JP4154953B2 - ポジ型感光性樹脂組成物、それを用いたパターンの製造方法および電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性を有するポリオキサゾール前駆体および加熱によって塩基を発生するアミンイミド化合物を含有する耐熱性ポジ型感光性樹脂組成物、これを用いたパターンの製造方法及び電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。しかし近年半導体素子の高集積化、大型化が進む中、封止樹脂パッケージの薄型化小型化の要求がありLOC(リード・オン・チップ)や半田リフローによる表面実装などの方式が取られてきており、これまで以上に機械特性、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作成工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する。
【0004】
従来から感光性ポリイミドまたはその前駆体を用いてなる耐熱性フォトレジストや、その用途については良く知られている。例えばネガ型では、ポリイミド前駆体にエステル結合またはイオン結合を介してメタクリロイル基を導入する方法(特開昭49−11541号公報、特開昭50−40922号公報、特開昭54−145794号公報、特開昭56−38038号公報等)、光重合性オレフィンを有する可溶性ポリイミド(特開昭59−108031号公報、特開昭59−220730号公報、特開昭59−232122号公報、特開昭60−6729号公報、特開昭60−72925号公報、特開昭61−57620号公報等)、ベンゾフェノン骨格を有し、かつ窒素原子が結合する芳香環のオルソ位にアルキル基を有する自己増感型ポリイミド(特開昭59−219330号公報、特開昭59−231533号公報等)などが提案されている。
【0005】
前記のネガ型では、現像の際にN‐メチルピロリドン等の有機溶剤を必要とするため、最近では、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂の提案がなされている。ポジ型ではポリイミド前駆体にエステル結合を介してo−ニトロベンジル基を導入する方法(J.Macromol.Sci.Chem.,A24,10,1407,1987)、可溶性ヒドロキシルイミドまたはポリオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(特公昭64−60630号公報、米国特許4395482号明細書)、可溶性ポリイミドにエステル結合を介してナフトキノンジアジドを導入する方法(Macromolecules,23,1990)、ポリイミド前駆体にナフトキノンジアジドを混合するもの(特開昭52−13315号公報)などが提案されている。
【0006】
しかしながら、前記のネガ型ではその機能上、解像度に問題があったり、用途によっては製造時の歩留まり低下を招くなどの問題がある。また、前記ネガ型では用いるポリマーの構造が限定されるために、最終的に得られる被膜の物性が限定されてしまい多目的用途には不向きなものである。一方、前記ポジ型においても前記のように感光剤の吸収波長に伴う問題から感度や解像度が低かったり、構造が限定され、最終的に得られる被膜の物性が限定されてしまい多目的用途には不向きという同様の問題を有する。
【0007】
これらの材料は、感光性材料(光ラジカル開始剤、多官能アクリレートモノマ)等をN−メチルピロリドン(NMP)やN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)等の極性溶媒中に溶解し、シリコンウェハ等の基材上に塗布した後、活性光線を用いてパターン状に露光、現像を行って、パターンを形成した後、300℃以上で加熱して、ポリアミド酸のイミド化及び添加した感光性材料等を分解、揮発させて、所望のポリイミドを得ている。しかしながら、加熱しても完全に感光性材料が揮発せず、フィルム中に残存するため、加熱後のフィルムの物性(接着強度、弾性率、耐熱性等)が低下する問題がある。
【0008】
前記問題を解決する手法として、ポリアミド酸と塩基発生剤を用いる方法が報告されている。これは、塩基触媒存在下では、ポリアミド酸のイミド化反応が300℃以下の低温で促進することを応用したものである。例えば、Polym.Bull.30巻、369頁、1993年に代表されるように、o-ニトロベンジルカルバメート誘導体が光照射により塩基を発生することを利用して、マスクを介して露光し、露光部のみに塩基を発生させた後、加熱して露光部のみをイミド化させ、未露光部のポリアミド酸が溶解する溶剤やアルカリ水溶液で現像を行って、ネガ型パターンを作製するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの塩基発生剤の場合、加熱によって発生する塩基が1級または2級アミンであるため、塩基性が低く、オキサゾール化の促進能力が低い欠点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記に鑑み鋭意検討した結果、アミンイミド化合物が加熱によって効率よく強塩基である3級アミンを発生し、ポリオキサゾール前駆体のオキサゾール化反応を低温で促進できることを見出した。さらにまったく予期せぬ新しい効果として本発明の組成物は破断伸びなどの機械特性に優れることを見出した。
【0011】
