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JP4124209B2 - 発電制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発電機を制御する発電制御装置に関する。
エンジンの駆動力によって走行する車両において、始動直後のエンジンは不安定な状態にある。一方、始動直後には、バッテリの電圧を所定の電圧にするため、車両用発電制御装置は、エンジンによって駆動される車両用発電機の励磁電流を増加させ、発電を開始させる。発電が開始すると、車両用発電機の駆動トルクが増加し、特に寒い朝などには、これが原因でエンジンが始動しきれない可能性がある。これに対し、例えば、始動時に励磁電流を徐々に増加させる徐励を行うことで、車両用発電機の駆動トルクの急激な増加を抑え、始動性を向上させる車両用発電制御装置が一般に知られている。このような車両用発電制御装置では、始動時以外にも、電気負荷が増加したときに、必要に応じて励磁電流を徐々に増加させる徐励を行うが、特開平6−311798号公報には、始動時以外の徐励に対して、エンジン始動直後の徐励では励磁電流を増やす速度を遅くした車両用発電制御装置が開示されている。
ところで、このような徐励動作中に電気負荷の消費電力が更に増加すると、発電量が抑制されているため、バッテリの電圧が大きく低下し、電気負荷が作動不能になってしまう可能性がある。エンジン制御装置が作動不能になった場合、エンジンが停止してしまう。これに対し、例えば、徐励中にバッテリの電圧が所定電圧以下になると、徐励を解除して励磁電流を急激に増加させ、バッテリの電圧低下を抑える車両用発電制御装置が、特開平9−107640号公報に開示されている。
特開平6−311798号公報 特開平9−107640号公報
ところで、エンジン始動装置の消費電力は非常に大きい。そのため、エンジンの始動時には、バッテリの電圧が大きく低下する。前述した特開平9−107640号公報に開示されている車両用発電制御装置では、このようなバッテリの電圧低下によって、始動時の徐励中に、その徐励を解除して励磁電流を急激に増加させる。そのため、車両用発電機の駆動トルクの急激な増加によって、不安定な状態にあるエンジンが停止する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内燃機関の始動直後に、徐励の解除にともなって発生する発電機の駆動トルクの急変を抑え、内燃機関の停止を防止することができる発電制御装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、内燃機関の始動後の最初の徐励中に、徐励の解除を禁止することで、始動時の発電機の駆動トルクの急変を抑えられることを思いつき、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発電制御装置は、内燃機関によって駆動される発電機の発電電圧が第1所定電圧になるように前記発電機の励磁電流を制御する励磁電流制御手段と、前記励磁電流制御手段が前記励磁電流を変化させるときに前記励磁電流を徐々に変化させる徐励を行う徐励手段と、前記徐励手段による徐励中に前記発電機の発電電圧が前記第1所定電圧より低い第2所定電圧未満になったとき徐励を解除する徐励解除手段とを備えた発電制御装置において、前記内燃機関の始動を検出する内燃機関始動検出手段と、前記内燃機関始動検出手段が前記内燃機関の始動を検出した後、前記徐励手段による最初の徐励中に、前記徐励解除手段による徐励解除を禁止する徐励解除禁止手段とを有することを特徴とする。
請求項2に記載の発電制御装置は、請求項1に記載の発電制御装置において、さらに、前記徐励解除禁止手段は、前記発電電圧又は前記励磁電流に基づいて徐励解除の禁止を解除することを特徴とする。
請求項3に記載の発電制御装置は、請求項2に記載の発電制御装置において、さらに、前記徐励解除禁止手段は、前記発電電圧が前記第1所定電圧を超えたとき、徐励解除の禁止を解除することを特徴とする。
請求項4に記載の発電制御装置は、請求項2に記載の発電制御装置において、さらに、前記徐励解除禁止手段は、前記励磁電流が所定電流を超えたとき、徐励解除の禁止を解除することを特徴とする。
