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JP4039074B2 - 同期型モータ - Google Patents

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JP4039074B2
JP4039074B2 JP2002036508A JP2002036508A JP4039074B2 JP 4039074 B2 JP4039074 B2 JP 4039074B2 JP 2002036508 A JP2002036508 A JP 2002036508A JP 2002036508 A JP2002036508 A JP 2002036508A JP 4039074 B2 JP4039074 B2 JP 4039074B2
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stator
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和男 佐藤
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Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に同期型モータにおけるトルク性能の向上と長寿命化及び巻線作業の作業性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からの同期型モータでは、固定子鉄心のスロット数と回転子の永久磁石磁極数の関係は、12スロット8極、9スロット8極などが一般的である。
【0003】
しかしながら、12スロット8極では、1磁極ティースの磁極幅と永久磁石磁極のピッチとが離れているため巻線係数が小さくなり電動機効率が低下するという問題や、固定子鉄心のスロット数と永久磁石の磁極数の最小公倍数により決まるコギングトルクの発生次数が24と小さく、コギングトルクが大きくなるという問題があった。
【0004】
また、9スロット8極では、磁極ティースに流れるU、V、W相の各巻線電流が各時点で同一でないためラジアル方向の合成吸引力が0とならず、常に回転子に磁気吸引力が発生し、その結果、ボールベアリングなどの軸受にはラジアル方向に偏心力がかかり軸受寿命が短くなるという問題や、各磁極ティースに発生する誘起電圧の位相が異なるため固定子巻線の並列巻線ができず巻線の線径が太くなり作業性が悪いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、エレベータ用のモータやロボット用のモータにおいて、減速機を用いず負荷を直接駆動するダイレクト駆動モータでは、大きなトルクが必要となるため多極化してモータ径を大きくする手法がとられ、固定子スロット数と回転子磁極数の最適化が多く提案されている(例えば、特開2000−201462号公報参照)。そして、磁極ティースの個数nを18×(1+Z)、永久磁石磁極の個数mを16×(1+Z)、(但しZは1以上の整数)にそれぞれ設定することで、コギングトルクの低減、および巻線係数の向上を図っている。
【0006】
しかしながら、磁極ティースが18、永久磁石磁極が16でありながら、この最大公約数の2に少なくとも2以上(1+Z)を掛けるため、磁極ティース数nと永久磁石磁極数mとの最大公約数は4以上となり、最大公約数が2もしくは3のものよりも最小公倍数は小さくなり、コギングトルクの発生次数も小さくなる。
【0007】
つまり、磁極ティース数と永久磁石磁極数を大きくとっているにもかかわらず、コギングトルクはそれほど小さくならなかった。
【0008】
したがって、上記のモータをエレベータ駆動機器など低速回転域で使用される用途に用いると、コギングトルクを含んだトルクリップルが振動源となるため極力低減することが望まれている。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、コギングトルクが小さく、磁束利用率が高く、モータの軸受寿命が長く、かつ巻線作業の容易な同期型モータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、円周状にほぼ等間隔に配列された磁極ティースとスロットをS個有する固定子鉄心と、上記各磁極ティースにそれぞれ集中巻され、かつ3相Y結線した固定子巻線と、上記磁極ティースと周方向にギャップを有しほぼ等間隔でN,S極を交互に配列したP個の永久磁石磁極を有する回転子とを備え、前記固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを18、永久磁石磁極の個数Pを20としたとき、18個の磁極ティースのうち連続する3個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の同期型モータは、円周状にほぼ等間隔に配列された磁極ティースとスロットをS個有する固定子鉄心と、上記各磁極ティースにそれぞれ集中巻され、かつ3相Y結線した固定子巻線と、上記磁極ティースと周方向にギャ
ップを有しほぼ等間隔でN,S極を交互に配列したP個の永久磁石磁極を有する回転子とを備え、前記固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを18、永久磁石磁極の個数Pを20としたとき、18個の磁極ティースのうち連続する3個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回したものである。
【0012】
また、請求項2に記載の同期型モータは、固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを30、永久磁石磁極の個数Pを32としたとき、30個の磁極ティースのうち連続する5個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回したものである。