本発明は、加熱により十分に強い塩基を効率よく発生する熱塩基発生剤としてアミンイミドを、ポリオキサゾール前駆体と併用した感光性樹脂組成物、レリーフパターンの製造方法及び耐熱性塗膜の製造方法を提供するものである。また本発明は、前記組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、感度、解像度および耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られるパターンの製造法を提供するものである。また、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供するものである。
【0012】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1](A)ポリオキサゾール前駆体、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物、および、(C)加熱により塩基を発生するアミンイミド化合物を含有してなる感光性樹脂組成物である。
[2](A)成分が、一般式(1)
【化3】
(式中、R1は二価の有機基、R2は四価の有機基、R3は酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基、E1は熱で重合しうる官能基を持つ一価又は二価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数である)で表されるか、
または、一般式(2)
【化4】
(式中、R1、R2、R3は一般式(1)における定義に同じであり、E2は熱で重合しうる官能基を持つ一価の有機基を示し、いずれも複数ある場合は同一でも異なっていてもよく、nは繰り返し数を示す整数である)
で表されるポリオキサゾール前駆体である前記[1]記載のポジ型感光性樹脂組成物である。
[3](A)ポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有する前記[2]記載のポジ型感光性樹脂組成物である。
[4]前記[1]ないし[3]の何れか一つに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、加熱処理する工程を含むパターンの製造方法である。
[5]前記[4]記載の製造方法により得られるパターンを表面保護膜層および/または層間絶縁膜層として有してなる電子部品である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるアミンイミド化合物は、加熱によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。例えば、代表的なアミンイミド化合物としては、下記一般式(3)または(4)で表され、式中R1、R2、R3は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数7〜12のフェノキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖上のアルキル基の他に、置換基を有するアルキル基、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等も含む。これらの置換基の中で、合成の簡便性、アミンイミドの溶解性等の点から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のシクロアルキル基、炭素数7〜12のフェノキシアルキル基が好ましい。また、R4は独立に炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基を表す。
【0014】
【化5】
【0015】
前記一般式(3)中のAr1は下記一般式(I)〜(XIII)で表される芳香族基であり、式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中U〜Zは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかである。
【0016】
【化6】
【0017】
また、前記一般式(4)中のAr2は、下記一般式(XIV)〜(XXII)で示される芳香族基であり、R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。
【0018】
【化7】
【0019】
また式中Wは、炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基が置換した窒素、酸素、硫黄のいずれかであり、式中X〜Zは独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかである。
【0020】
Ar1と同様に熱的な安定性、吸収波長の点から、R29〜R36の置換基としては、電子吸引性基である炭素数1〜6のカルボニル基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0021】
前記アミンイミド化合物は、市販されているものを用いることができ、また、合成によって製造したものを用いることもできる。
【0022】
