JP4184557B2 - 圧力式微少ガス漏洩検出装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧力式微少ガス漏洩検出装置及び方法に係り、特に、ガス圧力調整器の出口からガス燃焼器具までのガス供給配管からの微少なガス漏洩をガス供給配管内の圧力を監視することで検出する圧力式微少ガス漏洩検出装置及び方法に関するものである。
【0002】
従来この種の装置は、マイコンガスメータと称されるガス計量装置に組み込まれて使用されており、ガス使用停止直後の圧力とその後15分毎の圧力との差をとり、この差が20mmH2 Oを越えるガス圧力の上昇が所定期間例えば30日間に一度もない場合に、ガス供給配管に亀裂が生じていたり、配管接続部に接続不良が存在し、そこから微少なガスが漏洩している疑いがあるとしてガスメータの表示部に警告表示を行うようになっている。
【0003】
具体的には、図5に示すように、ガス使用停止直後の時点t1におけるガス供給配管内の圧力を圧力センサによって検知し、これを基本圧力として記憶しておき、その後15分毎に圧力センサによって検知した圧力を監視圧力として上記基本圧力との差を取り、この圧力差が所定値、例えば20mmH2 Oを越えて上昇することが、所定期間に1回もなかった場合、微少ガス漏洩があると判断して警告するものである。
【0004】
これは、ガス供給配管内のガス圧力が外気温に伴って変化し、特にガス使用停止状態においては、ガス圧力調整器とガス燃焼器具とのガス供給配管内に閉塞されたガスの圧力は、ガス供給配管に微少漏洩がなく正常なときには、図6(a)に示すように外気温の上昇に伴って所定値を越える圧力上昇が一定期間の間には少なくとも一度は生じるが、ガス供給配管に微少漏洩を生じる異常があるときには、図6(b)に示すように外気温が上昇しても所定値を越える圧力上昇が所定期間の間に一度も生じることがないことに着目してなされたものである。
【0005】
そこで、ガス使用停止中に所定値を越える圧力上昇が生じたときリセット再スタートされる所定期間タイマを設け、このタイマーがリセットされることなく所定期間が経過したときに、微少ガス漏洩があると判断して警告表示を行うようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の装置では、微少漏洩なしを判定するため設定される圧力上昇の所定値が固定であった。このため、ガス消費先の配管形態、ガス使用パターン、日当たり状況等に最適な所定値を設定することができない。例えば、ガス供給配管が多く、日当たりが悪い場合には、圧力上昇がし難くなるので、所定値として上記値20mmH2 Oに固定設定したのでは、ガス供給配管に異常がなくても、この所定値を越える圧力上昇が所定期間を過ぎても一度も生じることがないという事態が生じる可能性がある。このようなことが起こると、誤ってガス微少漏洩ありとの警告表示を行ってしまうことになる。
【0007】
よって本発明は、上述した従来の問題点に鑑み、ガス微少漏洩なしの判定をガス供給設備に応じた最適値によって行えるようにした圧力式微少ガス漏洩検出装置及び方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、ガス供給配管内の圧力を検出する圧力検出手段6と、ガス使用停止直後に前記圧力検出手段が検出した前記ガス供給配管内の圧力を基準圧力として記憶する圧力記憶手段10c−1と、ガス使用停止後に前記圧力検出手段が検出した圧力と前記圧力記憶手段に記憶されている基準圧力との圧力差を求める差圧手段10a−1と、微少ガス漏洩なしを判定するための判定値を記憶する漏洩なし判定値記憶手段10c−4と、前記差圧手段によって求めた圧力差と前記判定値記憶手段に記憶された判定値とを比較し、前記圧力差が前記判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定する漏洩なし判定手段10a−2と、該漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている前記判定値が予め定められた下限値に等しいとき微少ガス漏洩を警報する警報手段10a−3と、前記漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている前記判定値が予め定められた下限値より大きいとき前記判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶させる判定値修正手段10a−4とを備える圧力式微少ガス漏洩検出装置に存する。
【0009】
上述した請求項1記載の構成によれば、ガス使用停止直後に圧力検出手段6が検出したガス供給配管内の圧力が基準圧力として圧力記憶手段10c−1に記憶され、ガス使用停止後に圧力検出手段が検出した圧力と圧力記憶手段に記憶されている基準圧力との圧力差が差圧手段10a−1により求められる。差圧手段によって求めた圧力差と判定値記憶手段10c−4に記憶された微少ガス漏洩なしを判定するための判定値とを漏洩なし判定手段10a−2が比較し、圧力差が判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定する。