請求項5に記載の発電制御装置は、請求項4に記載の発電制御装置において、さらに、前記励磁電流制御手段は、前記励磁電流の導通率を制御することで前記励磁電流を制御し、前記徐励解除禁止手段は、前記励磁電流の導通率に基づいて前記励磁電流の大きさを判定することを特徴とする。
請求項6に記載の発電制御装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の発電制御装置において、さらに、車両に搭載された前記発電機の励磁電流を制御することを特徴とする。
請求項1に記載の発電制御装置によれば、内燃機関の始動を検出した後、最初の徐励中に、徐励の解除を禁止することができる。そのため、内燃機関の始動直後の最初の徐励中に、徐励の解除にともなって発生する発電機の駆動トルクの急変を抑えることができる。これにより、始動直後の不安定な状態においても、発電機の駆動トルクの急変による内燃機関の停止を防止することができる。
請求項2に記載の発電制御装置によれば、徐励解除の禁止を必要以上に継続させることなく、効率よく解除することができる。始動直後の内燃機関の回転は不安定である。その後、時間の経過とともに内燃機関の回転は安定する。始動直後は徐励により発電電圧及び励磁電流が徐々に増加していく。そのため、発電機の発電電圧や励磁電流に基づいて徐励解除の禁止を解除することにより、徐励解除の禁止を、必要以上に継続させることなく、効率よく解除することができる。
請求項3に記載の発電制御装置によれば、徐励解除禁止の解除時期を、発電電圧に基づいて確実に判定することができる。発電機の発電電圧が第1所定電圧を超えると、最初の徐励は終了する。その頃には、内燃機関の回転は充分に安定している。そのため、徐励解除禁止の解除時期を確実に判定することができる。
請求項4に記載の発電制御装置によれば、徐励解除禁止の解除時期を、励磁電流に基づいて確実に判定することができる。発電機の励磁電流が充分高い所定電流を超える頃に内燃機関の回転も充分に安定している。そのため、徐励解除禁止の解除時期を確実に判定することができる。
請求項5に記載の発電制御装置によれば、励磁電流の大きさを確実に判定することができる。発電機の励磁電流は励磁電流の導通率にともなって変化する。そのため、励磁電流の導通率に基づいて励磁電流の大きさを判定することができる。
請求項6に記載の発電制御装置によれば、車両において、発電機の駆動トルクの急変による、始動直後の内燃機関の停止を防止することができる。これにより、車両における内燃機関の始動性を向上させることができる。
本実施形態は、本発明に係る発電制御装置を、車両に搭載されエンジンによって駆動される車両用発電機を制御する車両用発電制御装置に適用した例を示す。本実施形態における車両用発電制御装置の回路図を図1に、エンジン始動検出回路の回路図を図2に、徐励解除マスク回路の回路図を図3に示す。そして、図1〜図3を参照して構成、動作、効果の順で具体的に説明する。
まず、図1〜図3を参照して具体的構成について説明する。図1に示すように、車両用発電制御装置1(発電制御装置)は、車両用発電機2(発電機)に接続され、車両用発電機2は、バッテリ5に接続されている。また、車両用発電制御装置1は、ウォーニングランプ3とキースイッチ4を介してバッテリ5に接続されている。さらに、キースイッチ4のみを介してバッテリ5に接続されている。
ここで、車両用発電制御装置1に接続される車両用発電機2について、先に具体的構成を説明する。車両用発電機2は、エンジン(図略)の駆動力によって駆動され、車両用発電制御装置1によって励磁電流を制御されることで直流電圧を出力する機器である。車両用発電機2は、励磁巻線20と、電機子巻線21と、整流回路22とから構成されている。
励磁巻線20は、エンジンの駆動力によって回転する回転子(図略)に巻回された巻線である。励磁巻線20は、励磁電流が流れることで磁束を発生する。励磁巻線20は、車両用発電制御装置1に接続されている。
電機子巻線21は、電機子鉄心(図略)に巻回された相巻線21a〜21cをY結線して構成される3相巻線である。電機子巻線21は、励磁巻線20の発生する磁束と鎖交することで3相交流電圧を発生する。相巻線21a〜21cの開放端子は、整流回路22に接続されている。さらに、相巻線21aの開放端子は、車両用発電制御装置1に接続されている。
