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JP4241655B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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JP4241655B2 JP2005109340A JP2005109340A JP4241655B2 JP 4241655 B2 JP4241655 B2 JP 4241655B2 JP 2005109340 A JP2005109340 A JP 2005109340A JP 2005109340 A JP2005109340 A JP 2005109340A JP 4241655 B2 JP4241655 B2 JP 4241655B2
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Description

本発明は、車両に対する制駆動力(駆動力と制動力)を、車両のばね上の振動を抑制するように制御する機能を備えた車両制御装置に関する発明である。
近年、車両の振動抑制制御を最適化するために、特許文献1(特開2004−168148号公報)に示すように、運転者によるアクセル操作、ステアリング操作及びブレーキ操作の少なくとも1つに対応する入力指令により発生する、車両のタイヤの振動、サスペンションにおける車体バネ下の振動、及び、車体自体が受ける車体バネ上の振動の力学モデルである運動モデルを用いて、車体の振動を抑制するようにエンジン及び/又はブレーキ装置で発生する制駆動力を補正する技術が開発されている。
特開2004−168148号公報(第2頁等)
ところで、走行中には、運転者の手動運転操作(アクセル操作、ステアリング操作、ブレーキ操作)によって要求制駆動力が変化する他、クルーズコントロール(定速走行制御)、プリクラッシュブレーキ制御(衝突防止ブレーキ制御)、トラクションコントロール、車体挙動制御(VDC)等の各種自動走行制御によっても要求制駆動力が変化する。従って、走行中は、運転者の手動運転操作に応じた要求制駆動力(以下「ドライバ要求制駆動力」という)とクルーズコントロール等の自動走行制御を実行するための要求制駆動力(以下「クルーズ要求制駆動力」という)との調停を行い、どちらか一方の要求制駆動力を最終的な要求制駆動力に決定して制駆動力を制御するようにしている。
この場合、調停後の要求制駆動力は、ドライバ要求制駆動力とクルーズ要求制駆動力のどちらか一方であるため、調停後の要求制駆動力に対して制振処理を施して最終的な要求制駆動力を求めるようにすると、クルーズ要求制駆動力に対しても制振処理が施されて、クルーズコントロール等が行われることがある。
しかし、制振処理によって車両の動特性が影響を受けるため、制振処理に合わせてクルーズコントロール等のシステムを設計する必要がある。従って、クルーズ要求制駆動力に対して制振処理を施してクルーズコントロール等を行うように構成すると、システム構成が複雑化する欠点がある。しかも、車両の運転状態等によって制振制御特性を可変にする場合、全ての制御領域で所望の制振効果が得られるようにするには過度のロバスト性を確保する必要が出てくるという欠点もある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、第1の要求制駆動力(例えばドライバ要求制駆動力)と第2の要求制駆動力(例えばクルーズ要求制駆動力)との調停を行うシステムにおいて、ロバスト性確保の要求を満たしながら制振制御のシステム設計を簡略化できる車両制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力を演算する第1の要求制駆動力演算手段と、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力を演算する第2の要求制駆動力演算手段と、前記第1の要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタと、この制振フィルタでフィルタリングされた前記第1の要求制駆動力を前記第2の要求制駆動力と比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択する調停手段とを備えた構成としたものである。ここで、車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力とは、運転者の手動運転操作(アクセル操作、ステアリング操作、ブレーキ操作等)に基づいて演算されるドライバ要求制駆動力であり、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力とは、クルーズコントロール(定速走行制御)、プリクラッシュブレーキ制御(衝突防止ブレーキ制御)、トラクションコントロール、車体挙動制御(VDC)等の各種自動走行制御を実行するための要求制駆動力である。
請求項1に係る発明では、車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力に対してのみ制振フィルタを作用させ、この制振フィルタでフィルタリングした第1の要求制駆動力を、制振フィルタでフィルタリングしない第2の要求制駆動力と比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択するようにしているため、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力に対しては制振フィルタを作用させずに済む。その結果、制振フィルタの設計が容易となり、ロバスト性確保の要求を満たしながら制振制御のシステム設計を簡略化することができる。
また、請求項2のように、車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力を演算する第1の要求制駆動力演算手段と、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力を演算する第2の要求制駆動力演算手段と、前記第1の要求制駆動力と前記第2の要求制駆動力とを比較してどちらか一方を選択する第1の調停手段と、前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタと、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力と前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力とを比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択する第2の調停手段とを備えた構成としても良い。請求項2に係る発明の特徴は、第1の調停手段によって1回目の調停を行い、この1回目の調停で選択された要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を制振フィルタによって除去した上で、制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力と第1の調停手段で選択された要求制駆動力とを比較して第2の調停手段によって2回目の調停を行うようにしたものである。このようにしても、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力に対しては制振フィルタを実質的に作用させずに済み、制振フィルタの設計が容易となり、ロバスト性確保の要求を満たしながら制振制御のシステム設計を簡略化することができる。
