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JP4261287B2 - 車両用ガラスランチャンネル材及び車両用ガラスランチャンネル組立て体 - Google Patents

車両用ガラスランチャンネル材及び車両用ガラスランチャンネル組立て体 Download PDF

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JP4261287B2 JP2003297438A JP2003297438A JP4261287B2 JP 4261287 B2 JP4261287 B2 JP 4261287B2 JP 2003297438 A JP2003297438 A JP 2003297438A JP 2003297438 A JP2003297438 A JP 2003297438A JP 4261287 B2 JP4261287 B2 JP 4261287B2
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Description

この発明は、車両の窓枠に取り付けられて、窓板のスライド方向を案内するとともに窓板と窓枠との間を密閉する車両用ガラスランチャンネル材及び車両用ガラスランチャンネル組立て体に関する。
車両の窓枠の溝に装着されて窓板の昇降を案内する横断面略U字状で長尺を成すガラスランチャンネル材は、一般に、基底部と、その基底部の幅方向両端から立ち上がる一対の側壁部とを備えており、基底部及び一対の側壁部によって断面U字状の案内溝を形成している。また、各側壁部の先端部から案内溝の内側に向けて斜めに延出する形状の接触リップを備えている。ガラスランチャンネル材は、全体が弾性変形可能に形成されており、窓枠との係止構造とガラスランチャンネル材の弾発力とによって窓枠の所定の位置に固定されているのが一般的である。この種のガラスランチャンネル材は、従来、ゴム材料によって形成されているが、車体の軽量化やリサイクル化が進められるにあたって、より低比重でリサイクル性の良い熱可塑性エラストマー材料で代替することが考えられてきている。
しかし、熱可塑性エラストマー製のガラスランチャンネル材では、窓板の開閉が繰り返されることによって、窓枠の屈曲部分、特に、窓板のスライド方向に対向して配置される部分(典型的には窓枠の上端部分)に隣接するコーナー部分において、図1に破線で示すような窓枠の所定部位からの位置ズレが見られることがある。
特開2003−175728号公報
ガラスランチャンネル材の位置ズレが発生する原因について、本発明者らが調査したところ、車両上部後方側に位置するコーナー部分(図1の9部分)には、長手方向の圧縮力が内蔵されており、一方、車両上部前方側に位置するコーナー部分(図1の8部分)には、長手方向の圧縮力又は引張り力が内蔵されていた。この結果から、本発明者らは、熱可塑性エラストマー製のガラスランチャンネル材では、開閉に伴う窓板のスライドによってガラスランチャンネル材が窓枠に沿って微小に滑ることがあり、この微小な滑りが蓄積されて発生する圧縮力や引張り力が所定の値を超えると、窓枠からの位置ズレが起こると推定した。
そこで、本発明では、窓枠に対する位置ズレが防止される車両用のガラスランチャンネル材及び車両用のガラスランチャンネル組立て体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、底面部とこの底面部の幅方向両側から立上り状に形成された両側面部とによってガラスチャンネル用の溝が形成された車両の窓枠に沿って装着可能で、装着されたとき前記溝内をスライド移動する窓板を案内する熱可塑性エラストマー製の長尺状の車両用ガラスランチャンネル材であって、
前記ガラスランチャンネル材は、前記窓枠に装着されたとき、前記窓枠の底面部に対向して配置される基底部と、この基底部の幅方向両端から立ち上がるようにそれぞれ延びる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の先端側からそれぞれ前記基底部に向けて突出する弾性変形可能な接触リップと、前記基底部の幅方向端部及び/又は両側壁部から幅方向の両外側に突出して形成され前記窓枠の内面に係止される複数の突出片とを有し、
前記ガラスランチャンネル材の少なくとも前記基底部、前記一対の側壁部及び前記突出片が熱可塑性エラストマーによって形成され、
前記基底部には、前記窓枠の底面部に対向する面に、前記窓枠に対して前記基底部の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい樹脂材料からなる滑り防止部材が前記熱可塑性エラストマーを覆って長手方向に沿って一体的に形成されており、
前記ガラスランチャンネル材を前記基底部から前記窓枠の前記溝内に挿入する際に前記窓枠の側面部に接触する前記突出片及び前記一対の側壁部の両外側面では前記熱可塑性エラストマーが露出しており、
前記ガラスランチャンネル材が前記窓枠に装着されたとき、前記複数の突出片が前記窓枠の内面に係止された状態で前記基底部の浮きを防止できる保持力を有すると共に、前記滑り防止部材は、前記突出片の作用により前記窓枠の底面部に対して圧接されるようになっていることを特徴とする、車両用ガラスランチャンネル材である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記滑り防止部材は、ゴムからなる車両用ガラスランチャンネル材である。
請求項3に記載の発明は、請求項2の発明において、前記滑り防止部材は、発泡ゴムからなり、窓枠底面と基底部との間で弾性圧縮状態で圧接されるようになっている車両用ガラスランチャンネル材である。
請求項4に記載の発明は、請求項1の発明において、前記滑り防止部材は、JISK7215によるデュロメータ硬度がHDA20以上HDA70以下の熱可塑性エラストマーからなる車両用ガラスランチャンネル材である。
請求項5に記載の発明は、請求項4の発明において、前記熱可塑性エラストマーは、JISK7215によるデュロメータ硬度がHDA30以上HDA60以下のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる車両用ガラスランチャンネル材である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかの発明において、前記滑り防止部材は、前記基底部に溶着又は融着されている車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかの発明において、前記滑り防止部材は、平板状に形成されており、前記窓枠の底面部にほぼ全面で接している車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかの発明において前記熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーである車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかの発明において、前記基底部には、窓板の端縁に接する面に、当該基底部の構成材料よりも前記窓板に対する摩擦係数が小さい材料よりなる滑り材部を層状に備えている車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかの発明において、前記接触リップの窓板に弾接する面に、当該接触リップの構成材料よりも前記窓板に対する摩擦係数が小さい材料よりなる滑り材部を層状に備えている車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかの発明において、前記基底部の幅方向の端部に、前記基底部より外方に突出する突条を備え、当該ガラスランチャンネル材が窓枠に装着されたときに、基底部と窓枠の底面部とこの突条との間に空間が形成され、前記滑り防止部材は、前記突条が窓枠に当接された状態で、前記空間内に前記基底部と窓枠の底面部との間で圧接状態で配置されている車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
