JP4221093B2 - 水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定性(水分散安定性)、接着特性および耐水性にすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境衛生や安全性などの点より、感圧性接着剤組成物の製造方法として有機溶剤を使用しない方向への転換が進みつつある。具体的には、ホツトメルト型やエマルシヨン型などが知られているが、前者は耐熱性の欠如という問題があり、また後者は耐水性の欠如という問題がある。
【0003】
エマルシヨン型の耐水性の欠如は、主に、ポリマ―粒子を水に安定に分散せるための乳化剤が残存することに起因する。この耐水性を上げるため、反応性乳化剤を用いてポリマ―粒子中に乳化剤を取り込む試みがなされており、たとえば、反応性乳化剤の種類や重合方法を改良する工夫が行われている。しかし、反応性乳化剤が水相で重合したり、未反応で残存して、ポリマ―粒子中に完全に取り込めず、耐水性を大きく改良するまでには至つていない。
【0004】
また、本出願人は、先に、ポリマ―粒子を乳化剤を使用しないで水中に安定に分散させた感圧性接着剤組成物として、水中にカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―との重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマ―を分散させた水分散型感圧性接着剤組成物を提案した(特願平10−66406号)。この感圧性接着剤組成物は、乳化剤を使用していないため、耐水性の問題はないが、ポリマ―粒子を水中に安定に分散させるためのアクリル系モノマ―の種類や生成ポリマ―の分子量などが限定され、接着特性を十分に満足させにくいという難点があつた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らし、環境衛生や安全性などの面ですぐれて、かつホツトメルト型のような耐熱性の問題のない水分散型感圧性接着剤組成物において、前記従来のエマルシヨン型にみられたような乳化剤に起因した耐水性の問題を本質的に持たず、かつポリマ―粒子の安定性(水分散安定性)にすぐれ、そのうえ接着特性を十分に満足する実用価値の高い水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、本出願人が先に提案した前記の水分散型感圧性接着剤組成物について、さらに検討を続けた結果、第一段階として、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―との重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマ―を水に安定に分散させた水分散液を得、ついで、第二段階として、この水分散液を重合媒体としてこれにさらに(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させると、上記ウレタン・アクリル混成ポリマ―とあらたに生成するアクリルポリマ―とを含むポリマ―粒子が水に安定に分散されてなる水分散型感圧性接着剤組成物が得られ、この水分散型感圧性接着剤組成物によれば、上記の第二段階で用いる単量体の種類や生成ポリマ―の分子量などにとくに制限を受けないことから、十分に満足できる接着特性を発現させることができ、しかも上記組成物が従来のエマルシヨン型のような乳化剤を用いたものでないため、乳化剤に起因した耐水性の問題もないことを知り、本発明を完成するに至つた。
【0007】
すなわち、本発明は、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーとアクリル系モノマーとの重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマーの水分散液に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマーのガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させて得られる、上記のウレタン・アクリル混成ポリマー20〜80重量%と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマー80〜20重量%とを含有することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物(請求項1)に係るものである。
また、本発明は、このような水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法として、a)ポリオール(分子内にカルボキシル基を含まない)、カルボキシル基含有ポリオールおよびポリイソシアネートを反応させてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得る工程、b)上記のウレタンプレポリマーとアクリル系モノマーとを重量比1:9から9:1で混合し、かつ塩基で中和する工程、c)この中和物を水中に分散する工程、d)この水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマーを鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマーを重合する工程により、ウレタン・アクリル混成ポリマーの水分散液を得、ついで、e)この水分散液に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマーのガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させ、上記のウレタン・アクリル混成ポリマー20〜80重量%に対し、ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマー80〜20重量%を生成させることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法(請求項2)に係るものである。