【0010】
そして、漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている判定値が予め定められた下限値に等しいとき、警報手段10a−3は微少ガス漏洩を警報する。漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている判定値が予め定められた下限値より大きいとき、判定値修正手段10a−4が判定値を下方修正し、修正した判定値をそれ以前のものに代えて漏洩なし判定値記憶手段に記憶させる。
【0011】
上述のように、漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、判定値が予め定められた下限値に等しくないことを条件に、漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている判定値が予め定められた下限値より大きいとき判定値を下方修正し、修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させるようになっているので、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合であっても、判定値が予め定められた下限値に等しくなるまでは、微少ガス漏洩を警報することをなくすることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置において、前記判定値修正手段により前記判定値を下方修正したときその旨を警報する第2の警報手段10a−5を更に備えることを特徴とする圧力式微少ガス漏洩検出装置に存する。
【0013】
上述した請求項2記載の構成によれば、判定値修正手段により判定値を下方修正したとき第2の警報手段10a−5がその旨を警報するので、判定値の修正を知らせることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置において、前記差圧手段によって求めた圧力差の最大値を記憶する差圧記憶手段10c−3を更に備え、前記判定値修正手段が、前記差圧記憶手段に記憶している前記差圧最大値と前記判定値の前記下限値より小さい所定値との差が前記下限値より大きいとき、前記判定値を前記差圧最大値と前記所定値との差に修正し、前記差圧記憶手段に記憶している前記差圧最大値と前記判定値の前記下限値より小さい所定値との差が前記下限値より小さいとき、前記判定値を前記判定値の前記下限値に修正することを特徴とする請求項1又は2記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置に存する。
【0015】
上述した請求項3記載の構成によれば、差圧記憶手段10c−3に記憶している差圧最大値と判定値の下限値より小さい所定値との差が下限値より大きいとき、判定値を差圧最大値と下限値との差に修正し、記差圧記憶手段に記憶している差圧最大値と判定値の下限値より小さい所定値との差が下限値より小さいとき判定値の下限値に、判定値修正手段が判定値をそれぞれ修正するので、差圧最大値が下限値に対して大きくても、判定値は最終的に下限値に下方修正される。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置において、前記警報手段は、前記漏洩なし判定手段が微少ガス漏洩なしを判定したとき計時をリセットされ、前記所定日数の計時を再スタートする計時手段10c−6を有し、該計時手段が前記所定日数を計時したことにより、前記漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しないことを検出することを特徴とする圧力式微少ガス漏洩検出装置に存する。
【0017】
上述した請求項4記載の構成によれば、漏洩なし判定手段が微少ガス漏洩なしを判定したとき警報手段の有する計時手段10c−6が計時をリセットされ、所定日数の計時を再スタートし、計時手段が所定日数を計時したことにより、漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しないことを検出するので、微少ガス漏洩を警報するに当たって所定日数の期間微少ガス漏洩なしのないことを確実に検出することができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置において、初期化入力手段13と、該初期化入力手段の操作に応じ、前記計時手段をリセットするとと共に、前記漏洩なし判定値記憶手段に予め定められた上限値を判定値として記憶させる初期化手段10a−6とを更に備えることを特徴とする圧力式微少ガス漏洩検出装置に存する。
