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JP4183106B2 - 車両のメインスイッチ装置 - Google Patents

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JP4183106B2
JP4183106B2 JP21133499A JP21133499A JP4183106B2 JP 4183106 B2 JP4183106 B2 JP 4183106B2 JP 21133499 A JP21133499 A JP 21133499A JP 21133499 A JP21133499 A JP 21133499A JP 4183106 B2 JP4183106 B2 JP 4183106B2
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漢權 許
明順 姚
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台湾山葉発動機研究開発中心股▲分▼有限公司
台湾山葉機車工業股▲分▼有限公司
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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、シリンダ錠式のメインスイッチを備えて、このメインスイッチのキー操作により、操向ハンドルの車体に対するロックや、車体に対するシートロックの解除等を選択可能とさせるようにした車両のメインスイッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車には、従来、次のように構成されたものがある。
【0003】
即ち、自動二輪車には、車体に操向自在に支承されるハンドルと、上記車体に備えられた物入れ箱の開口を開閉自在に閉じるシートと、上記車体にハンドルをロック、ロック解除可能とするハンドルロック手段と、上記車体にシートをロック、ロック解除可能とするシートロック手段と、電源を走行駆動源に対してオン、オフ可能とさせる電源スイッチと、上記ハンドルロック手段とシートロック手段の各ロック、ロック解除と、上記電源スイッチのオン、オフとを選択可能にさせるシリンダ錠式のメインスイッチとが設けられ、このメインスイッチは車体に取り付けられている。
【0004】
上記メインスイッチは、車体に取り付けられたシリンダ部材と、このシリンダ部材と同じ軸心上でこのシリンダ部材に内嵌されるローター部材とを備えている。このローター部材は、このローター部材に対するキーの挿抜自在の挿入で上記軸心回りに回動可能とされ、上記ローター部材に挿入されたキーを把持し、このキーを回動させるよう操作すれば、これに連動して上記ローター部材が回動させられるようになっている。
【0005】
上記ローター部材は、このローター部材を上記軸心回りに回動させることにより、上記シリンダ部材の上記軸心回りでの周方向における複数所定位置のいずれかの位置に、択一的に位置付け可能とされている。
【0006】
より具体的には、上記軸心回りでの上記ローター部材の回動で、このローター部材はその周方向の特定部分が、電源スイッチをオフさせるオフ位置と、このオフ位置から上記軸心回りの一方向に所定角偏位して上記電源スイッチをオンさせるオン位置と、上記オフ位置から上記一方向とは逆方向に所定角偏位して上記ハンドルロック手段をロックさせるハンドルロック位置と、上記オン位置から所定角偏位して上記シートロック手段をロック解除させるシートロック解除位置との各位置に対し、択一的に位置付けされる。
【0007】
そして、上記ローター部材にキーを挿入させて軸心回りに回動させ、上記ローター部材をオフ位置に位置付けさせると、電源スイッチがオフされて、走行駆動源等に対する電源からの電力供給が遮断される。一方、上記ローター部材をオン位置に位置付けさせると、上記電源スイッチがオンされて、上記走行駆動源等に電力が供給され、これの始動等が可能とされる。
【0008】
また、上記車体に対しハンドルを、その操向軸心回りにおける複数の所定操向角のうち、いずれか所望の操向角にさせて、上記ローター部材をハンドルロック位置に位置付けさせると、上記操向角で上記車体に対しハンドルが前車輪と共にロック可能とされている。
【0009】
ここで、例えば、メインスタンドを用いて、このメインスタンドと前車輪とを路面に接地させ自動二輪車を自立姿勢にさせることにより、この自動二輪車を駐車させるときには、通常、上記ローター部材をオフ位置から上記したようにハンドルロック位置に位置付けして、車体に対しハンドルをロックさせることが行われ、この駐車状態(以下、これを「駐車状態」と表現する)で駐車させられる。
【0010】
一方、上記ローター部材をシートロック解除位置に位置付けさせると、シートロック手段のロックが解除され、これにより、車体に対しロック解除されたシートへの操作により、このシートによって閉じられていた物入れ箱の開口が開放され、小荷物の出入作業が可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように、車両を上記「駐車状態」にさせた直後に、ライダーが上記物入れ箱に対し小荷物の出入作業をする必要に気付くことが多々あり、この場合には、上記ローター部材を上記したハンドルロック位置からシートロック解除位置に位置付けさせてシートロック手段をロック解除させ、シートへの操作により上記開口を開放させることが行われる。
【0012】
ここで、上記従来の技術では、上記したようにオン位置から所定角偏位してシートロック解除位置が設けられているため、上記ローター部材をハンドルロック位置からシートロック解除位置に位置付けさせるときには、一旦、上記ハンドルロック位置からオフ位置、およびオン位置に位置付けすることを経由した後、シートロック解除位置に位置付けさせる必要がある。
【0013】
しかし、上記ローター部材を一旦オフ位置に位置付けすると、上記車体に対しハンドルがロック解除されてしまうこととなる。
【0014】
