JP4178767B2 - 光書き込み型記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
光書き込み型記録媒体およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4178767B2 JP4178767B2 JP2001187374A JP2001187374A JP4178767B2 JP 4178767 B2 JP4178767 B2 JP 4178767B2 JP 2001187374 A JP2001187374 A JP 2001187374A JP 2001187374 A JP2001187374 A JP 2001187374A JP 4178767 B2 JP4178767 B2 JP 4178767B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- charge generation
- charge
- recording medium
- phthalocyanine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02F—OPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
- G02F1/00—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
- G02F1/01—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour
- G02F1/13—Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
- G02F1/133—Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
- G02F1/135—Liquid crystal cells structurally associated with a photoconducting or a ferro-electric layer, the properties of which can be optically or electrically varied
- G02F1/1354—Liquid crystal cells structurally associated with a photoconducting or a ferro-electric layer, the properties of which can be optically or electrically varied having a particular photoconducting structure or material
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- Nonlinear Science (AREA)
- Mathematical Physics (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
- Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光により画像を書き込みし、書き込まれた画像を保持し得ると共に、必要に応じて消去し、再度画像の書き込みができる、いわゆる電子ペーパーとして使用可能な光書き込み型記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光導電性スイッチング素子と表示素子とを組み合わせた光書き込み型空間変調デバイスが開発され、ライトバルブとしてプロジェクター等に実用化されているほか、“液晶空間変調機と情報処理”液晶,Vol.2,No.1,’98,pp3−18に記載されているように、光情報処理の分野にも可能性が検討されている。
【0003】
光書き込み型空間変調デバイスは、所定の電圧を素子に印加しつつ、受光した光量により光導電性スイッチング素子のインピーダンスを変化させ、表示素子に印加される電圧を制御することにより、表示素子を駆動し、画像を表示するものである。特に、光書き込み型空間変調デバイスの表示制御素子にメモリ性のある素子を用いて、切り離し可能にした光書き込み型記録媒体は、電子ペーパー媒体として注目されている。
【0004】
光書き込み型記録媒体の表示制御素子(表示素子)としては、例えば、ポリマーに分散しメモリ性を付与したネマチック液晶、コレステリック液晶、強誘電液晶のような液晶表示素子、あるいは電気泳動素子や電界回転素子、トナー電界移動型素子や、これらをカプセル化した素子等が検討されている。
【0005】
これら、受光した光量により電圧あるいは電流を制御できるような光スイッチング素子としては、例えば、電子写真の分野で用いられるアモルファスシリコン素子、有機光導電体を用いた機能分離型二層構造のOPC素子、さらに、本発明者らにより、電荷輸送層(CTL)の上下に電荷発生層(CGL)を形成した構造(以下、「デュアルCGL構造」(dual CGL structure)と称する。)のOPC素子が検討されている(特開2000−180888号公報)。特にOPC素子は、高温の熱処理を必要としないため、PETフィルムなどのフレキシブル基板への適用も可能であり、かつ、真空プロセスも無いために安価に作製できるという利点を有する。
【0006】
なかでも、デュアルCGL構造は、交流駆動が可能であり、表示素子に液晶素子を用いた場合においても、印加電圧に含まれるバイアス成分によりイオンの移動に起因した画像の焼付き現象も生じにくいため、特に有効な構造である。駆動に用いられるキャリアは正負どちらのキャリアでもよい。
【0007】
図1にデュアルCGL構造の光スイッチング素子の模式断面図を示す。図1においては、光スイッチング素子に光が照射された際に発生するキャリアおよび電子の状態が示されている。図1の光スイッチング素子は、透明基板19の表面に、上部電荷発生層10、電荷輸送層12、下部電荷発生層14、透明電極層18および電極層16が順次積層されて構成される。
【0008】
光照射時、上部電荷発生層10および下部電荷発生層14にキャリアcおよび自由電子eが発生し、その際、上記電極層16が正極、透明電極層18が負極となるように電界が印加されていると、上部電荷発生層10に発生したキャリアcが電荷輸送層12に注入されると同時に自由電子eが透明電極層18に突入する。輸送されたキャリアcは下部電荷発生層14で発生した自由電子eと結合するとともに下部電荷発生層に生じたキャリアcは電極層16に注入される。この結果電流が流れる。電界が反転したときは逆方向に流れる。したがって、この構造の光導電スイッチング素子は交流電圧の印加により駆動することができる。
【0009】
このようなデュアルCGL構造の光スイッチング素子を電子ぺーパーに適用した光書き込み型記録媒体の概念図を図2に示す。図2においては、直流成分除去用機能膜を備えた光書き込み型記録媒体が示されているが、直流成分除去用機能膜は必須の構成ではない。図2の光書き込み型記録媒体は、透明基板19、透明電極層18a、下部電荷発生層14、電荷輸送層12および上部電荷発生層10により構成される光導電スイッチング素子の上に、機能層20として直流成分除去用機能膜を設け、この膜の上にスペーサー24、液晶22、透明電極層18bおよび透明基板19より構成される液晶表示素子を一体化したものであり、透明電極層18aと18bとの間に交流電界が印加される。光書き込みは、一般に矢印で示される光により行われる。
【0010】
上記のごとき光導電スイッチング素子と機能素子を一体化させた光書き込み型記録媒体に、該光書き込み型記録媒体を駆動する駆動機構を電気的に接続させて、様々な機能を発揮する装置を作製することができる。またこの際、該駆動機構を前記光書き込み型記録媒体と切り離し可能に構成することにより、光書き込み型記録媒体を装置本体から切り離して、閲覧に供したり、配布したりすることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このデュアルCGL構造は、光感度が不十分であるという問題がある。例えば、電荷発生材にペリレンを用いた場合、特開2000−180888号公報にあるように、モノクロ画像を作成するために、ポジ記録(光が照射された部位が高反射率となり、非照射部が低反射率となる)では、数mW/cm2もの光量が必要になる。
【0012】
ここで、光感度とは、光スイッチング素子に所定の光量を照射したとき、よりインピーダンスの抵抗成分が小さくなるか、あるいは、所定の電圧が印加されている場合、より、インピーダンスの抵抗成分が小さいことをいう。所定の光量とは、通常は50μW/cm2から500μW/cm2程度であり、大光量時であっても1mW/cm2程度であり、所定の電圧とは、通常、50V0P〜500V0P程度である。OPC素子は、暗時のインピーダンスの抵抗成分は数百MΩ/cm2から数GΩ/cm2と非常に高く、光照射時はインピーダンスの抵抗成分は数百KΩ/cm2から数十MΩ/cm2となる。これに対し、表示素子のインピーダンスの抵抗成分は、通常、数MΩ/cm2から100MΩ/cm2程度であるため、光照射時の抵抗成分の低抵抗化が大きいほど記録感度高感度化あるいは記録マージン拡大に寄与する。
【0013】
