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JP4178859B2 - 冷却装置、電子機器装置及び冷却装置の製造方法 - Google Patents

冷却装置、電子機器装置及び冷却装置の製造方法 Download PDF

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JP4178859B2 JP2002206328A JP2002206328A JP4178859B2 JP 4178859 B2 JP4178859 B2 JP 4178859B2 JP 2002206328 A JP2002206328 A JP 2002206328A JP 2002206328 A JP2002206328 A JP 2002206328A JP 4178859 B2 JP4178859 B2 JP 4178859B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却装置、電子機器装置及び冷却装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリスティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の記憶媒体は、フロッピィ−ディスク等の従来のものと比べて小型かつ薄型であり、しかも記憶容量も非常に大きくすることが可能であることから、パソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置に汎用されるようになってきている。
【0003】
これらの記憶媒体はフラッシュメモリとドライバとを一体的に有するものや、ドライバが装置本体や別のカード等に搭載されたものがあるが、いずれにしても最近では相当大容量化してきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように記憶媒体の記憶容量が大容量化してくると、上記のドライバから多大な熱が発生し、動作不良等の問題を生じる。
【0005】
そこで、例えば電子機器装置側に冷却装置を設けることが考えられ、そのような冷却方法としてヒートパイプを用いた技術が挙げられる。
【0006】
ヒートパイプとは、管の内壁に毛細管構造を持たせた金属製パイプであり、内部は真空で、少量の水もしくは代替フロンなどが封入されている。ヒートパイプの一端を熱源に接触させて加熱すると、内部の液体が蒸発して気化し、このとき潜熱(気化熱)として、熱が取り込まれる。そして、低温部へ高速に(ほぼ音速で)移動し、そこで、冷やされてまた液体に戻り、熱を放出する(凝縮潜熱による熱放出)。液体は毛細管構造を通って(もしくは重力によって)元の場所へ戻るので、連続的に効率よく熱を移動させることができる。
【0007】
しかしながら、従来のヒートパイプは管状であり空間的に大掛かりな装置となるので、小型薄型化が求められるパソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置の冷却装置には不向きである。
【0008】
そこで、ヒートパイプを小型化するために、2枚のパイレックス(登録商標)等のガラス基板の接合面上に溝を形成し、これらの基板を接合することによってヒートパイプを構成する流路を基板間に形成した冷却装置が提案されている。なお、上記の接合の際には、少量の水もしくは代替フロンなどが封入され、それらが、ヒートパイプ内で状態変化を起こすことによって、ヒートパイプとしての役割を果たすものである。
しかしながら、上記のようなパイレックス(登録商標)等のガラスは、親液性が十分でなく、ヒートパイプの流路基板として使用すると、輸液量が少なく、それにより熱輸送効率が低いという問題が生じる。
【0009】
そこで、流路基板表面に膜を形成する方法が考えられる。しかしながら、膜を形成する方法として主流であるスパッタは、深い溝の流路には適切に膜形成することができないという不具合が生じる。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、デバイス内の気化熱量の上昇及び熱効率の向上を可能とする冷却装置、電子機器装置及び冷却装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点にかかる冷却装置の製造方法は、冷却部を構成するウィック溝が第1の表面に設けられた第1の基板を形成する工程と、第1の流路及び第2の流路を構成する溝が第2の表面に設けられた第2の基板を形成する工程と、前記第2の基板表面に親水性の膜を形成する工程と、前記親水性の膜の、前記第1の流路の溝以外の部分を除去する工程と、前記第1の基板の前記第1の表面と前記第2の基板の前記第2の表面とが接触するように接合する工程とを具備することを特徴とする。本発明では、液化部から冷却部に液化された作動液を流通させる第1の流路の表面に親水性の膜が形成されているので、作動液の輸液量の増加を可能にし、それによりデバイス内の気化熱量の上昇及び熱効率の向上を可能とする。
