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JP4277643B2 - 複数のledによる表示灯装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のLEDによって表示を行うと共に、複数のLEDへの電源供給を行うライン(以下、LEDラインという)の断線検出が行える表示灯装置に関するものである。
従来、車両用方向指示器として用いられる断線検出機能付き表示灯装置の回路構成として、図6に示されるものが知られている。この回路では、バッテリ100の電圧VをツェナーダイオードZD1、抵抗R6および抵抗R7で分圧した電圧値がしきい値電圧Vthとして設定される。そして、車両のフロントおよびリア位置に配置される白熱灯101、102のいずれか一方が断線した場合に、シャント抵抗R8を流れる電流値が小さくなることから、シャント抵抗R8での電圧降下量が小さくなる。このため、断線前の状態と断線後の状態とで、シャント抵抗R8での電圧降下量(つまり、シャント抵抗R8と白熱灯101、102との間の電圧値)としきい値電圧Vthとの大小が切り替わるようにすることで、コンパレータ103からの出力レベルが変わるようにし、白熱灯101、102の断線が検出できるようにしている。
一方、近年、車両に使用される方向指示装置などの表示灯装置においては、省電力化のために、白熱灯ではなくLEDでの発光によって、その表示を行うことが考えられている(例えば、特許文献1参照)。この場合、1つのLEDでは発光量が少ないため、複数個のLEDが配列され、所望の明るさとなるようにされる。
図7に、複数個のLED110を配列したときの表示灯装置の回路図を示す。この図に示されるように、n個のLED110および抵抗111が直列接続されたLEDラインがm列分並列接続され、これら各列にバッテリ112から電源供給が成されるように構成されている。
このような回路構成において、バッテリ112の電圧をV、バッテリ112から表示灯装置に流される電流をI、m列に並べられた各ラインそれぞれに流れる電流をI1、抵抗Rの抵抗値をR、各LED110での電圧降下量をVfとすると、I1およびIは次式で示される。
(数1)
I1=(V−n×Vf)/R
(数2)
I=m×I1
このため、これら数式1、2より、電流Iが次式のように表される。
(数3)
I=m/R×(V−n×Vf)
したがって、バッテリ電圧Vに対する電流の変化を示す電圧−電流特性が図8のようになり、バッテリ電圧がn個のLEDでの電圧降下分以上である場合に、各ラインに電流が流れ、LED110が発光することになる。
特開平2002−76439号公報
上記のような複数個のLEDを用いた表示灯装置における断線検出、すなわち、m列のLEDラインうちの数列が断線したことを検出する回路として、図6に示した回路を適用することが考えられる。すなわち、図7に示したバッテリ112とm列に並べられたLED110との間に図6に示したシャント抵抗R8を挿入し、シャント抵抗R8での電圧降下量(つまり、シャント抵抗R8とm列に並べられたLED110との間の電圧)をしきい値電圧Vthと大小比較することで、断線検出を行うことができる。
このような場合、バッテリ電圧Vに対するしきい値電圧Vthの特性が図9(a)のような直線L1になる。ただし、直線L1としきい値電圧Vthが0の軸との交点(点Va)は、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧(ツェナ電圧)Vzに相当する。
また、表示灯装置におけるシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値と、バッテリ電圧Vとの関係を示す特性は図9(b)に示すような直線L2となる。ただし、直線L2とシャント抵抗R8での電圧降下分が0の軸との交点Bは、n×Vfに相当する。
そして、その直線L2の傾きは、断線が発生すると、数式3で示されたmの値が小さくなるため、断線したラインの数に応じて小さくなる。
したがって、各LEDラインでのツェナーダイオードZD1の降伏電圧Vzが数式3におけるn×Vfと一致した値となるようにすれば、図9(c)に示されるように、直線L1としきい値電圧Vthが0の軸との交点(点Va)と、直線L2とシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値が0の軸との交点とが一致する。そして、直線L2の傾きは、直線L1の傾きと比べて、断線が生じていない場合には大きく、断線が生じた場合には小さくなる。このため、直線L1に対して、バッテリ電圧Vに対するシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値が紙面右側に位置するか、左側に位置するかで断線しているか否かを判定することが可能となる。
