JP4123757B2 - ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置及びこれに用いるプログラム並びに情報処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチユーザ機能や、ユーザの簡易切り替え機能を備えたオペレーティングシステムが搭載された機器において、ユーザ間で簡易にメッセージを送受できるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチユーザ対応のオペレーティングシステム(Operating System)が搭載されたローカルコンピュータにおいては、当該コンピュータ上で登録されたユーザ間でメッセージのやりとり行うための各種の通信機能が考えられている。例えば、共有フォルダを使ってメッセージデータの受け渡しを行う形態が知られている(特開2001−134479号公報等)。
【0003】
他方、マルチユーザ・マルチタスク対応のオペレーティングシステムの中には、ユーザの簡易切り替え機能を備えたものが知られており(例えば、Windows XP:マイクロソフト社の商標)、1台のコンピュータを複数人で使用する際に便利な機能(ローカルコンピュータ上での機能)を提供している。つまり、ユーザによるログオフを要することなく、ログオン状態のままで別のユーザへの切り替えを、パスワード入力等による本人認証を経て行うことができるので、例えば、家族で1台のコンピュータを共用するときに各人がデスクトップ(コンピュータ画面上の作業領域)を切り替えながら同じアプリケーションを使用できるといった利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のユーザ間メッセージ通信機能においては、ユーザの利便性について下記のような問題がある。
【0005】
例えば、共有フォルダ等を用いたデータファイルの受け渡し方法によると、誰がどこのフォルダに何を置いたかをメッセージの送り先に伝えなければならない。例えば、会話やメモ用紙での伝言による方法や、その他の手段(電子メールやデスクトップ付箋紙等。)を用いて必要な情報を相手に伝える形態が挙げられるが、いずれにしても不便な点がある。
【0006】
また、上記したユーザの簡易切り替え機能のもつオペレーティングシステム(以下、単に「OS」という。)を搭載した機器(ローカルコンピュータ)では、多人数のユーザで同じ一台のコンピュータを使用することができ、各人がデスクトップを即座に切り替えて使用できるようになる。そして、当該コンピュータ内でのテキストメッセージのやり取りについてはネットワークを介さずとも簡単に行うことができる。つまり、この機能は、相手に受け渡したいテキストデータをファイルとしてではなく、メモリ上で行うものであるため、一定の制約がある。例えば、テキストメッセージしか送ることができなかったり、現在ログオンしているユーザにしか送ることができない。
【0007】
この他には、録音機能を備えた家庭用電気製品(冷蔵庫等)が知られており、家族で共有するに当たって音声による伝言板として機能が付加されているが、ある程度の情報量をもつデータのやりとりを前提としてはいない。
【0008】
尚、ネットワークを構築したシステムでは、ユーザ間の通信機能が標準で搭載されるが、このような形態は大規模なシステムにおいて採用できても、ローカルなシステム環境で用いるには不向きである。
【0009】
ユーザの簡易切替機能を備えたOSについては、一台のコンピュータを多人数で共有して使用することを前提としているので、閉じた環境内、即ち、ネットワークに繋がっていないローカルコンピュータ内でのメッセージのやりとりには非常に意味があると考えられる。例えば、テキストメッセージに限らず、音声や静止画像、動画像等による多彩なコミュニケーションを可能にすることで、ユーザ間の意思疎通や情報伝達を高度なレベルで行うことができる。
【0010】
そこで、本発明は、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置などにおいて、ネットワークの介在なしに、ユーザ間で簡易に情報伝達を行えるようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一の観点に係るユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置は、マルチユーザ機能又は現在のユーザのアプリケーションを終了させることなく他のユーザに切り替える、ユーザの簡易切り替え機能を有するオペレーティングシステムが搭載されるとともに、ネットワークへの接続を必要とせずに、ユーザ間でメッセージの受け渡しを行えるように構成された、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置において、ユーザ名で特定されるメッセージ送信元及び宛先と、メッセージ内容として音声又は画像データを含むデータファイルの所在情報とを有するメッセージファイルを記憶するメッセージ情報記憶手段と、アクティブなユーザを検出する手段と、あるユーザから別のユーザに簡易切り替えが行われた時に、前記アクティブなユーザに対して該当する宛先の前記メッセージ情報を表示する制御を行う制御手段とを備える。
【0012】
従って、本発明にあっては、ネットワーク接続を前提とすることなく、ローカル機器内で音声や画像情報をユーザ間で伝達し合うことができるとともに、メッセージファイルを使ってデータファイルの格納場所を相手に知らせるだけで済むため、簡易な通信手段であって、かつ利便性が高い。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置などに関するものであり、例えば、マルチユーザ機能を備えたOSや、ユーザの簡易切り替え機能を備えたOSがインストールされたコンピュータ、画像又は音声処理装置、計測装置等への適用が挙げられる。
【0014】
先ず、本明細書で使用する用語の意味を明らかにしてからハードウェア構成及びソフトウェア処理の説明を行うことにする。
【0015】
下記の用語の定義について説明する。
【0016】
(a)「ユーザの簡易切り替え機能」(あるいはユーザ簡易切り替え機能)
(b)「ユーザがアクティブである(又はアクティブでない)」、「アクティブな(又はアクティブでない)ユーザ」
(c)「ようこそ画面」(Welcome Screen)。
【0017】
先ず、(a)はマルチユーザ対応のOSによって提供される機能であって、「ユーザ切り替え」という項目を選択し又は実行することによって、現在のユーザが起動したアプリケーション(プロセス)を終了させることなく、デスクトップ(コンピュータ画面上の作業領域)全体を他のユーザに切り替えることができる機能である。つまり、通常のログオン(あるいはログイン)やログオフ(あるいはログアウト)によるユーザの切り替えとは異なり、簡易にユーザの切り替えを行うことができる。
【0018】
ユーザ切り替え時のアプリケーションをメモリにロードする時間が必要無くなるので、ログオフ及びログオンによる切り替えよりも時間がかからないという利点が得られ、処理が比較的早い。
【0019】
尚、この機能自体は一般的に知られており、例えば、上記「Windows XP」では「Fast User Switching」と称している。また、以下ではこのOSを特定して説明を行うが、本発明の適用範囲が特定のOSに限定されるものではなく、同様の機能をもつOS、あるいはマルチユーザ対応のOSであれば如何なるもの(Unix系OS等)でも適用が可能である。そして、以下の説明におけるユーザ切り替えとは、「ユーザの簡易切り替え機能」における当該ユーザの切り替えを意味する。
【0020】
上記(b)の「ユーザがアクティブである」とは、ユーザがログオン状態であって、かつ当該ユーザのデスクトップが画面に表示された状態であることをいう。そして、「アクティブなユーザ」とは、「ユーザがアクティブである」場合において当該ユーザのことである。「アクティブなユーザ」は起動したアプリケーションに対していつでも命令や指令を出すことが可能である。
【0021】
これに対して、「ユーザがアクティブでない」とは、ユーザがログオン状態であって、かつ当該ユーザのデスクトップが画面に表示されていない状態であることをいう。そして、「アクティブでないユーザ」とは、「ユーザがアクティブでない」場合において当該ユーザのことである。「アクティブでないユーザ」は自分自身へのユーザ切り替えをするまでアプリケーションに対して命令や指令ができない。
【0022】
尚、ログオン状態でないユーザについては、アクティブであるとも、またアクティブでないとも言わないことに注意を要する。また、上記の定義はあくまで基本的なものであるため、特定のOSによっては厳密に妥当しない場合も存在する(「Windows XP」の場合には、この後の図4において説明する。)が、これは仕様や諸事情に原因するものであって本質的なものではない。
【0023】
上記(c)の「ようこそ画面」(Welcome Screen)とは、ユーザの簡易切り替え機能が有効である場合において、あるユーザから別のユーザへの切り替えが起こるときに現れる画面であり、例えば、ユーザ(登録済みユーザ)の選択、パスワード等の入力を行ったり、シャットダウン、スタンバイ、再起動等を行うことができる画面である。ユーザの簡易切り替えを行う際には必ず「ようこそ画面」を経由する(その意味でユーザ切り替えの経由画面である。)。
【0024】
尚、ユーザの簡易切り替え機能が有効である場合とは、例えば、コントロールパネル等のシステム管理ユーティリティで設定することができる場合において当該設定が有効になっている場合(つまり、設定権がユーザに委ねられている場合)や、最初からユーザの簡易切り替え機能が有効である場合、あるいは、特定のユーザ(システム管理者等)だけが有効無効について設定権を有する場合等が挙げられる。