この場合、請求項のように、第2の要求制駆動力を優先的に選択する運転モードにセットされているときには、第1の調停手段で選択された要求制駆動力をそのまま最終的な要求制駆動力として選択するようにすれば良い。このようにすれば、運転者が選択した運転モードに合った制振制御を実行できる。
また、請求項3,4のように、第2の調停手段は、第1の調停手段で第1の要求制駆動力が選択されているときには、制振フィルタでフィルタリングされた第1の要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択し、前記第1の調停手段で前記第2の要求制駆動力が選択されているときには、前記第2の要求制駆動力をそのまま最終的な要求制駆動力として選択するするようにしても良い。このようにしても、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力に対しては制振フィルタを作用させずに済む。
また、請求項5のように、前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わってから所定時間が経過するまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択するようにしても良い。要するに、第1の調停手段で第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わった直後は、車両の振動が発生しやすいため、所定時間が経過するまで、制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択すれば、第1の調停手段で第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わった直後に発生する車両の振動を抑制することができる。
また、第1の要求制駆動力の変化によって第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わった直後に車両の振動が発生しやすいことを考慮して、請求項6のように、第2の調停手段は、第1の調停手段で第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わったときに、その切り替わりの要因が第1の要求制駆動力の変化にあると判断した場合に、その切り替わりから所定時間が経過するまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択するようにしても良い。このようにすれば、第1の要求制駆動力の変化によって第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わった直後に発生する車両の振動を抑制することができる。
また、請求項7のように、第2の調停手段は、第1の調停手段で第1の要求制駆動力が非選択から選択又は選択から非選択に切り替わってから、前記制振フィルタにおけるフィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値が所定値以下になるまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択するようにしても良い。このようにすれば、前記請求項5に係る発明と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。まず、図1に基づいて車両制駆動力制御システムの構成を説明する。
ドライバ操作量検出手段11は、ドライバ操作量(アクセルペダルの踏み込み量、ブレーキペダルの踏み込み量、ステアリングホイールの操舵角度)を検出するセンサによって構成されている。尚、アクセルペダルの踏み込み量の代わりにスロットル開度を検出しても良いし、ブレーキペダルの踏み込み量の代わりにブレーキマスタシリンダの油圧を検出しても良い。
ドライバ要求制駆動力演算手段12(第1の要求制駆動力演算手段)は、ドライバ操作量検出手段11で検出されたドライバ操作量に基づいてドライバ要求制駆動力u1 (要求駆動力と要求制動力)を演算する。このドライバ要求制駆動力u1 は、特許請求の範囲でいう車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力に相当する。
一方、クルーズ要求制駆動力演算手段13(第2の要求制駆動力演算手段)は、クルーズコントロール(定速走行制御)の実行中に運転者によりセットされた目標車速と現在車速との偏差を無くすようにクルーズ要求制駆動力u2 を演算する。このクルーズ要求制駆動力u2 は、特許請求の範囲でいう車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力に相当する。その他、プリクラッシュブレーキ制御(衝突防止ブレーキ制御)、トラクションコントロール、車体挙動制御(VDC)等の各種自動走行制御システムを搭載した車両では、これらの自動走行制御を実行するための要求制駆動力が演算される。これらの要求制駆動力も、クルーズ要求制駆動力u2 と同じく、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力に相当する。
制振フィルタ14は、ドライバ要求制駆動力演算手段12で演算されたドライバ要求制駆動力u1 のみをフィルタリングし、このドライバ要求制駆動力u1 の波形から車両のばね上の振動を誘発する所定周波数帯域の成分を除去するフィルタであり、バンドエルミネーションフィルタ(帯域阻止フィルタ)等によって構成されている。
調停手段15は、制振フィルタ14でフィルタリングされたフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 とクルーズ要求制駆動力演算手段13で演算されたクルーズ要求制駆動力u2 とを比較して大きい方を最終要求制駆動力yとして選択する“調停”という処理を行う。この調停手段15で選択された最終要求制駆動力yに基づいて燃料噴射量、点火時期、吸入空気量(スロットル開度)等を制御してエンジン駆動力を制御すると共に、ブレーキ装置で発生する制動力を制御する。