整流回路22は、電機子巻線21の発生した3相交流電圧を3相全波整流して、直流電圧に変換する回路である。整流回路22は、ダイオード22a〜22fを3相ブリッジ接続して構成されている。3相ブリッジの上側のダイオード22a〜22cのカソードは、車両用発電制御装置1と、バッテリ5の正極端子に接続され、バッテリ5の負極端子は、車体に接地されている。また、下側のダイオード22d〜22fのアノードは、車体に接地されている。さらに、ダイオード22a、22dの接続点、ダイオード22b、22eの接続点、及びダイオード22c、22fの接続点は、相巻線21a〜21cの開放端子にそれぞれ接続されている。
次に、車両用発電制御装置1について、具体的構成を説明する。車両用発電制御装置1は、車両用発電機2の発電電圧が予め設定されている調整電圧(第1所定電圧)になるように、車両用発電機2の励磁電流を制御する装置である。車両用発電制御装置1は、電源回路100と、エンジン始動検出回路101と、ウォーニングランプ駆動用トランジスタ102と、分圧抵抗103、104と、発電電圧検出用コンパレータ105と、徐励回路106と、徐励解除用コンパレータ107と、徐励解除マスク回路108と、アンド回路109、111と、オア回路110と、チャージポンプ回路112と、励磁電流制御用トランジスタ113と、還流ダイオード114とから構成されている。ここで、分圧抵抗103、104と、発電電圧検出用コンパレータ105と、AND回路111と、チャージポンプ回路112と、励磁電流制御用トランジスタ113が、本発明における励磁電流制御手段である。徐励回路106と、OR回路110と、AND回路111が、本発明における徐励手段である。分圧抵抗103、104と、徐励解除用コンパレータ107と、AND回路109と、OR回路110と、AND回路111が、本発明における徐励解除手段である。エンジン始動検出回路101が、本発明における内燃機関始動検出手段である。徐励解除マスク回路108と、AND回路109が、本発明における徐励解除禁止手段である。
電源回路100は、バッテリ5の出力電圧を、車両用発電制御装置1の作動に適した電圧に変換して供給する回路である。電源回路100の入力端子は、キースイッチ4を介してバッテリ5の正極端子に接続されている。また、出力端子(図略)は、各回路に接続されている。
エンジン始動検出回路101は、相巻線21aの発生する電圧によって、エンジンの始動を検出する回路である。図2に示すように、エンジン始動検出回路101は、分圧抵抗101a、101bと、平滑用コンデンサ101cと、エンジン始動検出用コンパレータ101dとから構成されている。
分圧抵抗101a、101bは、車両用発電機2の発電電圧を分圧する抵抗である。分圧抵抗101aと分圧抵抗101bは直列接続されている。直列接続された分圧抵抗101a、101bの一端は、図1における相巻線21aの開放端子に接続されている。また、他端は、車体に接地されている。
平滑用コンデンサ101cは、分圧抵抗101a、101bによって分圧された車両用発電機2の発電電圧を平滑する素子である。平滑用コンデンサ101cの一端は、分圧抵抗101a、101bの接続点に接続されている。また、他端は、車体に接地されている。
エンジン始動検出用コンパレータ101dは、分圧抵抗101a、101bによって分圧された相巻線21aの発電電圧を、予め設定されている第3基準電圧Vref3と比較する素子である。第3基準電圧Vref3は、エンジン始動検出電圧(第3所定電圧)に相当する電圧である。エンジン始動検出電圧は、エンジンの始動を検出するための閾値である。エンジンが始動すると、相巻線21aは、エンジンの回転数に応じた大きさの電圧を発生する。エンジン始動検出電圧は、エンジンが始動したときに相巻線21aが発生する電圧より低い電圧である。相巻線21aの発電電圧がエンジン始動検出電圧より高くなったとき、エンジンが始動したと判定する。第3基準電圧Vref3は、エンジン始動検出電圧を、分圧抵抗101a、101bの分圧比に基づいて変換した値に設定されている。エンジン始動検出用コンパレータ101dの反転入力端子は、平滑用コンデンサ101cの接続された分圧抵抗101a、101bの接続点に接続されている。また、非反転入力端子は、エンジン始動検出電圧Vref3に接続されている。さらに、エンジン始動検出用コンパレータ101dの出力端子は、図1におけるウォーニングランプ駆動用トランジスタ102と、徐励回路106と、徐励解除マスク回路108に接続されている。 エンジンが停止状態のとき、相巻線21aは電圧を発生しない。そのため、エンジン始動検出用コンパレータ101dの反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第3基準電圧Vref3より低くなり、エンジン始動検出用コンパレータ101dは、ハイレベル信号を出力する。これに対し、エンジンが始動すると、相巻線21aは電圧を発生する。エンジン始動検出用コンパレータ101dの反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第3基準電圧Vref3より高くなり、エンジン始動検出用コンパレータ101dは、ローレベル信号を出力する。