さらに、請求項12に記載の発明は、前記側壁部から延びており、窓枠に装着された状態で窓枠と当該ガラスランチャンネル材との間を遮蔽する遮蔽リップを有し、この遮蔽リップ及び/又は前記突出片の窓枠に対向する面に、遮蔽リップ及び/又は突出片を構成する熱可塑性エラストマーより摩擦係数が大きい樹脂材料からなりガラスランチャンネル材が窓枠に装着されたときに窓枠に圧接される滑り防止部を備えている、請求項1から11のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材としたものである。
また、本発明の請求項13に記載の発明は、底面部とこの底面部の幅方向両側から立上り状に形成された両側面部とによってガラスチャンネル用の溝が形成された車両の窓枠に沿って装着可能で、装着されたとき前記溝内をスライド移動する窓板を案内する熱可塑性エラストマー製の長尺状の車両用ガラスランチャンネル組立て体であって、
このガラスランチャンネル組立て体は、複数の長尺な直線状の押し出し成形材と、これらの押し出し成形材のそれぞれの長手方向の端末同士を所定の角度で交差させて接合する形状の射出成形コーナー部材とを備え、
これらの押し出し成形材及び射出成形コーナー部材は、前記窓枠に装着されたとき、窓枠の底面部に対向して配置される基底部と、この基底部の幅方向両端から立ち上がるようにそれぞれ延びる一対の側壁部と、前記一対の側壁部の先端側からそれぞれ前記基底部に向けて突出する弾性変形可能な接触リップと、前記基底部の幅方向端部及び/又は両側壁部から幅方向の両外側に突出して形成され前記窓枠の内面に係止される複数の突出片とを有し、
前記押し出し成形材の少なくとも前記基底部、前記一対の側壁部及び前記突出片が熱可塑性エラストマーによって形成され、
前記基底部には、前記窓枠の底面部に対向する面に、前記窓枠に対して前記基底部の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい樹脂材料からなる滑り防止部材が前記熱可塑性エラストマーを覆って長手方向に沿って一体的に形成されており、
前記押し出し成形材を前記基底部から前記窓枠の前記溝内に挿入する際に前記窓枠の側面部に接触する前記突出片及び前記一対の側壁部の両外側面では前記熱可塑性エラストマーが露出しており、
前記押し出し成形材が前記窓枠に装着されたとき、前記複数の突出片が前記窓枠の内面に係止された状態で前記基底部の浮きを防止できる保持力を有すると共に、前記滑り防止部材は、前記突出片の作用により前記窓枠の底面部に対して圧接されるようになっている、車両用ガラスランチャンネル組立て体である。
また、請求項14に記載の発明は、請求項13の発明において、前記窓板のスライドによって窓板の先端が突き当たる窓枠の部分に取り付けられる押し出し成形材が、請求項1から12のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材である、車両用ガラスランチャンネル組立て体としたものである。
本発明では、窓枠に対する滑りが抑制されている車両用のガラスランチャンネル材及び車両用のガラスランチャンネル組立て体を提供することにより、窓板のスライドを繰り返しても窓枠に対して長手方向で位置ズレが生じない車両用のガラスランチャンネル材及び車両用ガラスランチャンネル組立て体を得ることができる。
特に、請求項1に記載の車両用ガラスランチャンネル材は、窓枠に装着されると、滑り防止部材が窓枠の底面とガラスランチャンネル材の基底部との間で圧接される。滑り防止部材は、基底部の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい樹脂材料で形成されており、また、この圧接によって前記底面と直交する方向の垂直荷重を受けることにより窓枠底面との摩擦力がより大きくなる。このため、滑り防止部材は、窓枠に沿う方向(長手方向)の力を受けても窓枠に対して滑りを生じない。したがって、この車両用ガラスランチャンネル材は、窓板のスライドに伴って力を受けても位置ズレ等を生じず、窓枠における所定の装着位置を安定して維持できる。
請求項2の発明によれば、ゴムを用いることにより、基底部の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい滑り防止部材を容易に得ることができる。
請求項3の発明によれば、請求項1ないし2の発明の効果に加えて、さらに、発泡ゴムからなる滑り防止部材が窓枠への圧接によって容易に弾性変形することにより、窓枠とガラスランチャンネル材との寸法の誤差を吸収して広い面積で窓枠に当接できるので、滑り防止力が安定して発揮される、という効果が得られる。また、窓板が閉じ位置にあるときに窓板の端縁が圧接される部分に設けられる場合は、窓板の先端がガラスランチャンネル材を介して窓枠に衝突するときのエネルギーを吸収して衝撃音の発生を低減することができる、という効果が得られる。
請求項4の発明によれば、滑り防止部材をJISK7215によるデュロメータ硬度がHDA20以上HDA70以下の熱可塑性エラストマーで構成することにより、熱可塑性エラストマーよりなる基底部により高い強度で良好に一体化することができる。HDA20未満であると、強度や耐久性が低下しやすい。また、HDA70を超えると、1.8以上の摩擦係数を得にくい。したがって、HDA20以上70以下であると、車両で用いられる一般的な窓枠の塗面に対して良好な摩擦力を発揮するとともに、長期間の使用に耐え得る強度を有する。
また、ガラスランチャンネル材をリサイクルする場合、基底部を構成する材料から滑り防止部材を分離することなく、そのまま原料として使用することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1又は4の発明の効果に加えて、さらに、HDA30以上45以下のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることにより、窓枠との間に良好な摩擦力が得られるとともに、オレフィン系熱可塑性エラストマーで構成された基底部に良好に接合することができる、という効果が得られる。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5の効果に加えて、さらに、滑り防止部材と基底部との固着強度が確保されているため、滑り防止部材の基底部からの剥がれが生じたり、基底部や側壁部に対して滑り防止部材が位置ズレしたりするおそれがなく、車両用ガラスランチャンネル材の位置ズレをより確実に防止できるという効果が得られる。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし6の発明の効果に加えて、さらに、滑り防止部材が窓枠の底面にほぼ全面に安定して接触することが可能となっており、より広い面積でより大きい摩擦力で滑り防止部材が圧接されて窓枠に対する滑りが防止され、より確実にガラスランチャンネル材の位置ズレが防止される、という効果が得られる。
請求項8の発明によれば、請求項1ないし7の発明の効果に加えて、さらに、ガラスランチャンネル材が軽量となり、また、滑り防止部材が、熱溶着によって容易にかつ強固に一体化される、という効果が得られる。
請求項9の発明によれば、請求項1ないし8の発明の効果に加えて、さらに、基底部は摩擦係数がより小さい滑り材部で窓板端縁に接触するため、窓板先端がチャンネル部の長手方向に沿う方向に僅かに移動して停止するときでも、窓板のスライドによって基底部にかかる力を低減し、ガラスランチャンネル材を長手方向に位置ズレさせようとする力を低減できる、という効果が得られる。
請求項10の発明によれば、請求項1ないし9の発明の効果に加えて、さらに、接触リップは摩擦係数がより小さい滑り材部で窓板に接触するため、窓板のスライドによって接触リップにかかる力を低減して、特に窓枠側部に配置されるガラスランチャンネル材を長手方向に位置ズレさせようとする力を低減できる、という効果が得られる。
請求項11の発明によれば、請求項1ないし10の発明の効果に加えて、さらに、突条が窓枠の底面に当接して位置決めされることで、基底部と窓枠との間に所定の間隔が設けられ、基底部と窓枠との間で圧接される滑り防止部材の圧接力を略一定に保つことができ、ガラスランチャンネル材の各部位において均等な適度の滑り防止作用を発現させられる、という効果が得られる。
請求項12の発明によれば、請求項1ないし11の発明の効果に加えて、さらに、基底部以外の窓枠に圧接される部分にも窓枠との摩擦係数がより大きい材料よりなる滑り防止部が設けられているため、ガラスランチャンネル材をより強固に所定の位置に固定することができる、という効果が得られる。
