JP4258939B2 - 非接触電力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次巻線と2次巻線との間が分離可能なトランスを備え、1次巻線が巻回されたコアと2次巻線が巻回されたコアとが非接触の状態でトランスの1次側から2次側へ電力を伝達する非接触電力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、1次巻線が巻回された1次側コアと2次巻線が巻回された2次側コアとで、1次巻線と2次巻線との間が分離可能なトランスを構成し、1次側コアと2次側コアとが非接触の状態で電磁誘導を利用してトランスの1次側から2次側へ電力を伝達する非接触電力伝達装置の実用化が各所で行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の非接触電力伝達装置は、トランスの2次側の出力端子間に接続される負荷が特定されているものが大半であり、出力端子間に接続可能な負荷として、複数種類の負荷を対象としたり、1種類の負荷であっても負荷電流が大きく変化するような負荷を対象とした非接触電力伝達装置の実用化例は見当たらない。
【0004】
ところで、この種の非接触電力伝達装置は、電力供給側となる上記トランスの1次側と出力端子間に負荷が接続される2次側との間に電気的絶縁物が介在した状態で1次側から2次側へ電力を伝送するものであるから、トランスの磁気結合度が低く、2次巻線に鎖交する磁束が1次巻線で発生する総磁束よりも少なくなるとともに、漏れ磁束による漏れインダクタンスが生じている。
【0005】
ここにおいて、この種のトランスの1次巻線へ供給される高周波交流電圧の周波数は一般に可聴域周波数以上の周波数(つまり、約20kHz以上の周波数)であるが、上記分離可能なトランスは磁気結合度が低く漏れインダクタンスがあるので、2次巻線の誘起電圧が低下するとともに漏れインダクタンスによる誘導リアクタンスでの電圧降下が生じるから、結果として、負荷へ供給される電圧(負荷電圧)が所望の負荷電圧よりも小さくなったり、負荷へ流れる電流(負荷電流)が所望の負荷電流よりも小さくなったりすることがある。
【0006】
具体例で説明すると、負荷電圧が一定で負荷電流が種々異なる複数種類の機器を負荷の対象とする場合、負荷電流が大きな負荷ほど、負荷の両端電圧が低下してしまい、機器本来の性能を発揮できなくなる。
【0007】
一例として、図24(a)に示すように分離可能なトランスTの2次側に設けた整流回路2及びチョークコイルLCHを通して可変抵抗よりなる負荷5へ負荷電流Iを供給する回路について説明する。なお、整流回路2は、周知の全波整流回路であって、トランスTの2次巻線n2にセンタタップ10を設けるとともに、2次巻線n2の両端をそれぞれダイオードD2,D3のアノードに接続し、両ダイオードD2,D3のカソード同士を接続してある。
【0008】
両ダイオードD2,D3のカソード同士の接続点と2次巻線n2のセンタタップ10との間にはチョークコイルLCHと負荷5との直列回路が接続され、負荷5にはコンデンサC3が並列接続されている。
【0009】
図24(a)に示す回路において、チョークコイルLCHのインダクタンス値を100μH、負荷5に並列接続されたコンデンサC3の容量値を100μF、トランスTの1次側コア8と2次側コア9との間のギャップgを2mmとし、1次巻線n1に図24(b)に示すように最大振幅が70Vで周波数が略97kHzの方形波状の高周波交流電圧を印加する場合、負荷5の抵抗値を種々変化させて負荷電圧(出力電圧)−負荷電流特性と、負荷電力−負荷電流特性とを測定すると、図26に示すような特性が得られる。ここに、図26は横軸が負荷電流I、左側の縦軸が負荷電圧V5、右側の縦軸が負荷電力Pであって、同図中のイが負荷電圧、ロが負荷電力を示す。
【0010】
なお、トランスTは、図25に示すような構成を有し、1次巻線n1がU型の1次側コア8の脚部2箇所に分けて巻回され、2次巻線n2がU型の2次側コア9の脚部2箇所に分けて巻回され、2次巻線n2の中点にセンタタップ10が設けられている。ここに、このトランスTの1次側のコイル端子A−A’側から見たインダクタンス値は112μH、2次側のコイル端子B−B’から見たインダクタンス値は42μH、1次巻線n1と2次巻線n2との相互インダクタンス値は91μHである。
【0011】
図26から、負荷電流Iが増加すると負荷電圧V5はほぼ単調に減少し、負荷電力Pは負荷電流Iが大きくなるにつれて増加量が小さくなっている(飽和している)ことが分かる。
【0012】
また、負荷5への充電を行う非接触電力伝達装置では、トランスTの漏れインダクタンスによる影響を打ち消し合ってトランスTの1次側から2次側へ取り出す有効電力を増加させる(すなわち、負荷整合による力率の改善)ためにトランスTの2次巻線n2に並列若しくは直列にコンデンサ(整合用のコンデンサ)が接続されている。
【0013】
このような整合用のコンデンサを設けることによって、一定の負荷に対しては、電力伝送効率が大幅に向上するので、装置の小型化を図ることができる。したがって、整合用のコンデンサは非接触電力伝達装置の実用化にあたっての重要な構成要素となっている。
【0014】
しかしながら、上述の整合用のコンデンサを設けた非接触電力伝達装置では、負荷電流Iが大きく変化する負荷に対しては、整合用のコンデンサを設けていない場合に比べて負荷電圧V5が顕著に低下してしまうという不具合があった。
【0015】
例えば、上述の図24(a)と略同じ回路構成であって、図27(a)に示すように、分離可能なトランスTの2次巻線n2に整合用のコンデンサC2を並列接続したものにおいて、トランスTの1次巻線n1へ図27(b)に示すように最大振幅が70Vで周波数が略97kHzの方形波状の高周波交流電圧を供給し、可変抵抗よりなる負荷5の抵抗値を種々変化させると、図29に示すような負荷電圧(出力電圧)−負荷電流特性と負荷電力−負荷電流特性が得られる。ここに、図29は横軸が負荷電流I、左側の縦軸が負荷電圧V5、右側の縦軸が負荷電力Pであって、同図中のイが負荷電圧、ロが負荷電力を示す。なお、以下では、(負荷電圧V5の変化幅)/(負荷電流の変化幅)で求められる値を電圧変化率と称す。
【0016】
図29から、負荷電圧V5は負荷電流Iが増加するほど電圧変化率が大きくなっていることが分かる。また、負荷電力Pは負荷電流Iが増加すると、ある負荷電流値でピークを持つ特性となっていることが分かる。さらに、負荷電流Iが非常に小さい負荷電流領域では、負荷電圧V5が大きくなっていることが分かる。
【0017】
なお、図27(a)に示す回路においてトランスTの2次巻線n2に誘起される電圧を使った2次側換算された等価回路は図28に示すように表すことができる。ここで、図27(a)における2次巻線n2のダイオードD2が接続された一端とセンタタップ10との間の部分が図28における高周波交流電源1aとインダクタンスL03とで等価的に表され、2次巻線n2の他端とセンタタップ10との間の部分が図28における高周波交流電源1bとインダクタンスL04とで表されている。
【0018】
図29に示した特性を有する非接触電力伝達装置において、負荷電圧(入力電圧)が同じで電力が異なる複数種類の負荷、すなわち負荷電流が異なる負荷に対して負荷電圧を定電圧化(安定化)する方法としては、トランスTの2次側で負荷電圧を検出し、該検出電圧と基準値とを比較して誤差増幅し、誤差増幅された信号をトランスTの1次側に非接触で伝送し、トランスTの1次巻線n1に供給される高周波交流電圧の振幅や周波数、デューティなどを制御するフィードバック制御回路を設ける方法や、トランスTの2次側に独立した安定化電源回路を設けてこれを負荷へ接続する方法などが考えられる。
【0019】
しかしながら、このようなフィードバック制御回路や安定化電源回路を設けると、部品点数が増加するとともにコストが高くなってしまう。ここにおいて、フィードバック制御回路や安定化電源回路を設けていない状態での負荷電圧の安定度が良好なほど、これらの回路を設けたことによる効果が高まり、追加する部品点数の削減が期待できる。
【0020】
このため、フィードバック制御回路を追加することなしに、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧(出力電圧)を一定化することができ比較的簡単な回路構成で安価な非接触電力伝達装置の開発が望まれていた。
