JP4262341B2 - Slip isolation device and isolation structure - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビル、タワー等の高層構造体から一戸建てなどの低層構造体に至る建築構造体、道路・鉄道などの橋梁に至る土木構造体を支持し、地震外力を低減するすべり免震装置およびそれを用いた免震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
免震とは、建物に加わる地震力を何らかの方法で減少させることである。現在は、下部躯体、例えば基礎と、上部躯体、例えば建物との間に免震装置を入れて、建物への地震入力の減少を図る「基礎絶縁型」が免震工法の主流となっている。
免震装置としては、例えば、鋼板とゴム材とを交互に積層した弾性免震装置(積層ゴム免震装置)が知られているが、この弾性免震装置は、減衰性能に乏しいという問題がある。そのため、水平方向の剛性に対する固有振動数近傍の成分が卓越した入力に対しては共振を起こし、過大な変形に至り積層ゴムが破断する場合も生じる。これに対して、ゴム材を高減衰ゴムにする手法などが考慮されたが、支持荷重と設計免震周期に限界が多かった。
【0003】
他の免震装置として、例えば、積層ゴムの端面にすべり支承を設けたすべり免震装置などが提案されている。従来のすべり免震装置の一例を図6に示す。図6は従来のすべり免震装置の断面図である。
すべり免震装置は、上部躯体9に固定するための上板7と、この上板7に固定され、鋼板11aとゴム材11bとを交互に積層した積層ゴム11と、この積層ゴム11の下端面に設けられたすべり材4と、このすべり材4が摺動する金属板などの平滑板2とから構成されている。
このようなすべり免震装置を用いた免震構造は大地震での大変形に対して、すべりによってエネルギーが消費される利点がある。
ここで、免震構造とは免震装置を施工するにあたり、下部躯体と上部躯体の間に免震装置を複数個配設された状態をいう。免震装置とは免震可能な装置単体をいう。また、すべり免震装置とは少なくともすべり支承を有する免震装置をいう。
【0004】
上記弾性免震装置とすべり免震装置とを並列に配置してそれら両方で上部構造物の鉛直荷重を受け止めるようにした免震構造が知られている(特開平8−158697号)。
また、すべり免震装置における低摩擦化の手段として、官能基を有するフッ素系あるいはポリシロキサン系化合物からなる被膜を金属板に設けることが知られている(特許第2629011号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のすべり免震装置を用いた免震構造においては、いずれもすべり免震装置における摩擦係数を 0.1程度以下にすることができないという問題がある。
例えば、すべり免震装置の摩擦係数が 0.1程度の場合、地震力が 0.1G 以上にならないと、すべり免震装置はすべり出さない。免震性能をある程度確保するためには、すべり出すまでの静摩擦力の影響を緩和するためにある程度のゴム総数を有する積層ゴムの併用が必要となる。
しかし、積層ゴム弾性免震装置で 0.1G 程度の地震力に対して免震効果を得ようとすると、その分だけ積層ゴムが水平に変形し、すべり出したときに荷重の偏在が生じ、すべり性能やすべり面の耐久性を低下させる原因となっていた。
【0006】
さらに、積層ゴム部分が水平に変形すると、鉛直軸力を受けるゴムの投影面積、すなわち有効受圧面積が小さくなるという問題がある。その関係を図7に示す。図7は積層ゴム部分の変形量と有効受圧面積との関係を示す図である。
すべり支承がすべり出さない小規模な地震の場合、積層ゴム11が水平に変形するので、平滑板2に対する有効受圧面積Bが小さくなる。
積層ゴム部の許容面圧は 10 〜 15MPaとされているので、例えば柱の軸力が 1,000トンを越えるような場合、積層ゴムの直径はφ1,300mm 以上の大きなものになる場合がある。それに伴い、すべり材の相手材の鋼板の直径はφ 2,000mmを越えるものが必要となり、装置は取り付け作業性の悪い大きなものになる傾向にあり、近年の装置軽量化の要求に対応できないという問題がある。
【0007】
一方、官能基を有するフッ素系あるいはポリシロキサン系化合物からなる被膜を設けた場合、潤滑性被膜の耐摩耗性を長期間低い値に維持することが困難で、耐久性に劣るという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、大きな地震力のみならず小さな地震力においても、十分な免震機能を有し、かつ小型化ができるすべり免震装置およびそれに用いた免震構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のすべり免震装置は、下部躯体と上部躯体との間に配設され、高層構造体から低層構造体に至る建築構造体、または土木構造体を支持し、地震外力を低減するすべり免震装置であって、上記すべり免震装置が、マトリクス樹脂100体積部に平均分子量50,000以下の含フッ素重合体またはポリシロキサンから選ばれた少なくとも一つの低分子量潤滑成分5〜40体積部を含有する潤滑性塗膜が形成された平滑板と、四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成され上記平滑板に一方の面が摺接するすべり材とを具備することを特徴とする。
すべり材を四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成することにより、耐摩耗性を低下させることができる。また潤滑性被膜が形成された平滑板と組み合わせることにより、潤滑性被膜との摩擦係数を長期間低い値、例えば面圧 15 MPa 以上で 0.05 以下に維持することができる。
【0010】
また、上記マトリクス樹脂がポリイミド系樹脂および熱硬化性樹脂、特にフラン樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする。ここでマトリクス樹脂とは、低分子量潤滑成分を保持することのできる樹脂をいう。
上記構成とすることにより、安定した低摩擦特性を有するすべり免震装置が得られる。
【0011】
四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物に配合される配合剤が繊維状配合剤および粉末状配合剤から選ばれた少なくとも一つの配合剤であることを特徴とする。
また、上記粉末状配合剤の形状が球状であり、また、上記配合剤が炭素質またはグラファイト質であることを特徴とする。
すべり材を構成する樹脂組成物に上記配合剤を配合することにより、すべり材の耐摩耗性を向上させるとともに、圧縮クリープ性に優れ、高面圧下における潤滑性被膜との摺動において、優れた摩擦係数を維持することができる。
【0012】
すべり材を構成する四フッ化エチレン系樹脂が、四フッ化エチレン単位と、四フッ化エチレンのフッ素が他の有機基で置換された置換四フッ化エチレン単位とから構成される変性四フッ化エチレン樹脂であることを特徴とする。
変性四フッ化エチレン樹脂であることにより、上記潤滑性被膜との摺動において、優れた摩擦係数を得ることができる。
【0013】
本発明のすべり免震装置は、上記潤滑性被膜およびすべり材に加えて、上記平滑板上をすべり材がすべり出すまで、すべり材の摺接面の対面に直接または中板を介して、水平力に抗して変形可能な部材が直列に配置されてなることを特徴とする。
中板を設けることにより、面圧を大きくすることができ、摩擦係数を下げることができる。
【0014】
本発明の免震構造は、下部躯体と上部躯体との間に配設されるすべり免震装置を少なくとも備えてなる免震構造であって、そのすべり免震装置が、上記すべり免震装置であることを特徴とする。
上記すべり免震装置を用いることにより、本発明の免震構造は、すべり出しの加速度を小さく保ったまま免震周期の長周期化ができる。
【0015】
さらに、復元力を有する装置を併設したことを特徴とする。
さらに、下部躯体と上部躯体との間に弾性免震装置を並列して配設することを特徴とする。また、上記弾性免震装置の一部または全部が鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムであることを特徴とする。
弾性免震装置、特に鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムを用いることにより、免震構造の設計可能範囲をより大幅に拡大することができる。特に弾性免震装置が鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムであると、摩擦係数を 0.05 以下のすべり免震装置の作用とともに、大きな地震力のみならず小さな地震力においても、十分な免震機能を持たせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のすべり免震装置の一例を図1により説明する。図1(a)は下部躯体と上部躯体との間に設けられたすべり免震装置の断面図、図1(b)はA部拡大断面図である。
すべり免震装置1は、上部躯体9に固定するための上板7と、この上板7と中板5との間に挟持される単層ゴム材6と、中板5の下端面に固定されるすべり材4と、このすべり材4と摺動し、下部躯体8に固定される平滑板2とから構成されている。なお、前記すべり材と平滑板とをすべり支承という。また平滑板2の摺動面には潤滑性被膜3が形成されている。すべり材4は、四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成されている。
