JP4029346B2 - 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体 - Google Patents
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Description
本発明の改変型PQQGDHは、臨床検査や食品分析などにおけるグルコースの定量に有用である。
1. 野生型のピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(PQQGDH)よりも二糖類に対する作用性が低下した、及び/又は、安定性が向上した改変型PQQGDH。
2. 野生型のグルコースデヒドロゲナーゼよりも二糖類に対する作用性が低下したことを特徴とする1.に記載の改変型PQQGDH。
3. 二糖類がマルトースであることを特徴とする2.に記載の改変型PQQGDH。
4. マルトースに対する作用性がグルコースに対する作用性の90%以下であることを特徴とする2.記載の改変型PQQGDH。
5. 二糖類に対するに対するKm値が大きくなったことを特徴とする2.に記載の改変型PQQGDH。
6. 二糖類がマルトースであることを特徴とする5.記載の改変型PQQGDH。
7. マルトースに対するKm値が8mM以上であることを特徴とする5.記載の改変型PQQGDH。
8. 二糖類に対するKm値がグルコースに対するKm値よりも大きいことを特徴とする2.記載の改変型PQQGDH。
9. 二糖類がマルトースであることを特徴とする8.記載の改変型PQQGDH。
10. マルトースに対するKm値がグルコースに対するKm値の1.5倍以上であることを特徴とする8.記載の改変型PQQGDH。
11. 配列番号1に記載されるPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、グルコースの結合に関与するアミノ酸及び/またはその周辺のアミノ酸が置換されている、2.に記載の改変型PQQGDH。
12. 配列番号1に記載されるPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、カルシウムイオンの結合に関与するアミノ酸及び/またはその周辺のアミノ酸が置換されている、2.に記載の改変型PQQGDH。
13. 配列番号1に記載されるPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、67位、68位、69位、76位、89位、167位、168位、169位、170位、341位、342位、343位、351位、49位、174位、188位、189位、207位、215位、245位、249位、300位、349位、129位、130位及び131位からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置のアミノ酸が置換されている、2.に記載の改変型PQQGDH。
14. アミノ酸置換が、Q76N, Q76E, Q76T, Q76M, Q76G, Q76K, N167E, N167L, N167G, N167T, N167S, N167A, N167M, Q168I, Q168V, Q168A, Q168C, Q168D, Q168E, Q168F, Q168G, Q168H, Q168K, Q168L, Q168M, Q168N, Q168R, Q168S, Q168W, L169D, L169S, L169W, L169Y, L169A, L169N, L169M, L169V, L169C, L169Q, L169H, L169F, L169R, L169K, L169I, L169T, A170L, A170I, A170K, A170F, A170W, A170P, K89E, K300R, S207C, N188I, T349S, K300T, L174F, K49N, S189G, F215Y, S189G, E245D, E245F, E245H, E245M, E245N, E245Q, E245V, E245C, N249G, N249A, N249E, N249Q, A351T, P67K, E68K, P67D, E68T, I69C, P67R, E68R, E129R, K130G, P131G, E129N, P131T, E129Q, K130T, P131R, E129A, K130R, P131K, E341L, M342P, A343R, A343I, E341P, M342V, E341S, M342I, A343C, M342R, A343N, L169P, L169G及びL169Eからなる群から選択される13.に記載の改変型PQQGDH。
15. アミノ酸置換が、Q76N, Q76E, Q76T, Q76M, Q76G, Q76K, Q168I, Q168V, Q168A, Q168C, Q168D, Q168E, Q168F, Q168G, Q168H, Q168K, Q168L, Q168M, Q168N, Q168R, Q168S, Q168W, L169A, L169V, L169H, L169K, L169D, L169S, L169N, L169G, L169C, A170L, A170I, A170K, A170F, A170W, A170P, E245F, E245H, E245M, E245N, E245Q, E245V, E245C, N249G, N249A, N249E, N249Q, (Q168A+L169G+E245D), (Q168A+L169P+E245D), (K89E+K300R), (Q168A+L169D), (Q168S+L169S), (N167E+Q168G+L169T), (N167S+Q168N+L169R), (Q168G+L169T), (N167G+Q168S+L169Y), (N167L+Q168S+L169G), (N167G+Q168S+L169S+L174F+K49N), (Q168N+L168N+S189R), (N167E+Q168G+L169A+S189G), (N167G+Q168R+L169A), (N167S+Q168G+L169A), (N167