図1に戻り説明する。ウォーニングランプ駆動用トランジスタ102は、エンジン始動検出回路101の出力に基づいてスイッチングすることで、ウォーニングランプ3を点灯又は消灯するスイッチング素子である。ウォーニングランプ3は、キースイッチ4が投入された後のエンジンの停止状態を警告する表示灯である。ウォーニングランプ駆動用トランジスタ102のゲートは、エンジン始動検出回路101の出力端子に接続されている。また、ドレインは、ウォーニングランプ3に接続されている。さらに、ソースは車体に接地されている。
分圧抵抗103、104は、車両用発電機2の発電電圧を分圧する抵抗である。分圧抵抗103と分圧抵抗104は直列接続されている。直列接続された分圧抵抗103、104の一端は、ダイオード22a〜22cのカソードに接続されている。また、他端は、車体に接地されている。
発電電圧検出用コンパレータ105は、分圧抵抗103、104によって分圧された車両用発電機2の発電電圧を、予め設定されている第1基準電圧Vref1と比較する素子である。第1基準電圧Vref1は、調整電圧に相当する電圧である。調整電圧は、車両用発電機2の発電電圧の目標値である。第1基準電圧Vref1は、調整電圧を、分圧抵抗103、104の分圧比に基づいて変換した値に設定されている。発電電圧検出用コンパレータ105の反転入力端子は、分圧抵抗103、104の接続点に接続されている。また、非反転入力端子は、第1基準電圧Vref1に接続されている。さらに、発電電圧検出用コンパレータ105の出力端子は、徐励回路106と、徐励解除マスク回路108と、AND回路111に接続されている。車両用発電機2の発電電圧が調整電圧より低いとき、発電電圧検出用コンパレータ105の反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第1基準電圧Vref1より低くなり、発電電圧検出用コンパレータ105は、ハイレベル信号を出力する。これに対し、車両用発電機2の発電電圧が調整電圧より高くなると、発電電圧検出用コンパレータ105の反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第1基準電圧Vref1より高くなり、発電電圧検出用コンパレータ105は、ローレベル信号を出力する。
徐励回路106は、エンジン始動検出回路101と、発電電圧検出用コンパレータ105の出力に基づいて徐励のための所定周期のパルス信号を出力する回路である。徐励回路106の入力端子は、エンジン始動検出回路101の出力端子に接続されている。また、別の入力端子は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力端子に接続されている。さらに、出力端子は、徐励解除マスク回路108と、OR回路110に接続されている。エンジン始動検出回路101からハイレベル信号が出力されると、徐励回路106は、ハイレベルの比率(以下、オンデューティという)が、例えば、約20%のパルス信号を出力する。これに対し、エンジン始動検出回路101からローレベル信号が、さらに、発電電圧検出用コンパレータ105からハイレベル信号が出力されると、徐励回路106は、パルス信号のオンデューティを徐々に増加させる。