請求項13の発明によれば、滑り防止部材を備える押出し成形材部分において、請求項1に記載の車両用ガラスランチャンネル材と同じ効果を得ることができ、長期の繰り返し使用におけるガラスランチャンネル材の長手方向の移動を防止し、特に、射出成形コーナー部材部分の窓枠からの位置ズレを防止できる、という効果が得られる。
請求項14の発明によれば、請求項13の発明の効果に加えて、窓板のスライド方向に対向する位置に設けられるガラスランチャンネル材が窓枠に対して位置ズレしにくいため、射出成形コーナー部材部分に歪みが溜まることが効果的に防止でき、ガラスランチャンネル材の長手方向の位置ズレを阻止してコーナー部分における窓枠からの位置ズレを防止できる、という効果が得られる。また、窓板の先端がガラスランチャンネル材を介して窓枠に衝突するときのエネルギーを吸収して衝撃音の発生を低減することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施形態に係るガラスランチャンネル組立て体1は、スライドによって開閉される窓板50を備える車両の窓枠54に沿って装着される。まず、ガラスランチャンネル組立て体1の装着部位の一形態について説明する。図1に、窓を備える車両用のフロントドアを示す。ドアの窓は、窓板50(窓ガラス)と、この窓板50によって開閉される開口52と、窓板50の端縁の移動範囲に沿って設けられる窓枠54とを備えている。窓板50は、ドアの内部を上下にスライド可能で、開口52を塞ぐ最上位置と、ドア内部に収容されて開口52を開放する最下位置との間を移動する。
窓枠54は、開口52の上端に沿う上部54aと、上部54aから連続一体に斜め下方に延びる傾斜部54bと、傾斜部54bの先端から屈曲状に開口52の前側端に沿って延びる前側部54c及び上部54aの先端から屈曲状に開口52の後側端に沿って延びる後側部54dとを備えている。前側部54c及び後側部54dは、窓板50のほぼ最下位置における下部に対応する部分まで延びている。
窓枠54は、金属ストリップ材からロール成形され、又は金属板からプレス成形されること等によって公知の形状に形成されており、ガラスランチャンネル組立て体1の挿入固着及び窓板50の挿入が可能な略U字状の溝11を備えている。図3は、図1におけるIII−III線に沿う断面図で、ガラスランチャンネル組立て体1が窓枠54に装着され、窓板50が閉じる前の状態を示す。窓枠54は、窓板50の端縁50aに対向する部分、すなわち、溝11の底を構成する底面部61と、底面部61の幅方向の両側に底面部61から連続して立ち上がり状に形成されている側面部62,63とを備えている。
両側面部62,63は、それぞれガラスランチャンネル組立て体1を溝11内に保持するため、溝11の内側に突出する抜け止め部65,66を備えている。本実施形態では、車内側の抜け止め部65は、側面部62に幅方向に突出する凹状面に形成されている。また、車外側の抜け止め部66は、側面部63の先端が他方の側面部62側に傾斜して形成されて側面部63全体が溝の開放部分から凹状に形成されている。これらの抜け止め部65,66は、後述するガラスランチャンネル材10の突出片21,22が係止してガラスランチャンネル組立て体1を窓枠54に固定可能となっている。
ガラスランチャンネル組立て体1は、窓枠54の上部54aとこれに連続する傾斜部54bに相当する部分、また両側部54c、54dに相当する部分がほぼ直線状で、図1に示すように、窓枠54の上部54aと傾斜部54bとの間で窓枠54の曲線に沿って曲げて取り付けられたとき、窓枠54と同様の曲線状の外形になる。ガラスランチャンネル組立て体1は、窓枠54の上部54a及び傾斜部54bに装着される上部押出し成形材3と、前側部54c、後側部54dにそれぞれ対応する側部押出し成形材5,6とを備えている。両側部押出し成形材5,6のそれぞれの一端は、射出成形コーナー部材8,9の各端部に接合されて、射出成形コーナー部材8,9の他端に接合された上部押出し成形材3と一体化されている。上部押出し成形材3及び側部押出し成形材5,6は、それぞれ押し出し成形によって成形されたほぼ直線状に延びる長尺状部材である。これらの押し出し成形材3,5,6は、それぞれ横断面形状が異なっていても良い。また、射出成形コーナー部材8,9は、押出し成形材3,5,6をインサートするインサート射出成形によって成形されており、それぞれ窓枠54の傾斜部54bと前側部54c、上部54aと後側部54dとの間の交差角度に対応する角度で屈曲された形状を有する部材である。
車両用ガラスランチャンネル組立て体1は、押出し成形材3,5,6のうち、少なくとも1つあるいはその一部が本発明にかかる車両用ガラスランチャンネル材で構成されている。上部押出し成形材3が本発明の車両用ガラスランチャンネル材で構成されていることが好ましく、特に、窓枠54の上部で、窓板50のスライド方向に対して垂直より所定の角度だけ傾斜して延びる傾斜部54bに取り付けられる押し出し成形材が本発明に係る車両用ガラスランチャンネル材であることが好ましい。本実施形態のガラスランチャンネル組立て体1は、すべての押し出し成形材3,5,6が、本発明のガラスランチャンネル材で構成されており、それぞれ同一の横断面形状に形成されても良い。
なお、ガラスランチャンネル組立て体1では、各押出し成形材3,5,6及び各射出成形コーナー部材8,9は、本発明にかかる車両用ガラスランチャンネル材に設けられる滑り防止部材を除く全体構成は、ほぼ同様である。射出成形コーナー部材8,9にも、押し出し成形材と同様に滑り防止部材を設けても良い。また、各押し出し成形材3,5,6の具体的な横断面形状は、それぞれ異なっていても同一でも良いが、異なる場合は、射出成形コーナー部材8,9が押出し成形材3,5,6の横断面形状に合うように、長手方向において滑らかに変化する断面形状を有するように形成されている。
第1の実施形態のガラスランチャンネル組立て体1を構成するガラスランチャンネル材(特に押出し成形材3,5,6)の詳細な構造として、図2〜5を参照して、ガラスランチャンネル材10の構成及び取り付け状態を説明する。
ガラスランチャンネル材10は、基底部12、車内側の側壁部15、車外側の側壁部16、車内側の接触リップ18,車外側の接触リップ19、車内側の突出片21,車外側の突出片22、及び滑り防止部材30を備えている。ガラスランチャンネル材10における各部分の形状及び位置関係について、図2を参照して説明する。
基底部12と両側壁部15,16とは、窓板50の周縁部が挿入されるチャンネル部11a(図3参照)を形成する部分である。基底部12は、チャンネル部11aの窓板50の端縁50aに対向される面を形成する部分で、典型的には長手方向に沿って延びる平板状に形成されている。本実施形態では、基底部12の幅方向の両端には、窓枠54の底面部61側に突出する一対の突条13a,13bが設けられている。また、突条13a,13bの突出方向と反対側の面は、基底部12の中央部分に対して凹溝状に形成され、後述する両側壁部15,16の変形中心となっている。
両側壁部15,16は、チャンネル部11aの両側面を形成する部分で、基底部12の幅方向の両端(突条13a,13b)から立ち上がるように連続して延び平板状部分に形成されている。両側壁部15,16は、窓枠54への取付前の自由状態では基底部12に対して鈍角を成すように一体成形されており、基底部12との連続部分(前記凹溝状部分)を中心に基底部12に対して弾性的に変形可能に形成されている。
各側壁部15,16の先端側には、窓板50の表裏両面に接触される接触リップ18,19が設けられている。接触リップ18,19は、弾性変形可能で、両側壁部15,16の先端から基底部12側に延びるように形成されている。
また、両側壁部15,16の先端側で、接触リップ18,19と反対の側には、弾性変形可能な遮蔽リップ24,25が両側壁部15,16に一体成形されている。遮蔽リップ24,25は、窓枠54とガラスランチャンネル材10との間を遮蔽する。
突出片21,22は、窓枠54に係止される部分で、ガラスランチャンネル材10の幅方向の両側に、基底部12又は両側壁部15,16から幅方向外側に向けて突出して形成されている。本実施形態では、車内側の突出片21は、側壁部15の下部から突出して側壁部15の先端側に傾斜して延びる突出片本体部21aを介して先端部が側壁部15にほぼ平行となるように屈曲されている。また、車外側の突出片22は、基底部12の突条13b部分から側壁部16より幅方向外側に傾斜して突出してほぼ真直ぐに延びる形に形成されている。