【0025】
また、「メッセージ」という語については、意思疎通等を図るために、ユーザ間で受け渡しされるものと、OSとアプリケーションとの間のプログラム処理上で用いられるものとが含まれることに注意を要する(但し、両者の違いは文脈から明らかである。)。
【0026】
次にアプリケーションの実行環境について説明する。
【0027】
図1は装置のハードウェア構成例を示したものである。
【0028】
情報処理装置1としてのコンピュータには、制御中枢であるCPU(中央処理装置)2の下に、インターフェイス部3(図には「I/F」と記す。)、着脱自在な磁気ディスク(フレキシブルディスク等)のドライブ装置4(図には「FDD」と記す。)、固定ディスク(所謂ハードディスク)のドライブ装置5(図には「HDD」と記す。)、着脱自在な光学読取式ディスク(光ディスクや光磁気ディスク等)のドライブ装置6(図には「CDD」と記す。)が設けられており、これらは内部バス7を介してCPU2に接続されている。そして、この他には、ROM(読み出し専用メモリ)8及びRAM(ランダムアクセスメモリ)9、公衆電話回線との接続用のモデム(図には「MODEM」と記す。)10、LAN(Local Area Network)アダプタ11、表示デバイスコントローラ12(図には「GDC」と記す。)が設けられていて、それぞれ内部バス7を介してCPU2に接続されている。尚、表示デバイスコントローラ12には画像処理に必要なビデオRAM13(図には「VRAM」と記す。)が付設されており、表示装置14(液晶式ディスプレイや陰極線管(CRT)等)に映像信号を送出する。
【0029】
操作手段として、キーボード15やマウス16、ダイヤル式操作装置17が設けられており、これらによる操作情報が上記インターフェイス部3を通して処理される。
【0030】
尚、この他にも必要に応じてポインティングデバイス(タブレット入力デバイス等)や、追加あるいはオプション用のデバイスを搭載できるが、それらの図示及び説明は割愛する。
【0031】
前記したように、コンピュータ上の登録ユーザの間でメッセージの受け渡しを行う場合には、宛先や送信者を特定し、メッセージの所在等を明らかにしないと、当該メッセージの内容が相手に届かないといった不都合が起きる。勿論、電子メール等の利用も可能であるが、ローカル機器内での使用には不便である。
【0032】
そこで、本発明では、ユーザ名で特定されるメッセージ送信元及び宛先と、メッセージ内容として音声データ又は画像(静止画像、動画像)データを含むデータファイルの所在情報とを有するメッセージファイルを用いて、当該データファイルの格納場所をユーザ間で通知し合えるように構成する。尚、データファイルとしては、テキストデータを含めても良いし(特に、情報量が多い場合等)、また、メッセージファイルに付加され又は添付されるファイルであっても良い。
【0033】
そして、メッセージファイルについては、ログオン状態にある全てのユーザに亘って使用される共有フォルダ(本発明では、各ユーザがネットワークを介さず参照できるように設定されたフォルダ)に保存されて管理される。即ち、メッセージファイルやデータファイルそのものをユーザ間で送り合うのではなく、データファイルの所在を示す情報をメッセージファイルに記述することによりファイルの場所情報だけを互いに送り合うことができるので、互いに必要なファイルを円滑に共有できる。
【0034】
図2の概念図に示すように、メッセージファイル「mf1」は、ユーザAが、ユーザB、Cに対してメッセージの送信を行うことで作成されたものであり、当該ファイル中に記述された「dfa1」、「dfa2」は、メッセージ内容に含めたいデータファイルの所在情報(パス名)をそれぞれ示している(破線の矢印は、参照を示す。)。
【0035】
同様に、メッセージファイル「mf2」は、ユーザBが、ユーザCに対してメッセージの送信を行うことで作成されたものであり、当該ファイル中に記述された「dfb」は、メッセージ内容に含めたいデータファイルの所在情報(パス名)を示している(破線の矢印は、参照を示す。)。また、メッセージファイル「mf3」は、ユーザCが、ユーザAに対してメッセージの送信を行うことで作成されたものであり、これにはデータファイルが付いておらず、伝言内容を示すテキストデータ等がメッセージファイルに含まれている。
【0036】
これらのメッセージファイルは共有フォルダSに置かれて管理され、後述するようにメッセージファイルに基いて各ユーザへの通知及び受信処理が行われる。
【0037】
図3は、あるユーザAから別のユーザBへの簡易切り替えが行われた時に、当該ユーザに対してメッセージの受信通知が行われる様子を概念的に示したものである。
【0038】
ユーザAがアクティブであるとして、当該ユーザAが、ユーザBを宛先としてメッセージ送信の処理を行ったとすると、これによりメッセージファイル「mf」が作成される。その後、ユーザBへの簡易切り替えが行われた時には、メッセージファイル「mf」に基いて新着のメッセージが来ている旨の通知がユーザBに対してなされるので、ユーザBは受信処理により当該メッセージの内容を閲覧することができる。尚、後述するように、新着のメッセージかどうかの判断については、システムによって管理される日時情報を用いて行うことができ(ネットワークを介さないので機器間の時計設定の食い違い等に煩わされない。)、アプリケーションの処理終了時や、ユーザの切り替えによってアクティブでなくなったとき等における日時を記録しておいて、メッセージファイルの送信日時と比較すれば良いので簡単である。
【0039】
尚、メッセージファイルが共有フォルダに保管されたままで用済みになっても放置されたのでは、補助記憶装置(前記HDD5等)の容量を逼迫させる虞があるので、要らなくなったメッセージファイルを適宜に削除する必要がある。しかし、これを各ユーザに委ねるのでは面倒な作業を強いることになり、せっかくの利便性が損なわれてしまう。そこで、メッセージファイルに対しては、ユーザが有効期限を設定できるようにし、当該有効期限を過ぎた場合にメッセージファイルを自動的に削除することが好ましい。
【0040】
次に、ユーザの簡易切り替え時におけるOSのメッセージの流れについて説明する。
【0041】
図4は、あるユーザA(あるいはセッションA)から「ようこそ画面」を経て別のユーザB(あるいはセッションB)に切り替わる場合についての説明図であり、図5は、あるユーザAから「ようこそ画面」を経て再びユーザAに切り替わる場合についての説明図である。尚、これらの図において時間経過の方向は上から下向きとする。また、「Welcome Windows」とは「ようこそ画面」を表示するウィンドウである。
【0042】
図中に使用する記号の意味は次の通りである。
【0043】
・「WM_WTSSESSION_CHANGE」=ユーザがユーザ簡易切り替え機能を使用した際、又はOSによってユーザ簡易切り替え機能に関する処理が行われた際に、OSから発行されるメッセージ。
【0044】
アプリケーション側では、OSからこの「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行された場合に、当該メッセージに付加されたパラメータも一緒に取得することができ、それには以下に示すものが挙げられる。
【0045】
・「WTS_SESSION_LOCK」=自分のデスクトップが有効な時に、当該デスクトップをロックして「ようこそ画面」に移行する際に付加されるパラメータ。これが付加されたメッセージが発行された以降、そのデスクトップは使えなくなる。
【0046】
・「WTS_SESSION_UNLOCK」=「ようこそ画面」から他の状態に移行する際に付加されるパラメータ。例えば、他のユーザが「ようこそ画面」に移行してそのデスクトップが有効になった際や、自分自身が「ようこそ画面」から再び自分のデスクトップに戻った場合に本パラメータが付加される。
【0047】
・「WTS_CONSOLE_CONNECT」=自分のデスクトップが有効でない時、他のユーザから「ようこそ画面」を経由し、当該デスクトップが有効になってユーザが命令可能な状態になる際に付加されるパラメータ。これが付加されたメッセージが発行された以降、そのユーザのデスクトップが有効になる。
【0048】
・「WTS_CONSOLE_DISCONNECT」=他のユーザのデスクトップが有効になる際(セッションが非アクティブとなった際)に付加されるパラメータ。これが付加されたメッセージが発行された以降、そのユーザのデスクトップが無効になる。
【0049】
図4や図5において、各ユーザA、Bの状態はアクティブであるか、アクティブでないかのいずれかであり、上下に長い長方形で示す部分がアクティブであることを示し、単線の部分がアクティブでないことを示している。また、アクティブな状態又はアクティブでない状態のいずれの場合でもユーザは常にログオン状態であって、ユーザが起動したアプリケーションが動作し続けているものとする。
【0050】
図4では、最初にユーザAがアクティブであり、当該ユーザがユーザ簡易切り替えの操作を行って(「User A Select User Switch」)から、少し時間をおいて「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行される。このときの付加パラメータが「WTS_SESSION_LOCK」であるため、ユーザAのデスクトップをロックして「ようこそ画面」に移行する。
【0051】
その後、「ようこそ画面」における操作によってユーザBに切り替えられ(「Select User B」)、少し時間をおいて「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行される。このときの付加パラメータが「WTS_CONSOLE_DISCONNECT」であり、ユーザAのデスクトップが無効となる。この時点までユーザAがアクティブである。尚、ユーザBについては未だアクティブではない。