さらに、本発明は、上記のa工程におけるポリイソシアネートとして脂環族ポリイソシアネートを使用する上記水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法(請求項3)、上記のa工程におけるポリイソシアネートとポリオール(分子内にカルボキシル基を含まない)との使用割合を、NCO/OH比(当量比)が2.0〜9.0の範囲となる割合とする上記水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法(請求項4)に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、第一段階として、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―との重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマ―の水分散液を得る。このような水分散液は、a)ポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)、カルボキシル基含有ポリオ―ルおよびポリイソシアネ―トを反応させてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を得る工程、b)上記のウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―とを重量比1:9から9:1で混合し、かつ塩基で中和する工程、c)この中和物を水中に分散する工程、d)この水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマ―を鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマ―を重合する工程により、得ることができる。
【0009】
a工程においては、ポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)およびカルボキシル基含有ポリオ―ルと、ポリイソシアネ―トとを、反応させて、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を得る。その際、ポリイソシアネ―トと水との反応を抑えるため、乾燥空気や窒素などで置換したり、各材料を脱水操作しておくのがよい。また、反応触媒として、ジブチルすずジラウレ―ト、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタンなどを用いてもよい。さらに、反応順序は限定されず、ポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)とポリイソシアネ―トとを反応させたのちに、カルボキシル基含有ポリオ―ルを加えて反応させてもよいし、三成分を同時に反応させてもよい。
【0010】
ポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するものであり、低分子のポリオ―ルと高分子のポリオ―ルととがある。低分子のポリオ―ルとしては、エチレングリコ―ル、ジエチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ヘキサメチレングリコ―ルなどの2価のアルコ―ル、トリメチロ―ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト―ルなどの3価アルコ―ルなどが挙げられる。また、高分子のポリオ―ルとしては、ポリエ―テルポリオ―ル、ポリエステルポリオ―ル、アクリルポリオ―ル、エポキシポリオ―ルなどがある。
【0011】
上記のポリエ―テルポリオ―ルとしては、ポエチレングリコ―ル、ポリプロピレングリコ―ル、ポリテトラメチレングリコ―ルなどが挙げられる。ポリエステルポリオ―ルとしては、前記の2価のアルコ―ル、ジプロピレングリコ―ル、1,4−ブタンジオ―ル、1,6−ヘキサンジオ―ル、ネオペンチルグリコ―ルなどのアルコ―ルとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物や、その他、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオ―ル、ポリカ―ボネ―トジオ―ルなどが挙げられる。アクリルポリオ―ルとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレ―トなどの水酸基含有モノマ―の共重合体や、その他、水酸基含有物とアクリル系モノマ―との共重合体などが挙げられる。エポキシポリオ―ルとしては、アミン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0012】
これらのポリオ―ルは、その1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。その際、ポリイソシアネ―トとの反応性、アクリル系モノマ―との相溶性、最終的な接着特性などを考慮して、その種類や分子量を便宜選択すればよい。これらポリオ―ルの使用量としては、ポリイソシアネ―トに対して、NCO/OH比(当量比)が2.0〜9.0の範囲となる割合とするのがよい。上記の比が過少では、反応に関与するカルボキシル基含有ポリオ―ルの量が減少して水分散液の安定性が悪くなり、また過多となると、最終的な接着特性が悪化し、とくに接着力やタツクが低下するおそれがある。
【0013】
カルボキシル含有ポリオ―ルは、生成するウレタンプレポリマ―の分子内にカルボキシル基を導入させるためのものである。具体例としては、2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ―ル酢酸、2,2−ジメチロ―ル酪酸などが挙げられ、とくに2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸が好ましい。なお、これらを加えるときには、反応を速やかに進行させるため、N−メチルピロリドンなどの溶剤に溶解して加えるのが望ましい。このようなカルボキシル含有ポリオ―ルの使用量は、前記ポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)100重量部あたり、通常5〜30重量部とするのがよい。
【0014】
ポリイソシアネ―トとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のポリイソシアネ―トをいずれも使用できる。これらの中でも、ポリオ―ルとの速やかな反応および水との反応を抑制するため、イソホロジイソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネ―ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―トがとくに好ましく用いられる。ポリイソシアネ―トとしては、通常はジイソシアネ―トが用いられるが、場合により、トリないしそれ以上のポリイソシアネ―トを使用することもできる。
【0015】