【0019】
上述した請求項5記載の構成によれば、初期化入力手段13の操作に応じ、初期化手段10a−6が計時手段をリセットするとと共に、漏洩なし判定値記憶手段に予め定められた上限値を判定値として記憶させるので、任意の時点でそれまでの判定値による動作を中止させると共に、新しい初期の判定値による動作を開始させることができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、ガスの使用が停止したとき、ガス使用停止直後に検出したガス供給配管内の圧力を基準圧力として記憶し、その後検出した圧力と前記記憶した基準圧力との圧力差を求め、前記求めた圧力差と予め記憶した微少ガス漏洩なしを判定するための判定値とを比較し、前記圧力差が前記判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定し、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記判定値が予め定められた下限値に等しいとき微少ガス漏洩を警報し、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記判定値が予め定められた下限値より大きいとき前記判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させる圧力式微少ガス漏洩検出方法に存する。
【0021】
上述した請求項6記載の手順によれば、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、判定値が予め定められた下限値に等しいときのみ微少ガス漏洩を警報し、判定値が予め定められた下限値より大きいとき判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させるようにしているので、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合であっても、判定値が予め定められた下限値に等しくなるまでは、微少ガス漏洩を警報することをなくすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図2〜図4を参照して説明する。図2は本発明による圧力式ガス微少漏洩検出装置を適用したガス供給設備を示し、同図において、1はLPガスボンベのようなガス容器、2はガス容器1の元栓、3はガス圧力調整器、4はガスメータ、5はガス供給配管、6はガス圧力調整器3より下流側に設けられガス供給配管5内のガス圧力を検出して圧力信号を出力する圧力検出手段としての圧力センサ、7はガス供給配管5内を流れるガス流量を検出して流量信号を出力するガス流量検出手段としての流量センサ、8はガス燃焼器具、9は圧力式ガス微少漏洩検出装置本体である。
【0023】
圧力式ガス微少漏洩検出装置本体9は、予め定めたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ(マイコン)10を有する。マイコン10は、プログラムに従って処理を行う中央処理ユニット(CPU)10aと、プログラムや固定データを格納した読み出し専用メモリ(ROM)10bと、各種のデータを格納するデータエリアやCPU10aによる処理の過程に利用するワークエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリ(RAM)10cとを備える。
【0024】
マイコン10は、圧力センサ6がガス供給配管5内のガス圧力を検出して出力する圧力信号と、流量センサ7がガス供給配管5内を流れるガス流量を検出して出力する流量信号とを入力し、マイコン10内のCPU10aが圧力信号と流量信号とをプログラムに従って処理する。
【0025】
CPU10aは、流量センサ6から入力する流量信号に基づいて、ガス供給配管5内にガス流量が所定時間ないことを判断してガスの使用が停止したことを検出し、この検出直後に流量センサ7から入力する圧力信号に基づいて、ガス使用停止直後のガス供給配管5内のガス圧力を基準圧力としてRAM10c内に形成した圧力記憶手段としての圧力記憶エリア10c−1(図3)に記憶させる。
【0026】
CPU10aはまた、ガス使用停止以降に圧力センサ7から入力した圧力信号と圧力記憶エリア10c−1に記憶された基準圧力とを比較し前者が後者より低く、かつRAM10c内に形成した第1の設定圧力値記憶エリア10c−2(図3)に格納されている第1の設定圧力値より高いとき圧力センサ7から入力した圧力信号に基づきそのときの圧力を、新しい基準圧力として、既に圧力記憶エリア10c−1(図3)に記憶されている基準圧力に代えて記憶させて更新する。なお、第1の設定圧力値としては、例えばガス圧力調整器の調整圧力下限値が設定される。
【0027】