本発明の一の形態によれば、前記第2の基板に前記親水性の膜を形成する工程は、塗布処理によることを特徴とする。これにより深い溝に対しても適切に成膜をすることが可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記第1の流路の溝以外の部分を除去する工程は、ドライエッチング、アッシング、又は酸素プラズマにより除去することを特徴とする。これにより、確実に不要部位の膜を除去することができる。
本発明の一の形態によれば、前記親水性の膜は、Si−OH基を有する材料からなることを特徴とする。これによりSi−OH基のように親液性を有する膜が形成されるので、輸液量を増加可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記親水性の膜は、ハイドロシルセスキオキサンからなることを特徴とする。これにより親水性を高めることができ、輸液量を増加可能となる。
本発明の一の形態によれば、前記第1の流路表面と作動液の接触角が0〜30度であることを特徴とする。これにより、毛細管力はcosθ(θ:接触角)に比例することから接触角を小さくすることで、より大きな毛細管力を得ることができる。
本発明の第2の観点に係る冷却装置は、対象物からの熱により作動液を気化させることで対象物を冷却する冷却部を構成するウィック溝と、前記ウィック溝が設けられた第1の表面と、前記冷却部で気化された作動液を液化して前記冷却部に循環する液化部とを有する第1の基板と、前記液化部から前記冷却部に液化された作動液を流通させ、表面にアルカリガラスからなる親水性の膜が形成された第1の流路を構成する溝と、前記冷却部から前記液化部に気化された作動液を流通させる第2の流路を構成する溝と、前記第1及び第2の流路を構成する前記各溝が設けられた第2の表面であって、接着剤として機能する前記アルカリガラスからなる親水性の膜が形成され、前記親水性の膜材料により前記第1の表面に接着される第2の表面とを有する第2の基板とを具備することを特徴とする。
本発明の第3の観点に係る電子機器は、対象物からの熱により作動液を気化させることで対象物を冷却する冷却部を構成するウィック溝と、前記ウィック溝が設けられた第1の表面と、前記冷却部で気化された作動液を液化して前記冷却部に循環する液化部とを有する第1の基板と、前記液化部から前記冷却部に液化された作動液を流通させ、表面にアルカリガラスからなる親水性の膜が形成された第1の流路を構成する溝と、前記冷却部から前記液化部に気化された作動液を流通させる第2の流路を構成する溝と、前記第1及び第2の流路を構成する前記各溝が設けられた第2の表面であって、接着剤として機能する前記アルカリガラスからなる親水性の膜が形成され、前記親水性の膜により前記第1の表面に接着される第2の表面とを有する第2の基板とを具備する冷却装置を搭載したことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
(冷却装置)
図1は本発明の冷却装置を分解した斜視図であり、図2は冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、冷却装置1は4枚の基板からなる。下部基板10はパイレックス(登録商標)ガラスからなる矩形状の基板であり、下側に配置される。コンデンサ基板20、ウィック基板40はシリコンからなる矩形状の基板である。上部基板30はパイレックス(登録商標)ガラスからなる矩形状の基板であり、上側に配置される。コンデンサ基板20、ウィック基板40の溝はそれぞれ上部基板30の孔32、34に組み込まれる。これら4枚の基板10、20、30、40が接着層50を介して接着固定される。下部基板10の表面10a、コンデンサ基板20の表面20b、上部基板30の表面30b及びウィック基板の表面40bには溝11、21、31、及び41が形成されている。これらの溝は4枚の基板が接着する際にループ状のヒートパイプとして機能するように形成されている。
【0027】
以下、図3及び図4を用いて各基板10、20、30及び40に形成された溝の構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、下部基板10の表面10aには溝11が形成されている。この溝11は、主要部として、液相となった作動液が流れる液相路12と、気相となった作動液が流れる気相路15と、作動液を供給するリザーバ13と貯蔵部17とから構成されている。この液相路12は、例えばハイドロシルセスキオキサンからなる親水性の膜18で被覆され形成されている。
【0029】
図4に示すように、コンデンサ基板20及びウィック基板40が上部基板30に組み込まれて上部複合基板100を形成する。ここで、図4に示すように、コンデンサ基板20及びウィック基板40が上部基板30に組み込まれて上部複合基板100が構成される。