【0017】
本発明は、摺動面に潤滑性被膜3が形成されている平滑板2と、四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成されているすべり材4とが摺動するので、従来のすべり免震装置に比較して、摩擦係数を極めて小さくすることができる。
すべり免震装置と弾性免震装置とを並列して配設する免震構造の場合を例にとり、すべり免震装置における摩擦係数の重要性について説明する。
すべり免震装置と弾性免震装置とを併用した場合、建物全体の見かけ上の摩擦係数μ0は、次式で表される。
μ0={1+(K2/K1)}μα
ここで、K2:弾性免震装置のばね定数
K1:すべり免震装置のばね定数
μ:すべり免震装置の摩擦係数
α:すべり免震装置が分担する鉛直荷重の割合である。
【0018】
地震の震度が小さい場合においても免震構造が機能するためには、μ0を小さくする必要がある。例えば、震度3の地震を仮定すると、すべり免震が働き始める加速度は約20gal 以上であり、震度3からの地震に免震装置が機能するためには、μ0は 0.02 の値を要求される。すべり免震装置の摩擦係数μが 0.02 の値に達しない場合は、見かけ上の摩擦係数μ0= 0.02 を実現するために、すべり免震装置と弾性免震装置とが並列に配設される。
【0019】
本発明の免震構造では、弾性免震装置のばね定数は、すべり免震装置のばね定数に比較して、積層されているためにはるかに小さいので、μ0= 0.02 を実現するためのμとαとの関係を、K1= 20K2と仮定した。この関係を表1に示す。
【表1】
逆に、μが0.1 のすべり免震装置をα=0.64 に相当する個数使用すると、見かけの摩擦係数μ0は約 0.067であり加速度に換算すると約67gal となり震度5(震度5は80gal 以上)近くなるまで免震構造として働かないことになる。
以上よりすべり免震装置の摩擦係数を下げることにより、例えば0.05以下とすることにより、すべり免震装置と弾性免震装置の組み合わせを設定できる範囲が拡がるので、免震構造の設計可能範囲を大幅に拡大できる。
【0020】
本発明は、平滑板2の表面に潤滑性被膜3を形成し、また、すべり材4を四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成することにより、相互の摩擦係数を大きく低下させることができたことに基づくものである。
平滑板2の材質としては、ステンレス板、その他の金属鋼板を用いることができ、また、潤滑性被膜3としては、低分子量潤滑成分をマトリクス樹脂に混合させた被膜である。
すべり材4の材質である四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物は、四フッ化エチレン系樹脂に繊維状配合剤および粉末状配合剤から選ばれた少なくとも一つの配合剤を配合した組成物であり、摩擦および摩耗性能に優れた樹脂組成物であることが好ましい。
【0021】
以下、本発明に係る四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物について説明する。
まず、この発明における四フッ化エチレン樹脂(PTFE)は四フッ化エチレン(テトラフルオロエチレン)の単独重合体であって、アルゴフロン(Ausimont社製)、テフロン(Du Pont社製)、フルオン(ICI社製)、ポリフロン(ダイキン工業社製)等の商標名で市販されているフッ素樹脂であり、 310〜 390℃で軟化して圧縮成形および押出成形は可能であるが、射出成形は不可能な樹脂である。さらに本発明においてPTFEは、粉状のものが均質に混合し易く好ましい。さらに本発明では許容面圧を考慮し、変性PTFEが好ましい。好適な変性PTFEの一般式を化1に示す。変性PTFEは、四フッ化エチレン単位と、四フッ化エチレンのフッ素が他の有機基(−X)で置換された置換四フッ化エチレン単位とから構成され、−Xは特に限定するものではないが、パ−フルオロアルキルエーテル基あるいはフルオロアルキル基などが好ましい。
【0022】
化1の変性PTFEを用いた場合、一般的なPTFEと比較して耐クリープ特性が向上し、許容面圧が 30MPa程度まで許容される。それに伴い、すべり面を小さくでき、同時に平滑板を含めてすべり免震装置の小型化が可能となる。
【化1】
【0023】
PTFE、変性PTFEの重合方法は一般的なモールディングパウダーを重合する懸濁重合法、ファインパウダーを重合する乳化重合法のいずれも採用できるが、分子量は約 50 万から 1,000万が好ましく、さらに限定すれば 100万から 700万が好ましい。
上市されている変性PTFEを具体的に例示すると、テフロン TG70J(三井・デュポンフロロケミカル社製)、ポリフロンM111、M112(いずれもダイキン工業社製)、ホスタフロンTFM1600、TFM1700(いずれもHoechst社製)等を挙げることができる。
【0024】
PTFE、変性PTFEに配合することのできる配合剤は繊維状配合剤または粉末状配合剤単独あるいは混合物を用いることができる。以下に代表的な配合剤の例を述べる。
繊維状配合剤はガラス繊維あるいは炭素繊維が挙げられる。炭素繊維はピッチ系あるいはパン系炭素繊維のいずれでもよい。
炭素繊維の繊維長は 0.05mm以上、0.1mm以下のミルド繊維であることが好ましい。また、糸種は特に限定しないが、 2,000℃焼成あるいはそれ以上の温度での処理品(黒鉛化品)より 1,000℃焼成品(炭化品)の方が好ましい。また、低弾性を狙った低温焼成品あるいは高弾性を狙った高温焼成品いずれも使用することができる。繊維径はφ 20 μm 以下、好ましくは、φ 5μm 〜φ 15 μm であり、アスペクト比は 5〜 80 、好ましくは 20 〜 50 である。
上市されている炭素繊維を具体的には例示すると、ピッチ系炭素繊維としてクレカミルド M101S、M201S(いずれも呉羽化学社製)、ドナカーボンS241、S244(いずれも大阪ガスケミカル社製)、パン系炭素繊維としてベスファイト HTA−CMF0160−0H、HTA−CMF0070−0H(いずれも東邦レーヨン社製)等を挙げることができる。
【0025】
繊維状配合剤の他の例として、短繊維の各種ウィスカを挙げることができる。
ウィスカは、硫酸カルシウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ等が挙げられる。
上述の炭素繊維とウィスカとを併用すれば、炭素繊維は基材を大きく補強するのに対して、これらのウィスカはミクロ補強の役割を果たすので、すべり材の耐クリープ性、耐摩耗性が著しく向上する。また、ウィスカは炭素繊維に比べて短繊維であるため摩擦面での存在割合が大きく、ほとんどの摩擦せん断を受け持つために、潤滑性被膜が形成された平滑板を損傷しない。しかし、ウィスカの繊維長が短かすぎると十分な耐クリープ性、耐摩耗性は得られず、繊維長は炭素繊維よりもわずかに短い 50 μm 前後であることが好ましい。これに該当するウィスカとしては、硫酸カルシウムウィスカの無水塩型、半水塩型が挙げられ、好ましくは無水塩型である。
上市されているウィスカを具体的には例示すると、硫酸カルシウムウィスカとしてフランクリンファイバーA−30(無水塩型)、フランクリンファイバーH−30(半水塩型)(繊維長 50〜 60μm 、大日精化工業社製)、チタン酸カリウムウィスカとしてティスモN(繊維長 10〜 20μm 、大塚化学社製)、タイブレック(繊維長 20μm 、川鉄鉱業社製)、酸化亜鉛ウィスカとしてパナテトラ(繊維長 2〜 50μm 、松下電器産業社製)、硫酸マグネシウムウィスカとしてモスハイジ(繊維長 10〜 30μm 、宇部興産社製)等を挙げることができる。
【0026】
粉末状配合剤は、有機化合物系粉末配合剤と無機化合物系粉末配合剤とを挙げることができる。
有機化合物系粉末配合剤は、PTFEの成形温度 380℃に耐えうる粉末であることが好ましい。例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂(三井化学社製)、熱硬化性ポリイミド樹脂(Furon社製、宇部興産社製)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(Victrex MC社製)、全芳香族ポリエステル樹脂(住友化学工業社製)、アラミド粉末、ポリアミドイミド樹脂(三菱化成社製)等を挙げることができる。また、成形性などを考慮すれば、熱硬化性樹脂を硬化後、 500℃以上の高温で熱処理、粉砕された有機化合物系粉末が好ましい。さらに 2,000℃以上で処理し、黒鉛化したものが好ましい。熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などがある。粉砕後の平均粒径は 50μm 以下、好ましくは 25μm 以下であり、形状は球状が好ましい。市販されている球状の黒鉛化処理された粉末を例示すると、メソカーボンビーズ(大阪ガスケミカル社製)、ベルパール(鐘紡社製)、ユニベックス(ユニチカ社製)、マイクロカーボンビーズ(日本カーボン社製)を挙げることができる。
【0027】
無機化合物系粉末は、二硫化モリブデン、酸化亜鉛、酸化チタン、黒鉛、金属酸化粉末、ガラスビーズ、シリカ粉末等を挙げることができる。
