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JP4038036B2 - 自動車の後部車体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッテリ,燃料タンク等の車載部品が搭載されたサブフレームをリヤサイドメンバにより支持するようにした自動車の後部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、充電の必要がない燃料電池等を搭載した電気自動車の開発が進んでいる。この種の電気自動車の開発を行なうにあたっては、ガソリン車等の現存車両を改造して行なう場合がある。このような現存車両に燃料電池,水素タンク等の重量物を搭載する場合、これらの重量等に対応した強度,剛性を有するサブフレームを新作し、該サブフレームを介して燃料電池等の車載部品を左,右のリヤサイドメンバにより支持する構造を採用するのが一般的である。
【0003】
上記サブフレームとして、例えば、図6,図7に示すように、矩形枠状に形成された下フレーム部材51の後部に複数本の柱部材53により上フレーム部材52を結合した構造のものがある。
【0004】
そしてサブフレーム50の下フレーム部材51の前部に水素タンク55を搭載固定し、上フレーム部材52に燃料電池本体56を搭載固定し、前フレーム部材51の左,右前端部51a,51bと、後フレーム部材52の左,右前端部52a,52b及び後端部52c,52dとをそれぞれ左,右のリヤサイドメンバ60にボルト締め結合する場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記サブフレーム50は車載部品55,56の重量に相応した強度,剛性を有する構造となっていることから、例えば、図8に示すように、後突により車両後方から衝撃力Fが加わった場合には、サブフレーム50がリヤサイドメンバ60の座屈変形の妨げとなって、該リヤサイドメンバ60の衝突吸収構造が十分に機能しないおそれがある。その結果、入力がそのまま車載部品55,56に伝わり、場合によっては破損するという懸念がある。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みてされたもので、強度,剛性の高いサブフレームをリヤサイドメンバに結合する場合の、該リヤサイドメンバの衝撃吸収機能を確保でき、ひいては燃料電池本体や水素タンク等の車載部品への影響を抑制できる自動車の後部車体構造を提供することを目的としている。
【0007】
請求項1の発明は、車両前後方向に延びる左右のリヤサイドメンバによりバッテリ,燃料タンク等の車載部品が搭載されたサブフレームの少なくとも前端部及び後端部を支持するようにした自動車の後部車体構造において、上記サブフレームは、該サブフレームの前,後支持部の中間に非連続部を設け、該非連続部によって分離された前側フレーム部と後側フレーム部とを、上記非連続部を車両上側又は下側にて迂回するように形成された迂回部材により連結することにより構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記リヤサイドメンバの上記非連続部に臨む部分にリヤサスペンション部材が配設されていることを特徴としている。
【0009】
【発明の作用効果】
本発明にかかる後部車体構造によれば、サブフレームの前,後支持部の中間に非連続部を設け、該非連続部により分離された前側フレーム部と後側フレーム部とを迂回部材により連結したので、車両後方からの入力によって後側フレーム部が非連続部に進入して屈曲変形することとなり、これによりリヤサイドメンバが座屈変形し、もってリヤサイドメンバの衝撃吸収機能を十分に発揮させることができる。これにより入力が車載部品,例えば燃料電池や水素タンクに直接伝わるのを回避でき、車載部品が破損するのを防止できる。
【0010】
また上記前側フレーム部と後側フレーム部とを非連続部を車両上側又は下側にて迂回するように形成した迂回部材により連結したので、車載部品に相応したサブフレームの強度,剛性を確保することができ、非連続部を設けたことによる強度低下の懸念を回避できる。
【0011】
請求項2の発明では、リヤサイドメンバの非連続部に臨む部分にリヤサスペンション部材を配設したので、非連続部の分だけサブフレームの占有空間を縮小することが可能となり、リヤサスペンションを効率良くレイアウトすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1ないし図5は、本発明の一実施形態による燃料電池電気自動車の後部車体構造を説明するための図であり、図1,図2,図3はそれぞれサブフレームの斜視図,平面図,側面図、図4はサブフレームの屈曲変形を模式的に示す図、図5は燃料電池電気自動車の概略図である。
【0014】