しかしながら、LED110の電圧降下量もLED110毎にバラツキがあるため、そのバラツキ分だけバッテリ電圧Vに対するシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値がシフトする。例えば、断線が発生していない正常時およびm列の半分(m/2列分)のラインで断線が発生した時におけるバッテリ電圧Vとシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値との特性がLED110の電圧降下量のバラツキによって変化する様子を表すと、図10のようになる。
図10では、LED110の電圧降下量が平均的なものであった場合の特性が中心値として表されている。そして、LED110の電圧降下量の大小によってn×Vfが変動することから、LED110の電圧降下量が小さい場合にはそのときの特性の直線が中心値よりも紙面左側へシフトし、LED110の電圧降下量が大きい場合にはそのときの特性の直線が中心値よりも紙面右側へシフトしている。なお、図中の正常時最大値および断線時最大値は、発光時におけるLED110での電圧降下量が最も小さくなるときの特性直線、正常時最小値および断線時最小値は、発光時におけるLED110での電圧降下量が最も大きくなるときの特性直線を示している。
このような場合、断線が発生していない正常時であったとしても、LED110の電圧降下量が平均的より大きいと、バッテリ電圧Vが低いときに、バッテリ電圧Vに対するシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値の関係が、直線L1よりも紙面右側に位置してしまい、断線が発生したと誤判定してしまう。
また、断線時であったとしても、LED110の電圧降下量が平均的より小さいと、バッテリ電圧Vが低いときに、バッテリ電圧Vに対するシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値の関係が、直線L1よりも紙面左側に位置してしまい、断線が発生しているのにも関わらず断線していないと誤判定してしまう。
このため、バッテリ電圧Vに対するシャント抵抗R8での電圧降下分の電圧値の関係が、図10中のハッチングで示した領域に存在する場合には、断線が発生していないにも関わらず断線していると誤判定したり、断線しているにも関わらず断線していないと誤判定したりするという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、断線が発生していないにも関わらず断線していると誤判定したり、断線しているにも関わらず断線していないと誤判定したりしてしまうことを防止できる表示灯装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、LED(110)が備えられたLEDラインを複数有し、これら複数のLEDラインが並列に並べられ、電源(3)からの電源供給を受けてLEDを発光させるLED表示灯(4、5)と、電源とLED表示灯との間を接続する電源供給ラインのオン、オフを制御する点滅用スイッチ(6)と、LED表示灯を点灯させるためのスイッチ(2)が投入されると、点滅用スイッチのオンオフを制御する点滅制御回路部(7)と、電源からLED表示灯への電流を電圧に変換し、この変換された電圧をしきい値電圧(Vth)と比較することにより、LED表示灯におけるLEDラインの少なくとも1つが断線したことを検出する断線検出回路部(8)と、電源の電圧が所定値(Vz)より小さい場合には、断線検出回路部での断線検出結果をカットし、点灯制御回路部にて点滅用スイッチのオンオフを行わせる低電圧カット回路部(12)とを備えていることを特徴としている。
このように、低電圧カット回路部によって、バッテリ電圧が所定電圧よりも小さい場合には、断線検出が成されないようにされる。このため、断線が発生していないにも関わらず断線していると誤判定したり、断線しているにも関わらず断線していないと誤判定したりしてしまうことを防止することができる。
例えば、請求項2に示されるように、低電圧カット回路部は、LEDを発光させたときにおける該LEDでの順方向電圧のバラツキが最も大きくなる場合の電源の電圧と変換された電圧との関係を示す直線(La)と、電源の電圧としきい値電圧の関係を示す直線(Lb)との交点における電源の電圧(Vz)を所定値として設定する。