したがって、本発明は、上記デュアルCGL構造の光書き込み型記録媒体における従来技術の問題点を解消することを課題とする。すなわち、本発明は、光感度が高いデュアルCGL構造の光書き込み型記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、光感度が高いデュアルCGL構造の光書き込み型記録媒体を製造し得る製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
通常の電子写真において、光に対する感度を上げるためには、1)キャリア発生効率、および、2)キャリア注入効率、が重要となるが、デュアルCGL構造においては、更に、新たな要求特性として、3)キャリアの電荷輸送層への放出効率、が重要となる。すなわち、デュアルCGL構造では電荷発生層で発生したキャリアが電荷輸送層に突入しさらに電荷輸送層から電荷発生層に放出される構造であるため、キャリアが電荷発生層から電荷輸送層へ注入され易くなければならないのと同時に、電荷輸送層から電荷発生層へ放出され易くなければならない。
【0015】
この特性は、電子写真用感光体における機能分離型二層構造の場合とは異なる、デュアルCGL構造特有の課題である。電子写真用感光体における機能分離型二層構造の場合、電荷発生層および電荷輸送層の選択においては、電荷発生層で発生した電荷が効率よく電荷輸送層に注入される、すなわち、注入効率を高くするため、電荷発生材のイオン化ポテンシャルを電荷輸送材のイオン化ポテンシャルよりできるだけ大きく設計することが有効であった。
【0016】
ホール移動型のCTLの場合、図3に示すように、ホールはCGL、CTLのHOMO上を移動するため、エネルギー準位として、|HOMOcgl|−|HOMOctl|<0では障壁となる。このため、|HOMOcgl|−|HOMOctl|>0である必要が有り、より高い注入効率とするためにはこの差が正でありかつ大きいことが重要な設計指針であった。図3に有るように、これらのエネルギー準位はイオン化ポテンシャルに対応し、かつ、イオン化ポテンシャルは測定可能であるため、イオン化ポテンシャルによる材料の選択/設計が可能であった。
【0017】
ところが、デュアルCGL構造では、電荷発生層から電荷輸送層に注入された電荷は、反対側の電荷発生層に再放出される。また、交流駆動する場合、電荷発生層から電荷輸送層へのキャリア放出と電荷輸送層から電荷発生層への再放出が同一の電荷発生層で行われる。このため、|HOMOcgl|>>|HOMOctl|(「>>」とは前者が後者に対し極めて大きいことを示す。)にした場合、突入時には障壁ではないものの、電荷が電荷輸送層から電荷輸送層への再突入時には障壁になる。このため、交流駆動用デュアルCGL構造では、輸送効率を向上させることが困難であった。このため、光照射時に十分な低抵抗化ができず、結果として、大光量を照射するか、あるいは記録マージンが狭くなるという問題があった。
【0018】
上記問題を解決するため、我々は、デュアルCGL構造の光スイッチング素子における、電荷輸送層、電荷発生層との関係について、特に電荷発生効率の高い材料、および、その電荷発生材により生成した電荷を効率よく注入・放出する電荷輸送材の検討を行った結果、両者のイオン化ポテンシャルの関係を規定することで光感度を向上させ得ることを見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、
【0019】
<1> 片面に電極層が形成された基板と、片面に透明電極層が形成された透明基板と、が前記透明電極層および前記電極層が内側に来るように対向し、その間隙に、
少なくとも、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む一対の電荷発生層が、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層を挟持して配される構造を含む光スイッチング層、および、表示素子層が形成されてなる交流駆動方式の光書き込み型記録媒体であって、
前記電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、前記電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする光書き込み型記録媒体である。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0020】
<2> 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記i)〜vi)のいずれかに強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする<1>に記載の光書き込み型記録媒体である。
i)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°、
ii)7.7°、16.5°、25.1°および26.6°
iii)7.9°、16.5°、24.4°および27.6°
iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°および27.1°
v)6.8°、12.8°、15.8°および26.0°
vi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°および28.2°
【0021】
<3> 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記a)〜b)のいずれかに強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする<1>に記載の光書き込み型記録媒体である。
a)7.4°、16.6°、25.5°および28.3°
b)6.8°、17.3°、23.6°および26.9°
c)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8°
【0022】
<4> 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする<1>に記載の光書き込み型記録媒体である。
【0023】
<5> 前記表示素子層が、メモリ性を有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体である。
【0024】
<6> 前記表示素子層が、液晶表示素子層であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体である。
<7> 前記表示素子層が、コレステリック液晶表示素子層であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体である。
【0025】
<8> 電極層が形成された基板の電極層側の表面に、光スイッチング層を形成し、一方、透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面に、表示素子層を形成し、得られた両基板の光スイッチング層および表示素子層側の面を貼り合わせる工程を含み、
前記光スイッチング層を形成する工程が、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第1の電荷発生層と、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層と、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第2の電荷発生層と、を順次積層形成する工程である交流駆動方式の光書き込み型記録媒体の製造方法であって、
前記第1の電荷発生層、前記電荷輸送層および前記第2の電荷発生層の形成に際し、前記電荷発生材および前記電荷輸送材として、電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することを特徴とする光書き込み型記録媒体の製造方法である。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0026】
<9> 透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面に、光スイッチング層を形成し、一方、電極層が形成された基板の電極層側の表面に、表示素子層を形成し、得られた両基板の光スイッチング層および表示素子層側の面を貼り合わせる工程を含み、
前記光スイッチング層を形成する工程が、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第1の電荷発生層と、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層と、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第2の電荷発生層と、を順次積層形成する工程である交流駆動方式の光書き込み型記録媒体の製造方法であって、
前記第1の電荷発生層、前記電荷輸送層および前記第2の電荷発生層の形成に際し、前記電荷発生材および前記電荷輸送材として、電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することを特徴とする光書き込み型記録媒体の製造方法である。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<光書き込み型記録媒体>
