JP4200863B2 - 走行速度パターン推定装置、及びハイブリッド車両の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
このハイブリッド車両における、エンジンの燃焼消費量を低減する技術が特許文献1で提案されている。
しかし、発進、停止予測地点で走行経路を分割すると、走行予測という観点からは次のような問題がある。
(1)交差点等の発進、停止予測地点は、車両の走行制御からすると束縛、制約要素であり、走行状態が様々に変動する地点である。
すなわち、交差点等は、青信号であればそのまま通過、赤であれば手前で停止し、発進途中で通過する地点である。また、発進しても右左折時に歩行横断者がいれば一旦停止後、再発進することがある。渋滞があれば停止位置が交差点から離れる場合がある。さらに、交差点の手前で数回の停止をし、発進後に通過する場合がある。
(2)走行速度パターンを予測する場合に、各区間毎に区切って走行データを解析する必要性があるが、各区間両端の走行状態が様々に変動することになり解析処理が複雑化する。例えば、分割区間の始点、終点の各々に対して、通過、停止、発進途中が考えられるので、その組み合わせの場合を考える必要が生じる。
(3)また、解析・分類が出来たとして走行予測をする場合に、前後の隣接区間との予測を接続する際に互いに関連付ける必要があり、区間毎に独立して解析することができない。このため、走行経路に複数の区間を考えればその組み合わせは膨大な数になる。
また、エンジンとモータの運転スケジュールを容易に設定することが可能なハイブリッド車両の駆動制御装置を提供することを第2の目的とする。
請求項2記載の発明では、前記走行経路特定手段は、前記走行データに基づいて車両が頻繁に走行する経路を頻発経路として特定することを特徴とする請求項1記載の走行速度パターン推定装置を提供する。
請求項3記載の発明では、前記走行情報記憶手段は、走行経路に対する走行データ及び走行環境データを相互に対応付けて記憶し、前記推定走行速度パターン出力手段は、現在の走行環境データに合致する走行速度パターン候補を前記小区間毎に抽出して、これから走行する前記特定された走行経路の推定走行速度パターンを出力する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行速度パターン推定装置を提供する。
請求項4記載の発明では、駆動力の一部又は全部が車両の駆動又は発電に使用されるエンジンと、車両の駆動力を発生させるモータとを備え、前記エンジンとモータの少なくとも一方の駆動力により走行するハイブリッド車両であって、前記エンジンの駆動による発電及び回生により充電され、前記モータに電力を供給する蓄電手段と、前記蓄電手段の蓄電量を検出する蓄電量検出手段と、請求項1から請求項3のうちのいずれか1の請求項に記載した前記走行速度パターン推定装置と、前記走行速度パターン推定装置で出力した前記特定された経路の推定走行速度パターンと、前記蓄電手段の蓄電量とに基づいて、前記特定された経路における燃料消費量が最少となるように、前記エンジンと前記モータの運転スケジュールを設定する運転スケジュール設定手段と、を具備することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置を提供する。
また、請求項4に記載した本願発明によれば、走行の安定が予想される走行安定地点で分割した特定された走行経路に対する推定走行速度パターンを使用するので、エンジンとモータの運転スケジュールを容易に設定することができる。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、走行経路に対する走行データと走行環境データを相互に対応付けて記憶し、所定回数以上走行した経路を頻発経路として特定する。「頻発経路」とは通勤路のように運転者が良く利用する経路のことであり、このように過去の走行データから「頻発経路」を自動的に特定することで、利用者は何ら操作をすることなしに「頻発経路」すなわち良く利用する経路が特定され、以下説明するようにその特定された経路の特徴に合わせたモータ、エンジンの運転スケジュールが設定され、燃費効果の高い走行が実現される。
