JP4174123B2 - Fluorine-containing epoxy resin composition and ink jet recording head using the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望のパターン状に撥水、撥インク処理が可能な重合性樹脂組成物、とりわけ紫外線照射によって重合し、所望のパターン状に塗膜を形成することが可能な樹脂組成物に関する。また、本発明は該組成物を用いて撥インク処理されたインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の分野において、耐水性や撥インク性が要求される部材に、撥水性塗料を適用してこれらの性質を得る方法が一般的に知られており、それに用いる樹脂素材、塗料が開発されている。
【0003】
撥水撥油塗料としてはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂系塗料がもっとも一般的である。すなわち、フルオロオレフィンや、パーフロロ基を有するフッ素系塗料は、熱的にも化学的にも極めて安定であり、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れ、更に、離型性、耐摩擦性、撥水性にも優れ、各種の用途に広く利用されている。シリコーン樹脂は撥水、撥油性に優れるが、それのみでは硬度が低いなどの理由から、塗料としてはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など、他の樹脂系との併用、変性によって塗料の組成が構成されることが多い。
【0004】
一方、液体を吐出口から小滴として吐出して、紙などに付着させて記録や画像の形成を行うインクジェット(液体噴出)記録ヘッドでは、記録特性をより高度なものとするために、より小さな液滴、より高い駆動周波数、より多い吐出口数といった性能向上が続けられている。従って、吐出口表面を常に同じ表面状態に維持し易くするための表面処理がますます重要になってきている。
【0005】
しかし上記したような既存の撥水撥油材料を使用して、吐出口表面をインクが付着しないように選択的に或いはパターン状に精密に表面処理することは困難である。その理由は、
(1)フォトレジストのような特性を持たせるためには、感光性の官能基を持った物質を主体としなければならないが、そうした化合物が同時に撥水、撥インク性を持つように分子を設計することには合成技術的に、容易なことではない。
【0006】
また、
(2)インクジェット記録ヘッドの表面処理は、微細なノズルの機能を妨げないように数μm以下のきわめて薄い膜厚であることが必要であるが、既存塗料はそのような膜厚に制御することが困難であるからである。
【0007】
既存のフッ素系の材料で表面処理が達成された場合には、その表面の性質を長く維持出来るように塗膜構造を設計することが必要である。ところがたいていの撥水撥油材料は、塗膜硬度が低く摩擦耐久性には乏しいか、汚染が起こると撥水撥油性が低下し、回復し難いことが多く、その意味でインクジェット記録ヘッドの吐出口表面処理材料としては、必ずしも満足できるものではない。
【0008】
そして、現時点においては、インクを小液滴にして飛翔させ記録を行うインクジェット記録方式に用いられるインク吐出口を以下に示す性能を有するものにすることが望まれている。
【0009】
即ち、
(1)液滴化したインク柱の残部のインクが速やかに吐出口内に再収納されること
(2)表面に付着したインク滴は、クリーニング操作で容易に掃き出されること
(3)記録ヘッドの吐出面は、クリーニング操作、用紙搬送における耐擦傷性に優れること
(4)繰り返される液滴形成とインクリフィルにおいて、吐出口表面位置にメニスカスが形成される
(5)メニスカスの法線方向が吐出方向になっていること
(6)低い表面張力のインクであっても、或いは低い負圧の状態であってもメニスカスを形成しうるだけの十分な界面張力、即ち接触角を持つこと
(7)インクジェットの記録用液体は、溶解安定性のためにpHが7〜11の塩基性に調節されることが多く、部材の耐アルカリ性、加水分解性に優れた構造材を採用すること。
【0010】
これらの諸要求性能が求められる理由はインクジェット記録ヘッドでは、吐出口の周辺にインク等の記録用の液体が付着していると、吐出口から吐出される液滴の吐出(飛翔)方向にズレが生じ、高精度での印字が出来なくなるという印字性能に直接関係するからである。
【0011】
本発明に関連する先行技術としては、ラッカー型フッ素樹脂塗料、フッ素系紫外線硬化型塗料、熱硬化型フッ素樹脂塗料、フッ素系シランカップリング剤、フッ素樹脂粒子を分散したエポキシ樹脂組成物、気層から樹脂薄膜を重合し成膜することを開示した資料がある。
【0012】
例えば、特開平2−39944号公報には、フロロアセチル基とシラザン基を有するポリマーで撥インク処理を行うことが開示されている。
【0013】
しかしながらこれらの塗布材料については、撥水性の塗膜の耐久性が必ずしも両立しない場合があった。また特開平3−7781号公報には、フッ素系ジオールから誘導されたグリシジルエーテルを用いる撥インク処理剤の開示がある。ここで開示されているフッ素系エポキシ樹脂はそれを硬化して使用するので、塗膜の耐久性という面では良いものの、撥インク性においては、十分に満足できるものではなかった。
【0014】
また、特開平6−328698号公報には、崩壊性の活性エネルギー線であるエキサイマーレーザーによって穴開け加工する方法と材料が開示されている。ここで開示されている方法は、優れた加工精度を達成しうるのでこれに適したインクジェット記録ヘッド製造には、有用であるものの、より精密な加工を行うためのフォトリソグラフィー法を用いた撥インク処理などには適用が難しい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の材料、及び方法を採用した場合精密性が要求されかつ耐久性のある撥水、撥インク性の表面処理は、十分に満足できるものが得られておらず、改善の余地があるというのが実状である。
【0016】
本発明の目的は、塗膜として上記した諸性能を具備する撥水処理用の樹脂組成物を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、極性有機溶剤のように撥水剤の成膜性や密着性を損なう成分を含む溶液や物質との接触機会のある場所に適用する撥水剤または撥水性塗料として好適な含フッ素エポキシ樹脂組成物を提供し、該組成物を用いて良好な撥インク性を付与したインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂組成物の第1の態様は、1分子中に炭素数6〜12のパーフロロアルキル基を1個以上及びエポキシ基を2個以上有する含フッ素脂肪族エポキシ樹脂と、カチオン重合触媒を少なくとも含有することを特徴とする含フッ素エポキシ樹脂組成物である。尚、本発明において、「パーフロロアルキル基」とは、アルキル基の水素を全てフッ素で置換した基を意味する。
【0019】
本発明に用いる上記含フッ素脂肪族エポキシ樹脂としては、下記一般式(A−1)で表わされる化合物が用いられる。
【0020】
【外5】
(Rf1 は、OCH 2 CH 2 (CF2)nCF3 (nは5〜11)またはOCH 2 CH 2 (CF2)mCF(CF3)2 (mは3〜9)であり、R 1 は、脂肪族の原子団である。)
【0024】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、さらに相溶化剤として下記一般式(C−1)または(C−2)で表わされる化合物の少なくとも1種を含有させることができる。
【0025】
【外7】
【0028】
本発明の更に別の目的は、記録用の液体を吐出する吐出口を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、少なくとも該吐出口開口部に上記本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物からなる硬化膜が被覆されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
【0029】
本発明の樹脂組成物はエポキシ樹脂系であるので、各種部材への密着性に優れ、比較的低温でも硬化可能であり、構造物としての物性にも優れた硬化物を提供出来る。更に末端にパーフロロ基を有するエポキシ化合物が含有されていることで、水溶性有機溶剤、特に、極性有機溶剤に対する耐性が大幅に向上している。そして、相溶化剤の作用によって成分間の共溶性を与え、材料構成の範囲を広くすることができる。
【0030】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物は、極性有機溶剤のように撥水剤の密着性を損なう成分を含む溶液や物質との接触機会のある場所に適用する材料として有用である。そのような箇所に用いる撥水剤または撥水性塗料として、特に、インクジェット記録ヘッドの吐出口面の撥水、撥インク処理には好適である。
【0031】