【0052】
尚、前記の説明において、「ユーザがアクティブである」とは、ログオン状態のユーザのデスクトップが画面表示された状態とされたが、図示のように、「ようこそ画面」用ウインドウ(Welcome Windows)が表示された状態及びその非表示時点から「WM_WTSSESSION_CHANGE」(付加パラメータ=「WTS_CONSOLE_DISCONNECT」)の発行時点までがアクティブの範囲(期間)に含まれていることに注意を要する。即ち、このOSにおいて「ユーザがアクティブである」とは上記した状態の他、ユーザ簡易切り替えをしたユーザについては「ようこそ画面」が表示されている間もまだアクティブであって、他のユーザに切り替わった場合にアクティブでなくなることを意味する。あるいは、ユーザ切り替え時の「ようこそ画面」を含めて、あるユーザに係る広義の「デスクトップ」と考えても良い。尚、「ようこそ画面」では、キーボードやマウスを使って、ユーザの選択やパスワードの入力、シャットダウン、スタンバイ、再起動等を行うことができるが、それ以外の命令を出すことはできない。
【0053】
「WM_WTSSESSION_CHANGE」(付加パラメータ=「WTS_CONSOLE_DISCONNECT」)の発行時点以後のあるタイミングで、再び「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行される。つまり、この時、ユーザA(セッションA)については、メッセージの付加パラメータが「WTS_SESSION_UNLOCK」であり、また、ユーザB(セッションB)については、メッセージの付加パラメータが「WTS_CONSOLE_CONNECT」であり、ユーザBのデスクトップが有効になり、これ以後ユーザBがアクティブとなる。
【0054】
図5では、最初からずっとユーザAがアクティブであり、当該ユーザがユーザ簡易切り替えの操作を行って(「User A Select User Switch」)から、少し時間をおいて「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行される。このときの付加パラメータが「WTS_SESSION_LOCK」であるため、ユーザAのデスクトップをロックして「ようこそ画面」に移行する。
【0055】
その後、「ようこそ画面」における操作によってユーザAが選択され(「Select User A」)、少し時間をおいて「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行される。このときの付加パラメータが「WTS_SESSION_UNLOCK」であり、ユーザAは再び自分のデスクトップに戻る。
【0056】
この時点及び当該時点以降もユーザAがアクティブである。
【0057】
尚、この他、ユーザAによるスタンバイ後のレジューム状態を経てから、操作を再開して「ようこそ画面」を経由してユーザ簡易切り替え機能でユーザB(あるいはユーザA)の選択を行う場合等も挙げられるが、基本的な流れについては図4や図5の場合と同様であるのでそれらの説明は省略する。
【0058】
次に、デスクトップ上での表示画面例と各画面間の遷移について図6乃至図23を使って説明する。
【0059】
先ず、図6はメンバーリスト画面18、設定画面19、顔アイコン選択画面20の各画面間での移行関係について示したものである。
【0060】
図7に示すように、メンバーリスト画面18の内枠には、顔アイコンとともにユーザ名、ひとことメッセージ、ログオン状態が表示される。「顔アイコン」については、ユーザが自分の好きな顔図形を選択できるようになっており、後述の顔アイコン選択画面20上で所望のアイコンを選択することができる。尚、各アイコンにはID(識別情報)がそれぞれ割り当てられていて、顔アイコンファイル(IDとアイコンデータファイルのパスとの対応関係を示すファイル)により管理されている。
【0061】
「ユーザ名」とは、コンピュータ上で登録されたユーザを識別するための名前、つまり、ユーザアカウントのことである。
【0062】
また、「ひとことメッセージ」とは、メンバーリスト画面18上に表示されてメンバー全員に対して見せることができるメッセージ情報であり、その有効期限については無期限とされる(期限指定が可能な設定形態でも勿論構わない。)。即ち、各人がメンバーリスト画面を表示させて見ることができる、所謂ショートメッセージ(あるいは簡易メッセージ)としての機能を有する。
【0063】
「ログオン状態」の欄は、各ユーザがログオン状態又はログオフ状態であること、あるいはアクティブであるか又はアクティブでないことを区別して表示するための表示欄である。図示の例では、メンバーリストの最上に位置するユーザがログオン状態であって、かつアクティブであることを示している(つまり、作業中あるいは作業が可能な状態のユーザについては「/アクティブ」が併せて表示される。)。
【0064】
メンバーリスト画面18には、この他に幾つかのボタンオブジェクトが設けられていて(「設定」18a、「全員に送信」18b、「送信」18c、「キャンセル」18d)、そのうちの「設定」ボタン18aをクリックすると、図8に示す設定画面19に移行する。
【0065】
図8に示すように、設定画面19には、ユーザ名、顔アイコン、ひとことメッセージのテキスト入力欄、送信メッセージの有効期限の指令欄が設けられている。
【0066】
ひとことメッセージについては、キーボードを用いた操作入力によりテキストデータとして入力することができる。
【0067】
また、「送信メッセージの有効期限」とは、これから送信しようとするデータの有効期限を示し、日時を、日単位、時間単位で選択又は設定することができる。例えば、メッセージを送信する際に、現在の日時に対して、時間を加算したものを有効期限として指定して、送信メッセージに付加することができる。尚、当該有効期限は、ひとことメッセージの有効期限ではないことに注意する(既述のように、本例では、ひとことメッセージの有効期限を無期限としている。)。
【0068】
顔アイコンの傍には、顔アイコン選択用のボタン(オブジェクト)19aが設けられており、これを押すと、図9に示すような画面(顔アイコン選択画面20)が現れる。
【0069】
図示のように枠内には幾つかの顔アイコンが表示されるので、ユーザは水平スクロールバーを操作して所望の顔アイコンにマウスポインタを置いて選択した後、「OK」ボタン20aを操作すれば良い。その後(あるいは「キャンセル」ボタン20bの操作後)には、図8の設定画面19に戻る。
【0070】
同様にして設定画面19上での操作終了後に、「OK」ボタン19bを操作すれば、設定内容が確定されて図7のメンバーリスト画面18に戻るが、「キャンセル」ボタン19cを操作した場合には、設定内容が変更されずに図8のメンバーリスト画面18に戻る。
【0071】
メンバーリスト画面18において、複数のメンバーの中から特定のメンバーを選んで「送信」ボタン18cをクリックすると、送信画面へと移行する。
【0072】
図10は送信画面21、音声メッセージ添付画面22、ファイル添付画面23、添付ファイルの追加画面24の各画面間での移行関係について示したものである。
【0073】
図11乃至図13は、配信先を特定してメッセージ送信を行う場合における、送信画面例の3態様(送信画面上で、テキストメッセージ、フォトメッセージ、ビデオメッセージをそれぞれに入力又は指定する場合の各態様)を示したものである。尚、各図において共通するのは、送信の宛先(表示欄)と、題名(入力欄)が画面上方に配置されていること及び「送信」ボタン21a、「キャンセル」ボタン21bが画面下方に配置されていることである。
【0074】
先ず、図11は、テキストメッセージのタブを操作して入力用枠が選択された状態を示しており、当該枠内に送信したいテキストメッセージを書き込むこと(入力)ができる。尚、枠の下には、「音声メッセージを添付する」、「ファイルを添付する」という各ボタン(オブジェクト)21c、21dが設けられている。
【0075】
図12は、フォトメッセージのタブを操作して入力用の四角枠が選択された状態を示しており、この枠内にはイメージ表示枠が用意されていて、「撮影」ボタン21eを押すことにより、撮影画像が表示される。例えば、USB(Universal Serial Bus)接続の外部カメラや、機器内蔵のカメラによって撮影された静止画像を取り込むことができる。
【0076】
尚、その下に位置する横長の枠には、テキストメッセージを入力することができるようになっており、例えば、撮影画像を見ながら入力操作を行える。また、さらにその下には、「音声メッセージを添付する」、「ファイルを添付する」の各ボタン(オブジェクト)21c、21dが配置されている。
【0077】
図13は、ビデオメッセージのタブを操作して入力用の四角枠が選択された状態を示しており、この枠内には動画像のイメージ表示枠と、「録画」ボタン21f、「停止」ボタン21g、「再生」ボタン21hの各ボタンオブジェクトと、経過時間の表示用オブジェクト及びタイマー表示部が配置されている。
【0078】
そして、「録画」ボタン21fを押すことにより、撮影した動画像が表示される。例えば、USB接続の外部カメラや、機器内蔵のカメラによって撮影された動画像を取り込むことができる。尚、「停止」ボタン21gは録画又は再生の停止に使用され、「再生」ボタン21hの操作により、録画した動画像を確認することができる。
【0079】
図12の場合と同様に、下方に位置する横長の枠には、テキストメッセージを入力することができるようになっている(例えば、動画像を見ながら入力操作を行える。)が、さらにその下には、「ファイルを添付する」というボタン(オブジェクト)21dだけが配置されている(録画情報には音声信号も含まれるので、「音声メッセージを添付する」ボタンは不要である。)。
【0080】
図11、図12において、「音声メッセージを添付する」ボタン21cを押すと、図14に示す画面(音声メッセージ添付画面22)に移行する。
【0081】
図示のように、「録音」ボタン22c、「停止」ボタン22d、「再生」ボタン22eの各ボタンオブジェクトと、経過時間の表示用オブジェクト及びタイマー表示部が配置されている。図示しない音声入力手段(マイク等)を使って音声メッセージを録音したり、あるいは再生して確認することができる。尚、「OK」ボタン22a(音声メッセ−ジの確定)、「キャンセル」ボタン22b(取り消し)を押すと、送信画面21に戻る。
【0082】
また、図11乃至図13において、「ファイルを添付する」ボタン21dを押すと、図15に示す画面(ファイル添付画面23)に移行する。
【0083】
図示のように枠内には、送信対象となるファイル名とファイルの場所について表示される。尚、「ファイルの場所」とは、ファイルの格納場所(フォルダ等)を示しており、ファイルそのもの(のコピー)が送られるのではなく、当該ファイルが格納されている場所を示す情報が送信されることに注意を要する。
【0084】
「ファイルの追加」ボタン23c、「削除」ボタン23dの各ボタン(オブジェクト)が設けられており、添付ファイルを追加したい場合には前者のボタンを押し、ファイルを削除したときには後者のボタンを押せば良い。
【0085】
図16は「ファイルの追加」ボタン23cを押したときに現れる添付ファイルの追加画面24であり、よく見なれた、ファイル操作用のダイアログ表示とされる。即ち、ファイルの場所を示す指定欄、フォルダやディレクトリのツリー表示欄、ファイル名の指定若しくは入力欄、ファイルの種類を選択若しくは指定欄が配置されている。そして、所望のファイルを選んで、「OK」ボタン24aの操作で確定させれば、図15の画面23に戻り、当該ファイル名及びファイルの場所が枠内に表示される。尚、「キャンセル」ボタン24bを押せば、ファイル選択なしに画面23に戻る。
【0086】
図15において、全てのファイル指定が終了した後で、「OK」ボタン23aを押すか、又は「キャンセル」ボタン23bを押せば、送信画面21に戻ることができるので、ここで「送信」ボタン21aを押せば、各種情報の配信が行われる。
【0087】
尚、図7のメンバーリスト画面18において、「全員に送信」ボタン18bを押せば、配信先を特定することなく、メンバー全員に対する情報の配信が可能であるが、基本的な操作については、図11乃至図16と同様であるので、詳細な説明は省略する(あるいは、これらの図で宛先欄を「全員」とした場合であると考えても良い。)。
【0088】
以上のように、送信メッセージについては、テキストデータに限らず、音声データや、静止画像、動画像のデータを送ることができる。
【0089】
メッセージの受信時においては、図17に示すように、受信確認画面25からメッセージリスト画面26又はメッセージ表示画面27に移行するとともに、メッセージリスト画面26、メッセージ表示画面27、添付ファイルを開く画面28の各画面間での移行が行われる。
【0090】
先ず、図18に示すように、受信確認画面25では、新しいメッセージが来ていること及びその件数が通知される。即ち、この画面は、ログオン時や、ユーザ簡易切替時に新着のメッセージが存在する場合に表示される。そして、「OK」ボタン25aを押すと受信確認画面の表示が消え、例えば、メッセージ件数が2件以上の場合には図19に示すメッセージリスト画面26に移行し、メッセージ件数が1件の場合には図20、図22、図23に示すメッセージ表示画面27に移行する。尚、このように件数に応じて画面の移行先を変更せずに、メッセージリスト画面を必ず経由してメッセージ表示画面に移行させるといった、各種の形態が可能である。
【0091】
図19はメッセージリスト画面26の表示例を示しており、枠内には差出人、題名、送信日時、宛先、有効期限の各欄が設けられている。そして、各メッセージの閲覧状況については、「手紙」のアイコンによって開封状態又は未開封状態が図示されている。
【0092】
「差出人」とはメッセージを出したユーザのユーザ名、「題名」とは、上記した送信画面21上で入力したタイトルデータである。また、有効期限とは、メッセージの保管期限であり、上記した設定画面19で指定された期限に相当する。尚、有効期限の表示形態については、「○月×日△時」という具合に絶対期限で表示する形態と、あと「○日△時間」という具合に相対期限で表示する形態が挙げられ、実施上では、その一方を使用するか、又は両方を使用する形態、あるいはユーザが表示形態を自由に選択できるようにする形態がある。
【0093】
所望の送信メッセージを選んでから、枠下の「開く」ボタン26aを押すと、図20に示す画面(メッセージ表示画面27)に移行する。
【0094】
図20はテキストメッセージを受信した場合のダイアログ表示例を示しており、タイトルバーには、誰からのメッセージであるかが一目で分かるように表示される。
【0095】
そして、題名の下には、差出人及び送信日時の表示がなされ、当該差出人の顔アイコンの横には、テキストメッセージの表示欄(テキストボックス)が、吹き出しの形式で配置されている。上記した音声メッセージが添付されている場合に、さらにその下方に、「再生」ボタン27a、「停止」ボタン27bの各ボタン(オブジェクト)が表示されるようになっているので、これらを操作して音声メッセージを聞くことができる。
【0096】
尚、テキストメッセージを表示するテキストボックスについては、その高さや枠線がテキスト量に従って増減するようになっており、また、ボックスの横幅等をマウスによるドラッグ操作で変更できるようになっている。
【0097】
「添付ファイルが5個あります」と表示されたボタン27cを押すと、図21に示す画面(添付ファイルを開く画面28)へと移行する。
【0098】
この画面は、既に説明した図15の画面23(ファイルを添付する)とほぼ同じであるが、「開く」ボタン28a、「保存」ボタン28bの各ボタンオブジェクトが設けられている点で異なる。つまり、図示のように枠内には、ファイル名とファイルの場所について表示されるので、所望のファイルを選択してから「開く」ボタン28aを押せば、当該ファイルに対して関連付けられているアプリケーションプログラムにより、又はユーザの指定したアプリケーションプログラムによってファイルを開けてみることができる。また、「保存」ボタン28bを押すことで、図16と同様にファイル操作用のダイヤログ表示画面が現れるので、所望のファイル名及びファイルの格納場所を指定して保存することができる。
【0099】
そして、「OK」ボタン28cや「キャンセル」ボタン28dの操作により、再び、図20のメッセージ表示画面27に戻る。
【0100】
受信したテキストメッセージについては、当該メッセージを引用して送信者に返信することができるようになっており、そのために、メッセージ表示画面27には、引用のためのチェックボックス27dと、「返信」ボタン27eが用意されている。尚、「返信」ボタン27eを押すと、返信用画面に移行してメッセージ送信を行うことができるが、基本的には前記した送信画面21と同様であるので、それ以上の説明は省略する。また、「キャンセル」ボタン27fを押すと、図19のメッセージリスト画面26に戻る。
【0101】
図22はテキストメッセージの他、前記したフォトメッセージを受信した場合のダイアログ表示例を示している。
【0102】
図20に示す画面との相違点は、顔アイコンの上に静止画像の表示枠が設けられていること及びその右横に「保存」ボタン27gが配置されていることである。尚、この「保存」ボタン27gを押すことにより、送られてきた写真等をイメージデータとして自分のフォルダ(ユーザ毎に用意されている格納場所)に保存することができる。
【0103】
図23はテキストメッセージの他、前記したビデオメッセージを受信した場合のダイアログ表示例を示している。
【0104】
図20に示す画面との相違点は、顔アイコンの上に動画像の表示枠が設けられていること及びその右横には、経過時間の表示用オブジェクト及びタイマー表示部と、「停止」ボタン27h、「再生」ボタン27i、「保存」ボタン27jの各ボタン(オブジェクト)が配置されていることである。つまり、「再生」ボタン27iを押すことで、動画像の再生が可能であり、また、「保存」ボタン27jを押すことにより、送られてきた動画像を自分のフォルダ(ユーザ毎に用意されている格納場所)に保存することができる。
【0105】
図24乃至図35は、本発明の内容をアプリケーションプログラムに実装した場合について処理例を示すものである。
【0106】
図24乃至図26は、ユーザによるアプリケーションの初回起動時及びユーザの簡易切り替え時の処理例を主に示すフローチャート図である。
【0107】
尚、ユーザの簡易切り替えの検出に関する判断処理については、OSからのメッセージ通信を利用してユーザの簡易切り替え時に、受信メッセージをユーザに通知する形態(メッセージ駆動方式)と、一定時間毎にユーザがアクティブかどうかを調べて、ユーザがアクティブになった場合に当該ユーザに受信メッセージを通知する形態(タイマー駆動方式)等が挙げられる。
【0108】
本例では、メッセージ駆動方式の形態についての処理例を取り上げて、図24乃至図35に示すフローチャート図に従って説明する。尚、あるユーザ(ユーザA)を中心とする処理について示していることに注意を要する。
【0109】
ユーザの簡易切り替え時の処理については、前記した4つの場合(「WM_WTSSESSION_CHANGE」に付加される4つのパラメータ)を利用して、以下に示すアルゴリズムに従って処理を行っている。
【0110】
(1)アプリケーションがOSに対して、ユーザの簡易切り替え時に発生するメッセージを通知して欲しい旨を登録する
(2)ユーザの簡易切り替え時にOSから発行されるメッセージをアプリケーションが受け取る
(3)(2)のメッセージに基いてユーザがアクティブであるか否かを確認する
(4)ユーザがアクティブであるか否かに応じて、下記に示す処理を行う。
【0111】
(4−1)ユーザがアクティブになった場合(アプリケーションの初回起動時を含む。)には、新着メッセージの存在通知、あるいは当該通知及び受信処理を行うこと
(4−2)ユーザがアクティブでなくなる場合(但し、ログオン状態である。)には、その日時情報をレジストリに保存すること。
【0112】
尚、ユーザがアクティブであるかどうかの判断においては、以下に示す2つの条件を設定する。
【0113】
先ず、ようこそ画面に移行する場合の条件(以下、これを「条件A」という。)は、上記「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行されたときの付加パラメータが「WTS_SESSION_LOCK」の場合(図4、図5参照)である。
【0114】
条件A: WM_WTSSESSION_CHANGE wParam = WTS_SESSION_LOCK
尚、ここで、「wParam」は付加パラメータを意味する。上記条件が満たされる場合に真(True)であり、満たされないとき偽(False)である。
【0115】
前記したように「WTS_SESSION_LOCK」の場合には、デスクトップをロックして、ようこそ画面に移行し、上記条件Aが真の場合に日時情報をレジストリに残す。
【0116】
また、ユーザがアクティブになる場合の条件(以下、これを「条件B」という。)については、初回起動時又はようこそ画面から移行してきた場合である。後者については、図4に示すようにユーザAから「ようこそ画面」を経てユーザBに切り替わる場合(「WM_WTSSESSION_CHANGE」の付加パラメータが「WTS_CONSOLE_CONNECT」である。)と、図5に示すようにユーザAから「ようこそ画面」を経てユーザAに戻る場合である。
【0117】
具体的には、下記の通りである。
【0118】
条件B:
(初回起動時)
OR (WM_WTSSESSION_CHANGE wParam = WTS_CONSOLE_CONNECT)
OR [(WM_WTSSESSION_CHANGE wParam = WTS_SESSION_UNLOCK) AND
(関数「WTSQuerySessionInformation()」を呼んで「WTSActive」を得たこと)]
尚、「OR」は論理演算子「||」と同義であって「又は」を意味し、「AND」は論理演算子「&&」と同義であって「かつ」を意味する。また、関数「WTSQuerySessionInformation()」はWin32API(Application Program Interface)で提供されている関数であり、当該関数を呼んで取得した値が「 WTSActive」である場合に、ユーザがアクティブであることを示す。
【0119】
条件Bを構成する2番目の式が、図4の場合に対応し(ユーザAとBの立場を入れ替える)、3番目の式が図5の場合に対応している。尚、後者では、「WM_WTSSESSION_CHANGE wParam = WTS_SESSION_UNLOCK」だけでは不充分であり、ようこそ画面から戻ったときにユーザAがアクティブであることを確認する必要がある。
【0120】
尚、「wParam」は付加パラメータを意味し、また、上記条件Bが満たされる場合に真(True)であり、また、条件Bが満たされないとき偽(False)である。
【0121】
また、以下の説明において使用する「メッセージファイル」は、共有フォルダに置かれるものであり、例えば、以下に示すデータを含むものとする。
【0122】
・メッセージファイルのバージョン
・差出人名
・宛先人名
・送信日時
・有効期限(日時を含む。)
・メッセージの題名
・テキストメッセージ
・付加メッセージのパス名
・添付ファイルのパス名。
【0123】
尚、差出人名や宛先人名については、ユーザーアカウント(あるいはその別名等)を用いることができ、また、付加メッセージには、前記音声メッセージやフォトメッセージ、ビデオメッセージが含まれ、それらのファイルの拡張子によって判断することができる。本例ではテキストメッセージの情報量が少ないものとして、当該メッセージをメッセージファイル内に含めているが、長文メッセージについてはその情報量を考慮して、付加メッセージや添付ファイルと同様にパス名を受け渡すようにしても良い。つまり、データファイルそのものではなく、ファイルの場所を送り合うことを基本としている。
【0124】
上記データはあくまで例示であって、例えば、有効期限を無限大又は無期限に設定できるようにするとともに、既読ユーザ(あるいは閲覧済みのユーザ)の書き込み欄(フィールド)を設けても良い。つまり、ユーザがメッセージを読んだ場合に自分のユーザアカウントをメッセージファイルの既読ユーザとして書き込めるようにしておくと、既読ユーザのリストと、宛先ユーザのリスト(つまり、宛先人が複数の場合)とを照合して両者が一致した場合(予定された宛先人の全てがメッセージを読み終えた場合)に、メッセージファイルを削除する処理を行えるので、メッセージ配信者の意図したユーザ全てがそのメッセージを読み終えるまで当該メッセージを残しておくことが可能になる。又は、ある一定の既読ユーザに達した場合(例えば、既読ユーザの数が、予め設定した人数や割合等に到達した場合等)にメッセージファイルを削除する処理等を行うことができる。
【0125】
管理用の情報としては、下記に示すファイルを用いる。
【0126】
・「顔アイコンファイル」<=顔アイコンID、アイコンファイルのパス名
・「ユーザ設定ファイル」<=ユーザアカウント、ひとことメッセージ、顔アイコンID、送信メッセージの有効期限
・「メッセージリストファイル」<=メッセージファイルのパス名、有効期限、送信時刻、送信者、宛先、題名、閲覧状況(開封又は未開封)。
【0127】
尚、「<=」はその右側に記した項目についてテーブルデータを含んでいることを示している。例えば、「顔アイコンファイル」は、顔アイコンの図形データの管理に必要とされ(図9等を参照)、また、「ユーザ設定ファイル」や「メッセージリストファイル」については、ユーザ毎に1つずつ用意されることで、各ユーザに関連した情報の管理や、メッセージリストの管理に必要とされるものである。
【0128】
尚、これらのファイルやメッセージファイルについては、任意のユーザによって容易に書き換えられないようにしておくことが望ましい。
【0129】
以上の内容を踏まえて図24乃至図26について説明すると、先ず、図24のステップS1でユーザAがアプリケーションを起動した後、次ステップS2では、タスクトレイアイコンを表示する(タスク選択用アイコンの画面表示)。尚、「タスクトレイアイコン」とは、デスクトップの端に表示されるアプリケーションが常駐状態であることを表すアイコン(つまり、アプリケーションが動作していることを表すアイコン)である。
【0130】
そして、次ステップS3では、ユーザ簡易切り替えが行われたときにアプリケーションに対してOSからメッセージ(WM_WTSSESSION_CHANGE)を送るように登録処理を行う。
【0131】
ステップS4に進み、新着メッセージの存否を調べて、当該メッセージがある場合には、その通知及び受信処理を行う(処理の詳細については、図29乃至図31に関する後の説明で行う。)。
【0132】
次ステップS5では、ユーザ切り替えの如何について判断する。つまり、OSからユーザ簡易切り替えが行われることを通知するメッセージが送られて来たか否かを判断する。具体的には、メッセージ「WM_WTSSESSION_CHANGE」が発行され、当該メッセージの通知を受けたときに、図25のステップS6に進み、当該メッセージの通知がない場合には図26のステップS12に進む。
【0133】
図25のステップS6では、「ようこそ画面」に移行する旨のメッセージであるか否かを判断する。つまり、上記した条件Aに適合するかどうかを判断し、条件適合時にはステップS7に進むが、条件不適合時にはステップS9に進む。
【0134】
ステップS7では描画処理等を一時停止した後、ステップS8に進み、現在時刻(日付を含む)を保存する。例えば、現在時刻「y/m/d aa:bb:cc」を変数「old Time」の値として(old Time=y/m/d aa:bb:cc)、レジストリに保存する。そして、図26のステップS12に進む。
【0135】
図25のステップS9では、「ようこそ画面」からユーザAへ移行してきた旨のメッセージであるか否かを判断する。つまり、上記した条件B(但し、初回起動時は除かれる。これは図24のステップS4で対応済みであるため。)に適合するかどうかを判断し、条件適合時にはステップS10に進むが、条件不適合時には図26のステップS12に進む。
【0136】
ステップS10では、それまで一時停止されていた描画処理等を再開した後、次ステップS11では、前記ステップS4と同じ処理を行う(新着メッセージの受信処理)。そして、図26のステップS12に進む。
【0137】
図26のステップS12では、ユーザによってタスクトレイアイコンにあるメニューのうち、メッセージの送信が選択されたか否かを判断し、選択時にはステップS13に進んで、メッセージの送信処理を行う(その詳細については、図27、図28において説明する。)が、送信を選択しないときには、ステップS14に進む。
【0138】
ステップS14では、ユーザによってタスクトレイアイコンにあるメニューのうち、受信メッセージの表示が選択されたか否かを判断し、選択時にはステップS15に進んで、受信したメッセージの表示処理を行う(その詳細については、図32乃至図34において説明する。)が、それを選択しないときには、ステップS16に進む。
【0139】
ステップS16では、ユーザによってタスクトレイアイコンにあるメニューのうち、終了が選択されたか否か、又はアプリケーションを強制的に終了させる操作が行われたか否かについて判断し、終了の場合には、ステップS17に進み、ここで、上記ステップS8と同じ処理、つまり、現在時刻(日付を含む。)を「old Time」としてレジストリに保存する。そして、ステップS18に進んで、アプリケーションの終了処理を行って上記した一連の処理を終える。
【0140】
また、ステップS16で終了の操作が行われない場合には、図24のステップS5に戻る。
【0141】
図27、図28は、メッセージの送信処理例を示すものであり、上記した図26のステップS13において行われる。
【0142】
先ず、図27のステップS20では、ひとことメッセージを読み出す。当該メッセージは、ユーザ設定ファイルに記録されているので、当該ファイルをロードして該当するメッセージデータを抽出する。
【0143】
そして、次ステップS21では、現在のユーザについての状態、即ち、ログオン、ログオフ、アクティブ、非アクティブ(「アクティブでない」と同義)の如何を、関数呼び出し等の方法で取得した後、ステップS22に進み、図7に示すようなメンバーリスト画面18を表示する。
【0144】
それから、次ステップS23では、マウスポインタによる指定でユーザ(つまり、送信相手)が選択されるとともに、「送信」ボタン18cが押されたかどうかを判断し、当該ボタンが押された場合には、図28のステップS24に進むが、押されていない場合にはステップS34に進む。
【0145】
図28のステップS24では、図11乃至図13に示したような送信画面21を表示し、次ステップS25では、テキストメッセージの書き込みや、必要に応じて音声メッセージ、フォトメッセージ、ビデオメッセージがユーザの指示や操作に従って付加され、あるいは添付ファイルの指定や設定等が行われる。そして、次ステップS26では、「キャンセル」ボタン21bが押されたか否かを判断して、当該ボタンが押された場合には、図27のステップS34に進むが、当該ボタンが押されていない場合には、ステップS27に進む。
【0146】
ステップS27では、「送信」ボタン21aが押されたか否かを判断して、当該ボタンが押された場合には、ステップS28に進むが、当該ボタンが押されていない場合には、ステップS24に戻る。
【0147】
ステップS28では、共有フォルダ(メッセージファイルの格納場所)の検索を行い、次ステップS29でメッセージファイルを作成する。尚、当該メッセージファイルのファイル名については重複しないように、例えば、「MsgXXXXX」(但し、「XXXXX」は数字部分を示す。)のような形式にして、メッセージファイルの作成時(ファイルクリエイト時)に数字部分が自動的にインクリメントされるようにする(Msg00001、Msg00002、Msg00003、…)。このようにファイル名については、そのベース部又は拡張子について数字を含むようにすれば、その部分について機械的な割り当てが可能になり、数字部分の最大数内においてユニークな名前を付けることができる。
【0148】
ステップS30では、同じファイル名をもつものが存在するか否かをチェックし、存在しない場合にはステップS31に進むが、同じ名前があれば、別の名前を付与する必要があるので、ステップS28に戻る。
【0149】
ステップS31では、メッセージファイルに有効期限を書き込む。例えば、図8の設定画面19において指定される有効期限のデータは、ユーザ設定ファイルに記録されているので、当該データを参照してメッセージファイルに有効期限を書き込む。例えば、有効期限の指定が絶対時間で行われる場合にはデータをそのまま使えば良いので処理は楽になるが、ユーザの立場からは、送信の操作を行う度に設定画面19上で現在の日付を起点とする有効期限の算出及び指定を行う必要があり、面倒である。そこで、有効期限の指定を相対時間で行えるようにすると、有効期限として指定された期間(日数や時間)を現在の日時に加えた日付計算の結果を有効期限として利用できるので便利である(現在の日時からの指定期間又は時間として設定できる。)。例えば、有効期限(あるいは期間)として「X日」を指定した場合には、現在の日付から起算されるX日後が期限とされ、当該期限を示すデータがメッセージファイルに書き込まれる。
【0150】
そして、次ステップS32に進むと、ここで必要なデータをメッセージファイルに書き込む。「必要なデータ」とは、メッセージファイルに含まれる、上記したデータ(メッセージファイルのバージョン、差出人名、宛先人名、送信日時、メッセージの題名、テキストメッセージ、付加メッセージのパス名、添付ファイルのパス名)である。
【0151】
それから次ステップS33で送信ダイアログを閉じてから(送信画面を消す。)、図27のステップS34に進み、図7のメンバーリスト画面18において「設定」ボタン18aが押されたかどうかを判断する。当該ボタンが押された場合には、ステップS35に進み、図8に示す設定画面19を表示させ、次ステップS36で各種設定の処理(顔アイコン選択、ひとことメッセージ入力、送信メッセージの有効期限設定)が行われる。
【0152】
ステップS34において、「設定」ボタン18aが押されない場合、あるいはステップS36の後には、ステップS37に進み、ここで図7のメンバーリスト画面18についてダイアログが閉じられたか否かを判断し、閉じられたならば、上記一連の作業を終了するが、閉じられなければステップS23に戻る。
【0153】
図29乃至図31は、図24のステップS4、図25のS11における新着メッセージの処理例について説明するためのフローチャート図である。
【0154】
先ず、ステップS40では、保存しておいた日時情報をレジストリから読み込む。つまり、前回の終了時刻を読み込むが、「old Time」には上記のように、ユーザ簡易切り替え時、あるいはアプリケーションの終了時における時刻情報(日付を含む)が記録される他、ログオフ時やコンピュータの終了時の時刻情報が記録されている。尚、「old Time」の値がない場合には、予め決められた基準時刻(例えば、「1970/01/01 00:00:00」)を代入する。
【0155】
そして、次ステップS41では、新着メッセージのカウント用に用意された変数「newMsgCount」の値をゼロに初期化した後、ステップS42に進んで、新着メッセージを検索する。
【0156】
次ステップS43で、新着メッセージについて検索中である旨をユーザに表示(ダイアログ表示等。)し、ステップS44に進んでメッセージファイルがあるか否かを判断する。そして、メッセージファイルがある場合には図30のステップS45に進むが、当該ファイルがない場合にはステップS56に進む。
【0157】
図30のステップS45では、現在の日時と、メッセージの有効期限とを比較し、期限切れのファイルであるか否かを判断する。そして、現在の日時よりも有効期限の方が時間的に前の時点である場合にはステップS46に進むが、有効期限の方が現在の日時よりも時間的に後の時点である場合にはステップS49に進む。
【0158】
ステップS46では、音声や静止画、動画のデータが付加されたメッセージであるかどうかを判断する。つまり、音声メッセージ、フォトメッセージ、ビデオメッセージが送信メッセージとして付加されているか否かについて判断し、付加されている場合にはステップS47に進んで当該付加されたメッセージを削除し(ファイルの削除ではない)、ステップS48に進む。また、これらのメッセージが付加されていない場合には、直接ステップS48に進む。
【0159】
ステップS48では、有効期限が過ぎているファイル(メッセージファイル)を削除した後、ステップS49に進む。
【0160】
ステップS49において、自分宛ての新着メッセージがあるかどうかを判断する。つまり、メッセージファイルの内容から、「old Time」の時刻情報よりも送信日時が時間的に後であって、かつ宛先に自分のユーザアカウントが含まれているファイルであることが判明した場合には、ステップS50に進むが、そうでない場合にはステップS52に進む。
【0161】
ステップS50では、自分宛ての新着メッセージとしてカウントするために、変数「newMsgCount」をインクリメントする(1を加算する)。そして、次ステップS51に進み、メッセージリストファイルに必要事項(メッセージファイルのパス名、有効期限、送信時刻、送信者、題名)を書き込んでリストとして登録する。それから、ステップS52に進む。
【0162】
ステップS52において、共有フォルダ内にある全てのメッセージファイルについて検索を終えたか否かについては判断し、検索終了時には図31のステップS53に進むが、未終了時にはステップS45に戻って、上記の処理を繰り返す。
【0163】
図31のステップS53では新着メッセージが1件以上あるかどうかを「newMsgCount」の値から判断し、1件以上の場合はステップS54に進んで、図18に示す画面例のように、新着メッセージの存在とその件数を通知する(つまり、新着メッセージが「newMsgCount」件あることをダイアログ表示する。)。それからステップS55に進み、受信したメッセージの表示処理(その詳細については図32乃至図34において説明する。)を行った後で一連の処理を終了する。また、新着メッセージが1件もない場合には図29のステップS56に進む。
【0164】
ステップS44や図31のステップS53からステップS56に到達すると、新着メッセージ検索中の旨の表示を消してから、一連の処理を終了する。
【0165】
図32乃至図34は、受信したメッセージの表示処理例について示すフローチャート図であり、上記した図26のステップS15や、図31のステップS55において行われる。
【0166】
先ず、ステップS60において、メッセージリストファイルをロードして読み込んだ後、次ステップS61では、メッセージリストファイル内にリスト登録されたメッセージがあるかどうかを調べる。そして、登録されたメッセージがある場合には、ステップS62に進むが、当該メッセージがない場合には処理を終了する。
【0167】
ステップS62では、メッセージリストを表示する。即ち、図19に示すようなメッセージリスト画面26をダイアログ表示する。そして、図33のステップS63に進む。ここでは、メッセージリストファイル内の登録済みメッセージのリストについて有効期限を示すデータを確認した後、ステップS64に進み、当該有効期限が、現在の日時よりも古いかどうかを判断する。有効期限が現在の日時よりも時間的に前の時点であれば、ステップS65に進むが、そうでない場合には、ステップS68に進む。
【0168】
ステップS65では、音声や静止画、動画のデータが付加されたメッセージであるかどうかを判断する。つまり、音声メッセージ、フォトメッセージ、ビデオメッセージが送信メッセージとして付加されているか否かについて判断し、付加されている場合にはステップS66に進んで当該付加されたメッセージを削除し(ファイルの削除ではない)、ステップS67に進む。また、これらのメッセージが付加されていない場合には、直接ステップS67に進む。
【0169】
ステップS67では有効期限が過ぎたメッセージファイルを削除するとともに、当該ファイルに関してメッセージリストファイルに登録されているデータを削除する。そして、ステップS68に進み、登録済みリストの全てについて有効期限に係る検索を終えたか否かを判断し、終了時には図34のステップS69に進むが、未終了時にはステップS63に戻って上記の処理を繰り返す。
【0170】
図34のステップS69においては、メッセージリストファイルのリストのうちから、ユーザにより選択指定されたものがあるか否かについて判断する。つまり、図19のメッセージリスト画面26上でマウス操作によりユーザが選択したリスト(メッセージファイルに関する表示情報)について、「開く」ボタン26aを押したかどうかを判断し、当該ボタンが押された場合にはステップS70に進んで、指定されたメッセージファイルを開くが、当該ボタンが押されていない場合にはステップS73に進む。
【0171】
S70に続くステップS71では、受信メッセージのダイアログを開く処理(その詳細は、図35において説明する。)を行った後、次ステップS72に進んで、メッセージファイルを開封した旨の記録をメッセージリストファイルに残す。つまり、メッセージリストファイル内には、上記したように開封又は未開封の如何を示すデータが含まれており、例えば、当該データをフラグ値とし、論理値「1」の場合を「開封」とし、「1」以外の値を「未開封」と予め定義しておくと、開封の痕跡をフラグ値「1」で書き込むことにより残すことができる(その結果は、図19に示した「手紙」図形の違いとして視覚的に反映される。)。
【0172】
その後、ステップS73に進んで、受信メッセージのダイアログを閉じる操作がユーザによって行われたかどうかを判断する。即ち、図20、図22、図23の画面例において、右上の「×」部分がマウスクリックされた場合にステップS74に進み、当該ダイアログ表示を消した後、一連の作業が終了するが、そのような操作を行わない場合にはステップS69に戻る。
【0173】
図35は、受信メッセージのダイアログを開く処理例を示すフローチャート図であり、上記した図34のステップS71において行われる。
【0174】
先ず、ステップS80において、動画が付加されたメッセージであるか否かを判断する。これは、メッセージファイル内に記述された付加メッセージのパス名及びその拡張子から判断することができ、動画が付加されている場合には、ステップS81に進むが、そうでない場合にはステップS82に進む。
【0175】
ステップS82では、静止画が付加されたメッセージであるか否かを判断する。これは、メッセージファイル内に記述された付加メッセージのパス名及びその拡張子から判断することができ、静止画が付加されている場合には、ステップS83に進むが、そうでない場合にはステップS84に進む。
【0176】
ステップS81では、図23に示したような動画付きメッセージ受信用のダイアログ表示を行った後、ステップS87に進む。
【0177】
また、ステップS83では、図22に示したような静止画付きメッセージ受信用のダイアログ表示を行った後、ステップS85に進み、音声メッセージが付加されたメッセージである否かを判断する。そして、音声メッセージが付加されている場合には、ステップS86に進んで音声メッセージのための「再生」ボタン27a、「停止」ボタン27b(図20、図22参照)を表示させてからステップS87に進むが、音声メッセージが付加されていない場合には、それらのボタンを表示させることなくステップS87に進む。
【0178】
ステップS84では、図20に示したようなテキストメッセージ受信用のダイアログ表示を行った後、ステップS85に進む。
【0179】
ステップS87では、各ダイアログについて共通した処理及び各ダイアログに固有の処理について定義済み処理として行う。例えば、共通した処理とは、図20、図22、図23の画面例では、題名、テキストメッセージの表示、「返信」ボタン等を押した場合の処理であり、また、固有の処理とは、例えば、図22の画面例における静止画の保存処理や、図23の画面例における動画の再生や保存処理等である。尚、音声メッセージの再生処理については、テキストメッセージや静止画付きメッセージの受信用ダイアログにおいて共通した処理である。
【0180】
以上に説明した、OSとアプリケーション(プログラム)との間のメッセージ通信を利用した形態では、アプリケーションがOSに対して、ユーザの簡易切り替え時に発生するメッセ−ジを通知してもらえるよう、予め登録を行っておいて、その後、ユーザの簡易切り替え機能に係る処理が行われた場合にOSから発行されるメッセージ及び付加パラメータを受け取り、ユーザがアクティブであるかどうかを確認する。よって、メッセージに基いて上記条件A、Bについての判断が必要となるが、ユーザ簡易切り替え時にユーザがアクティブかどうかの判断を行えば良いので、オーバーヘッドが少ないという利点がある。
【0181】
尚、図示は省略するが、タイマー駆動方式を採用する場合には、設定された時間が経過する度に、ユーザがアクティブか否かを関数呼び出し(Win32APIで提供される関数「WTSQuerySessionInformation()」等)によって調べて、これをフラグ(ユーザアクティブフラグ)に記録しておく(例えば、アクティブのときにフラグ値を”1”に設定し、アクティブでないときにフラグ値を”0”に設定する。)。その後にユーザがアクティブか否かを調べたときに、フラグ値の示す状態と違っている場合には、その状態変化に応じて前記(4−1)又は(4−2)に説明した処理を行えば良い。従って、ユーザ切り替え時に発行されるメッセージを用いることなく、ユーザがアクティブであるか否かの判断を定期的に行うことができる。
【0182】
しかして、以上の説明した構成によれば、下記に示す利点が得られる。
【0183】
・送信するメッセージがローカルコンピュータ内に置かれるので、ユーザ簡易切り替えが起きたときに、メッセージの情報量が多い場合でも素早く表示することができ、ユーザ間でやりとりされるメッセージのブラウザ機能を実現できる。
【0184】
・コンピュータ上でユーザ間の伝言板としての機能を実現できるので、ユーザにとって使い易く、しかも、テキスト情報に限らず、音声や静止画、動画の情報をも相手に伝えることができる。
【0185】
・ネットワークを使わなくともデータの受け渡しができるので、通信コストがかからず、通信時間が短時間で済む(待ち時間が殆どかからない。)、そして、セキュリティ面では、ネットワークを介在した第三者の不正行為から保護される。
【0186】
・電子メールの場合には、宛先が複数人の場合に、同じメッセージであってもユーザ毎にデータを持つことになるので、各データファイルの保存用スペースが必要となり補助記憶媒体の利用面で無駄がある。これに対して、上記のように送信されたメッセージファイルを共有フォルダに保存することで、電子メールを使う場合に比して記憶域の容量を節約することができる。
【0187】
・メッセージの有効期限を定めることによって、当該期限を過ぎたメッセージについては自動的に削除されるので、ユーザが閲覧済みのメッセージを手作業でいちいち削除する必要がなくなる。
【0188】
・メッセージの有効期限について、メッセージ単位で設定できるようにすることで、多くの人にメッセージを読んでもらいたい場合には有効期限を長めに設定し、また、簡易な内容、あるいは会話程度や一過性のメッセージ等については、有効期限を短く設定することができるので、自由度が高く、使い易い。
【0189】
・メッセージの有効期限を、無限大(あるいは無期限)に設定できるようにし、当該メッセージを読んだ既読ユーザを全て確認した上でメッセージファイルを削除する処理を行うと、メッセージファイルが予定したユーザに届けられるまで当該ファイルを残しておくことができる。
【0190】
・ファイルを介してメッセージを送り合うのではなく、OSの機能として提供されているメモリ上でのデータの受け渡しを行うことにより、処理時間が速くなり、ユーザが直ちにメッセージを見ることができる。特に、情報量の少ないメッセージ(テキストメッセージや静止画等)の場合に有効である。
【0191】