本実施例1の要求制駆動力の調停では、車両のばね上の振動を誘発する成分を含むドライバ要求制駆動力u1 に対してのみ制振フィルタ14(G)を作用させ、この制振フィルタ14でフィルタリングしたフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を、制振フィルタ14でフィルタリングしないクルーズ要求制駆動力u2 と比較して大きい方を最終要求制駆動力yとして選択するところに特徴がある。この要求制駆動力の調停は、エンジン運転中に図2の要求制駆動力演算ルーチンによって次のようにして実行される。
図2の要求制駆動力演算ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、車両のばね上の振動を誘発する成分を含むドライバ要求制駆動力u1 に対してのみ制振フィルタ14(G)を作用させ、このドライバ要求制駆動力u1 の波形から車両のばね上の振動を誘発する所定周波数帯域の成分を除去したドライバ要求制駆動力y1 を求める。
この後、ステップ102に進み、制振フィルタ14でフィルタリングしたフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を、制振フィルタ14でフィルタリングしないクルーズ要求制駆動力u2 と比較して、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、ステップ103に進み、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。これに対して、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、ステップ104に進み、制振フィルタ14でフィルタリングしないクルーズ要求制駆動力u2 を最終要求制駆動力yとして選択する。
図3は、本実施例1の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
時刻t0 〜t1の間は、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力y1 よりも大きいため、クルーズ要求制駆動力u2 が最終要求制駆動力yとして選択される。そして、時刻t1で、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 が瞬間的にクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きくなるため、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 が瞬間的に最終要求制駆動力yとして選択されるが、その直後に、制振フィルタ14の特性によりフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 がクルーズ要求制駆動力u2 を下回った状態に戻るため、クルーズ要求制駆動力u2 が最終要求制駆動力yとして選択される状態に戻る。
そして、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 がクルーズ要求制駆動力u2 を越えた後(t2 以後)は、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択される。その後、クルーズ要求制駆動力u2 がフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を越えた後(t4 以後)は、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択される。
その後、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力y1 を下回った後(t7 以後)は、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択される。そして、フィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 がクルーズ要求制駆動力u2 を下回った後(t9 以後)は、クルーズ要求制駆動力u2 が最終要求制駆動力yとして選択される。
[比較例]
次に、比較例について図4乃至図6を用いて説明する。上記実施例1では、車両のばね上の振動を誘発する成分を含むドライバ要求制駆動力u1 に対してのみ制振フィルタ14(G)を作用させ、この制振フィルタ14でフィルタリングしたフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を、制振フィルタ14でフィルタリングしないクルーズ要求制駆動力u2 と比較して大きい方を最終要求制駆動力yとして選択するようにしているが、図4及び図5に示す比較例では、調停手段16でドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較して大きい方を選択し(図5のステップ201〜203)、この調停手段16で選択した要求制駆動力uを制振フィルタ17(G)でフィルタリングして最終要求制駆動力yを求めるようにしている(図5のステップ204)。
図6は、比較例の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
比較例では、調停手段16でドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較して大きい方を選択し、選択した要求制駆動力uを制振フィルタ17(G)でフィルタリングして最終要求制駆動力yを求める。従って、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 のいずれかが変化する全てのタイミング(t1 〜t8 )で制振フィルタ17(G)の効果が現れる。このため、クルーズ要求制駆動力u2 が変化するタイミング(t3 〜t6 )でも制振フィルタ17(G)の効果が現れる。
[実施例1と比較例との対比]
比較例では、調停後の要求制駆動力uは、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 のどちらか一方であるため、調停後の要求制駆動力uに対して制振フィルタ17(G)を施して最終要求制駆動力yを求めるようにすると、クルーズ要求制駆動力u2 に対しても制振フィルタ17(G)が施されて、クルーズコントロールが行われることがある。
しかし、制振フィルタ17(G)によって車両の動特性が影響を受けるため、制振フィルタ17(G)に合わせてクルーズコントロールのシステムを設計する必要がある。従って、クルーズ要求制駆動力u2 に対して制振フィルタ17(G)を施してクルーズコントロールを行うように構成すると、システム構成が複雑化する欠点がある。しかも、車両の運転状態等によって制振フィルタ17(G)の特性を可変にする場合、全てのフィルタ特性で所望の制振効果が得られるようにするには過度のロバスト性を確保する必要が出てくるという欠点もある。