本発明の光書き込み型記録媒体は、片面に電極層が形成された基板と、片面に透明電極層が形成された透明基板と、が前記電極層および前記透明電極層が内側に来るように対向し、その間隙に、少なくとも、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む一対の電荷発生層が、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層を挟持して配される構造を含む光スイッチング層、および、表示素子層が形成されてなる交流駆動方式の光書き込み型記録媒体であって、前記電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、前記電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0028】
本発明の光書き込み型記録媒体においては、上記必須の層の他、その他の各種層を含んでいてもよい。
本発明の光書き込み型記録媒体について、各構成要素に分けて説明する。
【0029】
a)光スイッチング層
本発明において、光スイッチング層は、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む一対の電荷発生層が、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層を挟持して配される構造を含み、前記電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、前記電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0030】
上記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することにより、高感度でマージンの広い光書き込み型記録媒体を得ることができる。ここで、上記式(1)の左辺が絶対値である意味は、電荷発生材のイオン化ポテンシャルに対し、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルが高い値であっても低い値であっても構わないことを示す。すなわち、本発明の光書き込み型記録で、交流駆動させるためには、イオン化ポテンシャルの差の絶対値が小さいことが重要であるとの結論に至ったものである。
【0031】
Ipcgl−Ipctl>0.32eVでは、電荷輸送層内にキャリアの注入はされるが、放出が困難になり、電荷輸送層内に電荷が溜まりやすくなる。一方、Ipcgl−Ipctl<−0.32eVでは、キャリアの注入が困難になり、光照射による低抵抗化が困難になる。このため、Ipcgl−Ipctlの符号に関わらず、その差が0.32eV以下であることが本発明のポイントとなる。
【0032】
|Ipcgl−Ipctl|の値としては、0.3eV以下であることがより好ましく、0.2eV以下であることがさらに好ましく、0.1eV以下であることが特に好ましい。
イオン化ポテンシャルの具体的な値は、例えば大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(理研計器製AC−1)などにより測定することができる。尚、電荷輸送材CGMおよび電荷輸送材のイオン化ポテンシャルは、電荷発生層および電荷輸送層のイオン化ポテンシャルと、事実上同義である。
【0033】
本発明では電荷発生材としては、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上が適用される。
【0034】
また、本発明に用いられる電荷発生材としては、下記構造式(I)で示される構造のフタロシアニン、すなわち、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、およびチタニロフタロシアニンからなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とすることが好ましい。
【0035】
・構造式(I)
【化1】
【0036】
なお、本発明において「主成分」とは、対象となる物質(ここでは電荷発生材を構成する化合物)の内の50%以上を占めるものを指し、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上を占めるものである。当該定義は、他の対象物質においても同様である。
【0037】
前記ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記i)〜vi)のいずれかに強い回折ピークを有するものが、電荷発生効率が高く、特に好ましい。これらの電荷発生材のイオン化ポテンシャルは、−5.3eV(以降の説明において、「−」の符号は省略する。)程度である。
i)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°、
ii)7.7°、16.5°、25.1°および26.6°
iii)7.9°、16.5°、24.4°および27.6°
iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°および27.1°
v)6.8°、12.8°、15.8°および26.0°
vi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°および28.2°
【0038】
前記クロロガリウムフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記a)〜b)のいずれかに強い回折ピークを有するものが、電荷発生効率が高く、特に好ましい。これらの電荷発生材のイオン化ポテンシャルは、5.4eV程度である。
a)7.4°、16.6°、25.5°および28.3°
b)6.8°、17.3°、23.6°および26.9°
c)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8°
【0039】
前記チタニルフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に強い回折ピークを有するものが、電荷発生効率が高く、特に好ましい。かかる電荷発生材のイオン化ポテンシャルは、5.4eV程度である。
【0040】
これらの電荷発生材は光量に対する電荷発生効率が高く、高感度な電荷発生材である。
すなわち、適切なイオン化ポテンシャルの組み合わせと、高感度な電荷発生材を組み合わせることにより、光量に対する電荷発生効率の高い電荷発生材を用いて、電荷を発生させ、これを効率的に注入し、かつ、効率的に放出することができるため、高感度で広いマージンのデュアルCGL構造の光書き込み型記録媒体を製造することができる。
【0041】
また、前述の通り、無金属フタロシアニン(イオン化ポテンシャル5.2eV程度)などを電荷発生材として適用してもよい。さらに、下記に例示するアゾ化合物(azo−A〜azo−C)も電荷発生材として適用可能である。
【0042】
【化2】
【0043】
これらの化合物のイオン化ポテンシャルは5.4eVから5.9eV程度である。なお、上記化学式に付記された数値は、各化合物のイオン化ポテンシャルである(以降の化学式においても同様。)。
【0044】
本発明に用いられる電荷輸送材としては、電荷発生材にヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた場合には4.8eVから5.8eVまでの材料が適用可能であり、電荷発生材にハロゲン化ガリウムフタロシアニンを用いた場合には、4.9eVから5.9eVまでの材料が適用可能であり、電荷発生材にチタニロフタロシアニンを用いた場合には4.9eVから5.9eVの材料が適用可能である。
【0045】
本発明では電荷輸送材としては、上記のなかでも、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とするものが用いられる。
特に有用な正電荷輸送材としては、下記(化合物2−A)〜(化合物2−K)に例示するような構造のスチリルトリフェニルアミン化合物、下記(化合物3−A)〜(化合物3−H)に例示するような構造のN,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン化合物、下記(化合物4−A)〜(化合物4−E)に例示するような構造のトリフェニルアミン化合物や、その他、下記(化合物5−B)〜(化合物5−C)および(化合物5−E)〜(化合物5−F)に例示するような構造の化合物等が挙げられる。
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
これらの電荷輸送材のなかでも、トリフェニルアミン系化合物である(化合物4−B)、ベンジジン系化合物である(化合物3−A)、(化合物3−B)、および、(化合物3−D)は、イオン化ポテンシャルが低く、かつ、バインダとの相溶性が高いため、より望ましい。
【0055】