また、請求項3に示すように、断線検出回路部には、電源の電圧に基づいて作動し、変換された電圧としきい値電圧との大小を比較する電圧比較器(11)が備えられ、電圧比較器は、変換された電圧がしきい値電圧よりも大きい場合には、ハイレベル信号として電源の電圧を出力するようになっている場合、低電圧カット回路部は、電圧比較器から出力されるハイレベル信号が所定値よりも小さい場合に、断線検出回路部での検出結果をカットし、点灯制御回路部にて点滅用スイッチのオンオフを行わせることができる。
具体的には、請求項4に示されるように、低電圧カット回路部には、ツェナーダイオード(13)が備えられており、このツェナーダイオードに電圧比較器が出力する電圧が印加されるようになっており、電圧比較器が出力する電圧がツェナーダイオードの降伏電圧よりも高い場合には、ツェナーダイオードに電流が流れ、点滅制御回路部に対して断線検出回路部からの断線検出結果が伝えられるようになっており、電圧比較器が出力する電圧がツェナーダイオードの降伏電圧よりも低い場合には、ツェナーダイオードに電流が流れず、断線検出回路部からの断線検出結果がカットされるようにすることができる。
請求項5ないし8に記載の発明では、断線検出回路部は、電源からLED表示灯への電流を電圧に変換する電流電圧変換回路(9)と、しきい値電圧(Vth)を設定する断線検出しきい値回路部(10)と、電流電圧変換回路によって変換された電圧としきい値電圧とを比較することにより、断線の検出を行う電圧比較器(11)とを備え、断線検出しきい値回路部(10)は、電源の電圧が第1の所定値から該第1の所定値よりも大きい第2の所定値の間であれば、電源の電圧が大きくなるに応じてしきい値電圧が第1の傾きで変化し、電源電圧が第2の所定値よりも大きい場合には、電源の電圧が大きくなるに応じてしきい値電圧が第1の傾きとは異なる第2の傾きで変化するように、しきい値電圧を設定するようになっていることを特徴としている。
このようにすれば、誤判定してしまう領域を避けるように、しきい値電圧を設定することができる。このため、請求項1と同様の効果を得ることができる。
例えば、請求項6に示されるように、第1の所定値は、LEDを発光させたときにおける該LEDでの順方向電圧のバラツキが最も大きくなる場合におけるLED表示灯での電圧降下量とされる。
また、請求項7に示されるように、第2の所定値は、電源の電圧とLEDを発光させたときにおける電流電圧変換回路で変換された電圧との特性直線と、第2の傾きで変化する電源の電圧に対するしきい値電圧の特性直線(Ld)との交点における電源の電圧(C)とされる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態が適用された表示灯装置としての方向指示装置1の回路構成を図1に示す。この図に基づいて、方向指示装置1の構成についての説明を行う。
方向指示装置1は、ドライバによって例えば車室内のステアリング裏に配置された方向指示スイッチ2が操作されると、バッテリ3からの電源供給に基づいて、車両の左右両側に設置された左側LED表示灯4もしくは右側LED表示灯5を点滅させるものである。各LED表示灯4、5は、上述した図7で示されるように、n個のLEDおよび抵抗Rが直列接続されたラインがm列分並列接続されて構成されている。各LED表示灯4、5は、図1では、それぞれ1つずつしか記載されていないが、実際には各LED表示灯4、5それぞれフロント位置とリア位置の3箇所、車両によってはサイド位置も含めた3箇所に備えられており、これら各位置の表示灯を同時に点滅させるようになっている。
また、この方向指示装置1では、各LED表示灯4、5で断線が検出された際に、そのことをドライバに報知するために、各LED表示灯4、5の点滅周期を早めるという作動を行うようになっている。
図1に示されるように、表示灯装置1には、点滅用リレー6、点滅制御回路部7、断線検出回路部8および低電圧カット回路部12を備えて構成されている。
点滅用リレー6は、点滅用スイッチに相当するもので、リレー接点6aと、通電によってリレー接点6aを吸引するコイル6bとを備えて構成される周知のリレーである。リレー接点6aは、方向指示スイッチ2にて接続された左側LED表示灯4または右側LED表示灯5とバッテリ3とを接続する電源供給ラインのオン、オフを制御するようになっている。このため、点滅用リレー6は、コイル6bに通電が成され、リレー接点6aが吸引されると、リレー接点6aにて電源供給ラインがオンして、バッテリ3から左側LED表示灯4または右側LED表示灯5への電源供給を行うようになっている。