アミンイミド化合物の合成は、公知の方法を用いることができる。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、John Wiley & Sons Ltd.、(1985年)、第1巻、p740に記載されているように、対応するカルボン酸エステルとハロゲン化ヒドラジン及びナトリウムアルコキサイドとの反応やカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物との反応から得ることができる。合成の簡便性、安全性を考慮すると、対応するカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物からの合成法が特に好ましい。合成温度、合成時間に関しては、使用する出発物質の分解等が無ければ特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のアミンイミド化合物を得ることができる。
【0023】
本発明の(C)アミンイミド化合物の添加量としては、(A)ポリオキサゾール前駆体の固形分100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がさらに好ましい。アミンイミド化合物が0.1重量部未満では触媒量不足となって、閉環反応を促進することができない。また、50重量部を超えた場合には、加熱後にフィルム中にアミンイミドの熱分解生成物が多量に残存するため、フィルム物性が低下する傾向にある。
【0024】
本発明において用いるポリオキサゾール前駆体としては、種々の重合度nのものを使用することができるが、nが5以上のポリオキサゾール前駆体が好ましく、nが10以上のものがさらに好ましい。
【0025】
本発明において用いるポリオキサゾール前駆体としては、特に制限無く公知のものを使用しうるが、例えば、ジカルボン酸とジアミノフェノール化合物を塩化チオニルやジシクロカルボジイミドなどの縮合剤の存在下で重合させて得られるものが挙げられる。
【0026】
前記ジアミノフェノール化合物としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。また、下記の4種の一般式で表される化合物も前記ジアミノフェノール化合物として挙げることができるが、前記ジアミノフェノール化合物はこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
【化8】
(式中ZはO、CO、COOのいずれかを示す)
【0028】
また一般式(I)において、R1で表される2価の有機基とは、ジアミンと反応してポリアミド構造を形成する、ジカルボン酸の残基であり、環状構造を有する2価の脂肪族構造が好ましく、炭素原子数としては3〜40のものが好ましく、炭素原子数3〜40の2価の脂環式構造がより好ましい。より好ましい2価の脂環式構造としては、2個の結合部位がいずれも脂環式構造の上に存在するものを挙げることができる。
【0029】
このような脂環式構造を有するジカルボン酸としては、以下の化合物などが挙げられる。これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
【化9】
(式中RはCH3、C6H6のいずれかを示す)
【0031】
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体膜のi線透過率を著しく低下させない程度に芳香族ジカルボン酸や他の脂肪族ジカルボン酸を共重合させても良い。このような芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族系ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
さらに本発明における(A)成分のポリオキサゾール前駆体は、分子中に芳香環に結合しかつ−OR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基)で示される基か、または、−COOR(但しRは酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の有機基)で示される基を有することがさらに好ましい。前記のRが、酸の作用で分解し、水素原子に変換すると、フェノール性水酸基を発生するため、本発明の組成物に適度なアルカリ可溶性を与えることになる。この基は、ポリオキサゾール前駆体においては、ジカルボン酸の残基中、ジアミン残基中、側鎖中等に存在していればよいが、その数としては、ポリオキサゾール前駆体の構造単位(即ち、ジカルボン酸残基1つとジヒドロキシジアミン残基1つを含む繰り返し単位)当たり、2以上であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
【0033】
酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の基としては、例えば次の構造を有するアセタール若しくはケタールを構成するものが好ましいものとして挙げられる。
【0034】
【化10】
(式中、R’、R’’及びR'''は各々独立に炭素数5以下のアルキル基であり、Xは炭素数3以上(好ましくは20以下)の2価のアルキレン基(側鎖を有していてもよい)である)
【0035】
具体的には、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、アルキル置換テトラヒドロピラニル基、アルキル置換テトラヒドロフラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロピラニル基、アルコキシ置換テトラヒドロフラニル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい基はテトラヒドロピラニル基である。
【0036】