これに対して、実施例1では、車両のばね上の振動を誘発する成分を含むドライバ要求制駆動力u1 に対してのみ制振フィルタ14(G)を作用させ、この制振フィルタ14でフィルタリングしたフィルタ後ドライバ要求制駆動力y1 を、制振フィルタ14でフィルタリングしないクルーズ要求制駆動力u2 と比較して大きい方を最終要求制駆動力yとして選択するようにしているため、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まないクルーズ要求制駆動力u2 に対しては制振フィルタ14(G)を作用させずに済む。その結果、制振フィルタ14(G)の設計が容易となり、ロバスト性確保の要求を満たしながら制振制御のシステム設計を簡略化することができる。
図7乃至図9に示す本発明の実施例2では、車両のばね上の振動を誘発する成分を含むドライバ要求制駆動力u1 (第1の要求制駆動力)を演算するドライバ要求制駆動力演算手段21(第1の要求制駆動力演算手段)と、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まないクルーズ要求制駆動力u2 (第2の要求制駆動力)を演算するクルーズ要求制駆動力演算手段22(第2の要求制駆動力演算手段)と、前記ドライバ要求制駆動力u1 と前記クルーズ要求制駆動力u2 とを比較してどちらか一方を暫定要求制駆動力uとして選択する第1の調停手段23と、この第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uの波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタ24(G)と、この制振フィルタ24(G)でフィルタリングされたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 と前記第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uとを比較してどちらか一方を最終要求制駆動力yとして選択する第2の調停手段25とを備えた構成となっている。
本実施例2では、運転者が、通常制振モードと、クルーズ要求制駆動力u2 を優先的に選択するクルーズ優先モードの中から運転モードをセットできる機能を備え、第2の調停手段25は、運転モードが通常制振モードにセットされているときには、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択し、運転モードがクルーズ優先モードにセットされているときには、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uをそのまま最終要求制駆動力yとして選択するように構成されている。
本実施例2では、エンジン運転中に図8の要求制駆動力演算ルーチンを所定周期で実行することで、次のようにして最終要求制駆動力yを演算する。まず、ステップ301で、ドライバ要求制駆動力演算手段21で演算したドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力演算手段22で演算したクルーズ要求制駆動力u2 とを比較して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、ステップ302に進み、ドライバ要求制駆動力u1 を暫定要求制駆動力uとして選択し、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、ステップ303に進み、クルーズ要求制駆動力u2 を暫定要求制駆動力uとして選択する。
この後、ステップ304に進み、暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングしてフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を求めた後、ステップ305に進み、運転モードがクルーズ優先モード(u2 優先モード)にセットされているか否かを判定し、クルーズ優先モードにセットされていれば、ステップ306に進み、暫定要求制駆動力uをそのまま最終要求制駆動力yとして選択し、通常制振モードにセットされていれば、ステップ307に進み、暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。
図9は、本実施例2の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
図9の例では、時刻t5 で運転モードが通常制振モードからクルーズ優先モードに切り替えられている。時刻t0 〜t5 の間は、運転モードが通常制振モードにセットされているため、フィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択される。従って、時刻t0 〜t5 の間は、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 のいずれが暫定要求制駆動力uとして選択された場合でも、この暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとなる。
しかし、時刻t5 以降は、運転モードがクルーズ優先モードに切り替えられているため、制振フィルタ24(G)でフィルタリングされていない暫定要求制駆動力uがそのまま最終要求制駆動力yとして選択される。従って、時刻t5 以降は、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 のいずれが暫定要求制駆動力uとして選択された場合でも、それが制振フィルタ24(G)でフィルタリングされることなく、最終要求制駆動力yが求められる。
以上説明した本実施例2によれば、運転者がクルーズ要求制駆動力u2 を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしないクルーズ優先モードを選択できるため、運転者が選択した運転モードに合った制振制御を実行できる。
上記実施例2では、第2の調停手段25の調停方式を運転モードに応じて切り替えるようにしたが、図10及び図11に示す本発明の実施例3では、第2の調停手段25は、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較して(ステップ305a)、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する(ステップ306a)。これに対して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uをそのまま最終要求制駆動力yとして選択する(ステップ307a)。その他の点は、前記実施例2と同じである。
図11は、本実施例3の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
図11の例では、t1 〜t3 とt6 〜t8 の期間に、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きくなり、それ以外の期間は、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなる。
ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きい期間(t1 〜t3 とt6 〜t8 )は、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が暫定要求制駆動力uとして選択され、2回目の調停では、この暫定要求制駆動力u(=ドライバ要求制駆動力u1 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとなる。
これに対して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さい期間(t0 〜t1 とt3 〜t6 とt8 以降)は、1回目の調停でクルーズ要求制駆動力u2 が暫定要求制駆動力uとして選択され、2回目の調停では、この暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )が制振フィルタ24(G)でフィルタリングされずに、そのまま最終要求制駆動力yとなる。このようにすれば、車両のばね上の振動を誘発する成分を含まないクルーズ要求制駆動力u2 に対しては制振フィルタ24(G)を作用させずに済む。
上記実施例3では、第2の調停手段25は、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力u1 よりも大きくなった時点(1回目の調停で暫定要求制駆動力uがドライバ要求制駆動力u1 からクルーズ要求制駆動力u2 に切り替わった時点)で、直ちにクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとするようにしたが、図12及び図13に示す本発明の実施例4では、第2の調停手段25は、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力u1 よりも大きくなった時点(1回目の調停で暫定要求制駆動力uがドライバ要求制駆動力u1 からクルーズ要求制駆動力u2 に切り替わった時点)から所定時間Tdelay が経過するまでの期間は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続し、所定時間Tdelay 経過後にクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとする状態に切り替える。その他の点は、前記実施例3と同じである。
本実施例4では、エンジン運転中に図12の要求制駆動力演算ルーチンを所定周期で実行することで、次のようにして最終要求制駆動力yを演算する。まず、前記実施例2と同様の方法で、1回目の調停(ステップ301〜303)と、制振フィルタ24(G)による暫定要求制駆動力uのフィルタリング(ステップ304)を行った後、ステップ305aに進み、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較し、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、ステップ306aに進み、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。
これに対して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、ステップ311に進み、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなった直後の最初の処理であるか否かを判定し、最初の処理であれば、ステップ312に進み、タイマーカウンタTをリセットして、ステップ306aに進み、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続する。
この後は、ステップ311で共に「No」と判定されて、ステップ313に進み、タイマーカウンタTをカウントアップして、次のステップ314で、タイマーカウンタTのカウント値が所定時間Tdelay 未満であるか否かを判定し、所定時間Tdelay 未満であれば、ステップ306aに進み、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続する。
その後、タイマーカウンタTのカウント値が所定時間Tdelay に到達した時点で、ステップ314で「No」と判定されて、ステップ307aに進み、制振フィルタ24(G)でフィルタリングしない暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を最終要求制駆動力yとする状態に切り替える。
図13は、本実施例4の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
図13の例では、t1 〜t3 とt7 〜t9 の期間に、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きくなり、それ以外の期間は、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなる。
本実施例4の要求制駆動力の調停は、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった時点(クルーズ要求制駆動力u2 が非選択から選択に切り替わった時点)から所定時間Tdelay が経過するまでの期間(t3 〜t4 とt9 〜t10)の処理が前記実施例3と相違するだけであり、これ以外の期間は前記実施例3と同じ処理が行われる。
1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった時点から所定時間Tdelay が経過するまでの期間(t3 〜t4 とt9 〜t10)は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択され、所定時間Tdelay 経過後にクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)が最終要求制駆動力yとして選択される状態に切り替えられる。このようにすれば、1回目の調停で、暫定要求制駆動力uがドライバ要求制駆動力u1 からクルーズ要求制駆動力u2 に切り替わった直後に発生する車両の振動を抑制することができる。
図14乃至図16に示す本発明の実施例5では、ドライバ要求制駆動力u1 の変化によってドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった直後に車両の振動が発生しやすいことを考慮して、第2の調停手段25は、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わったときに、その切り替わりの要因がドライバ要求制駆動力u1 の変化にあると判断した場合に、その切り替わりから所定時間Tdelay が経過するまでの間は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続するが、当該切り替わりの要因がクルーズ要求制駆動力u2 の変化にあると判断した場合には、直ちにクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとして選択する。