【0030】
コンデンサ基板20の表面20b上には溝21が形成されている。この溝21は、気相路15から導入された気相の作動液を液相へ凝縮させるコンデンサ22として機能する。
【0031】
ウィック基板40の表面40b上には溝41が形成される。この溝41は、冷却部として機能するもので、液相路12またはリザーバ13から導入された液相の作動液を気化(気相化)する。
【0032】
図5は、下部基板10と、上部複合基板100とが接合した状態を示している。
【0033】
これら下部基板10と上部複合基板100との接合により構成されるヒートパイプの内部には作動液(図示せず)が封入されている。封入された作動液はヒートパイプ内で液相から気相、または気相から液相へと状態変化しながら循環する。これにより熱移動を行わせ、冷却装置1として機能する。
【0034】
以下、その液相/気相の循環の様子を便宜的に流路12を始点として説明する。
【0035】
まず、作動液が流路12からウィック42へ流入する。その際にウィック42に流入する液体の量が所定以下であるときにはドライアウトを回避するために、リザーバ13から不足分の液体が供給されるようになっている。
【0036】
ウィック42に流入した液体は、加熱され沸騰する。沸騰することによって気化して気相となった作動液は、気体受部14に流入される。この気体は流路15を介してコンデンサ22へ流入し、液体に凝縮される(液相化)。このとき凝縮された作動液はコンデンサ22の下部に配置される低温部16へ流入する。そしてこの作動液は、低温部16から流路12へ再度循環される。また、低温部16からこの流路12へ流入する液体の量が所定以下の場合には液体貯蔵部17に貯蔵された液体が低温部16へ流入するようになっている。
【0037】
なお、本実施形態では、基板の材料としてガラスを用いたが、他に材料、例えばプラスチックを用いても良いし、ガラス基板とプラスチック基板との組み合わせであっても良い。さらに、本発明では、シリコンよりも熱伝導性の低い材料であれば、それを基板の材料として用いることが可能である。
【0038】
また、コンデンサ基板20及びウィック基板40の材料としてシリコンからなるものとしたが、他の材料、例えば銅又はニッケル等の金属を用いても良い。
【0039】
また、親水性の膜材料として、ハイドロシルセスキオキサンに代えてアルカリガラスを用いることもできる。図6はアルカリガラスを親水性の膜材料として用いた冷却装置の断面図である。図6に示すように、基板10及び基板30に形成する親水性の膜18としてハイドロシルセスキオキサンの代わりにアルカリガラスを用いている。
【0040】
この場合は、アルカリガラス自体が接着剤としても機能するために、このアルカリガラスを上述の液相路12等の溝だけでなく、基板10及び基板30の接合面上にも接着剤として塗布するようになっている。これによって、接着層50が不要となる。
【0041】
図7は流路を流れる液体の様子を模式的に示したものである。図7(a)は、パイレックス(登録商標)ガラスで形成された溝を流れる液体の様子を模式的に表した図であり、図7(b)は、パイレックス(登録商標)ガラスに親水性の膜が形成された溝を流れる液体の様子を模式的に表した図である。
【0042】
図7(a)に示すように、パイレックス(登録商標)ガラスで形成された溝を流れる液体は、溝を流れる際に形成されるガラス表面の溝との接触角が30度を超える。このような接触角では、親水性が十分でないので、作動液の輸送量も十分でないという問題が生じている。また、膜18が形成されていない場合の熱輸送量を計測すると、5Wであった。
【0043】
これに対して、図7(b)に示すように、ガラス表面に親水性の膜で被覆され形成された溝を流れる液体は、溝を流れる際に形成される該親水性の膜18で被覆された溝との接触角が0〜30度となる。このような接触角では、親水性を有し、毛細管力も増大する。これにより、作動液の輸送量を増大可能となる。また、このように膜18を形成した場合の熱輸送量を計測すると、8Wであった。つまり、従来の膜18が形成されていない場合と比較して、膜18を形成することにより、熱輸送量が60%程度向上することが確認された。
【0044】
このように、本発明の冷却装置1は、作動液が循環する流路の溝が表面に形成された第1の基板10の液相路12の溝表面にハイドロシルセスキオキサンからなる親水性の膜18を形成し、該溝表面と作動液との親液性を向上させることにより、作動液の輸液量の増加を可能にし、それによりデバイス内の気化熱量の上昇及び熱効率の向上を可能とする。
【0045】
(冷却装置の製造方法1)
まず、膜材料としてハイドロシルセスキオキサンを用いた場合の冷却装置の製造方法について説明する。
【0046】
図8は冷却装置1の製造工程を示したものである。
【0047】