G+Q168V+L169S), (N167S+Q168V+L169S), (N167T+Q168I+L169G), (N167G+Q168W+L169N), (N167G+Q168S+L169N), (N167G+Q168S+L169V), (Q168R+L169C), (N167S+Q168L+L168G), (Q168C+L169S), (N167T+Q168N+L169K), (N167G+Q168T+L169A+S207C), (N167A+Q168A+L169P), (N167G+Q168S+L169G), (N167G+Q168G), (N167G+Q168D+L169K), (Q168P+L169G), (N167G+Q168N+L169S), (Q168S+L169G), (N188I+T349S), (N167G+Q168G+L169A+F215Y), (N167G+Q168T+L169G), (Q168G+L169V), (N167G+Q168V+L169T), (N167E+Q168N+L169A), (Q168R+L169A), (N167G+Q168R), (N167G+Q168T), (N167G+Q168T+L169Q), (Q168I+L169G+K300T), (N167G+Q168A), (N167T+Q168L+L169K), (N167M+Q168Y+L169G), (N167E+Q168S), (N167G+Q168T+L169V+S189G), (N167G+Q168G+L169C), (N167G+Q168K+L169D), (Q168A+L169D), (Q168S+E245D), (Q168S+L169S), (A351T), (N167S+Q168S+L169S), (Q168I+L169Q), (N167A+Q168S+L169S), (Q168S+L169E), (Q168A+L169G), (Q168S+L169P), (P67K+E68K), (P67R+E68R+I69C), (P67D+E68T+I69C), (E129R+K130G+P131G), (E129Q+K130T+P131R), (E129N+P131T), (E129A+K130R+P131K), (E341L+M342P+A343R), (E341S+M342I), A343I, (E341P+M342V+A343C), (E341P+M342V+A343R), (E341L+M342R+A343N), (Q168A+L169A), (Q168A+L169C), (Q168A+L169E), (Q168A+L169F), (Q168A+L169H), (Q168A+L169I), (Q168A+L169K), (Q168A+L169M), (Q168A+L169N), (Q168A+L169P), (Q168A+L169Q), (Q168A+L169R), (Q168A+L169S), (Q168A+L169T), (Q168A+L169V), (Q168A+L169W)及び(Q168A+L169Y)からなる群から選択され、該アミノ酸置換により基質特異性が向上した13.に記載の改変型PQQGDH。
16. 配列番号1に記載されるPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、428位と429位の間にアミノ酸が挿入されている、2.に記載の改変型PQQGDH。
17. 1.〜16.のいずれかに記載の改変型PQQGDHをコードする遺伝子。
18. 17.に記載の遺伝子を含むベクター。
19. 18.に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
20. 19.に記載の形質転換体を培養することを特徴とする改変型PQQGDHの製造法。
21. 1.〜20.のいずれかに記載の改変型PQQGDHを含むグルコースアッセイキット。
22. 1.〜20.のいずれかに記載の改変型PQQGDHを含むグルコースセンサー。
23. 野生型のピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(PQQGDH)よりも安定性が向上した改変型PQQGDH。
24. 58℃、30分間の熱処理後の活性残存率が48%以上であることを特徴とする23.記載の改変型PQQGDH。
25. 58℃、30分間の熱処理後の活性残存率が55%以上であることを特徴とする23.記載の改変型PQQGDH。
26. 58℃、30分間の熱処理後の活性残存率が70%以上であることを特徴とする23.記載の改変型PQQGDH。
27. 配列番号1に記載されるPQQGDHにおいて、20位、76位、89位、168位、169位、246位及び300位からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置のアミノ酸が置換されている、23.に記載のPQQGDH。
28. アミノ酸置換が、K20E, Q76M, Q76G, K89E, Q168A, Q168D, Q168E, Q168F, Q168G, Q168H, Q168M, Q168P, Q168W, Q168Y, Q168S, L169D, L169E, L169P, L169S, Q246H, K300R, Q76N, Q76T, Q76K, L169A, L169C, L169E, L169F, L169H, L169K, L169N, L169Q, L169R, L169T, L169Y及びL169Gからなる群から選択される27.に記載の改変型PQQGDH。
29. アミノ酸置換が、K20E, Q76M, Q76G, (K89E + K300R), Q168A, (Q168A + L169D), (Q168S + L169S), Q246H, Q168D, Q168E, Q168F, Q168G, Q168H, Q168M, Q168P, Q168W, Q168Y, Q168S,(Q168S + L169E), (Q168S + L169P), (Q168A+L169A), (Q168A+L169C), (Q168A+L169E), (Q168A+L169F), (Q168A+L169H), (Q168A+L169K), (Q168A+L169N), (Q168A+L169P), (Q168A+L169Q), (Q168A+L169R), (Q168A+L169T), (Q168A+L169Y)及び(Q168A + L169G)からなる群から選択され、該アミノ酸置換により熱安定性が向上した28.に記載の改変型PQQGDH。
