JP4197002B2 - リチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents
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Description
正極活物質としては、LiCoO2、LiCo1-xNixO2、LiNiO2、LiMn2O4等が広く用いられ、これらのなかでも特に特許文献1で開示されるLiCoO2は3.5Vvs.Li以上の高い充放電電位を与え、且つ高容量を有する点で有利である。また、Co系に比べて供給量が多く低コストであるメリットからLiMn2O4を正極材料に用いた二次電池が、特許文献2、特許文献3等に提案されている。
これらの非晶質酸化物の負極は、電位、容量ともに高レベルであるコバルト酸化物系の正極と組み合わせたときに最も高いエネルギー密度の電池を提供でき、一方、マンガン酸化物系の正極材料と組み合わせたときはエネルギー密度が目減りするもののコスト効率の高い電池を提供することができる。しかしながら、非晶質酸化物系負極材料の特長である高容量を維持しながら合成原料コストの点でも優れた二次電池を提供するためには容量とコスト効率の両面において有利なニッケル酸化物系の正極を利用することが重要である。
本発明の課題は上述のような問題を解決し、良好な充放電サイクル特性を有し、特に酸化物非晶質の負極ととともに正極として用いて二次電池としたとき、二次電池の放電容量を高め、コスト面でも優れたリチウムイオン非水電解質二次電池を得るためのリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質、及びその製造方法を提供することである。
(1)LixNi1−yCoy−zMzO2−aXbの組成で示され、X線回折により測定されたa軸の格子定数が2.81〜2.91Åの範囲で、c軸の格子定数が13.7〜14.4Åの範囲であり、(104)面の回折ピーク強度の(003)面のピーク強度に対する比が、0.3〜0.8の範囲であるニッケル含有リチウム複合酸化物からなることを特徴とするリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
(ただし、前記式中のMは、Al単独であるか、あるいはAlを必須として含み、かつ周期律表の第13族、第14族の元素、Mn、Fe、Ti、Zr、Nd、La、Cu、V、Sm、W、Zn、Y、Mg、Sr、Ca、Ba、Cs、Na及びPから選ばれる1種以上の元素であり、Xはハロゲン元素であり、x、y、z、a及びbは、それぞれ0.2<x≦1.2、0<y≦0.5、z<y、0<z<0.5、0.01≦a≦0.1、0.01≦b≦0.2なる範囲の数値である)。
(3)前記式中のMが、Al単独であるか、あるいはAlを必須として含み、かつMn、Fe、Ti、B、Sn、Si、Ga、Mgから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
また、本発明の正極活物質合剤層上に保護層が塗設された正極からなる非水電解質二次電池を用いることにより、従来のリチウムニッケルコバルト酸化物系活物質を正極に用いた二次電池に比べてサイクル性能と安全性能に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここで、MはLiNiO2の骨格構造のなかでNiもしくはLiの一部を置換する金属もしくは半金属元素であり、LiNiO2正極の充放電性能において放電平均電圧の増加やサイクル寿命の改善といった電池性能の改良に寄与する要素である。
そして、コバルト原料としてCo2O3、Co3O4、CoCO3、Co(NO3)2、及びCoCl2 の中の少なくとも1種を用い、他元素Mの原料としては、MnCO3、MnO2、Mn(NO)3、B2O3、B(OH)3、Al2O3、Al(NO3)3、Al(OH)3、SnO2、SnO、SnCl2、Snアルコキシド、SiO2、SiO、アルコキシシラン、Mg(OH)2、MgCO3、MgCl2、Fe2O3、FeCl3、FeOOH、Fe(NO3)3、TiO2、GeO2、ZrO2、Nd2O3、La2O3、BaO、SrCO3、La2O3、Zn(NO3)2、WO3、Ga(NO3)2、CuO、V2O5、Sm2O3、Y2O3、AlF3、BaF2、LiF、LaF3、SnF2、Li3PO4、AlPO4、Cs2CO3、Ca(OH)2、及びNa2CO3 の中の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