上記のウレタン化反応に際し、水酸基を有する単量体を一緒に反応させてウレタン骨格中に炭素−炭素二重結合を導入し、これを引き続くアクリル系モノマ―の重合時に共反応させてもよい。これによりウレタン−アクリル混成ポリマ―におけるポリマ―相互の相分離が防げ、安定性などに好結果が得ることができる。このような水酸基を有する単量体には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ―トなどがある。使用量としては、前記のポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)100重量部あたり、通常10重量部以下とするのがよい。過少では上記効果が得られにくく、逆に過多となると材料自体が硬くなりすぎる。
【0016】
b工程においては、このようにして得たカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―にアクリル系モノマ―を混合し、かつ上記ウレタンプレポリマ―分子内のカルボキシル基を塩基により中和する。中和は、上記混合前に行つてもよいし、混合後に行つてもよい。塩基としては、イソシアネ―トと反応せず、カルボキシル基を中和できるものであればよく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トルエチルアミンなどの第三級アミンなどが用いられる。
【0017】
アクリル系モノマ―としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、主として用いられる。その他、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、オリゴエステル(メタ)アクリレ―ト、カプロラクトン(メタ)アクリレ―トなども使用できる。また、これらのモノマ―とともに、必要により、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、マレイン酸のモノまたはジエステルなどのモノマ―を併用してもよい。
【0018】
これらのアクリル系モノマ―は、前記のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―との重量比が1:9から9:1となるように、つまりは、アクリル系モノマ―が前記のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―との合計量中、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%となるように、混合することが肝要である。10重量%未満では、接着力が小さくなり、90重量%を超えると、安定な水分散液が得られなくなる。
【0019】
c工程においては、上記のようにカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―にアクリル系モノマ―を混合し、かつ塩基により中和したのちに、この中和物を水中に分散させる。この分散は、上記の中和物を攪拌しながら水に滴下して行えばよく、攪拌は通常の撹拌機を用いてもよいし、必要によりホモミキサやホモジナイザなどを用いて行つてもよい。これにより、上記中和物が水に安定に分散された水分散液が得られる。水の量は、とくに限定されないが、最終的に得られるウレタン・アクリル混成ポリマ―の固形分濃度が、通常20〜60重量%となるようにするのがよい。
【0020】
d工程においては、このような水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマ―を鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマ―を重合させる。上記の鎖延長と重合との両反応は、この順に行つてもよいし、同時に行つてもよい。また、これらの反応は室温下で行うこともできるが、通常は加温して反応させるのが望ましい。
【0021】
鎖延長のためのポリアミンには、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミンが好ましく用いられる。使用量は、前記のウレタンプレポリマ―の組成に応じて適宜決められるが、通常は、上記プレポリマ―100重量部あたり、5重量部以下である。また、重合のためのラジカル重合開始剤には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソブチルバレロニトリルなどのアゾ化合物や過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物が用いられる。使用量は、アクリル系モノマ―100重量部あたり、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。過少では分子量が低くなつて生成ポリマ―が硬くなり、過多となると逆に高分子量化して水分散性に劣りやすい。
【0022】
このような鎖延長と重合により分子鎖長の長いウレタン・アクリル混成ポリマ―が生成し、この混成ポリマ―が水中に安定に分散された水分散液が得られる。この水分散液には、耐水性低下の原因となる乳化剤が一切含まれていない。本発明においては、ついで、第二段階として、この水分散液を重合媒体として、これにさらにアクリルポリマ―を生成させるための単量体を加えて重合させ、目的とする水分散型感圧性接着剤組成物を製造する。
【0023】
この第二段階においては、上記の水分散液に、まず、上記の単量体を加えて、攪拌することにより、水分散液を構成するウレタン・アクリル混成ポリマ―からなるポリマ―粒子に上記単量体を吸収させ、ついで、重合開始剤を加えて、常法により重合反応させればよい。重合開始剤には、一般の乳化重合で用いられる過硫酸アンモニウムなどの過酸化物や水溶性のアゾ化合物が用いられるが、水中にイオン生成物を発生しないようにアゾ化合物が使用するのが好ましい。また、場合により、油溶性の重合開始剤を使用できるが、この場合は、あらかじめ上記の単量体に混合させる方法をとることもできる。
【0024】
ここで使用する単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラス転移温度が250K以下となる単量体であり、上記のガラス転移温度が250Kを超えると、感圧性接着剤として硬くなりすぎ、接着特性が損なわれる。主単量体としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、ウレタン・アクリル混成ポリマ―の水分散液の製造に用いた前記のアクリル系モノマ―のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして例示したものを同様に使用できる。また、この(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一部を、これ以外の上記アクリル系モノマ―の1種として例示した(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミドなどや、その他のモノマ―として例示した酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、マレイン酸のモノまたはジエステルなどのモノマ―に置き代えてもよく、その量は全単量体中50重量%以下の範囲とするのがよい。