点滅制御回路部7は、点滅リレー6と方向指示スイッチ2との間の電位に基づいて、方向指示スイッチ2が操作されたことを検出し、それに基づいて点滅リレー6におけるコイル6bへの通電を行うと共に、その通電のタイミングを制御するものである。この点滅制御回路部7には、断線検出回路部8からの断線検出信号が入力されるようになっており、断線検出回路部8からの断線検出信号に基づいて、コイル6bへの通電タイミングを調整するようになっている。具体的には、点滅制御回路部7は、断線検出回路部8から断線した旨の信号が伝えられていないときには、第1の点灯周期のパルス電圧を出力するようになっており、断線検出回路部8から断線した旨の信号が伝えられると、第1の点灯周期よりも周期が短い第2の点灯周期のパルス電圧を第2のパルス幅で出力するようになっている。
断線検出回路部8は、複数のLEDの列で構成された各LED表示灯4、5における断線検出を行うものである。例えば、各LED表示灯4、5を構成するm列のLEDラインのうちの少なくとも1列、例えばm列の半分(m/2)が断線した場合に断線が検出され、断線検出回路部8から断線した旨の信号が点滅制御回路部7から出力されるようになっている。
この断線検出回路部8は、電流検出用シャント抵抗9と、断線検出しきい値回路部10と、電圧比較器11とを備えて構成されている。
電流検出用シャント抵抗9は、電源供給ラインに流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路部に相当するものである。この電流検出用シャント抵抗9は、バッテリ3から各LED表示灯4、5につながる電源供給ラインの電流量を検出するものであり、電源供給ラインに直列接続されている。つまり、電流検出用シャント抵抗9の両端電圧が電源供給ラインの電流量に応じて変化することから、電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値にて電源供給ラインの電流量が検出されるようになっている。具体的には、電流検出用シャント抵抗9と点滅用リレー6のリレー接点6aとの間(図中点S)の電位が電圧比較器11に入力されるようになっており、この電位の大小に基づいて断線検出が行われるようになっている。
断線検出しきい値回路部10は、断線検出のしきい値電圧Vthを設定する回路であり、この断線検出しきい値回路10によって設定されたしきい値電圧Vthが電圧比較器11に入力されるようになっている。このしきい値電圧Vthの大きさに応じて、断線検出回路部8が断線と検出するLEDラインの数が決まる。なお、この断線検出しきい値回路部10の回路構成は、上述した図6に示される回路と同様であるため、ここでは省略する。
電圧比較器11は、電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値(図中点Sの電位)と、断線検出しきい値回路部10にて設定されたしきい値電圧Vthとを大小比較するものであり、コンパレータで構成されている。この電圧比較器11は、図中点Sの電位の方がしきい値電圧Vthよりも大きいときには、断線していないことを意味するローレベル信号を出力し、図中点Sの電位の方がしきい値電圧Vthよりも小さくなると、断線した旨を示すハイレベル信号を出力するようになっている。具体的には、電圧比較器11を構成するコンパレータは、バッテリ電圧が印加されて作動するようになっており、ローレベル信号を出力するときにはGNDレベルの出力、ハイレベル信号を出力するときにはバッテリ電圧を出力するようになっている。このため、点Sの電位がしきい地電圧Vthよりも小さくなったときには、コンパレータからハイレベル信号としてバッテリ電圧が出力される。
低電圧カット回路部12は、ツェナーダイオード13と、抵抗14とNPN型バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタという)15とを備えて構成されている。具体的には、ツェナーダイオード13に電圧比較器11の出力電圧が印加され、ツェナーダイオード13と抵抗14との間の電圧がトランジスタ15のベース電圧として印加されるようになっている。また、トランジスタ15のコレクタが点滅制御回路部7に接続され、点滅制御回路部7にてトランジスタ15のコレクタに電流が流れ、コレクタの電位がローレベルになっているか否かを検出できるようになっている。
続いて、このように構成された方向指示装置の作動について説明する。
ドライバによって方向指示スイッチ2が操作されると、方向指示スイッチ2が左側LED表示灯4または右側LED表示灯5に投入される。これにより、電源供給ラインのうち点滅用リレー6と方向指示スイッチ2の間の電位がLED表示灯4、5を介してGNDに接続され、それが点滅制御回路部7に伝えられる。したがって、点滅制御回路部7は、方向指示スイッチ2が操作されたことを検出し、バッテリ3からの電源供給に基づいて点滅リレー6のコイル6bへの通電を開始する。