このため、第1に、上記小荷物の出入作業を終えて、上記した「駐車状態」に復帰させようとするときには、再び、ローター部材を上記ハンドルロック位置に位置付けさせる必要があり、よって、上記従来の技術では、自動二輪車を一旦「駐車状態」にさせてから、物入れ箱に対し小荷物を出入作業しようとする場合には、時間がかかると共に、その作業が煩雑になるおそれがある。
【0015】
また、第2に、上記「駐車状態」で、上記物入れ箱への小荷物の出入作業をしようとするとき、この作業等の外力によって、路面へのメインスタンドの接地点を中心として自動二輪車の後部側が下方回動し、もって、前車輪が路面から浮き上がることによって、この路面に対する前車輪の摩擦力が急減したとすると、この前車輪がフロントフォークやハンドルと共に不意に操向回動して車体が不安定となるおそれがあり、よって、片手で上記小荷物の出入作業をしているときには、もう一方の手でハンドルを把持して車体を安定した状態に保持させることに留意する必要があり、また、両手で上記出入作業をせざるを得ないときには、車体を安定した状態に保持させるため、この出入作業時に、車体に大きな外力が与えられないよう留意する必要があり、よって、上記留意が必要である分、上記物入れ箱に対する小荷物の出入作業が煩雑になるおそれがある。
【0016】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、停車中の車両における物入れ箱に対し、小荷物の出入作業をする場合に、この作業が迅速かつ容易にできるようにすることを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の車両のメインスイッチ装置は、次の如くである。
【0018】
請求項1の発明は、車体1aに取り付けられたシリンダ錠式のメインスイッチ67がシリンダ部材68と、このシリンダ部材68に内嵌されるローター部材70とを備え、このローター部材70に挿入されたキー72で上記ローター部材70をその軸心69回りに回動可能にさせ、この軸心69回りで上記ローター部材70が、電源スイッチ64をオフさせるオフ位置86と、このオフ位置86から上記軸心69回りの一方向Gに所定角偏位して上記電源スイッチ64をオンさせるオン位置87と、上記オフ位置86から上記一方向Gとは逆方向Hに所定角偏位してハンドルロック手段51をロックさせるハンドルロック位置88と、シートロック手段59をロック解除させ手物入れ箱27への小荷物の出入作業を可能とさせるシートロック解除位置との各位置に対し、択一的に位置付けされるようにした車両のメインスイッチ装置において、
【0019】
上記シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置88から上記軸心69回りに所定角偏位してこのハンドルロック位置88に隣接する位置に設け、上記ハンドルロック手段51をロックさせた状態のままで、上記ローター部材70を上記ハンドルロック位置88から上記シートロック解除位置91に位置付け可能としたものである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記シートロック解除位置91を、上記ハンドルロック位置88から上記逆方向Hに所定角偏位させたものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記軸心69回りで、上記ハンドルロック位置88と上記オフ位置86の間の角度よりも、上記ハンドルロック位置88と上記シートロック解除位置91の間の角度を小さくしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0023】
図2,3において、符号1はスクータ型の自動二輪車として例示した鞍乗型車両を示し、矢印Frはこの車両1の前方を示し、下記する左右とは上記前方に向っての方向をいうものとする。
【0024】
上記車両1の車体1aは車体フレーム2を備え、この車体フレーム2は、その前端部を構成するヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3から後下方に延出するダウンチューブである前部フレーム4と、この前部フレーム4の延出端から後方に向ってほぼ水平に延出する左右一対の中間部フレーム5,5と、これら各中間部フレーム5,5の各延出端に一体的に取り付けられる左右一対の後部フレーム6,6と、これら左右フレーム5,6同士を互いに結合させるクロスメンバ7といを備えている。また、上記各後部フレーム6は、上記各中間部フレーム5の延出端から後上方に向って延出する傾斜フレーム9と、この傾斜フレーム9の延出端から後方に向ってほぼ水平に延出する水平フレーム10とを備えている。
【0025】
上記車体フレーム2の各構成部品3〜7は、いずれも断面円形の金属パイプ(チューブ)で成形されている。
【0026】
上記ヘッドパイプ3にはフロントフォーク13がその操向軸心回りに操向自在に支承されている。このフロントフォーク13の下端には車軸14により前車輪15が支承され、上記フロントフォーク13の上端には操向用のハンドル16が固着され、これら前車輪15とハンドル16も上記フロントフォーク13を介し上記ヘッドパイプ3に操向自在に支承されている。また、上記ハンドル16の左右各端部がグリップ17とされている。
【0027】
上記各傾斜フレーム9の後方、かつ、各水平フレーム10の下方に前後方向に長い形状の車両走行用駆動手段である駆動ユニット19が配設されている。この駆動ユニット19の前端部は枢支軸である枢支具20により上記車体フレーム2における中間部フレーム5と後部フレーム6との結合部に枢支され、上記駆動ユニット19の後部側が上記枢支具20を中心として上下に揺動自在とされ、この駆動ユニット19の揺動端部(後端部)に車軸21により後車輪22が支承されている。また、上記駆動ユニット19の揺動端部を上記後部フレーム6の水平フレーム10の後端部に支持させる緩衝器23が設けられている。
【0028】
上記車両1は、上記前車輪15と後車輪22とにより路面25上に支持され、上記フロントフォーク13が有する緩衝器と上記緩衝器23とが、車両1に対し路面25側から与えられようとする衝撃力を緩和する。なお、上記枢支具20はリンク機構であってもよい。
【0029】