CPU10aはさらに、ガス使用停止以降に前記圧力センサ10から入力した圧力信号と圧力記憶エリア10c−1(図3)に記憶されている基準圧力との圧力差を求め、その最大値をRAM10c内に形成した差圧記憶手段としての差圧記憶エリア10c−3(図3)に記憶する。そして、上記求めた圧力差が、RAM10c内に形成した漏洩なし判定値記憶手段としての第2の設定圧力値記憶エリア10c−4(図3)に格納されている判定値としての第2の設定圧力値以上であるときガス漏洩なしと判断する。第2の設定圧力値は、初期値として設定される上限値(固定値)と下限値(固定値)との間の値を取るように設定される。
【0028】
CPU10aはさらにまた、RAM10c内に形成した第1のタイマエリア10c−5を利用して、ガス使用停止以降、圧力を測定するタイミングを規定する例えば15分〜30分の所定時間を計時し、この所定時間の計時毎に圧力センサ7から圧力信号を入力して上述の動作を繰り返す。RAM10c内には計時手段としての第2のタイマエリア10c−6が形成されている。CPU10aは、この第2のタイマエリア10c−6を利用してその動作の開始と共に例えば30日の所定日数を計時し、この所定日数の計時の過程で、上述したガス漏洩なしの判断が行われると、その都度第2のタイマエリア10c−6を利用して行っている計時をリセットして再スタートさせる。
【0029】
これに対し、所定日数の計時の過程で、ガス漏洩なしの判断が行われなかった場合には、第2のタイマエリア10c−6はリセット再スタートされることがなく、これを利用して行っている計時が所定日数となってしまう。
【0030】
第2の設定圧力値を越える圧力上昇がなく、所定日数の計時が行われたときに、第2の設定圧力値が下限値に等しくない場合、差圧記憶エリア10c−3に記憶されている差圧最大値と下限値より小さい所定値α(例えば2mmH2 O)との差が下限値より大きいとき、すなわち、差圧最大値−α<下限値でないことを条件に、第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に(差圧最大値−α)を第2の設定圧力値として記憶させ、差圧最大値と下限値より小さい所定値αとの差が下限値より小さいとき、すなわち、差圧最大値−α<下限値であることを条件に、第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に下限値αを第2の設定圧力値として記憶させる。
【0031】
これに対し、第2の設定圧力値を越える圧力上昇がなく、所定日数の計時が行われたときに、第2の設定圧力値が既に下限値となっている場合、CPU10aはガス漏洩の疑いありとして表示器11に警報表示を行うと共に、ガス供給設備に異常があることを、モデムなどからなる電話回線インタフェース12を介して電話回線により、ガス供給業者等(図示せず)へ通報する。なお、第2の設定圧力値が下限値でない場合には、直ちに警告表示を行わず、第2の設定圧力値の変更のみを起こっているが、この場合、警報予告を行うようにしてもよい。
【0032】
なお、設備改善などによって、供給設備の状況が変わったときには、初期化入力手段としての初期化入力スイッチ13の操作によって、第2の設定圧力値を初期値に戻すと共に、第2のタイマエリア10c−6を利用した所定日数の計時もリセットして上述の動作を繰り返す。
【0033】
以上、装置の構成と概略動作を説明したが、動作の詳細をマイコン10内のCPU10aが予め定めたプログラムに従って行う処理を示す図4のフローチャートを参照して以下説明する。
【0034】
CPU10aは電源の投入又は初期化入力スイッチ11の操作によって動作を開始し、その最初のステップS1において初期化処理を行う。このステップS1の初期化処理においては、第1の設定圧力値記憶エリア10c−2にガス圧力調整器の調整圧力下限値を、第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に上限値をそれぞれ設定すると共に、第1のタイマエリア10c−5及び第2のタイマエリア10c−6を利用した所定日数の計時をスタートさせる。
【0035】
その後ステップS2に進んで第2のタイマエリア10c−6を利用して所定日数の計時をし終わったか否かを判定する。このステップS2の判定がNO、すなわち、第2のタイマエリア10c−6を利用した所定日数の計時が終わっていないときには、ステップS3に進む。ステップS3においては、第1のタイマエリア10c−5を利用して所定時間の計時を行ったか否かを判定し、この判定がYESとなるまでステップS2に戻ってステップS2及びS3の判定を繰り返す。ステップS3の判定がYESとなったとき、すなわち、第1のタイマエリア10c−5を利用して所定時間を計時したときにはステップS4に進む。
【0036】
ステップS4においては、圧力センサ6から入力する圧力信号によってガス供給配管5内の圧力を測定する。続いてステップS5に進んでステップS4における圧力測定が初回のものであるか否かを判定する。ステップS5の判定がYESであるとき、すなわち初回測定であるときにはステップS6に進み、ここで上記ステップS4において測定したガス圧力を基準圧力としてRAM10c内の圧力記憶エリア10c−1に記憶してから上記ステップS2に戻って上述の処理を繰り返す。