また酸の作用で分解し水素原子に変換し得る一価の基として、一価のアルコキシアルキル基又はアルキルシリル基、アルコキシカルボニル基なども挙げられる。これらに特に制限はないが、好ましい炭素数としてはアルコキシアルキル基2〜5、アルキルシリル基1〜20、アルコキシカルボニル基2〜15である。
【0037】
具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t-ブトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルシリル基、エチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。好ましい基はメトキシメチル基、1−エトキシメチル基、t−ブチルジメチルシリル基、t‐ブトキシカルボニル基である。
【0038】
また、前記−COORで示される基中のRに関しては一価のアルキル基を用いることもできる。これらに特に制限はないが、好ましい炭素数としては1〜10である。
【0039】
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t-ブチル基、アミル基などが典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい基はエチル基、イソプロピル基、t-ブチル基である。
【0040】
また本発明において、(A)成分は、ポリオキサゾール前駆体であるが、分子末端に、熱で重合する官能基を持つ有機基を有することが必要である。
【0041】
これが、パターン形成時においては本発明の組成物に適度な溶解速度、露光感度を与えると同時に、パターン形成後の加熱キュア工程において架橋反応を起こし、本発明の組成物に適度な耐熱性を与えることになる。
【0042】
この末端基としてはカルボン酸末端に存在するものと、アミン末端に存在するものがあるが、いずれのものも不飽和結合を有する1価あるいは2価の有機基であることが好ましい。不飽和結合としては、炭素−炭素不飽和二重結合や炭素−炭素不飽和三重結合が挙げられる。中でも好ましい熱で重合する官能基として以下の構造を含むものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【化11】
(式中、Xは炭素数1〜20の一価の有機基、X’は水素、カルボキシル基または炭素数1〜15の一価の有機基を示す。)
【0044】
(A)成分であるポリオキサゾール前駆体の構造としては特に制限はないが、前記一般式(1)または(2)にて示される構造を有するポリオキサゾール前駆体は、i線領域の透明性、R3で示される基が水素原子へ変換するときのアルカリ現像液への溶解性、基板との密着性に優れるので好ましい。
【0045】
以下、ポリオキサゾール前駆体について詳述する。
ポリオキサゾール前駆体において、前記一般式(1)または(2)にて示される構造中のR1は、具体的にはベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ベンゾフェノンなどの骨格を有する二価の芳香族炭化水素残基、または、ブタン、シクロブタン、シクロヘキサン、アダマンタンなどの骨格を有する二価の脂肪族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
炭素原子数としては、4〜30が好ましい。好ましい基としてはフェニル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、シクロヘキサン、アダマンタンである。なお、必要に応じて、ポリアミド誘導体の分子中に、R1として前記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0047】
前記一般式(1)または(2)にて示される構造中のR2は、具体的にはジフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ビフェニル、ベンゼンなどの骨格を有する四価の芳香族炭化水素残基が典型的な例として例示されるが、これらに限定されるものではない。炭素原子数としては、6〜30が好ましい。好ましい基としてはジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルイソプロピリデン、ジフェニルエーテル、ビフェニルである。なお、必要に応じてR2として前記にて例示した基の二種類以上を含有させることもできる。
【0048】
前記一般式(1)または(2)にて示される構造中のR3は、酸の作用で分解し、水素原子に変換しうる一価の有機基であり、前記Rと同一のものである。
【0049】
これらR3で示される基の水素原子に対する置換率は、10〜80%とすることが好ましく、30〜60%とすることがより好ましい。これよりも置換率が高い場合には、基材との密着性に低下が見られ、またこれよりも置換率が低い場合には、未露光部の膜減りが大きくなる等、悪影響を与える場合がある。
【0050】
また本発明において、前記ポリオキサゾール前駆体は、下記一般式(5)で示されるジカルボン酸、下記一般式(6)で示されるジアミノ化合物を原料の一部として用いることにより製造される。
【0051】
【化12】
(式中、R1は一般式(1)または(2)と同じ)
【0052】
【化13】
(式中、R2は一般式(1)または(2)と同じ)
【0053】