上記左右水平フレーム10,10の間に車体1aを構成する樹脂製の物入れ箱27が配設されると共に、この物入れ箱27は上記各水平フレーム10に強固に支持されている。上記物入れ箱27はその上端部に上方に向って開放される開口28を有し、この開口28を通しその上方から上記物入れ箱27の内部空間に小荷物(ヘルメット、アタッシュケース等)が挿抜自在に挿入されて収納可能とされている。
【0030】
上記車体1aの物入れ箱27上にはシート29が載置されて支持され、この場合、このシート29は上記開口28をその上方から開閉自在に覆って閉じている。上記シート29はその前端部が上記物入れ箱27に枢支具30により枢支され、上記シート29の後端部側が上記枢支具30を中心として前上方に向って往、復回動(A,B)自在とされ、この往回動Aで上記開口28が上方に向って開放される。また、上記シート29を往回動Aさせて起立姿勢(図2中二点鎖線)にさせたとき、その姿勢のままに自立可能とされている。この状態から上記シート29を復回動Bさせれば、このシート29が上記物入れ箱27上に載置される元の状態に戻る。
【0031】
上記左右中間部フレーム5,5の上面側に足載せ台32が配設されてこれら中間部フレーム5に支持されている。上記足載せ台32には、シート29に着座したライダーの足が載置可能とされ、また、シート29に着座したライダーは上記各グリップ17を把持可能とされている。
【0032】
前記駆動ユニット19は、その前部を構成し内燃機関として例示される走行駆動源35と、この走行駆動源35に連設される燃料供給装置である気化器36およびエアクリーナ37と、上記走行駆動源35の後部に一体的に取り付けられる動力伝達装置38とを備えている。上記気化器36に燃料を供給可能とする燃料タンク40が上記物入れ箱27の後方近傍に配設され、上記燃料タンク40は上記左右水平フレーム10,10の後部に支持されている。また、燃料タンク40はその上面に燃料注入口を開閉自在に閉じるキャップ41を備えている。なお、上記走行駆動源35は電動機であってもよい。
【0033】
車体1aは、上記車体フレーム2のヘッドパイプ3とフロントフォーク13とをその前方から覆って上記ヘッドパイプ3に支持されるフロントカウル43と、上記ヘッドパイプ3と前部フレーム4とをその後方から覆うと共に上記足載せ台32上のライダーの脚をその前方から覆って保護するレッグシールド44と、上記後部フレーム6、物入れ箱27、および燃料タンク40をその前方および各外側方から覆うリヤカバー46とを備えている。
【0034】
前後方向における上記両車軸14,21の間の車体1aの中途部の下部に上記駆動ユニット19を介し枢支されるメインスタンド48が設けられている。より具体的には、上記走行駆動源35のクランクケースと、動力伝達装置38の各下面に沿うようにメインスタンド48が配設され、このメインスタンド48の前端部が上記走行駆動源35の下面に枢支され、上記メインスタンド48の後端部側が上記枢支具49を中心として前下方に向って往、復回動(C,D)自在とされている。
【0035】
上記したメインスタンド48の姿勢は収納姿勢とされ、このメインスタンド48は路面25から離れて位置させられる。一方、上記メインスタンド48を往回動Cさせれば起立姿勢(図2中二点鎖線)にさせることができ、これら各姿勢は、不図示のストッパやばねによって保持可能とされている。
【0036】
上記メインスタンド48を往回動Cさせて起立姿勢にさせれば、このメインスタンド48の下端が上記路面25に接地し、この際、車両1の重心が上記メインスタンド48の下端よりも前側にある関係で、上記後車輪22が図2中二点鎖線で示すように路面25から離され、上記前車輪15とメインスタンド48とが路面25に接地し、これにより、車両1は路面25上に自立可能とされる。
【0037】
車両1を走行させようとする場合、上記メインスタンド48を収納姿勢にさせると共に、上記走行駆動源35を始動させて駆動させ、その駆動力を上記動力伝達装置38を介し後車輪22に伝達させれば、走行が可能となる。この走行時には、ハンドル16への操作によりフロントフォーク13を介し前車輪15を操向させる。一方、車両1を駐車させるときには、走行駆動源35の駆動を停止させると共に、上記したようにメインスタンド48を起立姿勢にさせて、車両1を自立させればよい。
【0038】
上記車両1の駐車時に、上記ハンドル16を、その操向軸心回りにおける複数の所定操向角のうち、いずれか所望の操向角で、車体1aのヘッドパイプ3に対しフロントフォーク13、前車輪15と共に操向不能となるようロック、ロック解除可能とさせるハンドルロック手段51が設けられている。
【0039】
図1,4,5において、上記ハンドルロック手段51は、上記ヘッドパイプ3に締結具52により着脱自在に締結されるケーシング53と、上記フロントフォーク13に形成されるロック孔である被ロック部54と、上記ケーシング53に移動自在に支承されて上記被ロック部54に係脱自在(嵌脱自在)とされるロック軸であるロック部55と、上記ケーシング53に支承され外部からの操作力を入力して上記ロック部55を上記被ロック部54に係脱自在とさせるクランク形状の操作部56とを備えている。
【0040】
図1〜5において、上記シート29が物入れ箱27の開口28を全閉に閉じた状態で、上記シート29を車体1aに対しロック、ロック解除可能とさせるシートロック手段59が設けられている。
【0041】
上記シートロック手段59は、詳図しないが、前記ハンドルロック手段51と同様の構成を備えており、つまり、上記物入れ箱27に締結具により締結されるケーシングと、上記シート29の回動端部に設けられる被ロック部と、上記ケーシングに支承されて上記被ロック部に係脱自在とされるロック部と、外部からの操作力を入力して上記ロック部を被ロック部に係脱自在に係止させる操作部60とを備えている。上記シート29が開口28を開放させている状態から、上記シート29を復回動Bさせて開口28を全閉にさせると、上記シートロック手段59は上記シート29を物入れ箱27に自動的にロックさせるようになっている。
【0042】
上記操作部60は、左右の一方向に向って直線的に往、復移動(E,F)自在となるよう上記ケーシング53に支承される可動体61と、この可動体61に上記ロック部を連動連結させるケーブル手段62とを備え、このケーブル手段62は、車体フレーム2のヘッドパイプ3、前部フレーム4、中間部フレーム5、および後部フレーム6の各内部空間を利用して配索されている。