実際の地震を考慮した場合、潤滑性被膜が形成された平滑板への攻撃性および多方向への安定したすべり性より、配合剤は繊維状よりも粉末状が好ましい。また、その形状は球状であることが平滑板への非攻撃性および低摩擦特性に優れ好ましい。さらに、配合剤が炭素質またはグラファイト質であることが好ましい。具体的にはグラファイト化処理された球状粉末が好ましい。
炭素質配合剤は、例えば熱硬化性樹脂を硬化後、 500℃以上の温度で熱処理することにより得られる。また、グラファイト質配合剤は、例えばフェノール樹脂を硬化後、2,000℃以上の温度で熱処理することにより得られる。
【0028】
配合剤の配合量はPTFEまたは変性PTFE 100体積部に対して 5〜 40 体積部であることが好ましい。配合剤が 40 体積部を越えると成形性に問題が生じたり、平滑板の潤滑性被膜を損傷する場合がある。ただし、 5体積部未満であれば補強効果に乏しく、十分な耐クリープ性、耐摩耗性が得られない。
【0029】
以上述べたこの発明に用いる諸原料を混合・混練する手段は特に限定するものではなく粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサー等にて乾式混合すればよい。さらに、湿式法などにより成形方法に合致する所定の粒径の粒状に造粒することが好ましい。
成形について述べれば、一般的に知られた方法を採用することができる。例示すれば、フリーベーキング、ホットモールディング、アイソスタチックモールディング、連続ラム押し出し成形、ペースト押し出し、ダイレクトモールド等を挙げることができる。
本発明に係るすべり材を得る工程としては、フリーベーキングの後、スカイブにより所定のシート厚みとする。構造物の一方のフーチングに設置する金属製プレートとすべり材とを接合するには、すべり材の片面をエッチングし、接着可能状態とする。その後、エポキシ系、フェノール系あるいはポリイミド系接着剤により接合させる。
【0030】
平滑板の表面に形成される潤滑性被膜について説明する。潤滑性被膜は、マトリクス樹脂内に低分子量潤滑成分が配合されてなる。
マトリクス樹脂はポリイミド系樹脂および熱硬化性樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であることが好ましい。ポリイミド系樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂などを、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などを例示することができる。
ポリイミド系樹脂としてはポリアミドイミド樹脂が、熱硬化性樹脂としてはフラン樹脂が、摺動特性および耐候性などを考慮して好ましい。
潤滑性被膜を形成するために、まずマトリクス樹脂を溶剤に分散させたものが好ましい。溶剤類を例示すれば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、メチルグリコールアセテート、2−ニトロプロパン、エチレングリコールアセテート、トルエン、クレシル酸などが挙げられ、これらの混合物であってもよい。
また、マトリクス樹脂に配合させることのできる低分子量潤滑成分とは平均分子量 50,000以下、好ましくは 10,000以下の含フッ素重合体およびポリシロキサンが好ましい。
【0031】
含フッ素重合体は、ポリフルオロアルキル重合体またはフルオロポリエーテル重合体などの含フッ素重合体が好ましい。
ここで、ポリフルオロアルキル重合体とは、例えば、CF3(CF2)7−、H(CF2)6−、CF2Cl (CF2)CF11−、(CF3)2CF(CF2)7−、CF2Cl (CF3)CF(CF2)7−などのポリフルオロアルキル基を有する重合体であり、フルオロポリエーテル重合体は、一般式、−CXF2X−O−(X は 1〜4 の整数)で示される単位を主要構造単位とし、数平均分子量が 1,000 〜50,000の重合体である。なお、このような含フッ素重合体で、金属等に対して親和性の高い官能基、例えばグリシジル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフォン基、エステル基等を含有しているものがあるが、これらの官能基を有する含フッ素重合体はすべり特性や耐候性を満足しないおそれがあるため、官能基を有さない含フッ素重合体が好ましい。
【0032】
ポリシロキサンは、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、トリメチルフルオロプロピルシロキサンなどのオルガノシロキサンの単独重合体または二種以上の共重合体が好ましい。
【0033】
官能基を含まないポリオルガノシロキサン、例えば線状オルガノポリシロキサンブロックを主体とするポリシロキサンの一般式を化2に示す。また、その一例を化3に示す。
【化2】
(R´は同種もしくは異種の一価の有機基または水素を表す)
【化3】
(mは 5〜10,000、nは 2〜100 の整数を表す)
【0034】
ポリシロキサンの他の形態は、アルコキシシランもしくはカーボンファンクショナルシランを主体に構成されたオルガノシランである。これらのオルガノシランを組み合わせても、またこれらのオルガノシランにコロイド状シリカもしくはアクリルポリマーなどを配合したものであってもよい。好ましいオルガノシランとしては、例えば化4に例示することができる。
【化4】
なお、これらのオルガノシランの重合体の膜を被覆するときには、平滑板表面に予めプライマーを塗布しておくことが必要である。
【0035】
上記の含フッ素重合体あるいはポリシロキサンの保持材として、有機化合物としてはシリコーン樹脂粉末、無機化合物としては一般的なカーボン粉末あるいは黒鉛粉末を配合してもよい。ただし、これらの配合剤の粒径は 1〜10μm が好ましい。
また、含フッ素重合体あるいはポリシロキサンの配合量は、マトリクス樹脂 100体積部に対して 5〜 40 体積部であることが好ましい。配合量が 40 体積部を越えると被膜の密着強度が低下したり、耐摩耗特性が低下する場合がある。また、 5体積部未満であると低摩擦係数が得られなくなる。
被膜の膜厚は 5μm 以上、30μm 以下が好ましい。なぜならば、 5μm 未満であれば、耐久性に劣り、30μm を越えると塗布作業性が困難となり、安定した被膜が得られにくい。
また、被膜の表面あらさは算術平均あらさRaにて 0.5〜2.5 μm が好ましく、すべり材全体の形状は凹形状より、むしろ、中央部への緩やかな凸形状(0.1〜1.0mm)が好ましい。
【0036】
以上述べた本発明に用いる諸原料を混合・混練する手段は特に限定するものではなくマトリクス樹脂、およびその他配合剤をボールタンブラミキサーなどに一括配合し、所定時間混練すればよい。また、被膜の形成方法は、一般的なスプレーコーティング後、焼成すればよい。
【0037】
本発明のすべり免震装置は、上述のすべり材と潤滑性被膜が形成された平滑板とから構成されるが、さらに、すべり材がすべり出すまでに、その水平力に抗して変形可能な部材がすべり材に直接または中板を介して直列に設けられていることが好ましい。これは、すべり面の面当たり性を確保することが容易となるためである。
水平力に抗して変形可能な部材としては、単純にゴム材、すなわち、単層から積層のゴム部材、または、エアダンパー、オイルダンパー、ウォータダンパー、コイル、バネ、粘性体、球面受けなどを用いることができる。
【0038】
本発明の免震構造は、下部躯体と上部躯体との間に上述のすべり免震装置を少なくとも備えてなる。
また、上述のすべり免震装置のみであっても、本発明は免震性能を発揮するが、上部躯体に対して高周波成分の低減の効果を出すため、また、地震に対して残留滑りの発生を抑えるために、復元性を有する装置を併用することが好ましい。特にすべり免震装置と弾性免震装置とを併用することが好ましい。また、併用することにより、見かけの摩擦係数を低下させることができる。弾性免震装置としては、積層ゴムからなる弾性免震装置であってもよい。最も好ましい弾性免震装置は、鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムである。鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰弾性ゴムからなる積層ゴムを用いた弾性免震装置と本発明に係るすべり免震装置とを組み合わせることにより、免震層の変形を小さく抑えながら免震効果を発揮できる、地震後の残留変形を小さくできるなどの利点がある。
【0039】
すべり免震装置と弾性免震装置とを併用する免震構造の一例について図3により説明する。図3はすべり免震装置と弾性免震装置とを併用した免震構造の断面図である。すべり免震装置1と、上下部躯体に固定された積層ゴム弾性免震装置10とが、上部躯体9と下部躯体8との間に配設されている。
本発明の免震構造は、すべり免震装置1の摩擦係数μを0.05以下に設定するので、弾性免震装置10の数を少なくしても見かけの摩擦係数μ0を小さくすることができる。その結果、すべり出しの加速度を小さく保ったまま免震周期の長周期化ができ、また免震構造の設計の自由度を増すことができる。
【0040】
【実施例】
実施例および比較例に用いる材料を以下に示す。また、これら材料を用いた実施例および比較例の配合割合を表1および表2に示す。
1.四フッ化エチレン系樹脂
(1)変性PTFE−1 テフロンTG70J(三井・デュポンフロロケミカル社製)
(2)一般PTFE テフロン7J(三井・デュポンフロロケミカル社製)
2.配合剤
(1)CF−1(ピッチ系炭素繊維) クレカミルドM101S(呉羽化学社製)
(2)球状黒鉛 ベルパールC2000(鐘紡社製)