ここで、ガラスランチャンネル材10の少なくとも基底部12及び一対の側壁部15,16は、熱可塑性エラストマーによって形成されており、好ましくは、後で詳述するゴム製の滑り防止部材30を除く全体が熱可塑性エラストマーによって形成されている。熱可塑性エラストマーとしては、ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。好ましくは、オレフィン系熱可塑性エラストマーであると、車両用ガラスランチャンネル材10を軽量化できるとともに、押し出し成形性や滑り防止部材30との接合強度を良好に保つことができる。
ガラスランチャンネル材10の基底部12の窓枠54の底面部61を向く側の面(図2中では基底部12の上側の面)には、発泡ゴム(スポンジゴム)製の滑り防止部材30が一体的に設けられている。滑り防止部材30は、ガラスランチャンネル材10が窓枠54に装着された状態で、ガラスランチャンネル材10が窓枠54に対して長手方向に位置ズレするのを防止する部材である。滑り防止部材30は、基底部12の長手方向に沿って連続して設けられると、ガラスランチャンネル材10の各部における滑り防止効果が均一になり、摩擦力が大きくなり、好ましい。また、滑り防止部材30は、例えば平板形状のように窓枠54との接触面積が大きい方が、ガラスランチャンネル材10を窓枠54に対して位置ズレさせる力が作用しても、これに対して発生する摩擦力が大きくなり、好ましい。
滑り防止部材30は、図2に示すように、自由状態で先端が突条13a,13bよりも突出する厚みに形成されている。ガラスランチャンネル材10が窓枠54に装着されたとき、滑り防止部材30は、図3に示すように、基底部12と窓枠54の底面部61との間で圧縮されることによって底面部61に圧接し、垂直荷重がかけられて摩擦力が増大される。このため、滑り防止部材30が元の形状に戻ろうとする復元力によって基底部12が窓枠54の所定位置から浮き上がるのを防止するのに十分な保持力を有するように突出片21,22の形状を設定する。
滑り防止部材30は、基底部12を構成する熱可塑性エラストマーよりも窓枠54との摩擦係数が大きい樹脂(ゴム、合成樹脂及び熱可塑性エラストマー等を包含する)材料であり、第1の実施形態ではゴム材料で形成されている。滑り防止部材30をゴムで形成する場合、具体的には、EPDMを含むソリッドゴム(非発泡ゴム)、発泡倍率が1.1〜1.4程度の微発泡ゴム、あるいは発泡倍率が1.5〜5程度の発泡ゴム(スポンジゴム)で形成することができ、発泡倍率が2〜3程度の圧縮変形しやすい発泡ゴムであることが好ましい。本実施形態の滑り防止部材30は、EPDMよりなる発泡ゴム製で、基底部12の突条13a,13b間の幅を有し、フリー状態では、窓枠装着状態で窓板が閉じた状態(図4に示す状態)における厚みの約2倍の厚みを備える平板状である。
なお、滑り防止部材30としてソリッドゴムを使用する場合、滑り防止部材30を窓枠54に装着されたときに窓枠54の底面部61に圧接される厚みの圧縮割合が発泡ゴムより小さいので、発泡ゴムの場合より厚みを薄く形成して、発泡ゴムの場合と同様の効果を奏することができる。
ここで、本明細書において滑り防止部材の窓枠との摩擦係数とは、窓枠54のガラスランチャンネル材(組立て体)に接触する表面との静摩擦係数である。例えば、典型的な車両の開閉ドアの窓枠54では、車体外装と同一の塗膜、すなわちアクリル樹脂系やアクリルウレタン樹脂系の塗料が焼き付け処理されて得られる塗膜が設けられているため、この塗膜との摩擦係数を意味する。滑り防止部材30の摩擦係数は、例えば、1.5以上が好ましいが、1.8以上がより好ましい。
本明細書において、滑り防止部材及び後述の滑り防止部を構成する材料の摩擦係数については、静摩擦係数であり、以下の試験方法によって測定したものである。
1.目的とする材料よりなる5mm幅で厚み2mmである長さ40mmの試験片を2本用意する。
2.試験片を50mm×50mm、厚さ約1mmの平板金属治具を用意し、この治具の一面に、2本の試験片を治具の一対辺に30mmの間隔をおいて平行となるように両面テープで固定する。
3.平板金属治具を試験片が固定されている面を下向きにしてアクリル樹脂塗料塗装板に載せ、平板金属治具の上に、平板金属治具と合わせて重量700gとなるおもりを載せる。
4.平板金属治具を試験片の長手方向に垂直な方向に引っ張って、塗板表面から試料がずれ始めるときの荷重F’(N)を測定する。
5.静摩擦係数μ’=F’/wより計算する。なお、wは全体重量(N)である。
本実施形態のガラスランチャンネル材10では、さらに、基底部12及び両接触リップ18,19のチャンネル部11aの内面を形成する部分、すなわち図2〜5に示すようにスライドする窓板50に接触される面に、滑り材部28a,28b,28cが形成されている。滑り材部28a,28b,28cは、基底部12や両接触リップ18,19を構成する熱可塑性エラストマーより窓板に対する摩擦係数が小さい材料で形成された層状部分(表層部分)である。滑り材部28a,28b,28cは、公知の態様とすることができ、例えば、ナイロンパイルの植毛、ナイロン樹脂やウレタン樹脂を主体とするコーティング剤を各表面に塗布して形成されるコーティング層でも良い。また、基底部12や両接触リップ18,19の構成材料より硬質成分(熱可塑性樹脂成分)が多い熱可塑性エラストマー層又は超高分子量ポリオレフィン組成物層などとされても良く、この場合、基底部12や両接触リップ18,19の成形と同時に共押出しによって滑り材部28a〜28cを一体的に形成することができる。
このガラスランチャンネル材10を窓枠54に取り付ける態様について、図3を参照して説明する。ガラスランチャンネル材10を窓枠54に取り付けるには、両側壁部15,16の先端側をチャンネル部11a側に弾性変形させながら、基底部12から窓枠54の溝11に挿入する。基底部12を窓枠54の底面部61に対向させて、滑り防止部材30を弾性圧縮させながら突条13a,13bが窓枠54の底面部61に接するまで押し込むことで、ガラスランチャンネル材10を装着できる。なお、この挿入作業の際に、突出片21,22は窓枠54の開口縁に当接したとき互いに近づく方向に弾性変形し、また両側壁部15,16の弾性変形と協働して幅が小さくなって窓枠54の内面を摺動しながら押し込まれる。突出片21,22が窓枠54の抜け止め部65,66を通過すると同時に突出片21,22は元の形状に向かって弾性復元して、滑り防止部材30を所定の量だけ圧縮した状態を保ってガラスランチャンネル材10を窓枠54の所定位置に保持する。なお、この状態において突出片21,22の保持力は、滑り防止部材30の反発力を受けてもこれに抗してガラスランチャンネル材10が窓枠54から浮き上がるのを防止できるよう設定されていることは前述の通りである。さらに、この挿入作業において、滑り防止部材30は、窓枠54の両側面部62,63等に接触せず挿入作業性を阻害することがないため、ガラスランチャンネル材10の取付け作業性は、滑り防止部材30に係わらず、良好に確保することができる。
この状態で、両側壁部15,16にかけた押し込み力を開放して窓枠54の側面部62,63に当接させることで、ガラスランチャンネル材10の窓枠54への装着が完了する。
取り付け状態では、車内側に位置する突出片21は、凹状部分に入り込んで抜け止め部65に係止されており、車外側に位置する突出片22は、側面部63に圧接され、かつ抜け止め部66に係止されている。また、基底部12及び両側壁部15,16は、窓板50が挿通可能な断面U字状のチャンネル部11aを形成している。遮蔽リップ24,25は、窓枠54の各側面部62,63の先端部分を被覆しており、車両用ガラスランチャンネル材10と窓枠54との間を遮蔽して、この部分の意匠を形成している。この状態で、滑り防止部材30は、窓枠54の底面部61に圧縮された状態で圧接されている。
次に、ガラスランチャンネル材10が装着された窓枠54に沿って窓板50をスライドさせたときのガラスランチャンネル材10の状態について、図3〜5を参照して説明する。
なお、図4は、図3において窓板50が閉じた状態を示し、図5は図1におけるV−V線に沿う横断面図である。
