JP4210501B2 - 関節の骨、特に中足指節関節の骨を固定するためのプレート - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に関連する２つの骨部を整合しかつ共に固定する概ね外科装置の技術分野に関し、特に関節固定術を施すための足指または手指の指骨を有する関節に関する。
【０００２】
本発明は、関節の骨、特に中足指節関節の骨を共に固定する関節固定術を施すためのプレートに関する。
【０００３】
限定されるものでないが、好適な本発明の出願では、固定プレートは、ある角位置が設定され、中足指節関節に関節固定術を施すために特に意図され設計されている。しかし、目的が相対的な固定位置で共に連結される２つの骨部を結合するものであれば、常に、本発明出願の意味は他の関節用のものとして類推され得るものと、理解されるべきである。
【０００４】
【従来の技術】
関節における骨間の関節症、特に中足指節関節の場合には、２つの骨を溶かして関節固定術を施すことが、しばしば必要である。一般に、関節固定術は、定められたある位置に関節を設定するという点で、難しい手術を構成し、非可逆的な方法で施すことになる。このように、関節が人間の歩行サイクルに本質的関係するものとして携わる限り、中足指節関節の関節固定術が正しく施されることは、非常に重要である。何か次に起きる問題点を避けるために、できるだけ正確に行なわれるように方向付けて２つの骨が溶かされる前に相互に関連して正しく配置されることが本質的であると、理解されるべきであろう。
【０００５】
したがって、できるだけ患者の癖や軸と適合するように、また、患者の性別、歩行及び形態学の働きを基にしてなされるように、複数の骨の軸が相互に関連して固定されることが本質的である。
【０００６】
現在まで、中足指節関節の関節固定術は、様々な形の固定プレートを使用して施されたり、共に溶かされた２つの骨の各々にプレートを固定するための固定ねじを受け入れる通孔が設けられていた。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
このような、例として、複数の固定プレートが、外科医が共に溶かされる骨間の関節を横切って配置するような横断面湾曲した「４分の１管」が存在していることは公知である。この公知のプレートは、外科医によって決定されかつ当該患者特有のものとされた値を持つ足指などの背屈面で、ある角度となるように外科医により曲げられる。一旦関節に固定されると、この種プレートは、関節固定術が施される２つの骨の１つに立って特定の方向付けを授けることができる。これは、関節がその関節にとって正常な使用の状態に近い状態で固定された時から、患者に対し利便性をもたらし、これにより患者に対する困難さを減少させる一方、歩行や将来の合併症の可能性を減じる。しかし、この種類の固定プレートは、様々な不利益で悩みがあり、特に、固定プレートは外科医にとって曲げることが難しい。加えて、曲げが充分な精度で実行されないとか、その曲げが鋭利となりうる端部に表れるプレートの変形ゾーンを上昇させると、それが、例えば腱、筋肉、リガメント、皮膚などのような近隣の組織に接し、刺激や炎症を発生させることも起きる。また、この種類のプレートは、内反−外反の角での曲げには不適当であるが、これは、プレートが、患者に次に起きる問題や合併症という何らかの危険の最も大きな可能性を減じるために、共に溶かされる２つの骨の間で、最適な幾何学的な方向付けの状態に十分に近づくことになる関節固定術を施すことができないことを意味する。
【０００８】
また、完全に平面な固定プレートは、公知であるが、それらを設ける手術により患者に対し合併症の危険を大きく減じるけれども、該プレートは、骨が特定の足指等の背屈や内反−外反の角があらわれるように関節固定術を施すことはできない。
【０００９】
一般に、外科医によって曲げられる固定プレートは、各プレートのタイプで特殊に使用される特殊な曲げ工具を必要とし、それによって、なお一層の面倒さを構成することがある。また、曲げられた固定プレートが曲げゾーンの金属の弱体化で悩み、強さに関して不利益となることがある。さらに、固定ねじを挿通するために、プレートを挿通する必要な開口を設けることは、この開口の存在のためにプレートの曲げ操作を難しくする。