特定した頻発経路は、走行が安定すると想定される地点を走行データから特定して複数の小区間に分割し、各小区間毎に走行速度パターン候補を作成する。そして、現在の走行環境データに合致する走行速度パターン候補を各小区間毎に抽出することで、これから走行する頻発経路の推定走行速度パターンを出力する。
ここで、「走行の安定」とは、所定車速以上が所定時間若しくは所定距離以上継続すること、又は、速度変動範囲が所定範囲内で所定時間若しくは所定距離以上継続することをいう。
本実施形態では、走行の安定が想定される地点として、所定車速以上が所定時間以上継続して走行した区間を含む交差点間の中間地点を採用し、この走行安定地点で頻発経路を分割する。
このように、走行状態が不定である交差点で分割せずに、走行安定地点で分割しているので、分割した各小区間の両端の走行状態が安定する。その結果、小区間両端の条件を揃えた状態で考えることができ、前後の区間の走行状態の影響を考える必要が無くなり、各小区間だけを独立して解析することが可能になる。
小区間内の中間交差点近傍の走行状態変化がパターンとして把握でき、分類がしやすくなる。
また、走行ルートに沿った複数の連続した区間で、それぞれ独立に分析し独立に予測し、その結果を制約なしに接続することが出来る。
図1は本発明の実施の形態における走行速度パターン推定装置、及びハイブリッド車両の駆動制御装置が適用されるハイブリッド車両の駆動制御システムの構成を示す概念図である。
図1において、10は本実施の形態における走行速度パターン推定装置としてのハイブリッド車両の駆動制御システムであり、20は駆動装置である。ここで、21はガソリン、軽油等の燃料によって駆動される内燃機関等のエンジンであり、図示されないECU等のエンジン制御装置を備え、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源として使用される。そして、エンジン21の駆動力は、図示されない変速機(多段変速機又は無段変速機)、駆動軸、駆動輪等を備える駆動力伝達装置25に伝達され、駆動輪が回転することによって車両が駆動される。なお、駆動力伝達装置25にはドラムブレーキ、ディスクブレーキ等の制動装置を配設することもできる。
本実施形態におけるハイブリッド車両では、エンジン21の駆動力の一部を駆動用に出力し、駆動力の残りで発電機22の駆動に使用して発電するようにしてもよい。そのための構成として、例えば、プラネタリギヤを使用し、エンジン21、発電機22、モータ24の各軸を連結することで実現される。
また、駆動力伝達装置25には、交流発電機等の発電機22が接続され、車両の減速運転時に回生電流を発生するようになっている。そして、発電機22が発生した回生電流はバッテリ23に供給され、該バッテリ23が充電される。また、エンジン21の駆動力によって発電機22に電流を発生させることもできる。なお、モータ24は交流モータであることが望ましく、この場合、図示されないインバータを備える。同様に、発電機22も交流発電機であることが望ましく、この場合、図示されないインバータを備える。さらに、バッテリ23は、蓄電量であるSOC(State Of Charge)を検出するための図示されない容量検出センサを備える。この容量検出センサは、蓄電量検出手段として機能する。
また、発電機22はエンジン21の駆動力による発電を行い、車両の減速運転時における回生電力の発生をモータ24で行うようにしてもよい。
そして、走行パターン予測部11は、図示されないCPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ(ROM、RAM等)、磁気ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータであり、ナビゲーションデータベース12,走行データ取得部13及び走行環境データ取得部14からデータを取得し、車両の現在位置の表示、目的地までの経路探索等のナビゲーション処理を実行する。
また、走行パターン予測部11は、安定走行地点に基づく分割点設定処理、頻発経路の分割化処理を含む、運転者の運転特性を反映した走行速度パターンを推定する走行速度パターン推定処理を実行する。