【0021】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、回路構成を複雑化することなく負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる安価な非接触電力伝達装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、1次巻線と2次巻線との間が分離可能なトランスと、該トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサとを備え、トランスの1次巻線に方形波状の高周波交流電圧を供給しトランスの2次巻線を通して負荷へ電力を供給する非接触電力伝達装置であって、負荷へ供給する負荷電流範囲の最大値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの両端電圧が極大値、極小値となる時点とが略一致し、負荷へ供給する負荷電流範囲の最小値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの放電が完了する時点とが略一致するように上記コンデンサの容量値が設定されてなることを特徴とするものであり、フィードバック制御回路を設けることなしに、つまり、回路を複雑化することなしに安価な回路構成で、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができるから、負荷電流が大きく変化する負荷や負荷電圧が一定で負荷電流が異なる複数種類の負荷へ略一定の負荷電圧を供給することができる。
【0023】
ここで、請求項1の発明は、上記トランスの2次側換算された漏れインダクタンスをL02、上記コンデンサの容量値をC2、上記高周波交流電圧の周波数をfとするとき、
4・π・f・(L02・C2)1/2=1
の条件式を満たすように回路定数が設定されているので、上記負荷電流範囲の最大値以下の負荷電流に対して出力電圧を定電圧化することができる。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すためのダミー負荷を負荷が接続される出力端子間に接続してあるので、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すことができる。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷へ流れる負荷電流が上記負荷電流範囲内のときに上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の周波数が自動的に変化するので、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、上記駆動回路は、負荷電流が大きいほど上記高周波交流電圧の周波数が自動的に高くなることを特徴とし、請求項3の発明と同様の作用を奏する。
【0027】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、上記駆動回路は、負荷電流の変化に対応するように上記高周波交流電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間との少なくとも一方が自動的に変化することにより上記高周波交流電圧の周波数が変化するので、請求項3または請求項4の発明と同様の作用を奏する。
【0028】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続された共振用コンデンサを備え、上記高周波交流電圧の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間は、上記共振用コンデンサとインダクタンス成分とによる共振電圧を利用して時間が決まるので、請求項5の発明と同様の作用を奏する。
【0029】
請求項7の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷電流範囲において上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の波形が変化するので、請求項1または請求項2の発明と同様の作用を奏する。
【0030】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、上記高周波交流電圧は、負荷電流の増減に対応して当該高周波交流電圧の等価電圧振幅が増減するように電圧波形が変化するので、請求項7の発明と同様の作用を奏する。
【0031】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、共振型のインバータよりなるので、請求項1ないし請求項8の発明と同様の作用を奏する。
【0032】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続され上記1次巻線との間で共振を起こす共振用コンデンサを有する部分共振型のインバータであるので、ソフトスイッチングを維持しながら、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項6または請求項10の発明において、上記駆動回路は、当該駆動回路においてスイッチングされるスイッチング素子のオン時間が一定であり、部分共振が起こっている期間であって上記高周波交流電圧の電圧波形の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間において、負荷電流に対応して当該期間の時間と当該期間での電圧波形との少なくとも一方が変化するので、ソフトスイッチングを維持しながら、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる。
【0034】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、上記インバータは、ハーフブリッジ型のインバータなので、トランスのコアの利用効率が高くなる。
【0035】
請求項13の発明は、請求項11の発明において、上記インバータは、プッシュプル型のインバータなので、トランスのコアの利用効率が高くなる。
【0036】
請求項14の発明は、請求項12の発明において、上記インバータは、上記トランスの1次巻線にそれぞれ磁気結合した帰還巻線及び補助巻線と、帰還巻線を通して制御端へ入力電圧が与えられる電圧駆動型のスイッチング素子と、補助巻線の両端間に接続され上記入力電圧を制御する充放電回路とを備え、補助巻線の誘起電圧による充電電圧が所定電圧に達したときに上記入力電圧を低下させて上記スイッチング素子をオフさせる自励式のインバータなので、負荷電流に対応してスイッチング素子のオフ期間に生じる1次巻線の電圧の共振状態の変化を利用して電圧の立ち上がり時間と立ち下り時間と波形とが変化するから、広い負荷電流範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる。
【0037】
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項14の発明において、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すための抵抗を負荷が接続される出力端子間に接続してなるので、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すことができ、すべての負荷電流領域において出力電圧を自動的に定電圧化することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1に本実施形態の非接触電力伝達装置の要部回路図を示す。本実施形態の非接触電力伝達装置の構成は図27(a)に示した従来構成と同じであり、図1に示すように、分離可能なトランスTの2次側に2次巻線n2の出力を全波整流する整流回路2が設けられ、整流回路2の出力端間にチョークコイルLCHと抵抗よりなる負荷5との直列回路が接続され、負荷5にコンデンサC3が並列接続されている。また、トランスTの2次巻線n2には、整合用のコンデンサC2が並列接続されている。ここに、トランスTの1次巻線n1には図示しない駆動回路から高周波交流電圧が供給される。
