JP4132302B2 - 新規なポリフェノール化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な多核体ポリフェノール化合物に関し、詳しくは、トリスフェニルメタン型のトリスフェノール骨格がメチレン基にて相互に結合されてなる構造を有する多核体ポリフェノール化合物に関する。
【0002】
このような多核体ポリフェノール化合物は、半導体用フォトレジスト等の感光性材料の基材、集積回路の封止材料等に用いられるエポキシ樹脂の原料や硬化剤、感熱記録材料記録に用いられる顕色剤や退色防止剤、このほか、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
【0003】
【従来の技術】
従来、ポリフェノール化合物は、例えば、Eugen Mueller 編、METHODEN DER ORGANISCHEN CHEMIE (HOUBEN-WEYL), Band VI/1c, “Phenol", Teil 2, pp. 1021-1061, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1976) に多数のものが記載されており、その後も、新たなポリフェノール化合物が多数、提案されている。
【0004】
このようなポリフェノール化合物のなかで、トリスフェニルメタン型のトリスフェノール化合物としては、例えば、特開平6−115255号公報、特開平6−100630号公報、特開平6−59446号公報、特開平6−199717号公報、T. Miuraら、J. Phys. IV, 3 (C4, 4th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry), 249 (1993) 等に4,4',4" −メチリデントリスフェノールが、特開平6−199717号公報、特開平6−115255号公報、特開平5−173326号公報、特開平5−249681号公報、特開平4−11260号公報、特開平3−200254号公報、佐藤ら、油化学、37 (3), 166 (1988)等に4,4'−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス〔2−メチルフェノール〕が、ヨーロツパ特許出願公報第 510,672号には4,4'−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス〔2,3 5−トリメチルフェノール〕が、また、特開平6−1741号公報には4,4'−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス〔2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール〕と4,4'−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス〔2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール〕がそれぞれ開示されている。
【0005】
しかしながら、トリスフェニルメタン型のトリスフェノール骨格がメチレン基を介して相互に結合されてるなる多核体ポリフェノール化合物は、従来、知られていない。
【0006】
このような多核体ポリフェノール化合物は、それ自体、多くの芳香核を有するので、親油性にすぐれ、また、それらの芳香核が更にアルキル基やシクロアルキル基を置換基として有するときは、その親油性が増大すると共に、分子中に多くのフェノール性水酸基を有するので、その用途も一層拡大されて、幅広い用途への展開が可能である。例えば、このような多核体ポリフェノール化合物を原料として用いることによって、耐水性、耐熱性や電気特性等の諸性能が一層改善された種々の樹脂を与えることが期待できる。
【0007】
また、フォトレジスト等の感光性材料の分野でも、解像度、現像性等の要求性能は、感光基を有する化合物との反応性や、現像液との親和性によって決まるので、反応性が種々の水準で異なる水酸基を分子内に有するそのような多核体ポリフェノール化合物が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トリスフェニルメタン型のトリスフェノール骨格がメチレン基を介して相互に結合されてなる多核体ポリフェノール化合物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による新規な多核体ポリフェノール化合物は、一般式(I)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、Xは一般式(II)
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数5又は6のシクロアルキル基を示す。)
で表わされる1価基を示す。)
で表わされる。
【0014】
上記一般式(II)において、R1 、R2 又はR3 が炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数5又は6のシクロアルキル基であるとき、それらの具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基を挙げることができる。これらのなかでは、特に、メチル基、エチル基、プロピル基又はシクロヘキシル基が好ましい。
【0015】
従って、本発明によるこのような多核体ポリフェノール化合物としては、具体的には、例えば、
【0016】
【化5】
【0017】
で表わされる4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル)フェノール〕(1)、
【0018】
【化6】
【0019】
で表わされる4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メチル)フェノール〕(2)、
【0020】
【化7】
【0021】
で表わされる4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル)フェノール(3)〕や、このほか、構造式