本実施例5で実行する図14の要求制駆動力演算ルーチンは、前記実施例4の図12の要求制駆動力演算ルーチンに対してステップ300とステップ310の処理が異なるのみである。図14の要求制駆動力演算ルーチンでは、まずステップ300で、図15のFlagセット/リセットルーチンを実行して、状態判定フラグFlagを次のようにしてセット/リセットする。まず、ステップ401で、演算周期当たりのドライバ要求制駆動力u1 の今回変化量の絶対値|u1(n)−u1(n-1)|と、演算周期当たりのクルーズ要求制駆動力u2 の今回変化量の絶対値|u2(n)−u2(n-1)|とを比較し、ドライバ要求制駆動力u1 の今回変化量の絶対値|u1(n)−u1(n-1)|の方が大きいと判断すれば、ステップ402に進み、状態判定フラグFlagをONにセットし、クルーズ要求制駆動力u2 の今回変化量の絶対値|u2(n)−u2(n-1)|の方が大きいと判断すれば、ステップ403に進み、状態判定フラグFlagをOFFにリセットする。
この後、前記実施例2と同様の方法で、1回目の調停(ステップ301〜303)と、制振フィルタ24(G)による暫定要求制駆動力uのフィルタリング(ステップ304)を行った後、ステップ305aに進み、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較し、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、ステップ306aに進み、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。
これに対して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、ステップ310に進み、状態判定フラグFlagがONにセットされているか否か(ドライバ要求制駆動力u1 の今回変化量の方がクルーズ要求制駆動力u2 の今回変化量よりも大きいか否か)を判定し、状態判定フラグFlagがONにセットされていないと判定されれば、ステップ307aに進み、制振フィルタ24(G)でフィルタリングしない暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を最終要求制駆動力yとする状態に切り替える。
一方、上記ステップ310で、状態判定フラグFlagがONにセットされていると判定されれば、ステップ311に進み、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなった直後の最初の処理であるか否かを判定し、最初の処理と判定されれば、ステップ312に進み、タイマーカウンタTをリセットして、ステップ306に進み、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続する。
この後は、ステップ311で「No」と判定されて、ステップ313に進み、タイマーカウンタTをカウントアップして、次のステップ314で、タイマーカウンタTのカウント値が所定時間Tdelay 未満であるか否かを判定し、所定時間Tdelay 未満であれば、ステップ306aに進み、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続する。
その後、タイマーカウンタTのカウント値が所定時間Tdelay に到達した時点で、ステップ314で「No」と判定されて、ステップ307aに進み、制振フィルタ24(G)でフィルタリングしない暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を最終要求制駆動力yとする状態に切り替える。
図16は、本実施例4の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
図16の例では、t1 〜t3 とt7 〜t9 の期間に、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きくなり、それ以外の期間は、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなる。従って、前記実施例4と同じく、2箇所のタイミング(t3 とt9 )で、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わる。
前記実施例4では、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった時点から所定時間Tdelay が経過するまでの期間(t3 〜t4 とt9 〜t10)は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択するようにしたが、本実施例5では、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった時点(t3 とt9 )で、その切り替わりの要因がドライバ要求制駆動力u1 の変化にあるかクルーズ要求制駆動力u2 の変化にあるかを判別する。
図16の例では、先の切り替わり時点t3 では、切り替わりの要因がクルーズ要求制駆動力u2 の変化にあると判断する。この場合は、前記実施例4とは異なり、切り替わり時点t3 で、所定時間Tdelay の経過を待つことなく直ちにクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとして選択する。これにより、クルーズコントロールの応答性を高める。
一方、後の切り替わり時点t9 では、切り替わりの要因がドライバ要求制駆動力u1 の変化にあると判断する。この場合は、前記実施例4と同じく、切り替わり時点t9 から所定時間Tdelay が経過するまでの期間(t9 〜t10)は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択し、所定時間Tdelay 経過後にクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとして選択する状態に切り替える。このようにすれば、ドライバ要求制駆動力u1 の変化によって1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わった直後に発生する車両の振動を抑制することができる。