このとき、電圧比較器11では、電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値(図中点Sの電位)と、断線検出しきい値回路部10にて設定されたしきい値電圧Vthとを大小比較し、その結果に応じたレベルの信号を出力する。すなわち、図7で示されるように、n個のLEDおよび抵抗Rが直列接続されたLEDラインがm列分並列接続されて各LED表示灯4、5が構成されていることから、そのLEDラインが断線すると、断線した分だけ電源供給ラインの電流量が減る。このため、断線した場合には、断線したLEDラインの数に応じて電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値、つまり図中点Sの電位が小さくなっていき、しきい値電圧Vthよりも小さくなる。
そして、断線したLEDラインの数が断線検出回路部8で断線と検出できる数に到達する前の状態では、図中点Sの電位の方がしきい値電圧Vthよりも大きいため、電圧比較器11から断線していないことを意味するローレベル信号が出力される。この場合には、ツェナーダイオード13に対して降伏電圧よりも低い電圧が印加されることになるため、ツェナーダイオード13は電流を流さず、トランジスタ15がオンしない。このため、点滅制御回路部7は、トランジスタ15のコレクタの電位がハイレベルであること、つまりローレベルとなっていないことを検出し、断線していないものとして、第1の点灯周期となるパルス電圧をコイル6bに印加する。これにより、ドライバによって方向指示スイッチ2が投入された側のLED表示灯4、5が第1の点灯周期で点滅する。
一方、断線したLEDラインの数が断線検出回路部8で断線と検出できる数に到達すると、図中点Sの電位の方がしきい値電圧Vthよりも小さくなり、電圧比較器11から断線していることを意味するハイレベル信号が出力される。
このとき、電圧比較器11が出力するハイレベル信号がバッテリ電圧であることから、バッテリ電圧がツェナーダイオード13の降伏電圧以上であるか否かでトランジスタ15がオンするか否かが変わる。
すなわち、バッテリ電圧がツェナーダイオード13の降伏電圧以上である場合には、ツェナーダイオード13に電流が流れるため、抵抗14にも電流が流れる。このため、トランジスタ15がオンし、トランジスタ15のコレクタ−エミッタ間に電流が流れる。これにより、トランジスタ15のコレクタの電位がほぼGND電位となってローレベルとなる。したがって、この場合には、点滅制御回路部7は、断線したものとして、第2の点灯周期となるパルス電圧をコイル6bに印加する。これにより、ドライバによって方向指示スイッチ2が投入された側のLED表示灯4、5が第1の点灯周期よりも短い第2の点灯周期で点滅する。
一方、バッテリ電圧がツェナーダイオード13の降伏電圧に達していない場合には、ツェナーダイオード13は電流を流さず、トランジスタ15がオンしない。このため、点滅制御回路部7は、トランジスタ15のコレクタの電位がハイレベルであること、つまりローレベルとなっていないことを検出し、断線していないものとして、第1の点灯周期となるパルス電圧をコイル6bに印加する。これにより、ドライバによって方向指示スイッチ2が投入された側のLED表示灯4、5が第1の点灯周期で点滅する。
以上説明したように、ツェナーダイオード13の降伏電圧を所定電圧として、この降伏電圧に応じて、断線検出が行われるバッテリ電圧の大きさが決定される。このため、本実施形態では、次のようにツェナーダイオード13の降伏電圧を決めている。
図2に、ツェナーダイオード13の降伏電圧と、バッテリ電圧としきい値電圧Vthとの特性およびバッテリ電圧と電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値のと特性の関係を示す。この図に示されるように、LEDの電圧降下量に応じてバッテリ電圧としきい値電圧Vthとの関係を示す直線がシフトする。
このため、正常時最小値におけるバッテリ電圧と電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値との関係を示す直線をLa、バッテリ電圧と断線検出用のしきい値電圧Vthの関係を示す直線をLbとすると、バッテリ電圧がこれらの交点での電圧値Vzよりも小さくなったときに、誤判定が生じる。したがって、本実施形態では、ツェナーダイオード13の降伏電圧が電圧値Vz以上となるように設定している。ただし、方向指示装置1において、断線検出機能が実現できなければならないとされるバッテリ電圧の最小値、つまり作動電圧範囲最小値が規格されることから、その作動電圧範囲最小値よりも小さくなるようにツェナーダイオード13の降伏電圧が設定される。