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
【化14】
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】
【化17】
【0032】
【化18】
【0033】
で表わされるもの等を挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0034】
かかる本発明による新規な多核体ポリフェノール化合物は、酸触媒の存在下、式(III)
【0035】
【化19】
【0036】
で表わされるメチレンビスサリチルアルデヒドと一般式(IV)
【0037】
【化20】
【0038】
(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数5又は6のシクロアルキル基を示す。)
で表わされるフェノール類とを反応させることによって得ることができる。
【0039】
上記一般式(IV)で表わされるフェノール類のなかでは、特に、R1 、R2 及びR3の少なくとも1つが炭素数5若しくは6のシクロアルキル基であるか、又は、炭素数3〜5のアルキル基であるものが好ましい。
【0040】
本発明による多核体ポリフェノール化合物の製造において、上記一般式(IV)で表わされるフェノール類としては、具体的には、フェノール、o−又はm−クレゾール、2,3−、2,5−、2,6−又は3,5−キシレノール、2,3,5−又は2,3,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−シクロヘキシルフェノール、2−(1−メチルエチル)−5−メチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、o−シクロペンチルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−6−シクロヘキシルフェノール等を挙げることができる。
【0041】
上記フェノール類とメチレンビスサリチルアルデヒドとの反応において、フェノール類は、メチレンビスサリチルアルデヒド1モル部に対して、4モル部以上、通常、4〜20モル部の範囲で用いられる。
【0042】
上記フェノール類とメチレンビスサリチルアルデヒドとの反応において、反応溶剤は用いてもよく、また、用いなくてもよい。反応溶剤を用いる場合、例えば、脂肪族アルコール溶剤、脂肪族ケトン溶剤、芳香族炭化水素溶剤又はこれらの混合溶剤が用いられる。アルコール溶剤としては、用いる反応原料、得られる生成物の溶解度、反応条件、反応の経済性等を考慮して、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等を挙げることができる。
【0043】
脂肪族ケトン溶剤としては、例えば、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等を挙げることができる。また、芳香族炭化水素溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができる。
【0044】
このような溶剤は、通常、用いるメチレンビスサリチルアルデヒド100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは、30〜300重量部の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本発明において、上記酸触媒としては、反応溶剤に溶解する酸が好ましく、従って、例えば、塩酸、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を好ましい具体例として挙げることができる。特に、塩酸が好ましく用いられる。このような酸触媒は、例えば、35%塩酸の場合は、メチレンビスサリチルアルデヒド100重量部に対して、1〜500重量部、好ましくは、20〜100重量部の範囲で用いられる。
【0046】
反応は、通常、20℃から80℃、好ましくは、30〜60℃にて、空気中、より好ましくは、窒素等の不活性ガス雰囲気中、攪拌しながら、2〜48時間程度、通常、6〜24時間程度行なえばよい。本発明においては、通常、反応によって生成する多核体ポリフェノール化合物は、反応溶剤に溶解し難いために、上記反応温度条件下では、反応液中に析出する。
【0047】
そこで、反応終了後、得られた反応混合物にアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を加えて、酸触媒を中和した後、必要に応じて、反応混合物を冷却して、得られた粗結晶を濾取し、次いで、この粗結晶を芳香族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの混合溶剤に溶解させ、得られた溶液をイオン交換水で洗浄した後、冷却し、結晶を析出させ、これを濾過し、乾燥することによって、目的とする多核体ポリフェノール化合物の高純度品を容易に得ることができる。
【0048】
他方、反応終了後に、反応混合物中に結晶の析出がないときは、同様に、反応終了後、得られた反応混合物にアルカリを加えて、酸触媒を中和した後、水層を分離除去し、得られた有機層を常圧又は減圧下に蒸留し、得られた蒸留残渣に芳香族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの混合溶剤を加えて、蒸留残渣を溶解させ、得られた溶液をイオン交換水で洗浄、脱塩した後、必要に応じて、溶剤を濃縮除去した後、冷却し、粗結晶を析出させ、次いで、この粗結晶を濾取し、これを芳香族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの混合溶剤から晶析させることによって、目的とする多核体ポリフェノール化合物の高純度品を容易に得ることができる。
【0049】