なお、走行パターン予測部11は、図示されない操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー、リモートコントローラ等を備える入力部、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスのホログラムを投影するホログラム装置等を備える表示部、マイクロホン等によって構成される音声入力部、音声合成装置、スピーカ等を備える音声出力部、及び、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話網等との間で各種データの送受信を行う通信部を有することが望ましい。
走行速度パターン候補機億部16には、後述される過去の走行データから生成される走行速度パターンが記憶される。
本実施形態では、走行データ記憶部15が走行情報記憶手段として機能し、走行経路に対する走行データを記憶する。また走行データ記憶部15は、走行環境データを走行データに対応付けて記憶する。
走行パターン予測部11は、頻発経路特定手段、区間分割手段、走行速度パターン候補生成手段、及び推定走行速度パターン出力手段として機能する。
走行パターン予測部11は、頻発経路特定手段として機能する場合、走行データに基づいて頻発経路を特定し、区間分割手段として機能する場合、走行データに基づいて走行の安定が想定される走行安定地点で前記頻発経路を小区間に分割する。また、走行速度パターン候補生成手段として機能する場合、走行データに基づいて走行速度パターン候補を生成し、推定走行速度パターン出力手段として機能する場合、現在の走行環境データに合致する走行速度パターン候補を抽出して、これから走行する経路の推定走行速度パターンを出力する。
メイン制御部26が運転スケジュール設定手段として機能し、頻発経路の推定走行速度パターンと、蓄電手段の蓄電量とに基づいて、頻発経路における燃料消費量が最少となるように、エンジンとモータの運転スケジュールを設定する。
図2は、分割化処理を説明するための走行ルートを例示したものである。
なお、図2に示した走行ルートは、自宅から勤務先まで、一般的な通勤者の走行時に遭遇するであろう状況を想定し、ある日の走行状態を簡略的に表したものである。
図2に示すように、出発点の自宅をP0とし、走行経路に存在する各交差点をそれぞれP1〜P7とし、到着地点(目的地)の勤務先をP8とする。
そして、以下のような走行が行われたものとする。
(a)P0−P3間
自宅P0を出発して、住宅地を走り、交差点P3で幹線道路に抜ける。P0〜P3までは、殆どの場合は狭い、見通しの悪い路地で、通学する児童や、出勤する車が車庫から出てくる等があり、停止・発進を繰り返し低速で走行する。
(b)P3−P5間
郊外の幹線道路を比較的順調に走る。この日はP4の信号の繋がりが良く、走り抜けることができたが、交差点P5手前は相変わらずの渋滞で、信号待ち4回の停止をした。
(c)P5−P6間
途中順調に走行するが、交差点P6の信号は相変わらず、必ず停止することになる。
(d)P6−P8
交差点P6を抜ければ、次の交差点P7の信号は前の信号と連動しているので、殆どの場合に停止することなく、勤務先P8に到着するが、出勤車が集中し駐車場入口が混雑する。
この図3を参照して、本実施形態における走行安定区間と区間分割点の設定について説明する。
本実施形態では、走行状態が比較的安定する走行安定地点で区間分割点を設定し、この分割点に基づいて以後の走行解析を行うことが重要になる。そこで、本実施形態では、同一の走行経路に対して次回以降の走行で走行パターンが多少変動した場合でも変更しないことが、解析を複雑化させないためにも必要である。このような前提で走行解析を行い、日にちや曜日、出発時刻、天候等々の要因について走行パターンへの影響度等を分析できることになる。
本実施形態では、走行安定区間で分割するため、走行経路における走行安定区間を選定する。
走行安定区間の選定条件である走行安定条件は、「所定車速Vb以上で、所定時間Tb(又は所定距離Lb)以上連続走行した場合」である。
なお、本実施形態における所定車速Vbは時速40kmであるが、50km等の他の速度でもよく、また、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。また、予め設定されている走行地域(住宅地、郊外等)や、道路の種別(一般道、高速道路等)に応じて車速Vbを変更するようにしてもよい。
また、走行安定区間を「速度変動範囲が所定範囲内で所定時間以上、又は所定距離以上継続する区間」とすることも可能である。