図5において、1は燃料電池電気自動車を示しており、これの車体2は左,右のサイドパネル(不図示)の上端間にルーフパネル3を配設するとともに、下端間にフロアパネル4を配設して車室2aを形成した概略構造のものであり、該車室2a内にフロントシート5,リヤシート6が配設されている。
【0015】
上記車体2の車室2aの前側には該車室2aとは区分けされた動力室2bが形成されており、上記車室2aの後部下方には上記フロアパネル4により区分けされた電力室2cが形成されている。
【0016】
上記動力室2bには前輪7を回転駆動する駆動モータ8及び該駆動モータ8を駆動制御するモータコントローラ9が配設されている。また上記フロントシート5下方のフロアパネル4にはニッケル・水素電池17が配設されている。
【0017】
上記電力室2cには燃料電池システムを構成する部品、主として水素タンク15,燃料電池本体16が配設されており、これらは後述するサブフレーム20に搭載されている。
【0018】
このサブフレーム20は、車両前後方向に延びる左,右の下フレーム部材21,21の後部上方に、前後方向に延びる左,右の上フレーム部材22,22を配設し、該左,右の上フレーム部材22,22の前端部と上記左,右の下フレーム部材21の前後方向中央部とを上下方向に延びる左,右の前柱部材23,23により接続するとともに、左,右の上フレーム部材22,22の前後方向中央部と左,右の下フレーム部材21,21の後端部とを上下方向に延びる中間柱部材24,24により接続した構造となっている。
【0019】
上記左,右の下フレーム部材21の前端面には車幅方向に延びる前クロス部材25が、また前後方向中央部の上記前柱部材23の接続部には中間クロス部材26がそれぞれ架け渡して接続されている。また上記左,右の下フレーム部材21の後端面には車幅方向に延びる後クロス部材27が架け渡して接続されており、該後クロス部材27の左,右端部には後ろ斜め上方に延びる後柱部材28,28が接続されている。
【0020】
上記左,右の後柱部材28,28には車幅方向に延びる補強部材28aが架け渡して接続されており、該補強部材28aには各種の車載部品取付けブラケット28b,28cが接続されている。
【0021】
上記前クロス部材25の両端部には垂直上方に延びた後,車外側に屈曲して延びる前連結部材29,29が接続されている。また上記左,右の上フレーム部材22,22の前端部には車幅方向に延びる中間連結部材30が架け渡して接続されており、該左,右の上フレーム部材22,22の後端部には車幅方向に延びる上クロス部材31が架け渡して接続されている。
【0022】
さらに上記左,右の後柱部材28,28の上端面には垂直上方に延びた後,車外側に屈曲して延びる後連結部材32,32が接続されている。この左,右の後連結部材32,32には門形ブラケット33が架け渡して接続されている。
【0023】
上記左,右の下フレーム部材21,21の前部には上記水素タンク15が車幅方向に向けて搭載されており、該水素タンク15は各支持ブラケット34,35に締結部材(不図示)により締め付け固定されている。また上記左,右の上フレーム部材22には上記燃料電池本体16が車幅方向に向けて搭載されており、該燃料電池本体16は中間連結部材30,上クロス部材31に取付け部材(不図示)により取付け固定されている。
【0024】
上記サブフレーム20は、車両前後方向に延びる左,右のリヤサイドメンバ40,40により吊懸支持されている。この各リヤサイドメンバ40は上向きに開口する断面コ字状のもので、側方から見て、前端部40aと、該前端部40aから後方斜め上向きに傾斜して延びる傾斜部40bと、該傾斜部40bの後端から後方に略水平に延びる水平部40cとを有している。
【0025】
上記水平部40cの下方に後輪41が配設されており、この後輪41を懸架支持するリヤサスペンション(不図示)の上端部は上記水平部40cに形成されたサスペンション支持部40dにより支持されている。
【0026】
上記リヤサイドメンバ40は、車両衝突時の入力を軸方向に座屈変形することにより吸収する衝撃吸収機能を備えている。この衝撃吸収機能は、例えば上記リヤサイドメンバ40に長手方向に所定間隔をあけて屈折ビード(不図示)を形成して構成されている。
【0027】
上記サブフレーム20は、これの左,右の前連結部材29をリヤサイドメンバ40の前端部40aに、上記中間連結部材30の左,右端部を傾斜部40bに、さらに上記左,右の後連結部材32を水平部40cの後端部にそれぞれ締結ボルト43,44,45によりリヤサイドメンバ40に結合されている。
【0028】
そして、上記左,右の下フレーム部材21の前後方向中央部には非連続部Aが形成されている。この非連続部Aは下フレーム部材21の中間クロス部材26との接続部から後側部分を取り除くことにより形成されたもので、これにより下フレーム部材21は前側フレーム部21aと後側フレーム部21bとに分離されている。そしてこの前側フレーム部21aと後側フレーム部21bとは、上記非連続部Aを車両上側にて迂回するように形成された迂回部材としての上記前柱部材23,上フレーム部材22,中間柱部材24により連結されている。