徐励解除用コンパレータ107は、分圧抵抗103、104によって分圧された車両用発電機2の発電電圧を、予め設定されている第2基準電圧Vref2と比較する素子である。第2基準電圧Vref2は、徐励解除電圧(第2所定電圧)に相当する電圧である。徐励解除電圧は、徐励の解除を判定するための閾値である。徐励解除電圧は、調整電圧より低く、バッテリ5に接続された電気負荷(図略)が作動可能な最低電圧より高い電圧である。徐励中に、車両用発電機2の発電電圧が、徐励解除電圧より低くなったとき、徐励を解除する。第2基準電圧Vref2は、徐励解除電圧を、分圧抵抗103、104の分圧比に基づいて変換した値に設定されている。徐励解除用コンパレータ107の反転入力端子は、分圧抵抗103、104の接続点に接続されている。また、非反転端子は、第2基準電圧Vref2に接続されている。さらに、出力端子は、AND回路109に接続されている。 車両用発電機2の発電電圧が徐励解除電圧より低いとき、徐励解除用コンパレータ107の反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第2基準電圧Vref2より低くなり、徐励解除用コンパレータ107は、徐励の解除を指示するハイレベル信号を出力する。これに対し、車両用発電機2の発電電圧が徐励解除電圧より高くなると、徐励解除用コンパレータ107の反転入力端子の電圧は、非反転入力端子に接続されている第2基準電圧Vref2より高くなり、徐励解除用コンパレータ107は、ローレベル信号を出力する。
徐励解除マスク回路108は、エンジン始動検出回路101の出力に基づいて、徐励の解除をマスクするための信号を出力する回路である。図3に示すように、徐励解除マスク回路108は、導通率判定回路108aと、NOT回路108bと、OR回路108cと、RSフリップフロップ回路108dとから構成されている。
導通率判定回路108aは、徐励回路106の出力するパルス信号のオンデューティを判定する回路である。徐励回路106の出力するパルス信号のオンデューティが、予め設定されている基準オンデューティより大きいとき、導通率判定回路108aは、ハイレベル信号を出力し、それ以外のとき、ローレベル信号を出力する。基準オンデューティは、車両用発電機2の励磁電流の大きさに相当する励磁電流の導通率である。始動直後は、始動装置への電力供給などにより、バッテリの充電状態が悪くなっており、また、エンジンの回転数も低いことから、発電機が最大限に発電しても、発電電圧が調整電圧にまで達しないこともある。そのような場合でも、オンデューティを判定することで、確実に徐励解除の禁止を解除することができる。導通率判定回路108aの入力端子は、図1における徐励回路106の出力端子に接続され、出力端子は、OR回路108cの入力端子にそれぞれ接続されている。NOT回路108bの入力端子は、図1における発電電圧検出用コンパレータ105の出力端子に、出力端子は、OR回路108cの別の入力端子にそれぞれ接続され、OR回路108cの出力端子は、RSフリップフロップ108dのセット端子に接続されている。また、RSフリップフロップ108dのリセット端子は、図1におけるエンジン始動検出回路101の出力端子に接続されている。さらに、出力端子は、図1におけるAND回路109の入力端子に接続されている。エンジン始動検出回路101からハイレベル信号が出力されると、RSフリップフロップ108dはリセットされ、ローレベル信号を出力する。これに対し、発電電圧検出用コンパレータ105からローレベル信号が出力されるか、又は、徐励回路106から出力されるパルス信号に基づいて、導通率判定回路108aがハイレベル信号を出力すると、RSフリップフロップ108dはセットされ、ハイレベル信号を出力する。
AND回路109は、徐励解除マスク回路108の出力に基づいて、徐励解除用コンパレータ107の出力を、選択的に出力する回路である。AND回路109の入力端子は、図3におけるRSフリップフロップ108dの出力端子に接続されている。また、別の入力端子は、徐励解除用コンパレータ107の出力端子に接続されている。さらに、出力端子は、OR回路110に接続されている。徐励解除マスク回路108からハイレベル信号が出力されると、AND回路109は、徐励解除用コンパレータ107の出力をそのまま出力する。これに対し、徐励解除マスク回路108からローレベル信号が出力されると、AND回路109は、徐励解除用コンパレータ107の出力にかかわらず、ローレベル信号を出力する。
OR回路110は、AND回路109の出力に基づいて、徐励回路106の出力を選択的に出力する回路である。OR回路110の入力端子は、徐励回路106の出力端子に接続されている。また、別の入力端子は、AND回路109の出力端子に接続されている。さらに、出力端子は、AND回路111に接続されている。AND回路109からハイレベル信号が出力されると、OR回路110は、徐励回路106の出力にかかわらず、ハイレベル信号を出力する。これに対し、AND回路109からローレベル信号が出力されると、OR回路110は、徐励回路106の出力するパルス信号をそのまま出力する。
