜は安定なアモルファス状態なので、薄膜の膜物性が良好となりムラがなく均一な発光が可能である。また、大気下で一年以上安定であり結晶化を起こさない。
【0352】
式(5)について説明すると、A101 は、各々モノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。nは1または2の整数である。
【0353】
A101 で表されるモノフェニルアントリル基またはジフェニルアントリル基は、無置換でも置換基を有するものであってもよく、置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基については後述する。また、このような置換基の置換位置は特に限定されないが、アントラセン環ではなく、アントラセン環に結合したフェニル基であることが好ましい。
【0354】
また、アントラセン環におけるフェニル基の結合位置はアントラセン環の9位、10位であることが好ましい。
【0355】
式(5−1)において、Lは水素、単結合または二価の基を表すが、Lで表される二価の基としてはアルキレン基等が介在してもよいアリーレン基が好ましい。このようなアリーレン基については後述する。
【0356】
式(5)で示されるフェニルアントラセン誘導体のなかでも、式(5−1)、式(5−2)で示されるものが好ましい。式(5−1)について説明すると、式(5)において、M1 およびM2 は、各々アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基または複素環基を表す。
【0357】
M1 、M2 で表されるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素数1〜10、さらには1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましい。特に、炭素数1〜4の無置換のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基等が挙げられる。
【0358】
M1 、M2 で表されるシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0359】
M1 、M2 で表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、さらにはフェニル基、トリル基等の置換基を有するものであってもよい。具体的には、フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基、ピレニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェニルアントリル基、トリルアントリル基等が挙げられる。
【0360】
M1 、M2 で表されるアルケニル基としては、総炭素数6〜50のものが好ましく、無置換のものであってもよいが置換基を有するものであってもよく、置換基を有する方が好ましい。このときの置換基としては、フェニル基等のアリール基が好ましい。具体的には、トリフェニルビニル基、トリトリルビニル基、トリビフェニルビニル基等が挙げられる。
【0361】
M1 、M2 で表されるアルコキシ基としては、アルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基は、さらに置換されていてもよい。
【0362】
M1 、M2 で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
【0363】
M1 、M2 で表されるアミノ基は、無置換でも置換基を有するものであってもよいが、置換基を有することが好ましく、この場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基等)、アリール基(フェニル基等)などが挙げられる。具体的にはジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基等が挙げられる。
【0364】
M1 、M2 で表される複素環基としては、ビピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、オキサジアゾイル基等が挙げられる。これらは、メチル基、フェニル基等の置換基を有していてもよい。
【0365】
式(5−1)において、q1およびq2は、各々、0または1〜5の整数を表し、特に、0または1であることが好ましい。q1およびq2が、各々、1〜5の整数、特に1または2であるとき、M1 およびM2 は、各々、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基であることが好ましい。
【0366】
式(5−1)において、M1 とM2 とは同一でも異なるものであってもよく、M1 とM2 とが各々複数存在するとき、M1 同士、M2 同士は各々同一でも異なるものであってもよく、M1 同士あるいはM2 同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよく、環を形成する場合も好ましい。
【0367】
式(5−1)において、L1 は水素、単結合またはアリーレン基を表す。L1 で表されるアリーレン基としては、無置換であることが好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の通常のアリーレン基の他、2個ないしそれ以上のアリーレン基が直接連結したものが挙げられる。L1 としては、単結合、p−フェニレン基、4,4′−ビフェニレン基等が好ましい。
【0368】
また、L1 で表されるアリーレン基は、2個ないしそれ以上のアリーレン基がアルキレン基、−O−、−S−または−NR−が介在して連結するものであってもよい。ここで、Rはアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、アリール基としてはフェニル基等が挙げられる。なかでも、アリール基が好ましく、上記のフェニル基のほか、A101 であってもよく、さらにはフェニル基にA101 が置換したものであってもよい。
【0369】
また、アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が好ましい。このようなアリーレン基の具体例を以下に示す。
【0370】
【化72】
【0371】
次に、式(5−2)について説明すると、式(5−2)において、M3 およびM4 は式(5−1)におけるM1 およびM2 と、またq3およびq4は式(5−1)におけるq1およびq2と、さらにL2 は式(5−1)におけるL1 とそれぞれ同義であり、好ましいものも同様である。
【0372】
式(5−2)において、M3 とM4 とは同一でも異なるものであってもよく、M3 とM4 が各々複数存在するとき、M3 同士、M4 同士は、各々同一でも異なるものであってもよく、M3 同士あるいはM4 同士は結合してベンゼン環等の環を形成してもよく、環を形成する場合も好ましい。
【0373】
式(5−1)、式(5−2)で表される化合物を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化41、化43、化45、化47、化49、化51、化53、化56では一般式を示し、化42、化44、化46、化48、化50、化52、化54、化55、化57で、各々対応する具体例をM11〜M15、M21〜M25あるいはM31〜M35、M41〜M45の組合せで示している。
【0374】
【化73】
【0375】
【化74】
【0376】
【化75】
【0377】
【化76】
【0378】
【化77】
【0379】
【化78】
【0380】
【化79】
【0381】
【化80】
【0382】
【化81】
【0383】
【化82】
【0384】
【化83】
【0385】
【化84】
【0386】
【化85】
【0387】
【化86】
【0388】
【化87】
【0389】
【化88】
【0390】