本発明のインクジェット記録装置においては、光重合性を利用した選択的な表面改質を用いることで処理精度に優れ、特定の材料を用いて硬化膜を構成することから固体強度、摩擦強度、に優れた撥水或いは撥インク性部を有することとなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
本発明の第1の態様の含フッ素脂肪族エポキシ樹脂は、1分中に1個以上のパーフロロアルキル基と2個以上のエポキシ基を有しており、エポキシ基が反応しても分子の比較的外側にパーフロロアルキル基があるために樹脂の表面はフッ素原子の高い密度が保たれる。これによって内部は固い樹脂層でありながら表面は撥水、撥油、撥インク性を示す層形成が可能となると考えられる。
【0034】
本発明において、上記含フッ素脂肪族エポキシ樹脂としては、下記一般式(A−1)で表わされる化合物が用いられる。
【0035】
【外8】
(Rf1 は、OCH 2 CH 2 (CF2)nCF3 (nは5〜11)またはOCH 2 CH 2 (CF2)mCF(CF3)2 (mは3〜9)であり、R 1 は、脂肪族の原子団である。)
【0036】
上記一般式(A−1)で表わされる化合物の具体例としては、例えば下記化合物が挙げられる。
【0037】
【外9】
【0038】
上記化合物は、末端に水酸基を有するパーフロロアルキル化合物にエピクロルヒドリンを反応させることによって得られる。
【0048】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、それを硬化させるための触媒としてカチオン重合触媒(重合開始剤)を含有している。そのような目的に用いる化合物としては、エポキシ樹脂の硬化剤として知られている物質から選択される。本発明の組成物はエポキシ樹脂組成物であるから、芳香族及び脂肪族アミン類、酸無水物類を添加して加熱硬化によって重合させる事が可能である。しかし本発明では特に低温硬化が可能となるところの活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対して反応性が高くなるように設計されており、フォトリソグラフィーによって選択的に表面処理を行う為に、また高温に保持することが困難な基材に対して表面改質を行うのに好適である。本発明に用いるカチオン重合触媒として好ましくは、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記構造式で示される「オプトマ−SP−150」、「オプトマ−SP170」(旭電化工業社製)などを使用する。
【0049】
【外13】
【0050】
また、下記構造式で示される「イルガキュア261」(チバスペシャルティー社製)等を使用する事が出来る。
【0051】
【外14】
【0052】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、さらに相溶化剤として下記一般式(C−1)または(C−2)で表わされる化合物の少なくとも1種を含有させることができる。
【0053】
【外15】
【0054】
上記相溶化剤の具体例としては、例えば下記構造式で表わされる化合物が挙げられる。
【0055】
【外16】
【0056】
上記相溶化剤は、フッ素原子を有するものの、フロロメチル基を主体としており、鎖長が短いため分子としての表面エネルギー低下作用は小さく、撥水、撥インク性は大きくない。しかしながら、含フッ素脂肪族エポキシ樹脂あるいは含フッ素ポリエーテル樹脂とカチオン重合触媒との相溶性を高めるためには有効である。即ち、本発明において上記相溶化剤を併用する場合とは、カチオン重合触媒であるルイス酸のオニウム塩は極性が高いので、用いる含フッ素脂肪族エポキシ樹脂あるいは含フッ素ポリエーテル樹脂との相溶性が悪い、塗布する際のレベリング性が得難いなどの実用的な困難を克服する必要がある、等の場合である。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、基本的に以下の2つの態様に分類される。
(1)A:含フッ素脂肪族エポキシ樹脂
B:カチオン重合触媒、及び必要に応じて
C:相溶化剤、
を含有するもの。
(2)D:含フッ素ポリエーテル樹脂
B:カチオン重合触媒、及び必要に応じて
C:相溶化剤
を含有するもの。
【0058】
(1)の組成物の場合、これらA,B,C,の各成分の組成物中における好ましい配合割合は以下の通りである。
【0059】
成分Bは、エポキシ樹脂成分(成分Cを用いない場合には成分A、成分Cを併用した場合には成分Aと成分Cの合計)の合計量100重量部に対して、0.1重量部乃至10重量部の範囲である。比率の範囲は、層の厚さ、要求されるパターンの精密さ、重合した塗膜の架橋度、現像処理を行う場合には現像の安定性、単に硬化処理のみを行う場合には反応速度、などの要素から決定される。そのような要素を考慮したカチオン重合触媒の通常の使用量はエポキシ樹脂成分の合計量100重量部に対して、0.1〜7重量部、より好ましくは、0.3〜5重量部である。
【0060】
相溶化剤である成分Cを併用して用いる場合は、成分A:成分C=100:10〜100:60(重量比)の範囲である。
【0061】
(2)の組成物の場合、D,B,C,の各成分の組成物中における好ましい配合割合は以下の通りである。
【0062】
成分Bは、エポキシ樹脂成分(成分Cを用いない場合には成分D、成分Cを併用した場合には成分Dと成分Cの合計)の合計量100重量部に対して、0.1重量部乃至10重量部の範囲である。比率の範囲は、層の厚さ、要求されるパターンの精密さ、重合した塗膜の架橋度、現像処理を行う場合には現像の安定性、単に硬化処理のみを行う場合には反応速度、などの要求から決定される。そのような要素を考慮したカチオン重合触媒の通常の使用量は、エポキシ樹脂成分の合計量100重量部に対して、0.1〜7重量部、より好ましくは、0.3〜5重量部である。
【0063】
相溶化剤である成分Cを併用して用いる場合は、成分D:成分C=100:10〜100:100(重量比)の範囲である。即ち成分Aは、エポキシ樹脂成分中50重量%以上でなければならない。
【0064】
本発明の組成物の構成例を以下に例示する。以下比率は固形分の重量比率を示す。
(組成物例1);A−1−1:B−2=99:1
(組成物例2);A−1−2:B−2=96:4
(組成物例3);A−1−2:B−1=95:5
(組成物例4);A−2−1:B−2=96.5:3.5
(組成物例5);A−2−1:B−3=95:5
(組成物例6);A−1−3:B−2:C−2−1=67:3:30
(組成物例7);A−1−3:B−1:C−1−1=64:1:35
(組成物例8);A−2−2:B−1:C−1−1=62:2:36
(組成物例9);A−2−2:B−3:C−2−1=70:3:27
(組成物例10)P1:B−2=98:2
(組成物例11)P2:B−2=97:3
(組成物例12)P3:B−1=96:4
(組成物例13)P4:B−3=95:5
(組成物例14)P6:B−2:C−1(p=0)=65:4:35
(組成物例15)P7:B−2:C−1(p=0)=70:3:30
(組成物例16)P8:B−1:C−2(q=1)=64:1:35
(組成物例17)P9:B−1:C−2(q=2)=50:2:48
(組成物例18)P10:B−3:C−2(q=0)=50:3:47
(組成物例19)P10:B−3:C−2−2=50:3:47
【0065】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物には他の重合体を必要に応じて添加することが出来る。例えば、本発明の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させる機能も与えるもので、バインダーとして機能する重合体を用いることができる。このようなバインダー性の物質の併用は、本発明の組成物をパターン状に露光して所望のパターン形状とする場合に好ましい。
【0066】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物に添加し得るバインダーポリマーとしては、脂環式エポキシ樹脂オリゴマー、フッ素原子団は持たないが側鎖にエポキシ基を持ったアクリルモノマーを共重合したアクリル樹脂、側鎖にエポキシ基を有する脂環式炭化水素基を有するビニルモノマーを重合したビニルポリマー、側鎖にエポキシ基を有する脂環式炭化水素基を有するポリエーテルポリマー(例えば、ダイセル化学工業社製「EHPE3150」)などが、それ自体も架橋反応に関与しうるエポキシポリマーとして最適である。このようなエポキシ基を持たない重合体を使用する場合には、それが適用される用途に応じた物性調製を意図して選択する。そうした物質としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂の重合体である、ユニオンカーバイド社製の「PKHC」や「PKHJ」、エチレン/酢酸ビニル共重合体、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、可溶性ポリイミド樹脂などの汎用の塗料用高分子化合物が使用可能である。
【0067】