図3,4において窓枠54の上部54a及び傾斜部54bに取り付けられたガラスランチャンネル材10は、窓板50が最上位置付近より下方、すなわち窓部が開いた状態にあるときは、窓板50と接触せず、図3に示す状態に保持される。窓板50が上方へスライドされて最上位置に近づくと、まず、両接触リップ18,19に窓板50が当接する。両接触リップ18,19は、弾性変形するため、窓板50の両面に弾接し、かつ窓板50の移動を妨げない。
さらに窓板50が上昇すると、窓板50の端縁50aが基底部12に接触し、さらに基底部12を窓枠54の底面部61に向かって押圧する(図4参照)。窓板50が上下方向のみにスライドしてその移動軌跡が直線状を成す形態では、窓板50が両接触リップ18,19に当接し、基底部12に当接する。
一方、ドア内の昇降メカニズムの特性により、図1に矢印で示すように、窓板50の移動軌跡が最上位置の近傍で車体後方(図1では右)に僅かにスライドする構成では、図4に示すように、両接触リップ18,19及び基底部12に接触した状態で、窓板50がチャンネル部11aの長手方向に沿う方向(図4における紙面と直交する方向)に移動する。このとき、窓板50は、基底部12及び両接触リップ18,19を擦りながら移動するため、ガラスランチャンネル材10を窓板50の移動方向へ位置ズレさせようとする力が作用する。
このとき、滑り防止部材30は、窓枠54の底面部61に圧接されているため、ガラスランチャンネル材10の窓枠54に対する静止摩擦力が増大されている。このため、窓板50によりガラスランチャンネル材10が窓板50の移動と同じ方向に位置ズレさせようとする力を受けても、ガラスランチャンネル材10が窓枠に対して位置ズレしにくい。滑り防止部材30は、圧接状態であるため、直角方向の荷重、すなわち基底部12を窓枠の底面部61に押し付ける力が増大されており、これに比例して静止摩擦力が増大されている。この静止摩擦力は窓板端縁50aが基底部12に接した後、滑り防止部材30にかかる直角荷重が更に増大することに伴い更に増大する。また、特に、滑り防止部材30は、その全面で窓枠54の底面部61に密着しており、接触面積が大きいため、静止摩擦力が大きくなっている。したがって、窓板50の移動軌跡がガラスランチャンネル材10に押付けられた状態で長手方向に沿って移動する構成でも、ガラスランチャンネル材10が窓枠54に対して長手方向に位置ズレしにくく、所定の位置に安定して保持される。
また、本実施形態では、両接触リップ18,19及び基底部12は滑り材部28a〜28cを備えているため、窓板50と接触リップ18,19に作用する摩擦力が小さくなり、ガラスランチャンネル材10を窓枠54に沿って長手方向に位置ズレさせようとする力が小さくなる。例えば、窓枠54の傾斜部54bに位置するガラスランチャンネル材では、窓板の端縁50aが基底部12に接触したときに、窓板50の上昇する力の一部は、傾斜部54bに沿う斜め上方の力(図3において紙面と直交する方向の力)に変換されて、ガラスランチャンネル材を傾斜部54bの斜め上方に押し上げようとする力として作用する。しかし、本実施形態のように基底部12の表面に滑り材部28aが形成されていると、窓板50の端縁50aが基底部12に接したときに窓板の端縁50aは滑り材部28aの上を容易に滑るので、ガラスランチャンネル材10に窓枠54の傾斜部54bに沿って位置ズレさせようとする力が小さくなる。したがって、ガラスランチャンネル材10の窓枠54に対する位置ズレが良好に防止される。滑り材部28a〜28cによるこの作用は、上部54a、前側部54c、後側部54dに配置されたガラスランチャンネル材10における位置ズレについても良好に防止できる。
窓板50は、図4に示すように、窓板50の端縁が基底部12及び滑り防止部材30をさらに弾性変形させながら移動して停止し、最上位置、すなわち閉じた状態となる。この時、窓枠の底面部61と窓板50との間には、基底部12及び滑り防止部材30が介在されているため、窓枠54にかかる衝撃が低減されるとともに、基底部12と滑り防止部材30の弾性変形によって衝突エネルギーを吸収するので、衝突音の発生が防止される。特に、滑り防止部材30が発泡ゴムなど弾性変形容易な材料で厚みが大きく形成されていると、衝突音の発生を抑制する効果が高い。窓板50が閉じた状態では、両接触リップ18,19が両側の窓板面に当接しており、ガラスランチャンネル材10は、窓枠54と窓板50との間をシールする。
また、図5に示すように、窓枠54の側部54c,54dに設けられるガラスランチャンネル材10では、チャンネル部11aの長手方向の少なくとも一部に窓板50の端縁が常に配置されており、窓板50が接触リップ18,19に接触している。窓板50は、この状態でガラスランチャンネル材10の長手方向(図5において紙面と直交する方向)に沿ってスライドする。窓枠54の側部54c、54dでも、滑り防止部材30が窓枠54の底面部61に圧接されているため、ガラスランチャンネル材10の窓枠54に対する位置ズレを防止する力が付与されている。更に、基底部12にも滑り材部28aが形成されていると、窓板50が移動するときにその端縁50aが基底部12に接触しても滑り材部28aと接触して移動するのでガラスランチャンネル材10を位置ズレさせようとする力が軽減される。また、両接触リップ18,19に設けられた滑り材部28b,28cによっても、スライドする窓板50がガラスランチャンネル材10を長手方向に位置ズレさせようとする力が軽減される。このため、窓枠の側部においてもガラスランチャンネル材10の窓枠に対する位置ズレは良好に防止される。
したがって、ガラスランチャンネル材10では、ガラスランチャンネル材10の長手方向、すなわち窓枠54に沿う方向への窓枠に対する位置ズレが滑り防止部材30によって防止されており、ガラスランチャンネル材10は位置ズレしない。このため、コーナー部分(8,9)に長手方向の圧縮力や引張り力が内蔵されにくく、図1で示すように窓枠54からの位置ズレが起こることがない。したがって、ガラスランチャンネル組立て体1は、窓枠に対する滑りに起因する圧縮力や引張り力が発生しにくく、窓枠54からの外れが良好に低減されている。
本発明に係るガラスランチャンネル材は、任意の方法で製造することができる。例えば、熱可塑性エラストマー部分と、ゴム製の滑り防止部材とをそれぞれ別に押し出し成形し、その後、接着や加熱溶着などによって一体化して得ることができる。また、予めゴム製の滑り防止部材を押し出し成形及び加硫処理しておいて、熱可塑性エラストマー材料を押し出し成形する際に押し出し成形型の中に滑り防止部材を供給して両者を溶着一体化しても良い。また、滑り防止部材の製造ラインに後続させて熱可塑性エラストマー部分の製造ラインを設けることで、加硫が完了した滑り防止部材を熱可塑性エラストマー材料の押し出し成形型に供給してガラスランチャンネル材と溶着一体化することにより、連続的な工程で、ガラスランチャンネル材を製造することもできる。
(第2の実施形態)
図6に示す第2の実施形態は、第1の実施形態のガラスランチャンネル材10において、異なる形状の滑り防止部材を備えているガラスランチャンネル材40であるので、異なる部分のみ説明する。すなわち、第2の実施形態のガラスランチャンネル材40は、滑り防止部材30に加えて、さらに、ガラスランチャンネル材40の基底部12の突条13a,13bの突出面にソリッドゴムからなる層状の滑り防止部材41,42を備えている。この形態では、突条13a,13bは、上述の形態と同様に基底部12の中央と窓枠54の底面部61との距離を所定に保つことができ、さらに、窓枠54と突条13a,13bとの間の摩擦力を増大させることができる。特に、突条13a,13bは、窓枠54の底面部61により強く当接される部分であるため、この部分に滑り防止部材30を設けることで、ガラスランチャンネル材40を窓枠54に対してより位置ズレしにくくすることができる。
なお、図6では、車外側の滑り防止部材42は、車外側の突出片22の窓枠54に圧接される面をも被覆しており、突出片22が、窓枠54の側面部63に圧接されることによって、同様に窓枠54との間により大きな静止摩擦力を発生させることができ、より一層滑り抑制効果が高くなっている。
(第3の実施形態)
図7及び図8に、本発明の第3の実施形態に係るガラスランチャンネル材70が窓枠54に装着されているようすを示す。このガラスランチャンネル材70についても、第1の実施の形態のガラスランチャンネル材10と同じ部分については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。このガラスランチャンネル材70は、基底部12及びその両側の突条13a,13bまで延びる滑り防止部材71と、突出片21及び遮蔽リップ24,25に付与された滑り防止部73,74,75とを備えている。