【0043】
上記可動体61は、上記シートロック手段59に設けられた不図示のスプリングにより、ケーブル手段62を介して、図1,4で示した元の位置に向って常時復移動Fするように付勢されている。上記シートロック手段59をロックさせたとき、上記スプリングの付勢力で上記シートロック手段59はロック状態のままに保持される。
【0044】
車両1に搭載されたバッテリなどの電源と、走行駆動源35の始動スイッチやエンジン制御装置等の電気、電子部品との間に介設されて、これら部品を上記電源に接続(オン、ON)、遮断(オフ、OFF)可能とさせる電源スイッチ64が設けられている。
【0045】
上記車両1はメインスイッチ装置66を備え、このメインスイッチ装置66は、シリンダ錠式のメインスイッチ67を備えている。
【0046】
図1,4,5において、上記メインスイッチ67は、車体1aのヘッドパイプ3に前記ケーシング53を介し取り付けられて上下方向に延びるシリンダ部材68と、このシリンダ部材68と同じ軸心69上でこのシリンダ部材68に内嵌され上記軸心69回りに回動自在とされるローター部材70と、上記シリンダ部材68に対しローター部材70を係脱可能に係止させる不図示のタンブラ(係止手段)とを備えている。
【0047】
上記ローター部材70の軸方向における上端部には所定形状のキー72を挿抜自在とさせるキー孔73が形成され、このキー孔73への上記キー72の挿入により、上記シリンダ部材68へのローター部材70の係止が解除され、このローター部材70の上記回動が可能とされる。これにより、上記ローター部材70に挿入されたキー72を把持し、このキー72を回動させるよう操作すれば、これに連動して上記ローター部材70が上記軸心69回りに回動させられるようになっている。
【0048】
上記キー孔73へのキー72の挿入状態で、上記ローター部材70は、上記シリンダ部材68に対しその軸方向に移動自在とされている。上記シリンダ部材68の上端部に上記ローター部材70の所定以上の上方移動を阻止するストッパ75が形成され、上記ローター部材70は、上記ストッパ75により上記上方移動を阻止されて図5中実線図示のように「通常位置」に位置決めされる。また、上記ローター部材70を上方に弾性的に付勢して上記ローター部材70を上記「通常位置」に保持するばね76が設けられている。
【0049】
上記キー孔73へのキー72の挿入状態で、上記ローター部材70をばね76に抗して下方に押し、上記ローター部材70を上記ストッパ75から離反する方向(下方)に所定寸法だけ、下方移動させると、このローター部材70は、それ以上の下方移動が阻止されて、図5中一点鎖線で示すように「移動位置」に位置決めされる。
【0050】
上記ローター部材70に上記ハンドルロック手段51の操作部56、シートロック手段59の操作部60の可動体61、および電源スイッチ64を連動連結させる連動手段79が設けられている。
【0051】
上記連動手段79により、上記操作部56に対し上記ローター部材70がその軸方向でのみ摺動自在となるようスプライン嵌合させられており、また、上記連動手段79は、上記軸心69上に位置しその軸心69回りに回動自在となるよう上記ケーシング53を介してシリンダ部材68に支承される円筒形状の回動体80と、上記ローター部材70から径方向外方に突設される嵌合突起である嵌合部81と、上記回動体80の内周面に形成されて「通常位置」のローター部材70の嵌合部81と嵌脱自在に嵌合する第1、第2被嵌合部82,83とを備え、これら嵌合部81と、第1、第2被嵌合部82,83はそれぞれ一対設けられている。
【0052】
上記ローター部材70を前記したように「通常位置」から「移動位置」にさせると、上記ローター部材70と共に移動する嵌合部81が上記回動体80の第1、第2被嵌合部82,83から離脱させられ、この回動体80に対するローター部材70の係合が解除され、この状態で、上記ローター部材70は上記回動体80と係わりなく軸心69回りで回動自在とされる。
【0053】
上記ローター部材70の「通常位置」から「移動位置」への移動による回動体80との係合解除と、この「移動位置」でのローター部材70の回動と、上記ばね76による「通常位置」への復元とにより、上記嵌合部81は第1、第2被嵌合部82,83のいずれか一方に選択的に嵌合可能とされている。
【0054】
上記回動体80の下端に対して上記ハンドルロック手段51の操作部56の上端が軸心69回りで相対的に回動自在とされている。一方、上記回動体80にシートロック手段59の操作部60の可動体61が連動連結されている。また、上記ローター部材70に上記ハンドルロック手段51の操作部56を介して上記電源スイッチ64が連動連結されている。
【0055】
上記ローター部材70は、このローター部材70を上記軸心69回りに回動させることにより、上記シリンダ部材68の上記軸心69回りでの周方向における複数所定位置(後述する符号86〜91)のうち、いずれかの位置に択一的に位置付け可能とされている。
【0056】
上記したローター部材70の“位置付け”とは、キー72への操作により、このキー72と共にローター部材70を上記軸心69回りに回動させることにより、上記シリンダ部材68の上記軸心69回りでの周方向のいずれかの部分(86〜91)に、上記ローター部材70の特定の部分(各図中、キー72の断面に付した仮想の●印に径方向で対応する部分)を位置させる、ということを意味しており、上記キー72への操作を解除してキー72およびローター部材70を自由状態にしたとき、このローター部材70が上記位置付けされた位置に停止状態に保持させられる、ということを意味するものではない。
【0057】
図1,4,5において、上記ローター部材70は、その「通常位置」にされたままの上記軸心69回りの回動で、上記電源スイッチ64オフ用のオフ位置86に位置付け(図1中実線、OFF)可能とされ、この位置付けの状態で、上記電源スイッチ64はオフされる。また、このオフ位置86への位置付けの状態では、キー72に対する操作を解除しても、ローター部材70はその位置に停止されたままの状態に保持される。
【0058】