化合物名で言えば、N,N’−ビス(3メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3エチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3エチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3エチルフェニル)−N,N’−ビス(3メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1のベンジジン系化合物や、トリフェニルアミン系化合物であるN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビスフェニル−4−アミンが好ましい。
【0056】
一対の電荷発生層は、キャリアと自由電子の発生が同程度であることが要求されるため、波長、光量、電圧に対し同程度の感度が求められ、上下とも同じ材料であることが望ましいが、同程度の感度であるならば、材料が異なっていても問題ない。上部と下部の電荷発生材料の感度が同程度でないものを用いて光書き込み型記録媒体を構成すると、光照射下交流電界を印加した場合、取り出される電圧の波形の0Vに対する非対称性が大きくなってしまう。
【0057】
一対の電荷発生層において、相互に異なる電荷発生材を用いる場合には、各電荷発生材のイオン化ポテンシャルが、電荷輸送層における電荷輸送材のイオン化ポテンシャルと、既述の式(1)の関係を有していればよい。勿論、当該相互に異なる電荷発生材のイオン化ポテンシャルが、できる限り等しいことが好ましい。
【0058】
電荷発生層の形成方法としては、真空蒸着法やスパッタ法などドライな膜形成法のほか、前記電荷発生材または電荷輸送材を含む塗布液を用いるスピンコート法、ディップ法などが適用可能である。いずれの方式も、a−Siやフォトダイオード作製におけるような基板加熱や厳しい工程管理は不要である。
【0059】
前記塗布液を用いる場合、塗布液中の前記電荷発生材の濃度としては、1〜20質量%の範囲とすることが好ましく、1.5〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。一方、塗布液中の前記電荷輸送材の濃度としては、5〜50質量%の範囲とすることが好ましく、10〜20質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0060】
前記塗布液には、結着樹脂が含まれる。使用可能な結着樹脂としては、電子写真の感光体の感光層形成に通常用いられる公知のものを問題なく用いることができ、具体的には、結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、アルコール可溶性ナイロン、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マイレン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂、等が挙げられる。これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記塗布液におけるこれら結着樹脂の濃度としては、前記電荷発生層については0.1〜20質量%の範囲とすることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。一方、前記電荷輸送層については1〜50質量%の範囲とすることが好ましく、2〜30質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0061】
前記塗布液を調製するための溶媒としては、結着樹脂を溶解する溶媒としては、下引層を溶解しないものから選択するのが好ましい。具体的な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の環状または鎖状のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n―ブチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロエチレン、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、リグロイン等の鉱油、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、等が挙げられる。
【0062】
前記電荷発生層の膜厚としては、10nm〜1μm程度が好ましく、20nm〜500nm程度がより好ましい。10nmより薄いと光感度が不足しかつ均一な膜の作製が難しくなり、また、1μmより厚くなると、光感度は飽和し、膜内応力によって剥離が生じ易くなる。
【0063】
前記電荷輸送層の膜厚としては、0.1μm〜100μm程度が好ましく、1μm〜10μm程度がより好ましい。0.1μmより薄いと耐電圧が低くなって信頼性確保が困難となり、また、100μmより厚くなると、機能素子とのインピーダンスマッチングが困難となって設計が難しくなるため、前記の範囲が望ましい。
【0064】
以上説明した一対の電荷発生層および電荷輸送層を、前者2層が後者を挟み込むように形成することにより、光スイッチング層が形成される。
また、電荷輸送層間にさらに電荷発生層を作製し、電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層とする構成も可能である。
【0065】
b)基板および透明基板
本発明の光書き込み型記録媒体においては、片面に電極層が形成された基板と、片面に透明電極層が形成された透明基板と、が前記透明電極層および前記電極層が内側に来るように対向して配置される。すなわち、一対の基板および電極の組み合わせが対向配置される。
【0066】
前記一対の基板の少なくとも一方は透明基板であるが、他方は透明基板でも透明でない基板でも構わない。光書き込みと画像表示を一方の面のみで行う場合には、一方のみが透明であればよい。なお、本発明において「透明」とは、光書き込み用の光、および/または、可視光を実質的に透過する性質を言う。
【0067】
使用可能な透明基板としては、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、PES(ポリエーテルスルホン)等の、基板が挙げられる。フレキシブル基板が得られること、成形が容易なこと、コストの点などから光透過性のプラスチック基板を用いることが有利である。
【0068】
透明でない基板としては、特に限定されず、シリコン基板、着色PET、着色、着色ポリエステル、着色ポリイミド等が挙げられる。
基板の厚みとしては、特に限定されないが、50〜1000μm程度の範囲から選択される。
【0069】
基板には、電極層が設けられる。少なくとも透明基板の表面に形成される電極層は透明電極層であり、透明でない基板に形成される電極層は、勿論、透明でも透明でなくてもよい。
透明電極層としては、ITO膜、Au、SnO2、Al、Cu、有機導電膜等が用いられる。透明でない電極層としては、各種金属層を用いることができ、特に限定されない。また、ITOや各種金属板のように、基板と電極とを兼ねるものであってもよい。
電極層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm〜10μm程度の範囲から選択される。
【0070】
c)表示素子層
本発明において一対の基板間に光スイッチング層と共に形成される表示素子層は、前記光スイッチング層を介した電圧の印加により、画像を表示させ得る機能を有する層である。本発明において表示素子層としては、メモリ性を有するものが好ましい。
【0071】
メモリー性を有する表示素子とは、液晶表示素子層を例に挙げると、液晶を電圧印加により配向制御した後、電圧印加を解除した後も、一定時間、液晶の配向が保たれる特徴を持った液晶表示素子層である。たとえば、ポリマー分散型液晶(PDLC)やカイラルスメクチックC相等の強誘電液晶や、スメクチック、ディスコチック、コレステリック系液晶、PDLCやカプセル化によりメモリ性を付与したネマチック系液晶等が挙げられる。また、これらをカプセル化した液晶素子でも適用可能である。このほか、電気泳動素子、電界回転型素子、エレクトロクロミック素子等も適用可能である。これらのなかでも、コレステリック液晶は、反射率が高く、表示性能が優れているため、特に好ましい。
【0072】
表示素子層の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の表示素子の層を形成する各種方法が問題なく適用される。例えば、セル注入法、スクリーン印刷法、ブレード塗布法、スプレー塗布法、ダイコート塗布法、グラビア塗布法、スピンコート法、蒸着法、スパッタ法等が適用可能である。
【0073】
d)その他の各種層
本発明においては、上記本発明に必須の各層のほか、その他の各種層を設けることも可能である。
例えば、特開2000−180888号公報の段落番号0024〜0025間に記載の直流成分除去用機能膜や電極と電荷発生層の間にキャリアの突入を防ぐ機能層(隔離層)を形成することが可能である。また、反射膜や遮光膜を形成することも可能であるし、これらの複数の機能を兼ねた機能層でもよい。
このような機能層は電流の流れを著しく妨げない範囲で適用可能である。
【0074】
<光書き込み型記録媒体の製造方法>