上記後者の方法において蒸留残渣を溶解するための溶剤と上記晶析溶剤は、晶析条件、精製効果、経済性等を考慮して、適宜に選択される。芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができ、また、ケトンとしては、例えば、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等を挙げることができる。このような晶析溶剤は、通常、粗結晶100重量部に対して、20〜1000重量部、好ましくは、100〜500重量部の範囲で加えることによって、目的とする多核体ポリフェノール化合物を高純度に晶析させることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明による新規な多核体ポリフェノール化合物は、トリスフェニルメタン型のトリスフェノール骨格がメチレン基を介して相互に結合されてなる構造を有し、多くのフェノール性水酸基と多くの芳香核を有して、種々の有機溶媒への溶解性にすぐれるので、種々の有機溶媒を用いる用途への展開が可能である。
【0051】
更に、本発明による多核体ポリフェノール化合物は、これを原料として用いて、種々の反応、例えば、フェノール性芳香環に対する置換反応や水添反応、フェノール水酸基に対する反応等を行なうことによって、種々の誘導体とすることができる。
【0052】
先ず、フェノール性芳香環に対する置換反応によって誘導体を得る具体例としては、例えば、本発明による多核体ポリフェノール化合物にイソブテン等のオレフィン類、アルコール類、カルボニル化合物、ハロゲン化アルキル等を酸又は塩基触媒の存在下にアルキル化反応させることによって、種々のアルキル置換誘導体を得ることができる。
【0053】
例えば、塩化アセチル等のような酸ハロゲン化物や酸無水物をルイス酸の存在下で反応させて、アシル置換多核体ポリフェノール化合物を得ることができる。二酸化炭素を加圧、加熱下で反応させるコルベ・シュミット反応によれば、カルボキシル置換ポリフェノール化合物を得ることができる。硝酸−酢酸等のニトロ化剤を反応させれば、ニトロ置換ポリフェノール化合物を得ることができる。ホルムアルデヒドによってメチロール化反応させれば、メチロール基を有するポリフェノール化合物を得ることができる。アルカリ性水溶液中、無水酢酸によってアセチル化すれば、アセチル置換ポリフェノール化合物を、また、アルカリ性水溶液中、クロロホルムによってホルミル化すれば、アルデヒド置換ポリフェノール化合物を得ることができる。ハロゲン化試剤によってハロゲン化すれば、ハロゲン置換ポリフェノール化合物を得ることができ、ジアゾニウム塩を反応させれば、アゾ置換ポリフェノール化合物を得ることができる。ホルムアルデヒドと第2級アミンとを反応させれば、アミノメチル置換ポリフェノール化合物を得ることができる。亜硝酸との反応によれば、ニトロソ置換ポリフェノール化合物を得ることができる。酸又はアルカリ触媒の存在下、他のフェノール類と反応させることによって、ノボラック樹脂を得ることができる。
【0054】
次に、フェノール性水酸基に対する反応によって誘導体を得る具体例としては、例えば、フェノール性水酸基にハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル、エピクロロヒドリン等を反応させることによって、それぞれ対応するポリフェノールエーテル化合物を得ることができる。
【0055】
特に、フェノール性水酸基をt−ブトキシカルボニルメチルエーテルとするには、本発明によるポリフェノール化合物を適当な溶媒に溶解させた後、得られた溶液にクロロ酢酸t−ブチルと炭酸カリウムを加え、攪拌下に加熱することによって得ることができる。また、本発明によるポリフェノール化合物を適当な溶媒に溶解させ、エピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルは、エポキシ樹脂として利用することができる。このようなグリシジルエーテルに更にアクリル酸やメタクリル酸を反応させれば、エポキシ(メタ)アクリレートを得ることもできる。フェノール性水酸基に酸無水物、酸塩化物等を反応させることによって、ポリフェノールエステルを得ることができる。特に、フェノール水酸基に、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを反応させれば、ポリフェノール化合物のナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを得ることができる。
【0056】
上記以外にも、本発明によるポリフェノール化合物を、例えば、加圧下、気相反応によって、芳香環を完全水素化又は部分環水素化することによって、種々の多環芳香環水素化化合物を得ることができる。
【0057】
【実施例】
以下に実施例を挙げて以下に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0058】
実施例1
(4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチル)フェノール〕(1))の合成
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた1000mL容量の四つ口フラスコに2,6−キシレノール152.8g,メチレンビスサリチルアルデヒド40.1g、トルエン15.3g及び35%塩酸15.3gを仕込み、50℃で18時間、反応を行なった。
【0059】
反応終了後、析出した反応生成物を含む反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、塩酸を中和した後、反応混合物を濾過して、反応生成物を濾取した。
【0060】
得られた粗結晶をトルエン/メチルエチルケトン混合溶剤から再結晶して、目的とする多核体ポリフェノール化合物76.1g(純度96.4%)を収率69%にて得た。
【0061】
化学式:C47H48O6
融点:241.9℃(示差走査熱量分析法(DSC法))
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法、cm-1):