第3の実施形態の滑り防止部材71は、熱可塑性エラストマーで形成されている。すなわち、滑り防止部材71は、ゴムでも良いが熱可塑性エラストマーなど基底部12に良好に接合でき、かつ基底部12よりも窓枠54に対する摩擦係数の大きい種々の樹脂材料で形成することができる。典型的には、このような樹脂材料は、ゴム弾性を備えている。滑り防止部材71は、基底部12よりも摩擦係数が大きければよいため、基底部12と同様、ビニル系、スチレン系、ウレタン系など各種の熱可塑性エラストマーを用いることができる。基底部12と同系、同一又は近似のSP値の熱可塑性エラストマーを用いると、溶着により固着強度を容易に高められるため、好ましく、具体的には、オレフィン系熱可塑性エラストマーであると、滑り防止部材71をより軽量かつ高強度にすることができ、好ましい。また、熱可塑性エラストマー製の滑り防止部材71を備えるガラスランチャンネル材71は、加硫工程を必要としないため、同時押し出し成形によって一体成形することができより簡単な製造方法で製造することができる。
熱可塑性エラストマーの場合、具体的にはJIS・K7215に規定されるデュロメータタイプA(ショアA)硬度において、20以上70以下、すなわちHDA20以上70以下が好ましい。HDA20未満であると、強度や耐久性が低下しやすい。また、HDA70を超えると、1.8以上の摩擦係数を得にくい。したがって、HDA20以上70以下であると、車両で用いられる一般的な窓枠54の塗面に対して良好な摩擦力を発揮するとともに、長期間の使用に耐え得る強度を有する。HDA30以上60以下であるとさらに好ましい。
なお、摩擦係数については、ゴムよりなる滑り防止部材と同様、1.5以上が好ましく、1.8以上がさらに好ましい。
滑り防止部材71は、基底部12には層状に固着されており、突条13a,13bに対応する部分では、基底部12の両側端から所定の角度を成して突出するリップ状の薄板状部分71a,71bに形成されている。このように、滑り防止部材71を、基底部12に対応する幅方向の中央部分で基底部12に固着するとともに、幅方向の両端部分を基底部12側から離して突出して設けることにより、窓枠54に、滑り防止部材71を安定して接触させることができる。
滑り防止部73,74,75は、それぞれ、ガラスランチャンネル材70が窓枠54に圧接される部分に層状に設けられていて、基底部12やガラスランチャンネル材の他の部分の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数の大きい樹脂材料で形成されている。滑り防止部73,74,75は、滑り防止部材と同様、ゴム、熱可塑性エラストマーなどで形成することができ、同一の滑り防止材料を選択すると製造が容易となり、好ましい。また、滑り防止部73は突出片21の材料より、滑り防止部74は遮蔽リップ24の材料より、滑り防止部75は遮蔽リップ25の材料よりも窓枠54に対して摩擦係数の大きい材料で形成される。図7に示す本実施形態では、滑り防止部材71及びすべての滑り防止部73,74,75は、同じオレフィン系熱可塑性エラストマーによって同時押出し成形によりガラスランチャンネル材70と一体に形成されている。
このガラスランチャンネル材70は、第1の実施形態のガラスランチャンネル材10と同様にして窓枠54に装着することができる。特に、滑り防止部73,74,75は、窓枠54に挿入するときに、窓枠54の側面部62,63に圧接されにくい部位であるため、作業性は良好に維持されている。窓枠54に完全に装着された状態では、図7,8に示すように、滑り防止部73は抜け止め部65に、滑り防止部74,75は、それぞれ両側面部62,63の頂部に圧接されているため、ガラスランチャンネル材70の窓枠54に対する長手方向の位置ズレを防止することができる。滑り防止部材71の薄片状部分71a,71bは窓枠54に圧接されて突条13a,13bに接触する。一方、滑り防止部材71の基底部12に対応する中央部分は、窓枠54に装着されて窓板50が基底部に接触していない状態では、図7に示すように窓枠54に対して離れているか、又は軽く接触する状態に保持されている。
このガラスランチャンネル材70を備える窓枠54において窓板50が上昇すると、窓板50の端縁50aが基底部12に接触し、さらに基底部12を窓枠54の底面部61に向かって押圧する(図8参照)。これにより、基底部12が底面部61側に弾性変形し、始めに薄板状部分71a,71bが緩衝材の役割をして底面部に圧接された後、滑り防止部材70の中央部分が底面部61に圧接される。この弾性変形により、窓板50のエネルギーを吸収して窓板50が底面部61に押し当たる時の音を良好に低減することもできる。
また、窓板50が最上位置(閉じる位置)の近傍で車体後方(図1では右)に僅かにスライドする場合、窓板50が基底部12に当接する前でも、滑り防止部73,74,75及び滑り防止部材71の両端が窓枠54に圧接されているため、滑り防止部材にかかる荷重が大きくなり、摩擦力も大きくなってガラスランチャンネル材70の窓枠54に対する位置ズレは、良好に防止される。特に、遮蔽リップ24,25の滑り防止部74,75は、接触リップ18,19に加えられる窓枠54の長手方向に沿う力によって側壁部15,16が移動することを防ぐことができ、ガラスランチャンネル材70の長手方向の位置ズレを良好に防止することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態のガラスランチャンネル材10の滑り防止部材30に代えて滑り防止部材81を設けたものである。滑り防止部材81は、熱可塑性エラストマーよりなり、基底部12の窓枠54に対向する面とで中空部83を形成する形状に形成されている。第5の実施形態の滑り防止部材81は、図9に示すように、基底部12から突出する一対の側部81b,81cと、基底部12に対してほぼ平行で両側部81b,81cの突出部分に連続する底部81aとを備えており、中空部83は台形状の横断面を有している。この構成では、中空部83によって滑り防止部材81に圧縮性が付与されるため、滑り防止部材81の材料強度を保持して、発泡ゴムの場合と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、窓枠54への圧接によって良好に摩擦力が高まり、ガラスランチャンネル材80の位置ズレを良好に抑制できる。また、特に窓枠54と窓板50との間に中空部83の弾性変形によって前述したのと同様に窓板50が閉じるときに発生する音をより良好に低減できる。
この形態の滑り防止部材81は、基底部12などと同時押し出しによって一体成形できることはもちろんであるが、ガラスランチャンネル材に後付けすることもできる。
なお、このように基底部12との間に中空部を備える形状は、熱可塑性エラストマーの他、ソリッドゴムなど圧縮による変形度合の小さい材料において良好に適用できる。また、中空部83を備える滑り防止部材の形状は、台形の他、だ円形、長方形や、左右対称でない形状など種々の形状で良く、中空部83の形状と滑り防止部材81の外形とが同様の形状でなくても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
滑り防止部材の形状は、種々の形状が可能であり、複数設けられても良いし、異なる材質で複数設けられても良い。例えば、第3の実施形態の滑り防止部材の一端部、すなわち基底部12の幅方向両端から窓枠54側に突出する薄片状部材を片側のみに設ける構成でも良いし、突出せず、例えば突条に貼り付けた構成でも良い。また、滑り防止部材30の位置は上述の形態に限定されず、挿入作業に支障のない範囲で突出片と窓枠底面部の間の空間を埋めるように配置されていても良い。また、滑り防止部材は、連続長尺状のものだけでなく、基底部に断続的に設けられていても良い。
滑り防止部は、窓枠に圧接される面に層状に付与される形態に限定されず、ガラスランチャンネル材が所定の強度を保持し得る範囲で、種々の形態で付与することができる。例えば、滑らかな面を形成せず、遮蔽リップの窓枠当接面に凸状に形成されても良い。また、滑り防止部は、第3の実施形態では、ガラスランチャンネル材と同時押出しにより一体成形したが、別体で成形したものを接着剤などで後で貼り付けても良い。