【0025】
これらの単量体は、ポリマ―のガラス転移温度が250K以下となる限り、前記ポリオ―ルとの相溶性を考慮することなく、任意に選択使用できる。さらに、上記以外の他の単量体として、トリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト、ジエチレングリコ―ルジアクリレ―トなどの多官能単量体を使用することもできる。このような多官能単量体を用いてポリマ―粒子内を架橋構造化することにより、感圧性接着剤の凝集力を高めることができる。また、これら単量体の重合反応に際し、分子量などを調整するための連鎖移動剤を使用してもよい。
【0026】
このようにして得られる水分散型感圧性接着剤組成物は、ポリマ―粒子として、ウレタン・アクリル混成ポリマ―と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマ―とを含有してなり、このポリマ―粒子が乳化剤を用いることなく水に安定に分散されてなる水分散体である。この水分散体において、上記ポリマ―の比率は、前者のウレタン・アクリル混成ポリマ―が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%で、後者のアクリルポリマ―が90〜10重量%、好ましくは80〜20重量%である。このような比率となるように、水分散液に加える上記単量体の使用量を適宜決定する。その際、単量体の使用量が多すぎると、重合操作中に凝集物が発生したりして安定性が悪くなり、また少なすぎると接着特性が低下する。
【0027】
本発明の水分散型感圧性接着剤組成物は、上記第二段階の重合における分子量制御が容易で、水分散安定性とともに造膜性にもすぐれており、上記の水分散体に対して他の添加剤成分を加えなくても、接着力と凝集力を満足するすぐれた接着特性を発揮させることができる。しかし、凝集力をさらに上げるために架橋剤を配合したり、接着力を向上させるために水分散型の粘着付与樹脂を配合してもよい。また、必要に応じて、充填剤、顔料などの一般の感圧性接着剤組成物に用いられる各種の添加剤成分を任意に配合することができる。
【0028】
本発明の水分散型感圧性接着剤組成物を使用する際には、支持体上に上記組成物を塗布、乾燥して、所望厚さの接着剤層を形成することにより、シ―ト状やテ―プ状の接着シ―ト類とすることができる。支持体には、プラスチツクフイルム、紙、ラミネ―ト紙、不織布、金属箔、発泡シ―トなどの非剥離性支持体や、剥離紙などの剥離性支持体が用いられる。また場合により、支持体を全く用いないでシ―ト状やテ―プ状の形態とすることも可能である。このように作製される接着シ―ト類は、接着特性および耐水性にすぐれているため、耐水性が必要とされる各種の用途に対して、幅広く使用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0030】
実施例1
還流冷却管、ガス導入管(兼脱気用管)、攪拌装置、温度計を備えたフラスコに、ポリオ―ルとしてジエチレングリコ―ルアジピン酸エステル100部(数平均分子量2,500、水酸基価41)を入れ、さらに、カルボキシル基含有ポリオ―ルとしてジメチロ―ルプロピオン酸12.4部をN−メチルピロリドン31部に溶解して加え、また、水酸基を有する単量体としてヒドロキシエチルアクリレ―ト0.35部を加え、80℃に加熱脱気して、水分を取り除いた。常圧に戻し、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト49.2部を加え、さらに、ジブチルすずジラウレ―ト0.0298部を加え、65℃で3時間反応させて、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を得た。なお、上記ポリイソシアネ―トとポリオ―ルとのNCO/OH比は5.3であつた。
【0031】
このカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―にアクリル酸ブチル323.2部を加えて、よく攪拌したのち、トリエチルアミン9.4部を加え、よく撹拌して、中和した。別のフラスコに蒸留水727.7部を入れ、1.5時間窒素置換したのち、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン4部を蒸留水で3倍に希釈して加え、さらにアゾビスイソブチルバレロニトリル0.49部を加え、60℃に加熱して2時間反応させることにより、鎖延長および重合を完了した。
【0032】
このようにして水にウレタン・アクリル混成ポリマ―が均一に分散された水分散液を得たのち、この水分散液(固形分濃度40重量%)100部に、攪拌しながら、アクリル酸ブチル87.44部を加え、これを水分散しているウレタン・アクリル混成ポリマ―からなるポリマ―粒子に吸収させた。しかるのち、重合開始剤としてアゾビスイソブチルバレロニトリル1.73部を加え、窒素気流下で60℃に加熱して3時間重合反応を行つた。
【0033】
このようにして、ウレタン・アクリル混成ポリマ―と上記重合反応により生成したアクリルポリマ―とを含有する水分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物が得られた。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、厚さが25μmのポリエステルフイルム上に乾燥後の厚さが40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥して、接着剤層を形成し、接着テ―プを得た。
【0034】
実施例2
実施例1で得た水にウレタン・アクリル混成ポリマ―が均一に分散された水分散液(固形分濃度40重量%)100部に、攪拌しながら、アクリル酸ブチル36.41部およびトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト0.93部を加え、これを水分散しているウレタン・アクリル混成ポリマ―からなるポリマ―粒子に吸収させた。しかるのち、重合開始剤としてアゾビスイソブチルバレロニトリル0.015部を加え、窒素気流下で60℃に加熱して3時間重合反応を行つた。このようにして、ウレタン・アクリル混成ポリマ―と上記重合反応により生成したアクリルポリマ―とを含有する水分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物を得た。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0035】
実施例3