本発明の光書き込み型記録媒体の製造方法は、電極層が形成された基板の電極層側の表面(または、透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面)に、光スイッチング層を形成する工程と、透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面(または、電極層が形成された基板の電極層側の表面)に、表示素子層を形成する工程と、得られた両基板の光スイッチング層および表示素子層側の面を貼り合わせる工程と、を含み、
前記光スイッチング層を形成する工程が、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第1の電荷発生層と、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層と、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第2の電荷発生層と、を順次積層形成する工程である交流駆動方式の光書き込み型記録媒体の製造方法であって、
前記第1の電荷発生層、前記電荷輸送層および前記第2の電荷発生層の形成に際し、前記電荷発生材および前記電荷輸送材として、電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することを特徴とする。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
【0075】
前記貼り合わせは、接着剤を用いて接着する方法、熱圧着法等、従来公知の方法を採用することができる。基板および電極の組合せは、光スイッチング層が形成される側が透明であっても、表示素子層が形成される側が透明であっても、さらには双方が透明であってもよい。電荷発生材のイオン化ポテンシャルIpcglと、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルIpctlとの好ましい関係や考え方は、<光書き込み型記録媒体>の項で述べた通りである。また、各層の具体的構成や形成方法についても、<光書き込み型記録媒体>の項で、詳細に述べているので、ここでは割愛することとする。
【0076】
なお、光スイッチング層および表示素子層は、いずれかを先に形成してもよい。すなわち、基板および電極層の組合せの一方が透明でない場合には、所望とする層構成になるように、各層を順次形成すればよい。
【0077】
<光書き込み型記録媒体への書き込み>
上記本発明の光書き込み型記録媒体は、少なくとも一方が透明電極層である一対の電極層に交流電圧を印加しつつ、一方が透明でない基板である場合には、透明基板側から画像様の光を照射することで書き込みをすることができる。
【0078】
印加電圧は交流電圧であるが、波形としてはサイン波、矩形波、三角波などが適用可能であり、これらを組み合わせたものでも、全く任意の波形であっても構わない。勿論、表示素子層の構成によっては、若干のバイアス成分印加が有効である場合があるが、これを適用しても差し支えない。
【0079】
図4に、本発明の光書き込み型記録媒体に書き込みを行うシステムの概念の一例を示す。図4において、ガラスまたはプラスチック等の光入射側基板28上に、透明電極層18aと、下部電荷発生層(CGL)14、電荷輸送層(CTL)12、上部電荷発生層(CGL)10からなる光スイッチング素子層と、表示素子層26と、透明電極層18bと、表示側基板30と、から構成される本発明の光書き込み型記録媒体40に書き込みを行うシステムを示している。
【0080】
光書き込み型記録媒体40の上下の透明電極層18aおよび18bは、コネクタ34に接続され、電圧印加手段36により電圧が印加できるようになっている。コネクタ34、電圧印加手段36、光書き込み手段32、ならびに電圧印加手段36および光書き込み手段32を制御するための制御手段38により、光書き込み装置が構成される。該光書き込み装置は、一つにまとめられていてもよいし、分離していてもよい。
コネクタ34は、透明電極層18aと、透明電極層18bに接続するためのコネクタで、それぞれの側に接点を有する。勿論、これは自在に取り外しが可能である。
【0081】
電圧印加手段36は、光書き込み手段による光書き込みと同期して、表示のための駆動パルスを印加するものであり、印加パルスの生成手段、出力するためのトリガー入力を検知する手段を有する。パルス生成手段には例えば、ROMのような波形記憶手段とDA変換手段と制御手段とを有し、電圧印加時にROMから読み出した波形をDA変換して空間変調デバイスに印加する手段が適用可能であるし、また、ROMではなくパルス発生回路のような電気回路的な方式でパルスを発生させる手段が適用可能であるが、このほかにも駆動パルスを印加する手段であれば特に制限なく使用することができる。
【0082】
光書き込み手段32としては、光書き込み型記録媒体40の光入射側に照射する光のパターンを生成する手段と、そのパターンを空間変調デバイスに照射する光照射手段とを有する。パターンの生成には、例えば、TFTを用いた液晶ディスプレイ、単純マトリックス型液晶ディスプレイ等透過型のディスプレイが適用可能である。光照射手段としては、蛍光ライト、ハロゲンランプ、エレクトロルミネッセンス(EL)ライト等、空間変調デバイスに照射できるものであれば適用可能である。また、パターン生成手段と光照射手段を兼ね備えたELディスプレイやCRT、フィールドエミッションディスプレイ(FED)など発光型ディスプレイも適用可能である。前記のほかにも、空間変調デバイスに照射する光量、波長、照射パターンを制御できる手段であれば、問題なく適用することができる。
制御手段38は、送られてくる画像データを表示データに変換するほか、上記手段の動作を制御するための手段により構成されている。
【0083】
本発明の光書き込み型記録媒体は、以上のような構成の光書き込み装置により、画像を書き込むことができ、一度光書き込み型記録媒体40に書き込んだ画像は、コネクタ34から外しても保持され、閲覧、回覧、配布等に供することができる。また、再度コネクタ34に接続し、電圧を印加することで、書き込んだ画像を消去することもでき、再び別の画像を書き込むことも可能であるため、省資源化の要求に応え得るものである。
【0084】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。勿論、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
以下のようにして、本発明の光書き込み型記録媒体を製造した。
電極層としてITO膜(厚さ800Å)を形成したポリエチレンテレフタレート(PET)基板(厚さ125μm)の前記ITO膜上に、電荷発生層を形成した。具体的には、まず、イオン化ポテンシャル5.31eVのヒドロキシガリウムフタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°および27.1°に強い回折ピークを有するもの)を電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、その質量比率は1:1とし、ブタノールで分散させ、4質量%の分散液(塗布液A)を調製した。これをスピンコート法により基板に塗布後、乾燥させ、0.2μm厚の電荷発生層を形成した。
【0086】
次に、前記電荷発生層の上に電荷輸送層を形成した。具体的には、まず、イオン化ポテンシャル5.39eVの前記(化合物4−B)で示される構造のトリフェニルアミン化合物である電荷輸送材N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビスフェニル−4−アミンと、バインダー樹脂としてポリカーボネート{ビスフェノール−Z、(ポリ(4,4’−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))}とを、前者を40質量%後者を60質量%の割合で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10質量%の溶液(塗布液B)を調製した。これをディップコートにより、120mm/minの速度で引き上げ、前記電荷発生層上に3μm厚の電荷輸送層を形成した。
【0087】
更に、前記塗布液Aを、スピンコート法により前記電荷輸送層の上に塗布、乾燥させ、0.2μm厚の電荷発生層を形成した。|Ipcgl−Ipctl|は0.08eVである。
以上のようにして、光スイッチング層を形成した。
【0088】
光スイッチング層の上に隔離層として、スピンコートにより、ポリビニルアルコール3質量%の水溶液を塗布し、0.2μm厚のポリビニルアルコール膜を形成した。
さらに、隔離層の上に、遮光膜、カプセル液晶素子による表示素子層、透明電極層および透明基板を以下のようにして形成した。
【0089】
正の誘電率異方性を有するネマチック液晶E8(メルク社製)74.8質量部に,カイラル剤CB15(BDH社製)21質量部とカイラル剤R1011(メルク社製)4.2質量部とを加熱溶解し、その後室温に戻して、ブルーグリーンの色光を選択反射するカイラルネマチック液晶を得た。
【0090】
このブルーグリーンカイラルネマチック液晶10質量部に、キシレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの付加物(武田薬品工業製D−110N)3質量部と酢酸エチル100質量部とを加えて均一溶液とし,油相となる液を調製した。
一方、ポリビニルアルコール(クラレ社製ポバール217EE)10質量部を、熱したイオン交換水1000質量部に加えて攪拌後、放置冷却することによって,水相となる液を調製した。