尚、本発明の組成物において、このような他の重合体を併用する場合においては、成分Aと成分Cの重量比率は、成分A:成分C=100:10〜100:60(重量比)である。成分Dと成分Cの重量比率は、成分A:成分C=100:10〜100:100(重量比)である。また成分Bは、バインダーポリマーを含む組成物全量(100重量部)中に、0.1〜10重量部の割合で含有させる。
【0068】
本発明において組成物を用いる際の具体的な方法に関して、その方法を例示する。活性エネルギー線硬化を行う場合には、前記したように、触媒としてルイス酸を光によって放出する光カチオン重合触媒を添加して用いる。加熱硬化する場合には、三弗化硼素アミン触媒などのルイス酸を添加して用いてもよい。
【0069】
〈塗膜形成方法〉
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物は、芳香族系、脂肪族炭化水素系、エステル系、エーテル系、フッ素系溶剤等、有機溶剤中に溶解した状態で用いられる。塗布の膜厚が数μmと小さい場合には、ロールコーター、スピンコーター、スプレイコーターなどの通常の精密塗布装置を用いることが出来る。
【0070】
パターン状に表面処理を施す第1の方法は、本発明の含有フッ素エポキシ樹脂組成物を基材(被処理対象)に塗布し、乾燥する第1の工程、マスクを用いて活性エネルギー線をパターン状に照射して上記組成物を選択的に硬化させる第2の工程、次いで現像液を用いた現像処理により、第2の工程における活性エネルギー線の非照射部分を溶解除去する第3の工程、を順次行う事によって達成される。基本的な工程はフォトリソグラフィーと同じであるが、現像液としては、樹脂組成物に適した溶剤を選択することが必要である。現像液としては芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類など及びそれらの混合物を使用する。樹脂組成物の反応の完結を期す為に、現像後に加熱、活性エネルギー線の照射(第4の工程)をさらに行うことが望ましい。
【0071】
パターン状に表面処理を施す第2の方法は、本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物を基材に塗布し、乾燥する第1の工程、重合を促す熱或いは活性エネルギー線の全面照射により硬化を行う第2の工程、硬化部の所望の部位を選択的に除去するように、崩壊性の活性エネルギー線を照射する第3の工程、を順次施すことによって行う。
【0072】
第2の方法においても反応を完結させるためには、いずれかの段階で熱処理、重合性の活性エネルギー線の照射(第4の工程)を行うことが望ましい。
【0073】
上記重合を促す活性エネルギー線としては、波長が250〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が用いられる。また崩壊性の活性エネルギー線としては、波長が210nm以下の光、エキサイマーレーザーなどが用いられる。
【0074】
このようにして本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物は、極性有機溶剤のように撥水剤の密着性を損なう成分を含む溶液や物質との接触機会のある場所に適用する撥水剤または撥水性塗料として、さらには、インクジェット記録ヘッドの吐出口面の撥水、撥インク、処理を好適に行うことが出来る。
【0075】
本発明の表面改質方法によれば、基材への密着性、表面の硬度に優れた撥水、撥油処理が行えるので、耐久性に優れた改質が行える。
【0076】
インクジェット記録ヘッドにおける応用としては、吐出口表面を本発明の組成物を用いて処理することによって、インクの強固な付着が起きず、クリーニング処理によって容易に拭き取れる離型性のよい表面が形成される。インクジェット記録ヘッドに搭載されているクリーニング機構の多くは、ゴムのブレードで拭き取る、ポンプで吸引する、記録紙外の位置で空吐出を行う、などである。しかしこれらのいずれの方法であれ、吐出圧によって引き出されたインク柱が液滴化する時に、すべてのインクが液滴にはならないので、余分のインクの微少液滴が吐出口の周辺に付着することを皆無にすることは出来ないのである。従ってこれらが自発的に落下、吐出口内部に再吸引される、容易に排除されるならば、インク吐出への影響はなくなるのである。
【0077】
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物は、比較的低温でも硬化して、撥水撥油性、密着性、耐薬品性、耐摩擦性に優れた硬化物を提供することが可能となる。
【0078】
図1、2に本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物を適用し得るインクジェット記録ヘッドの構成の1例の主要部を示す。図1は、流路に沿った断面図であり、図2は、斜視図である。
【0079】
この記録ヘッド13は、吐出エネルギー発生素子等が配置された基板15上に、熱硬化性樹脂組成物及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物等を所定のパターンに成形して少なくとも流路を形成するようにした部材14を積層接合した構成を有する。基板15は、アルミナ等の放熱性の良い材料からなる基体20の表面に、蓄熱層19、金属で形成される発熱抵抗体層18、アルミニウム等からなる電極17a、17b及び保護層16をこの順に積層した構成を有し、電極17a、17bに通電することによって、発熱抵抗体層18の電極が積層されていない部分(nで示す領域内にある部分)に形成された吐出エネルギー発生素子が発熱し、その上方に位置する記録用液体に熱エネルギーが作用するようになっている。
【0080】
記録に際して、記録用液体21は、部材14の流路端部微細開口である吐出口(オリフィス)22まで充填され、その状態で、記録信号に対応して電極17a、17bに通電されると、nで示される領域が急激に発熱し、ここに接している記録用液体21に膜沸騰による気泡が発生し、その圧力で記録用液体21が吐出口22より小液滴24となって吐出され、記録媒体25に向かって飛翔する。
【0081】
本発明のインクジェット記録ヘッドでは、吐出面29の少なくとも吐出口開口部に含フッ素エポキシ樹脂組成物の硬化物が撥水、撥インク剤として適用され、この面に液滴が付着して液滴の吐出方向にずれが生じるのが防止される。しかも、含フッ素エポキシ樹脂組成物の硬化物は密着性に優れるだけでなく、記録用液体に有機溶剤、特に極性有機溶剤が含有されていてもそれによって撥水性や密着性が損なわれることがない。
【0082】
尚、図2において、26は吐出口、27は液流路が形成された部材、28は吐出エネルギー発生素子等が配設された基板、29は吐出面である。
【0083】
図3は、図2に示したようなマルチヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示すものである。図3において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドより記録領域に隣接した位置に配設され、また、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63はブレード61に隣接して設けられたインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62、インク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面からの水分、塵埃等の除去が行われる。
【0084】
65はインクジェット方式により記録を行う記録ヘッドで、例えば図1、図2で示したような熱エネルギーによってインクなどの記録用の液体を吐出する構成を有する。66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行う為のキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に系合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動、即ち、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域へ移動が可能となる。
【0085】
51は、記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラ53を介して排紙される。
【0086】
上記構成において、記録ヘッド65が記録終了時でホームポジションに戻る際、ヘッド回復部64のキャップ65は記録ヘッドの移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。また、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う際には、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0087】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出面はワイピングされる。
【0088】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のための記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0089】