前記ポリオキサゾール前駆体は、例えば以下の方法で得ることができる。前記一般式(5)にて示されるジカルボン酸をN‐メチルピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒中にて塩化チオニルなどのハロゲン化剤を用いてハロゲン化した後に、前記一般式(6)にて示されるジアミノ化合物とピリジンなどの適当な触媒の存在下で、前記と同様の有機溶媒中で反応させる。このとき用いるジアミノ化合物の一部あるいはジカルボン酸の一部は前述した熱重合性末端基であらかじめ一方の官能基(アミノ基あるいはカルボキシル基)を封止しておく。
【0054】
前記方法にて得られたポリオキサゾール前駆体を、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、アセトンなどの貧溶媒中で結晶化させ、ろ別、乾燥した後に、テトラヒドロフラン、N‐メチルピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどのアプロティックな有機溶媒中にて、R3を有する水酸基の保護化剤と、必要に応じて反応触媒とを加え保護化反応させて、前記一般式(1)または(2)で示される構造単位を有するポリオキサゾール前駆体を得ることができる。
【0055】
本発明の前記一般式(1)または(2)で示される構造を有するポリオキサゾール前駆体においては、その一部に前記一般式(1)または(2)で示される構造中の繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。この場合、その割合は全繰り返し単位中50%以下であることが好ましい。
【0056】
(A)成分のポリオキサゾール前駆体の分子量に特に制限はないが、一般に平均分子量で4,000〜200,000であることが好ましい。なお、分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定し、ポリスチレン換算で算出することができる。
【0057】
本発明の組成物において、(A)成分として用いるポリオキサゾール前駆体とともに、(B)成分として活性光線照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤とする)を用いる。この量は、感光時の感度、解像度を良好とするために、(A)成分100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.01〜20重量部とすることがより好ましく、1〜15重量部とすることがさらに好ましい。
【0058】
本発明に使用する酸発生剤(B)は、紫外線の如き活性光線の照射によって酸性を呈すると共に、(A)成分であるポリオキサゾール前駆体中の前記保護基Rを脱離させる作用を有する。このような(B)成分の化合物としては具体的にはジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族N‐オキシイミドスルフォネート、芳香族スルファミド、ナフトキノンジアジド‐4‐スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種類以上併用したり、他の増感剤と組合せて使用することができる。
【0059】
なかでも芳香族N‐オキシイミドスルフォネートは高感度が、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩は、未露光部に適度な溶解阻止効果が期待できるので好ましい。
【0060】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要により密着性付与のための有機ケイ素化合物、シランカップリング剤、レベリング剤等の密着性付与剤を添加してもよい。これらの例としては、例えば、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0061】
密着性付与剤を用いる場合は、ポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
【0062】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用することができる。溶剤としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2‐メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル‐1,3‐ブチレングリコールアセテート、1,3‐ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフランなどがあり、単独でも混合して用いても良い。溶剤の量に特に制限はないが、一般に組成物中溶剤の割合が40〜75重量%となるように用いることができる。
【0063】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用し、パターンを製造する方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハ、セラミック、アルミ基板などに塗布する。塗布方法としてはスピンナーを用いた回転塗布、スプレーコータを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどが挙げられる。次に好ましくは60℃〜120℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に活性光線を照射することができる。
【0064】
次に好ましくは50℃〜150℃で加熱を行い、照射部表層部に発生した酸を底部にまで拡散させることが好ましい。次に現像して照射部を溶解除去することによりパターンを得ることができる。