【００１０】
従って、本発明の目的は、上述した種々の欠点を解消し、関節の骨、特に、中足指節関節を固定する新規なプレートを提供し、良好な状態で２つの骨間に関節固定術を施す一方、共に溶かされる２つの骨の相対的な方向付けが素晴らしい精度で決定されることを確実にすることにある。
【００１１】
本発明の他の目的は、プレートの位置設定や正確な幾何学的な方向付けの求めを行い易くさせる関節の骨を固定する新規なプレートを提供することにある。
【００１２】
本発明の他の目的は、プレートの改良された配置で関節の骨を固定する新規なプレートを提供することである。
【００１３】
本発明の他の目的は、共に溶かされる骨の解剖に良く適応する、関節の骨を固定する新規なプレートを提供することである。
【００１４】
本発明の別の目的は、種々可能な解剖形態に適用されるように適切にされた関節の骨を固定する新規なプレートを提供することである。
【００１５】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、関節の骨を固定するためのプレート、特に、中足指節関節に骨関節固定術を施すためのプレートにより達成されるが、
該プレートは、基部分と遠位部分という２つの部分を有し、各部分はそれぞれの長手方向の対称軸Ｓ₁，Ｓ₂を備えており、関節を横切って配置されるように構成され、前記対称軸Ｓ₁とＳ₂は、共に溶かされる２つの骨の長手軸線と平行でかつ整合し、遠位部分の対称軸Ｓ₂の水平面での延長部は、基部分の対称軸Ｓ₁の延長部に対し角αで傾斜し、前記両延長部は点Ａ₁で交差し、対称軸Ｓ₂の直立面での延長部は、対称軸Ｓ₁の延長部に対し傾斜角βのであり、両延長部は、点Ａ₁とは別の点Ａ₂で交差し、遠位部分は、基部分から離間した第１の長さＬ₁を越えて伸延する一方、基部分と同じ平面Ｐ₁を保持していることを特徴とする。
【００１６】
【発明の実施の形態】
本発明の目的及び他の利点は、提供される添付の図面を参照しつつ、限定されるべきでない説明である、以下の詳細な説明より明らかになる。
【００１７】
図１〜３は、中足骨Ｍと指骨Ｐ間に関節固定術を施すために、中足指節関節の所定の位置に固定した固定プレート１を示す。
【００１８】
しかし、本発明で意味するところの本発明の固定プレート１は、何か他の関節、特に手の手術を行なう場合の手の関節、に関節固定術を施すための解剖学的な形とサイズで使われてもよい。
【００１９】
本発明の固定プレート１は、断面平面状の細長い体形で、例えば、金属で作られており、強靱なサポートと、共に溶かされる関節の複数の骨間の接合とを提供するために充分な剛性を有している。
【００２０】
本発明によれば、固定プレート１は、それぞれ基部分と遠位部分という２つの部分２，３を有し、各部分は、それぞれＳ₁、Ｓ₂で示されるそれ自身の長手方向の対称な軸線を備えている。
【００２１】
このような各部分２，３は、一般的言えば、数ｍｍの厚さと、幅lより長い長さＬを有する本体として考られ、略直角の平行六面体である幾何学的な形である。
【００２２】
該プレート１は、中足骨Ｍと指骨Ｐという２つの骨片間に関節固定術を施すために、基部分２が、中足骨Ｍ上に配置されかつ固定され、一方、遠位部分３が、指骨Ｐ上に配置されかつ固定され、平行でかつ骨の対称な長手軸線と整合する対称軸Ｓ₁とＳ₂を備え、関節を横切って配置される。
【００２３】
一般的な方法であるが、固定は、ねじ（図示せず）によって行なわれ、外科医が固定プレート１、特に固定ねじを通過するために各部分２、３に形成された一連の通孔４を挿通して骨にねじ込む。
【００２４】
これら図に示すように、基部分２は、遠位部分３より長い方が有利であるが、厚さと幅は、同じとされている。その理由は、基部分２がより長いと、より多くの通孔４を有する利点がある、例えば、遠位部分３が２つの通孔４を有するとき、基部分２は３つの通孔４を有し、その通孔は、例えば、丸または長方形といった適切な形を有することができる。
【００２５】
一方、基部分２及び遠位部分３は、同じ長さとしてもよい。いずれにしても、基部分２及び遠位部分３は、近接しており、単一の部材で形成されている。
【００２６】