このように、本実施形態では、バッテリ電圧がツェナーダイオード13の降伏電圧よりも小さい場合には、断線検出が成されないようにされる。そして、ツェナーダイオード13の降伏電圧が電圧値Vz以上となるようにしている。このため、断線が発生していないにも関わらず断線していると誤判定したり、断線しているにも関わらず断線していないと誤判定したりしてしまうことを防止することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図3に、本実施形態における方向指示装置の回路構成を示す。この図に示されるように、本実施形態における方向指示器は、ほぼ第1実施形態と同様の回路構成を有しており、第1実施形態に対して低電圧カット回路部が無い点と、断線検出しきい値回路部の構成が変更されている点が異なる。以下、本実施形態における方向指示装置について説明するが、上述した第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図3に示す方向指示装置に備えられた断線検出しきい値回路部10は、図4のような回路構成となっている。具体的には、断線検出しきい値回路部10は、バッテリ3とGND端子との間において、第1の抵抗R1、第1のツェナーダイオードZD1、第2の抵抗R2および第2のツェナーダイオードZD2が順に直列接続され、さらに、直列接続された第3、第4の抵抗R3、R4が第1の抵抗R1と第1のツェナーダイオードZD1とに並列接続された構成となっている。
このような構成におけるバッテリ電圧としきい値電圧Vthの関係を表す特性図と、その特性を図10に示した誤判定してしまう領域と比較した図を、それぞれ図5(a)、(b)に示し、こられの図を参照してバッテリ電圧としきい値電圧Vthとの関係について説明する。
まず、バッテリ電圧が第1の所定値、つまり第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧よりも低い場合、第2のツェナーダイオードZD2によって電流が流れないようにされる。
そして、バッテリ電圧が第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧以上、かつ、第1のツェナーダイオードZD1および第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧の合計値よりも低い場合には、第3、第4の抵抗R3、R4を通じ、さらに、第2の抵抗R2および第2のツェナーダイオードZD2を通じる経路Xを通って電流が流れる。
このため、しきい値電圧Vthは、バッテリ電圧から第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧を減算した値を第2〜第4の抵抗R2〜R4にて分圧した値に設定される。そして、バッテリ電圧に大きさに応じて第3の抵抗R3に流れる電流が変化するため、図5(a)に示されるように、バッテリ電圧が大きくなると、それ対して第1の傾きでしきい値電圧Vthが増加する。
このとき、第1の傾きとなるバッテリ電圧−しきい値電圧Vthの直線をLcとすると、直線Lcとしきい値電圧Vthが0となる軸との交点となる点Bは、第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧となるため、点Bとして設定したい値となるように、第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧が設定される。具体的には、本実施形態では、点Bは、図5(b)に示した正常時最小値の特性直線と電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値が0となる軸との交点、つまり発光時における各LED表示灯4、5での電圧降下量に相当する点Aよりも大きく、かつ、正常時最小値の特性直線と後述する直線Ldとの交点におけるバッテリ電圧を示す点Cよりも小さくなるように設定される。
次に、バッテリ電圧が第2の所定値、つまり第1のツェナーダイオードZD1および第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧の合計値よりも高い場合には、上記経路Xに加えて、第1の抵抗R1および第1のツェナーダイオードZZD1を通じ、さらに、第2の抵抗R2および第2のツェナーダイオードZD2を通じる経路Yを通って電流が流れる。このため、第2の抵抗R2に流れる電流量が多くなり、第2の抵抗R2での電圧降下分の電圧値が大きくなることから、第4の抵抗R4と第2の抵抗R2との間の点の電位が高くなり、第3、第4の抵抗R3、R4の両端電圧が低くなる。
したがって、経路Xのみに電流が流れる場合よりも、経路Xおよび経路Yに電流が流れる場合のほうが、第3の抵抗R3に流れる電流が少なくなる。このため、第3の抵抗R3の両端電圧で決定されるしきい値電圧Vthは、バッテリ電圧が大きくなると、それに対して第1の傾きよりも小さな傾きとなる第2の傾きで増加する。つまり、バッテリ電圧としきい値電圧Vthとの関係を示す特性は、バッテリ電圧が第2の所定値となる点を折れ点として、第1の傾きから第2の傾きに変わる。