AND回路111は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力に基づいて、OR回路110の出力を選択的に出力する回路である。AND回路111の入力端子は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力端子に接続されている。また、別の入力端子は、OR回路110の出力端子に接続されている。さらに、出力端子は、チャージポンプ回路112に接続されている。発電電圧検出用コンパレータ105からハイレベル信号が出力されると、AND回路111は、OR回路110の出力をそのまま出力する。これに対し、発電電圧検出用コンパレータ105からローレベル信号が出力されると、AND回路111は、OR回路110の出力にかかわらず、ローレベル信号を出力する。
チャージポンプ回路112は、AND回路110の出力を、励磁電流制御用トランジスタ113がスイッチングできる高電圧に変換する回路である。チャージポンプ回路112の入力端子は、AND回路110の出力端子に接続されている。また、出力端子は、励磁電流制御用トランジスタ113に接続されている。
励磁電流制御用トランジスタ113は、チャージポンプ回路112の高電圧の出力に基づいてスイッチングすることで、励磁巻線20に流れる励磁電流を制御するスイッチング素子である。励磁電流制御用トランジスタ113がスイッチングすることで、励磁電流の導通率が制御され、励磁電流を制御することができる。励磁電流制御用トランジスタ113のゲートは、チャージポンプ回路112の出力端子に接続されている。また、ドレインは、ダイオード22a〜22cのカソードに接続されている。さらに、ソースは、励磁巻線20の一端に接続され、励磁巻線20の他端は車体に接地されている。
還流ダイオード114は、励磁電流制御用トランジスタ113がオフしたときに、励磁巻線20に発生する還流電流を流す素子である。還流ダイオード114のカソードは、励磁巻線20の一端に接続されている。また、アノードは、励磁巻線20の他端に接続されている。
次に、図1及び図3を参照して具体的動作について説明する。図1において、キースイッチ4が投入されると、電源回路100にバッテリ5が接続される。電源回路100は、バッテリ5の出力電圧を作動に適した電圧に変換して、各回路に供給する。電圧が供給されると、各回路は作動を開始する。
エンジンが始動する直前、相巻線21aは電圧を発生していない。そのため、エンジン始動検出回路101は、ハイレベル信号を出力する。エンジン始動検出回路101の出力がハイレベルになると、ウォーニングランプ駆動用トランジスタ102がオンし、ウォーニングランプ3が点灯する。このとき、車両用発電機2も電圧を発生していない。そのため、発電電圧検出用コンパレータ105は、ハイレベル信号を出力する。発電電圧検出用コンパレータ105の出力がハイレベルになると、徐励回路106は、オンデューティが、例えば、約20%のパルス信号を出力する。また、徐励解除マスク回路108は、ローレベル信号を出力する。徐励解除マスク回路108の出力がローレベルになると、AND回路109は、徐励解除用コンパレータ107の出力にかかわらず、ローレベル信号を出力する。これにより、徐励解除が禁止される。
OR回路110は、AND回路109の出力がローレベルであるため、徐励回路106の出力するオンデューティが約20%のパルス信号をそのまま出力する。AND回路111は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力がハイレベルであるため、OR回路110の出力するオンデューティが約20%のパルス信号をそのまま出力する。チャージポンプ回路112は、AND回路111の出力するオンデューティが約20%のパルス信号に従って、励磁電流制御用トランジスタ113をスイッチングする。これにより、励磁巻線20に、パルス信号に対応したほぼ一定の励磁電流が流れる。