インクジェット記録装置では、カラー記録の場合は、1ヘッド中に、シアン用、マゼンタ用、イエロー用及びブラック用の吐出口を並列した記録ヘッドを用いて行うことが出来る。また、各色の記録ヘッドを独立して並列して配設し用いていもよい。
【0090】
これらの場合、各色の吐出は、1つの吐出口から行っても良いし、各色について同時に複数の吐出口から吐出を行って、2以上の同一色の液滴が記録媒体に同時に付着するようにしてもよい。
【0091】
本発明の記録ヘッドはこれまで説明した材料構成の撥インク処理材料によって表面処理がなされ、下記実施例に示されるような化学的な性質を有するので、インクジェットインクの付着が少なく、付着したインクがきわめて容易にクリーニング用ワイパーブレードにて除去される。よって印字の実質の持続性が飛躍的に高くなる。
【0092】
【実施例】
以下実施例にて本発明をさらに詳しく説明する。
【0093】
(実施例1〜19)
前記した組成物例1〜19のジエチレングリコールジメチルエーテル/トルエン混合溶媒(1:1)中への30乃至40重量%溶液を作成した。これを5μmの厚さの熱酸化膜を有するシリコンウエファー基板上にウエットで1μm乃至3μmの厚さにスピンナーを用いて塗布した。ついでこの基板を110℃のホットプレート上で5分乾燥し溶剤を除去した。この基板に高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置にて2J/cm2 の積算量の紫外線を照射した。次に150℃の炉で15分間加熱して硬化反応を完結させた。
【0094】
作成した基板を用いて以下の測定を実施した。
【0095】
T1:接触角の測定
純水、オレイン酸の10重量%水溶液、グリセリン20重量%水溶液、界面活性剤1重量%水溶液〔ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:HLB(Hydrophobic−Liophobic−Balance)=10〕の各液体を用いて静的接触角の測定を常温にて行った。
【0096】
T2:染料水溶液への浸せき後の接触角測定
水溶性染料ダイレクトブラック163の3重量%水溶液(pH=10.3)に撥インク処理した基板を60℃で7日間浸せきした。その後この基板を純水にて洗浄、乾燥し、再度インクの接触角を測定した。
【0097】
T3
図4(a)に示すように、予め吐出エネルギー発生素子等が設けられた基材41上にポジ型フォトレジスト42(東京応化工業社製「PMER AR−900」)を30μmになるようにスピンコートし、オーブン中で90℃、40分のプリベイクを行いレジスト層を形成した。その後、図4(b)、(c)に示すようにマスク43を用いてパターニングし、レジストパターン4を得た。該レジストパターン44上に、図4(d)に示すように流路形成用材料として、以下の組成の主剤に硬化剤(変性脂肪族アミン、富士化成工業社製「フジキュアーFXK830」)を、主剤/硬化剤=100/50(重量比)で混合して、100μmの層厚で積層した。
【0098】
【表2】
【0099】
流路形成用材料層45を積層後、25℃、24時間放置した後、更に100℃、2時間の熱硬化処理を行った。次に、こうして得られた積層体を3重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸せきし、レジストパターン44を溶解除去し、洗浄、乾燥させて液流路46を形成し(図4(e))、インクジェット記録ヘッドを得た。
【0100】
こうして得られたインクジェット記録ヘッドの吐出口面に、実施例1〜19の含フッ素エポキシ樹脂組成物を個々に塗布し、これを8J/cm2 の紫外線露光及び150℃、1時間の加熱によって硬化させた。
【0101】
更に、このインクジェット記録ヘッドに所定の電気配線を行ってプリンタに組み込み、純水/グリセリン/フードブラック2(水溶性黒色染料)/N−メチルプロリドン=70/15/3/12(重量部)からなるインクジェット用インクを用いて長期印字耐久試験を行った。
【0102】
印字耐久試験は、文書と着弾精度を評価するパターンを100枚印字して、最終の印字サンプルからドットの乱れを評価した。この結果をT3−1とした。
評価A:ドット位置の乱れがなく、文字は鮮明である。
評価B:ドット位置の乱れが少々あるが、文字の品位への影響は軽微である。
評価C:ドット位置の乱れがかなりあり、文字も鮮明さが低下している。
評価D:ドットの欠け、文字品位の大幅な低下が発生している。
【0103】
また、使用した記録ヘッドの表面を観察し、インクの付着量を評価した。この結果をT3−2とした。
評価A:吐出口表面にインク滴がほとんどない。
評価B:吐出口表面に小さいインク滴が見られる。
評価C:吐出口近傍に大きなインク滴がある。
【0104】
上記の結果を下記表2及び表3に整理した。
【0105】
(比較例1)
本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物に代えて、フッ素樹脂塗料(住友スリーエム社製「フロラード(Fluorad)FC−722」)を用い、100℃で30分の乾燥を硬化条件として、上記実施例と同様に上記T1〜T3の評価を実施した。
【0106】
(比較例2)
含フッ素エポキシ樹脂である下記構造式E−1,E−2で表わされる化合物を用いた下記組成物を用いた以外は、実施例と同様の塗布、硬化条件にてテスト基板及び記録ヘッドを作製してT1〜T3の各評価を行った。
【0107】
【外17】
【0108】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
以上示したように、本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物からなる被膜は接触角が高く、かつその持続性において良好である。またインクが長期にわたって接触しても記録ヘッド表面におけるインクの付着がなく、結果としてドットの着弾精度が良く、印字品位を長く維持できるようになることがわかる。
【0112】
(実施例20)
実施例10、11、14、18、19の各組成物をポリエーテルサルフォンの成形板にスピンナーにて、溶剤蒸発後の膜厚で約2μmに塗布した。この基板に高圧水銀灯から合計10J/cm2 の光を照射し、重合を行った。次いでこの基板にビーム径5μmに収斂した波長195nmのエキサイマーレーザー光を塗膜の上方から照射して、吐出口穴開け加工を行った。穴開けは良好に行われ、エッジ部の分解残渣が少ない加工状態であった。これより本発明の組成物は、紫外線レーザーによる加工にも優れた適性を有することがわかる。
【0113】
【発明の効果】
以上の説明より、本発明の含フッ素エポキシ樹脂組成物は、低温で硬化可能であり、密着性が良く所望のパターン形状の被膜が容易に形成し得ること、及び良好な撥水性を付与する表面改質処理が可能であることが理解される。よって、本発明によれば、吐出口に良好な撥インク性を有するインクジェット記録ヘッドを配し、高精度な印字が可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するインクジェット記録ヘッドの構成例の主要部断面図である。
【図2】図1のインクジェット記録ヘッドの主要部斜視図である。
【図3】図2のインクジェット記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例におけるインクジェット記録ヘッドの作製工程を示す図である。
【符号の説明】
13 インクジェット記録ヘッド
14 液流路を形成した部材
15 基板
16 保護層
17a、17b 電極
18 発熱抵抗体
19 蓄熱層
20 基体
21 記録用液体
22 吐出口
23 記録用液体のメニスカス
24 小液滴
25 記録媒体
26 吐出口
27 液流路が形成された部材
28 吐出エネルギー発生素子等が配設された基板
29 吐出面
41 基材
42 ポジ型フォトレジスト
43 マスク
44 レジストパターン
45 液流路形成用材料
46 液流路
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 ベルト[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polymerizable resin composition that can be treated with water and ink repellency in a desired pattern, and more particularly to a resin composition that can be polymerized by ultraviolet irradiation to form a coating film in a desired pattern. The present invention also provides the compositionForInkjet recording head that has been treated with ink repellentToRelated.