【0037】
上記ステップS5の判定がNOのとき、すなわち、ステップS4における圧力測定が初回のものでないときにはステップS7に進んで上記ステップS4において測定したガス圧力と上記ステップ6においてRAM10c内の圧力記憶エリア10c−1に記憶した基準圧力とを比較してその差圧を求める。次にステップS8に進み、ここで上記ステップS7で求めた差圧がそれ以前の差圧よりも大きければ、これを差圧記憶エリア10c−3に最大値として記憶する。勿論、それ以前記最大値の記憶がなければ、それを最大値として記憶することになる。
【0038】
その後ステップS9に進み、ここで差圧が正であるか否か、すなわち圧力上昇であるか否かを判定し、判定がNOであるときには基準圧力が適切でなく高すぎると判断してステップS6に進んで上記ステップS4において測定したガス圧力を新しい基準圧力として圧力記憶エリア10c−1に記憶することによって基準圧力を更新する。このような状況は、ガス使用停止時の外気温が高くその後温度が下がる場合に、ガス供給配管内の圧力がガス使用停止時よりも低下する発生する現象が生じる。よって、上記ステップS6における基準圧力の更新はその後の温度上昇に伴う圧力上昇を適切に捕らえるためには有効なことである。上記ステップS9の判定がYESのとき、すなわち、差圧が正であるときには、ステップS10に進んで差圧が第2の設定圧力値を越えているか否かを判定する。
【0039】
上記ステップS9の判定は、第2の設定圧力値以上の圧力上昇があるかどうかを判断して微少ガス漏洩の有無を検出するためのものである。圧力上昇が第2の設定圧力値を越えていなく判定がNOであるときには、微少ガス漏洩なしと判断できないとして上記ステップS2に戻る。これに対し、圧力上昇が第2の設定圧力値を越えていて判定がYESであるときには、微少ガス漏洩がないと判断してステップS11に進んで第2のタイマエリア10c−6を利用して計時している所定日数をリセットして第2のタイマエリアによる所定日数の計時を再スタートさせてから上記ステップS2に戻る。
【0040】
上述した第2のタイマエリア10c−6を利用して行われる計時がリセットされることなく所定日数経過すると、すなわち、所定日数の間圧力上昇が第2の設定圧力値を越えず上記ステップS10の判定がNOであり続けると、上記ステップS2の判定がYESとなってステップS12に進む。ステップS12においては、第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶されている第2の設定圧力値が下限値に等しいか否かを判定する。
【0041】
例えば初期化処理の際に設定された第2の設定圧力値の上限値が第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶されていて、このステップS12の判定がNOのときは第2の設定圧力値の下方修正が可能であると判断してステップS13に進む。ステップS13においては、差圧記憶エリア10c−3に記憶されている差圧最大値と第2の設定圧力値の下限値より小さい所定値αとの差が下限値より小さい、すなわち(差圧最大値−α)<下限値であるか否かを判定する。
【0042】
このステップS13の判定がNOで差圧最大値と第2の設定圧力値の下限値より小さい所定値αとの差が下限値に等しいか又は下限値よりも大きいときには、ステップS14に進んで第2の設定圧力値を(差圧最大値−α)に修正し、この修正した第2の設定圧力値をそれまでのものに代えて第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶させる。
【0043】
一方、ステップS13の判定がYESのとき、すなわち
差圧最大値と第2の設定圧力値の下限値より小さい所定値αとの差が下限値より小さい、すなわち(差圧最大値−α)<下限値であるときにはステップS15に進む。ステップS15においては、第2の設定圧力値を下限値に修正し、この修正した第2の設定圧力値をそれまでのものに代えて第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶させる。
【0044】
上記ステップS14及びS15においてそれぞれ修正を行い、新しい第2の設定圧力値を第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶させた後は上記ステップS2に戻り、新しい第2の設定圧力値による上述した微少ガス漏洩検出動作を繰り返す。このように圧力上昇を判定するための判定値である第2の設定圧力値が最終的に下限値に下方修正されるようになっているので、ガス供給配管の埋設部分が多かったり、或いは日当たりが悪いために、外気温が上昇してもガス供給配管内のガスがそれに応じて温度上昇せず圧力上昇も小さくなったとき、誤って微少ガス漏洩ありと警報表示されることが避けられ、下方修正された新しい判定値によって再度微少ガス漏洩の検出を行うことができるようになる。