まず、ヒートパイプとして機能するパイレックス(登録商標)ガラスからなる基板10の溝及び基板30の孔を形成する(ステップ801)。これら溝と孔の形成方法には、サンドブラスト、RIE(ドライエッチング)、ウエットエッチング、UV光エッチング、レーザーエッチング、プロトン光エッチング、電子線描画エッチング、マイクロモールディング等を用いて形成する。
【0048】
次に、コンデンサ又はウィックとして機能するシリコンからなるコンデンサ基板20及びエバポレータ用基板40の溝を形成する(ステップ802)。この際、機械加工によって、溝を形成する。なお、その他の製造方法としては、ドライエッチング(例えばRIE(反応性イオンエッチング))、ウエットエッチング、UV−LIGA、電気鋳造などが挙げられる。
【0049】
次に基板10の液相路12の表面に親水性の膜18の成膜処理を行う(ステップ803)。
【0050】
まず、基板10に親水性の膜18を形成する工程を図9を用いて説明する。
【0051】
図9には、基板10の液相路12に表面処理を行う工程を示した図である。
【0052】
図9(a)は、ステップ701において溝を形成した基板10である。
【0053】
図9(b)において、ハイドロシルセスキオキサンからなる親水性の膜18を基板全体に0.1〜20μm程度の厚さになるように塗布する。この際、膜18は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の蒸着ではなく、塗布により形成されるので、深い溝に対しても確実に成膜することが可能となる。
【0054】
図9(c)において、膜18の必要部位、ここでは少なくとも液相路12にフォトリソマスク法でマスクする。
【0055】
図9(d)において、ドライエッチングを用いてマスクされていない、不要な部位の膜18を除去する。これによって、基板10の表面に成膜された膜18が少なくとも液相路12のみに成膜されるようになる。また、気相路15の溝に膜18が成膜されてもよい。ここでは、除去方法として、アッシング又は酸素プラズマを用いても良い。
【0056】
図9(e)において、液相路12においての膜18が形成される。
【0057】
さらに、基板30の孔に対しても、同様に膜18を形成してもよい。
【0058】
図10には、基板30の孔に表面処理を行う工程を示した図である。
【0059】
図10(a)において、ステップ701において、孔が形成された基板30に、基板10との接合する面上に約5nm〜1000nmの厚さとなるようにa−Siの接着層50を形成する。
【0060】
図10(b)において、ハイドロシルセスキオキサンからなる親水性の膜18を基板全体に0.1〜20μm程度の厚さになるように塗布する。この際の膜18の形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の蒸着ではなく、塗布によりで形成するので、孔に対しても確実に成膜することが可能となる。
【0061】
図10(c)において、エッチバック法を用いて、表面を平坦化させることにより、例えば、膜18は、基板30の基板10との接合する面上には露出せず、孔の内側にのみ形成されている。これによって、後述の工程を経て形成された冷却装置1は、基板30の孔の内側も親水性が向上するので、作動液の輸液量の増加を可能とする。
【0062】
次に、溝及び孔が各々形成された基板10と基板30とを陽極接合の方法を用いて接合する(ステップ804)。この際、基板10及び基板30を300〜400度に加熱し、500v〜1kvの電圧を印加する。これによって、基板10及び基板30のパイレックス(登録商標)ガラスと、基板30の基板10との接合する表面に形成されたa−Siの接着層50との間で静電引力が発生し、化学結合することによって接合される。この接合する際には、作動液としてヒートパイプ内で状態変化する物質、例えば水を溝内へ封入する。
【0063】
また、ここでは陽極接合で説明したが、他に、加圧・熱融着、超音波接合等様々な接合方法を用いても良い。
【0064】
更に、基板30を貫通して開けられた孔にコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を組み込む工程を行う(ステップ805)。これにより冷却装置1が形成されることになる。
【0065】
(冷却装置の製造方法2)
次に、親水性の膜18をハイドロシルセスキオキサンの代わりに、アルカリガラスを用いた場合の製造方法を説明する。ここでは、上述と同様の詳細部分は、省略して説明する。
【0066】
図11は冷却装置の製造工程を示したものである。
【0067】
まず、ヒートパイプとして機能するパイレックス(登録商標)ガラスからなる基板10の溝及び基板30の孔を形成する(ステップ1101)。
【0068】
次に、コンデンサ又はウィックとして機能するシリコンからなるコンデンサ基板20及びエバポレータ用基板40の溝を形成する(ステップ1102)。