【0039】
なお、整流回路2は、周知の全波整流回路であって、トランスTの2次巻線n2にセンタタップ10を設けるとともに、2次巻線n2の両端をそれぞれダイオードD2,D3のアノードに接続し、両ダイオードD2,D3のカソード同士を接続してある。また、トランスTの構成は図25で説明した従来構成と同じである。
【0040】
ところで、本願発明者は、図27(a)に示す回路において、負荷5の抵抗値を種々変化させて上述の図29に示すような負荷電圧(出力電圧)−負荷電流特性、負荷電力−負荷電流特性などの出力特性を測定するにあたって、コンデンサC2の容量値を変化させると、出力特性がいろいろな形をとるが、コンデンサC2の容量値を適宜選択することにより、負荷電流の変化に対する負荷電圧(出力電圧)の変動を小さくできる領域がある(つまり、上述の電圧変化率を小さくできる領域がある)ことを発見した。このような出力特性の例を図2、図3にそれぞれ示す。
【0041】
図2、図3は、図27(a)に示す回路において、チョークコイルLCHのインダクタンス値を100μH、負荷5に並列接続されたコンデンサC3の容量値を100μF、トランスTの1次側コア8と2次側コア9との間のギャップgを2mmとし、1次巻線n1に上述の図24(b)に示すように最大振幅が70Vで周波数が略97kHzの方形波状の高周波交流電圧を印加し、負荷5の抵抗値を種々変化させて得られた出力特性である。ここに、図2及び図3は、横軸が負荷電流、左側の縦軸は負荷電圧V5、右側の縦軸は負荷電力Pであり、各図中のイが負荷電圧、ロが負荷電力を示す。
【0042】
図2及び図3からは、上述の図29の出力特性に比べて上述の電圧変化率(負荷電圧V5の変化幅/負荷電流Iの変化幅)が比較的小さな負荷電流範囲が存在している。ここにおいて、図2及び図3それぞれでは、上述の電圧変化率が比較的小さな負荷電流範囲における負荷電流Iの最大値(以下、最大負荷電流値と称す)をImax、該負荷電流範囲における負荷電流Iの最小値(以下、最小負荷電流値と称す)をIminとして表記してある。
【0043】
図2及び図3それぞれの負荷電圧−負荷電流特性において最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの負荷電流範囲における電圧変化率は約0.6V/Aである。これに対して、上述の図29の負荷電圧−負荷電流特性では、負荷電流値が1〜4Aの負荷電流範囲における電圧変化率が約2.5V/A程度であるから、図2及び図3に示す負荷電圧−負荷電流特性は図29に示す負荷電圧−負荷電流特性に比べて電圧変化率が十分小さくなっていることが分かる。つまり、図2及び図3に示す負荷電圧−負荷電流特性では、最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの負荷電流範囲において負荷電圧V5が略安定しているので、この負荷電流範囲において負荷電圧を定電圧化することができる。
【0044】
そこで、本願発明者は、鋭意研究の結果、負荷電圧−負荷電流特性において負荷電圧V5が略安定する負荷電流範囲が得られる場合において、図4〜図6を参照しながら説明する以下のような共通の特徴を有することを見出した。なお、図4〜図6は、図28に示した図27(a)の回路の2次側換算の等価回路における各部の動作波形説明図であって、図4〜図6の(a)は1次巻線n1の両端電圧E1S、(b)は電源部1aの両端電圧E3S、(c)はコンデンサC2の両端電圧VC2、(d)はインダクタンスL03の両端電圧VL03、(e)はインダクタンスL04の両端電圧VL04、(f)は整流回路2の出力端間の電圧EL、(g)はインダクタンスL03に流れる電流IL03、(h)はインダクタンスL04に流れる電流IL04、(i)はコンデンサC2に流れる電流IC2、(j)はダイオードD2に流れる電流Id2、(k)はダイオードD3に流れるId3、(l)は負荷5に流れる負荷電流I、をそれぞれ示す。
【0045】
まず、負荷電流Iの大きさが最大負荷電流値Imaxのときの回路状態では、図4(a)に示す1次巻線n1の両端電圧ES1の極性反転時点(例えば時刻t1,t3)と、図4(c)に示すコンデンサC2の両端電圧VC2が極大値、極小値になる時点(時刻t1,t3)とが略一致する。なお、この条件が非接触電力伝送における負荷整合条件になることは、既に特願平11−45422号に提案している。
【0046】
一方、負荷電流Iの大きさが最小負荷電流値Iminのときの回路状態では、コンデンサC2の両端電圧VC2が図5(c)に示すように充放電において放電が完了する時点(つまり、コンデンサC2の充放電においてコンデンサC2の両端電圧VC2が略ゼロボルトの状態からコンデンサC2の充電が開始してコンデンサC2の両端電圧VC2が極大値または極小値に達してコンデンサC2の放電が開始されコンデンサC2の両端電圧VC2が略ゼロボルトに戻った時点t1、t3)で図5(a)に示す1次巻線n1の両端電圧E1S(及び2次側換算の誘起電圧E3S)の極性が反転する。すなわち、負荷電流Iの大きさが最小負荷電流値Iminのときの回路状態では、1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時点と、コンデンサC2の充放電においてコンデンサC2の放電が完了する時点(言い換えれば、コンデンサC2の両端電圧VC2の振動波形の1周期が完了する時点)とが略一致する。なお、1周期が完了とは、図5(c)に示すようにコンデンサC2の両端電圧VC2が略ゼロボルトから振動を開始して極大値または極小値を1回経過して再び略ゼロボルトに戻ることを意味している。
【0047】
また、負荷電流Iの大きさが上述の最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの間の任意の電流値となるときの動作波形は、負荷電流Iが最小負荷電流値Iminとなる条件を満たすときの波形と負荷電流Iが最大負荷電流値Imaxとなる条件を満たすときの波形との間の中間的な波形となる。ところで、負荷電圧V5の定電圧化が必要なのは、通常、負荷機器の無負荷時から全負荷時までの領域であるから、図3に示すような出力特性を持ち、負荷電流範囲を当該出力特性の最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの範囲とすることが望ましい。この場合、負荷電流Iが最小負荷電流値Iminに近い電流値となる回路状態(つまり、無負荷時に近い状態)において、1次巻線n1に供給される高周波交流電圧の波形を方形波と見なせるとすると、各部の動作波形が図6に示すような特徴を有することを見出した。
【0048】
図6の特徴は、図6(c)に示すコンデンサC2の両端電圧VC2の振動波形の振動が開始する時点が図6(a)に示す1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時(例えば時刻t1、t3)に略一致し、また図6(a)に示す1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時にコンデンサC2に流れる電流IC2が図6(i)に示すように略ゼロになっていることにある。
【0049】
コンデンサC2の両端電圧VC2の振動開始時点が、1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時点に一致するだけであれば図3に示した出力特性以外に多様な形の出力特性が得られるが、1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時にコンデンサC2の電流IC2も略ゼロとなる場合は唯一存在し、これらの特徴を持つときのみ図3に示すような略無負荷時の最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの負荷電流範囲に対して負荷電圧V5を定電圧化(安定化)できる。
【0050】
このような特徴を満たす回路条件は、トランスTの2次側換算された漏れインダクタンスをL02、トランスT1の1次巻線n1に供給する高周波交流電圧の周波数(駆動周波数)をf、コンデンサC2の容量値をC2とすると、下記(1)式を満たす場合であることが分かった。