始動装置によってエンジンが回転し始めると、相巻線21aに電圧が発生し始める。この発電電圧がエンジン始動検出電圧より高くなると、エンジン始動検出回路101は、ローレベル信号を出力する。エンジン始動検出回路101の出力がローレベルになると、ウォーニングランプ駆動用トランジスタ102はオフし、ウォーニングランプ3は消灯する。このとき、車両用発電機2の発電電圧は、充分に上昇しておらず調整電圧より低い。そのため、発電電圧検出用コンパレータ105の出力は、ハイレベルのままである。エンジン始動検出回路101の出力がローレベル、かつ、発電電圧検出用コンパレータ105の出力がハイレベルになると、徐励回路106は、パルス信号のオンデューティを徐々に増加させるが、まだ、基準オンデューティより小さい。そのため、エンジン始動検出回路101の出力がローレベルとなっても、徐励解除マスク回路108内のRSフリップフロップ108dはセットされず、出力はローレベルのままである。徐励解除マスク回路108の出力がローレベルであるため、AND回路109も、徐励解除用コンパレータ107の出力にかかわらず、ローレベルのままである。これにより、徐励解除の禁止が継続される。
OR回路110は、AND回路109の出力がローレベルであるため、徐励回路106の出力するオンデューティが徐々に増加するパルス信号をそのまま出力する。AND回路111は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力がハイレベルであるため、OR回路110の出力するオンデューティが徐々に増加するパルス信号をそのまま出力する。チャージポンプ回路112は、オンデューティが徐々に増加するパルス信号に従って、励磁電流制御用トランジスタ113をスイッチングする。これにより、励磁巻線20に流れる励磁電流が、パルス信号のオンデューティとともに徐々に増加し、徐励が行われる。それにともなって、発電電圧も徐々に増加する。
その後、エンジンの回転数が上昇し、車両用発電機2の発電電圧も上昇し、調整電圧より高くなる。そのため、発電電圧検出用コンパレータ105は、ローレベル信号を出力する。エンジン始動検出回路101の出力がローレベル、かつ、発電電圧検出用コンパレータ105の出力がローレベルになると、徐励解除マスク回路108は、ハイレベル信号を出力する。また、車両用発電機2の発電電圧が調整電圧より高くなる前に、徐励回路106から出力されるパルス信号のオンデューティが、基準オンデューティより大きくなっても、同様に、徐励解除マスク回路108は、ハイレベル信号を出力する。徐励解除マスク回路108の出力がハイレベルになると、AND回路109は、徐励解除用コンパレータ107の出力をそのまま出力する。これにより、徐励解除の禁止が解除される。
徐励解除の禁止が解除された後、電気負荷(図略)の消費電力の増加によって、車両用発電機2の発電電圧が徐励解除電圧より低くなると、徐励解除用コンパレータ107は、ハイレベル信号を出力する。徐励解除マスク回路108の出力がハイレベルであるため、AND回路109は、徐励解除用コンパレータ107の出力するハイレベル信号をそのまま出力する。OR回路110は、AND回路109の出力がハイレベルであるため、徐励回路106の出力にかかわらず、AND回路109の出力するハイレベル信号をそのまま出力する。AND回路111は、OR回路110の出力がハイレベルであるため、発電電圧検出用コンパレータ105の出力をそのまま出力する。これにより、徐励が解除される。チャージポンプ回路112は、発電電圧検出用コンパレータ105の出力に従って、徐励することなく、励磁電流制御用トランジスタ113をオンする。これにより、励磁巻線20に流れる励磁電流が急激に増加し、発電電圧が上昇する。
以降、エンジンが停止し、エンジン始動検出回路101の出力がローレベルになるまでは、徐励解除マスク回路108の出力は、ハイレベルのままであるため、徐励の解除が禁止されることはない。
最後に具体的効果について説明する。本実施形態によれば、エンジン始動を検出した後、最初の徐励中に、徐励の解除を禁止することができる。そのため、エンジンの始動直後の最初の徐励中に、徐励の解除にともなって発生する車両用発電機2の駆動トルクの急変を抑えることができる。これにより、始動直後の不安定な状態においても、車両用発電機2の駆動トルクの急変によるエンジンの停止を防止することができる。
本実施形態によれば、車両用発電機2の発電電圧が、エンジン始動検出電圧を超えたとき、エンジンが始動したと判定することができる。車両用発電機2の発電電圧は、エンジンの回転数にともなって変化する。そのため、発電電圧をエンジン始動検出電圧と比較することで、エンジンの始動を確実に検出することができる。