このうち、所定時間tb以上連続してVbを超える区間t23、t35、t56、t68が走行安定区間に該当する。
図3はある日の走行例であり、通勤走行のように日常同じルートを、ほぼ同じ時間帯に長期間に渡り繰り返し走行する場合は、ほぼ同じ走行パターンながら、毎日走れば少しずつ違いがあり、バラつくのが自然である。例えば、図3の例では交差点P4交差点をVb以上で走り抜けているが、日によっては停止することもあり、交差点P3も日によっては信号に掛からずに、通過できる。一方、交差点P1,P2は一旦停止交差点なので毎日ほぼ同じ走行パターンになる。
以上の点を考慮して、本実施形態では、選定した走行安定区間内に交差点がある場合は、走行安定区間を交差点で区切って表示している。
交差点P0−P1間は車速条件Vb以上を満たさず、P1−P2間は一時的に車速条件を満たすものの、時間条件Tb以下であるため、分割点設定条件を満たさない。すなわち、P0−P1間とP1−P2間は、走行安定区間ではないため、この間には分割点は設定しない。
一方、交差点P2−P3間では、走行安定条件(車速、時間条件)を満たすことになる。そこで、その走行安定区間t23を含む交差点P2と交差点P3との中間点を区間分割点(走行安定地点)PD23とする。
しかし、上述したように、日によってはP4に信号で停止したり、時には渋滞があり停止・発進を繰り返す場合もある。
そこでTbより大きな新たな閾値Tbb(Tbb>Tb)を設け、走行安定区間t35内の交差点P4までの時間t34がTbb以上である場合は、仮に交差点P4で停止した場合でも走行安定時間がTbとほぼ同じ時間か大きく下回ることが無いように設定する。
例えば、図3の走行パターンの場合、走行安定区間t35を交差点P4で区切った場合の、区間t34がt34≧Tbbであるので、交差点P3と交差点P4の中間に区間分割点PD34を設定する。
同様に、走行安定区間t35を交差点P4で区切った場合の、区間t45がt45≧Tbbなので、交差点P4と交差点P5の中間に区間分割点PD45を設ける。
交差点P6−P8間には、走行安定区間t68が存在し、走行安定区間t68には交差点P7が存在する。そこで、走行安定区間t35と同様に、走行安定区間t68を交差点P7で区分する。この場合、交差点P6−P7間の区間T67は、交差点P7を停止することなく通り抜けた場合であっても、t67<Tb(t67<Tbb)なので、分割点を設定しない。
一方、交差点P7で区分した、区分t78はt78≧Tbbなので、交差点P7とP8の中間に区間分割点PD68を設定する。
本実施形態では、走行経路について初回走行時の後に区間分割点を設定する。
図4は、分割点設定処理の処理動作を表したフローチャートである。
まず、走行パターン予測部11は、分割化に必要なRAMのエリア確保等の初期設定を行う(ステップ50)。
そして、走行パターン予測部11は、走行した走行経路が走行第1回目か否かを判断し(ステップ51)、第2回目以降である場合(;N)には処理を終了する。
一方、第1回目の走行である場合(ステップ51;Y)、走行パターン予測部11は、走行時に走行データ取得部13で取得し、走行終了後に走行データ記憶部15に格納するためにRAMに格納されている走行データを取得する(ステップ52)。すなわち、走行パターン予測部11は、RAMに格納されている出発地から目的地まで、所定間隔(距離、時間等)毎に検出した車両現在位置とその位置での走行速度等を含む走行データを取得する。なお、本実施形態では、初回の走行経路に対して分割点設定処理を行うため、走行データがRAMに格納されている。そこで、RAMから走行データを取得するが、走行データ記憶部15から取得するようにしてもよい。
また、走行パターン予測部11は、走行経路を特定するデータと、その走行経路に対する分割点を格納するための分割点格納エリアをRAMに確保し、出発地点を分割点PD0に、目的地を分割点PDNに設定し、RAMに格納する(ステップ54)。ここで、Nの値は、出発地と目的地(到着地点)との間に存在する交差点数をPとした場合、Pに出発地と目的地(到着地点)の数2を加えた値で、N=P+2である。また、走行経路を特定するデータとして、出発点、走行経路上に存在する交差点データ(本実施形態では交差点番号であるが、座標値でもよい)、及び到着点の各地点データ列とする。この地点データ列を比較することで、走行した経路が、初めての経路か、以前走行した経路かを判断することができる。なお、出発点と到着点の地点データとしては、目的地や出発地としてナビゲーションDB12に登録されている場合(自宅や会社のようにユーザが個人的に地点登録した場合の地点データも含む)にはその地点データを使用し、登録されていない場合には座標値が使用される。