4・π・f・(L02・C2)1/2=1…(1)
ここに、漏れインダクタンスL02は、図28に示した等価回路における漏れインダクタンスL03のインダクタンス値と漏れインダクタンスL04のインダクタンス値との和であるから、図3に示すような特性を得るためのコンデンサC2の容量値は、下記(2)式で求めることができる。
C2=(1/L02)・{1/(4・π・f)}2…(2)
また、上述のように2次巻線n2にセンタタップ10を設けて整流を行う場合には、2次側換算の漏れインダクタンスが図28に示すように漏れインダクタンスL03と漏れインダクタンスL04との2つに分けて表され、トランスTの2次巻線n2をセンタタップ10に対して両側で均等に巻いた場合には、両漏れインダクタンスL03,L04のインダクタンス値は略等しく、図3に示すような出力特性を得るためのコンデンサC2の容量値は、下記(3)式で求めることができる。
C2={1/(2・L03)}・{1/(4・π・f)}2…(3)
なお、漏れインダクタンスL02のインダクタンス値は、図25に示すトランスTの構成において、1次巻線n1のコイル端子A−A’間を短絡して、2次巻線n2のコイル端子B−B’側から見たインダクタンス値を測定することで得られる。また、図示していないが、1次巻線n1に供給される高周波交流電圧の電圧波形が方形波と見なせない場合、例えば台形波状の電圧波形の場合でも、これらの式(1)〜(3)の関係を満たすように回路定数を設定することにより図3に示すような出力特性を得ることができる。ただし、この場合には必ずしも1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時にコンデンサC2の電流IC2が略ゼロになっている必要はない。
【0051】
以上まとめると、本実施形態の非接触電力伝達装置の構成は図27(a)に示した従来構成と同じであって、図1に示す回路において、負荷5へ供給する負荷電流範囲の最大値である最大負荷電流値Imaxを規定するためにトランスTの1次巻線n1の両端電圧E1Sの極性反転時点とコンデンサC2の両端電圧VC2が極大値、極小値となる時点とが略一致し、負荷5へ供給する負荷電流範囲の最小値である最小負荷電流値Iminを規定するために1次巻線の両端電圧E1Sの極性反転時点とコンデンサC2の放電が完了する時点とが略一致するようにコンデンサC2の容量値を設定してある点に特徴がある。
【0052】
しかして、本実施形態の非接触電力伝達装置では、図27(a)に示した従来構成の非接触電力伝達装置に対して上述のフィードバック制御回路や安定化電源回路を設けることなしに、つまり、回路を複雑化することなしに安価な回路構成で、負荷電流Iの広い範囲にわたって負荷電圧V5を定電圧化することができるから、負荷電流Iが大きく変化する負荷5や負荷電圧V5が一定で負荷電流Iが異なる複数種類の負荷5へ略一定の負荷電圧V5を供給することができる。
【0053】
ここにおいて、トランスTの2次側換算された漏れインダクタンス値をL02、コンデンサC2の容量値をC2、上記高周波交流電圧の周波数をfとするとき、
4・π・f・(L02・C2)1/2=1
の条件式を満たすように回路定数が設定されているので、最大負荷電流値Imax以下の負荷電流Iに対して負荷電圧(出力電圧)V5を定電圧化することができる。
【0054】
また、図1の回路の実用回路を考えた場合、無負荷領域では、負荷5にほとんど電流が流れないので、図29に示したように負荷電圧V5が大きい領域が生じる場合がある。この対策としては、負荷5が接続される出力端子間にダミー抵抗を設け、無負荷状態でも確実に負荷最小電流値Iminの電流が流れるようにすればよい。要するに、言い換えれば、最小負荷電流値Iminより小さい負荷電流領域でも最小負荷電流値Imin以上の電流を流すためのダミー負荷を負荷5が接続される出力端子間に接続しておけば、最小負荷電流値Iminより小さい負荷電流領域でも最小負荷電流値Imin以上の電流を流すことができる。
【0055】
(実施形態2)
図7(a)に本実施形態の非接触電力伝達装置の要部回路図を示す。図7(a)に示した非接触電力伝達装置の構成は図1に示した実施形態1と同じであり、出力端子間に接続される負荷5として2次電池を用い、2次電池を充電する充電装置として利用される点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
ところで、図7(a)に示す回路のように負荷5として2次電池のような定電圧負荷を接続した場合、2次巻線n2に並列接続された整合用のコンデンサC2の容量値と負荷電流Iとの関係を表す特性は図8に示すような傾向を持つ。図8に示す特性において、コンデンサC2の容量値を変化させ負荷電流Iが最大になるときのコンデンサC2の容量値をC2maxと称す。要するに、コンデンサC2の容量値をC2maxとしたときに負荷電流(充電電流)Iの最大値を得ることができ、コンデンサC2の容量値をC2maxからずらすと充電電流Iが減少する。
【0057】
ところで、図7(a)に示した回路構成において1次巻線n1に供給する図7(b)に示すような方形波の高周波交流電圧の周波数(以下、駆動周波数と称す)を変化すると、コンデンサC2の容量値に対する負荷電流特性は例えば図9中のイ、ロ、ハ、ニのように変化する。ここに、図9は、イ、ロ、ハ、ニの順に駆動周波数が低くなる(イ、ロ、ハ、ニの中ではニが最も駆動周波数が低い)。すなわち、駆動周波数を変化させるとC2maxも変化し、駆動周波数を高くするほどC2maxは小さな容量値となる。
【0058】
したがって、図10に示すように、駆動周波数が高いイの負荷電流特性でコンデンサC2の容量値がC2maxになるように選ぶと、駆動周波数を低い方から高い方へ変化させることにより、負荷5である2次電池への充電電流Iを増加させることができる。また、図11に示すように、駆動周波数が低い条件でコンデンサC2の容量値がC2maxになるように選ぶと、駆動周波数を低い方から高い方へ変化させることにより、負荷5である2次電池への充電電流Iを減少させることができる。
【0059】
上述の各特性は、負荷電圧V5が一定の場合における特性であるが、負荷5として図27に示すような抵抗負荷や、平滑コンデンサを設けた負荷などのように、負荷電流Iが増加すると負荷電圧V5が低下するような負荷を用いる場合には、負荷電流Iの変化に対応させて駆動周波数を変化させれば、負荷電圧V5を略一定値に保つことができることを示している。
【0060】
具体的には、全負荷条件(最大負荷条件)において駆動周波数を最も高くし且つ無負荷条件において駆動周波数を最も低くするような周波数制御を行う場合、全負荷条件において安定化したい(所望の)負荷電圧V5になるようにコンデンサC2の容量値をC2maxに設定し、負荷5が軽くなるに従い駆動周波数を低くしていくようにすれば無負荷から全負荷まで広範囲の負荷(状態)において負荷電圧V5を略一定に保つことができる。ここに、コンデンサC2の容量値C2maxは、1次巻線n1の自己インダクタンス、2次巻線n2の自己インダクタンス、1次巻線n1と2次巻線n2との間の相互インダクタンス、駆動周波数(最も高い駆動周波数)に応じて設定される。したがって、駆動周波数を負荷電流Iに対応するように自動的に変化できる必要がある。
【0061】
また、一般に、負荷電圧V5が一定の場合、1次巻線n1の電圧振幅の大きさは負荷電流Iに比例する。したがって、負荷電圧(出力電圧)V5を定電圧化(安定化)させる方法として、負荷電流Iの変化による負荷電圧V5の変化に応じて1次巻線n1の入力電圧(高周波交流電圧)の電圧振幅を制御する方法が考えられる。この具体的方法として、図12(a)に示すような回路において、トランスTの1次巻線n1に供給する高周波交流電圧の電圧波形を、図12(c)に示すよう方形波の電圧波形から図12(b)に示すような台形波状の電圧波形(若しくは図示しない正弦波状の電圧波形)まで変化させる方法がある(ここにおける電圧波形を変化させるとは、高周波交流電圧の立ち上がり時および立ち下り時の傾きを変化させることを意味する)。
【0062】