【0029】
また上記左,右の上フレーム部材22の後方には非連続部Bが形成されている。この非連続部Bは上フレーム部材22の後端と後連結部材32との間に隙間を設けることにより形成されたものである。この上フレーム部材22と後連結部材32とは、上記非連続部Bを車両下側にて迂回するように形成された迂回部材としての中間柱部材24,後側フレーム部21b,後柱部材28により連結されている。このようにして形成された上記非連続部A,Bに臨む部分に上記リヤサスペンションが配設されている。
【0030】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0031】
本実施形態の後部車体構造によれば、サブフレーム20の下フレーム部材21の前後方向中間部,及び上フレーム部材22の後部にそれぞれ非連続部A,Bを設けたので、図4に示すように、車両後突時の入力Fによって左,右の後連結部材32が非連続部Bに進入するとともに、左,右の後側フレーム部21bが非連続部Aに進入して屈曲変形することとなり,これに伴ってリヤサイドメンバ40が座屈変形し、もってリヤサイドメンバ40の衝撃吸収機能を十分に発揮させることができる。これにより入力Fが燃料電池本体16や水素タンク15に直接伝わるのを回避でき、破損等の懸念を解消できる。
【0032】
本実施形態では、上記非連続部Aにより分離された前側フレーム部21aと後側フレーム部21bとを非連続部Aの迂回部材を構成する上記前柱部材23,上フレーム部材22,中間柱部材24により連結するとともに、上記非連続部Bにより分離された上フレーム部材22と後連結部材32とを非連続部Bの迂回部材を構成する中間柱部材24,後側フレーム部21b,後柱部材28により連結したので、重量物である水素タンク15,燃料電池本体16に対応した強度,剛性を確保することができ、非連続部A,Bを設けたことによる強度低下の懸念を回避できる。
【0033】
また本実施形態では、左,右リヤサイドメンバ40の非連続部A,Bに臨む部分にリヤサスペンションを配設したので、非連続部A,Bの分だけサブフレーム20の占有空間を縮小することが可能となり、リヤサスペンションを効率良くレイアウトすることができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、燃水素タンク15,料電池本体16をサブフレーム20に搭載した電気自動車の場合を説明したが、本発明の車載部品はこれに限られるものではなく、バッテリ等の重量物を搭載した車両にも勿論適用できる。
【0035】
また上記実施形態では、サブフレーム20に水素タンク15,燃料電池本体16の両方を搭載したが、本発明はこれに限られるものではなく、何れか一方,あるいは他の車載部品を搭載する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による自動車の後部車体構造を説明するためのサブフレームの斜視図である。
【図2】上記サブフレームの平面図である。
【図3】上記サブフレームの側面図である。
【図4】上記サブフレームの後突時の屈曲変形を示す模式図である。
【図5】上記実施形態の電気自動車の概略図である。
【図6】一般的なサブフレームの斜視図である。
【図7】上記サブフレームの側面図である。
【図8】上記サブフレームの屈曲変形を示す模式図である。
【符号の説明】
15 水素タンク(車載部品)
16 燃料電池本体(車載部品)
20 サブフレーム
21 下フレーム部材
21a 前側フレーム部
21b 後側フレーム部
22 上フレーム部材(迂回部材)
23 前柱部材(迂回部材)
24 中間柱部材(迂回部材)
28 後柱部材(迂回部材)
40 リヤサイドメンバ
A,B 非連続部

Claims (2)

  1. 車両前後方向に延びる左右のリヤサイドメンバによりバッテリ,燃料タンク等の車載部品が搭載されたサブフレームの少なくとも前端部及び後端部を支持するようにした自動車の後部車体構造において、上記サブフレームは、該サブフレームの前,後支持部の中間に非連続部を設け、該非連続部によって分離された前側フレーム部と後側フレーム部とを、上記非連続部を車両上側又は下側にて迂回するように形成された迂回部材により連結することにより構成されていることを特徴とする自動車の後部車体構造。
  2. 請求項1において、上記リヤサイドメンバの上記非連続部に臨む部分にリヤサスペンション部材が配設されていることを特徴とする自動車の後部車体構造。
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