【0013】
さらに、請求項に記載の同期型モータは、固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを42、永久磁石磁極の個数Pを44としたとき、42個の磁極ティースのうち連続する7個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回したものである。
【0014】
このように設定することで、磁束利用率(巻線係数)を高くすることができる。また、磁極スロット数と永久磁石磁極数との最小公倍数を大きくできるので(コギングトルクの発生次数が大きくなり)、コギングトルクを小さくできる。
【0015】
また、並列回路数が2の場合、対向した磁極ティースに巻回したU,V,W相の各巻線電流の向きを対称に設定するのでラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用しない。したがって、軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期型モータが得られる
【0016】
また、Y結線の並列回路数を2に設定することで、固定子巻線に太い銅線を用いる必要がなく、磁極ティースのスロット内で巻線の占める割合(巻線占積率)が向上する。さらに、1組の固定子巻線において、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回するので連続巻線が可能になり、巻線作業および線処理の作業性が高まり工数を削減できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
実施例1は、S={3×(2n+1)×N}、P={3×(2n+1)+1}×Nのn=1、N=2の場合(磁極スロット数S=18、永久磁石磁極数P=20)の同期型モータについて説明する。
【0019】
図1において、1は固定子で、周方向に等間隔に分割した18個の磁極ティース1aを備えている。2は回転子で、永久磁石2aを備えており、永久磁石2a外周面は等間隔で交互にN、S極となるように着磁している。
【0020】
固定子1は隣り合う磁極ティース1a間によりスロット1bが形成されており、それぞれの磁極ティース1aを集中巻回した巻線(図示せず)はこのスロット1bのスペースに収納される。
【0021】
U,V,Wはそれぞれ固定子巻線の3相を表わしており、連続する磁極ティース3個を
1相1組としてU,V,W相を順次配置する。磁気利用率を上げるため、対向位置の巻線が同相で電流の向きも同じになるように設定する。このため、連続する磁極ティース3個のうち2番目巻線の巻回方向が1番目および3番目巻線の巻回方向と逆になるように巻回している(文字上のバーは巻線の巻回方向が逆であることを表わしている)。
【0022】
これにより対向した磁極ティースに巻回したU,V,W相の各巻線電流の向きを対称にできるのでラジアル方向の合成吸引力が0となり、回転子に磁気吸引力が作用せず軸受寿命に悪影響を与えることがなくなり、長寿命の同期型モータを得ることができる。
【0023】
また、並列回路数を2つにしているので、固定子巻線に太い銅線を用いる必要がなく、巻線の巻回作業が容易になり巻線占積率を向上させることができ、作業工数を削減できる。
【0024】
さらに、磁極ティース毎に分割せずに連続する3つの磁極ティースを1つのブロックとすれば、1相1組の固定子巻線は途中で切断することなく連続して巻回することも可能となり、結線処理の作業工数を削減できる。
【0025】
この巻回された3相巻線の結線図を図2に示しており、連続する3つの巻線を1組とし、対向する2組を並列接続してU,V,W相とし、3相をY結線している。
【0026】
ここで、本願発明の同期型モータ(磁極スロット数S=18、永久磁石磁極数P=20)と従来モータ(S=12、P=8およびS=9、P=8)とを、固定子の内径および外径、永久磁石の内径および外径、磁石材質を同じに設定して解析したモータのコギングトルクおよび誘起電圧と、代用特性としてのコギングトルク次数および巻線係数とを対比した結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
コギングトルク次数は磁極スロット数Sと永久磁石磁極数Pの最小公倍数であり、コギングトルクはコギングトルク次数の最小公倍数に反比例、また、巻線係数(磁束利用率)の結果は誘起電圧の値として表れ、誘起電圧の値が大きいほど巻線占積率が高くかつ永久磁石の磁束を効率的に利用していることになる。言い換えると大きなトルクを効率よく発生させることができる。
【0029】
解析値では本願発明の同期型モータのコギングトルクが一番小さく、誘起電圧も大きく良好な結果が得られている。
【0030】
(実施例2)
実施例2では、S={3×(2n+1)×N}、P={3×(2n+1)+1}×N、(n=1,2,3、N=2,3)のうち、n=1,N=3における同期型モータを中心に説明する。
【0031】
図3において、固定子31は周方向に等間隔に27個の磁極ティース31aおよびスロ
ット31bを備えており、回転子32は永久磁石32aの外周面を等間隔で交互にN,S極となるように30極着磁している。ここでは実施例1と異なる並列回路数を中心に説明する。
【0032】
実施例1と同様に連続する磁極ティース3個を1相1組としてU,V,Wを3回繰り返し配置する。実施例2では磁気利用率を上げるため、ここでは機械角で120°位置の巻線が同相で電流の向きも同じになるように設定するため、連続する磁極ティース3個のうち2番目巻線の巻回方向が1番目および3番目巻線の巻回方向と逆になるように巻回する。この巻回された3相巻線の結線は、連続する3つの巻線を1組とし、機械角で120°離れた3組を並列接続してU,V,W相とし、3相をY結線する(図4)。