これは、図13、図14にそれぞれ示す電圧E1S(高周波交流電圧)のように最大振幅Emaxが同じでも電圧波形が方形波から台形波になり立ち上がり及び立ち下りの傾きが小さくなるほど等価的な電圧平均振幅(等価振幅電圧)が小さくなる性質を利用するものである。ここに、図13に示す方形波の電圧平均振幅Ee1は最大振幅Emaxに等しく、図14に示す台形波の電圧平均振幅Ee2は最大振幅Emaxよりも小さい。すなわち、負荷電流Iが小さい時は1次巻線n1の入力電圧を台形波状にして1次巻線n1に印加される等価電圧振幅を小さくして負荷電圧V5の上昇を抑え、負荷電流Iが大きくなるほど方形波状の波形に近づけて1次巻線n1に印加される等価電圧振幅を大きくして負荷電圧V5の低下を抑えることで、広い範囲の負荷電流Iに対して負荷電圧V5の定電圧化(安定化)を図れる。この方法は、最大振幅は同じで等価電圧振幅のみを変えることができればよいから、方形波から変化させる波形は台形波には限らない。したがって、この実用化には、負荷電流Iに対応させて自動的に波形を変化させ1次巻線n1に印加される高周波交流電圧の等価電圧振幅が自動的に制御される手段が必要となる。
【0063】
以下、駆動周波数と高周波交流電圧の電圧波形を負荷電流Iの変化に対応させて自動的に変化させることができる非接触電力伝達装置について説明する。
【0064】
まず、図15に示すように、トランスTの1次巻線n1へ高周波交流電圧を供給する駆動回路1をハーフブリッジ型のインバータにより構成した例について説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付してある。
【0065】
図15に示す構成の非接触電力伝達装置は、1次巻線n1と2次巻線n2との間が分離可能なトランスTと、直流電源Eと、直流電源Eの出力端間に接続され直流電源Eの電圧を高周波交流電圧に変換してトランスTの1次巻線n1へ供給するハーフブリッジ型のインバータよりなる駆動回路1と、トランスTの2次巻線n2に並列接続された整合用のコンデンサC2と、トランスT2の2次巻線n2に発生する電圧を整流して負荷5へ供給する整流回路2と、整流回路2と負荷5との間に挿入されたチョークコイルLCHと、負荷5に並列接続されたコンデンサC3とを備えている。
【0066】
駆動回路1は、上述のようにハーフブリッジ型のインバータであって、一対のコンデンサCa,Cbの直列回路と一対のパワーMOSFETよりなるスイッチング素子S1,S2の直列回路とが直流電源Eの出力端間に互いに並列に接続されるとともに、両コンデンサCa,Cbの接続点と両スイッチング素子S1,S2の接続点との間にトランスTの1次巻線n1が挿入されている。なお、各スイッチング素子S1,S2に逆並列に接続された還流用ダイオードDS1,DS2は各スイッチング素子S1,S2それぞれのMOSFETのボディダイオードにより構成されるが、別途に設けてもよい。また、直流電源Eは、例えば、商用電源を整流平滑することにより得られる。
【0067】
この駆動回路1は、スイッチング素子S1,S2が図示しない制御回路により交互にオンオフされることでトランスTの1次巻線n1に方形波の高周波交流電圧を印加する。
【0068】
整流回路2は、周知の全波整流回路であって、トランスTの2次巻線n2にセンタタップ10を設けるとともに、2次巻線n2の両端をそれぞれダイオードD2,D3のアノードに接続し、両ダイオードD2,D3のカソード同士を接続してある。ここにおいて、ダイオードD2,D3のカソード同士の接続点と負荷5の一端との間に上記チョークコイルLCHが挿入され、センタタップ10が負荷5の他端に接続されている。なお、チョークコイルLCHは負荷電流Iの連続化、平滑化のために必要であるが、コンデンサC3は必ずしも設ける必要はない。
【0069】
次に、図15に示す回路構成の非接触電力伝達装置におけるトランスTの1次巻線n1に並列接続されたコンデンサC1を有する非接触電力伝達装置の回路図を図16に示す。図16に示す例では、コンデンサC1の容量値を比較的大きくとり、1次巻線n1のインダクタンス成分L1など(実際は1次巻線n1側から負荷5側を見た回路全体が対象であり、1次巻線n1、2次巻線n2、相互インダクタンス、さらには2次側のコンデンサC2、負荷5によって共振状態は変化する)との共振を利用する。なお、コンデンサC1は、必ずしも1次巻線n1に並列接続する必要はなく、等価回路的にこれと同じ構成になるものは同様とみなす。例えば、図16に示す回路では、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2に並列にコンデンサを設けても等価回路的に同じである。図17は図16の回路の各部の動作波形を示し、(a)は1次巻線n1の両端電圧VL、(b)は1次巻線n1に流れる電流IL、(c)はスイッチング素子S2の両端電圧VD2、(d)はスイッチング素子S2に流れる電流(ドレイン電流)ID2、(e)はスイッチング素子S1の両端電圧VD1、(f)はスイッチング素子S1に流れる電流(ドレイン電流)ID1、(g)はスイッチング素子S1のオンオフ、(h)はスイッチング素子S2のオンオフ、をそれぞれ示す。
【0070】
ところで、図16に示す非接触電力伝達装置において、スイッチング素子S1,S2が交互にオンオフする間に図17(g),(h)に示すように両スイッチング素子S1,S2が共にオフとなる期間(この期間の時間幅をデッドタイムと称す)を設けると、1次巻線n1の両端電圧VLは図17(a)に示すようにデッドタイムの間に1次巻線n1のインダクタンス成分L1などとコンデンサC1の共振回路により共振電圧が発生し、電源電圧やGNDレベルになるまで電圧が変化し、電源電圧やGNDレベルになると、還流用ダイオードDS1,DS2により電圧がクランプされる。これは、部分共振技術またはソフトスイッチング技術として、各スイッチング素子S1,S2のターンオン損失をなくすのに有効な周知の方法である。
【0071】
しかし、この損失低減が目的であれば、コンデンサC1の容量値を大きくする必要はなく、MOSFETよりなるスイッチング素子S1,S2の寄生容量などを利用することで、コンデンサC1を省いても損失低減を実現できる。
【0072】
これに対し、本発明は、比較的大きな容量値を持つコンデンサC1を利用して上記インダクタンス成分L1などとコンデンサC1による共振周期を大きくすることで、図17(a)に示すように1次巻線n1の両端電圧VLの波形を台形波状とすることに特徴がある。そして、この台形波の立ち上がり、立ち下り(ともにデッドタイムの期間)を形成する共振電圧を得るためのコンデンサC1の容量値を特定の容量値に選ぶと、無負荷では、立ち上がり時間および立ち下り時間が比較的長く、全負荷では立ち上がり時間および立ち下り時間が比較的短く(ただし、各スイッチング素子S1,S2のオン期間は負荷範囲内で一定とする)なり、駆動周波数は無負荷時では低く全負荷では高くなり、負荷電圧V5を安定化させる方向に働く。また、1次巻線n1の両端電圧VLの波形が台形波〜方形波で変化することで、無負荷時の1次巻線n1に印加される電圧の等価電圧振幅は方形波の場合よりも低下して、負荷電圧V5の上昇が抑えられる。
【0073】
この1次巻線n1の両端電圧VLの立ち上がり時間、立ち下がり時間を決める共振は、上述のようにコンデンサC1とインダクタンス成分L1のみでは決まらず、コンデンサC1と、インダクタンス成分L1側から負荷側を見た1次巻線n1、2次巻線n2、相互インダクタンス、さらに2次側のコンデンサC2と負荷5を含むた回路との共振になる。さらに整流平滑方式にも影響を受ける。したがって、負荷5の状態変化(例えば、負荷5が抵抗の場合には、抵抗値の変化)が回路方式と相互作用することによって共振周期の変化として反映され、結果として立ち上がり時間および立ち下がり時間と波形を自動的に変化させられるものと考えられる。
【0074】
(実施形態3)
図18に本実施形態の非接触電力伝達装置の回路図を示す。実施形態2で説明した図17の回路における駆動回路1は他励式のハーフブリッジ型のインバータであったが、本実施形態の非接触電力伝達装置における駆動回路1は、自励式の部分共振インバータにより構成されている。すなわち、本実施形態においてはMOSFETのような電圧駆動型のスイッチング素子S1,S2をオンオフするために発振回路を備えた制御回路を別に設ける必要がない。なお、トランスTの構成およびトランスTの2次巻線n2の出力を整流する整流回路2の構成は実施形態2と同じなので、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
