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JP4118715B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁の開閉タイミングを運転状態に応じて制御するバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のバルブタイミング制御装置として、以下のようなものが案出されている(特許文献1参照)。
【0003】
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトとカムシャフトの回転位相を変更する油圧式の位相調整機構がハウジング内に収容され、その位相調整機構に対する油圧の給排が、ハウジングのカバー部材を貫通する給排ロッドを通して行われるようになっている。
【0004】
具体的には、ハウジングは凹状空間を有するハウジング本体と、前記凹状空間を閉塞するようにハウジング本体に結合されたカバー部材によって構成され、カバー部材の中央部には、非回転の給排ロッドを挿入するための挿通孔が形成されている。そして、給排ロッドの外周面には拡径方向に弾発力を有するシールリングが装着され、給排ロッドの先端部と位相調整機構の間をそのシールリングによって密閉している。また、カバー部材の挿通孔内にはハウジングの外部側に向かって拡径するテーパ状の内側ガイド面が形成され、給排ロッドを挿通孔に挿入するときに、シールリングを内側ガイド面に沿わせて容易に縮径し得るようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−115807号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のバルブタイミング制御装置は、カバー部材が平坦なプレート部材によって形成されているため、内側ガイド面の傾斜を軸線に近付く方向に寝かせてシールリングの挿入性の向上を図ろうとすると、カバー部材の肉厚を厚くせざるを得なくなり、そうしてカバー部材の肉厚が厚くなると、装置全体の重量増加や材料歩留まりの低下等の不具合を生じる。
【0007】
そこでこの出願の発明は、カバー部材全体の肉厚を増加せずに、シールリングの挿入をカイドする内側ガイド面を軸線方向に充分に傾斜させられるようにして、装置の重量増加や材料歩留まりの低下等を招くことなくシールリングの挿入作業性の向上を図ることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、この出願の発明は、前記カバー部材よりも線膨張係数の大きい材料で形成され、ハウジングの外部に向かって拡径するテーパ状の内側ガイド面を有し、かつ、前記カバー部材の肉厚よりも軸長の長いガイドリングを設け、このガイドリングをカバー部材の挿通孔に取り付けるようにした。
【0009】
この発明の場合、カバー部材の肉厚よりも軸長の長いガイドリングに内側ガイド面を設け、そのガイドリングをカバー部材の挿通孔に取り付けたため、カバー部材全体を厚肉にすることなく、内側ガイド面を充分に寝かせることが可能となる。したがって、この発明によれば、装置重量の増大や材料歩留まりの低下を招くことなくシールリングの挿入作業性を向上させることができる。さらに、この発明においては、カバー部材に別体のガイドリングを取り付けるようにしたため、シールリングの挿入をガイドする内側ガイド面の形成が容易になると共に、カバー部材とガイドリングの材料を夫々の機能や製造コスト等を考慮して自由に選定できるという利点がある。
【0010】
前記ガイドリングの材料としては、カバー部材よりも線膨張係数の大きい材料を選定することが望ましい。なぜなら、このように材料選定を行えば、機関運転による温度上昇時にはカバー部材に対するガイドリングの膨張量が大きくなり、組付作業を行う常温下では逆に膨張量が小さくなるため、実使用時にはガイドリングの抜けやガタ付きを確実に抑え、組付作業時には作業性を向上させることが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1において、1は、内燃機関のカムシャフトであり、このカムシャフト1はシリンダヘッド50に回転自在に支持されると共に、その軸方向中央側の外周部に機関弁である吸気弁を開閉するための駆動カム(図示せず)が設けられている。この発明にかかるバルブタイミング制御装置は、カムシャフト1の前端部側(図1中左側)に設けられている。尚、ここで説明する実施形態はこの発明にかかるバルブタイミング制御装置を吸気弁側の駆動系に適用したものであるが、排気弁側の駆動系にも同様に適用することができる。
【0013】