(3)硫酸カルシウムウィスカ フランクリンファイバーA−30(無水塩型)(大日精化工業社製)
(4)ガラス繊維 MF−KAC(旭ファイバーグラス社製)
(5)黒鉛 ACP(日本黒鉛社製)
3.マトリクス樹脂
(1)エポキシ樹脂
(2)フラン樹脂
4.低分子量潤滑成分
(1)含フッ素重合体 フォンブリンZ25(Ausimont社製)
(2)ポリシロキサン ジチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製)
5.その他
(1)カーボンブラック FEF(東海カーボン社製)
(2)シリコーン粉末 E501(東レ・ダウコーニング社製)
【0041】
上記材料を用いてすべり材1〜すべり材10、および潤滑性被膜形成のためのコーティング材1〜コーティング材10を以下の方法で作製した。
すべり材は、表2に示す組成をヘンシェル乾式混合機を用いてドライブレンドし、プレス機を用いてφ124mm×φ64mm× 100mmの円筒素形材を予備成形し、 370℃× 4時間、フリーベーキング法にて焼成した。さらにスカイビング加工により 1mm×80mm×1,000mm のシート試験片を得た。シートの片面をアルカリ処理によりエッチングし、接着可能とした。ステンレス製治具( 20mm × 20mm × 10mm )の一面にエポキシ系接着剤を用いて、接合し、摩擦係数μ測定用のすべり材試験片とした。
【0042】
【表2】
【0043】
一方、コーティング材は、表3に示す組成をボールミルタンブラを用いて、混練し、コーティング液とした。ステンレス板( 40mm × 40mm ×180mm )の一面にスプレーコーティングし、 200℃で約 30 分間焼成し、潤滑性被膜が形成された平滑板とした。なお、膜厚は約 10 から 15 μm であった。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例1〜実施例14および比較例1〜比較例6
すべり材とコーティング材とを、表4に示すように組み合わせて、その摩擦摩耗試験を行なった。試験は往復動型試験機を用いた。試験条件は、すべり速度 15cm/sec、荷重 30MPa、ストローク±35mmで 300サイクルの往復動運転を行ない、10、 100、 300サイクル時の摩擦係数を測定した。結果を表4に示す。
また、すべり材の圧縮特性を圧縮クリープにより求めた。圧縮クリープは、ASTM D621を参照し、常温にて面圧 30MPaで圧縮し、 24 時間後の最大変形率を求めた。結果を表2に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表2および表4の結果から明らかなように、本発明のすべり免震装置に用いるすべり材の圧縮クリープ特性は、 24 時間後の最大変形率が 30MPaで 15 %以下であり、 30MPaという高面圧でもすべり免震装置の使用可能性が認められた。
また、本発明に係るコーティング材から得られる平滑板との組み合わせにより、実際の往復動の数十倍にあたる 300サイクルまで摩擦係数μ約 0.03 と小さく安定していた。
【0048】
実施例2および比較例4のすべり免震装置を積層ゴム弾性免震装置とそれぞれ並列に配設して、免震構造のシミュレーション解析を行なった。シミュレーション解析モデルを図4に示す。
採用した建物のモデルを以下に示す。
1)規 模:地下2階、地上6階、塔屋1階(地下階を含む高さ 40.5m)
2)構造種別:SRC造
3)1次固有周期: 0.86 秒
4)1次減衰定数: 2%
免震構造は地下 2階床下に設置したすべり免震装置1と鉛プラグ入り積層ゴム免震装置10の混合配置からなる基礎免震構造とする。また、解析モデルは各階重量を 1質点に集約した 9質点系等価せん断モデルとする。以下に解析条件を示す。
【0049】
建物モデルの条件:1)各階の重量及び剛性を図4に示す。2)建物部分は弾性とする。
【0050】
免震層モデルの条件:
1)それぞれの免震装置の負担重量比率は、すべり免震装置が 55 %、鉛プラグ入り積層ゴム免震装置(LRB)10が 45 %とする。
2)鉛プラグ入り積層ゴム免震装置の復元力特性はNormal Bi-Linear型とし、第2勾配は初期剛性の1/6.5 とする。
3)免震構造の復元力特性はNormal Bi-Linear型とし、初期剛性はすべり免震装置と直列に配置した
4)水平力に対して変形可能な部材はせん断弾性係数G5.5kg/cm2、厚さ16mmの単層ゴムとした。
5)すべり材の組み合わせは、摩擦係数μが0.03とする。なお比較例はμが0.10とする。
【0051】
入力地震動の条件:
入力地震動としては、El Centro 1940 NS 、Taft 1952 EW、Hachinohe 1968 NS の 3波を最大速度が 50kine となるように比例倍して用いる。
【0052】
シミュレーション解析結果を図5に示す。入力地震動によって多少の差違はあるものの、摩擦係数μが0.03の本発明に係る免震構造は、全般的にμが0.10である比較例のデータに比べて応答値が低減されている。特に応答加速度および層せん断力係数に関しては本発明に係る免震構造は最大 50 %程度応答値が低減されている。以上の解析により実施例の摩擦低減の効果は非常に大きい。
【0053】
【発明の効果】
本発明のすべり免震装置は、マトリクス樹脂内に低分子量潤滑成分を含有する潤滑性被膜が形成された平滑板と、四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成され、平滑板に一方の面が摺接するすべり材とを具備するので、摺動開始初期およびその後も安定して、優れた低摩擦特性を有する。その結果、免震設計の自由度が増し、また本発明のすべり免震装置を用いることにより免震構造の小型化が図れる。
【0054】
また、潤滑性被膜が、マトリクス樹脂がポリイミド系樹脂および熱硬化性樹脂、特にフラン樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂であるので、安定した低摩擦特性を有するすべり免震装置が得られる。
【0055】
四フッ化エチレン系樹脂への配合剤が繊維状配合剤および粉末状配合剤から選ばれた少なくとも一つの配合剤で、また、上記粉末状配合剤の形状が球状で、また、上記配合剤が炭素質またはグラファイト質であるので、すべり材の耐摩耗性を向上させるとともに、圧縮クリープ性に優れ、高面圧下における潤滑性被膜との摺動において、優れた摩擦係数を維持することができる。
【0056】
四フッ化エチレン系樹脂が変性四フッ化エチレン樹脂であるので、潤滑性被膜との摺動において、優れた摩擦係数を得ることができる。
【0057】
本発明のすべり免震装置は、上記潤滑性被膜およびすべり材に加えて、すべり材の摺接面の対面に直接または中板を介して、水平力に抗して変形可能な部材が積層されてなるので、免震構造の設計可能範囲を拡大することができる。
また、中板を設けることにより、面圧を大きくすることができ、摩擦係数を下げることができる。
【0058】
本発明の免震構造は、すべり免震装置部分が上記すべり免震装置であるので、すべり出しの加速度を小さく保ったまま免震周期の長周期化ができる。
【0059】
また、弾性免震装置を並列して用いるので、また、その弾性免震装置の一部または全部が鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムであるので、免震構造の設計可能範囲をより大幅に拡大することができる。
特に弾性免震装置の一部または全部が鉛プラグ入積層ゴム、あるいは高減衰積層ゴムであると、摩擦係数を 0.05 以下のすべり免震装置の作用とともに、大きな地震力のみならず小さな地震力においても、十分な免震機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】すべり免震装置の断面図である。
【図2】単層ゴム材の変形量と有効受圧面積との関係を示す図である。
【図3】すべり免震装置と弾性免震装置とを並列に配設した免震構造の断面図である。
【図4】建物モデルの条件を示す図である。
【図5】シミュレーション解析結果を示す図である。
【図6】従来の弾性すべり免震装置の断面図である。
【図7】積層ゴム部分の変形量と有効受圧面積との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 すべり免震装置
2 平滑板
3 潤滑性被膜
4 すべり材
5 中板
6 単層ゴム材
7 上板
8 下部躯体
9 上部躯体
10 積層ゴム弾性免震装置[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention provides a sliding seismic isolation device that supports an architectural structure ranging from a high-rise structure such as a building or a tower to a low-rise structure such as a detached house, a civil engineering structure leading to a bridge such as a road or a railway, and reduces the external force of the earthquake. This is related to seismic isolation structure.