【0091】
次に、スライダックで30V交流を与えた家庭用ミキサーによって、前記油相10質量部を前記水相100質量部中に1分間乳化分散して、水相中に油相液滴が分散した水中油エマルジョンを調製した。この水中油エマルジョンを60℃のウォーターバスで加熱しながら2時間攪拌し、界面重合を完了させて、液晶マイクロカプセルを形成した。得られた液晶マイクロカプセルの平均粒径をレーザー粒度分布計によって測定したところ、約12μmと見積もられた。
【0092】
得られた液晶マイクロカプセル分散液を、網目38μmのステンレスメッシュを通して濾過後一昼夜放置し,乳白色の上澄みを取り除くことにより、液晶マイクロカプセルからなる固形成分約40質量%のスラリーを得た。
得られたスラリーに、その固形成分の質量に対して2/3となる量のポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール10質量%の溶液を加えることにより塗布液Cを調製した。
ITO膜(透明電極層、厚さ800Å)付きのPETフィルム(東レハイビーム、透明基板、板厚125μm)のITO膜面の上に、上記塗布液Cを#44のワイヤーバーで塗布することにより、液晶を含む表示素子層を形成した。
【0093】
既に、光スイッチング層および隔離層が形成されたPETフィルムの隔離層面上にブラックポリイミドBKR−105(日本化薬製)を塗布し、遮光膜(厚さ1μm)を形成した後、更に、完全水性型ドライラミネート接着剤であるディックドライWS−321A/LD−55(大日本インキ化学工業)を塗布乾燥させて厚さ4μmの接着層を形成した。この接着層の上に、表示素子層が形成されたPETフィルムを、表示素子層と接着層とが接するように密着させ、70℃でラミネートを行い、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。
【0094】
(実施例2)
実施例1において、電荷発生材として、イオン化ポテンシャルが5.38eVのチタニロフタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に強い回折ピークを有するもの)を、電荷輸送材として、イオン化ポテンシャルが5.37eVの(化合物3−A)で示される構造の電荷輸送材を、それぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。なお、|Ipcgl−Ipctl|は0.01eVである。
【0095】
(実施例3)
実施例1において、電荷発生材として、イオン化ポテンシャルが5.41eVのクロロガリウムフタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°および28.3°に強い回折ピークを有するもの)を、電荷輸送材として、イオン化ポテンシャルが5.37eVの前記(化合物3−B)で示される構造のベンジジン系であるN,N’−ビス(3メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを、それぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。なお、|Ipcgl−Ipctl|は0.04eVである。
【0096】
(実施例4)
実施例1において、電荷発生材として、イオン化ポテンシャルが5.15eVの無金属フタロシアニンを、電荷輸送材として、イオン化ポテンシャルが5.37eVの前記(化合物3−B)で示される構造のベンジジン系であるN,N’−ビス(3メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンを、それぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。なお、|Ipcgl−Ipctl|は0.22eVである。
【0097】
(実施例5)
実施例1において、電荷発生材として、イオン化ポテンシャルが5.92eVの前記(azo−C)で示される構造のアゾ化合物を、電荷輸送材として、イオン化ポテンシャルが5.6eVの(化合物2−E)で示される構造のスチリルトリフェニルアミン化合物である電荷輸送材を、それぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。なお、|Ipcgl−Ipctl|は0.32eVである。
【0098】
(比較例1)
実施例1において、電荷発生材として、イオン化ポテンシャルが5.92eVの前記(azo−C)で示される構造のアゾ化合物を、電荷輸送材として、イオン化ポテンシャルが5.39eVの前記(化合物4−B)で示される構造のトリフェニルアミン化合物である電荷輸送材N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビスフェニル−4−アミンを、それぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。なお、|Ipcgl−Ipctl|は0.53eVである。
【0099】
(比較例2)
以下のようにして、比較例の光書き込み型記録を製造した。
ITO膜(透明電極層、厚さ800Å)付きのポリエーテルサルフォン(PES)フィルム基板(厚さ125μm)上に、電荷発生材としてイオン化ポテンシャル5.3eVクロロガリウムプタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°および28.3°に強い回折ピークを有するもの)を用い、実施例1と同様にして、0.2μm厚の電荷発生層を形成した。
【0100】
次に、前記電荷発生層の上に電荷輸送層を形成した。具体的には、イオン化ポテンシャル6.1eVの前記(化合物6−B)で示される構造の電荷輸送材と、バインダー樹脂としてポリカーボネート{ビスフェノール−Z、(ポリ(4,4’−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))}とを、前者を40質量%後者を60質量%の割合で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10質量%の溶液(塗布液D)を調製した。これをディップコートにより、120mm/minの速度で引き上げ、前記電荷発生層上に3μm厚の電荷輸送層を形成した。Ipcgl−Ipctlは0.8eVである。
以降は、実施例1と同様にして、モノクロ表示の光書き込み型記録媒体を得た。
【0101】
(評価試験)
以上のようにして得られた各実施例および比較例の光書き込み型記録媒体について、図4に示す、コネクタ34、電圧印加手段36、光書き込み手段32、ならびに制御手段38により構成される光書き込み装置を用いて、画像の書き込みを行った。具体的には、各実施例および比較例の光書き込み型記録媒体における2つの透明電極層をコネクタ34に接続し、さらに光書き込み型記録媒体に画像を入力するためにモノクロの液晶パネルからなる光書き込み手段32を密着させ、画像様の光を照射するとともに、電圧印加手段36により、矩形波、10Hz、4パルス、250Vpp(比較例においては300Vpp)の交流電圧を印加した。
【0102】
このとき、光書き込み手段32による画像様の光として、光照射部の光の強度を50μW/cm2から50μW/cm2ずつ上昇させ、光照射部にブルーのモノクロ画像が得られる光の強度を確認した。
【0103】
その結果、実施例1〜3においては、暗部(1μW/cm2)と光照射部(200μW/cm2)において、光照射部はブルー、暗部はブラックのモノクロ画像が得られ、これらが高感度であることが検証された。また、実施例4および5においては、暗部(1μW/cm2)と光照射部(500μW/cm2)において、光照射部はブルー、暗部はブラックのモノクロ画像が得られ、高感度であることが検証された。
【0104】
一方、比較例1および2においては、光照射部はブルー、暗部はブラックのモノクロ画像が得られるには、暗部(1μW/cm2)と光照射部(1mW/cm2)の光照射が必要であり、上記各実施例に比べて感度が劣ることが検証された。
【0105】
以上の画像書き込み操作を、それぞれ画像が得られた暗部と光照射部の光の強さで、1000回繰り返し、画像記録の耐久性を確認した。その結果、実施例1〜5においては、最後まで安定していた。一方、比較例1においては、200回で消し残りによる色むらが発生した。また、比較例2においては、100回で消し残りによる色むらが発生した。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光感度が高いデュアルCGL構造の光書き込み型記録媒体およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 デュアルCGL構造の光スイッチング素子の模式断面図である。
【図2】 デュアルCGL構造の光スイッチング素子を電子ぺーパーに適用した光書き込み型記録媒体の概念図である。
【図3】 電荷輸送のエネルギーモデルを示す説明図である。
【図4】 本発明の光書き込み型記録媒体に書き込みを行うシステムの概念の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 上部電荷発生層
12 電荷輸送層
14 下部電荷発生層
16 電極層
18、18a、18b 透明電極層