実施例1で得た水にウレタン・アクリル混成ポリマ―が均一に分散された水分散液(固形分濃度40重量%)100部に、攪拌しながら、アクリル酸ブチル34.88部およびジメチルアクリルアミド2.46部を加え、これを水分散しているウレタン・アクリル混成ポリマ―からなるポリマ―粒子に吸収させた。しかるのち、重合開始剤としてアゾビスイソブチルバレロニトリル0.015部を加え、窒素気流下で60℃に加熱して3時間重合反応を行つた。このようにして、ウレタン・アクリル混成ポリマ―と上記重合反応により生成したアクリルポリマ―とを含有する水分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物を得た。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0036】
比較例1
実施例1で得た水にウレタン・アクリル混成ポリマ―が均一に分散された水分散液(固形分濃度40重量%)100部に、攪拌しながら、アクリル酸ブチル220.4部を加え、これを水分散しているウレタン・アクリル混成ポリマ―からなるポリマ―粒子に吸収させた。しかるのち、重合開始剤としてアゾビスイソブチルバレロニトリル0.088部を加え、窒素気流下で60℃に加熱して3時間重合反応を行つた。しかしながら、重合反応中に凝集してしまい、安定な水分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物を得ることができなかつた。このため、接着テ―プの作製もできなかつた。
【0037】
比較例2
実施例1で得た水にウレタン・アクリル混成ポリマ―が均一に分散された水分散液を、そのまま水分散型感圧性接着剤組成物とし、この水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0038】
上記の実施例1〜3および比較例2に係る各接着テ―プについて、下記の方法により、接着力、保持力(凝集力)および耐水性を調べた。これらの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0039】
<接着力>
20mm×100mmの大きさの接着テ―プを、被着体として#280のサンドペ―パでサンデイングしたステンレス板に、2Kgのロ―ラを1往復させる方式で圧着し、23℃で20分間経過後、剥離に要する力(180度剥離、引張り速度300mm/分、23℃,65%RH雰囲気下)を測定した。
【0040】
<保持力(凝集力)>
フエノ―ル樹脂板に接着テ―プを10mm×20mmの接着面積で接着し、20分間経過後、80℃下で20分間放置したのち、フエノ―ル樹脂板を垂下して粘着テ―プの自由末端に500gの均一荷重を負荷し、80℃において接着テ―プが落下するまでの時間(分)を測定した。
【0041】
<耐水性>
40mm×40mmの大きさの接着テ―プを蒸留水に24時間浸漬して、接着剤層の白化の有無を目視により調べ、耐水性を評価した。
【0042】
【0043】
上記の結果から、実施例1〜3では、接着力および保持力を満足するすぐれた接着特性を発揮するとともに、耐水性にもすぐれているが、比較例1では、安定な水分散型感圧性接着剤組成物が得られず、接着テ―プの作製が困難であり、また、比較例2では、接着特性が不十分であることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―とアクリル系モノマ―との重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマ―を水に安定に分散させた水分散液を得、この水分散液を重合媒体としてこれにさらに(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させる構成としたことにより、ポリマ―粒子の水分散安定性と造膜性にすぐれて、十分に満足できる接着特性を発現するとともに、耐水性にもすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法を提供することができる。
Claims (4)
- カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーとアクリル系モノマーとの重量比1:9から9:1の混合物を原料成分としたウレタン・アクリル混成ポリマーの水分散液に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマーのガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させて得られる、上記のウレタン・アクリル混成ポリマー20〜80重量%と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマー80〜20重量%とを含有することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物。
- a)ポリオール(分子内にカルボキシル基を含まない)、カルボキシル基含有ポリオールおよびポリイソシアネートを反応させてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを得る工程、b)上記のウレタンプレポリマーとアクリル系モノマーとを重量比1:9から9:1で混合し、かつ塩基で中和する工程、c)この中和物を水中に分散する工程、d)この水分散液にポリアミンを加えて上記のウレタンプレポリマーを鎖延長し、かつラジカル重合開始剤を加えて上記のアクリル系モノマーを重合する工程により、ウレタン・アクリル混成ポリマーの水分散液を得、ついで、e)この水分散液に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマーのガラス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させ、上記のウレタン・アクリル混成ポリマー20〜80重量%に対し、ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマー80〜20重量%を生成させることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
- a工程におけるポリイソシアネ―トが脂環族ポリイソシアネ―トである請求項2に記載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
- a工程におけるポリイソシアネ―トとポリオ―ル(分子内にカルボキシル基を含まない)との使用割合は、NCO/OH比(当量比)が2.0〜9.0の範囲となる割合である請求項2または3に記載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
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