[0002]
[Prior art]
Seismic isolation is to reduce the seismic force applied to a building in some way. At present, the mainstream of seismic isolation method is the “basic insulation type” which reduces the seismic input to the building by inserting a seismic isolation device between the lower housing, for example, the foundation and the upper housing, for example, the building. .
As the seismic isolation device, for example, an elastic seismic isolation device (laminated rubber seismic isolation device) in which steel plates and rubber materials are alternately laminated is known. However, this elastic seismic isolation device has a problem of poor damping performance. is there. For this reason, the component near the natural frequency with respect to the rigidity in the horizontal direction resonates with respect to the input, which may cause excessive deformation and break the laminated rubber. On the other hand, although the method of making rubber material into high damping rubber was considered, there were many limits in support load and design seismic isolation cycle.
[0003]
As another seismic isolation device, for example, a sliding seismic isolation device in which a sliding support is provided on an end face of a laminated rubber has been proposed. An example of a conventional slip isolation device is shown in FIG. FIG. 6 is a cross-sectional view of a conventional slip isolation device.
The sliding seismic isolation device includes an
Such a seismic isolation structure using a sliding seismic isolation device has an advantage that energy is consumed by sliding against a large deformation caused by a large earthquake.
Here, the seismic isolation structure refers to a state in which a plurality of seismic isolation devices are disposed between the lower and upper housings when the seismic isolation device is constructed. The seismic isolation device is a single device that can be seismically isolated. The slip isolation device means a seismic isolation device having at least a sliding support.
[0004]
There is known a seismic isolation structure in which the above-mentioned elastic seismic isolation device and a sliding seismic isolation device are arranged in parallel so as to receive the vertical load of the upper structure by both of them (Japanese Patent Laid-Open No. Hei 8-158697).
In addition, it is known that a coating made of a fluorine-based or polysiloxane-based compound having a functional group is provided on a metal plate as a means for reducing friction in a slip isolation device (Japanese Patent No. 2629011).
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, any conventional seismic isolation structure using a slip isolation device has a problem that the friction coefficient of the slip isolation device cannot be reduced to about 0.1 or less.
For example, if the friction coefficient of the slip isolation device is about 0.1, the slip isolation device will not slide unless the seismic force is 0.1G or more. In order to secure the seismic isolation performance to some extent, it is necessary to use a laminated rubber having a certain number of rubbers in order to alleviate the influence of the static friction force until slipping out.
However, if the laminated rubber elastic seismic isolation device tries to obtain a seismic isolation effect against an earthquake force of about 0.1G, the laminated rubber will be deformed horizontally and the load will be unevenly distributed when slipping out. This was a cause of lowering the durability of the slip surface.
[0006]
Further, when the laminated rubber portion is deformed horizontally, there is a problem that the projected area of the rubber that receives the vertical axial force, that is, the effective pressure receiving area becomes small. The relationship is shown in FIG. FIG. 7 is a diagram showing the relationship between the deformation amount of the laminated rubber portion and the effective pressure receiving area.
In the case of a small-scale earthquake in which the sliding bearing does not slide, the laminated
Since the allowable surface pressure of the laminated rubber part is 10 to 15 MPa, for example, when the axial force of the pillar exceeds 1,000 tons, the diameter of the laminated rubber may be as large as φ1,300 mm or more. Along with that, the diameter of the steel plate that is the counterpart material of the slip material needs to exceed φ2,000mm, and the device tends to be large with poor workability in installation, and it is not possible to meet the recent demand for weight reduction of the device There is.
[0007]
On the other hand, when a coating made of a fluorine-based or polysiloxane-based compound having a functional group is provided, there is a problem that it is difficult to maintain the wear resistance of the lubricating coating at a low value for a long time and the durability is poor. .
[0008]
The present invention has been made to cope with such a problem. A slip seismic isolation device that has a sufficient seismic isolation function and can be downsized not only with a large seismic force but also with a small seismic force, and the same. The purpose is to provide the seismic isolation structure used.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The slip seismic isolation device of the present invention is disposed between the lower housing and the upper housing. Supports architectural structures from high-rise structures to low-rise structures, or civil engineering structures, and reduces earthquake external forces Sliding seismic isolation device, which is a matrix resin At least one selected from fluoropolymers or polysiloxanes having an average molecular weight of 50,000 or less in 100 parts by volume Low molecular weight lubricant 5-40 parts by volume Lubricant containing Coating And a sliding material formed of a resin composition containing a tetrafluoroethylene-based resin as a main component and having one surface slidingly contacted with the smooth plate.
By forming the slip material with a resin composition containing a tetrafluoroethylene-based resin as a main component, the wear resistance can be reduced. In addition, by combining with a smooth plate on which a lubricating coating is formed, the friction coefficient with the lubricating coating can be maintained at a low value for a long period of time, for example, 0.05 or less at a surface pressure of 15 MPa or more.
[0010]
The matrix resin is at least one resin selected from a polyimide resin and a thermosetting resin, particularly a furan resin. Here, the matrix resin refers to a resin capable of holding a low molecular weight lubricating component.
By setting it as the said structure, the sliding seismic isolation apparatus which has the stable low friction characteristic is obtained.
[0011]
The compounding agent blended in the resin composition containing a tetrafluoroethylene-based resin as a main component is at least one compounding agent selected from a fibrous compounding agent and a powdery compounding agent.
In addition, the powdery compounding agent has a spherical shape, and the compounding agent is carbonaceous or graphite.
By blending the above compounding agent with the resin composition constituting the slip material, the wear resistance of the slide material is improved, and the compression creep property is excellent, and the sliding with the lubricating coating under high surface pressure is excellent. The coefficient of friction can be maintained.
[0012]
Modified tetrafluoride, in which the tetrafluoroethylene-based resin constituting the slip material is composed of tetrafluoroethylene units and substituted tetrafluoroethylene units in which the fluorine of the tetrafluoroethylene is replaced with other organic groups It is an ethylene resin.
By using the modified tetrafluoroethylene resin, an excellent friction coefficient can be obtained in sliding with the lubricating coating.
[0013]
In addition to the lubricating coating and the sliding material, the sliding seismic isolation device of the present invention can be used either directly on the sliding surface of the sliding material or through the intermediate plate until the sliding material slides on the smooth plate. A member that can be deformed against a force is arranged in series.
By providing the intermediate plate, the surface pressure can be increased and the friction coefficient can be lowered.
[0014]
The seismic isolation structure of the present invention is a seismic isolation structure comprising at least a slip isolation device disposed between a lower housing and an upper housing, and the slip isolation device is the above-described slip isolation device. It is characterized by being.
By using the above-mentioned slip isolation device, the base isolation structure of the present invention can lengthen the base isolation cycle while keeping the slip acceleration small.
[0015]
Furthermore, a device having a restoring force is additionally provided.
Furthermore, an elastic seismic isolation device is arranged in parallel between the lower housing and the upper housing. In addition, a part or all of the elastic seismic isolation device is a laminated rubber with a lead plug or a highly attenuated laminated rubber.
By using an elastic seismic isolation device, particularly a laminated rubber with a lead plug or a highly damped laminated rubber, the design range of the seismic isolation structure can be greatly expanded. In particular, if the elastic seismic isolation device is a laminated rubber with lead plugs or a highly damped laminating rubber, the seismic isolation device with a coefficient of friction of 0.05 or less is sufficient, not only for large seismic forces but also for small seismic forces. It can have a seismic function.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
An example of the slip isolation device of the present invention will be described with reference to FIG. FIG. 1A is a cross-sectional view of a sliding seismic isolation device provided between a lower housing and an upper housing, and FIG.
The sliding
[0017]
In the present invention, the
The importance of the coefficient of friction in a slip isolation device will be described using an example of a base isolation structure in which a slip isolation device and an elastic isolation device are arranged in parallel.
When using a slip isolation device and an elastic isolation device together, the apparent friction coefficient μ of the entire building 0 Is expressed by the following equation.
μ 0 = {1+ (K 2 / K 1 )} Μα
Where K 2 : Spring constant of elastic seismic isolation device
K 1 : Spring constant of slip isolation device
μ: Friction coefficient of slip isolation device
α: Percentage of vertical load shared by the slip isolation device.
[0018]
In order for the seismic isolation structure to function even when the seismic intensity is small, μ 0 Need to be small. For example, assuming an earthquake with a seismic intensity of 3, the acceleration at which slip isolation begins to work is about 20 gal or more. 0 Is required to have a value of 0.02. If the friction coefficient μ of the seismic isolation device does not reach the value of 0.02, the apparent friction coefficient μ 0 = To realize 0.02, slip isolation device and elastic isolation device are installed in parallel.