【0065】
前記活性光線は、当該光線の酸発生剤(B)への照射により酸を発生させるものであれば特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光線などを挙げることができる。200nm〜500nmの波長のものが好ましく、波長365nm及び波長435nmの紫外線がさらに好ましい。
【0066】
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの、四級アンモニウム塩などのアルカリ水溶液、および、これに水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
【0067】
現像方法としてはスプレー、パドル、浸漬、超音波などの方式が可能である。次に現像によって形成したパターンをリンスすることができる。リンス液としては蒸留水を使用することができる。次に加熱処理を行い、耐熱性に富む最終パターンを得ることができる。加熱温度は一般に150℃〜450℃とすることが好ましい。
【0068】
本発明の感光性組成物は破断伸び及び破断強度などの機械特性に優れる。破断伸びとは、硬化フィルムの試験片を使用し、引っ張り試験機にセットし、延伸した場合の破断点までの変位のことをいい、破断強度とは、該破断時の応力のことをいい、JIS K7120に準拠した方法で測定することができる。また、耐熱性は硬化フィルムの一定温度における、一定時間後の重量変化により評価でき、JIS K7120に準拠した方法で測定することができる。
【0069】
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体装置や多層配線板などの電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置の表面保護膜層や層間絶縁膜層、多層配線板の層間絶縁膜層などの形成に使用することができる。本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜層や層間絶縁膜層を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
【0070】
本発明の電子部品の一例である半導体装置製造工程の一例を以下に説明する。図1は多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。図1において、回路素子を有するSi基板などの半導体基板は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜などの保護膜2などで被覆され、露出した回路素子上に第一導体層が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法などで層間絶縁膜層4が形成される(工程(a))。
【0071】
次に塩化ゴム系、フェノールノボラック系等の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出する様に窓6Aが設けられている(工程(b))。
【0072】
前記窓6Aから露出した層間絶縁膜層4は、酸素、四フッ化炭素などのガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第一導体層3を腐食することなく、感光樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
【0073】
さらに公知の写真食刻技術を用いて、第二導体層7を形成させ、第一導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。3層以上の多層配線構造を形成する場合には、前記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
【0074】
次に表面保護膜層8が形成される。この図1の例では、この表面保護膜層8を前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱して樹脂膜とする。この樹脂膜は、導体層を外部からの応力、α線などから保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。なお、前記例において、層間絶縁膜層4を本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
【0075】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
アミンイミドの合成1(アミンイミド化合物1)
p-ニトロ安息香酸メチルエステル(2.00g、11mmol)、N,N−ジメチルヒドラジン(0.66g、11mmol)、フェニルグリシジルエーテル(1.66g、11mmol)をtert−ブタノール(15.0g)に添加し、50℃で10時間攪拌した後、さらに室温(25℃)で48時間攪拌したところ、白色沈殿が生成した。これを濾別した後、酢酸エチルで2度洗浄し、真空乾燥機で乾燥させてアミンイミド化合物を得た。収量3.67g、収率85%、融点146℃〜147℃であった。
【0077】
アミンイミドの合成2(アミンイミド化合物2)
p-シアノ安息香酸メチルエステル(2.00g、12mmol)、N,N−ジメチルヒドラジン(0.75g、12mmol)、フェニルグリシジルエーテル(1.86g、12mmol)をtert−ブタノール(10g)に添加し、50℃で72時間攪拌した後、さらに室温で48時間攪拌した。得られた反応溶液をロータリーエバポレータでtert−ブタノールを除去した後、酢酸エチル10gを加えて再結晶を行って白色のアミンイミド化合物を得た。収量2.74g、収率65%、融点148℃〜149℃であった。