尚、本発明は、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置やこれに用いるプログラムに限らず、上記に説明したユーザ間のメッセージ通信機能を備えたアプリケーションを記録した情報記録媒体(当該記録媒体を機器に装着してプログラムをメモリロードできるようにした各種の媒体)や、ローカル機器上でのユーザ間のメッセージ通信方法であって、上記のメッセージファイルを用いて、音声情報や画像情報を含むファイルの格納場所をユーザ間で通知し合う方法などに関するものである。
【0192】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項5に係る発明によれば、ネットワーク接続を利用することなく、ローカル機器内で音声や画像情報をユーザ間で伝達し合うことができるとともに、メッセージファイルを使ってデータファイルの格納場所を相手に知らせるだけで済むので、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0193】
請求項2や請求項6に係る発明によれば、メッセージファイルを共有フォルダに置くことで、電子メールを使うよりも記憶域の容量が少なく済み、また、メッセージの管理及び処理が簡単である。
【0194】
請求項3や請求項7に係る発明によれば、ユーザの簡易切り替えが行われた時に、当該ユーザに対して送信メッセージが来ていることを直ちに通知することができ、便利である(例えば、受信の遅滞を防止できる等)。
【0195】
請求項4や請求項8に係る発明によれば、有効期限が切れたメッセージファイルが放置されることに起因する弊害が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】メッセージファイルの共有フォルダへの保存について説明するための図である。
【図3】ユーザ簡易切り替え時におけるメッセージの受信通知について説明するための図である。
【図4】ユーザAからユーザBへの切り替わりについて説明するための図である。
【図5】ユーザAから、ようこそ画面を経てユーザAに切り替わる場合について説明するための図である。
【図6】画面間の遷移を示す説明図である。
【図7】メンバーリスト画面例を示す図である。
【図8】設定画面例を示す図である。
【図9】顔アイコン選択画面例を示す図である。
【図10】画面間の遷移を示す説明図である。
【図11】テキストメッセージの送信画面例を示す図である。
【図12】フォトメッセージの送信画面例を示す図である。
【図13】ビデオメッセージの送信画面例を示す図である。
【図14】音声メッセージの添付画面例を示す図である。
【図15】ファイル添付の画面例を示す図である。
【図16】添付ファイルの追加画面例を示す図である。
【図17】画面間の遷移を示す説明図である。
【図18】受信確認画面例を示す図である。
【図19】メッセージリスト画面例を示す図である。
【図20】メッセージ表示画面例を示す図である。
【図21】添付ファイルを開く画面例を示す図である。
【図22】フォトメッセージを含む表示画面例を示す図である。
【図23】ビデオメッセージを含む表示画面例を示す図である。
【図24】図25、図26とともに全体的な処理例について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の始り部分を示す。
【図25】処理の中盤部を示す図である。
【図26】処理の終盤部を示す図である。
【図27】図28とともにメッセージ送信処理例について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の始り及び終わりの部分を示す。
【図28】処理の途中部分を示す図である。
【図29】図30、図31とともに新着メッセージの受信処理例について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の始り及び終わりの部分を示す。
【図30】処理の途中部分を示す図である。
【図31】処理の一部分を示す図である。
【図32】図33、図34とともに受信メッセージの表示処理例について説明するためのフローチャート図であり、本図は処理の始り部分を示す。
【図33】処理の途中部分を示す図である。
【図34】処理の終り部分を示す図である。
【図35】受信ダイアログを開くときの処理例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1…ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置、mf1、mf2、mf3…メッセージファイル、S…共有フォルダ
Claims (8)
- マルチユーザ機能又は現在のユーザのアプリケーションを終了させることなく他のユーザに切り替える、ユーザの簡易切り替え機能を有するオペレーティングシステムが搭載されるとともに、ネットワークへの接続を必要とせずに、ユーザ間でメッセージの受け渡しを行えるように構成された、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置において、
ユーザ名で特定されるメッセージ送信元及び宛先と、メッセージ内容として音声又は画像データを含むデータファイルの所在情報とを有するメッセージファイルを記憶するメッセージ情報記憶手段と、
アクティブなユーザを検出する手段と、
あるユーザから別のユーザに簡易切り替えが行われた時に、前記アクティブなユーザに対して該当する宛先の前記メッセージ情報を表示する制御を行う制御手段とを備えた
ことを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置。 - 請求項1に記載したユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置において、メッセージファイルが、ログオン状態にある全てのユーザに亘って使用される共有フォルダに保存されることを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置。
- 請求項1に記載したユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置において、メッセージファイルに対して有効期限が設定され、当該有効期限を過ぎた場合にメッセージファイルが上記メッセージ情報記憶手段から削除されるようにした
ことを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置。 - マルチユーザ機能又は現在のユーザのアプリケーションを終了させることなく他のユーザに切り替える、ユーザの簡易切り替え機能を有するオペレーティングシステムが搭載されるとともに、ネットワークへの接続を必要とせずに、ユーザ間でメッセージの受け渡しを行えるように構成された、ユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラムであって、
ユーザ名で特定されるメッセージ送信元及び宛先と、メッセージ内容として音声又は画像データを含むデータファイルの所在情報とを有するメッセージ情報を生成するステップと、
前記生成されたメッセージ情報を記憶装置に記憶するメッセージ情報記憶ステップと、
アクティブなユーザを検出する検出ステップと、
あるユーザから別のユーザに簡易切り替えが行われた時に、アクティブなユーザに対して該当する宛先の当該データファイルの格納場所を通知する処理を行うステップとを備えた
ことを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラム。 - 請求項4に記載したユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラムにおいて、
送信処理で作成されるメッセージファイルを、ログオン状態にある全てのユーザに亘って使用される共有フォルダに保存する処理を行う
ことを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラム。 - 請求項4に記載したユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラムにおいて、
メッセージ情報に対して設定されている有効期限を調べるとともに、当該有効期限を過ぎている場合には当該メッセージファイルを削除する処理ステップを備える
ことを特徴とするユーザ間の通信機能を備えた情報処理装置に用いるプログラム。 - 登録されたユーザ間でメッセージの受け渡しを行う情報処理装置であって、
前記情報処理装置に登録されたユーザを識別するためのユーザ名を管理するユーザ管理手段と、
前記ユーザ名で特定されるメッセージの送信元及び宛先と、メッセージに付随するデータファイルが前記情報処理装置内で格納されている場所を示す所在情報とを有するメッセージ情報を記憶するメッセージ情報記憶手段と、
アクティブなユーザを検出する手段と、
アクティブなユーザへ該当する宛先の前記メッセージ情報を表示する制御を行う制御手段とを備えた
ことを特徴とする情報処理装置。 - 登録されたユーザをユーザ名で識別して管理する情報処理装置で前記登録されたユーザ間でメッセージの受け渡しを行う情報処理方法であって、
前記ユーザ名で特定されるメッセージの送信元及び宛先と、メッセージに付随するデータファイルが前記情報処理装置内で格納されている場所を示す所在情報とを有するメッセージ情報を生成するメッセージ情報生成ステップと、
前記生成されたメッセージ情報を記憶装置に記憶するメッセージ情報記憶ステップと、
アクティブなユーザを検出する検出ステップと、
アクティブなユーザへ該当する宛先の前記メッセージ情報を表示する制御を行う制御ステップとを備えた
ことを特徴とする情報処理方法。
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