【0045】
なお、ステップS14及びS15からステップS2に戻る際に破線で示すステップS16において警報予告処理を行い、例えば計量装置での表示によって或いは電話回線による通報によってガス供給業者等に、第2の設定圧力値を修正したことを知らせるようにするとよい。
【0046】
上記ステップS12の判定がYESのとき、すなわち、第2の設定圧力値が既にその下限値に等しくなっているときには、それ以上の第2の設定圧力値の修正ができないので、ステップS17に進んで表示器11に警報表示を行って微少ガス漏洩検出動作を終了する。
【0047】
以上説明した実施の形態によれば、所定日数の間圧力上昇が第2の設定圧力値を越えることがないと、直ちに警告表示することなく、第2の設定圧力値記憶エリア10c−4に記憶されている第2の設定圧力値が下限値に等しいか否かを判定し、第2の設定圧力値の下方修正が可能であるときには、差圧記憶エリア10c−3に記憶されている差圧最大値と第2の設定圧力値の下限値より小さい所定値αとの差が下限値より小さいかどうかによって、下方修正の仕方を変えている。小さいときには差圧最大値下限値に近づいているので、判定値を下限値に修正する。
【0048】
これに対し、差圧最大値と所定値αとの差が下限値に等しいか又は下限値よりも大きいときには、差圧最大値と所定値αとの差、すなわち、(差圧最大値−α)≧下限値であるときには第2の設定圧力値を(差圧最大値−α)に修正し、この修正した第2の設定圧力値をそれまでのものに代えて記憶させる。
【0049】
上述のように、圧力上昇を判定するための判定値である第2の設定圧力値が最終的に下限値に下方修正されるようになっているので、ガス供給配管の埋設部分が多かったり、或いは日当たりが悪いために、外気温が上昇してもガス供給配管内のガスがそれに応じて温度上昇せず圧力上昇も小さくなったとき、誤って微少ガス漏洩ありと警報表示されることが避けられ、下方修正された新しい判定値によって再度微少ガス漏洩の検出を行うことができるようになる。
【0050】
第2の設定圧力値を修正したとき、その旨を例えば計量装置での表示によって或いは電話回線による通報によってガス供給業者等に知らせるようにしているので、これによってガス供給業者等は、当初判定値がガス供給配管に適切でなかったをこと知ることができる。
【0051】
以上説明したフローチャートにCPU10aが行う処理から明らかなように、CPU10aは、ガス使用停止後に圧力センサ6が検出した圧力と圧力記憶エリア10c−1に記憶されている基準圧力との圧力差を求める差圧手段10a−1として、差圧手段10a−1によって求めた圧力差と漏洩なし判定値記憶エリア10c−4に記憶された判定値とを比較し、圧力差が判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定する漏洩なし判定手段10a−2として、漏洩なし判定手段10a−2が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、漏洩なし判定値記憶エリア10c−4に記憶されている判定値が予め定められた下限値に等しいとき微少ガス漏洩を警報する警報手段10a−3として、漏洩なし判定手段10a−3が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、漏洩なし判定値記憶エリア10c−4に記憶されている判定値が予め定められた下限値より大きいとき判定値を下方修正し、修正した判定値をそれ以前のものに代えて漏洩無し判定値記憶エリア10c−4に記憶させる判定値修正手段10a−4としてそれぞれ機能している。
【0052】
CPU10aはまた、判定値修正手段10a−4により判定値を下方修正したときその旨を警報する第2の警報手段10a−5として機能している。
【0053】
上記判定値修正手段10a−4として機能するCPU10aは、差圧記憶エリア10c−3に記憶している差圧最大値と所定値との差が判定値の下限値に等しいか又は下限値より大きいとき、判定値を差圧最大値と所定値との差に下方修正し、差圧記憶エリアに記憶している差圧最大値と所定値の差が判定値の下限値より小さいとき、判定値を判定値の下限値に下方修正する。
【0054】
警報手段10a−3として機能するCPU10aは、漏洩なし判定手段10a−2が微少ガス漏洩なしを判定したとき計時をリセットし、所定日数の計時を再スタートする計時手段10c−6を有し、計時手段10c−6が所定日数を計時したことにより、漏洩なし判定手段10a−2が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しないことを検出する。
【0055】
CPU10aは更に、初期化入力スイッチ13の操作に応じ、計時手段10c−6をリセットすると共に、漏洩なし判定値記憶手段10c−4に予め定められた上限値を判定値として記憶させる初期化手段10a−6として機能する。
【0056】
上述した実施の形態では、圧力式ガス微少漏洩検出装置本体9は、予め定めたプログラムに従って動作するマイコン10によって構成されているが、各手段を個別に形成して構成するようにしてもよい。
【0057】
また、上述の実施の形態では、圧力式ガス微少漏洩検出装置本体9はガスメータ4と別体に構成されるようになっているが、この装置本体9をガスメータ4に内蔵させると共に、マイコン10にガスメータ4の有する各種の機能を実現するためのプログラムに従った処理を行わせるようにしてもよい。この場合、ガスの使用が停止したときガス供給配管内の圧力を検出する圧力検出手段として、ガス流量を積算して積算流量を求めるためにガスメータ10が有する流量センサを流用することが可能になる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合でも、判定値が予め定められた下限値に等しくないことを条件に、判定値が予め定められた下限値より大きいときには、判定値を下方修正し、修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させ、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合であっても、判定値が予め定められた下限値に等しくなるまでは、微少ガス漏洩を警報することがないので、ガス微少漏洩なしの判定をガス供給設備に応じた最適値によって行え、当初大きすぎた判定値によって微少ガス漏洩を誤って警報することをなくなり、判定値が高くても問題のない設備は安全性を落とさずに漏洩なしを判定できる圧力式微少ガス漏洩検出装置を提供することができる。
【0059】
上述した請求項2記載の構成によれば、判定値を下方修正したときその旨を警報して判定値の修正を知らせるので、実際にガス微少漏洩があるときには、これが警報予告となり、判定値が予め定められた下限値に等しくなるまでは、微少ガス漏洩を警報しないことによる不都合をカバーする圧力式微少ガス漏洩検出装置を提供することができる。
【0060】
上述した請求項3記載の構成によれば、差圧最大値、すなわち、ガス供給配管内の圧力の上昇が判定値の下限値より大きくても判定値が最終的に下方修正されるので、当初判定値に対して差圧最大値が小さすぎても、最終的には下限値からなる判定値において所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合に微少ガス漏洩を警報することができ、大きすぎた判定値によって微少ガス漏洩を誤って警報することをなくした圧力式微少ガス漏洩検出装置を提供することができる。
【0061】
上述した請求項4記載の構成によれば、微少ガス漏洩なしを判定したとき計時をリセットされて所定日数の計時を再スタートし、所定日数を計時したことにより、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しないことを検出して、微少ガス漏洩を警報するに当たって所定日数の期間微少ガス漏洩なしのないことを確実に検出するので、微少ガス漏洩を確実に警報する圧力式微少ガス漏洩検出装置を提供することができる。
【0062】
上述した請求項5記載の構成によれば、初期化入力操作に応じ、計時手段をリセットするとと共に予め定められた上限値を判定値として記憶させ、任意の時点でそれまでの判定値による動作を中止させると共に、新しい初期の判定値による動作を開始させることができるので、ガス供給配管などを更新したときでも、それまでの判定値を改めることができ、適切でない判定値によって微少ガス漏洩を誤って警報することをなくした圧力式微少ガス漏洩検出装置を提供することができる。
【0063】
上述した請求項6記載の手順によれば、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、判定値が予め定められた下限値に等しいときのみ微少ガス漏洩を警報し、判定値が予め定められた下限値より大きいとき判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させるようにしているので、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合であっても、判定値が予め定められた下限値に等しくなるまでは、微少ガス漏洩を警報しないので、ガス微少漏洩なしの判定をガス供給設備に応じた最適値によって行え、当初大きすぎた判定値によって微少ガス漏洩を誤って警報することをなくする圧力式微少ガス漏洩検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧力式微少ガス漏洩検出装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による圧力式微少ガス漏洩検出装置の一実施の形態を示す図である。
【図3】図2中のマイコン内のRAM中に形成された各種のエリアを示す図である。
【図4】図2中のマイコン内のCPUが行う処理を示すフローチャートである。
【図5】微少ガス漏洩を検出する原理を説明するための説明図である。
【図6】微少ガス漏洩のないとき(a)とあるとき(b)の圧力の変化を比較して示す説明図である。
【符号の説明】
6 圧力検出手段(圧力センサ)
13 初期化入力手段(入力スイッチ)
10a−1 差圧手段(CPU)
10a−2 漏洩なし判定手段(CPU)
10a−3 警報手段(CPU)
10a−4 判定値修正手段(CPU)
10a−5 第2の警報手段(CPU)
10a−6 初期化手段(CPU)
10c−1 圧力記憶手段(RAM)
10c−3 差圧記憶手段(RAM)
10c−4 漏洩なし判定値記憶手段(RAM)
10c−6 計時手段(RAM)
Claims (6)
- ガス供給配管内の圧力を検出する圧力検出手段と、
ガス使用停止直後に前記圧力検出手段が検出した前記ガス供給配管内の圧力を基準圧力として記憶する圧力記憶手段と、
ガス使用停止後に前記圧力検出手段が検出した圧力と前記圧力記憶手段に記憶されている基準圧力との圧力差を求める差圧手段と、
微少ガス漏洩なしを判定するための判定値を記憶する漏洩なし判定値記憶手段と、
前記差圧手段によって求めた圧力差と前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶された判定値とを比較し、前記圧力差が前記判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定する漏洩なし判定手段と、
該漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている前記判定値が予め定められた下限値に等しいとき微少ガス漏洩を警報する警報手段と、
前記漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶されている前記判定値が予め定められた下限値より大きいとき前記判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて前記漏洩なし判定値記憶手段に記憶させる判定値修正手段と
を備える圧力式微少ガス漏洩検出装置。 - 前記判定値修正手段により前記判定値を下方修正したときその旨を警報する第2の警報手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置。 - 前記判定値修正手段は、前記差圧手段によって求めた圧力差の最大値を記憶する差圧記憶手段を有し、前記差圧記憶手段に記憶している前記差圧最大値と前記判定値の前記下限値より小さい所定値との差が前記下限値より大きいとき、前記判定値を前記差圧最大値と前記所定値との差に修正し、前記差圧記憶手段に記憶している前記差圧最大値と前記判定値の前記下限値より小さい所定値との差が前記下限値より小さいとき、前記判定値を前記判定値の前記下限値に修正する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置。 - 前記警報手段は、前記漏洩なし判定手段が微少ガス漏洩なしを判定したとき計時をリセットされ、前記所定日数の計時を再スタートする計時手段を有し、該計時手段が前記所定日数を計時したことにより、前記漏洩なし判定手段が所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しないことを検出する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置。 - 初期化入力手段と、
該初期化入力手段の操作に応じ、前記計時手段をリセットするとと共に、前記漏洩なし判定値記憶手段に予め定められた上限値を判定値として記憶させる初期化手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の圧力式微少ガス漏洩検出装置。 - ガスの使用が停止したとき、ガス使用停止直後に検出したガス供給配管内の圧力を基準圧力として記憶し、
その後検出した圧力と前記記憶した基準圧力との圧力差を求め、
前記求めた圧力差と予め記憶した微少ガス漏洩なしを判定するための判定値とを比較し、前記圧力差が前記判定値より大きいとき微少ガス漏洩なしを判定し、所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記判定値が予め定められた下限値に等しいとき微少ガス漏洩を警報し、
所定日数の期間微少ガス漏洩なしを判定しない場合、前記判定値が予め定められた下限値より大きいとき前記判定値を下方修正し、該修正した判定値をそれ以前のものに代えて記憶させる
圧力式微少ガス漏洩検出方法。
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