駆動回路1は、一対のコンデンサCa,Cbの直列回路と一対のパワーMOSFETよりなるスイッチング素子S1,S2の直列回路とが直流電源EとスイッチSWとの直列回路に互いに並列に接続されるとともに、両コンデンサCa,Cbの接続点と両スイッチング素子S1,S2の接続点との間にトランスTの1次巻線n1が挿入され、1次巻線n1にコンデンサC1が並列接続されている。なお、各スイッチング素子S1,S2にはMOSFETのボディダイオードよりなる還流用ダイオード(図示せず)が逆並列に接続される。また、直流電源Eは、例えば、商用電源を整流平滑することにより得られる。
【0076】
また、駆動回路1は、トランスTの1次巻線n1にそれぞれ磁気結合した各2つの帰還巻線nf1,nf2及び補助巻線ns1,ns2を備えている。また、各スイッチング素子S1、S2の両端間には、抵抗R7,R8とコンデンサC5,C6との直列回路が接続されており、抵抗R7,R8とコンデンサC5,C6との接続点とスイッチング素子S1,S2の制御端との間に上記帰還巻線nf1,nf2と抵抗R1,R4との直列回路が挿入されている。要するに、スイッチング素子S1,S2は上記帰還巻線nf1,nf2を通して制御端へ入力電圧が与えられる。また、補助巻線ns1,ns2の両端間はスイッチング素子S1,S2の入力電圧を制御する充放電回路が接続されている。ここに、補助巻線ns1の両端間に接続される充放電回路は、抵抗R2,R3,R10、ダイオードD11,D12,D16,D21、コンデンサC7,C8、トランジスタTr1により構成され、ダイオードD21とトランジスタTr1とが放電回路を構成している。また、補助巻線ns2の両端間に接続される充放電回路は、抵抗R5,R6,R11、ダイオードD13,D14,D17,D22、コンデンサC9,C10、トランジスタTr2により構成され、ダイオードD22とトランジスタTr2とが放電回路を構成している。
【0077】
以下、本実施形態の非接触電力伝達装置の動作について説明する。
【0078】
スイッチSWを投入すると、抵抗R7,R8を介してコンデンサC5,C6が充電される。このコンデンサC5,C6の電圧はスイッチング素子S1,S2のゲートに印加されており、コンデンサC5,C6のいずれかの電圧がスイッチング素子S1,S2のしきい値電圧に達すると、例えば、コンデンサC5の電圧がスイッチング素子S1のしきい値電圧に達すると、スイッチング素子S1がオンし、1次巻線n1に電流ILが流れ始める。
【0079】
すると、帰還巻線nf1にスイッチング素子S1のオンを継続する方向に誘起電圧が発生するので、スイッチング素子S1は安定なオン状態を保つ。この誘起電圧はコンデンサC6の電位に重畳される。このとき、抵抗R7とスイッチング素子S1との間に接続されたダイオードD21によりコンデンサC5の電圧はグランドレベルまで放電されるが、帰還巻線nf1の誘起電圧だけでもスイッチング素子S1のオン状態を十分維持することができる。ところで、帰還巻線nf1の誘起電圧の発生とともに補助巻線ns1にも誘起電圧が発生する。この補助巻線ns1には、上述の充放電回路が接続されているから、補助巻線ns1に誘起電圧が発生すると、ダイオードD11、抵抗R2を通してコンデンサC7が充電されるとともに、トランジスタTr1のベース・エミッタ間に接続されたコンデンサC8がダイオードD15を通して充電される。
【0080】
コンデンサC7,C8の充電が進み、やがてトランジスタTr1がオンとなり、トランジスタTr1がオンすると、スイッチング素子S1のゲート電圧が低下するので、スイッチング素子S1がオフになる。スイッチング素子S1がオフになると、それまで流れていた1次巻線n1の電流ILはその電流を維持しようとしてコンデンサC1へ転流し、ここでコンデンサC1と1次巻線n1のインダクタンス成分L1側から負荷側を見た回路との自由振動(便宜上、共振と呼ぶ)を始める。この共振がはじまり、やがてスイッチング素子S1の両端電圧VD1が電源電圧VEになるとスイッチング素子S2のボディダイオードよりなる還流用ダイオード(図示せず)を通じて電源電圧VEにクランプされる。
【0081】
一方、電圧VLの極性反転、電流ILの電流方向変換により、帰還巻線nf1および補助巻線ns1には逆電圧が誘起され、スイッチング素子S1のオフを維持するとともに、補助巻線ns1の逆誘起電圧はダイオードD12と抵抗R3を通じてコンデンサC7の電荷を引き抜き略ゼロ電位にする。このときコンデンサC8の電荷も抵抗R10を通して徐々に放電される。この動作と同時に帰還巻線nf2と補助巻線ns2には正の誘起電圧が発生する。帰還巻線nf2に誘起電圧が発生しても抵抗R4とスイッチング素子S2の入力容量とにより遅延時間が発生するのでスイッチング素子S2は遅れてオン状態となり、オン状態を維持する。この共振による電圧変化期間と上記遅延とにより、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2とが共にオフとなる期間、つまり、デッドタイムが設けられる。帰還巻線nf2に誘起した電圧はダイオードD13と抵抗R5を通してコンデンサC9,C10を充電していく。そして、コンデンサC10の充電電圧が時間経過とともに増加してトランジスタTr2がオンし、スイッチング素子S2がオフとなる。以後、同様の動作を繰り返し自励発振を継続する。この回路はデッドタイムが変化しても各スイッチング素子S1,S2のオン期間の時間幅を略一定にできる。
【0082】
本実施形態の非接触電力伝達装置においても、コンデンサC2の容量値は、上述の式(1)を満たすように設定されている。すなわち、コンデンサC2の容量値は、
4・π・f・(L02・C2)1/2=1
の条件を満たすように設定されている。
【0083】
図18の回路においてコンデンサC2の容量値C2を0.062μF、コンデンサC1の容量値を0.022μFとして負荷5の抵抗値を変化させて負荷電圧−負荷電流特性および負荷電力−負荷電流特性を測定した結果を図19に示す。
【0084】
図19において負荷電流Iの最小負荷電流値Iminから最大負荷電流値Imaxまでの負荷電流範囲における電圧変化率は0.4V/A程度であり、実施形態1で説明した図3の出力特性における電圧変化率(0.6V/A)よりもさらに改善されていることが分かる。この改善に関与した無負荷に近い負荷電流時の波形例と全負荷近くの電流時の波形例とをそれぞれ図20,図21に示す。ここに、図20、図21の(a)は1次巻線n1の両端電圧VL、(b)はコンデンサC2の両端電圧VC2、(c)は負荷5に流れる負荷電流I、(d)は負荷電圧V5、をそれぞれ示す。
【0085】
図20の無負荷に近い負荷電流Iでは1次巻線n1の電圧波形は台形波状で周波数が約70kHzであり、図21の全負荷時では1次巻線n1の電圧波形が台形波状で周波数が約80kHzになっている。要するに、周波数が自動的に10kHz程度変化しており、また、波形も自動的に立ち上がり時および立ち上がり時の傾きなどの形状の変化を実現できている。なお、このときの各スイッチング素子S1,S2のオン時間は略4μsで一定であった。
【0086】
本実施形態では、上述のようにデッドタイムを設け、その期間を、共振を利用してその共振電圧の立ち上がり時間、立ち下り時間(いずれも共振の開始時点から電源電圧またはグランド電位にクランプされる時点までの時間)やその電圧波形を負荷に応じて自動的に変化できるようにする各回路定数の組み合わせは試行錯誤で見つけることができる。具体的には無負荷に近い状態の負荷と全負荷の波形を各々観測すれば、周期的にまたは波形的に適当に変化する定数の組み合わせを見出すことができる。
【0087】
図19の出力特性において負荷電流Iが最小負荷電流値Iminよりも小さい電流領域では負荷電圧V5が大きくなっている。このようなことは実際よくあることなので、この最小負荷電流値Iminに相当する負荷電流が流れるように予めダミー負荷として抵抗などを出力端子(負荷接続端子)間に接続しておけばよい。
【0088】
(実施形態4)