この実施形態のバルブタイミング制御装置は、図外のチェーンを介して機関のクランクシャフトによって回転駆動されるチェーンスプロケット2と、このチェーンスプロケット2が一体に形成されたハウジング3と、一端部にこのハウジング3が必要に応じて相対回動できるように組み付けられる前記カムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部にカムボルト4によって一体に結合され、前記ハウジング3の内部に回動自在に収容されたベーンロータ5と、内燃機関の運転状態に応じてベーンロータ5とハウジング3を相対回動させるべく作動油を給排する油圧給排手段6と、を備えている。
【0014】
前記ハウジング3は、外周に前記チェーンスプロケット2が一体形成されたリヤプレート9aと周壁部材9bとが結合されて成るハウジング本体7と、そのハウジング本体7の凹状空間の前面を閉塞するように同本体7の前面に結合されたカバー部材8とを備えており、ハウジング本体7の内周面には、図2に示すようにほぼ90°間隔で断面台形状の仕切壁10が4つ突設されている。
【0015】
一方、前記ベーンロータ5は、ハウジング3の円周方向で隣接する仕切壁10,10間に配置される4つの羽根部11を備え、この各羽根部11が仕切壁10,10間を進角室12と遅角室13とに隔成している。また、ベーンロータ5の前面中央には後述する給排ロッド16が嵌合される接続穴15が形成されており、その接続穴15の内周面には、前記進角室12に連通する第1給排孔17が開口している。
【0016】
前記給排ロッド16は、シリンダヘッド50の前端側に取り付けられたVTCカバー20の内側面に軸方向に沿って突設され、その内部には前記ベーンロータ5の第1給排孔17に導通する内部通路21aが形成されている。進角室12に対する作動油の給排はこの給排ロッド16を通して行われる。また、吸排ロッド16の前端部側外周には環状溝31が形成され、この各環状溝31に、吸排ロッド16と接続穴15の間を相対回動可能に密閉するためのシールリング32が装着されている。このシールリング32は摺動性と液密性に優れた樹脂材料から成り、図4に示すように、円周上の一部に斜めの切込み32aが設けられている。そして、このシールリング32は拡径方向の弾発力を有し、径方向に押し縮められた状態で接続穴15内に嵌合されている。尚、この実施形態の場合、斜めの切込み32aを有するシールリング32を採用したが、切込みは斜めでなくても良く、また、拡径方向に弾発力を有するものであれば切込みの無い弾性材料から成るシールリングを採用することも可能である。
【0017】
また、ハウジング本体7のリヤプレート19には遅角室13に連通する第2給排孔18が形成されている。この第2給排孔18は、ベーンロータ5とハウジング3の回動支持部を通してベーンロータ5からカムシャフト1及びシリンダヘッド50にかけて形成された内部通路21bに接続されている。
【0018】
また、油圧給排手段6は、図1に示すように、給排ロッド16側の内部通路21aとベーンロータ5の第1給排孔17を通して進角室12に作動油を給排する第1油圧通路22と、カムシャフト1側の内部通路21bとハウジング3の第2給排孔18を通して遅角室13に作動油を給排する第2油圧通路23の2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路22,23には、供給通路24とドレン通路25が夫々流路切換用の電磁切換弁26を介して接続されている。尚、図1中27は内燃機関底部のオイルパンであり、28はオイルポンプ、29は電磁切換弁26を制御するためのコントローラである。また、30は、内燃機関の始動時等にハウジング3とベーンロータ5の相対回動を規制するロック機構である。
【0019】
この実施形態の場合、この発明における位相調整機構は以上で説明したベーンロータ5、進角室12及び遅角室13、油圧給排手段6等によって構成されている。
【0020】
ところで、ハウジング3の前記カバー部材8はその軸心位置に前記吸排ロッド16が挿入される挿通孔33が形成されているが、この挿通孔33には、吸排ロッド16をベーンロータ5の接続孔33に挿入組付けするときに、シールリング32の挿入を案内する別体のガイドリング34が取り付けられている。このガイドリング34は、図9に示すように、カバー部材8の肉厚T1よりも軸長L1が長く形成され、その内周側には、ハウジング3の軸方向外側に向かって拡径するテーパ状の内側ガイド面35が設けられている。尚、カバー部材8は金属板からプレス成形され、ガイドリング34は樹脂材料によって形成されている。
【0021】
さらに、このガイドリング34について詳述すると、図5〜図10に示すように、ガイドリング34は円筒状のリング本体が40の基端が厚肉に形成され、その基端の厚肉部の内周側に一般部内周面に連続するように前記内側ガイド面35が形成されている。この内側ガイド面35の端部側の最大内径はリング本体40の一般部外径よりも大きく設定されている。そして、リング本体40の一般部と厚肉部の連接部には、リング本体40の挿入方向の移動を規制する挿入ストッパとして機能するフランジ41が形成されている。このフランジ41はカバー部材8の挿通孔33の孔縁に当接することによってリング本体40の移動を規制する。尚、この実施形態の場合、フランジ41は径方向外側に円板状に張り出して形成されているが、突起状の複数の張り出し部を放射状に延出させても良い。