この寸法の特徴は、共に溶かされる骨の解剖に、よりよく適応する固定プレートを可能にし、該プレートの支持能力及び保持能力を改良する。
【００２７】
２つの部分２及び３は、平面的でかつ直線的であることが好ましいが、基部分２と遠位部分３の断面は、ある特定の解剖形状により良くフィットするように、ある程度同じように曲がってもよい。
【００２８】
重要な本発明の特徴は、特に図２に示すように、対称軸Ｓ₁及びＳ₂は、互いに整合状態ではないが、２つの部分が水平面に対しそれぞれ傾斜するように、ある傾斜角を有していることである。このように、本発明によれば、水平面での遠位部分３の対称軸Ｓ₂の延長部が、基部分２の対称軸Ｓ₁の延長部に対し傾斜角αを有し、これらの延長部が点Ａ₁で交差している。
【００２９】
この特徴は、プレート１の対称軸Ｓ₁，Ｓ₂が共に溶かされる２つの骨片Ｍ及びＰの長手軸線と正確に平行になるように外科医によって取り付けられることになり、中指骨に対する指骨の正確な及び予め設定された内反−外反の角を与えることができる。
【００３０】
本発明によれば、この傾斜角αは、５°〜２０°の範囲であり、好ましくは約１０°である。基部分２と遠位部分３の間の傾斜角αは、本発明の固定プレート１に対し固定され特定された値であることが特徴で、周知技術のように、手術中、外科医がプレートを曲げる必要性を回避する。遠位部分３は、基部分２に対し左または右に傾斜することが可能である。
【００３１】
本発明の重要な他の特徴によれば、固定プレート１は、対称軸Ｓ₂の直立面（図３）での延長部が対称軸Ｓ₁の延長部に対して、傾斜角βを有し、これら延長部は、点Ａ₁とは別の点Ａ₂で交差している。
【００３２】
この重要な本発明の特徴によれば、特に図１及び３に示すように、基部分２として同じ平面上では遠位部分３は第１の長さＬ₁だけ延長され、基部分２から離れて延び、前記第１の長さＬ₁は、第２の長さＬ₂を延長し、この第２の長さＬ₂は、前記平面Ｐ₁と角βで特定される平面Ｐ₂を延長する。角βは、指骨Ｐに正確な及び予め設定された足指等の背屈角を与えることを可能にする。
【００３３】
この特徴によれば、長さＬ₁及びＬ₂の合計は、２つの部分２及び３間で方向の変化を示す傾斜線Ａ（図１）から始まっている遠位部分３の身丈に対応する。このように、基部分２及び遠位部分３は、接続ゾーンなしで一緒に直接に接続され、それらの接続を形成している単一半径の湾曲に対する接線である。
【００３４】
この特徴により、本発明の固定プレートは、２つの異なった傾斜を有し、線Ａに対応する水平面において、足指等の背屈角に対する角αとしてのものと、線Ｂに対し、足指等の背屈角に対する角βに対応する他のものとであり、プレートの２つの傾斜ゾーンは、一致していないが、傾斜角Ｂの変化が線Ａに関して遠位にある位置に位置するように、相互にオフセットされている。
【００３５】
好ましくは、角βが５〜２０°の範囲、好ましくは約１０°である。この角βは、手術中か前かに外科医により変更できる。
【００３６】
この配置は、固定プレート１と、共に溶かされる種々の骨部と間のより良いマッチングを得ることを可能にさせるが、これは、遠位部分３の端部の長さＬ₂だけが、水平面に対するものと直立面に対するものという２つの傾斜角を示し、遠位部分の他の部分の角度が水平面に対する傾斜角だけを示すからである。
【００３７】
本発明の特に有利な特徴によれば、固定プレート１は、中間の固定通孔５が設けられていることである。中間の固定通孔５は傾斜角線Ａ上の対称軸Ｓ₁及びＳ₂の交点にあり、それは点Ａ₁に対応することが好ましい。この通孔は、外科医に通孔４を介して固定ねじを設ける前にピンによって、中足骨Ｍのヘッドの中心Ｃで一時的に一致するように固定プレート１の固定を可能にする。
【００３８】
本発明の固定プレートは、次のように設置される。
【００３９】
溶かされるべき関節の上を切開した後に、外科医は、関節に存在する関節固定部分を外すために関節の面をミリングまたは切断する。この後、外科医は、相互に関連する位置に共に溶かされる２つの骨を組み、骨Ｍ及びＰの上面に本発明の固定プレート１を配置する。
【００４０】
この位置決めは、固定プレート１の対称軸Ｓ₁とＳ₂が厳密に平行であり、共に溶かされる２つの骨片ＭとＰの長手軸線と整合していることを確かめると共に注意して行なわれなければならない。また、外科医は、プレートと骨の部分との間が最も良好な密着状態となるように中間の固定通孔５が中足骨Ｍの頭部の中心Ｃと実質的に一致するという手法で、基部分２の位置決めを注意しなければならない。