前記実施例4(図13参照)では、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力u1 よりも大きくなった時点(t3 とt9 )から所定時間Tdelay が経過するまでの期間は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続し、所定時間Tdelay 経過後にクルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとする状態に切り替えるようにしたが、図17及び図18に示す本発明の実施例6では、クルーズ要求制駆動力u2 がドライバ要求制駆動力u1 よりも大きくなった時点(t3 とt9 )から制振フィルタ24(G)におけるフィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δ以下になるまでの期間(t3 〜t4 とt9 〜t10)は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続し、フィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δ以下になった時点(t4 とt10)で、クルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとする状態に切り替えるようにしている。
本実施例6では、エンジン運転中に図17の要求制駆動力演算ルーチンを所定周期で実行することで、次のようにして最終要求制駆動力yを演算する。まず、前記実施例2と同様の方法で、1回目の調停(ステップ301〜303)と、制振フィルタ24(G)による暫定要求制駆動力uのフィルタリング(ステップ304)を行った後、ステップ305aに進み、ドライバ要求制駆動力u1 とクルーズ要求制駆動力u2 とを比較し、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きければ、ステップ306aに進み、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。
これに対して、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さければ、ステップ315に進み、前回の処理でフィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択されたか否かを判定し、選択されていなければ、ステップ307aに進み、制振フィルタ24(G)でフィルタリングしない暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を最終要求制駆動力yとする。
一方、前回の処理でフィルタ後暫定要求制駆動力y1 が最終要求制駆動力yとして選択されていれば、ステップ316に進み、制振フィルタ24(G)におけるフィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δよりも大きいか否かを判定し、所定値δよりも大きければ、ステップ306aに進み、第1の調停手段23で選択された暫定要求制駆動力uを制振フィルタ24(G)でフィルタリングして得られたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する。
その後、フィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δ以下になった時点で、ステップ316で「No」と判定されて、ステップ307aに進み、制振フィルタ24(G)でフィルタリングしない暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を最終要求制駆動力yとする。
図18は、本実施例6の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
図18の例では、t1 〜t3 とt7 〜t9 の期間に、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも大きくなり、それ以外の期間は、ドライバ要求制駆動力u1 がクルーズ要求制駆動力u2 よりも小さくなる。従って、前記実施例4と同じく、2箇所のタイミング(t3 とt9 )で、1回目の調停でドライバ要求制駆動力u1 が選択から非選択に切り替わる。そして、この切り替わりタイミング(t3 とt9 )から、制振フィルタ24(G)におけるフィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δ以下になるまでの期間(t3 〜t4 とt9 〜t10)は、暫定要求制駆動力u(=クルーズ要求制駆動力u2 )を制振フィルタ24(G)でフィルタリングしたフィルタ後暫定要求制駆動力y1 を最終要求制駆動力yとして選択する状態を継続し、フィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値|y1 −u|が所定値δ以下になった時点(t4 とt10)で、クルーズ要求制駆動力u2 (=暫定要求制駆動力u)を最終要求制駆動力yとする状態に切り替える。
以上説明した本実施例6でも、1回目の調停で、暫定要求制駆動力uがドライバ要求制駆動力u1 からクルーズ要求制駆動力u2 に切り替わった直後に発生する車両の振動を抑制することができる。
本発明は、上記各実施例に限定されず、電気モータを駆動源とする電気自動車や、電気モータとエンジンの両方を駆動源とするハイブリッド車両にも適用して実施できる。
実施例1のシステム構成を示すブロック図である。 実施例1の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 比較例のシステム構成を示すブロック図である。 比較例の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 比較例の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 実施例2のシステム構成を示すブロック図である。 実施例2の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 実施例3の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 実施例4の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例4の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 実施例5の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例5のFlagセット/リセットルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例5の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。 実施例6の要求制駆動力演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例6の要求制駆動力の調停の一例を示すタイムチャートである。
符号の説明