【0078】
破断伸び率(%)は、次のようにして求めた。まず、350℃、1時間窒素雰囲気下で熱処理したポリイミドフィルム(硬化フィルム)から長さ60mm、幅10mmの試験片を準備した。次いでチャック幅20mmとして引っ張り試験機にセットし、室温で延伸し、破断点までの変位を求めることにより導き出した(試験片の形状、チャック幅以外はJIS K7127に準拠)。耐熱性は、ポリイミドフィルム(硬化フィルム)を熱重量測定装置(TG−DTA)で350℃、1時間保持した時の質量減少率(%)より判断した(JIS K7120に準拠)。質量減少率(%)の値が小さいほど耐熱性が優れることとなる。
【0079】
(実施例1)
4,4'‐ジカルボキシジフェニルエーテル(OBBA)9.79gをN,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)50gに溶解し、氷冷下で塩化チオニルを9.5g加えた後、そのまま氷冷下で2時間反応を行った。この反応溶液を2,2‐ビス(3‐アミノ‐4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(APAF)14.6gのNMP溶液にピリジン5.7gとともに氷冷下で加え、さらに氷冷下で30分攪拌した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリアミドを得た。重量平均分子量は24,000であった。このポリマー10.0gの乳酸エチル溶液に酸発生剤(D−1)3.0g及び、前記合成によって得られたアミンイミド化合物1を0.3g配合して、感光性樹脂溶液とした。
D−1
【0080】
【化14】
【0081】
この感光性樹脂溶液をシリコンウェハ上に回転塗布し、ホットプレート上100℃で200秒加熱し、感光性塗膜とした。乾燥後の膜厚は6.7μmであった。塗膜上にフォトマスクを介し超高圧水銀灯を光源とするミラープロジェクション露光機で366nmの照射量が500mJ/cm2となるように露光を行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて露光部のシリコンウェハが露出するまで現像した後、水でリンスしたところ、解像度3μm、未露光部の残膜率が90%の良好なパターンを得ることができた。前記、乾燥塗膜を320℃で1時間加熱し、完全にベンゾオキサゾールへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により評価した結果、破断強度は120MPa、破断伸びは60%であった。
【0082】
(実施例2)
アミンイミド化合物1の代わりにアミンイミド化合物2を使用した以外は、実施例1と同様にパターン形成を試みたところ、未露光部のパターンが残存したポジ型のレリーフパターンが得られた。前記、乾燥塗膜を320℃で1時間加熱し、完全にベンゾオキサゾールへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により評価した結果、破断強度は115MPa、破断伸びは60%であった。
【0083】
(実施例3)
OBBAの代わりにデカヒドロナフタレン-2,6-ジカルボン酸8.58gを使用した以外は実施例1と同様にパターン形成を試みたところ、露光部のパターンが残存したポジ型のレリーフパターンが得られた。前記、乾燥塗膜を320℃で1時間加熱し、完全にベンゾオキサゾールへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により評価した結果、破断強度は100MPa、破断伸びは80%であった。
【0084】
(実施例4)
ポリマー合成に先立ち2,2‐ビス(3‐アミノ‐4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(APAF)14.6gと5-ノルボルネン-2,3‐ジカルボン酸無水物(NBDC)0.66gとをNMP中で反応させ、APAFの一部をNBDCでエンドキャップしておく。別な容器にて4,4'‐ジカルボキシジフェニルエーテル(OBBA)9.79gをN,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)50gに溶解し、氷冷下で塩化チオニルを9.5g加えた後、そのまま氷冷下で2時間反応を行った。この反応溶液を上述一部エンドキャップを施したAPAFのNMP溶液にピリジン5.7gとともに氷冷下で加え、さらに氷冷下で30分攪拌した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリアミドを得た。重量平均分子量は14,500であった。前記にて得られたポリアミド10gをテトラヒドロフラン50gに溶解させ、2,3‐ジヒドロピラン28gとp−トルエンスルホン酸を触媒量加え、室温下で1時間攪拌した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによって一般式(1)にて示されるポリベンゾオキサゾール前駆体を得た。このもののテトラヒドロピラニル基による水酸基の保護率は37%であった。前記ポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部に対し、放射線照射により酸を発生する化合物としてナフタルイミジルトリフレートを7重量部加え、NMPに溶解させ、さらにアミンイミド化合物1を3重量部加えた。