30. 23.〜29.のいずれかに記載の改変型PQQGDHをコードする遺伝子。
31. 30.に記載の遺伝子を含むベクター。
32. 31.に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
33. 32.に記載の形質転換体を培養することを特徴とする改変型PQQGDHの製造法。
34. 23.〜32.のいずれかに記載の改変型PQQGDHを含むグルコースアッセイキット。
35. 23.〜32.のいずれかに記載の改変型PQQGDHを含むグルコースセンサー。
36. 23.〜32.のいずれかに記載の改変型PQQGDHを含むグルコース測定方法。
37. 野生型酵素の活性型立体構造における活性中心から半径15Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られる1.に記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
38. 野生型酵素の活性型立体構造において基質から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られる1.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
39. 基質がグルコースで有る38.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
40. 野生型酵素の活性型立体構造において基質の1位の炭素に結合するOH基から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られる1.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
41. 基質がグルコースである40.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
42. 野生型酵素の活性型立体構造において基質の2位の炭素に結合するOH基から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られる1.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
43.基質がグルコースで有る42.記載の改変型グルコースデヒドロゲナーゼ。
である。
本明細書においては、アミノ酸の位置は、シグナル配列が除かれたアスパラギン酸を1として番号付けする。
二糖類としては、マルトース、シュクロース、ラクトース、セロビオースなどが例示され、特にマルトースが例示される。
二糖類に対する作用性とは、二糖類を脱水素する作用を意味する。
本発明の改変型PQQGDHは、二糖類に対する作用性が野生型PQQGDHより低下していれば、グルコースに対する作用性は上昇、不変、低下のいずれであっても本発明の改変型PQQGDHに包含される。
ここで、マルトースに対する作用性とは、グルコースを基質としたときと二糖類、特にマルトースを基質としたときの反応速度の相対比%を意味する。
J.Mol.Biol.,289,319−333(1999) PNAS,96(21),11787−11791(1999) The EMBO Journal,18(19),5187−5194(1999) Protein Science,9,1265−1273(2000)
また、本発明の改変型PQQGDHは、配列番号1に記載されるPQQ依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、カルシウムイオンの結合に関与するアミノ酸及び/またはその周辺のアミノ酸が置換されているものを含む。
また、本発明の改変型PQQGDHは、野生型酵素の活性型立体構造における活性中心から半径15Å以内、好ましくは半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものを含む。
また、本発明の改変型PQQGDHは、野生型酵素の活性型立体構造において基質から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものを含む。特に、基質がグルコースであるとき、野生型酵素の活性型立体構造において基質から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものが好ましい。
また、本発明の改変型PQQGDHは、野生型酵素の活性型立体構造において基質の1位の炭素に結合するOH基から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものを含む。特に、基質がグルコースであるとき、野生型酵素の活性型立体構造において基質から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものが好ましい。
また、本発明の改変型PQQGDHは、野生型酵素の活性型立体構造において基質の2位の炭素に結合するOH基から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものを含む。特に、基質がグルコースであるとき、野生型酵素の活性型立体構造において基質から半径10Å以内の範囲に位置するアミノ酸を変異することにより得られるものが好ましい。
凍結乾燥組成物中においては、PQQGDH含有量は、酵素の起源によっても異なるが、通常は約5〜50%(重量比)の範囲で好適に用いられる。酵素活性に換算すると、100〜2000U/mgの範囲で好適に用いられる。
アスパラギン酸、グルタミン酸、αーケトグルタル酸、リンゴ酸、及びαーケトグルコン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウム等の塩が挙げられるが特に限定されるものではない。上記化合物とその塩及びα−シクロデキストリンの添加量は、1〜90%(重量比)の範囲で添加することが好ましい。これらの物質は単独で用いてもよいし、複数組み合わせてもよい。