本実施形態の非接触電力伝達装置の基本構成は実施形態1および実施形態2と略同じであって、図22に示すように、分離可能なトランスTの1次巻線n1へ高周波交流電圧を供給する駆動回路1としてプッシュプル型のインバータを用いた点に特徴がある。実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
(実施形態5)
本実施形態の非接触電力伝達装置の基本構成は実施形態1および実施形態2と略同じであって、図23に示すように、スイッチング素子S1,S2に直列且つ還流用ダイオードDS1,DS2に逆向きに接続されるダイオードDf1,Df2を設けて、1次巻線n1の電圧が電源電圧やグランドレベルでクランプされないようにすることで共振電圧を正弦波状の波形として動作させる点に特徴がある。実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
なお、本願発明の技術思想は、磁気結合度が低く漏れインダクタンスが大きい特性を必然的に有する分離可能なトランスを電力伝達に用いる非接触電力伝達装置に関するものであるが、磁気結合度を低下させた状態で使う固定式のトランスを電力伝達に用いる場合にも適用することができ、フィードバック制御回路を設けることなしに、広い範囲の負荷電流変化に対して負荷電圧の安定化を図れ、フィードバック制御回路を設けてもその追加部品の数やコストアップを少なくすることができる。
【0091】
【発明の効果】
請求項1の発明は、1次巻線と2次巻線との間が分離可能なトランスと、該トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサとを備え、トランスの1次巻線に方形波状の高周波交流電圧を供給しトランスの2次巻線を通して負荷へ電力を供給する非接触電力伝達装置であって、負荷へ供給する負荷電流範囲の最大値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの両端電圧が極大値、極小値となる時点とが略一致し、負荷へ供給する負荷電流範囲の最小値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの放電が完了する時点とが略一致するように上記コンデンサの容量値が設定されてなるものであり、フィードバック制御回路を設けることなしに、つまり、回路を複雑化することなしに安価な回路構成で、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができるから、負荷電流が大きく変化する負荷や負荷電圧が一定で負荷電流が異なる複数種類の負荷へ略一定の負荷電圧を供給することができるという効果がある。
【0092】
ここで、請求項1の発明は、上記トランスの2次側換算された漏れインダクタンスをL02、上記コンデンサの容量値をC2、上記高周波交流電圧の周波数をfとするとき、
4・π・f・(L02・C2)1/2=1
の条件式を満たすように回路定数が設定されているので、上記負荷電流範囲の最大値以下の負荷電流に対して出力電圧を定電圧化することができるという効果がある。
【0093】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すためのダミー負荷を負荷が接続される出力端子間に接続してあるので、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すことができるという効果がある。
【0094】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷へ流れる負荷電流が上記負荷電流範囲内のときに上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の周波数が自動的に変化するので、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができるという効果がある。
【0095】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、上記駆動回路は、負荷電流が大きいほど上記高周波交流電圧の周波数が自動的に高くなることを特徴とし、請求項3の発明と同様の効果がある。
【0096】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、上記駆動回路は、負荷電流の変化に対応するように上記高周波交流電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間との少なくとも一方が自動的に変化することにより上記高周波交流電圧の周波数が変化するので、請求項3または請求項4の発明と同様の効果がある。
【0097】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続された共振用コンデンサを備え、上記高周波交流電圧の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間は、上記共振用コンデンサとインダクタンス成分とによる共振電圧を利用して時間が決まるので、請求項5の発明と同様の効果がある。
【0098】
請求項7の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷電流範囲において上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の波形が変化するので、請求項1または請求項2の発明と同様の効果がある。
【0099】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、上記高周波交流電圧は、負荷電流の増減に対応して当該高周波交流電圧の等価電圧振幅が増減するように電圧波形が変化するので、請求項7の発明と同様の効果がある。
【0100】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、共振型のインバータよりなるので、請求項1ないし請求項8の発明と同様の効果がある。
【0101】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続され上記1次巻線との間で共振を起こす共振用コンデンサを有する部分共振型のインバータであるので、ソフトスイッチングを維持しながら、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができる。
【0102】
請求項11の発明は、請求項6または請求項10の発明において、上記駆動回路は、当該駆動回路においてスイッチングされるスイッチング素子のオン時間が一定であり、部分共振が起こっている期間であって上記高周波交流電圧の電圧波形の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間において、負荷電流に対応して当該期間の時間と当該期間での電圧波形との少なくとも一方が変化するので、ソフトスイッチングを維持しながら、負荷電流の広い範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができるという効果がある。
【0103】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、上記インバータは、ハーフブリッジ型のインバータなので、トランスのコアの利用効率が高くなるという効果がある。
【0104】
請求項13の発明は、請求項11の発明において、上記インバータは、プッシュプル型のインバータなので、トランスのコアの利用効率が高くなるという効果がある。
【0105】
請求項14の発明は、請求項12の発明において、上記インバータは、上記トランスの1次巻線にそれぞれ磁気結合した帰還巻線及び補助巻線と、帰還巻線を通して制御端へ入力電圧が与えられる電圧駆動型のスイッチング素子と、補助巻線の両端間に接続され上記入力電圧を制御する充放電回路とを備え、補助巻線の誘起電圧による充電電圧が所定電圧に達したときに上記入力電圧を低下させて上記スイッチング素子をオフさせる自励式のインバータなので、負荷電流に対応してスイッチング素子のオフ期間に生じる1次巻線の電圧の共振状態の変化を利用して電圧の立ち上がり時間と立ち下り時間と波形とが変化するから、広い負荷電流範囲にわたって負荷電圧を定電圧化することができるという効果がある。
【0106】