これらの原料の混合は、固体粉末のまま混合してもよいし、複数の原料を溶媒に溶かして混合溶液としこれを乾燥固化あるいはスラリ−状として混合物としても良い。
焼成の方法は、たとえば特開昭62−264560、特開平2−40861、同6−267538、同6−231767に記載の粉末混合法、特開平4−237953、同5−325966、同6−203834に記載の溶液混合法、特開昭63−211565に記載の共沈による合成法、特開平5−198301、同5−205741に記載の焼成物の急冷を行う方法、特開平5−283076、同6−310145に記載のペレット成型による焼成方法、特開平5−325969に記載のLiOH水和物を原料として溶融状態で焼成する方法、特開平6−60887に記載の酸素分圧制御下で合成する方法、特開平6−243871に記載のフッ素ドープ法、特開平8−138670に記載の粒子の内部と表面の組成の異なる活物質を合成する方法などが有効である。
LiNi0.7Co0.26Al0.04O1.9F0.2
Li1.03Ni0.67Co0.26Al0.04O1.9F0.2
Li1.03Ni0.77Co0.15B0.03Al0.02O1.9F0.19
以下、本発明の正極活物質を用いたリチウムイオン非水電解質二次電池について詳述する。
本発明の正極活物質と組み合わせてリチウムイオン非水電解質二次電池用負極活物質として用いることのできる、特に好ましい負極材料の一例としては下記の非晶質の複合酸化物からなる負極活性物質が挙げられる。
より具体的には、負極活物質は、錫を主体として含む非晶質の複合酸化物であり、下記一般式で示される負極活物質の前駆体に電気化学的にリチウムイオンが挿入されることによって得られる。
ここで、M1はMn,Fe,Pb,Geから選ばれる1種以上を、M2はAl,B,P,Si,周期律表第1族、第2族、第3族、ハロゲン元素から選ばれる2種以上の元素を示し、0<x≦1,0.1≦y≦3,1≦z≦8。
上記の構造式に従ったさらに好ましい組成を述べると、M1はPb,Geから選ばれる元素であり、M2はB,P,Si,周期律表第1族、第2族から選ばれる2種以上の元素であり、M2はとくにAl以外の元素であることが好ましい。
本発明の複合酸化物が非晶質構造を含むとは、具体的にはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°にかけて強度が弱くブロードな頂点を有する回折散乱帯を与える状態を意味し、このブロードな散乱帯中に結晶性の回折線を有してもよい。この結晶性の回折線は非晶質構造中にわずかに秩序性を持った構造部分が反映されたものである。
負極活物質前駆体は、錫原料である錫化合物、錫以外の元素を含む化合物の粉末を混合し、混合物を800℃〜1500℃好ましくは900℃〜1200℃の高温で溶融し、4時間〜48時間反応させて合成する。合成の雰囲気は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気を用いることが好ましい。とくに酸素分圧が10-1以下、好ましくは10-2以下の条件下で反応を行うことが好ましい。非晶質化を促進するために、反応物を50℃〜500℃/分の速度で急冷してもよい。また逆に非晶質構造の密度を高め強度を高める目的で徐冷をすることもできる。これらの方法で得られたガラス状の負極材料は、粒径分布を得るように粉砕処理して負極用粒子として用いる。
負極粒子の好ましい範囲は、平均粒径として0.5〜20μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。溶融法のほかに、溶液反応を利用した合成法、たとえばゾル−ゲル法による合成を用いることができる。ソル−ゲル法で合成される粒子の好ましい平均粒径の範囲は、二次粒子の粒径として0.1〜10μmさらに好ましくは0.2〜5μmである。
SnSi0.8P0.2O3.1
SnSi0.5B0.2P0.2O1.85
SnSi0.8B0.2O2.9
SnSi0.8Al0.2O2.9
SnSi0.6Al0.1B0.2O1.65
SnSi0.3Al0.1P0.6O2.25
SnSi0.4B0.2P0.4O2.1
SnSi0.6Al0.1B0.5O2.1
SnB0.5P0.5O3
SnK0.2PO3.6
SnRb0.2P0.8O3.2
SnBa0.1P1.45O4.5
SnLa0.1P0.9O3.4
SnNa0.1B0.45O1.75
SnLi0.2B0.5P0.5O3.1
SnCs0.1B0.4P0.4O2.65
SnBa0.1B0.4P0.4O2.7
SnCa0.1Al0.15B0.45P0.55O3.9
SnY0.1B0.6P0.6O3.55
SnRb0.2B0.3P0.4O2.55
SnCs0.2B0.3P0.4O2.55
SnCs0.1B0.4P0.4O2.65
SnK0.1Cs0.1B0.4P0.4O2.7
SnBa0.1Cs0.1B0.4P0.4O2.75
SnMg0.1K0.1B0.4P0.4O2.75
SnCa0.1K0.1B0.4P0.5O3
SnBa0.1K0.1Al0.1B0.3P0.4O2.75
SnMg0.1Cs0.1Al0.1B0.3P0.4O2.75
SnCa0.1K0.1Al0.1B0.3P0.4O2.75
SnMg0.1Rb0.1Al0.1B0.3P0.4O2.75
SnCa0.1B0.2P0.2F0.2O2.6
SnMg0.1Cs0.1B0.4P0.4F0.2O3.3
Sn0.5Mn0.5Mg0.1B0.9O2.45
Sn0.5Mn0.5Ca0.1P0.9O3.35
Sn0.5Ge0.5Mg0.1P0.9O3.35
Sn0.5Fe0.5Ba0.1P0.9O3.35
Sn0.8Fe0.2Ca0.1P0.9O3.35
Sn0.3Fe0.7Ba0.1P0.9O3.35
Sn0.9Mn0.1Mg0.1P0.9O3.35
Sn0.2Mn0.8Mg0.1P0.9O3.35
Sn0.7Pb0.3Ca0.1P0.9O3.35
Sn0.2Ge0.8Ba0.1P0.9O3.35
SnAl0.1B0.5P0.5O3.15
SnCs0.1Al0.4B0.5P0.5O3.65
SnCs0.1B0.5P0.5O3.05
SnCs0.1Ge0.05B0.5P0.5O3.15
SnCs0.1Ge0.05Al0.3B0.5P0.5O3.6
保護層は好ましくは電気的絶縁性の無機化合物あるいはセラミクスの粒子を主体とする塗布物である。また、ポリマーラテックスなどの有機物の粒子も加えて含有されていてもよい。
これらの主成分に通常、塗布用助剤としてCMCなどの増粘剤、テフロン系樹脂に代表されるポリマーバインダーや後述する結着剤などが添加される。保護層の厚みは、2〜50μmの範囲であり、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
なかでも、プロピレンカーボネートあるいはエチレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンおよび/あるいはジエチルカーボネートの混合液にLiCF3SO3,LiClOV4、LiBF4および/あるいはLiPF6を含む電解質が好ましいこれら電解質を電池内に添加する量は、特に限定されないが、正極活物質や負極活物質の量や電池のサイズによって必要量用いることができる。
以上の電解液のなかで、二次電池の充放電のサイクル寿命を良化する効果の点で、本発明の電解液組成として特に好ましいものは、少なくともエチレンカーボネートを溶媒、少なくともLiPF6をリチウム塩として含む組成であり、もう1つの好ましい組成は、少なくともエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを共に溶媒として、少なくともLiPF6をリチウム塩として含む組成であり、別の好ましい組成は、少なくともエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを共に溶媒として、少なくともLiPF6をリチウム塩として含む組成である。
〔負極活物質前駆体の合成例,溶融法〕
SnO 67.4g、B2O317.4g、及びSn2P2 O7102.8gを混合し、自動乳鉢で十分に粉砕、混合した後、アルミナ製るつぼにセットしてアルゴンガス雰囲気下で1000℃で10時間焼成を行った。焼成後、100℃/分の速度で急冷し、黄色透明ガラス状の負極活物質前駆体SnB0.5P0.5O3を得た(化合物A−1)。
活物質のX線回折を測定したところ、Cu−α線の照射下で2θ=20−35°の領域にブロードな回折のバンドを示したが、結晶構造に帰属するシャープな回折線は検出されず、活物質構造がアモルファス(非晶質)であることが判明した。
同様な方法で、下記の負極活物質前駆体を合成した。
Sn1.5K0.2PO3.5(化合物A−2)
Sn1.5Cs0.1Ge0.05Al0.1B0.5P0.5O3.30(化合物A−3)
A−1〜A−3はともに平均粒径7μmに粉砕し、BET法による比表面積は0.7〜1.2m2/gの範囲であった。
Sn0.8Si0.5B0.3P0.2Al0.1O3.70(化合物A−4)を下記のゾル−ゲル法で合成した。
ジエトキシ錫212gをDMF100gに溶解し、これに燐トリエトキシド34g、トリエトキシアルミニウム51g、トリエトキシ硼素36g、テトラエトキシシラン134g、を添加し、さらに硫酸を添加混合して、第1液とした。トルエン1700ccにソルビタンモノオレート4.25gを溶解し第2液とした。この第2液に、第1液を滴下しながら10000回転で激しく攪拌し、同時にトリエチルアミン45gを5回に分けて反応液に添加した。
反応液を40℃に保ちながら攪拌を2時間続け、その後40℃で24時間保持した後、溶媒のトルエンを減圧下で除去した。得られた固形分を250℃で48時間乾燥し、白色の粉末を得た。収率95%。
本ゾル−ゲル法粒子は平均粒径が0.1μmの多孔性の球状粒子であり、BET比表面積は8m2/gであった。
LiNi0.8Co0.16B0.04O2(化合物C−1)を以下の方法で合成した。
LiOH・H2O、Ni(OH)2、Co(OH)2、およびB2O3の粉末をモル比1:0.8:0.16:0.02の化学量論比で乾燥空気下乳鉢中で十分に混合し、酸素雰囲気下で650℃で6時間焼成を行った後、750℃で8時間焼成を行い、上記組成の(化合物C−1)を合成した。
得られた粒子は、球状に近い形をもち、1次粒子の平均粒径が0.3μmであり、2次粒子の平均粒径が7μmであった。またBET法による比表面積は0.7m2/gであった。X線回折によって得られた(104)面/(003)面のピーク比は0.6であり、a軸の格子定数は2.83、c軸格子定数は13.90であった。
活物質は1gを10ccの純水に分散したとき、pH10.5を与えた。また、同じ組成の活物質は、リチウム原料としてLiOH・H2Oに替えてLiNO3あるいはLiCO3、また、Ni原料としてNi(OH)2に替えてNiCO3を用いても合成することができた。また、上記の水酸化物の原料に、B2O3に換えて、Al(OH)3を化学量論比で添加し、酸素雰囲気下で650℃で6時間焼成を行った後、800℃で12時間焼成を行い、LiNi0.8Co0.16Al0.04O2(化合物C−2)を合成した。
また、(化合物C−2)の焼成方法にしたがって、原料を適宜選択し、下記の正極活物質を合成した。これら活物質の組成は、ICPにより検定した。
LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(化合物C−3)
LiNi0.8Co0.1Mn0.07B0.03O2(化合物C−4)
LiNi0.8Co0.15Sn0.05O2(化合物C−5)
LiNi0.8Co0.15Si0.05O2(化合物C−6)
LiNi0.8Co0.15Mg0.05O2(化合物C−7)
LiNi0.8Co0.15Fe0.05O2(化合物C−8)
LiNi0.8Co0.15Ti0.05O2(化合物C−9)
また、フッ素原料としてLiFを用いて、650℃で24時間、酸素分圧0.5気圧の条件で焼成を実施し下記の化合物を合成した。
LiNi0.8Co0.15B0.05O1.9F0.1(化合物C−10)
LiNi0.8Co0.15Al0.05O1.9F0.1(化合物C−11)
正極合剤として、正極活物質の(化合物C−1)を90重量%、アセチレンブラック6重量%、そして結着剤としてポリテトラフルオロエチレンの水分散物3重量%とポリアクリル酸ナトリウム1重量%からなる混合物に水を加えて混練し、得られたスラリーを厚さ30μmのアルミニウムフィルムの両面に塗布して、正極シートを作製した。
次に、上記正極シートの活物質合剤層の表面に、鱗片状黒鉛と酸化アルミニウム(平均粒径2μm)の1:4(重量比)の混合物からなる保護層(平均厚さ5μm)を塗設した。塗布シートを乾燥、プレスした結果、乾膜の塗布量は240g/m2、塗布膜の厚みはおよそ95μmであった。また、比較として、上記の保護層を塗設しない正極シートを作製した。
次に、得られた負極シートの活物質層の表面に、鱗片状黒鉛と酸化アルミニウム(平均粒径2μm)の1:4(重量比)の混合物からなる保護層(平均厚さ5μm)を塗設し、活物質前駆体を塗設した表面保護層付きの負極シートを作製した。
同様な方法で、負極活物質前駆体として(化合物A−1)にかえて(化合物A−2)、(化合物A−3)及び(化合物A−4)を塗布して作った活物質前駆体層の表面に上記の保護層を塗設し、各種活物質前駆体を塗設した表面保護層付きの負極シートを作製した。
厚さ35μmの金属Li箔を幅5mm長さ37mmの断片に裁断し、露点−60℃の乾燥空気中で、上記の負極活物質(前駆体A−1)を塗布した負極シートの両面の表面保護層の上に、2mmの規則的間隔を置いて圧着ローラーを用いて付着させた。負極シートへのLi付着量は重量としておよそ110mgであった。このリチウムは、負極活物質前駆体中へ電池内でリチウムを電解挿入し、負極活物質前駆体を活物質に転換するために用いられる。
上記の正極シートを35mmの幅に裁断し、負極シートを37mmの幅に裁断して、シートの末端にそれぞれアルミニウム、ニッケルのリード板をスポット溶接した後、露点−40℃の乾燥空気中で150℃で2時間脱水乾燥した。
次に、脱水乾燥済みの正極シート、セパレーターとして多孔性プロピレンフィルム(セルガード2400)、脱水乾燥済みの負極シート、そしてセパレーターの順でこれらを積層し、巻き込み機で渦巻き状に巻回した。この巻回体をニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(負極端子を兼ねる)に収納した。この電池缶の中に電解質として1mol/リットルLiPF6(エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネートの2:2:6(体積比)混合液)を注入した。
正極端子を有する電池蓋(12)をガスケット(13)を介してかしめて直径14mm高さ50mmの円筒型電池を作製した。なお、正極端子(12)は正極シート(8)と、電池缶(11)は負極シート(9)とあらかじめリード端子により接続した。なお、(14)は安全弁である。
このエージングの工程で、負極上に担持したLiは溶解し、負極活物質前駆体の中に挿入されたことを確認した。
この電池を活性化のために、2mA/cm2で室温下で4.2Vまで充電を行った。さらに、充電状態で電池を55℃に保持し、3日間エージングを実施した。以上の電池を、充電終止電圧4.2V(開回路電圧(OCV))、放電終止電圧2.8V(回路電圧)、10mA/cm2(1C相当)の電流密度の条件で繰り返し充放電させて、100サイクル終了後に2mA/cm2(0.2C相当)放電の放電容量を測定し、初期放電容量に対する維持率を測定し、電池のサイクル寿命を評価した。また、電池の安全性を評価する試験として、充電状態の電池の本体にサーミスタを固定し、室温下で電池に釘を刺して内部を急短絡させた場合の発熱の程度を評価した。本試験は各々の電池について5回実施した。
9負極シート
10 セパレーター
11 円筒型電池缶
12 正極端子を兼ねる電池蓋
13 ガスケット
14 安全弁
Claims (5)
- LixNi1−yCoy−zMzO2−aXbの組成で示され、X線回折により測定されたa軸の格子定数が2.81〜2.91Åの範囲で、c軸の格子定数が13.7〜14.4Åの範囲であり、(104)面の回折ピーク強度の(003)面のピーク強度に対する比が、0.3〜0.8の範囲であるニッケル含有リチウム複合酸化物からなることを特徴とするリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
(ただし、前記式中のMは、Al単独であるか、あるいはAlを必須として含み、かつ周期律表の第13族、第14族の元素、Mn、Fe、Ti、Zr、Nd、La、Cu、V、Sm、W、Zn、Y、Mg、Sr、Ca、Ba、Cs、Na及びPから選ばれる1種以上の元素であり、Xはハロゲン元素であり、x、y、z、a及びbは、それぞれ0.2<x≦1.2、0<y≦0.5、z<y、0<z<0.5、0.01≦a≦0.1、0.01≦b≦0.2なる範囲の数値である)。 - 前記式中のXがフッ素(F)であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
- 前記式中のMが、Al単独であるか、あるいはAlを必須として含み、かつMn、Fe、Ti、B、Sn、Si、Ga、Mgから選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
- 前記正極活物質の二次粒子の粒子径が1〜30μmであり、一次粒子の粒子径が0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
- 前記正極活物質の比表面積がBET法による測定で0.1〜10m2/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン非水電解質二次電池用正極活物質。
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