[0002]
[Prior art]
In various fields, methods for obtaining these properties by applying water-repellent paints to members that require water resistance and ink repellency are generally known, and resin materials and paints used therefor have been developed. Yes.
[0003]
The most common water- and oil-repellent paints are fluorine resin and silicone resin paint. In other words, fluoroolefins and fluorine-based paints having a perfluoro group are extremely stable both thermally and chemically, have excellent weather resistance, water resistance, chemical resistance, solvent resistance, etc., and release properties. It is also excellent in friction resistance and water repellency and is widely used in various applications. Silicone resin is excellent in water and oil repellency, but because of its low hardness, it can be used in combination with or modified with other resin systems such as acrylic resin, epoxy resin, and urethane resin. Often composed.
[0004]
On the other hand, in an inkjet (liquid ejection) recording head that discharges liquid as a small droplet from an outlet and adheres to paper or the like to perform recording or image formation, the recording characteristics are smaller in order to achieve higher recording characteristics. Improvements in performance such as droplets, higher drive frequency, and higher number of outlets continue. Accordingly, surface treatment for making it easier to keep the discharge port surface always in the same surface state is becoming more and more important.
[0005]
However, it is difficult to use the existing water- and oil-repellent material as described above to selectively perform the surface treatment selectively or in a pattern shape so that the ink does not adhere to the discharge port surface. The reason is,
(1) In order to have the characteristics of a photoresist, it must be composed mainly of substances with photosensitive functional groups, but molecules are designed so that these compounds have water and ink repellency at the same time. This is not easy in terms of synthesis technology.
[0006]
Also,
(2) The surface treatment of the ink jet recording head needs to have a very thin film thickness of several μm or less so as not to disturb the function of the fine nozzle, but the existing paint should be controlled to such a film thickness. This is because it is difficult.
[0007]
When surface treatment is achieved with existing fluorine-based materials, it is necessary to design the coating film structure so that the surface properties can be maintained for a long time. However, most water- and oil-repellent materials have low coating hardness and poor friction durability, or when contamination occurs, the water- and oil-repellency tends to be low and difficult to recover. The outlet surface treatment material is not always satisfactory.
[0008]
At the present time, it is desired that an ink ejection port used in an ink jet recording system that performs recording by ejecting ink as small droplets has the following performance.
[0009]
That is,
(1) The remaining ink in the form of droplets is promptly re-stored in the ejection port.
(2) Ink droplets adhering to the surface can be easily swept away by a cleaning operation.
(3) The ejection surface of the recording head has excellent scratch resistance during cleaning operations and paper conveyance.
(4) In repeated droplet formation and ink refill, a meniscus is formed at the discharge port surface position.
(5) The normal direction of the meniscus is the discharge direction.
(6) The ink has a sufficient interfacial tension, that is, a contact angle that can form a meniscus even in a low surface tension ink or in a low negative pressure state.
(7) The inkjet recording liquid is often adjusted to a basic pH of 7 to 11 for dissolution stability, and a structural material excellent in alkali resistance and hydrolyzability of the member is employed.
[0010]
The reason why these various required performances are required is that, in an ink jet recording head, if a recording liquid such as ink adheres to the periphery of the ejection port, it is displaced in the ejection (flight) direction of the liquid droplets ejected from the ejection port. This is because it is directly related to the printing performance in which high-precision printing cannot be performed.
[0011]
Prior art related to the present invention includes: lacquer type fluororesin paint, fluorine type ultraviolet curable paint, thermosetting type fluororesin paint, fluorine type silane coupling agent, epoxy resin composition in which fluororesin particles are dispersed, gas layer There is a document disclosing that a resin thin film is polymerized to form a film.
[0012]
For example, JP-A-2-39944 discloses performing ink repellent treatment with a polymer having a fluoroacetyl group and a silazane group.
[0013]
However, for these coating materials, the durability of the water-repellent coating film may not always be compatible. Japanese Patent Application Laid-Open No. 3-7781 discloses an ink repellent treatment agent that uses glycidyl ether derived from a fluorine-based diol. Since the fluorine-based epoxy resin disclosed here is cured and used, the durability of the coating film is good, but the ink repellency is not sufficiently satisfactory.
[0014]
Japanese Laid-Open Patent Publication No. 6-328698 discloses a method and material for drilling with an excimer laser which is a disintegrating active energy ray. Although the method disclosed here can achieve excellent processing accuracy, it is useful for manufacturing an ink jet recording head suitable for the method, but ink repellent using a photolithography method for performing more precise processing. It is difficult to apply to processing.
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
Thus, when conventional materials and methods are used, precision is required and durable water-repellent and ink-repellent surface treatments are not sufficiently satisfactory, and there is room for improvement. The fact is that there is.
[0016]
The objective of this invention is providing the resin composition for water-repellent treatment which comprises the above-mentioned various performance as a coating film.
[0017]
Another object of the present invention is as a water repellent or water repellent coating applied to a place where there is an opportunity to come into contact with a solution or substance containing a component that impairs the film formability and adhesion of the water repellent such as a polar organic solvent. An appropriate fluorine-containing epoxy resin composition is provided, and an inkjet recording head to which good ink repellency is imparted using the composition is provided.DoIt is to provide.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
The first aspect of the resin composition of the present invention is a fluorine-containing aliphatic epoxy resin having one or more perfluoroalkyl groups having 6 to 12 carbon atoms and two or more epoxy groups in one molecule, and a cationic polymerization catalyst. Is a fluorine-containing epoxy resin composition characterized by containing at least. In the present invention, the “perfluoroalkyl group” means a group in which all hydrogen atoms in the alkyl group are substituted with fluorine.
[0019]
Examples of the fluorine-containing aliphatic epoxy resin used in the present invention include the following general formula (A-1)soThe compound representedThing isUsed.
[0020]
[Outside 5]
(Rf1 Is OCH 2 CH 2 (CF2)nCF3 (nIs5-11)OrOCH 2 CH 2 (CF2)mCF (CF3)2 (mIs3-9)And R 1 IsAn aliphatic group.)
[0024]
If necessary, the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can further contain at least one compound represented by the following general formula (C-1) or (C-2) as a compatibilizing agent. .
[0025]
[Outside 7]
[0028]
Still another object of the present invention is to provide an inkjet recording head having a discharge port for discharging a recording liquid, wherein at least the discharge port opening is coated with a cured film made of the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention. Inkjet recording headDoIt is to provide.