上記したローター部材70のオフ位置86への位置付け状態では、図4で示すように嵌合部81は第1被嵌合部82と嵌合し、図1中実線で示すようにハンドルロック手段51はロック解除されていて、ハンドル16は操向可能である。また、シートロック手段59はロック可能状態とされており、つまり、上記シートロック手段59は、物入れ箱27の開口28を全閉にさせたシート29を物入れ箱27にロックさせた状態に保持し、また、上記物入れ箱27の開口28を全閉にさせるよう上記シート29を復回動Bさせるとき、このシート29を物入れ箱27にロックさせる。
【0059】
図1,5,6において、上記ローター部材70は、上記オフ位置86から、その「通常位置」にされたままで、一方向G(時計回り)に所定角(約30°)偏位した上記電源スイッチ64オン用のオン位置87に位置付け(ON)可能とされている。このオン位置87への位置付け(ON)により、上記ローター部材70にスプライン嵌合した操作部56を介し連動した電源スイッチ64がオンされて、走行駆動源35等に電力が供給可能とされ、これの始動や、その後の駆動の続行が可能とされる。また、このオン位置87への位置付けの状態では、キー72に対する操作を解除しても、ローター部材70はその位置に停止されたままの状態に保持される。なお、上記ローター部材70には、操作部56を介しロック部55が連動するが、ハンドルロック手段51はロック解除のままに保持される。
【0060】
上記オフ位置86からオン位置87に向うローター部材70の回動時には、上記軸心69回りで嵌合部81は第1被嵌合部82に係合しないこととされており、このため、上記ローター部材70をオン位置87に位置付けする場合、回動体80は元の位置に保持されて、シートロック手段59は上記ロック可能状態とされる。
【0061】
図1,5,7において、上記ローター部材70は、オフ位置86からその「移動位置」にされたままで、上記一方向Gとは反対の逆方向Hに所定角(約80°)偏位した操向ハンドル16ロック用のハンドルロック位置88に位置付け(LOCK)可能とされている。上記ローター部材70のハンドルロック位置88への位置付け(LOCK)により、上記ローター部材70に操作部56を介し連動するロック部55が被ロック部54に嵌入して(図1,5中一点鎖線)、上記車体1aにハンドル16をロックさせて操向不能とさせる。また、このハンドルロック位置88への位置付けの状態では、キー72に対する操作を解除しても、ローター部材70はその位置に停止されたままの状態に保持される。
【0062】
上記オフ位置86からハンドルロック位置88に向うローター部材70の回動時には、これは「移動位置」であって、嵌合部81は第1被嵌合部82に係合しないため、上記シートロック手段59はロック可能のままにされる。一方、電源スイッチ64は上記ローター部材70に操作部56を介し連動するが、オフのままに保持される。
【0063】
また、上記ローター部材70がハンドルロック位置88とされた後、ローター部材70を自由状態にさせると、このローター部材70はばね76の付勢力で上記「移動位置」から「通常位置」に戻され、この際、嵌合部81が第2被嵌合部83に嵌合することとされている。
【0064】
図1,5,8において、上記ローター部材70は、前記オフ位置86から「通常位置」とされたままで、逆方向Hに所定角(約45°)偏位したシートロック手段59のロック解除用の第1のシートロック解除位置89に位置付け(OPEN)可能とされている。
【0065】
上記ローター部材70をシートロック解除位置89に位置付け(OPEN)させるとき、上記嵌合部81が第1被嵌合部82に係合して、上記ローター部材70に回動体80を介し操作部60が連動して往移動Eし、上記シートロック手段59のロックが解除される。このため、前記シート29の操作によりその往回動Aが可能となり、このシート29の往回動Aにより物入れ箱27の開口28が開放される。また、この時、キー72への操作を解除すれば、上記操作部60は、不図示の前記スプリングにより復移動Fさせられ、上記ローター部材70は前記オフ位置86に自動的に戻されて停止させられる。
【0066】
上記オフ位置86からシートロック解除位置89に向うローター部材70の回動時には、このローター部材70には操作部56を介しロック部55が連動するが、ハンドルロック手段51はロック解除されたままに保持される。一方、電源スイッチ64はオフのままに保持される。
【0067】
図1,5,9において、上記ローター部材70は、前記オン位置87から「通常位置」とされたままで、一方向Gに所定角(約45°)偏位したシートロック手段59のロック解除用の第2のシートロック解除位置90に位置付け(OPEN)可能とされている。
【0068】
上記ローター部材70をシートロック解除位置90に位置付け(OPEN)するとき、上記嵌合部81が第1被嵌合部82に係合して、上記ローター部材70に回動体80を介し操作部60が連動して往移動Eし、上記シートロック手段59のロックが解除される。このため、上記シート29の往回動Aが可能となり、このシート29の往回動Aにより物入れ箱27の開口28が開放される。また、この時、キー72への操作を解除すれば、上記操作部60は、前記した不図示のスプリングにより復移動Fさせられ、上記ローター部材70は前記オン位置87に自動的に戻されて停止させられる。
【0069】
上記オン位置87からシートロック解除位置90に向うローター部材70の回動時には、このローター部材70には操作部56を介しロック部55が連動するが、ハンドルロック手段51はロック解除されたままに保持される。一方、電源スイッチ64はオンのままに保持される。
【0070】
図1,5,10において、上記ローター部材70はハンドルロック位置88から「通常位置」とされたままで、逆方向Hに所定角(約45°)偏位したシートロック手段59のロック解除用の他の第3のシートロック解除位置91に位置付け(OPEN)可能とされている。この場合、上記シートロック解除位置91は上記軸心69回りで上記ハンドルロック位置88に隣接させられている。
【0071】
上記ローター部材70をシートロック解除位置91に位置付け(OPEN)するとき、上記嵌合部81が第2被嵌合部83に係合して、上記ローター部材70に回動体80を介し操作部60が連動して往移動Eし、上記シートロック手段59のロックが解除される。このため、上記シート29の往回動Aが可能となり、このシート29の往回動Aにより物入れ箱27の開口28が開放される。また、この時、キー72への操作を解除すれば、上記操作部60は前記した不図示のスプリングにより復移動Fさせられて、上記ローター部材70は前記ハンドルロック位置88に自動的に戻されて停止させられる。
【0072】
上記ハンドルロック位置88からシートロック解除位置91に向うローター部材70の回動時、上記ハンドルロック手段51はロックされた状態のままに保持される。一方、電源スイッチ64はオフのままに保持される。
【0073】
なお、上記ローター部材70の各位置付けで、電源スイッチ64がオフとされているときには、キー72はキー孔73からの抜き出しが可能とされ、この抜き出しにより、上記ローター部材70は、その位置付けされている位置で上記シリンダ部材68に対しロックされる。
【0074】
上記の場合、オン位置87に対しシートロック解除位置91は軸心69を中心として約180°偏位させられている。
【0075】
上記構成によれば、車体1aに操向自在に支承されるハンドル16と、上記車体1aに備えられた物入れ箱27の開口28を開閉自在に閉じるシート29と、車体1aに枢支され前車輪15と協同して車両1を路面25上に自立可能とさせるメインスタンド48と、上記車体1aにハンドル16をロック、ロック解除可能とするハンドルロック手段51と、上記車体1aにシート29をロック、ロック解除可能とするシートロック手段59と、電源を走行駆動源35に対してオン、オフ可能とさせる電源スイッチ64と、上記ハンドルロック手段51とシートロック手段59の各ロック、ロック解除と、上記電源スイッチ64のオン、オフとを選択可能にさせるシリンダ錠式のメインスイッチ67とを設けてある。
【0076】
また、車体1aに取り付けられた上記メインスイッチ67がシリンダ部材68と、このシリンダ部材68と同じ軸心69上でこのシリンダ部材68に内嵌されるローター部材70とを備え、このローター部材70に挿入されたキー72で上記ローター部材70をその軸心69回りに回動可能にさせ、この軸心69回りで上記ローター部材70が、電源スイッチ64をオフさせるオフ位置86と、このオフ位置86から上記軸心69回りの一方向Gに所定角偏位して上記電源スイッチ64をオンさせるオン位置87と、上記オフ位置86から上記一方向Gとは逆方向Hに所定角偏位して上記ハンドルロック手段51をロックさせるハンドルロック位置88と、上記シートロック手段59をロック解除させるシートロック解除位置とに択一的に位置付けされるようになっている。
【0077】
そして、上記構成において、シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置88から上記軸心69回りに所定角偏位してこのハンドルロック位置88に隣接する位置に設けてこれをシートロック解除位置91とし、上記ハンドルロック手段51をロックさせた状態のままで、上記ローター部材70を上記ハンドルロック位置88から上記シートロック解除位置91に位置付け可能としてある。
【0078】
ここで、メインスタンド48を用いてこのメインスタンド48と前車輪15とを路面25に接地させ車両1を自立姿勢にさせることにより、この車両1を駐車させるときには、通常、上記ローター部材70をオフ位置86からハンドルロック位置88に位置付けし、車体1aに対しハンドル16をロックさせることが行われ、この駐車状態(従来の技術で説明した「駐車状態」に相当する)で駐車させられる。
【0079】
また、上記したように、車両1を上記「駐車状態」にさせた直後に、ライダーが上記物入れ箱27に対し小荷物の出入作業をする必要に気付くことが多々あり、この場合には、上記ローター部材70を、上記したハンドルロック位置88からこれに隣接するシートロック解除位置91に直接的に位置付けさせてシートロック手段59をロック解除させ、シート29を往回動Aさせるよう操作して、上記開口28を開放させればよい。
【0080】
よって、前記した従来の技術では、車両1を上記「駐車状態」にさせた後に物入れ箱27への出入作業をしたときには、その後に上記「駐車状態」を得ようとすると、その都度、上記ローター部材70をハンドルロック位置88に位置付けさせる必要があったが、上記実施の形態によれば、このようなハンドルロック位置88への位置付けが不要になり、このため、車両1を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱27に対し小荷物を出入作業しようとする場合に、その作業は迅速かつ容易にできることとなる。
【0081】
また、上記したように、車両1を「駐車状態」にさせた後、物入れ箱27への出入作業をしようとして、ローター部材70をハンドルロック位置88からシートロック解除位置91にさせるとき、上記ハンドルロック手段51はロックされた状態のままに保持されて、ハンドル16は操向不能に保持される。
【0082】
このため、上記「駐車状態」での上記出入作業等の外力によって、路面25へのメインスタンド48の接地点を中心として車両1の後部側が下方回動し、もって、上記前車輪15が路面25から浮き上がることによって、この路面25に対する前車輪15の摩擦力が急減したとしても、上記フロントフォーク13、前車輪15、およびハンドル16が不意に操向回動して車体1aが不安定になる、ということは防止される。
【0083】
よって、上記「駐車状態」で、物入れ箱27に対する小荷物の出入作業をしているとき、車体1aを安定した状態に保持させる点にあまりに留意しないで足りる分、上記出入作業が更に容易となる。
【0084】
しかも、上記ハンドルロック位置88に対し軸心69回りで上記シートロック解除位置91が隣接させられているため、上記「駐車状態」で、ローター部材70をハンドルロック位置88からシートロック解除位置91に位置付けする操作は迅速かつ容易にできる。
【0085】
よって、この点でも、車両1を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱27に対し小荷物を出入作業しようとする場合に、その作業は更に迅速かつ容易にできることとなる。
【0086】
また、前記したように、シートロック解除位置91を、上記ハンドルロック位置88から上記逆方向Hに所定角偏位させてある。