19 透明基板
20 機能層
22 液晶
24 スペーサー
26 表示素子層
28 光入射側基板
30 表示側基板
32 光書き込み手段
34 コネクタ
36 電圧印加手段
38 制御手段
Claims (9)
- 片面に電極層が形成された基板と、片面に透明電極層が形成された透明基板と、が前記透明電極層および前記電極層が内側に来るように対向し、その間隙に、
少なくとも、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む一対の電荷発生層が、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層を挟持して配される構造を含む光スイッチング層、および、表示素子層が形成されてなる交流駆動方式の光書き込み型記録媒体であって、
前記電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、前記電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする光書き込み型記録媒体。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1) - 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記i)〜vi)のいずれかに強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の光書き込み型記録媒体。
i)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°、
ii)7.7°、16.5°、25.1°および26.6°
iii)7.9°、16.5°、24.4°および27.6°
iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°および27.1°
v)6.8°、12.8°、15.8°および26.0°
vi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°および28.2° - 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、下記a)〜b)のいずれかに強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の光書き込み型記録媒体。
a)7.4°、16.6°、25.5°および28.3°
b)6.8°、17.3°、23.6°および26.9°
c)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°および28.8° - 前記電荷発生材が、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の光書き込み型記録媒体。
- 前記表示素子層が、メモリ性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体。
- 前記表示素子層が、液晶表示素子層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体。
- 前記表示素子層が、コレステリック液晶表示素子層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の光書き込み型記録媒体。
- 電極層が形成された基板の電極層側の表面に、光スイッチング層を形成する工程と、透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面に、表示素子層を形成する工程と、得られた両基板の光スイッチング層および表示素子層側の面を貼り合わせる工程と、を含み、
前記光スイッチング層を形成する工程が、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第1の電荷発生層と、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合 物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層と、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第2の電荷発生層と、を順次積層形成する工程である交流駆動方式の光書き込み型記録媒体の製造方法であって、
前記第1の電荷発生層、前記電荷輸送層および前記第2の電荷発生層の形成に際し、前記電荷発生材および前記電荷輸送材として、電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することを特徴とする光書き込み型記録媒体の製造方法。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1) - 透明電極層が形成された透明基板の透明電極層側の表面に、光スイッチング層を形成する工程と、一方、電極層が形成された基板の電極層側の表面に、表示素子層を形成する工程と、得られた両基板の光スイッチング層および表示素子層側の面を貼り合わせる工程と、を含み、
前記光スイッチング層を形成する工程が、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第1の電荷発生層と、ベンジジン系化合物および/またはトリフェニルアミン系化合物を主成分とする電荷輸送材を含む電荷輸送層と、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニロフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびアゾ化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の化合物を主成分とする電荷発生材を含む第2の電荷発生層と、を順次積層形成する工程である交流駆動方式の光書き込み型記録媒体の製造方法であって、
前記第1の電荷発生層、前記電荷輸送層および前記第2の電荷発生層の形成に際し、前記電荷発生材および前記電荷輸送材として、電荷発生材のイオン化ポテンシャルをIpcglとし、電荷輸送材のイオン化ポテンシャルをIpctlとした場合、下記式(1)の関係を満たす電荷発生材と電荷輸送材との組合せを選択することを特徴とする光書き込み型記録媒体の製造方法。
|Ipcgl−Ipctl|≦0.32eV ・・・式(1)
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001187374A JP4178767B2 (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 光書き込み型記録媒体およびその製造方法 |
US10/093,602 US7046311B2 (en) | 2001-06-20 | 2002-03-11 | Photo-writing type recording medium and manufacturing method therefor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001187374A JP4178767B2 (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 光書き込み型記録媒体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003005671A JP2003005671A (ja) | 2003-01-08 |
JP4178767B2 true JP4178767B2 (ja) | 2008-11-12 |
Family
ID=19026669
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001187374A Expired - Fee Related JP4178767B2 (ja) | 2001-06-20 | 2001-06-20 | 光書き込み型記録媒体およびその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7046311B2 (ja) |
JP (1) | JP4178767B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6885409B2 (en) * | 2002-09-27 | 2005-04-26 | Eastman Kodak Company | Cholesteric liquid crystal display system |
JP4424080B2 (ja) * | 2004-06-10 | 2010-03-03 | 富士ゼロックス株式会社 | 画像書込装置、コネクタおよび表示記録媒体 |
US20060035474A1 (en) * | 2004-08-10 | 2006-02-16 | Pavel Komilovich | Increasing retention time for memory devices |
JP2007241456A (ja) * | 2006-03-06 | 2007-09-20 | Fuji Xerox Co Ltd | 情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム |
JP2008076763A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | Fujifilm Corp | 光導電スイッチング素子、光書き込み型記録用媒体、およびそれらの製造方法と利用 |
TW200832031A (en) * | 2007-01-22 | 2008-08-01 | Gigno Technology Co Ltd | E-paper apparatus and manufacturing method thereof |
JP5239362B2 (ja) * | 2008-01-31 | 2013-07-17 | 富士ゼロックス株式会社 | 光書き込み型表示媒体及び光書き込み方法 |
JP2010237643A (ja) * | 2009-03-09 | 2010-10-21 | Fuji Xerox Co Ltd | 表示媒体、書込装置、及び表示装置 |
JP4853540B2 (ja) * | 2009-03-26 | 2012-01-11 | 富士ゼロックス株式会社 | 書込装置 |
JP2011048102A (ja) | 2009-08-26 | 2011-03-10 | Fuji Xerox Co Ltd | 光書込型表示媒体及び光書込型表示装置 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3084882B2 (ja) * | 1992-01-13 | 2000-09-04 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体 |
JP2797847B2 (ja) * | 1992-06-25 | 1998-09-17 | 富士ゼロックス株式会社 | 電子写真感光体 |
JP3431386B2 (ja) * | 1995-03-16 | 2003-07-28 | 株式会社東芝 | 記録素子およびドリフト移動度変調素子 |
US5932384A (en) * | 1997-05-14 | 1999-08-03 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photoreceptor |
JP3794185B2 (ja) | 1998-07-01 | 2006-07-05 | 富士ゼロックス株式会社 | 光導電スイッチング素子を用いるデバイス、デバイスを組み込んだ装置、記録装置および記録方法 |
US6600473B1 (en) * | 1999-01-20 | 2003-07-29 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Photoconductive switching element, device using it, and apparatus, recording apparatus, and recording method in which the device is incorporated |
JP4395215B2 (ja) * | 1999-04-01 | 2010-01-06 | 大日本印刷株式会社 | El素子 |
JP4000742B2 (ja) * | 2000-03-13 | 2007-10-31 | コニカミノルタホールディングス株式会社 | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ |
US6589445B2 (en) * | 2000-06-27 | 2003-07-08 | Fuji Photo Film Co., Ltd. | Light-reaction type optically active compound, light-reaction type chiral agent, liquid crystal composition, liquid crystal color filter, optical film, recording medium, and method of changing twist structure of liquid crystal |
-
2001
- 2001-06-20 JP JP2001187374A patent/JP4178767B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2002
- 2002-03-11 US US10/093,602 patent/US7046311B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20030012916A1 (en) | 2003-01-16 |
US7046311B2 (en) | 2006-05-16 |
JP2003005671A (ja) | 2003-01-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4175099B2 (ja) | 光書き込み型表示媒体、及び表示装置 | |
US20100002155A1 (en) | Optical writing display apparatus, optical writing apparatus and optical writing method | |
JP2010237643A (ja) | 表示媒体、書込装置、及び表示装置 | |
JP4178767B2 (ja) | 光書き込み型記録媒体およびその製造方法 | |
JP2007298818A (ja) | 液晶デバイスの駆動方法、および液晶デバイス駆動装置 | |
JP2008197433A (ja) | 光変調素子、並びにその駆動方法および駆動装置 | |
US8054260B2 (en) | Driving method of stacked light modulating device, and driving device of stacked light modulating device | |
JP2010091914A (ja) | 光書き込み装置、及びプログラム | |
JP4586868B2 (ja) | 液晶デバイスの駆動方法、および液晶デバイスの駆動装置 | |
US8149192B2 (en) | Optical writing image forming device, control device for optical writing image forming device | |
US7948567B2 (en) | Optically writable display medium and optical writing method | |
JP2005017726A (ja) | 光スイッチング素子、並びに、それを用いたデバイス、光書き込み型表示媒体、及び表示装置 | |
JP2011053482A (ja) | 光書込型表示媒体及び光書込型表示装置 | |
JP2009237211A (ja) | 液晶デバイスの駆動方法および駆動装置 | |
JP2010002506A (ja) | 光書込型表示装置、書込装置、及び光書き込み方法 | |
JP2007279370A (ja) | 光書き込み型表示媒体 | |
US20090002274A1 (en) | Optically writable display medium, optical writing device, and image display apparatus | |
JP2009025416A (ja) | 光書き込み型記録媒体 | |
JP2002189200A (ja) | 光スイッチング素子、デバイス、光書き込み型記録用媒体、表示装置および書き込み装置 | |
JP5082587B2 (ja) | 光書き込み型表示媒体 | |
JP4877106B2 (ja) | 光スイッチング素子及び光書き込み型表示媒体 | |
JP2007279371A (ja) | 光スイッチング素子及び光書き込み型表示媒体 | |
JP2010230869A (ja) | 光書込装置 | |
JP2009015238A (ja) | 光書き込み型表示媒体 | |
JP2010224459A (ja) | 顔料分散液、光スイッチング素子、表示媒体、光書込み型表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040910 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071204 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080408 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080609 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080805 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080818 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130905 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |