JP4288451B2 - 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬及び化学薬品の中間体として有用な化合物である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール(以下、「HFIP」と略す)を高純度かつ安価に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
HFIPは医薬及び農薬の中間体、とりわけ麻酔剤の中間体等に利用されるため、高純度品を安価に製造することが望まれている。
【0003】
一方、ヘキサフルオロアセトン水和物を液相状態で水素と接触せしめ、水素化を行うことによるHFIPの製造方法としては、例えば、特公昭61-25694号公報にパラジウム−炭素触媒を用いた還元反応や、特開平1-301631号公報にパラジウム−アルミナ触媒を用いた還元反応などが知られているが、これらの反応によって得られたHFIPには、特開平6-184026号公報にも記載されているように、HFIPと共沸挙動を示す1,1,1-トリフルオロアセトン(以下、「TFA」と略す)が含まれており、高純度のHFIPを得るには蒸留精製による回収率が低く、生産性を低下させる要因になっている。
【0004】
本発明は、HFIPを高純度かつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ヘキサフルオロアセトン水和物を、液相状態で水素と接触せしめる水素化において、分離上問題となるTFAの副生が少ない触媒を鋭意検討した結果、パラジウム黒等の貴金属触媒が優れた選択性を示すことを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、ヘキサフルオロアセトン水和物をパラジウム黒の存在下に液相状態で水素と接触せしめ水素化を行うことを特徴とする1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法を提供するものである。
【0007】
また本発明は、ヘキサフルオロアセトン水和物を貴金属触媒の存在下に液相状態で水素と接触せしめ水素化を行うことを特徴とする、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの選択率が99.9%以上である1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
ヘキサフルオロアセトン水和物は、ヘキサフルオロアセトンを水に吸収させることにより容易に得られ、一般式として(CF3)2C(OH)2・xH2O(但し、xは0以上である)で表されるジオール構造を有し、安定な形としてx=0の1水和物(融点46℃)、x=2の三水和物(沸点106℃)が知られているが、これら水和物も水と均一に混合し、水溶液の形で存在するため、ヘキサフルオロアセトン水和物はその水溶液を含め、上記一般式で表される。
【0009】
本反応に用いられるヘキサフルオロアセトン水和物の含水量は特に規定はないが、2〜10水和物の液体状態で使用すれば十分であり、好ましくは2.5〜4水和物の液体状態である。なお、水溶液は2.5〜4水和物に相当します。
【0010】
本発明に用いられる貴金属触媒は、分離困難なTFAを実質的に副生しないものであれば特に限定されないが、特にパラジウム黒が好ましい。
【0011】
本発明に用いられるパラジウム黒等の貴金属触媒の量については特に限定されないが、ヘキサフルオロアセトン水和物の1水和物として計算した量の0.05〜5重量%で十分であり、好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0012】
本発明の方法における反応温度は特に限定されないが、好ましくは50〜150℃であり、より好ましくは60〜100℃である。
【0013】
本発明の方法に用いられる水素圧は特に限定されないが、好ましくは0.3〜1.5Mpaであり、より好ましくは0.5〜1Mpaである。
【0014】
本発明において、HFIPの選択率は、ガスクロマトグラフィーにより生成物中のHFIPの割合を測定すれば良く、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.95%以上、さらに好ましくは99.99%以上、特に100%である。
【0015】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、触媒としてパラジウム黒を触媒として使用すると、分離困難なTFAは実質的に生成しないため、容易に高純度のHFIPを得ることができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
ヘキサフルオロアセトン・3水和物60gを撹拌装置を備えた200mlオートクレーブに仕込み、パラジウム黒360mg(0.6重量%)を添加した。
【0017】
容器内を水素で置換し、バンドヒーターにより100±5℃に加温した。
【0018】
水素圧力を0.7MPaに保ち、攪拌を開始すると、水素の吸収が始まった。
【0019】
7時間後に加熱攪拌を停止し、反応液をGC及びNMR分析した結果、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応率は97%、HFIPの選択率はGC分析で99.95%であり、副生成物のTFAは0.05%、1,1,1-トリフルオロイソプロパノールは0.00%であった。
(実施例2)
パラジウム黒の使用量を240mg(0.4重量%)とした以外は実施例1と同様に反応した。
【0020】
反応液をGC及びNMR分析した結果、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応率は68%、HFIPの選択率はGC分析で100.00%であり、副生成物のTFAは0.00%、1,1,1-トリフルオロイソプロパノールは0.00%であった。
(実施例3)
パラジウム黒の使用量を60mg(0.1重量%)とした以外は実施例1と同様に反応した。
【0021】
反応液をGC及びNMR分析した結果、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応率は14%、HFIPの選択率はGC分析で100.00%であり、副生成物のTFAは0.00%、1,1,1-トリフルオロイソプロパノールは0.00%であった。
(比較例1)
ヘキサフルオロアセトン・3水和物60gを撹拌装置を備えた200mlオートクレーブに仕込み、5%パラジウム−炭素3g(5重量%)を添加した。
【0022】
容器内を水素で置換し、バンドヒーターにより70±5℃に加温した。
【0023】
水素圧力を0.7MPaに保ち、攪拌を開始すると、水素の吸収が始まった。
【0024】
5時間後に加熱攪拌を停止し、反応液をGC及びNMR分析した結果、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応率は98%、HFIPの選択率はGC分析で98.74%であり、副生成物のTFAは0.66%、1,1,1-トリフルオロイソプロパノールは0.60%であった。
(比較例2)
ヘキサフルオロアセトン・3水和物60gを撹拌装置を備えた200mlオートクレーブに仕込み、5%パラジウム−アルミナ3g(5重量%)を添加した。
【0025】
容器内を水素で置換し、バンドヒーターにより70±5℃に加温した。
【0026】
水素圧力を0.7MPaに保ち、攪拌を開始すると、水素の吸収が始まった。
【0027】
6時間後に加熱攪拌を停止し、反応液をGC及びNMR分析した結果、ヘキサフルオロアセトン・3水和物の反応率は87%、HFIPの選択率はGC分析で99.22%であり、副生成物のTFAは0.78%、1,1,1-トリフルオロイソプロパノールは0.00%であった。
Claims (1)
- ヘキサフルオロアセトン水和物をパラジウム黒の存在下に液相状態で水素と接触せしめ水素化を行うことを特徴とする1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法。
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JP2001084401A JP4288451B2 (ja) | 2001-03-23 | 2001-03-23 | 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002275107A JP2002275107A (ja) | 2002-09-25 |
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JP2001084401A Expired - Lifetime JP4288451B2 (ja) | 2001-03-23 | 2001-03-23 | 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの製造方法 |
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