【0069】
次に基板10及び基板30の接合面上に親水性の膜18の成膜処理を行う(ステップ1103)。
【0070】
まず、基板10に親水性の膜18を形成する工程を図12を用いて説明する。
【0071】
図12には、基板10の接合面に膜処理をする工程を示した図である。
【0072】
図12(a)は、ステップ1101において溝を形成した基板10である。
【0073】
図12(b)において、アルカリガラスからなる親水性の膜18を基板全体に0.1〜20μm程度の厚さになるように塗布する。
【0074】
図13には、基板30の孔に表面処理を行う工程を示した図である。
【0075】
図13(a)において、ステップ1101において、孔が形成された基板30である。
【0076】
図13(b)において、基板30にアルカリガラスからなる親水性の膜18を基板全体に0.1〜20μ程度の厚さになるように塗布する。このように、基板10及び基板30の接合面に対して塗布したアルカリガラスの親水性の膜18は、接着剤としても機能するため、上述のハイドロシルセスキオキサンの製造方法と異なり、親水性の膜18を除去する必要がない。
【0077】
次に、溝及び孔が各々形成された基板10と基板30とを陽極接合の方法を用いて接合する(ステップ1104)。この接合の際には、作動液として、例えば水を溝内へ封入する。
【0078】
更に、基板30を貫通して開けられた孔にコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を組み込む工程を行う(ステップ1105)。これにより冷却装置1が形成されることになる。
【0079】
以上説明した各製造方法により、冷却装置を効率よく製造できる。
【0080】
(電子機器装置)
図14は本発明に係る冷却装置が搭載されたパソコンの概略斜視図である。
【0081】
パソコン150は、フラッシュメモリ153とドライバ152とを有する記録媒体154を着脱するためのスロット151、及び処理部155を有する。本発明に係る冷却装置1はスロット151を介して装着された記録媒体154の例えばドライバ152の直下にウィックイックの溝41が位置するようにパソコン150内に配置されている。
【0082】
また、本発明に係る冷却装置1は、エバポレータが処理部155に隣接するように配置されてもよい。この場合、コンデンサは図示しない例えば冷却ファンなどに隣接するように設置するのが好ましい。これにより、処理部155から発せられた熱は、エバポレータで吸収され、冷却ファンの働きによってコンデンサから放出されることとなるため、処理部155を冷却することができる。
【0083】
なお、ここでは、電子機器装置としてパソコンを例にとり説明したが、本発明に係る冷却装置はディジタルカメラやビデオカメラ等の他の電子機器装置にも搭載することが可能である。
【0084】
(表示装置)
図15は本発明に係る冷却装置が搭載された液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【0085】
液晶ディスプレイ160は、ドライバ161、表示部162、冷却ファン163とを有する。本発明に係る冷却装置1はドライバ161に隣接してエバポレータが位置するように、さらに冷却ファン163に隣接してコンデンサが位置するように液晶ディスプレイ内に配置されている。液晶ディスプレイ160の起動によってドライバ161から発生した熱は、エバポレータに吸収され、この吸収熱により冷却装置1の内部の液体が気化し、流路を通ってコンデンサに流れる。冷却ファン163はコンデンサを冷却し、コンデンサに流れてきた気体の熱を放出させ、この気体を再び液化させる。コンデンサで液化された液体は流路を通ってエバポレータに流れ、ドライバ161から発生した熱を吸収して再び気化する。このように冷却装置1内部の液体の循環によってドライバ161を冷却することができる。同様にして、エバポレータを表示部162に隣接して設置することにより、表示部162を冷却することも可能である。
【0086】
なお、ここでは、表示装置として液晶ディスプレイを例にとり説明したが、本発明に係る冷却装置はプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等の他の表示装置にも搭載することが可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、作動液の輸液量の増加を可能とし、それによりデバイス内の気化熱量の上昇及び熱効率の向上を可能とする冷却装置、電子機器装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の形態に係る冷却装置の構成を表す分解した斜視図である。
【図2】本発明の一の形態に係る冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【図3】本発明の一の形態に係る冷却装置の基板を示す平面図である。