【００４１】
角度が固定されかつ予め設定された本発明固定プレートの２つの自然な傾斜角により、要求された幾何学的な形状に骨を適切に固定することが自然に実行される。
【００４２】
このように本発明の固定プレートは、厳密でかつ予め設定された幾何学的な形状に関節骨の固定術を施すことが簡単に、素早くかつ正確にできる。
【００４３】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、関節の骨、特に、中足指節関節を固定するプレートは、良好な状態で２つの骨間に関節固定術を施す一方、共に溶かされる２つの骨の相対的な方向付けが素晴らしい精度での決定を確実にでき、プレートの位置設定や正確な幾何学的な方向付けの求めを行い易く、共に溶かされる骨の解剖に良く適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 関節固定術を施す関節の骨を固定するプレートを示す斜視図で、プレートが中足指節関節上の位置に設置されている。
【図２】 関節の複数の骨を共に固定する本発明の左に曲げたプレートを示す水平面に対応する平面図である。
【図３】 関節の骨を共に固定する本発明のプレートを示す直立面に対応する部分側面図である。
【符号の説明】
１…プレート、
２…基部分、
３…遠位部分、
４…通孔、
５…通孔、
Ａ₁，Ａ₂…交差、
Ｌ₁，Ｌ₂…長さ、
Ｓ₁，Ｓ₂…対称軸、
α，β…傾斜角。

Claims (9)

1. 関節の骨を固定するためのプレート(1)、特に、中足指節関節に骨関節固定術を施すためのプレート(1)であり、
   該プレート(1)は、基部分(2)と遠位部分(3)という２つの部分(2，3)を有し、各部分はそれぞれの長手方向の対称軸（Ｓ₁，Ｓ₂）を備えており、関節を横切って配置されるように構成され、前記対称軸（Ｓ₁，Ｓ₂）は、共に溶かされる２つの骨の長手軸線と平行でかつ整合し、遠位部分(3)の対称軸（Ｓ₂）の水平面での延長部は、基部分(2)の対称軸（Ｓ₁）の延長部に対し角αで傾斜し、前記両延長部は点Ａ₁で交差し、
   対称軸（Ｓ₂）の直立面での延長部は、対称軸（Ｓ₁）の延長部に対し傾斜角βであり、両延長部は、点Ａ₁とは別の点Ａ₂で交差し、遠位部分(3)は、基部分(2)から離間した第１の長さＬ₁を越えて伸延する一方、基部分(2)と同じ平面Ｐ₁を保持していることを特徴とするプレート(1)。
2. 前記プレートは、固定ねじが通過する固定通孔(5)を有し、該通孔(5)は前記対称軸（Ｓ₁）と（Ｓ₂）の交点に位置していることを特徴とする請求項１に記載のプレート。
3. 前記傾斜角αは、５°〜２０°の範囲であり、前記角βは、５°〜２０°の範囲であることを特徴とする請求項１又は２に記載のプレート。
4. 前記傾斜角αは、略１０°であり、傾斜角βは、略１０°であることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載のプレート。
5. 前記固定ねじを挿通するための通孔(4)を有することを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載のプレート。
6. 前記基部分(2)は、遠位部分(3)より長いことを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載のプレート。
7. 遠位部分及び基部分(3，2)が、同じ長さであることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載のプレート。
8. 遠位部分及び基部分(3，2)は、平面であることを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載のプレート。
9. 遠位部分(3)が基部分(2)に対し左または右に回転されたことを特徴とする請求項１〜８のいずれか１つに記載のプレート。

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