このとき、第2の傾きとなるバッテリ電圧−しきい値電圧Vthの直線をLdとすると、直線Lcと直線Ldとの交点となるバッテリ電圧の値が点Dは、第2のツェナーダイオードZD2の降伏電圧となる。このため、点Dとして設定したい値となるように、第1のツェナーダイオードZD1の降伏電圧が設定される。具体的には、本実施形態では、点Dは、図5(b)に示した正常時最小値の特性直線と断線検出しきい値を示す直線Ldとの交点におけるバッテリ電圧を示す点Cよりも大きく、かつ、作動電圧範囲最小値(方向指示装置1において、断線検出機能が実現できなければならないとされるバッテリ電圧の最小値)よりも小さくなるように設定される。
以上説明したように、本実施形態によれば、図5(b)のハッチングで示した誤判定してしまう領域を避けるように、しきい値電圧Vthを設定することができる。そして、点Bが点Cよりも小さい値に設定されるようにしている。このため、第1実施形態と同様の効果が得られると共に、さらに、バッテリ電圧が点Bから点Dの間に位置する大きさとなった場合に、断線検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値とバッテリ電圧との関係が直線Lcよりも紙面右側に位置するような状態になったときにも、断線検出を行うことが可能となる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、ツェナーダイオード13の降伏電圧が電圧値Vzとなるように設定している。このとき、電圧値Vzは、正常時最小値におけるバッテリ電圧と電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値との関係を示す直線Laと、バッテリ電圧と断線検出用のしきい値電圧Vthの関係を示す直線Lbの交点におけるバッテリ電圧とされている。
しかしながら、電圧値Vzは、断線時最大値におけるバッテリ電圧としきい値電圧Vthとの関係を示す直線と直線Lbとの交点におけるバッテリ電圧とされても良い。また、このようなバッテリ電圧と、正常時最小値におけるバッテリ電圧と電流検出用シャント抵抗9での電圧降下分の電圧値との関係を示す直線Laと、バッテリ電圧と断線検出用のしきい値電圧Vthの関係を示す直線Lbの交点におけるバッテリ電圧とのうち、大きいほうの電圧を電圧値Vzとしても良い。
本発明の第1実施形態における方向指示装置の回路構成を示す図である。 図1における断線検出しきい値回路部の回路構成を示した図である。 バッテリ電圧としきい値電圧Vthとの関係を示した図である。 方向指示装置に備えられた断線検出しきい値回路部の回路構成を示した図である。 (a)は、バッテリ電圧としきい値電圧Vthの関係を表す特性図、(b)は、(a)の特性を誤判定してしまう領域と比較した図である。 従来より車両用方向指示器として用いられている断線検出機能付き表示灯装置の回路構成を示す図である。 複数個のLEDを配列したときの表示灯装置の回路図を示す。 バッテリ電圧Vに対する電流の変化を示す電圧−電流特性図である。 (a)は、バッテリ電圧Vに対するしきい値電圧Vthの特性を示す図、(b)は、シャント抵抗での電圧降下分の電圧値とバッテリ電圧Vとの特性を示す図、(c)は、(a)と(b)に示した直線L1、L2を組み合わせて示した図である。 断線が発生していない正常時および断線が発生した時におけるバッテリ電圧とシャント抵抗での電圧降下分の電圧値との特性がLEDの電圧降下量のバラツキによって変化する様子を表した図である。
符号の説明
1…方向指示装置、2…方向指示スイッチ、3…バッテリ、4、5…LED表示灯、6…点滅用リレー、7…点滅制御回路部、8…断線検出回路部、9…断線検出用シャント抵抗、10…断線検出しきい値回路部、11…電圧比較器、12…低電圧カット回路部、13…ツェナーダイオード、14…抵抗、15…トランジスタ。

Claims (8)

  1. LED(110)が備えられたLEDラインを複数有し、これら複数のLEDラインが並列に並べられ、電源(3)からの電源供給を受けて前記LEDを発光させるLED表示灯(4、5)と、
    前記電源と前記LED表示灯との間を接続する電源供給ラインのオン、オフを制御する点滅用スイッチ(6)と、
    前記LED表示灯を点灯させるためのスイッチ(2)が投入されると、前記点滅用スイッチのオンオフを制御する点滅制御回路部(7)と、