また、ガラスランチャンネル組立て体の射出成形コーナー部材に滑り防止部材又は滑り防止部を設ける場合も、同様に、種々の形態で設けることができる。
また、本発明のガラスランチャンネル組立て体及びガラスランチャンネル材が装着される窓は、車両のどの部分に設けられるものでも良く、前部、後部などの開閉ドアや車体の任意の部分に設けられる窓で良いことは、もちろんである。すなわち、本実施形態では、車両のフロントドア用ガラスランチャンネル材について説明したが、本発明は、例えば、リアドア用のガラスランチャンネル材にも適用できる。この場合も、ガラスランチャンネル材の上部と傾斜部とは、連続一体成形品で形成されて窓枠に所定の曲げ形状に装着可能とされても良いし、同一の横断面形状を備える複数のガラスランチャンネル材を、各端部で所定の角度を有して接合させることによって形成されても良い。
本発明に係るガラスランチャンネル材の摺動抵抗について測定した。
図7に示す形状のガラスランチャンネル材70の形状の試験片を、押し出し成形により作成した。なお、基底部12及び両側壁部15,16については、上述の方法により測定した静摩擦係数1.35のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用し、滑り防止部材71及び滑り防止部73,74,75については同一の材料とし、以下のものを使用した。
実施例I: 静摩擦係数1.89、デュロメータHDA硬度38のオレフィン系熱可塑性エラストマー
実施例II: 静摩擦係数1.85、デュロメータHDA硬度50のオレフィン系熱可塑性エラストマー
比較例I: 静摩擦係数1.35、デュロメータHDA硬度75のオレフィン系熱可塑性エラストマー
各試験片について図10に示す断面形状のサッシュ91に装着するとともに、厚さ3.0mmのガラス板を接触リップ間に挿入して、各試験片(70)のサッシュ91に対する摺動抵抗力を測定した。測定方法は、以下の通りである。
1.長さ300mmのサッシュの中央に長さ100mmの試験片をセットし、長さ200mm厚さ3.0mmのガラス板を試験片に挿入した。
2.0N,10N,20N,30N,40N,50Nの荷重をガラス板から試験片に向かってかけ、試験片に紐をかけてサッシュの長手方向に沿って速度10mm/secで引張り、サッシュに対して移動し始めるときの最大荷重を測定する。各荷重をかけた状態で5回ずつ行い、平均値(A)を求めた。
3.長さ300mmのサッシュに長さ300mmの試験片をセットした。長さ100mm厚さ3.0mmのガラス板を試験片に挿入した。
4.0N(無荷重),10N,20N,30N,40N,50Nの荷重をガラス板から試験片に向かってかけ、ガラス板をサッシュの長手方向に沿って速度150mm/secで100mm摺動させながら摺動抵抗を測定する。10mm移動後から90mm移動後までの間の摺動抵抗の最大値と最小値を抽出し、その平均値(B)を求めた。
5.平均値(A)は、サッシュに対する試験片の喰い付き力とガラスに対する試験片の摺動抵抗に対応する力であり、平均値(B)は、ガラスに対する試験片の摺動抵抗であるので、サッシュに対する試験片の摺動抵抗力(F)を以下の式により求めた。
F(N/100mm)=A(N/100mm)−B(N/100mm)
実施例I,II及び比較例Iのサッシュに対する摺動抵抗力を表1に示す。
Figure 0004261287

この結果、実施例I,IIと比較例Iを比較することにより、静摩擦係数が大きい材料よりなる滑り防止部材及び滑り防止部を備える試験片ほど摺動抵抗が大きいことがわかった。したがって、静摩擦係数が1.8以上である滑り防止部材及び滑り防止部を設けることにより、十分な位置ズレ防止機能を備えるガラスランチャンネル材が得られることが明らかとなった。また、特に、滑り防止部材及び滑り防止部の硬度が低い実施例Iでは、摺動抵抗力がより大きな値を示した。
本発明に係るガラスランチャンネル材を実車に装着したときの位置ズレの度合について測定した。
実施例I及び比較例Iと同じ断面形状、材質の押出し成形材を、図1に示すように射出成形コーナー部材8,9と接合して車両ドア用のガラスランチャンネル組立て体を作成し、それぞれ実施例III、比較例IIとした。そして、車両ドアの窓枠に、通常の方法で装着した。
温度80℃、湿度95%の条件下において、窓ガラスを30分間締め切ってから30秒間開放するという動作を1サイクルとして300回昇降させた。その後、ガラスランチャンネル組立て体の図11に示す部位A〜Fにおける窓ガラスの昇降前の位置からの変位量を測定した。結果を表2に示す。なお、変位量は、図11に示すように上及び/又は右にずれた場合を+、下及び/又は左にずれた場合を−とした。
Figure 0004261287

この結果より、実施例IIIでは、いずれの部位においても変位量が1mm未満であったのに対し、比較例IIでは、いずれの部位においても1mm以上、多いところで8mmのズレがあった。このことから、実施例IIIは、繰り返し摺動抵抗を受けても、その位置ズレ防止機能が良好に作用しており、実際の使用状況においてもより適正な位置を保持し得ることが明らかとなった。
本発明に係る車両用ガラスランチャンネル材が設けられているようす及び従来のガラスランチャンネル材が窓枠からはずれているようすを示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用ガラスランチャンネル材の自由状態を示す断面図である。 図2の車両用ガラスランチャンネル材が窓枠に取り付けられており、且つ窓板が閉じる前の状態を示す図1のIII−III線断面図である。 図3において、窓板が閉じたときの状態を示す断面図である。 図2の車両用ガラスランチャンネル材が図1に示す窓枠の側部に設けられて、窓板が当接したときの状態を示すV−V線断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る車両用ガラスランチャンネル材を示す窓枠取り付け状態の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る車両用ガラスランチャンネル材を示す窓枠取り付け状態の断面図である。 図7において窓板が閉じたときの状態を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る車両用ガラスランチャンネル材を示す自由状態の断面図である。 実施例1での摺動抵抗を測定するのに使用した治具及びガラスランチャンネル材の装着状態を示す断面図である。 実施例2でのガラスランチャンネル組立て体の測定部位及び変位方向を示す説明図である。
符号の説明
1 ガラスランチャンネル組立て体
10,40,70,80 ガラスランチャンネル材
3 上部押出し成形材
5,6 側部押出し成形材
8,9 射出成形コーナー部材
11 溝
11a チャンネル部
12 基底部
13a,13b 突条
15,16 側壁部
18,19 接触リップ
21,22 突出片
24,25 遮蔽リップ
28a,28b,28c 滑り材部
30 滑り防止部材
41,42 滑り防止部材
50 窓板
52 開口
54 窓枠
61 底面部
62,63 側面部
65,66 抜け止め部
74,75 滑り防止部
81a 底部
81b,81c 側部
83 中空部

Claims (14)

  1. 底面部(61)とこの底面部(61)の幅方向両側から立上り状に形成された両側面部(62、63)とによってガラスチャンネル用の溝(11)が形成された車両の窓枠(54)に沿って装着可能で、装着されたとき前記溝(11)内をスライド移動する窓板(50)を案内する熱可塑性エラストマー製の長尺状の車両用ガラスランチャンネル材(10)であって、
    前記ガラスランチャンネル材(10)は、前記窓枠(54)に装着されたとき、前記窓枠(54)の底面部(61)に対向して配置される基底部(12)と、この基底部(12)の幅方向両端から立ち上がるようにそれぞれ延びる一対の側壁部(15、16)と、前記一対の側壁部(15、16)の先端側からそれぞれ前記基底部(12)に向けて突出する弾性変形可能な接触リップ(18、19)と、前記基底部(12)の幅方向端部及び/又は両側壁部(15、16)から幅方向の両外側に突出して形成され前記窓枠(54)の内面に係止される複数の突出片(21、22)とを有し、