【0087】
このため、上記「駐車状態」での第1操作、つまり、ハンドルロック手段51をロックさせた状態のまま、シートロック手段59をロック解除させようとしてハンドルロック位置88からシートロック解除位置91にローター部材70を回動させる第1操作と、上記「駐車状態」からの第2操作、つまり、ハンドルロック手段51をロック解除させようとして、上記ハンドルロック位置88からオフ位置86にローター部材70を回動させる第2操作とは互いに反対に向うことから、上記第1、第2の両操作が互いに混同することが防止され、このような混同防止のために、ローター部材70を押し込むなど特殊な操作を別途追加する必要もない。
【0088】
よって、車両1を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱27に対し出入作業をしようとして、上記ハンドルロック位置88からシートロック解除位置91にローター部材70を回動させる上記第1操作をするときに、上記ハンドルロック手段51をロック解除させるという上記第2操作を無意図的にしてしまうということが、より確実に防止され、その分、上記出入作業が更に迅速かつ容易にできる。
【0089】
また、前記したように、上記軸心69回りで、上記ハンドルロック位置88と上記オフ位置86の間の角度よりも、上記ハンドルロック位置88と上記シートロック解除位置91の間の角度を小さくしてある。
【0090】
このため、上記ハンドルロック位置88からシートロック解除位置91にローター部材70を回動させる操作をする際、その角度が小さい分、この操作が迅速かつ容易にでき、つまり、上記出入作業が迅速かつ容易にできる。
【0091】
なお、上記したように、ハンドルロック位置88とシートロック解除位置91の間でのローター部材70の回動操作中では、上記ハンドルロック手段51はロックされた状態のままに保持されるため、上記したようにハンドルロック位置88とシートロック解除位置91の間の角度を小さくしても、この角度内でのローター部材70の操作に基づき、無意図的にハンドルロック手段51がロック解除される、というような支障が生じることはなく、この状態で、上記出入作業が迅速かつ容易にできる。
【0092】
また、前記したように、上記オン位置87に対し上記シートロック解除位置91を上記軸心69を中心として約180°偏位させてある。
【0093】
このため、上記オン位置87からシートロック解除位置90にさせようとするときのローター部材70への回動操作と、上記ハンドルロック位置88から他のシートロック解除位置91にさせようとするときのローター部材70への回動操作とは、操作者の手首の動作が大きく相違することとなり、上記両操作が互いに混同することが防止されて各操作が意識的に明確に行われることとなる。
【0094】
よって、この点でも、上記物入れ箱27に対する小荷物の出入作業がより容易にできることとなる。
【0095】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0096】
請求項1の発明は、車体に取り付けられたシリンダ錠式のメインスイッチがシリンダ部材と、このシリンダ部材に内嵌されるローター部材とを備え、このローター部材に挿入されたキーで上記ローター部材をその軸心回りに回動可能にさせ、この軸心回りで上記ローター部材が、電源スイッチをオフさせるオフ位置と、このオフ位置から上記軸心回りの一方向に所定角偏位して上記電源スイッチをオンさせるオン位置と、上記オフ位置から上記一方向とは逆方向に所定角偏位してハンドルロック手段をロックさせるハンドルロック位置と、シートロック手段をロック解除させて物入れ箱への小荷物の出入作業を可能とさせるシートロック解除位置との各位置に対し、択一的に位置付けされるようにした車両のメインスイッチ装置において、
【0097】
上記シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置から上記軸心回りに所定角偏位してこのハンドルロック位置に隣接する位置に設け、上記ハンドルロック手段をロックさせた状態のままで、上記ローター部材を上記ハンドルロック位置から上記シートロック解除位置に位置付け可能としてある。
【0098】
ここで、例えば、メインスタンドを用いてこのメインスタンドと前車輪とを路面に接地させ車両を自立姿勢にさせることにより、この車両を駐車させるときには、通常、上記ローター部材をオフ位置から上記ハンドルロック位置に位置付けし、車体に対しハンドルをロックさせることが行われ、この「駐車状態」で駐車させられる。
【0099】
また、上記したように、車両を上記「駐車状態」にさせた直後に、ライダーが上記物入れ箱に対し小荷物の出入作業をする必要に気付くことが多々あり、この場合には、上記ローター部材を、上記したハンドルロック位置からこれに隣接するシートロック解除位置に直接的に位置付けさせてシートロック手段をロック解除させ、シートを操作して、上記開口を開放させればよい。
【0100】
よって、前記した従来の技術では、車両を上記「駐車状態」にさせた後に物入れ箱への出入作業をしたときには、その後に上記「駐車状態」を得ようとすると、その都度、上記ローター部材をハンドルロック位置に位置付けさせる必要があったが、上記本発明によれば、このようなハンドルロック位置への位置付けが不要になり、このため、車両を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱に対し小荷物を出入作業しようとする場合に、その作業は迅速かつ容易にできることとなる。
【0101】
また、上記したように、車両を「駐車状態」にさせた後、物入れ箱への出入作業をしようとして、ローター部材をハンドルロック位置からシートロック解除位置にさせるとき、上記ハンドルロック手段はロックされた状態のままに保持されて、ハンドルは操向不能に保持される。
【0102】
このため、上記「駐車状態」での上記出入作業等の外力によって、路面へのメインスタンドの接地点を中心として車両の後部側が下方回動し、もって、上記前車輪が路面から浮き上がることによって、この路面に対する前車輪の摩擦力が急減したとしても、上記前車輪、およびハンドルが不意に操向回動して車体が不安定になる、ということは防止される。
【0103】
よって、上記「駐車状態」で、物入れ箱に対する小荷物の出入作業をしているとき、車体を安定した状態に保持させる点にあまりに留意しないで足りる分、上記出入作業が更に容易となる。
【0104】
しかも、上記ハンドルロック位置に対し軸心回りで上記シートロック解除位置が隣接させられているため、上記「駐車状態」で、ローター部材をハンドルロック位置からシートロック解除位置に位置付けする操作は迅速かつ容易にできる。
【0105】
よって、この点でも、車両を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱に対し小荷物を出入作業しようとする場合に、その作業は更に迅速かつ容易にできることとなる。
【0106】
請求項2の発明は、シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置から上記逆方向に所定角偏位させてある。
【0107】
このため、上記「駐車状態」での第1操作、つまり、ハンドルロック手段をロックさせた状態のまま、シートロック手段をロック解除させようとしてハンドルロック位置からシートロック解除位置にローター部材を回動させる第1操作と、上記「駐車状態」からの第2操作、つまり、ハンドルロック手段をロック解除させようとして、上記ハンドルロック位置からオフ位置にローター部材を回動させる第2操作とは互いに反対に向うことから、上記第1、第2の両操作が互いに混同することが防止される。このような混同防止のために、ローター部材を押し込むなど特殊な操作を別途追加する必要がない。
【0108】
よって、車両を一旦「駐車状態」にさせてから上記物入れ箱に対し出入作業をしようとして、上記ハンドルロック位置からシートロック解除位置にローター部材を回動させる上記第1操作をするときに、上記ハンドルロック手段をロック解除させるという上記第2操作を無意図的にしてしまうということが、より確実に防止され、その分、上記出入作業が更に迅速かつ容易にできる。
【0109】
請求項3の発明は、上記軸心回りで、上記ハンドルロック位置と上記オフ位置の間の角度よりも、上記ハンドルロック位置と上記シートロック解除位置の間の角度を小さくしてある。
【0110】
このため、上記ハンドルロック位置からシートロック解除位置にローター部材を回動させる操作をする際、その角度が小さい分、この操作が迅速かつ容易にでき、つまり、上記出入作業が迅速かつ容易にできる。
【0111】
なお、上記したように、ハンドルロック位置とシートロック解除位置の間でのローター部材の回動操作中では、上記ハンドルロック手段はロックされた状態のままに保持されるため、上記したようにハンドルロック位置とシートロック解除位置の間の角度を小さくしても、この角度内でのローター部材の操作に基づき、無意図的にハンドルロック手段がロック解除される、というような支障が生じることはなく、この状態で、上記出入作業が迅速かつ容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メインスイッチ装置の平面図である。
【図2】車両の全体側面図である。
【図3】車両の部分平面図である。
【図4】メインスイッチ装置の平面断面図である。
【図5】メインスイッチ装置の側面断面図である。
【図6】ローター部材をオン位置に位置付けしたときの図4に相当する図である。
【図7】ローター部材をハンドルロック位置に位置付けしたときの図4に相当する図である。
【図8】第1のシートロック解除位置に位置付けしたときの図4に相当する図である。
【図9】第2のシートロック解除位置に位置付けしたときの図4に相当する図である。
【図10】第3の(他の)シートロック解除位置に位置付けしたときの図4に相当する図である。
【符号の説明】
1 車両
1a 車体
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
13 フロントフォーク
15 前車輪
16 ハンドル
25 路面
27 物入れ箱
28 開口
29 シート
30 枢支具
48 メインスタンド
51 ハンドルロック手段
53 ケーシング
56 操作部
59 シートロック手段
60 操作部
64 電源スイッチ
66 メインスイッチ装置
67 メインスイッチ
68 シリンダ部材
69 軸心
70 ローター部材
72 キー
86 オフ位置
87 オン位置
88 ハンドルロック位置
89 シートロック解除位置
90 シートロック解除位置
91 シートロック解除位置
G 一方向
H 逆方向

Claims (3)

  1. 車体に取り付けられたシリンダ錠式のメインスイッチがシリンダ部材と、このシリンダ部材に内嵌されるローター部材とを備え、このローター部材に挿入されたキーで上記ローター部材をその軸心回りに回動可能にさせ、この軸心回りで上記ローター部材が、電源スイッチをオフさせるオフ位置と、このオフ位置から上記軸心回りの一方向に所定角偏位して上記電源スイッチをオンさせるオン位置と、上記オフ位置から上記一方向とは逆方向に所定角偏位してハンドルロック手段をロックさせるハンドルロック位置と、シートロック手段をロック解除させて物入れ箱への小荷物の出入作業を可能とさせるシートロック解除位置との各位置に対し、択一的に位置付けされるようにした車両のメインスイッチ装置において、
    上記シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置から上記軸心回りに所定角偏位してこのハンドルロック位置に隣接する位置に設け、上記ハンドルロック手段をロックさせた状態のままで、上記ローター部材を上記ハンドルロック位置から上記シートロック解除位置に位置付け可能とした車両のメインスイッチ装置。
  2. 上記シートロック解除位置を、上記ハンドルロック位置から上記逆方向に所定角偏位させた請求項1に記載の車両のメインスイッチ装置。
  3. 上記軸心回りで、上記ハンドルロック位置と上記オフ位置の間の角度よりも、上記ハンドルロック位置と上記シートロック解除位置の間の角度を小さくした請求項1、もしくは2に記載の車両のメインスイッチ装置。
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