11…ドライバ操作量検出手段、12…ドライバ要求制駆動力演算手段(第1の要求制駆動力演算手段)、13…クルーズ要求制駆動力演算手段(第2の要求制駆動力演算手段)、14…制振フィルタ、15…調停手段、21…ドライバ要求制駆動力演算手段(第1の要求制駆動力演算手段)、22…クルーズ要求制駆動力演算手段(第2の要求制駆動力演算手段)、23…第1の調停手段、24…制振フィルタ、25…第2の調停手段

Claims (7)

  1. 要求制駆動力に応じて車両に対する制駆動力を制御する車両制御装置において、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力を演算する第1の要求制駆動力演算手段と、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力を演算する第2の要求制駆動力演算手段と、
    前記第1の要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタと、
    前記制振フィルタでフィルタリングされた前記第1の要求制駆動力を前記第2の要求制駆動力と比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択する調停手段とを備え
    前記第1の要求制駆動力は、運転者の手動運転操作に基づいて演算されるドライバ要求制駆動力であり、
    前記第2の要求制駆動力は、自動走行制御を実行するための要求制駆動力であることを特徴とする車両制御装置。
  2. 要求制駆動力に応じて車両に対する制駆動力を制御する車両制御装置において、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力を演算する第1の要求制駆動力演算手段と、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力を演算する第2の要求制駆動力演算手段と、
    前記第1の要求制駆動力と前記第2の要求制駆動力とを比較してどちらか一方を選択する第1の調停手段と、
    前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタと、
    前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力と前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力とを比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択する第2の調停手段とを備え、
    前記第1の要求制駆動力は、運転者の手動運転操作に基づいて演算されるドライバ要求制駆動力であり、
    前記第2の要求制駆動力は、自動走行制御を実行するための要求制駆動力であり、
    前記第2の調停手段は、前記第2の要求制駆動力を優先的に選択する運転モードにセットされているときには、前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力をそのまま最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両制御装置において、
    前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が選択されているときには、前記制振フィルタでフィルタリングされた第1の要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択し、前記第1の調停手段で前記第2の要求制駆動力が選択されているときには、前記第2の要求制駆動力をそのまま最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
  4. 要求制駆動力に応じて車両に対する制駆動力を制御する車両制御装置において、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含む第1の要求制駆動力を演算する第1の要求制駆動力演算手段と、
    車両のばね上の振動を誘発する成分を含まない第2の要求制駆動力を演算する第2の要求制駆動力演算手段と、
    前記第1の要求制駆動力と前記第2の要求制駆動力とを比較してどちらか一方を選択する第1の調停手段と、
    前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力の波形から車両のばね上の振動を誘発する成分を除去する制振フィルタと、
    前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力と前記第1の調停手段で選択された要求制駆動力とを比較してどちらか一方を最終的な要求制駆動力として選択する第2の調停手段とを備え、
    前記第1の要求制駆動力は、運転者の手動運転操作に基づいて演算されるドライバ要求制駆動力であり、
    前記第2の要求制駆動力は、自動走行制御を実行するための要求制駆動力であり、
    前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が選択されているときには、前記制振フィルタでフィルタリングされた第1の要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択し、前記第1の調停手段で前記第2の要求制駆動力が選択されているときには、前記第2の要求制駆動力をそのまま最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載の車両制御装置において、
    前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わってから所定時間が経過するまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
  6. 請求項2乃至4のいずれかに記載の車両制御装置において、
    前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が選択から非選択に切り替わったときに、その切り替わりの要因が前記第1の要求制駆動力の変化にあると判断した場合に、その切り替わりから所定時間が経過するまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
  7. 請求項2乃至4のいずれかに記載の車両制御装置において、
    前記第2の調停手段は、前記第1の調停手段で前記第1の要求制駆動力が非選択から選択又は選択から非選択に切り替わってから、前記制振フィルタにおけるフィルタリング前後の要求制駆動力の偏差の絶対値が所定値以下になるまでの間は、前記制振フィルタでフィルタリングされた要求制駆動力を最終的な要求制駆動力として選択することを特徴とする車両制御装置。
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