[0029]
Since the resin composition of the present invention is based on an epoxy resin, it can provide a cured product that has excellent adhesion to various members, can be cured at a relatively low temperature, and has excellent physical properties as a structure. Furthermore, since an epoxy compound having a perfluoro group at the terminal is contained, resistance to water-soluble organic solvents, particularly polar organic solvents, is greatly improved. And the compatibilization between components can be given by the action of the compatibilizing agent, and the range of the material composition can be widened.
[0030]
The fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention is useful as a material to be applied to a place where there is a chance of contact with a solution or substance containing a component that impairs the adhesion of the water repellent, such as a polar organic solvent. As a water repellent or water repellent paint used in such a place, it is particularly suitable for water repellency and ink repellency treatments on the discharge port surface of an ink jet recording head.
[0031]
In the ink jet recording apparatus of the present invention, by using selective surface modification utilizing photopolymerization, the processing accuracy is excellent, and a cured film is formed using a specific material. It has an excellent water-repellent or ink-repellent part.
[0032]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
[0033]
The fluorine-containing aliphatic epoxy resin according to the first aspect of the present invention has one or more perfluoroalkyl groups and two or more epoxy groups per minute, and even if the epoxy group reacts, Since there is a perfluoroalkyl group on the relatively outer side, the surface of the resin maintains a high density of fluorine atoms. It is considered that this makes it possible to form a layer having water repellency, oil repellency, and ink repellency on the surface while the inside is a hard resin layer.
[0034]
In the present invention, the fluorine-containing aliphatic epoxy resin includes the following general formula (A-1)soThe compound representedThing isUsed.
[0035]
[Outside 8]
(Rf1 Is OCH 2 CH 2 (CF2)nCF3 (nIs5-11)OrOCH 2 CH 2 (CF2)mCF (CF3)2 (mIs3-9)And R 1 IsAn aliphatic group.)
[0036]
Specific examples of the compound represented by the general formula (A-1) include the following compounds.
[0037]
[Outside 9]
[0038]
The said compound is obtained by making epichlorohydrin react with the perfluoroalkyl compound which has a hydroxyl group at the terminal.
[0048]
The epoxy resin composition of the present invention contains a cationic polymerization catalyst (polymerization initiator) as a catalyst for curing the epoxy resin composition. The compound used for such purposes is selected from substances known as curing agents for epoxy resins. Since the composition of the present invention is an epoxy resin composition, aromatic and aliphatic amines and acid anhydrides can be added and polymerized by heat curing. However, in the present invention, it is specifically designed to be highly reactive with an onium salt of Lewis acid activated by active energy rays that can be cured at low temperature, and surface treatment is selectively performed by photolithography. For this purpose, it is suitable for surface modification of a substrate that is difficult to keep at a high temperature. The cationic polymerization catalyst used in the present invention is preferably a bis (4-tert-butylphenyl) iodonium salt, “Optoma-SP-150” or “Optoma-SP170” (produced by Asahi Denka Kogyo Co., Ltd.) represented by the following structural formula. Etc.
[0049]
[Outside 13]
[0050]
Further, “Irgacure 261” (manufactured by Ciba Specialty Co., Ltd.) represented by the following structural formula can be used.
[0051]
[Outside 14]
[0052]
If necessary, the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can further contain at least one compound represented by the following general formula (C-1) or (C-2) as a compatibilizing agent. .
[0053]
[Outside 15]
[0054]
Specific examples of the compatibilizer include compounds represented by the following structural formulas, for example.
[0055]
[Outside 16]
[0056]
Although the compatibilizing agent has a fluorine atom, it is mainly composed of a fluoromethyl group, and since the chain length is short, the surface energy lowering action as a molecule is small, and the water repellency and ink repellency are not large. However, it is effective for enhancing the compatibility between the fluorine-containing aliphatic epoxy resin or fluorine-containing polyether resin and the cationic polymerization catalyst. That is, in the present invention, when the compatibilizing agent is used in combination, the onium salt of Lewis acid, which is a cationic polymerization catalyst, has a high polarity, so that the compatibility with the fluorine-containing aliphatic epoxy resin or fluorine-containing polyether resin used is high. This is a case where it is necessary to overcome a practical difficulty such as bad or difficult to obtain leveling properties during coating.
[0057]
The epoxy resin composition of the present invention is basically classified into the following two aspects.
(1) A: Fluorine-containing aliphatic epoxy resin
B: Cationic polymerization catalyst, and as required
C: compatibilizer,
Containing.
(2) D: Fluorine-containing polyether resin
B: Cationic polymerization catalyst, and as required
C: Compatibilizer
Containing.
[0058]
In the case of the composition of (1), the preferable compounding ratio in the composition of each component of these A, B, and C is as follows.
[0059]
Component B is 0.1 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of epoxy resin components (component A when component C is not used, and component A and component C when component C is used in combination). It is the range of thru | or 10 weight part. The range of the ratio is the layer thickness, the required pattern precision, the degree of crosslinking of the polymerized coating, the development stability when developing, the reaction rate when only curing is performed, It is determined from factors such as. The usual use amount of the cationic polymerization catalyst in consideration of such factors is 0.1 to 7 parts by weight, more preferably 0.3 to 5 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of the epoxy resin components. .
[0060]
When the component C as a compatibilizing agent is used in combination, the range is component A: component C = 100: 10 to 100: 60 (weight ratio).
[0061]
In the case of the composition of (2), the preferable compounding ratio in the composition of each component of D, B, C is as follows.
[0062]
Component B is 0.1 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of epoxy resin components (component D when component C is not used and component D and component C when component C is used in combination). It is the range of thru | or 10 weight part. The range of the ratio is the layer thickness, the required pattern precision, the degree of crosslinking of the polymerized coating, the development stability when developing, the reaction rate when only curing is performed, Determined from the request. The usual use amount of the cationic polymerization catalyst in consideration of such factors is 0.1 to 7 parts by weight, more preferably 0.3 to 5 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the total amount of the epoxy resin components. is there.
[0063]
When the component C which is a compatibilizing agent is used in combination, the range is component D: component C = 100: 10 to 100: 100 (weight ratio). That is, the component A must be 50% by weight or more in the epoxy resin component.
[0064]
The structural example of the composition of this invention is illustrated below. The following ratio indicates the weight ratio of the solid content.
(Composition Example 1); A-1-1: B-2 = 99: 1
(Composition Example 2); A-1-2: B-2 = 96: 4
(Composition Example 3); A-1-2: B-1 = 95: 5
(Composition Example 4); A-2-1: B-2 = 96.5: 3.5
(Composition Example 5); A-2-1: B-3 = 95: 5
(Composition Example 6); A-1-3: B-2: C-2-1 = 67: 3: 30
(Composition Example 7); A-1-3: B-1: C-1-1 = 64: 1: 35
(Composition Example 8); A-2-2: B-1: C-1-1 = 62: 2: 36
(Composition Example 9); A-2-2: B-3: C-2-1 = 70: 3: 27
(Composition Example 10) P1: B-2 = 98: 2
(Composition Example 11) P2: B-2 = 97: 3
(Composition Example 12) P3: B-1 = 96: 4
(Composition Example 13) P4: B-3 = 95: 5
(Composition Example 14) P6: B-2: C-1 (p = 0) = 65: 4: 35
(Composition Example 15) P7: B-2: C-1 (p = 0) = 70: 3: 30
(Composition Example 16) P8: B-1: C-2 (q = 1) = 64: 1: 35
(Composition Example 17) P9: B-1: C-2 (q = 2) = 50: 2: 48
(Composition Example 18) P10: B-3: C-2 (q = 0) = 50: 3: 47
(Composition Example 19) P10: B-3: C-2-2 = 50: 3: 47
[0065]
Other polymers can be added to the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention as necessary. For example, it provides the function of improving the workability as a dry coating film that improves the applicability of the composition of the present invention and increases the drying property after evaporation of the solvent, and a polymer that functions as a binder can be used. The combined use of such a binder substance is preferable when the composition of the present invention is exposed in a pattern to obtain a desired pattern shape.