車速Vb以上での走行区間が存在しない場合(ステップ55;N)、nに1を加えて(ステップ58)、ステップ55に戻り、次の交差点区間について判断する。図3の例では、交差点P0−P1間が該当する。
車速Vb以上での連続走行時間が所定時間Tb未満である場合(ステップ57;N)、例えば図3における交差点P1−P2間の区間t12、交差点P6−P7間の区間t67が該当し、この場合走行安定条件を満たしていないので、ステップ56に移行し次の区間について判断する。
交差点P(n+1)での車速vがVb以上でない場合(ステップ58;N)、交差点P(n+1)は走行安定区間内の交差点ではないので、交差点Pnと交差点P(n+1)間の中間点を区間分割点PDn(n+1)として設定し、区間分割点PDn(n+1)の座標(緯度、経度)を、RAMに確保した分割点格納エリアに格納する(ステップ59)。図3の例示では、交差点P2−P3間(走行安定区間t23が存在)の中間地点に設定した分割点PD23、交差点P4−P5間に設定した分割点PD45が該当する。
tn(n+1)≧Tbbである場合(ステップ60;Y)、仮に交差点Pn(n+1)で停止した場合でも走行安定時間がTbにほぼ同じ時間か大きく下回ることが無いので、走行パターン予測部11は、ステップ59に移行する。すなわち、走行パターン予測部11は、交差点PnとP(n+1)間の中間点を区間分割点PDn(n+1)として設定し、区間分割点PDn(n+1)の座標(緯度、経度)を、RAMに確保した分割点格納エリアに格納する。図3の例示では、交差点P3−P4間(走行安定区間t35のうちの区間t34≧Tbbが存在)の中間地点に設定した分割点PD34が該当する。
一方、n≧(N−1)である場合(ステップ61;Y)、到着点PNまでの各交差点間の分割点設定の可否が終了しているので、走行パターン予測部11は、RAMの分割点格納エリアに格納した、分割点データと、分割した走行経路の走行経路特定データ(出発点、走行経路上に存在する交差点、到着点を特定する各地点データからなるデータ列)を対応させて、分割点記憶部17に格納して(ステップ62)、分割点設定処理を終了する。
その結果、分割した小区間両端の条件を揃えた状態で考えれば前後の区間の走行状態の影響を考える必要が無くなり、各小区間だけを独立に解析することが可能となる。
また、分割点で分割した小間内の中間交差点近傍の走行状態変化がパターンとして把握でき、分類がしやすくなる。
さらに、走行経路に沿った複数の連続した小区間に対してそれぞれ走行速度パターン等を独立に分析と予測をし、その結果を制約なしに接続することができる。
図5は本発明の実施の形態における走行速度パターン推定装置の全体的な動作を示すフローチャートである。
この場合、走行パターン予測部11は、車両の1回の走行における走行データと走行環境データとを相互の対応付けてRAMの所定エリアに格納し、車両の1回の走行が終了した時点で、RAMに格納した走行データと走行環境データとを走行データ記憶部15に記憶させる。なお、車両の1回の走行とは、一旦(たん)車両が始動してから停止するまで、すなわち、駆動装置20が始動してから停止するまでの走行である。
そして、走行パターン予測部11は、読み出した分割点データにより、頻発経路を複数の小区分に分割し、各小区間における過去の走行データを通常複数の分類に分類分けし、分類分けされた走行データに基づいて各分類毎に代表的な走行速度パターンを生成して、走行速度パターン候補とする。そのため、各小区間毎に通常複数の走行速度パターン候補が生成される。なお、単一の分類しか該当せず、単一の走行速度パターン候補だけが生成される小区間も存在し得る。
図6は本発明の実施の形態における頻発経路特定処理の動作を示すフローチャートである。
なお、本実施形態では10回の走行で頻発経路に登録するが、頻発経路に該当するための登録条件として他の回数15回、20回等の他の回数でもよく、また、ユーザが変更可能な任意のn回(デフォルト値は、例えば10回)としてもよい。
図7(A)は本実施形態における頻発経路を複数の小区間に分割する例を示す図、図7(B)は本実施形態における小区間の走行データの例を示す図、図8は本実施形態における分類分けされた各小区間の走行データの例を示す図、図9は本実施形態における分類分けされた小区間の代表走行速度パターンの例を示す図、図10は本発明の実施の形態における頻発経路のすべての小区間についての走行データの分類分けの例を示す図、図11は本発明の実施の形態における走行速度パターン候補生成処理の動作を示すフローチャートである。
また、走行パターン予測部11は、頻発経路(走行経路)に対して上述した分割点設定処理(図4参照)において設定されている分割点データを分割点記憶部17から取得し、分割点毎に頻発経路を複数の小区分に分割する(ステップS3−2)。
そこで走行パターン予測部11は、頻発経路は、図7(A)に例示されるように、各分割点毎に複数、例えば、4つの小区間A〜Dに分割する。
なお、図におけるSは頻発経路の始点であり、Gは頻発経路の終点である。また、小区間Bに対応する分割された走行データは、例えば、図7(B)に示されるようになっている。図7(B)において、横軸は小区間Bの始点からの距離、縦軸は各距離における速度(車速)であり、各曲線は、それぞれの走行データに対応する走行速度パターンを示している。
この場合、図7(B)に示される各曲線について小区間B全体での平均走行速度としての区間全体平均走行速度を算出し、該区間全体平均走行速度に基づいて、k平均法と呼ばれるクラスタリング手法を使用して分類分けすると、図8(A)〜(C)に示されるような分類B−1、分類B−2及び分類B−3に分けられる。図8(A)〜(C)から、区間全体平均走行速度に基づいて分類分けされた各集合における走行データは、概ね似た走行速度パターンを有することが分かる。
図9において、横軸は小区間Bの始点からの距離、縦軸は各距離における速度であり、各線は、代表走行速度パターンを示している。該代表走行速度パターンは、各地点における走行データに対応する走行速度を単純平均して地点平均走行速度を算出し、該地点平均走行速度を小区間Bの始点から終点まで連続するように繋げたものである。
(1)まず、任意にいくつかの走行データを選択する。
(2)続いて、選択された走行データのそれぞれに関し、
(2−1)小区間の始点から終点までの範囲における各地点での、選択された走行データと他の走行データとの速度の差の二乗(すなわち二乗誤差)を算出する。
(2−2)各地点での二乗誤差が所定範囲である場合、他の走行データを、選択された走行データと同じ集合に属するものと判断する。
以降、(1)及び(2)の動作を各小区間毎に繰り返して行う。
図12は本発明の実施の形態のおける頻発経路のすべての小区間についての走行データ推定の例を示す図、図13は本発明の実施の形態のおける走行速度パターン推定処理の動作を示すフローチャートである。
そのため、現在の走行環境データに合致する適切な推定走行速度パターンを出力することができる。ここで、現在の走行環境データに合致する推定走行速度パターンとは、現在の走行環境データに合致する走行データが最も多く属する集合の走行速度パターン候補である。
図14は本実施形態において設定されたスケジュールの例を示す第1の図、図15は本実施形態において設定されたスケジュールの例を示す第2の図、図16は本発明の実施の形態におけるスケジューリング処理の動作を示すフローチャートである。
そこで、メイン制御装置26は、SOC管理幅の上限値又は下限値を調整し、管理幅を必要に応じて広げることによって、SOCが過放電、過充電とならないようにしつつ、回生電流を十分にバッテリ23に回収して、燃料消費量を十分に低減することができるように、効率の良い運転スケジュールを設定する(ステップS14)。すなわち、推定走行速度パターンに基づいて、エンジン21の燃料消費量が最小となる運転スケジュールを設定する。
さらに、従来制御のSOCの管理幅の上限値又は下限値を調整しない場合、SOCは図14(b)に示されるように変化する。すなわち、渋滞区間におけるモータ24による走行距離が長く、電流の消費量が多いので、SOCが下限値を割り込まないようにするために、Aで示されるように、エンジン21を作動させて発電機22に発電を行わせる発電走行を行う必要がある。そのため、燃料消費量を十分に低減することができない。また、渋滞区間を過ぎるとすぐに目的地に到着するので、十分に発電を行うことができず、目的地におけるSOCを出発地におけるSOCと等しい値とすることもできない。
例えば、SOCは図14(c)に示されるように変化させることができる。この場合、渋滞区間の手前の区間に安定走行区間や、また図14のE区間、F区間のように大きな減速が推定されて回生電流を発生する回生区間があることが、推定速度パターンの減速箇所や、ナビゲーションDB12における道路データの勾配から検出される場合には、該走行安定区間や回生区間においてバッテリ23に十分に充電しておくことができる。これにより、渋滞区間におけるモータ24による走行距離が長く、電流の消費量が多くても、図14(c)のBで示されるように、エンジン21を作動させることなく、SOCを適切な値に保つことができる。そのため、燃料消費量を十分意低減することができる。そして、目的地におけるSOCを出発地におけるSOCと等しい値とすることもできる。さらに図14(c)のようにSOC管理幅を拡大した後に前述と同様に減速によりエネルギーの回生が期待できる区間EおよびFで回生エネルギーを蓄積できるようにその前の区間において、SOCをS12、S22のように設定することでエネルギー効率をより向上させることができる。
なお、図15(c)に示される例においては、SOCの管理幅の上限値も上昇させているが、これは、図14(c)に示される例と同様に、頻発経路に渋滞区間が含まれているためである。頻発経路に渋滞区間が含まれていない場合にはSOCの管理幅の下限値だけを調整すればよい。
図17は本発明の実施の形態における走行処理の動作を示すフローチャートである。
例えば、説明した実施形態では、分割点設定処理において、走行が安定している走行安定区間として、「所定車速Vb以上が所定時間Tb以上継続する区間」を走行が安定している走行安定区間としたが、本願発明では、これに限定されるものではなく、他の区間を走行安定区間として選定してもよい。例えば、「所定車速Vb以上が所定距離以上継続する区間」「速度変動範囲が所定範囲内で、所定時間以上継続する区間」「速度変動範囲が所定範囲内で、所定距離以上継続する区間」等を走行安定区間として選定するようにしてもよい。
(1)走行安定区間の中間地点
(2)走行安定区間を走行するのに要する時間の中間時間地点。この場合、1回、又は複数回の平均で中間時間地点を決定する
(3)走行安定区間において、一定車速継続範囲の中間地点又は中間時間地点
(4)走行安定区間において、加速時、減速時に所定車速を通過する地点
(5)走行安定区間における最高速度地点
(6)交差点の中間地点(走行安定区間の有無に拘わらず)
(7)交差点間で渋滞範囲を除いた中間点
(8)交差点間の走行時間の中間時間地点
(9)交差点間における最高速度地点
(10)交差点から所定時間経過後の車両地点
ここに「中間点」とは、時間もしくは区間における厳密に半分の地点である必要はなく、当該時間もしくは区間の範囲における任意の地点としても良い。
(1)交差点間隔が短い場合には後の交差点の影響が出てくる場合があるので、手前の交差点は次の交差点に含めて選定する。
(2)住宅地等から幹線道に出るような場合、交差点間隔が短く一旦停止の必要箇所が多く、後の交差点とは無関係に停止・発進が行われることが多い。このような場合の交差点も後の交差点に含めて選定をする。
(3)交差点間隔が長くても、次の交差点の渋滞範囲に含まれてしまう場合には、次の交差点に含めて選定する。
以上の(1)、(2)の判断はナビゲーションDB12の道路データに基づいて行い、(3)の判断は複数回走行した各走行データから行うことが可能である。
例えば、走行経路が頻発経路と認定された走行(頻発経路認定条件を満たした走行)の後に分割点設定処理を行うようにしてもよい。このように、頻発経路と認定される走行では、同走行経路について複数回走行しているため、初回走行時よりもより走行し慣れており、安定した走行、平均的な走行になっている。このため、走行経路に対して運転が慣れた時点での走行データを使用して分割点設定処理を行うことで、より安定した点を分割点として設定することができる。
すなわち、頻発経路における走行安定区間は、短期的にはほぼ一定しているが、長期的に考えると交通流は変化していくのが常であり、以下のような状況が存在する。
(a)交差点の改良や信号機の新設調整で流れがスムースになる。
(b)交差点間でも信号機の連動方法が変更されれば、上記の走行区間が合体したり、分離する必要性がでてくる。
(c)バイパスが出来て、分散しスムースになる。
(d)工場の新設や増設、廃止、学校や施設の設置・廃止等々で車の流れが大きく変わる。
(e)ドライバー本人が新ルートを開拓する。
(A)ルートが変わった場合
この場合は変わった部分だけ新たに分割点設定処理を行い、分割点データを変更する。ドライバーが新しいルートを入れ変えたり、走りながら自車の位置情報と道路情報を比較することによりルートの変更を判断できる。
なお、ルートの変更については、変更後のルートを複数回走行した場合に変更と判断するようにしてもよい。
(B)例えば、常時停止していた交差点Pnの信号機が、その手前の交差点P(n−1)の信号機と連動したために、交差点Pnで停止することが殆どなくなった場合、両交差点間の分割点PD(n−1)nとPDn(n+1)とを合体したほうがシンプルになる。この場合、合体する分割点と合体の指示をユーザが入力したり、道路情報から走行パターン予測部11が判断することにより分割点を変更する。また、走行パターン予測部11は、交差点Pnでの走行状態を監視し、例えば、D回以上交差点Pnで停止することが無かった場合には、分割点PD(n−1)nとPDn(n+1)とを合体させるようにしてもよい。
11 走行パターン予測部
13 走行データ取得部
14 走行環境データ取得部
15 走行データ記憶部
17 分割点記憶部
21 エンジン
22 発電機
23 バッテリ
24 モータ
26 メイン制御装置
Claims (4)
- 走行経路に対する走行データを記憶する走行情報記憶手段と、
走行経路を特定する走行経路特定手段と、
前記走行データに基づいて、走行の安定が想定される走行安定地点で前記特定された走行経路を小区間に分割する区間分割手段と、
前記走行データに基づいて、前記分割された小区間毎に走行速度パターン候補を生成する走行速度パターン候補生成手段と、
前記小区間毎に、前記生成した走行速度パターン候補から1の走行パターン候補を抽出して、これから走行する前記特定された走行経路の推定走行速度パターンを出力する推定走行速度パターン出力手段と、を備え、
前記区間分割手段は、「所定車速以上が所定時間以上継続する区間内の地点」、「所定車速以上が所定距離以上継続する区間内の地点」、「速度変動範囲が所定範囲内で、所定時間以上継続する区間内の地点」、又は「速度変動範囲が所定範囲内で、所定距離以上継続する区間内の地点」を走行の安定が想定される走行安定地点として、前記特定した走行経路を小区間に分割する、
ことを特徴とする走行速度パターン推定装置。 - 前記走行経路特定手段は、前記走行データに基づいて車両が頻繁に走行する経路を頻発経路として特定することを特徴とする請求項1記載の走行速度パターン推定装置。
- 前記走行情報記憶手段は、走行経路に対する走行データ及び走行環境データを相互に対応付けて記憶し、
前記推定走行速度パターン出力手段は、現在の走行環境データに合致する走行速度パターン候補を前記小区間毎に抽出して、これから走行する前記特定された走行経路の推定走行速度パターンを出力する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の走行速度パターン推定装置。 - 駆動力の一部又は全部が車両の駆動又は発電に使用されるエンジンと、車両の駆動力を発生させるモータとを備え、前記エンジンとモータの少なくとも一方の駆動力により走行するハイブリッド車両であって、
前記エンジンの駆動による発電及び回生により充電され、前記モータに電力を供給する蓄電手段と、
前記蓄電手段の蓄電量を検出する蓄電量検出手段と、
請求項1から請求項3のうちのいずれか1の請求項に記載した前記走行速度パターン推定装置と、
前記走行速度パターン推定装置で出力した前記特定された経路の推定走行速度パターンと、前記蓄電手段の蓄電量とに基づいて、前記特定された経路における燃料消費量が最少となるように、前記エンジンと前記モータの運転スケジュールを設定する運転スケジュール設定手段と、
を具備することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
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