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項14の発明において、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すための抵抗を負荷が接続される出力端子間に接続してなるので、上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すことができ、負荷の負荷電流領域において出力電圧を自動的に定電圧化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1を示す要部回路図である。
【図2】 同上を説明するための出力特性図である。
【図3】 同上を説明するための出力特性図である。
【図4】 同上を説明するための動作説明図である。
【図5】 同上を説明するための動作説明図である。
【図6】 同上を説明するための動作説明図である。
【図7】 実施形態2を示す要部回路図である。
【図8】 トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサの容量値と負荷電流との関係説明図である。
【図9】 トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサの容量値と負荷電流との関係説明図である。
【図10】 トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサの容量値と負荷電流との関係説明図である。
【図11】 トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサの容量値と負荷電流との関係説明図である。
【図12】 同上の他の構成例の要部回路図である。
【図13】 同上の他の構成例の動作説明図である。
【図14】 同上の他の構成例の動作説明図である。
【図15】 同上の別の構成例の回路図である。
【図16】 同上のさらに別の構成例の回路図である。
【図17】 同上の動作説明図である。
【図18】 実施形態3を示す回路図である。
【図19】 同上の出力特性図である。
【図20】 同上の動作説明図である。
【図21】 同上の動作説明図である。
【図22】 実施形態4を示す回路図である。
【図23】 実施形態5を示す回路図である。
【図24】 従来例を示す要部回路図である。
【図25】 同上のトランスの概略構成図である。
【図26】 同上の特性説明図である。
【図27】 他の従来例を示す要部回路図である。
【図28】 同上の等価回路図である。
【図29】 同上の特性説明図である。
【符号の説明】
1 駆動回路
2 整流回路
5 負荷
C2 コンデンサ
n1 1次巻線
n2 2次巻線
T トランス
Claims (15)
- 1次巻線と2次巻線との間が分離可能なトランスと、該トランスの2次巻線に並列接続されたコンデンサとを備え、トランスの1次巻線に方形波状の高周波交流電圧を供給しトランスの2次巻線を通して負荷へ電力を供給する非接触電力伝達装置であって、負荷へ供給する負荷電流範囲の最大値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの両端電圧が極大値、極小値となる時点とが略一致し、負荷へ供給する負荷電流範囲の最小値が負荷電流として流れる回路状態において、上記1次巻線の両端電圧の極性反転時点と上記コンデンサの放電が完了する時点とが略一致するように上記コンデンサの容量値が設定されてなり、上記トランスの2次側換算された漏れインダクタンスをL02、上記コンデンサの容量値をC2、上記高周波交流電圧の周波数をfとするとき、
4・π・f・(L02・C2) 1/2 =1
の条件式を満たすように回路定数が設定されてなることを特徴とする非接触電力伝達装置。 - 上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すためのダミー負荷を負荷が接続される出力端子間に接続してなることを特徴とする請求項1記載の非接触電力伝達装置。
- 上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷へ流れる負荷電流が上記負荷電流範囲内のときに上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の周波数が自動的に変化することを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触電力伝達装置。
- 上記駆動回路は、負荷電流が大きいほど上記高周波交流電圧の周波数が自動的に高くなることを特徴とする請求項3記載の非接触電力伝達装置。
- 上記駆動回路は、負荷電流の変化に対応するように上記高周波交流電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間との少なくとも一方が自動的に変化することにより上記高周波交流電圧の周波数が変化することを特徴とする請求項3または請求項4記載の非接触電力伝達装置。
- 上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続された共振用コンデンサを備え、上記高周波交流電圧の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間は、上記共振用コンデンサとインダクタンス成分とによる共振電圧を利用して時間が決まることを特徴とする請求項5記載の非接触電力伝達装置。
- 上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記負荷電流範囲において上記トランスの2次側で負荷へ供給される出力電圧が定電圧化されるように上記高周波交流電圧の波形が変化することを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触電力伝達装置。
- 上記高周波交流電圧は、負荷電流の増減に対応して当該高周波交流電圧の等価電圧振幅が増減するように電圧波形が変化することを特徴とする請求項7記載の非接触電力伝達装置。
- 上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、共振型のインバータよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の非接触電力伝達装置。
- 上記1次巻線へ上記高周波交流電圧を供給する駆動回路を備え、上記駆動回路は、上記1次巻線に並列接続され上記1次巻線との間で共振を起こす共振用コンデンサを有する部分共振型のインバータであることを特徴とする請求項9記載の非接触電力伝達装置。
- 上記駆動回路は、当該駆動回路においてスイッチングされるスイッチング素子のオン時間が一定であり、部分共振が起こっている期間であって上記高周波交流電圧の電圧波形の立ち上がり期間と立ち下がり期間との少なくとも一方の期間において 、負荷電流に対応して当該期間の時間と当該期間での電圧波形との少なくとも一方が変化することを特徴とする請求項6または請求項10記載の非接触電力伝達装置。
- 上記インバータは、ハーフブリッジ型のインバータであることを特徴とする請求項11記載の非接触電力伝達装置。
- 上記インバータは、プッシュプル型のインバータであることを特徴とする請求項11記載の非接触電力伝達装置。
- 上記インバータは、上記トランスの1次巻線にそれぞれ磁気結合した帰還巻線及び補助巻線と、帰還巻線を通して制御端へ入力電圧が与えられる電圧駆動型のスイッチング素子と、補助巻線の両端間に接続され上記入力電圧を制御する充放電回路とを備え、補助巻線の誘起電圧による充電電圧が所定電圧に達したときに上記入力電圧を低下させて上記スイッチング素子をオフさせる自励式のインバータであることを特徴とする請求項12記載の非接触電力伝達装置。
- 上記負荷電流範囲の最小値より小さい負荷電流領域でも上記最小値以上の電流を流すための抵抗を負荷が接続される出力端子間に接続してなることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の非接触電力伝達装置。
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