[0019]
In the seismic isolation structure of the present invention, the spring constant of the elastic seismic isolation device is much smaller because it is stacked compared to the spring constant of the slip isolation device. 0 = Μ to achieve 0.02, the relationship between α and α 1 = 20K 2 Assumed. This relationship is shown in Table 1.
[Table 1]
Since α basically indicates the number of slip isolation devices with respect to the total number of isolation devices, if μ is 0.1, approximately 80% of the isolation devices need to be elastic isolation devices. On the other hand, when μ is 0.05, the ratio of elastic seismic isolation devices is significantly reduced to approximately 40% when μ is 0.03. Therefore, by setting the friction coefficient of the slip isolation device to, for example, 0.05 or less, preferably 0.04 or less, more preferably 0.03 or less, it becomes a seismic isolation structure that depends on the slip isolation device, so that the acceleration of the slip is kept small. The seismic cycle can be lengthened.
Conversely, if a number of slip isolators with a μ of 0.1 are used, the apparent friction coefficient μ 0 Is approximately 0.067, and when converted to acceleration, it is approximately 67 gal, and will not work as a seismic isolation structure until seismic intensity 5 (
From the above, by reducing the friction coefficient of the slip isolation device, for example by setting it to 0.05 or less, the range in which the combination of the slip isolation device and the elastic isolation device can be set is expanded. Can be expanded.
[0020]
In the present invention, the
As the material of the
The resin composition mainly composed of tetrafluoroethylene-based resin that is the material of the sliding
[0021]
Hereinafter, the resin composition containing the tetrafluoroethylene resin according to the present invention as a main component will be described.
First, the tetrafluoroethylene resin (PTFE) in the present invention is a homopolymer of tetrafluoroethylene (tetrafluoroethylene), which is Algoflon (manufactured by Ausimant), Teflon (manufactured by Du Pont), fullon (ICI). ), Polyfluorone (Daikin Kogyo Co., Ltd.), and other commercially available fluororesins that are softened at 310-390 ° C and can be compression-molded and extruded, but not injection-molded Resin. Furthermore, in the present invention, it is preferable that PTFE is easily mixed in a powder form. Further, in the present invention, modified PTFE is preferable in consideration of the allowable surface pressure. A general formula of a suitable modified PTFE is shown in
[0022]
When the modified PTFE of
[Chemical 1]
[0023]
As a polymerization method of PTFE and modified PTFE, either a suspension polymerization method for polymerizing a general molding powder or an emulsion polymerization method for polymerizing a fine powder can be adopted, but the molecular weight is preferably about 500,000 to 10 million, and further limited. 1 to 7 million is preferable.
Specific examples of commercially available modified PTFE include Teflon TG70J (Mitsui / DuPont Fluoro Chemical Co., Ltd.), Polyflon M111 and M112 (both made by Daikin Industries, Ltd.), Hostaflon TFM1600, TFM1700 (both manufactured by Hoechst), etc. Can be mentioned.
[0024]
As the compounding agent that can be incorporated into PTFE and modified PTFE, a fibrous compounding agent or a powdery compounding agent alone or a mixture can be used. The example of a typical compounding agent is described below.
Examples of the fibrous compounding agent include glass fiber or carbon fiber. The carbon fiber may be either pitch-based or bread-based carbon fiber.
The fiber length of the carbon fiber is preferably a milled fiber having a length of 0.05 mm or more and 0.1 mm or less. The yarn type is not particularly limited, but a 1,000 ° C. fired product (carbonized product) is more preferable than a product (graphitized product) fired at 2,000 ° C. or higher. Moreover, either a low-temperature fired product aiming at low elasticity or a high-temperature fired product aiming at high elasticity can be used. The fiber diameter is φ20 μm or less, preferably φ5 μm to φ15 μm, and the aspect ratio is 5 to 80, preferably 20 to 50.
Specific examples of commercially available carbon fibers include pitch-based carbon fibers Crecamildo M101S and M201S (both manufactured by Kureha Chemical Co., Ltd.), Donna Carbon S241 and S244 (both manufactured by Osaka Gas Chemical Co., Ltd.), and pan-based carbon. Examples of fibers include Besfight HTA-CMF0160-0H and HTA-CMF0070-0H (both manufactured by Toho Rayon Co., Ltd.).
[0025]
Other examples of fibrous compounding agents include various whiskers of short fibers.
Examples of the whisker include calcium sulfate whisker, potassium titanate whisker, zinc oxide whisker, and magnesium sulfate whisker.
If the above-mentioned carbon fibers and whiskers are used in combination, the carbon fibers greatly reinforce the base material, whereas these whiskers play a role of micro-reinforcement, so that the creep resistance and wear resistance of the slip material are remarkably high. improves. In addition, whiskers are short fibers compared to carbon fibers, and therefore have a large proportion of frictional surfaces, and because they are responsible for most frictional shear, they do not damage the smooth plate on which the lubricating coating is formed. However, if the whisker fiber length is too short, sufficient creep resistance and wear resistance cannot be obtained, and the fiber length is preferably about 50 μm, which is slightly shorter than the carbon fiber. The whisker corresponding to this includes anhydrous salt type and hemihydrate type of calcium sulfate whisker, preferably anhydrous salt type.
Specific examples of commercially available whiskers include: Franklin fiber A-30 (anhydrous salt type), Franklin fiber H-30 (hemihydrate type) (fiber length 50-60 μm, Dainichi Seika Kogyo Co., Ltd.) ) Tismo N (fiber length 10-20 μm, manufactured by Otsuka Chemical Co., Ltd.), Thaibrak (
[0026]
Examples of the powder compounding agent include an organic compound powder compounding agent and an inorganic compound powder compounding agent.
The organic compound powder compounding agent is preferably a powder that can withstand a molding temperature of PTFE of 380 ° C. For example, thermoplastic polyimide resin (Mitsui Chemicals), thermosetting polyimide resin (Furon, Ube Industries), polyether ether ketone resin (Victrex MC), wholly aromatic polyester resin (Sumitomo Chemical) And aramid powder, polyamideimide resin (manufactured by Mitsubishi Kasei Co., Ltd.), and the like. In consideration of moldability and the like, an organic compound-based powder that is heat-treated and pulverized at a high temperature of 500 ° C. or higher after curing the thermosetting resin is preferable. Further, a graphitized product treated at 2,000 ° C. or higher is preferred. Examples of the thermosetting resin include an epoxy resin, a polyimide resin, and a phenol resin. The average particle size after pulverization is 50 μm or less, preferably 25 μm or less, and the shape is preferably spherical. Examples of commercially available spherical graphitized powder include mesocarbon beads (manufactured by Osaka Gas Chemical Co., Ltd.), bell pearl (manufactured by Kanebo Co., Ltd.), unibex (manufactured by Unitika Ltd.), and microcarbon beads (manufactured by Nippon Carbon Co., Ltd.). Can be mentioned.
[0027]
Examples of the inorganic compound powder include molybdenum disulfide, zinc oxide, titanium oxide, graphite, metal oxide powder, glass beads, and silica powder.
When an actual earthquake is taken into consideration, the compounding agent is preferably in the form of powder rather than in the form of fiber due to the aggressiveness to the smooth plate on which the lubricating coating is formed and the stable slip in multiple directions. Further, it is preferable that the shape is spherical because of its excellent non-aggressiveness and low frictional property to the smooth plate. Further, the compounding agent is preferably carbonaceous or graphite. Specifically, a spherical powder that has been graphitized is preferred.
The carbonaceous compounding agent can be obtained, for example, by curing a thermosetting resin and then heat-treating it at a temperature of 500 ° C. or higher. The graphite compounding agent can be obtained by, for example, heat-treating a phenol resin at a temperature of 2,000 ° C. or higher after curing.
[0028]
The compounding amount of the compounding agent is preferably 5 to 40 parts by volume with respect to 100 parts by volume of PTFE or modified PTFE. If the compounding agent exceeds 40 parts by volume, there may be a problem in moldability or the lubrication film on the smooth plate may be damaged. However, if it is less than 5 parts by volume, the reinforcing effect is poor and sufficient creep resistance and wear resistance cannot be obtained.
[0029]
The means for mixing and kneading the various raw materials used in the present invention described above is not particularly limited, and only the powder raw material may be dry-mixed with a Henschel mixer, ball mixer, ribbon blender, ladyge mixer, ultra Henschel mixer, or the like. . Furthermore, it is preferable to granulate into a granule having a predetermined particle size that matches the molding method by a wet method or the like.