本実施形態によれば、徐励解除禁止の解除時期を、発電電圧及び励磁電流に相当する導通率に基づいて判定することができる。そのため、徐励解除の禁止を必要以上に継続させることなく、効率よく解除することができる。始動直後のエンジンの回転は不安定である。その後、時間の経過とともにエンジンの回転は安定する。始動直後は徐励により発電電圧が徐々に増加していく。そのため、発電電圧及び励磁電流に相当する導通率に基づいて、徐励解除の禁止を効率よく解除することができる。
本実施形態によれば、車両において、車両用発電機2の駆動トルクの急変による、始動直後のエンジンの停止を防止することができる。これにより、車両におけるエンジンの始動性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、相巻線21aの発電電圧の大きさに基づいてエンジンの始動を検出している例を挙げているが、これに限られるものではない。例えば、相巻線21aの発電電圧は交流であるので、その周波数に基づいてエンジンの始動を検出するようにしてもよい。この場合、図1におけるエンジン始動検出回路として、図2に示す回路構成の代わりに、図4に示すような回路構成によっても実現することができる。
本実施形態における車両用発電制御装置の回路図を示す。 図1におけるエンジン始動検出回路の回路図を示す。 図1における徐励解除マスク回路の回路図を示す。 図1におけるエンジン始動検出回路の別の実施形態の回路図を示す。
符号の説明
1・・・車両用発電制御装置(発電制御装置)、100・・・電源回路、101・・・エンジン始動検出回路、101a、101b・・・分圧抵抗、101c・・・平滑用コンデンサ、101d・・・エンジン始動検出用コンパレータ、102・・・ウォーニングランプ駆動用トランジスタ、103、104・・・分圧抵抗、105・・・発電電圧検出用コンパレータ、106・・・徐励回路、107・・・徐励解除用コンパレータ、108・・・徐励解除マスク回路、108a・・・導通率判定回路、108b・・・NOT回路、108c・・・OR回路、108d・・・RSフリップフロップ回路、109、111・・・AND回路、110・・・OR回路、112・・・チャージポンプ回路、113・・・励磁電流制御用トランジスタ、114・・・還流ダイオード、2・・・車両用発電機(発電機)、20・・・励磁巻線、21・・・電機子巻線、21a〜21c・・・相巻線、22・・・整流回路、22a〜22f・・・ダイオード、3・・・ウォーニングランプ、4・・・キースイッチ、5・・・バッテリ

Claims (6)

  1. 内燃機関によって駆動される発電機の発電電圧が第1所定電圧になるように前記発電機の励磁電流を制御する励磁電流制御手段と、前記励磁電流制御手段が前記励磁電流を変化させるときに前記励磁電流を徐々に変化させる徐励を行う徐励手段と、前記徐励手段による徐励中に前記発電機の発電電圧が前記第1所定電圧より低い第2所定電圧未満になったとき徐励を解除する徐励解除手段とを備えた発電制御装置において、
    前記内燃機関の始動を検出する内燃機関始動検出手段と、前記内燃機関始動検出手段が前記内燃機関の始動を検出した後、前記徐励手段による最初の徐励中に、前記徐励解除手段による徐励解除を禁止する徐励解除禁止手段とを有することを特徴とする発電制御装置。
  2. 前記徐励解除禁止手段は、前記発電電圧又は前記励磁電流に基づいて徐励解除の禁止を解除することを特徴とする請求項1に記載の発電制御装置。
  3. 前記徐励解除禁止手段は、前記発電電圧が前記第1所定電圧を超えたとき、徐励解除の禁止を解除することを特徴とする請求項2に記載の発電制御装置。
  4. 前記徐励解除禁止手段は、前記励磁電流が所定電流を超えたとき、徐励解除の禁止を解除することを特徴とする請求項2に記載の発電制御装置。
  5. 前記励磁電流制御手段は、前記励磁電流の導通率を制御することで前記励磁電流を制御し、
    前記徐励解除禁止手段は、前記励磁電流の導通率に基づいて前記励磁電流の大きさを判定することを特徴とする請求項4に記載の発電制御装置。
  6. 車両に搭載された前記発電機の励磁電流を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発電制御装置。
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