[0066]
The binder polymer that can be added to the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention includes an alicyclic epoxy resin oligomer, an acrylic resin copolymerized with an acrylic monomer having no fluorine atom group but having an epoxy group in the side chain, A vinyl polymer obtained by polymerizing a vinyl monomer having an alicyclic hydrocarbon group having an epoxy group in a chain, a polyether polymer having an alicyclic hydrocarbon group having an epoxy group in a side chain (for example, “EHPE3150 manufactured by Daicel Chemical Industries, Ltd. ")" Is optimal as an epoxy polymer which itself can participate in the crosslinking reaction. When such a polymer having no epoxy group is used, it is selected with the intention of adjusting the physical properties according to the application to which it is applied. Such materials include, for example, “PKHC” and “PKHJ”, which are polymers of bisphenol-type epoxy resins, ethylene / vinyl acetate copolymers, phenol resins, polycarbonate resins, polyester resins, polyamide resins, soluble General-purpose polymer compounds for paint such as polyimide resin can be used.
[0067]
In the composition of the present invention, when such other polymer is used in combination, the weight ratio of Component A to Component C is as follows: Component A: Component C = 100: 10 to 100: 60 (weight ratio) It is. The weight ratio of Component D to Component C is Component A: Component C = 100: 10 to 100: 100 (weight ratio). Component B is contained in a proportion of 0.1 to 10 parts by weight in the total amount (100 parts by weight) of the composition containing the binder polymer.
[0068]
The method is illustrated about the specific method at the time of using a composition in this invention. When performing active energy ray curing, as described above, a cationic photopolymerization catalyst that releases a Lewis acid by light is added and used as a catalyst. When heat-curing, a Lewis acid such as boron trifluoride amine catalyst may be added and used.
[0069]
<Coating film formation method>
The fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention is used in a state of being dissolved in an organic solvent such as an aromatic, aliphatic hydrocarbon, ester, ether, or fluorine solvent. When the coating film thickness is as small as several μm, a normal precision coating apparatus such as a roll coater, a spin coater, or a spray coater can be used.
[0070]
The first method of applying a surface treatment to a pattern is a first step of applying the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention to a substrate (object to be treated) and drying, patterning active energy rays using a mask. A second step of selectively curing the composition by irradiating in the shape, and then a third step of dissolving and removing the non-irradiated part of the active energy rays in the second step by a development process using a developer, This is achieved by sequentially performing. The basic process is the same as that of photolithography, but it is necessary to select a solvent suitable for the resin composition as the developer. As the developer, aromatic hydrocarbons, ketones, esters, glycol ethers, and mixtures thereof are used. In order to complete the reaction of the resin composition, it is desirable to further carry out heating and irradiation with active energy rays (fourth step) after development.
[0071]
The second method of applying a surface treatment to the pattern is the first step in which the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention is applied to a substrate and then dried, and is cured by irradiation with heat or active energy rays that promote polymerization. The second step is performed by sequentially performing a third step of irradiating a disintegrating active energy ray so as to selectively remove a desired portion of the cured portion.
[0072]
In order to complete the reaction also in the second method, it is desirable to perform heat treatment and irradiation with a polymerizable active energy ray (fourth step) at any stage.
[0073]
As the active energy ray for promoting the polymerization, an ultraviolet ray source containing abundant light having a wavelength of 250 to 480 nm is used. As the disintegrating active energy ray, light having a wavelength of 210 nm or less, an excimer laser, or the like is used.
[0074]
Thus, the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can be applied to a place where there is an opportunity to contact a solution or substance containing a component that impairs the adhesion of the water repellent, such as a polar organic solvent. Further, as the water-based paint, water repellency, ink repellency, and treatment of the discharge port surface of the ink jet recording head can be suitably performed.
[0075]
According to the surface modification method of the present invention, the water repellent and oil repellent treatment excellent in adhesion to the substrate and surface hardness can be performed, so that the modification excellent in durability can be performed.
[0076]
As an application in an ink jet recording head, the surface of the discharge port is treated with the composition of the present invention, so that a strong surface of ink is not formed and a surface with good releasability that can be easily wiped off by a cleaning process is formed. The Many of the cleaning mechanisms mounted on the ink jet recording head include wiping with a rubber blade, sucking with a pump, and empty ejection at a position outside the recording paper. However, in any of these methods, when the ink column drawn by the discharge pressure is converted into droplets, not all of the ink becomes droplets, so extra small droplets of ink adhere to the periphery of the discharge port. You can't get rid of it. Therefore, if they are spontaneously dropped, re-sucked into the discharge port, and easily eliminated, the ink discharge is not affected.
[0077]
The fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can be cured even at a relatively low temperature, and can provide a cured product excellent in water / oil repellency, adhesion, chemical resistance and friction resistance.
[0078]
1 and 2 show the main part of an example of the configuration of an ink jet recording head to which the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can be applied. FIG. 1 is a cross-sectional view along the flow path, and FIG. 2 is a perspective view.
[0079]
This
[0080]
At the time of recording, the
[0081]
In the ink jet recording head of the present invention, a cured product of the fluorine-containing epoxy resin composition is applied as a water repellent and ink repellent agent at least on the discharge port opening of the
[0082]
In FIG. 2, 26 is a discharge port, 27 is a member in which a liquid flow path is formed, 28 is a substrate on which discharge energy generating elements and the like are disposed, and 29 is a discharge surface.
[0083]
FIG. 3 shows an example of an ink jet recording apparatus incorporating a multi-head as shown in FIG. In FIG. 3,
[0084]
[0085]
51 is a paper feed unit for inserting a recording medium, and 52 is a paper feed roller driven by a motor (not shown). With these configurations, the recording medium is fed to a position facing the ejection port surface of the recording head, and is discharged through the
[0086]
In the above configuration, when the
[0087]
When the
[0088]
The above-mentioned movement of the recording head to the home position is not only at the end of recording or at the time of ejection recovery, but also to the home position adjacent to the recording area at a predetermined interval while the recording head moves through the recording area for recording. Then, the wiping is performed with this movement.
[0089]
In an ink jet recording apparatus, color recording can be performed using a recording head in which discharge ports for cyan, magenta, yellow, and black are arranged in one head. Further, the recording heads for each color may be arranged and used independently in parallel.
[0090]
In these cases, each color may be ejected from a single ejection port, or each color may be ejected from a plurality of ejection ports at the same time, so that two or more same color droplets adhere to the recording medium simultaneously. May be.
[0091]
The recording head of the present invention is surface-treated with the ink repellent treatment material having the material structure described so far, and has the chemical properties as shown in the following examples. It is very easily removed with a wiper blade for cleaning. Therefore, the actual sustainability of printing is dramatically increased.