【0022】
また、リング本体40の先端部側には、挿通孔33に対するリング本体40の挿入を許容し、挿通孔33からのリング本体40の抜けを阻止する一対の抜止部42,42が設けられている。抜止部42は、リング本体40に先端側の円筒壁に形成されたスリット43に挟まれるかたちで設けられた舌片44と、この舌片44の先端部から径方向外側に向かって延設された掛止片45とから構成されている。舌片44はその両側にスリット43が設けられているため、径方向内側への曲げ変位が容易となっている。また、掛止片45の外面側には、リング本体40の先端側に向かって先細り状となるように傾斜面45aが形成されており、裏面側は、カバー部材8の背面側の挿通孔33の縁部に当接してリング本体40の抜け方向の移動を規制する規制面45bとなっている。尚、カバー部材8の表面側の挿通孔33の縁部には、掛止片45の傾斜面45aに対応する斜面状の面取りが為されている。
【0023】
また、前記フランジ41の前面(カバー部材8に対向する側の面)の外周縁部には、断面三角形状の複数(4つ)の突起46が設けられている。これら突起46は円弧形状に延出し、図5及び図7に示すように、フランジ41の外周縁部に等間隔に離間して配置されている。前記の一対の抜止部42,42は、リング本体40の先端側に円周方向に180°離間して配置されているが、フランジ41側の4つの突起46はこれらの抜止部42,42に対して円周方向にオフセットして配置され、各抜止部42は隣接する突起46,46間の中間位置に位置されている。したがって、フランジ41側の4つの突起46は抜止部42,42を結ぶ線分に対し左右対称になるように均等に振り分けて配置されている。
【0024】
ガイドリング34をカバー部材8に取り付ける際しては、図9に示す状態から掛止片45の傾斜面45bを挿通孔33の縁部に押し当てるようにしてガイドリング34の先端部を挿通孔33内に押し入れる。このとき、掛止片45が傾斜面45bを通して径方向内側に押され、舌片44部分が撓み変形することによって挿通孔33内に容易に挿入される。そして、掛止片45が挿通孔33を完全にくぐり抜ける直前には、フランジ41の複数の突起46がカバー部材8の表面に当接するが、その状態のままガイドリング34をさらに強く押し込むと、フランジ41が弾性変形して掛止片45のくぐり抜けが許容され、このとき掛止片45が拡径方向に位置復帰して、図10に示すように、その規制面45bが挿通孔33の裏面側の縁部に当接する。
【0025】
これにより、ガイドリング34はフランジ41の突起46と抜止部42の掛止片45で挿通孔33の縁部を表裏から挟み込むかたちでカバー部材8に取り付けられるが、このときフランジ41の変形に伴う弾発力が突起46と掛止片45の間に作用するため、その固定は強固でかつ確実なものとなる。また、取付後にもフランジ41の弾発力は働くため、ガイドリング34のガタ付きは押えられ、特に、低温時にガイドリング34が熱収縮した場合にあってもそのガタ付きを確実に無くすことができる。
【0026】
さらに、温度変化に関しては、金属材料からなるカバー部材8に対してガイドリング34が線膨張係数の大きい樹脂によって形成されているため、機関始動によって機関内温度が高まると、ガイドリング34側がカバー部材8側よりも大きく膨張することで両者の圧接力が強まる。このため、ガイドリング34のガタ付きはより強く抑えられる。一方、ガイドリング34の取付作業は常温下で行われ、ガイドリング34の膨張は小さくなっているため、取付作業は容易に行うことができる。
【0027】
尚、フランジ41の突起46はその外周縁部に形成されているため、ガイドリング34の取付時にはフランジ41の変形は径方向外側に反り返るかたちとなるが、突起46と掛止片45は円周方向にオフセットされているために、フランジ41は円周方向にも波形状に変形する。したがって、取付時におけるフランジ41の弾性変形はこれによって容易になる。
【0028】
以下、このバルブタイミング制御装置の作動について説明する。
【0029】
内燃機関の始動時には、ベーンロータ5がハウジング3に対して最遅角側に回動した状態でロック機構30が両者を機械的にロックしており、チェーンスプロケット2に入力されたクランクシャフトの回転力はその状態のままカムシャフト1に伝達される。したがって、このときカムシャフト1は遅角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0030】