【化89】
【0391】
【化90】
【0392】
【化91】
【0393】
【化92】
【0394】
【化93】
【0395】
本発明に用いるフェニルアントラセン誘導体は、
(1)ハロゲン化ジフェニルアントラセン化合物を、Ni(cod)2 〔cod:1,5−シクロオクタジエン〕でカップリング、もしくはジハロゲン化アリールをグリニャール化しNiCl2 (dppe)[dppe:ジフェニルフォスフィノエタン]、NiCl2 (dppp)〔dppp:ジフェニルフォスフィノプロパン〕、などのNi錯体などを用いてクロスカップリングする方法、
(2)アントラキノン、ベンゾキノン、フェニルアンスロンもしくはビアントロンとグリニャール化したアリールもしくはリチオ化したアリールとの反応および還元によりクロスカップリングする方法、
等により得られる。
【0396】
このようにして得られた化合物は、元素分析、質量分析、赤外吸収スペクトル、 1Hまたは13C核磁気共鳴吸収(NMR)スペクトルなどによって同定することができる。
【0397】
フェニルアントラセン誘導体は、400〜2000程度、さらには400〜1000程度の分子量をもち、200〜500℃の高融点を有し、80〜250℃、さらには100〜250℃、よりさらには130〜250℃、特に150〜250℃のガラス転移温度(Tg)を示す。従って、通常の真空蒸着等により透明で室温以上でも安定なアモルファス状態の平滑で良好な膜を形成し、しかもその良好な膜の状態が長期間に渡って維持される。
【0398】
フェニルアントラセン誘導体は、比較的ニュートラルな化合物なので、発光層に用いると好ましい結果を得ることができる。また、組み合わせる発光層、電子注入輸送層やホール注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合領域・発光領域を自由に設計することが可能であり、発光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にできる。
【0399】
<有機EL素子>
本発明の化合物を用いて製造される有機EL発光素子の構成例として、例えば、基板上に、ホール注入電極、ホール注入・輸送層、発光および電子注入輸送層、電子注入電極を順次有する。また、必要により電子注入電極上に補助電極や封止層を有していてもよい。
【0400】
本発明の有機EL素子は、上記例に限らず、種々の構成とすることができ、例えば発光層を単独で設け、この発光層と電子注入電極との間に電子注入輸送層を介在させた構造とすることもできる。また、必要に応じ、ホール注入・輸送層と発光層とを混合しても良い。
【0401】
発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
【0402】
ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。ホールもしくは電子の、各々の注入層と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm程度である。このような膜厚については注入輸送層を2層設けるときも同じである。
【0403】
ホール注入輸送層は、ホール注入電極からのホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、電子注入電極からの電子の注入を容易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げる機能を有するものであり、これらの層は、発光層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0404】
また、ホール注入輸送層には、例えば、本発明の化合物の他に特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号公報、特開平8−100172号公報、EP0650955A1等に記載されている各種有機化合物を用いることができる。例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。
【0405】
ホール注入輸送層をホール注入層とホール輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、ホール注入電極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ましい。またホール注入電極表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好ましい。このような積層順については、ホール注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホール注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着することにより形成することができる。
【0406】
また、電子注入輸送層には、本発明の化合物の他にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体等の含窒素複素環芳香族、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合は本発明の発光層を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成は発光層と同様に蒸着等によればよい。
【0407】
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることができる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このような積層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
【0408】
ホール注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm 以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μm を超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、ホールの注入効率も著しく低下する。
【0409】
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10-4 Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることができる。
【0410】
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
【0411】
電子注入電極は、好ましくは仕事関数が4eV以下の金属、合金または金属間化合物から構成される。仕事関数が4eVを超えると、電子の注入効率が低下し、ひいては発光効率も低下する。仕事関数が4eV以下の電子注入電極膜の構成金属としては、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、La、Ce等の希土類金属や、Al、In、Ag、Sn、Zn、Zr等が挙げられる。仕事関数が4eV以下の膜の構成合金としては、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、Al・Li(Li:0.01〜12at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.01〜20at%)等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上の組み合わせとして存在してもよく、これらを2種以上組み合わせた場合の混合比は任意である。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属の酸化物やハロゲン化物を薄く成膜し、アルミニウム等の支持電極(補助電極、配線電極)を用いてもよい。
【0412】
この電子注入電極は蒸着法やスパッタ法等によって形成できる。
【0413】
このような電子注入電極の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすればよく、0.1nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は0.1〜500nm程度とすればよい。
【0414】
ホール注入電極としては、好ましくは発光した光の透過率が80%以上となるような材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、酸化物透明導電薄膜が好ましく、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In2O3 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In2 O3 に対しSnO2 の混合比は、1〜20質量%が好ましく、さらには5〜12質量%が好ましい。In2 O3 に対しZnO2 の混合比は、12〜32質量%が好ましい。
【0415】
ホール注入電極は、発光波長帯域、通常350〜800nm、特に各発光光に対する光透過率が80%以上、特に90%以上であることが好ましい。通常、発光光はホール注入電極を通って取り出されるため、その透過率が低くなると、発光層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度が得られなくなる傾向がある。ただし、発光光を取り出す側が80%以上であればよい。
【0416】
ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すれば良く、好ましくは50〜500nm、さらには50〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、製造時の膜強度やホール輸送能力、抵抗値の点で問題がある。
【0417】
ホール注入電極を成膜するにはスパッタ法が好ましい。スパッタ法としてはRF電源を用いた高周波スパッタ法等も可能であるが、成膜するホール注入電極の膜物性の制御のし易さや、成膜面の平滑度等を考慮するとDCスパッタ法を用いることが好ましい。
【0418】
また、必要に応じて保護膜を形成してもよい。保護膜はSiOX 等の無機材料、テフロン(登録商標)等の有機材料等を用いて形成することができる。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は前記した反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着法等により形成すればよい。
【0419】
さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐために素子上に封止層を設けることが好ましい。封止層は、湿気の侵入を防ぐために市販の低吸湿性の光硬化性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体接着剤シート等の接着性樹脂層を用いて、ガラス板等の封止板を接着し密封する。ガラス板以外にも金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0420】
基板材料としては、基板側から発光した光を取り出す構成の場合、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。また、前記逆積層の場合には、基板は透明でも不透明であってもよく、不透明である場合にはセラミックス等を使用してもよい。
【0421】
カラーフィルター膜には、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、有機ELの発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよい。
【0422】
また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収するような短波長の外光をカットできるカラーフィルターを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
【0423】
また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0424】
本発明の有機EL素子は、例えば図1に示すように、基板1上にホール注入電極(陽極)2,ホール注入輸送層3,発光層4,電子注入輸送層5,電子注入電極(陰極)6が順次積層された構成を有する。また、この積層順とは逆の構成としてもよいし、ホール注入輸送層3、電子注入輸送層5を省略したり、発光層4と兼用させてもよい。これらの構成層は求められる素子の機能等により最適なものに調整すればよい。
【0425】
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30V 程度とされる。
【0426】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0427】
<合成例1>
3・ブロモ・ 7 、 12 ジフェニルベンゾ [k] フルオランテンの合成
ジフェニルイソベンゾフラン5g(18.5mmol)と5・ブロモアセナフチレン4.3g(18.5mmol)をトルエン中、還流温度で24時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、酢酸500mlに溶解させた。そこへ40%の臭素酸水溶液50cm3を加えて80℃で1時間過熱した。室温まで冷却後、沈殿物を濾別し、トルエン、ヘキサンを混合溶媒を抽出溶媒としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄白色の3・ブロモ・7、12ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン7gを得た。
【0428】
<合成例2>
7 、 12 ジフェニルベンゾ [k] フルオランテノ・3・ボロン酸の合成
3・ブロモ・7、12ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン2.5gを50cm3のTHFに溶解させ、-40℃に冷却した。そこへブチルリリウムのヘキサン溶液(1.5mol/l)5cm3をくわえて2時間反応させた。そこへホウ酸トリエチル1.5gを加えて1時間反応させた。室温に戻した後、5Nの塩酸水溶液15cm3を加えたあと、炭酸水素ナトリウムで中和した。THFを留去後、固形物を濾別した。濾物を蒸留水で洗浄後、再沈澱により精製し、2gのボロン酸を得た。
【0429】
<合成例3>
例示化合物 A ・2の合成
先に調製したボロン酸2g(4.5mmol)とp-ジブロモベンゼン0.33g(1.4mmol)を50cm3のジメトキシエタンに溶解させ、80℃に過熱した。そこへ蒸留水50cm3 および炭酸ナトリウム10gを投入した。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.2g投入した。
【0430】
3時間後沈殿している目的物を回収した。精製はシリカゲルクロマトグラフィーを用い、黄白色結晶1gを得た。
【0431】
得られた化合物はマススペクトル、赤外線吸収スペクトル、NMRを用いて同定した。
マススペクトル m/e=883(M+1)+ 図2
赤外線吸収スペクトル 図3
NMR 図4
ガラス転位温度(Tg) 251℃
【0432】
<合成例4>
例示化合物 V ・2の合成
先に合成したボロン酸2g(4.5mmol)とビス-p-ジブロモトリフェニルアミン0.56g(1.4mmol)を50cm3 のジメトキシエタンに溶解させ、80℃に過熱した。そこへ蒸留水50cm3 および炭酸ナトリウム10gを投入した。さらにそこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.2g投入した。
【0433】
3時間後沈殿している目的物を回収した。精製はシリカゲルクロマトグラフィーを用い、黄色結晶1gを得た。
【0434】
得られた化合物はマススペクトル、赤外線吸収スペクトル、NMRを用いて同定した。
マススペクトル m/e=1050(M+1)+
【0435】
例示化合物 Z ・2の合成
キシレン50cm3中に先に合成した3・ブロモ・7、12ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン2g(4.1mmol)とアニリン0.13g(1.4mmol)を溶解させた。そこへトリスジベンジリデンアセトンパラジウム(0)0.2gとトリ・t・ブチルホスフィン0.5cm3を加えて130℃で12時間反応させた。
【0436】
沈澱している目的物を回収して、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色結晶1gを得た。
【0437】
得られた化合物はマススペクトル、赤外線吸収スペクトル、NMRを用いて同定した。
マススペクトル m/e=898(M+1)+
【0438】
<実施例1>
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0439】
次いで減圧状態を保ったまま、下記構造のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で100nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0440】
【化94】
【0441】
次いで、下記構造のN,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
【0442】
【化95】
【0443】
さらに、減圧を保ったまま、下記構造のアントラセン系ホスト材料と、本発明化合物(A−2)のドーパントを、質量比98:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し発光層とした。
【0444】
【化96】
【0445】
次いで、減圧状態を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を、蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0446】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
【0447】
この有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.6V 、730cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は450nm、色度座標は(x,y)=(0.15,0.11)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度730cd/m2 以上で、輝度半減時間は500時間以上であった。従って、輝度cd×半減時間h は365000であった。図5に発光スペクトルを示す。
【0448】
<実施例2>
実施例1において、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0449】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをホスト材料にして、本発明化合物(A−2)のドーパントを、質量比98:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして30nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層兼発光層とした。
【0450】
次いで、減圧状態を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を、蒸着速度0.1nm/secで40nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0451】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.3nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを200nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
【0452】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が7.9V 、780cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は450nm、色度座標は(x,y)=(0.15,0.11)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度780cd/m2 以上で、輝度半減時間は400時間以上であった。
【0453】
<実施例3>
実施例1において、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0454】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/secで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
【0455】
さらに、減圧を保ったまま、実施例1の本発明化合物(A−2)をホスト材料とし、下記構造のナフタセン系化合物ドーパントを、質量比98:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し発光層とした。
【0456】
【化97】
【0457】
次いで、減圧状態を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を、蒸着速度0.1nm/secで30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0458】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.3nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを150nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
【0459】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.3V 、900cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は560nm、色度座標は(x,y)=(0.45,0.55)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度900cd/m2 以上で、輝度半減時間は3000時間以上であった。
【0460】
<実施例4>
実施例3において、発光層のドーパントを下記構造のナフタセン系化合物に代えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
【0461】
【化98】
【0462】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.3V 、910cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は560nm、色度座標は(x,y)=(0.45,0.55)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度910cd/m2 以上で、輝度半減時間は3000時間以上であった。
【0463】
<実施例5>