【0033】
ここで、S={3×(2n+1)×N}、P={3×(2n+1)+1}×N、(n=1,2,3、N=2,3)の範囲の各組合せにおける代用特性としてのコギングトルク次数および巻線係数の比較一覧を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
この表2からわかるように、巻線係数は本願発明の式中の並列回路数には関係せず、nの値に依存しており、nの設定値を大きくすれば巻線係数が向上する。また、コギングトルク次数は並列回路数に比例して大きくなり、コギングトルクを小さくできる。
【0036】
なお、実施例1および実施例2は、n=1のときの並列回路数Nが2および3の場合について説明したが、S={3×(2n+1)×N}におけるn=2の場合には、磁気利用率を上げるため、連続する磁極ティース5個を1相1組として、連続する磁極ティース5個のうち偶数番目巻線の巻回方向が奇数番目巻線の巻回方向と逆になるように巻回すればよい。また、n=3の場合には、連続する磁極ティース7個のうち偶数番目巻線の巻回方向が奇数番目巻線の巻回方向と逆になるように巻回する。このとき、連続する磁極ティース1組(3または5または7個)毎に分割してもよい。
【0037】
そして、並列回路数が2の場合には、対向する磁極ティースの同相2組を並列接続し、並列回路数が3の場合には、機械角120°の同相3組を並列接続してU,V,W相とし、3相をY結線すればよい(連続する磁極ティースの1組の数が3から5または7になるだけであり図示せず)。
【0038】
ところで、従来技術(特開2000−201462号公報)に開示された磁極スロット数=36、永久磁石磁極数=32の場合、コギングトルクの次数は288であり、本願発明で比較的近い構成のものと比べると、永久磁石磁極数は32で同じ、磁極スロット数が30と少ないにもかかわらずコギングトルクの次数は480と大きく、コギングトルクを小さくできることがわかる。
【0039】
また、本願発明の磁極ティース数、永久磁石磁極数、並列回路数を設定するにあたっては、要求されるモータの外形寸法や特性により適宜選択される。例えば、要求されるモー
タ外径から磁極ティース数を絞込み、使用回転速度や要望トルクの大小から巻線係数とコギングトルク(磁極ティース数と永久磁石磁極数の最小公倍数=コギングトルク次数)を考慮して設定する。並列回路数Nを2から3に設定するよりも並列回路数Nを2に固定してnを1つ大きく設定するほうが、巻線係数(磁気利用率)とコギングトルクの両方を改善できる。なお、並列回路数の決定には使用する巻線径を考慮する。
【0040】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、発明によれば、固定子巻線のY結線の並列回路数を2とし、磁極ティース数と永久磁石磁極数を特定の関係に設定することで、コギングトルク次数を大きくでき、コギングトルクを小さくできる。
【0041】
また、連続する1相1組の巻線の偶数番目と奇数番目の巻回方向を逆にした複数組の同相を並列に接続してU,V,W相とし、3相をY結線することで、磁束利用率を高めることができる。また、回転時に回転子にかかるラジアル方向の吸引力をバランスさせることができるので軸受寿命に悪影響を与えることがなく、長寿命の同期型モータが得られる。
【0042】
また、3相巻線の並列回路数を2にするので、巻線として太い銅線を用いる必要がなくなり、巻線の作業性が向上し作業工数を削減できる。また、巻線占積率を向上させることができる。
【0043】
さらに、並列回路数を2にすることでコギングトルクをより効果的に低減できる。
【0044】
このように、コギングトルクが小さく、磁束利用率が高く、モータの軸受寿命が長く、かつ巻線作業の容易な同期型モータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における電動機の要部断面図
【図2】 本発明の実施例1における結線図
【図3】 本発明の実施例2における電動機の要部断面図
【図4】 本発明の実施例2におけるにおける結線図
【符号の説明】
1,31 固定子
1a,31a 磁極ティース
1b,31b スロット
2,32 回転子
2a,32a 永久磁石

Claims (3)

  1. 円周状にほぼ等間隔に配列された磁極ティースとスロットをS個有する固定子鉄心と、上記各磁極ティースにそれぞれ集中巻され、かつ3相Y結線した固定子巻線と、上記磁極ティースと周方向にギャップを有しほぼ等間隔でN,S極を交互に配列したP個の永久磁石磁極を有する回転子とを備え、前記固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを18、永久磁石磁極の個数Pを20としたとき、18個の磁極ティースのうち連続する3個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回した同期型モータ。
  2. 固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを30、永久磁石磁極の個数Pを32としたとき、30個の磁極ティースのうち連続する5個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回した請求項1に記載の同期型モータ。
  3. 固定子巻線のY結線の並列回路数を2、磁極スロットの個数Sを42、永久磁石磁極の個数Pを44としたとき、42個の磁極ティースのうち連続する7個を1相1組として3相を順次配列し、前記1組の固定子巻線は、偶数番目の磁極ティースへの巻方向が奇数番目の磁極ティースへの巻方向と逆になるように巻回した請求項1に記載の同期型モータ。
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