[0092]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples.
[0093]
(Examples 1 to 19)
A 30 to 40% by weight solution of the composition examples 1 to 19 described above in a diethylene glycol dimethyl ether / toluene mixed solvent (1: 1) was prepared. This was applied on a silicon wafer substrate having a thermal oxide film having a thickness of 5 μm by a wet to a thickness of 1 μm to 3 μm using a spinner. The substrate was then dried on a hot plate at 110 ° C. for 5 minutes to remove the solvent. This substrate is 2 J / cm with an ultraviolet irradiation device using a high-pressure mercury lamp.2 The amount of UV rays was irradiated. Next, it was heated in a furnace at 150 ° C. for 15 minutes to complete the curing reaction.
[0094]
The following measurements were performed using the prepared substrate.
[0095]
T1: Measurement of contact angle
Pure water, 10% by weight aqueous solution of oleic acid, 20% by weight aqueous solution of glycerin, 1% by weight aqueous solution of surfactant [polyoxyethylene nonylphenyl ether: HLB (Hydrophobic-Liphophobic-Balance) = 10] The contact angle was measured at room temperature.
[0096]
T2: Contact angle measurement after immersion in dye aqueous solution
A substrate treated with an ink repellent solution was immersed in a 3% by weight aqueous solution (pH = 10.3) of water-soluble dye direct black 163 at 60 ° C. for 7 days. Thereafter, the substrate was washed with pure water, dried, and the contact angle of the ink was measured again.
[0097]
T3
As shown in FIG. 4 (a), a positive photoresist 42 (“PMER AR-900” manufactured by Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd.) is spun to a thickness of 30 μm on a
[0098]
[Table 2]
[0099]
After laminating the flow path forming
[0100]
The fluorine-containing epoxy resin compositions of Examples 1 to 19 were individually applied to the discharge port surface of the ink jet recording head thus obtained, and this was applied at 8 J / cm.2 The film was cured by UV exposure and heating at 150 ° C. for 1 hour.
[0101]
Furthermore, predetermined electrical wiring is performed on this ink jet recording head and incorporated in a printer, and pure water / glycerin / food black 2 (water-soluble black dye) / N-methylprolidone = 70/15/3/12 (parts by weight) A long-term printing durability test was conducted using an inkjet ink comprising:
[0102]
In the printing endurance test, 100 patterns for evaluating the document and landing accuracy were printed, and dot disturbance was evaluated from the final print sample. This result was designated as T3-1.
Evaluation A: The dot position is not disturbed and the characters are clear.
Evaluation B: Although the dot position is slightly disturbed, the influence on the quality of characters is slight.
Evaluation C: The dot position is considerably disturbed, and the character is also less clear.
Evaluation D: The lack of dots and a significant reduction in character quality occur.
[0103]
Further, the surface of the used recording head was observed to evaluate the ink adhesion amount. This result was designated as T3-2.
Evaluation A: There are almost no ink droplets on the discharge port surface.
Evaluation B: Small ink droplets are observed on the discharge port surface.
Evaluation C: There is a large ink droplet in the vicinity of the ejection opening.
[0104]
The above results are summarized in Table 2 and Table 3 below.
[0105]
(Comparative Example 1)
Instead of the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention, a fluororesin paint (“Fluorad FC-722” manufactured by Sumitomo 3M) was used, and the drying was performed at 100 ° C. for 30 minutes as curing conditions. Similarly, evaluation of the above T1 to T3 was performed.
[0106]
(Comparative Example 2)
A test substrate and a recording head were prepared under the same coating and curing conditions as in the Examples, except that the following compositions using the compounds represented by the following structural formulas E-1 and E-2, which are fluorine-containing epoxy resins, were used. Then, each evaluation of T1 to T3 was performed.
[0107]
[Outside 17]
[0108]
[0109]
[Table 3]
[0110]
[Table 4]
[0111]
As described above, the film made of the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention has a high contact angle and good durability. Further, it can be seen that even when the ink contacts for a long time, the ink does not adhere to the surface of the recording head, and as a result, the dot landing accuracy is good and the printing quality can be maintained for a long time.
[0112]
(Example 20)
Each of the compositions of Examples 10, 11, 14, 18, and 19 was applied to a polyethersulfone molding plate with a spinner so that the film thickness after solvent evaporation was about 2 μm. A total of 10 J / cm from this high-pressure mercury lamp2 The polymerization was performed by irradiating the light. Next, an excimer laser beam having a wavelength of 195 nm converged to a beam diameter of 5 μm was irradiated onto the substrate from above the coating film, thereby performing discharge port drilling. Drilling was performed satisfactorily, and there was little decomposition residue at the edge. This shows that the composition of the present invention has excellent suitability for processing by an ultraviolet laser.
[0113]
【The invention's effect】
From the above description, the fluorine-containing epoxy resin composition of the present invention can be cured at a low temperature, can easily form a film having a desired pattern shape with good adhesion, and provides a surface with good water repellency. It will be appreciated that a modification process is possible. Therefore, according to the present invention, it is possible to provide an ink jet recording apparatus in which an ink jet recording head having good ink repellency is arranged at the ejection port and capable of performing highly accurate printing.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a main part of a configuration example of an ink jet recording head to which the present invention is applied.
FIG. 2 is a perspective view of a main part of the ink jet recording head of FIG.
FIG. 3 is a diagram illustrating an example of an ink jet recording apparatus in which the ink jet recording head of FIG. 2 is incorporated.
FIG. 4 is a diagram showing a manufacturing process of an ink jet recording head in an embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
13 Inkjet recording head
14 Member with liquid flow path
15 substrate
16 Protective layer
17a, 17b electrode
18 Heating resistor
19 Heat storage layer
20 substrate
21 Recording liquid
22 Discharge port
23 Meniscus of recording liquid
24 small droplets
25 Recording media
26 Discharge port
27 Member in which liquid flow path is formed
28 Substrate on which discharge energy generating elements are arranged
29 Discharge surface
41 Base material
42 positive photoresist
43 Mask
44 resist pattern
45 Liquid flow path forming material
46 Liquid flow path
51 Paper feeder
52 Paper feed roller
53 Paper discharge roller
61 blade
62 cap
63 Ink absorber
64 Discharge recovery section
65 Recording head
66 Carriage
67 Guide shaft
68 motor
69 belt
Claims (3)
【外1】
(Rf1は、OCH2CH2(CF2)nCF3(nは5〜11)またはOCH2CH2(CF2)mCF(CF3)2(mは3〜9)であり、R1は、脂肪族の原子団である。)A fluorine-containing epoxy resin composition comprising at least a fluorine-containing aliphatic epoxy resin having at least one perfluoroalkyl group having 6 to 12 carbon atoms and two or more epoxy groups in one molecule and a cationic polymerization catalyst. The fluorine-containing epoxy resin composition is a compound represented by the following general formula (A-1).
[Outside 1]
(Rf 1 is OCH 2 CH 2 (CF 2) n CF 3 (n is 5-11) or OCH 2 CH 2 (CF 2) m CF (CF 3) 2 (m is 3 to 9), R 1 is an aliphatic group.)
【外2】
Furthermore, the fluorine-containing epoxy resin composition of Claim 1 which contains at least 1 sort (s) of the compound represented by the following general formula (C-1) or (C-2) as a compatibilizing agent.
[Outside 2]
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