【図4】本発明の一の形態に係る冷却装置の基板を示す平面図である。
【図5】本発明の一の形態に係る冷却装置の2枚の基板、コンデンサ用基板及びエバポレータ用基板を組み立てた状態を示した平面図である。
【図6】本発明の他の形態に係る冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【図7】本発明において、溝表面に親水性の膜を形成するガラス基板に対して親水性の観点から比較した図である。
【図8】本発明の一の形態に係る冷却装置の製造工程を示した図である。
【図9】本発明の一の形態に係る冷却装置の基板に親水性の膜を形成する工程を示した概略図である。
【図10】本発明の一の形態に係る冷却装置の基板に親水性の膜を形成する工程を示した概略図である。
【図11】本発明の他の形態に係る冷却装置の製造工程を示した図である。
【図12】 本発明の他の実施形態に係る冷却装置の基板に親水性の膜を形成する工程を示した概略図である。
【図13】 本発明の他の実施形態に係る冷却装置の基板に親水性の膜を形成する工程を示した概略図である。
【図14】本発明の冷却装置を搭載したパソコンの概略斜視図である。
【図15】本発明の冷却装置を搭載した液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 冷却装置
10 基板
20 コンデンサ用基板
30 基板
40 エバポレータ用基板
11 溝
21c 溝
41 溝
22 放熱フィン
150 パソコン
160 液晶ディスプレイ

Claims (8)

  1. 冷却部を構成するウィック溝が第1の表面に設けられた第1の基板を形成する工程と、
    第1の流路及び第2の流路を構成する溝が第2の表面に設けられた第2の基板を形成する工程と、
    前記第2の基板表面に親水性の膜を形成する工程と、
    前記親水性の膜の、前記第1の流路の溝以外の部分を除去する工程と、
    前記第1の基板の前記第1の表面と前記第2の基板の前記第2の表面とが接触するように接合する工程と
    を具備することを特徴とする冷却装置の製造方法。
  2. 請求項に記載の冷却装置の製造方法において、
    前記第2の基板に前記親水性の膜を形成する工程は、塗布処理によることを特徴とする冷却装置の製造方法。
  3. 請求項に記載の冷却装置の製造方法において、
    前記親水性の膜を除去する工程は、ドライエッチング、アッシング又は酸素プラズマにより除去することを特徴とする冷却装置の製造方法。
  4. 請求項に記載の冷却装置の製造方法において、
    前記親水性の膜はSi−OH基を有する材料からなることを特徴とする冷却装置の製造方法。
  5. 請求項に記載の冷却装置の製造方法において、
    前記親水性の膜は、ハイドロシルセスキオキサンからなることを特徴とする冷却装置の製造方法。
  6. 請求項に記載の冷却装置の製造方法において、
    前記第1の流路表面と作動液の接触角が0〜30度であることを特徴とする冷却装置の製造方法。
  7. 対象物からの熱により作動液を気化させることで対象物を冷却する冷却部を構成するウィック溝と、前記ウィック溝が設けられた第1の表面と、前記冷却部で気化された作動液を液化して前記冷却部に循環する液化部とを有する第1の基板と、
    前記液化部から前記冷却部に液化された作動液を流通させ、表面にアルカリガラスからなる親水性の膜が形成された第1の流路を構成する溝と、前記冷却部から前記液化部に気化された作動液を流通させる第2の流路を構成する溝と、前記1及び第2の流路を構成する前記各溝が設けられた第2の表面であって、接着剤として機能する前記アルカリガラスからなる親水性の膜が形成され、前記親水性の膜材料により前記第1の表面に接着される第2の表面とを有する第2の基板と
    を具備することを特徴とする冷却装置。
  8. 対象物からの熱により作動液を気化させることで対象物を冷却する冷却部を構成するウィック溝と、前記ウィック溝が設けられた第1の表面と、前記冷却部で気化された作動液を液化して前記冷却部に循環する液化部とを有する第1の基板と、
    前記液化部から前記冷却部に液化された作動液を流通させ、表面にアルカリガラスからなる親水性の膜が形成された第1の流路を構成する溝と、前記冷却部から前記液化部に気化された作動液を流通させる第2の流路を構成する溝と、前記第1及び第2の流路を構成する前記各溝が設けられた第2の表面であって、接着剤として機能する前記アルカリガラスからなる親水性の膜が形成され、前記親水性の膜材料により前記第1の表面に接着される第2の表面とを有する第2の基板と
    を具備する冷却装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
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