含有される緩衝液としては特に限定されるものではないが、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、GOOD緩衝液などが挙げられる。該緩衝液のpHは5.0〜9.0程度の範囲で使用目的に応じて調整される。凍結乾燥物中においては緩衝剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1%(重量比)以上、特に好ましくは0.1〜30%(重量比)の範囲で使用される。
使用できるアルブミンとしては、牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン(OVA)などが挙げられる。特にBSAが好ましい。該アルブミンの含有量は、好ましくは1〜80%(重量比)、より好ましくは5〜70%(重量比)の範囲で使用される。
組成物には、さらに他の安定化剤などをPQQGDHの反応に特に悪い影響を及ぼさないような範囲で添加してもよい。本発明の安定化剤の配合法は特に制限されるものではない。例えばPQQGDHを含む緩衝液に安定化剤を配合する方法、安定化剤を含む緩衝液にPQQGDHを配合する方法、あるいはPQQGDHと安定化剤を緩衝液に同時に配合する方法などが挙げられる。
カルシウム塩としては、塩化カルシウムまたは酢酸カルシウムもしくはクエン酸カルシウム等の無機酸または有機酸のカルシウム塩などが例示される。また、水性組成物において、カルシウムイオンの含有量は、1×10−4〜1×10−2Mであることが好ましい。カルシウムイオンまたはカルシウム塩のみを含有させた場合、安定性にわずかな効果が見られるが、さらに下記アミノ酸を含有させることにより、安定性がさらに向上する。
グルタミン酸、グルタミンおよびリジンからなる群から選択されるアミノ酸は、1種または2種以上であってもよい。前記の水性組成物において、グルタミン酸、グルタミンおよびリジンからなる群から選択されたアミノ酸の含有量は、0.01〜0.2重量%であることが好ましい。
さらに血清アルブミンを含有させてもよい。前記の水性組成物に血清アルブミンを添加する場合、その含有量は0.05〜0.5重量%であることが好ましい。
緩衝剤としては、通常のものが使用され、通常、組成物のpHを5〜10とするものが好ましい。具体的にはトリス塩酸、ホウ酸、グッド緩衝液が用いられるが、カルシウムと不溶性の塩を形成しない緩衝液はすべて使用できる。
前記の水性組成物には、必要により他の成分、例えば界面活性剤、安定化剤、賦形剤などを添加しても良い。
グルコースアッセイキット
本発明はまた、本発明に従う改変型PQQGDHを含むグルコースアッセイキットを特徴とする。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従う改変型PQQGDHを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明の改変型PQQGDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従う改変型PQQGDHは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。好ましくは本発明の改変型PQQGDHはホロ化した形態で提供されるが、アポ酵素の形態で提供し、使用時にホロ化することもできる。
本発明はまた、本発明に従う改変型PQQGDHを用いるグルコースセンサーを特徴とする。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。好ましくは本発明の改変型PQQGDHはホロ化した形態で電極上に固定化するが、アポ酵素の形態で固定化し、PQQを別の層としてまたは溶液中で提供することもできる。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明の改変型PQQGDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
実施例1 :PQQ依存性グルコース脱水素酵素遺伝子の発現プラスミドの構築
野生型PQQ依存性グルコース脱水素酵素の発現プラスミドpNPG5は、ベクターpBluescript SK(−)のマルチクローニング部位にアシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii) NCIMB11517株由来のPQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする構造遺伝子を挿入したものである。その塩基配列を配列表の配列番号2に、また該塩基配列から推定されるPQQ依存性グルコース脱水素酵素のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。
野生型PQQ依存性グルコース脱水素酵素遺伝子を含む組換えプラスミドpNPG5と配列番号3記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って変異処理操作を行い、更に塩基配列を決定して、配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがアスパラギンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M1)を取得した。
pNPG5と配列番号4記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがグルタミン酸に置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M2)を取得した。
pNPG5と配列番号5記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがスレオニンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M3)を取得した。