実施例3において、発光層のドーパントを下記構造の化合物に代えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
【0464】
【化99】
【0465】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.5V 、750cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は580nm、色度座標は(x,y)=(0.52,0.48)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度750cd/m2 以上で、輝度半減時間は3000時間以上であった。
【0466】
<実施例6>
実施例3において、発光層のドーパントを下記構造の化合物に代えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
【0467】
【化100】
【0468】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.6V 、1100cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は515nm、色度座標は(x,y)=(0.30,0.65)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度1100cd/m2 以上で、輝度半減時間は3000時間以上であった。
【0469】
<実施例7>
実施例3において、ドーパントを下記構造の化合物に代えた以外は実施例3と同様にして有機EL素子を得た。
【0470】
【化101】
【0471】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.5V 、550cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は610nm、色度座標は(x,y)=(0.65,0.35)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度550cd/m2 以上で、輝度半減時間は5000時間以上であった。
【0472】
<実施例8>
実施例1において、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0473】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/secで20nmの厚さに蒸着し、第1のホール輸送層とした。
【0474】
さらに、減圧を保ったまま、実施例1の本発明化合物(A−2)を蒸着速度0.1nm/secとして10nmの厚さに蒸着し、第2のホール輸送層とした。
【0475】
次いで、下記構造の化合物をホスト材料とし、
【化102】
【0476】
下記構造の化合物ドーパントを、質量比98:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し発光層とした。
【0477】
【化103】
【0478】
次いで、減圧状態を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を、蒸着速度0.1nm/secで30nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0479】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.3nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを150nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
【0480】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.0V 、820cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は556nm、色度座標は(x,y)=(0.45,0.55)であった。
【0481】
<実施例9>
実施例1において、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で90nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0482】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
【0483】
さらに、減圧を保ったまま、本発明化合物(A−2)を蒸着速度0.1nm/secとして10nmの厚さに蒸着し、第2のホール輸送層とした。
【0484】
次いで、実施例8の化合物をホスト材料とし、本発明の化合物(A−2)ドーパントを、質量比98:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し発光層とした。
【0485】
次いで、減圧状態を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を、蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0486】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
【0487】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.0V 、700cd/m2 以上の発光が確認できた。このときのピーク波長は450nm、色度座標は(x,y)=(0.15,0.11)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度700cd/m2 以上で、輝度半減時間は1000時間以上であった。
【0488】
<実施例10>
実施例1において、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/sec で10nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
【0489】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを蒸着速度0.1nm/secで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
【0490】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと、化70の化合物、および化69の化合物をドーパントとして、それぞれ質量比49:49:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして15nmの厚さに蒸着し第1の発光層(赤色)とした。
【0491】
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと、化70の化合物、および化68の化合物をドーパントとして、それぞれ質量比49:49:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして20nmの厚さに蒸着し第2の発光層(緑色)とした。
【0492】
さらに、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと、化70の化合物、および本発明の化合物(A−2)をドーパントとして、それぞれ質量比49:49:2で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして20nmの厚さに蒸着し第2の発光層(青色)とした。
【0493】
その他は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0494】
得られた有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.5V 、750cd/m2 以上の発光が確認できた。全体の発光色は色度座標で(x,y)=(0.30,0.33)となり、ほぼ白色に近い色調が得られた。
【0495】
〔実施例11〕
実施例1において、発光層のドーパントを下記構造(Type BBB−9)に代えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0496】
【化104】
【0497】
この有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.6V 、800cd/m2 以上の発光が確認でさた。この時のビーーク波長は452nm、色度座標は(x,y)=(0.15,0.11)であった。
【0498】
この素子に10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期800cd/m2 以上で輝度半減時間は1200時間以上であった。従って、輝度cd×半減時間は960000であった。図6に発光スペクトルを示す。
【0499】
〔実施例12〕
実施例1において、発光層のドーパントを下記構造(TypeV−2)に代えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0500】
【化105】
【0501】
この有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が8.6V 、900cd/m2 以上の発光が確認できた。この時のピーク波長は473nm、色度座標は(x,y)=(0.14,0.27))であった。
【0502】
この素子に50mA/cm2 一定電流を流し、連続駆動したところ、初期4500cd/m2 以上で、輝度半減時間は500時間以上であった。従って、輝度cd×半減時間は22500000であった。図7に発光スペクトルを示す。
【0503】
〔実施例13〕
実施例1において発光層のドーバントを下記構造(Type Z−2)に代えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0504】
【化106】
【0505】
この有機EL素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cm2 電流密度で、駆動電圧が8.6V 、1100cd/m2 以上の発光が確認できた。この時のピーク波長は518nm、色度座標は(x,y)=(0.28,0.61)であった。
【0506】
この素子に、50mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期5500cd/m2 以上で、輝度半減時間は500時間以上であった。従って、輝度cd×半減時間は27500000であった。図8に発光スペクトルを示す。
【0507】
<比較例1>
実施例1において、発光層にドーパントをドーピングしない以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0508】
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.5V 、180cd/m2 以下となってしまった。このときのピーク波長は440nm、色度座標は(x,y)=(0.16,0.07)であった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度180cd/m2 で、輝度半減時間は250時間以下となった。従って、輝度cd×半減時間h は4500であった。このことから、実施例1の素子は、この素子に比べて4倍以上の輝度で発光することが可能であり、同一発光輝度で8倍以上長寿命であることがわかる。
【0509】
<比較例2>
実施例1において、発光層のドーパントを下記構造の化合物とした以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0510】
【化107】
【0511】
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.6V 、700cd/m2 であった。このときのピーク波長は465nm、色度座標は(x,y)=(0.20,0.20)と青色から長波長側に外れた発光色となった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度700cd/m2 で、輝度半減時間は500時間であった。
【0512】
<比較例3>
実施例1において、発光層のドーパントを下記構造の化合物とした以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
【0513】
【化108】
【0514】
この有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cm2 の電流密度で、駆動電圧が6.5V 、180cd/m2 であった。このときのピーク波長は440nm、色度座標は(x,y)=(0.16,0.07)となった。この素子に、10mA/cm2 の一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度180cd/m2 で、輝度半減時間は250時間であった。
【0515】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、十分な輝度の発光、特に長波長における発光が得られ、優れた色純度、特にフルカラーディスプレイに用いるのに十分な色純度が得られ、かつ良好な発光性能が長期にわたって持続する耐久性に優れた有機EL素子用化合物、および有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図2】マススペクトルを示した図である。
【図3】赤外吸収スペクトルを示した図である。
【図4】NMRスペクトルを示した図である。
【図5】実施例1の素子の発光スペクトルを示した図である。
【図6】実施例11の素子の発光スペクトルを示した図である。
【図7】実施例12の素子の発光スペクトルを示した図である。
【図8】実施例13の素子の発光スペクトルを示した図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ホール注入電極
3 ホール注入輸送層
4 発光層
5 電子注入輸送層
6 電子注入電極
Claims (17)
- 下記式(1)で表される基本骨格を有する有機EL素子用化合物。
Xn−Y ・・・ (1)
[式(1)中、Xは下記式(2)で表される化合物を表し、同一であっても異なっていてもよい。Yは下記化合物:
- ドーパントとして用いられる請求項1の有機EL素子用化合物。
- 電子輸送材料である請求項1または2の有機EL素子用化合物。
- ホール注入または輸送材料である請求項1または2の有機EL素子用化合物。
- 一対の電極間に少なくとも発光機能に関与する1種または2種以上の有機層を有し、
前記有機層の少なくとも1層には請求項1〜9のいずれか一項の有機EL素子用化合物を1種又は2種以上含有する有機EL素子。 - 前記有機EL素子用化合物に加え、さらにアントラセン系化合物の1種又は2種以上含有する請求項10の有機EL素子。
- 前記アントラセン誘導体を発光層のホスト材料として含有する請求項11の有機EL素子。
- 前記有機EL素子用化合物をドーパントとして含有する請求項10〜12のいずれか一項の有機EL素子。
- 前記有機EL用化合物を発光層に含有する請求項10〜13のいずれか一項の有機EL素子。
- 前記有機EL用化合物を電子輸送層に含有する請求項10〜12のいずれか一項の有機EL素子。
- 前記有機EL素子用化合物をホール注入輸送層に含有する請求項10〜15のいずれか一項の有機EL素子。
- 2種以上の発光材料による2種以上の発光極大波長を有する請求項10〜16のいずれか一項の有機EL素子。
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