As for the molding, a generally known method can be adopted. Examples include free baking, hot molding, isostatic molding, continuous ram extrusion, paste extrusion, direct molding and the like.
In the step of obtaining the sliding material according to the present invention, after free baking, a predetermined sheet thickness is obtained by skiving. In order to join the metal plate installed on one footing of the structure and the sliding material, one surface of the sliding material is etched to be in an adhesive state. Thereafter, bonding is performed with an epoxy-based, phenol-based, or polyimide-based adhesive.
[0030]
The lubricating film formed on the surface of the smooth plate will be described. The lubricating coating is formed by blending a low molecular weight lubricating component in a matrix resin.
The matrix resin is preferably at least one resin selected from polyimide resins and thermosetting resins. Examples of the polyimide resin include polyamide imide resin and polyimide resin, and examples of the thermosetting resin include epoxy resin, phenol resin, and furan resin.
A polyamide-imide resin is preferable as the polyimide resin, and a furan resin is preferable as the thermosetting resin in consideration of sliding characteristics and weather resistance.
In order to form a lubricating coating, it is preferable to first disperse a matrix resin in a solvent. Examples of solvents include N, N-dimethylformamide, N, N-dimethylacetamide, N-methyl-2-pyrrolidone (NMP), methyl ethyl ketone, methyl glycol acetate, 2-nitropropane, ethylene glycol acetate, toluene, cresyl An acid etc. are mentioned, A mixture thereof may be sufficient.
The low molecular weight lubricating component that can be incorporated into the matrix resin is preferably a fluoropolymer and polysiloxane having an average molecular weight of 50,000 or less, preferably 10,000 or less.
[0031]
The fluorine-containing polymer is preferably a fluorine-containing polymer such as a polyfluoroalkyl polymer or a fluoropolyether polymer.
Here, the polyfluoroalkyl polymer is, for example, CF Three (CF 2 ) 7 -, H (CF 2 ) 6 -, CF 2 Cl (CF 2 CF 11 -, (CF Three ) 2 CF (CF 2 ) 7 -, CF 2 Cl (CF Three ) CF (CF 2 ) 7 A polymer having a polyfluoroalkyl group such as-, and the fluoropolyether polymer has a general formula: -C X F 2X A polymer having a unit represented by -O- (X is an integer of 1 to 4) as a main structural unit and a number average molecular weight of 1,000 to 50,000. Incidentally, in such a fluorinated polymer, a functional group having a high affinity for metals, such as glycidyl group, epoxy group, amino group, carboxyl group, hydroxyl group, mercapto group, isocyanate group, sulfone group, ester group, etc. However, since the fluorine-containing polymer having these functional groups may not satisfy the slip characteristics and weather resistance, a fluorine-containing polymer having no functional group is preferable.
[0032]
The polysiloxane is preferably a homopolymer of an organosiloxane such as dimethylsiloxane, methylphenylsiloxane, or trimethylfluoropropylsiloxane, or a copolymer of two or more.
[0033]
A general formula of a polyorganosiloxane containing no functional group, for example, a polysiloxane mainly composed of a linear organopolysiloxane block is shown in
[Chemical formula 2]
(R ′ represents the same or different monovalent organic group or hydrogen)
[Chemical 3]
(M represents an integer of 5 to 10,000 and n represents an integer of 2 to 100)
[0034]
Another form of polysiloxane is an organosilane composed mainly of alkoxysilane or carbon functional silane. These organosilanes may be combined, or these organosilanes may be blended with colloidal silica or acrylic polymer. Preferable organosilanes can be exemplified by
[Formula 4]
When coating these organosilane polymer films, it is necessary to apply a primer to the surface of the smooth plate in advance.
[0035]
As the above-mentioned fluoropolymer or polysiloxane holding material, a silicone resin powder as the organic compound and a general carbon powder or graphite powder as the inorganic compound may be blended. However, the particle size of these compounding agents is preferably 1 to 10 μm.
The blending amount of the fluoropolymer or polysiloxane is preferably 5 to 40 parts by volume with respect to 100 parts by volume of the matrix resin. If the blending amount exceeds 40 parts by volume, the adhesion strength of the film may be lowered, and the wear resistance may be lowered. If the amount is less than 5 parts by volume, a low friction coefficient cannot be obtained.
The film thickness is preferably 5 μm or more and 30 μm or less. This is because if the thickness is less than 5 μm, the durability is inferior, and if it exceeds 30 μm, the coating workability becomes difficult, and a stable coating is difficult to obtain.
The surface roughness of the coating is preferably 0.5 to 2.5 μm in terms of arithmetic mean roughness Ra, and the shape of the entire sliding material is preferably a gentle convex shape (0.1 to 1.0 mm) toward the center rather than a concave shape.
[0036]
The means for mixing and kneading the raw materials used in the present invention described above is not particularly limited, and the matrix resin and other compounding agents may be mixed together in a ball tumbler mixer and kneaded for a predetermined time. Moreover, what is necessary is just to bake after the general spray coating for the formation method of a film.
[0037]
The sliding seismic isolation device of the present invention is composed of the above-described sliding material and a smooth plate on which a lubricating coating is formed, and further, can be deformed against the horizontal force until the sliding material starts to slide. The member is preferably provided in series with the sliding member directly or via an intermediate plate. This is because it becomes easy to ensure the contact property of the sliding surface.
As a member that can be deformed against a horizontal force, a rubber material, that is, a rubber member of a single layer to a laminate, or an air damper, an oil damper, a water damper, a coil, a spring, a viscous body, a spherical surface receiver, etc. Can be used.
[0038]
The seismic isolation structure of the present invention comprises at least the above-described slip isolation device between a lower housing and an upper housing.
In addition, even if only the above-mentioned slip isolation device is used, the present invention exhibits seismic isolation performance. However, in order to produce an effect of reducing high-frequency components with respect to the upper frame, occurrence of residual slip against the earthquake In order to suppress this, it is preferable to use a device having resilience in combination. In particular, it is preferable to use a slip isolation device and an elastic isolation device in combination. Moreover, an apparent friction coefficient can be reduced by using together. The elastic seismic isolation device may be an elastic seismic isolation device made of laminated rubber. The most preferable elastic seismic isolation device is a lead plug-containing laminated rubber or a high-damping laminated rubber. By combining an elastic seismic isolation device using laminated rubber made of lead plug or laminated rubber made of high-damping elastic rubber with the slip isolation device according to the present invention, the seismic isolation effect can be achieved while minimizing deformation of the seismic isolation layer. There are advantages such as being able to demonstrate, and reducing residual deformation after an earthquake.
[0039]
An example of a seismic isolation structure using both a slip isolation device and an elastic isolation device will be described with reference to FIG. FIG. 3 is a cross-sectional view of a seismic isolation structure using both a slip isolation device and an elastic isolation device. A sliding
In the seismic isolation structure of the present invention, the friction coefficient μ of the sliding
[0040]
【Example】
The material used for an Example and a comparative example is shown below. Tables 1 and 2 show the blending ratios of Examples and Comparative Examples using these materials.
1. Tetrafluoroethylene resin
(1) Modified PTFE-1 Teflon TG70J (Mitsui / Dupont Fluoro Chemical)
(2) General PTFE Teflon 7J (Mitsui / DuPont Fluorochemicals)
2. Formulation
(1) CF-1 (pitch-based carbon fiber) Crecamill M101S (Kureha Chemical Co., Ltd.)
(2) Spheroidal graphite Bell Pearl C2000 (manufactured by Kanebo Co., Ltd.)
(3) Calcium sulfate whisker Franklin fiber A-30 (anhydrous salt type) (Daiichi Seika Kogyo Co., Ltd.)
(4) Glass fiber MF-KAC (Asahi Fiber Glass Co., Ltd.)
(5) Graphite ACP (Nippon Graphite Co., Ltd.)
3. Matrix resin
(1) Epoxy resin
(2) Furan resin
4). Low molecular weight lubricant
(1) Fluoropolymer Fomblin Z25 (Ausimont)
(2) Polysiloxane Ditylsiloxane (Toray Dow Corning)
5. Other
(1) Carbon black FEF (manufactured by Tokai Carbon Co., Ltd.)
(2) Silicone powder E501 (Toray Dow Corning)
[0041]
Using the above materials, sliding
The slip material is dry blended using the Henschel dry blender with the composition shown in Table 2, and a cylindrical shape of φ124mm x φ64mm x 100mm is pre-formed using a press machine, 370 ° C x 4 hours, free baking method Baked in. Furthermore, sheet test pieces of 1 mm x 80 mm x 1,000 mm were obtained by skiving. One side of the sheet was etched by alkali treatment to allow adhesion. One surface of a stainless steel jig (20 mm × 20 mm × 10 mm) was bonded with an epoxy adhesive to obtain a sliding material test piece for measuring the friction coefficient μ.