前記溶液をシリコンウェハ上にスピンコートして、乾燥膜厚2〜3μmの塗膜を形成し、そののち干渉フィルターを介して、超高圧水銀灯を用いてi線(365nm)露光を行った。露光後、120℃で3分間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて露光部のシリコンウェハが露出するまで現像した後、水でリンスしたところ、解像度5μm、未露光部の残膜率が95%の良好なパターンを得ることができた。この時の露光量は200mJ/cm2であった。なお露光後、加熱工程までに30分〜2時間放置してもパターン形状の劣化は見られなかった。前記、乾燥塗膜を320℃で1時間加熱し、完全にベンゾオキサゾールへと環化させた。この硬化膜の機械特性をひっぱり試験により評価した結果、破断強度は126MPa、破断伸びは50%であった。
【0085】
(実施例5)
実施例4において用いるジカルボン酸を1,3‐アダマンタンジカルボン酸にして用い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(重量平均分子量は18,000)を合成し、以下同様に感光特性評価を行い、解像度10μm、未露光部の残膜率が88%の良好なパターンが得られた。この時の露光量は150mJ/cm2であった。なお露光後、加熱工程までに30分〜2時間放置してもパターン形状の劣化は見られなかった。また硬化膜の破断強度は115MPa、破断伸びは44%であった。
【0086】
(実施例6)
実施例4において用いる水酸基の保護基を1−エトキシエチル基に変えてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成し、以下同様に感光特性評価を行い、解像度6μm、未露光部の残膜率が90%の良好なパターンが得られた。この時の露光量は300mJ/cm2であった。なお露光後、加熱工程までに30分〜2時間放置してもパターン形状の劣化は見られなかった。また硬化膜の破断強度は128MPa、破断伸びは50%であった。
【0087】
(実施例7)
実施例4において用いる放射線照射により酸を発生する化合物をジメトキシアントラセンスルフォン酸ジフェニルヨードニウムに代えて、以下同様に感光特性評価を行い、解像度8μm、未露光部の残膜率が92%の良好なパターンが得られた。この時の露光量は300mJ/cm2であった。なお露光後、加熱工程までに30分〜2時間放置してもパターン形状の劣化は見られなかった。また硬化膜の破断強度は109MPa、破断伸びは45%であった。
【0088】
(実施例8)
実施例1においてAPAFのエンドキャップをNBDCからフェニルエチニルフタル酸無水物を用いてポリベンゾオキサゾール前駆体を得(分子量13,800)、以下同様に感光特性評価を行い、解像度8μm、未露光部の残膜率が92%の良好なパターンが得られた。この時の露光量は150mJ/cm2であった。なお露光後、加熱工程までに30分〜2時間放置してもパターン形状の劣化は見られなかった。また硬化膜の破断強度は132MPa、破断伸びは52%であった。
【0089】
(比較例1)
アミンイミド化合物を添加しない以外は実施例1と同様にパターン形成を試みたところ、未露光部のパターンが残存したポジ型のレリーフパターンが得られたが、前記、乾燥塗膜を320℃で1時間加熱しても、完全にベンゾオキサゾールへは環化せず、硬化膜の破断強度は60MPa、破断伸びは8%であった。さらに前記、乾燥塗膜を400℃で1時間加熱して、完全にベンゾオキサゾールへ環化させたが、硬化膜の破断強度は90MPa、破断伸びは20%であった。
【0090】
(比較例2)
アミンイミド化合物1を添加しない他は、実施例3と同様にパターン形成できたものの、350℃で1時間窒素雰囲気下で熱処理したフィルムの破断伸びは25%と劣り、またTG−DTAで350℃で1時間保持した時の重量減少は5%であり、耐熱性に劣っていた。TG−DTAは熱重量測定装置のことをいい、加熱に伴う重量変化を測定し、耐熱性を評価した。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、アミンイミド化合物の添加によりオキサゾール化を促進し、さらに、硬化膜の伸びや耐熱性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層配線構造の半導体装置の製造工程図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
Claims (5)
- (A)ポリオキサゾール前駆体、(B) 活性光線照射により酸を発生する化合物、および、(C)加熱により塩基を発生するアミンイミド化合物を含有してなるポジ型感光性樹脂組成物。
- (A)ポリオキサゾール前駆体100重量部に対して、(B)活性光線照射により酸を発生する化合物0.01〜50重量部を含有する請求項2記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れか一つに記載のポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、アルカリ水溶液を用いて現像する工程、加熱処理する工程を含むパターンの製造方法。
- 請求項4記載の製造方法により得られるパターンを表面保護膜層および/または層間絶縁膜層として有してなる電子部品。
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