    前記電源から前記LED表示灯への電流を電圧に変換し、この変換された電圧をしきい値電圧(Vth)と比較することにより、前記LED表示灯における前記LEDラインの少なくとも1つが断線したことを検出する断線検出回路部(8)と、
    前記電源の電圧が所定値(Vz)より小さい場合には、前記断線検出回路部での断線検出結果をカットし、前記点灯制御回路部にて前記点滅用スイッチのオンオフを行わせる低電圧カット回路部(12)とを備えていることを特徴とする表示灯装置。
  2. 前記低電圧カット回路部は、前記LEDを発光させたときにおける該LEDでの順方向電圧のバラツキが最も大きくなる場合の前記電源の電圧と前記変換された電圧との関係を示す直線(La)と、前記電源の電圧と前記しきい値電圧の関係を示す直線(Lb)との交点における前記電源の電圧(Vz)を前記所定値として設定していることを特徴とする請求項1に記載の表示灯装置。
  3. 前記断線検出回路部には、前記電源の電圧に基づいて作動し、前記変換された電圧と前記しきい値電圧との大小を比較する電圧比較器(11)が備えられ、
    前記電圧比較器は、前記変換された電圧が前記しきい値電圧よりも小さい場合には、ハイレベル信号として前記電源の電圧を出力するようになっており、
    前記低電圧カット回路部は、前記電圧比較器から出力されるハイレベル信号が前記所定値よりも小さい場合に、前記前記断線検出回路部での検出結果をカットし、前記点灯制御回路部にて前記点滅用スイッチのオンオフを行わせるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示灯装置。
  4. 前記低電圧カット回路部には、ツェナーダイオード(13)が備えられており、このツェナーダイオードに前記電圧比較器が出力する電圧が印加されるようになっており、
    前記電圧比較器が出力する電圧が前記ツェナーダイオードの降伏電圧よりも高い場合には、前記ツェナーダイオードに電流が流れ、前記点滅制御回路部に対して断線検出回路部からの断線検出結果が伝えられるようになっており、前記電圧比較器が出力する電圧が前記ツェナーダイオードの降伏電圧よりも低い場合には、前記ツェナーダイオードに電流が流れず、断線検出回路部からの断線検出結果がカットされるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の表示灯装置。
  5. LED(110)が備えられたLEDラインを複数有し、これら複数のLEDラインが並列に並べられ、電源(3)からの電源供給を受けて前記LEDを発光させるLED表示灯(4、5)と、
    前記電源と前記LED表示灯との間を接続する電源供給ラインのオン、オフを制御する点滅用スイッチ(6)と、
    前記LED表示灯を点灯させるためのスイッチ(2)が投入されると、前記点滅用スイッチのオンオフを制御する点滅制御回路部(7)と、
    前記LED表示灯における前記LEDラインの少なくとも1つが断線したことを検出する断線検出回路部(8)とを有してなる表示灯装置であって、
    前記断線検出回路部は、
    前記電源から前記LED表示灯への電流を電圧に変換する電流電圧変換回路(9)と、
    しきい値電圧(Vth)を設定する断線検出しきい値回路部(10)と、
    前記電流電圧変換回路によって変換された電圧と前記しきい値電圧とを比較することにより、前記断線の検出を行う電圧比較器(11)とを備え、
    前記断線検出しきい値回路部(10)は、前記電源の電圧が第1の所定値から該第1の所定値よりも大きい第2の所定値の間であれば、前記電源の電圧が大きくなるに応じて前記しきい値電圧が第1の傾きで変化し、前記電源電圧が前記第2の所定値よりも大きい場合には、前記電源の電圧が大きくなるに応じて前記しきい値電圧が前記第1の傾きとは異なる第2の傾きで変化するように、前記しきい値電圧を設定するようになっていることを特徴とする表示灯装置。
  6. 前記第1の所定値は、前記LEDを発光させたときにおける該LEDでの順方向電圧のバラツキが最も大きくなる場合における前記LED表示灯での電圧降下量であることを特徴とする請求項5に記載の表示灯装置。
  7. 前記第2の所定値は、前記電源の電圧と前記LEDを発光させたときにおける前記電流電圧変換回路で変換された電圧との特性直線と、前記第2の傾きで変化する前記電源の電圧に対する前記しきい値電圧の特性直線(Ld)との交点における前記電源の電圧(C)であることを特徴とする請求項5または6に記載の表示灯装置。
  8. 前記第2の傾きは、前記第1の傾きよりも傾きが小さくなっていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の表示灯装置。


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