この状態で内燃機関が始動された後に、電磁切換弁26の操作によって供給通路24が進角室12側、ドレン通路25が遅角室13側に夫々連通すると、高圧の作動油が進角室12に導入されると共に、ロック機構30のロックがその油圧によって解除される。これにより、ベーンロータ5は進角室12の圧力を受けてハウジング3に対して進角側に回動し、カムシャフト1は進角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0031】
また、この状態から電磁切換弁26の操作により、逆に供給通路24が遅角室13側、ドレン通路25が進角室12側に夫々連通すると、ベーンロータ5が遅角室13の圧力を受けてハウジング3に対して遅角側に回動し、カムシャフト1が遅角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0032】
このバルブタイミング制御装置は、前述のようにカバー部材8の挿通孔33にカバー部材8の肉厚T1よりも軸長L1の長い別体のガイドリング34を取り付け、そのガイドリング34にシールリング32の挿入をガイドするための内側ガイド面35を形成したため、カバー部材8全体の肉厚を薄く保ったまま内側ガイド面の傾斜を軸方向に大きく寝かせ、シールリング32の挿入作業性を高めることができる。したがって、この装置においては、カバー部材8の肉厚増加による重量の増加や材料歩留まりの低下等の不具合を無くすことができる。
【0033】
また、カバー部材8の挿通孔33に取り付けたガイドリング34はカバー部材8の内周縁部を補強する環状の補強リブとしても機能するため、カバー部材8の肉厚を全体に薄くした場合であっても、カバー部材8の変形を無くしてその変形によるカバー部材8とベーンロータ5の干渉等を防止することができる。
【0034】
さらに、この装置においては、カバー部材8に別体のガイドリング34を取り付けるようにしたため、シールリング32の挿入をガイドする内側ガイド面35を容易に精度良く成形することができ、製造コストの削減を図ることができるという利点がある。また、カバー部材8とガイドリング34が別体であることから、カバー部材8を薄肉で高強度の材料によって形成することが可能となり、このことから装置の小型・軽量化にも寄与できるという利点もある。
【0035】
尚、この出願の発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、以上の実施形態では位相調整機構としてベーンロータ5の羽根部11に油圧を作用させて駆動回転体と従動回転体を相対回動させるものを採用したが、油圧によって進退作動するピストンの変位をヘリカルギヤ等を用いて駆動回転体と従動回転体の相対回動に変換するもの等も採用可能である。
【0036】
次に、上記の実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
【0037】
(イ) 前記ガイドリングを樹脂材料で形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0038】
この場合、容易にかつ安価に製造することが可能となるうえ、シールリングを内側ガイド面に沿わせてハウジング内に挿入する際のシールリングの摺動性が良好となる。
【0039】
(ロ) 前記ガイドリングは、
内側ガイド面を有する筒状のリング本体と、
このリング本体の軸方向一端側に設けられ、このリング本体をカバー部材の挿通孔に挿入したときのリング本体の挿入方向の移動を規制する挿入ストッパと、前記リング本体の他端側に設けられ、前記挿通孔に対するリング本体の挿入を許容し、挿通孔からのリング本体の抜けを阻止する抜止部と、を備え、
カバー部材の挿通孔の縁部を、前記挿入ストッパと抜止部によって挟持固定することを特徴とする請求項1,2、前記(イ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0040】
この場合、簡単な構成でありながらガイドリングをカバー部材に容易に取り付けることができる。
【0041】
(ハ) 前記挿入ストッパを、リング本体から径方向外側に突出するフランジによって構成したことを特徴とする前記(ロ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0042】
この場合、簡単な構成によってリング本体の挿入方向の移動を規制することが可能となる。
【0043】
(ニ) リング本体の一端側に径方向内側への変形が容易な舌片を延設すると共に、この舌片に径方向外側に延出する掛止片を連設し、この舌片と掛止片によって前記抜止部を構成したことを特徴とする前記(ロ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0044】
この場合、簡単な構成でありながら、抜止部の機能を得ることができる。
【0045】