3533.3及び3489.0(OH)、2919.1(CH3 νas)、2858.3(CH3 νs)、 1607.6及び1488.0(ベンゼン環)、1433.0(CH3 δas、gem−メチル基)、1381.9(CH3 δs)、1288.4〜1095.5(ベンゼン環)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(60MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS):
【0062】
【化21】
【0063】
【表1】
【0064】
実施例2
(4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メチル)フェノール〕(2)の合成)
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた1000mL容量の四つ口フラスコに2,5−キシレノール165.2g、メチレンビスサリチルアルデヒド34.7g、メチルイソブチルケトン92g及び35%塩酸16.5gを仕込み、40℃で19時間、反応を行なった。
【0065】
反応終了後、析出した反応生成物を含む反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、塩酸を中和した後、反応混合物を濾過して、反応生成物を濾取した。
【0066】
得られた粗結晶をトルエン/メチルエチルケトン混合溶剤から再結晶して、目的とする多核体ポリフェノール化合物72.9g(純度98.3%)を収率76%にて得た。
【0067】
化学式:C47H48O6
融点:210.5℃、288.5℃(示差走査熱量分析法(DSC法))
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法、cm-1):
3423.4(OH)、2923.9(CH3 νas)、2865.1(CH3 νs)、1617.2及び 1503.4(ベンゼン環)、1462.9(CH3 δas、gem−メチル基)、1377.1(CH3 δs)、1280.6〜1058.8(ベンゼン環)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(60MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS):
【0068】
【化22】
【0069】
【表2】
【0070】
実施例3
(4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル)フェノール〕(3)の合成)
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた1000mL容量の四つ口フラスコにo−クレゾール148.6g、メチレンビスサリチルアルデヒド44g及び35%塩酸15gを仕込み、50℃で10時間、反応を行なった。
【0071】
反応終了後、反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、塩酸を中和した後、水層を分離して、有機層を得た。この有機層を常圧乃至10mmHgの減圧下に蒸留して、水と未反応のo−クレゾールとを除去した。得られた蒸留残渣にトルエン/メチルイソブチルケトン混合溶剤を加えて溶解させ、得られた溶液をイオン交換水にて洗浄した後、冷却して、粗結晶を得た。この粗結晶を濾取し、乾燥して、目的とする多核体ポリフェノール化合物84.0g(純度99%)を収率75%にて得た。
【0072】
化学式:C43H40O6
融点:136.6℃(示差走査熱量分析法(DSC法))
質量分析:m/e(分子イオンピーク)=652
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法、cm-1):
3359.8(OH)、3018.4(CH3 νas)、2921.0(CH3 νs)、1609.5及び 1503.4(ベンゼン環)、1425.3(CH3 δas、gem−メチル基)、1330.8(CH3 δs)、1264.3〜1096.5(ベンゼン環)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(60MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS):
【0073】
【化23】
【0074】
【表3】
【0075】
実施例4
(4,4'−メチレンビス〔2−(ビス(4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル−2−メチルフェニル)メチル)フェノール〕の合成)
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた1000mL容量の四つ口フラスコに3−メチル−6−シクロヘキシルフェノール190g、メチレンビスサリチルアルデヒド40.1g、メタノール56g及び35%塩酸3.8gを仕込み、50℃で22時間、反応を行なった。
【0076】
反応終了後、析出した反応生成物を含む反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、塩酸を中和した後、反応混合物を濾過して、反応生成物を濾取した。得られた粗結晶をトルエン/メチルエチルケトン混合溶剤から再結晶して、目的とする多核体ポリフェノール化合物104g(純度99.2%)を収率64%にて得た。
【0077】
化学式:C67H80O6
融点:230.1℃(示差走査熱量分析法(DSC法))
質量分析:m/e(分子イオンピーク)=980
赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法、cm-1):
3363.6(OH)、2925.8(CH2 νas)、2851.6(CH2 νs)、1610.5及び 1505.3(ベンゼン環)、1448.4(CH2 はさみ)、1266.2〜1150.5(ベンゼン環)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(60MHz、溶媒DMSO−D6、標準TMS):
【0078】
【化24】
【0079】
【表4】
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