[0042]
[Table 2]
[0043]
On the other hand, the coating material knead | mixed the composition shown in Table 3 using the ball mill tumbler, and was set as the coating liquid. One surface of a stainless steel plate (40 mm × 40 mm × 180 mm) was spray coated and baked at 200 ° C for about 30 minutes to obtain a smooth plate on which a lubricating film was formed. The film thickness was about 10 to 15 μm.
[0044]
[Table 3]
[0045]
Examples 1 to 14 and Comparative Examples 1 to 6
The sliding material and the coating material were combined as shown in Table 4, and the friction and wear test was performed. A reciprocating tester was used for the test. The test conditions were a sliding speed of 15 cm / sec, a load of 30 MPa, a stroke of ± 35 mm, 300 cycles of reciprocating operation, and the friction coefficients at 10, 100, and 300 cycles were measured. The results are shown in Table 4.
Further, the compression characteristics of the sliding material were determined by compression creep. For compressive creep, ASTM D621 was referred, and compression was performed at room temperature with a surface pressure of 30 MPa, and the maximum deformation rate after 24 hours was determined. The results are shown in Table 2.
[0046]
[Table 4]
[0047]
As is clear from the results in Tables 2 and 4, the compression creep characteristics of the slip material used in the slip isolation device of the present invention has a maximum deformation rate of 15 MPa or less at 30 MPa after 24 hours. The possibility of using a seismic isolation device was recognized even under pressure.
Further, the combination with the smooth plate obtained from the coating material according to the present invention was stable with a small friction coefficient of about 0.03 up to 300 cycles, which is several tens of times the actual reciprocation.
[0048]
The slip isolation device of Example 2 and Comparative Example 4 was arranged in parallel with the laminated rubber elastic isolation device, and simulation analysis of the isolation structure was performed. A simulation analysis model is shown in FIG.
The building model adopted is shown below.
1) Size: 2 floors below ground, 6 floors above ground, 1st floor of tower (40.5m in height including basement floor)
2) Structure type: SRC
3) Primary natural period: 0.86 seconds
4) First-order damping constant: 2%
The seismic isolation structure is a basic seismic isolation structure consisting of a mixed arrangement of the sliding
[0049]
Conditions of building model: 1) The weight and rigidity of each floor are shown in FIG. 2) The building will be elastic.
[0050]
Conditions for the seismic isolation layer model:
1) The burden weight ratio of each seismic isolation device shall be 55% for the sliding seismic isolation device and 45% for the laminated rubber seismic isolation device (LRB) 10 with lead plug.
2) The restoring force characteristics of the laminated rubber seismic isolation device with lead plugs shall be Normal Bi-Linear type, and the second gradient shall be 1 / 6.5 of the initial stiffness.
3) Restoring force characteristics of the seismic isolation structure are Normal Bi-Linear type, and the initial stiffness is arranged in series with the slip isolation device.
4) Shear elastic modulus G5.5kg / cm 2 A single-layer rubber having a thickness of 16 mm was used.
5) The friction coefficient μ is 0.03 for the combination of sliding materials. In the comparative example, μ is 0.10.
[0051]
Input ground motion conditions:
As the input ground motion, three waves of El Centro 1940 NS, Taft 1952 EW, and Hachinohe 1968 NS are used in proportional multiplication so that the maximum velocity is 50 kine.
[0052]
The simulation analysis results are shown in FIG. Although there are some differences depending on the input ground motion, the seismic isolation structure according to the present invention having a friction coefficient μ of 0.03 generally has a lower response value than the data of the comparative example in which μ is 0.10. In particular, with regard to response acceleration and laminar shear force coefficient, the response value of the seismic isolation structure according to the present invention is reduced by about 50% at maximum. From the above analysis, the effect of reducing friction in the embodiment is very large.
[0053]
【The invention's effect】
The sliding seismic isolation device of the present invention is formed of a smooth plate in which a lubricating film containing a low molecular weight lubricating component is formed in a matrix resin, and a resin composition mainly composed of a tetrafluoroethylene-based resin. Since the sliding member is in sliding contact with one surface of the plate, it is stable at the beginning of sliding and thereafter and has excellent low friction characteristics. As a result, the degree of freedom of the seismic isolation design is increased, and the size of the seismic isolation structure can be reduced by using the slip isolation system of the present invention.
[0054]
In addition, since the lubricating coating is at least one resin whose matrix resin is selected from a polyimide resin and a thermosetting resin, particularly a furan resin, a sliding seismic isolation device having stable low friction characteristics can be obtained.
[0055]
The compounding agent for the tetrafluoroethylene-based resin is at least one compounding agent selected from a fiber compounding agent and a powder compounding agent, the shape of the powder compounding agent is spherical, and the compounding agent is Since it is carbonaceous or graphite, it is possible to improve the wear resistance of the sliding material, to be excellent in compressive creep property, and to maintain an excellent coefficient of friction in sliding with the lubricating coating under high surface pressure.
[0056]
Since the tetrafluoroethylene-based resin is a modified tetrafluoroethylene resin, an excellent friction coefficient can be obtained in sliding with the lubricating coating.
[0057]
In the sliding seismic isolation device of the present invention, in addition to the lubricating coating and the sliding material, a member that can be deformed against a horizontal force is laminated directly or via an intermediate plate on the sliding surface of the sliding material. As a result, the possible design range of the seismic isolation structure can be expanded.
Further, by providing the intermediate plate, the surface pressure can be increased and the friction coefficient can be lowered.
[0058]
In the seismic isolation structure of the present invention, since the slip isolation device portion is the above-described slip isolation device, the seismic isolation cycle can be lengthened while keeping the acceleration of the slipping out small.
[0059]
In addition, since the elastic seismic isolation device is used in parallel, and part or all of the elastic seismic isolation device is laminated rubber with lead plugs or high damping laminated rubber, the design range of the seismic isolation structure is further increased. It can be greatly enlarged.
In particular, if some or all of the elastic seismic isolation devices are laminated rubber with lead plugs or highly damped laminating rubber, not only large seismic forces but also small seismic forces can be used together with sliding seismic isolation devices with a friction coefficient of 0.05 or less. Can also have sufficient seismic isolation function.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a slip isolation device.
FIG. 2 is a diagram showing a relationship between a deformation amount of a single-layer rubber material and an effective pressure receiving area.
FIG. 3 is a cross-sectional view of a base isolation structure in which a slip base isolation device and an elastic base isolation device are arranged in parallel.
FIG. 4 is a diagram illustrating conditions of a building model.
FIG. 5 is a diagram showing a simulation analysis result.
FIG. 6 is a sectional view of a conventional elastic slip isolation device.
FIG. 7 is a diagram showing the relationship between the amount of deformation of the laminated rubber portion and the effective pressure receiving area.
[Explanation of symbols]
1 Slip isolation device
2 Smooth plate
3 Lubricant coating
4 slip material
5 Middle plate
6 Single-layer rubber material
7 Upper plate
8 Lower housing
9 Upper housing
10 Laminated rubber elastic seismic isolation device
Claims (12)
前記すべり免震装置は、マトリクス樹脂100体積部に平均分子量50,000以下の含フッ素重合体またはポリシロキサンから選ばれた少なくとも一つの低分子量潤滑成分5〜40体積部を含有する潤滑性塗膜が形成された平滑板と、四フッ化エチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物で形成され前記平滑板に一方の面が摺接するすべり材とを具備することを特徴とするすべり免震装置。 A sliding seismic isolation device that is arranged between a lower housing and an upper housing , supports an architectural structure from a high-rise structure to a low-rise structure, or a civil engineering structure, and reduces external earthquake forces .
The sliding seismic isolation device comprises a lubricating coating film containing 5 to 40 parts by volume of at least one low molecular weight lubricating component selected from a fluoropolymer or polysiloxane having an average molecular weight of 50,000 or less in 100 parts by volume of a matrix resin. And a slip material formed of a resin composition mainly composed of a tetrafluoroethylene-based resin and having one surface slidingly contacted with the smooth plate. .
前記すべり免震装置が、請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載のすべり免震装置であることを特徴とする免震構造。A seismic isolation structure comprising at least a sliding seismic isolation device disposed between the lower housing and the upper housing,
The said seismic isolation apparatus is a slip isolation system as described in any one of Claim 1 thru | or 8.
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