(ホ) 前記掛止片は、挿入方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする前記(ニ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0046】
この場合、掛止片の傾斜面を挿通孔の孔縁に当接させ、そのままリング本体を挿通孔に押し入れるだけで舌片部分を径方向内側に確実に撓ませることができる。したがって、挿通孔に対して掛止片を容易にくぐらすことが可能となり、ガイドリングの装着作業が容易になる。
【0047】
(ヘ) 前記フランジのカバー部材との当接面に突起を設け、その突起の先端面から抜止部の規制面までの距離を、カバー部材の挿通孔の孔縁の軸方向寸法よりも小さく設定したことを特徴とする前記(ハ)〜(ホ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0048】
この場合、フランジの突起と抜止部によってカバー部材の孔縁が挟持されると、フランジは、突起の先端面から抜止部の規制面までの距離が、挿通孔の孔縁の軸方向寸法とほぼ同じになるように撓み変形する。したがって、突起にはこのときフランジの撓み反力が作用し、フランジと抜止部はその反力によって挿通孔の孔縁を強固に挟持固定することとなる。よって、ガイドリングの抜けやガタ付きをより確実に抑制でき、特に、ガイドリングが熱収縮する低温時にはこの構造が有効となる。
【0049】
(ト) 前記突起をフランジの円周方向に離間した位置に複数設けると共に、その突起を、前記抜止部の形成位置に対して円周方向にオフセットさせて配置したことを特徴とする前記(ヘ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0050】
この場合、フランジは径方向だけでなく円周方向にも撓み変形するため、取り付け時におけるフランジの変形が容易になる。したがって、取り付け作業がより容易になる。
【0051】
(リ) 前記突起を、円周方向等間隔に、かつ、抜止部を挟んで対称となるように配置したことを特徴とする前記(ト)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0052】
この場合、フランジの撓みによる押え力が円周方向でバランスし、ガイドリングの確実な固定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図2のB−B断面に対応の縦断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のA−A断面に対応する断面図。
【図3】同実施形態を示すものであり、給排ロッドを取り去った装置の正面図。
【図4】同実施形態を示すシールリングの斜視図。
【図5】同実施形態を示すガイドリングの背面側から見た拡大斜視図。
【図6】同実施形態を示すガイドリングの正面側から見た拡大斜視図。
【図7】同実施形態を示すガイドリングの拡大背面図。
【図8】同実施形態を示す図7のC−C線に沿う拡大断面図。
【図9】同実施形態を示すガイドリングとカバー部材の組付前の拡大断面図。
【図10】同実施形態を示すガイドリングとカバー部材の組付後の拡大断面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト
3…ハウジング
5…ベーンロータ(位相調整機構)
6…油圧給排手段(位相調整機構)
7…ハウジング本体
8…カバー部材
12…進角室(位相調整機構)
13…遅角室(位相調整機構)
16…給排ロッド
32…シールリング
33…挿通孔
34…ガイドリング
35…内側ガイド面

Claims (1)

  1. 凹状空間を有するハウジング本体に、前記凹状空間を閉塞するようにカバー部材が取り付けられて成るハウジングと、このハウジング内に収容され、油圧によってクランクシャフトとカムシャフトの回転位相を変更する位相調整機構と、前記カバー部材を貫通して位相調整機構に接続された非回転の給排ロッドと、を備え、
    前記吸排ロッドの先端側外周に、拡径方向の弾発力を有するシールリングが装着され、そのシールリングを装着した吸排ロッドの先端部がカバー部材の挿通孔を通して前記位相調整機構側に嵌合接続される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって
    前記カバー部材よりも線膨張係数の大きい材料で形成され、ハウジングの外部に向かって拡径するテーパ状の内側ガイド面を有し、かつ、前記カバー部材の肉厚よりも軸長の長いガイドリングを設け、このガイドリングをカバー部材の挿通孔に取り付けたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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