    前記ガラスランチャンネル材(10)の少なくとも前記基底部(12)、前記一対の側壁部(15、16)及び前記突出片(21、22)が熱可塑性エラストマーによって形成され、
    前記基底部(12)には、前記窓枠(54)の底面部(61)に対向する面に、前記窓枠(54)に対して前記基底部(12)の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい樹脂材料からなる滑り防止部材(30)が前記熱可塑性エラストマーを覆って長手方向に沿って一体的に形成されており、
    前記ガラスランチャンネル材(10)を前記基底部(12)から前記窓枠(54)の前記溝(11)内に挿入する際に前記窓枠(54)の側面部(62、63)に接触する前記突出片(21、22)及び前記一対の側壁部(15、16)の両外側面では前記熱可塑性エラストマーが露出しており、
    前記ガラスランチャンネル材(10)が前記窓枠(54)に装着されたとき、前記複数の突出片(21、22)が前記窓枠(54)の内面に係止された状態で前記基底部(12)の浮きを防止できる保持力を有すると共に、前記滑り防止部材(30)は、前記突出片(21、22)の作用により前記窓枠(54)の底面部(61)に対して圧接されるようになっていることを特徴とする、車両用ガラスランチャンネル材。
  2. 前記滑り防止部材(30)は、ゴムからなる、請求項1に記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  3. 前記滑り防止部材(30)は、発泡ゴムからなり、窓枠(54)の底面部(61)と基底部(12)との間で弾性圧縮状態で圧接されるようになっている、請求項2に記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  4. 前記滑り防止部材(30)は、JISK7215によるデュロメータ硬度がHDA20以上HDA70以下の熱可塑性エラストマーからなる、請求項1に記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  5. 前記熱可塑性エラストマーは、JISK7215によるデュロメータ硬度がHDA30以上HDA60以下のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる、請求項4に記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  6. 前記滑り防止部材(30)は、前記基底部(12)に溶着又は融着されている、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  7. 前記滑り防止部材(30)は、平板状に形成されており、前記窓枠(54)の底面部(61)にほぼ全面で接している、請求項1から6のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  8. 前記基底部を構成する熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーである、請求項1から7のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  9. 前記基底部(12)には、窓板(50)の端縁に接する面に、当該基底部(12)の熱可塑性エラストマーよりも前記窓板(50)に対する摩擦係数が小さい材料よりなる滑り材部(28a)を層状に備えている、請求項1から8のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  10. 前記接触リップ(18、19)の窓板(50)に弾接する面に、当該接触リップ(18、19)の構成材料よりも前記窓板(50)に対する摩擦係数が小さい材料よりなる滑り材部(28b、28c)を層状に備えている、請求項1から9のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  11. 前記基底部(12)の幅方向の端部に、前記基底部(12)より外方に突出する突条(13a、13b)を備え、当該ガラスランチャンネル材(10)が窓枠(54)に装着されたときに、基底部(12)と窓枠(54)の底面部(61)とこの突条(13a、13b)との間に空間が形成され、
    前記滑り防止部材(30)は、前記突条(13a、13b)が前記窓枠(54)に当接された状態で、前記空間内に前記基底部(12)と前記窓枠(54)の底面部(61)との間で圧接状態で配置されている、請求項1から10のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  12. 前記側壁部(15、16)から延びており、窓枠(54)に装着された状態で窓枠(54)と当該ガラスランチャンネル材(10)との間を遮蔽する遮蔽リップ(24、25)を有し、
    この遮蔽リップ(24、25)及び/又は前記突出片(21、22)の窓枠(54)に対向する面に、前記遮蔽リップ(24、25)及び/又は前記突出片(21、22)を構成する熱可塑性エラストマーより摩擦係数が大きい樹脂材料からなりガラスランチャンネル材(10)が前記窓枠(54)に装着されたときに前記窓枠(54)に圧接される滑り防止部(73、74、75)を備えている、請求項1から11のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材。
  13. 底面部(61)とこの底面部(61)の幅方向両側から立上り状に形成された両側面部(62、63)とによってガラスチャンネル用の溝(11)が形成された車両の窓枠(54)に沿って装着可能で、装着されたとき前記溝(11)内をスライド移動する窓板(50)を案内する熱可塑性エラストマー製の長尺状の車両用ガラスランチャンネル組立て体(1)であって、
    このガラスランチャンネル組立て体(1)は、複数の長尺な直線状の押し出し成形材(3、5、6)と、これらの押し出し成形材(3、5、6)のそれぞれの長手方向の端末同士を所定の角度で交差させて接合する形状の射出成形コーナー部材(8、9)とを備え、
    これらの押し出し成形材(3、5、6)及び射出成形コーナー部材(8、9)は、前記窓枠(54)に装着されたとき、窓枠(54)の底面部(61)に対向して配置される基底部(12)と、この基底部(12)の幅方向両端から立ち上がるようにそれぞれ延びる一対の側壁部(15、16)と、前記一対の側壁部(15、16)の先端側からそれぞれ前記基底部(12)に向けて突出する弾性変形可能な接触リップ(18、19)と、前記基底部(12)の幅方向端部及び/又は両側壁部(15、16)から幅方向の両外側に突出して形成され前記窓枠(54)の内面に係止される複数の突出片(21、22)とを有し、
    前記押し出し成形材(3、5、6)の少なくとも前記基底部(12)、前記一対の側壁部(15、16)及び前記突出片(21、22)が熱可塑性エラストマーによって形成され、
    前記基底部(12)には、前記窓枠(54)の底面部(61)に対向する面に、前記窓枠(54)に対して前記基底部(12)の熱可塑性エラストマーよりも摩擦係数が大きい樹脂材料からなる滑り防止部材(30)が前記熱可塑性エラストマーを覆って長手方向に沿って一体的に形成されており、
    前記押し出し成形材(3、5、6)を前記基底部(12)から前記窓枠(54)の前記溝(11)内に挿入する際に前記窓枠(54)の側面部(62、63)に接触する前記突出片(21、22)及び前記一対の側壁部(15、16)の両外側面では前記熱可塑性エラストマーが露出しており、
    前記押し出し成形材(3、5、6)が前記窓枠(54)に装着されたとき、前記複数の突出片(21、22)が前記窓枠(54)の内面に係止された状態で前記基底部(12)の浮きを防止できる保持力を有すると共に、前記滑り防止部材(30)は、前記突出片(21、22)の作用により前記窓枠(54)の底面部(61)に対して圧接されるようになっている、車両用ガラスランチャンネル組立て体。
  14. 前記窓板(50)のスライドによって窓板(50)の先端が突き当たる窓枠(54)の部分に取り付けられる押し出し成形材(3)が、請求項1から12のいずれかに記載の車両用ガラスランチャンネル材である、請求項13に記載の車両用ガラスランチャンネル組立て体。
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