pNPG5と配列番号6記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがメチオニンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M4)を取得した。
pNPG5と配列番号7記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがグリシンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M5)を取得した。
pNPG5と配列番号8記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の76番目のグルタミンがリジンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M6)取得した。
pNPG5と配列番号9記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがイソロイシンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M7)を取得した。
pNPG5と配列番号10記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがバリンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M8)を取得した。
pNPG5と配列番号11記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがアラニンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M9)を取得した。
pNPG5と配列番号22記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の20番目のリジンがグルタミン酸に置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M10)を取得した。
pNPG5と配列番号23記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の89番目のリジンがグルタミン酸に置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミドを取得した。更にこのプラスミドと配列番号24記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の89番目のリジンがグルタミン酸に、300番目のリジンがアルギニンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M11)を取得した。
pNPG5と配列番号25記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の246番目のグルタミンがヒスチジンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M12)を取得した。
pNPG5と配列番号26記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがセリンに、169番目のロイシンがセリンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M13)を取得した。
pNPG5と配列番号27記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがアラニンに、169番目のロイシンがアスパラギン酸に置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M14)を取得した。
pNPG5と配列番号66記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがセリンに、169番目のロイシンがグルタミン酸に置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M15)を取得した。
pNPG5と配列番号67記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがセリンに、169番目のロイシンがプロリンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M16)を取得した。
pNPG5と配列番号68記載の合成オリゴヌクレオチド及びこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、上記方法と同様にして配列番号2記載のアミノ酸配列の168番目のグルタミンがアラニンに、169番目のロイシンがグリシンに置換された変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素をコードする組換えプラスミド(pNPG5M17)を取得した。
pNPG5、pNPG5M1、pNPG5M2、pNPG5M3、pNPG5M4、pNPG5M5、pNPG5M6、pNPG5M7、pNPG5M8、pNPG5M9、pNPG5M10、pNPG5M11、pNPG5M12、pNPG5M13、pNPG5M14、pNPG5M15、pNPG5M16,pNPG5M17の各組換えプラスミドで大腸菌コンピテントセル(エシェリヒア・コリーJM109;東洋紡績製)を形質転換し、該形質転換体をそれぞれ取得した。
実施例2で得た組換えプラスミドpNPG5M1のDNA5μgを制限酵素BamHIおよびXHoI(東洋紡績製)で切断して、変異型PQQ依存性グルコース脱水素酵素の構造遺伝子部分を単離した。単離したDNAとBamHIおよびXHoIで切断したpTM33(1μg)とをT4DNAリガーゼ1単位で16℃、16時間反応させ、DNAを連結した。連結したDNAはエシェリヒア・コリDH5αのコンピテントセルを用いて形質転換を行った。得られた発現プラスミドをpNPG6M1と命名した。
pNPG5、pNPG5M2、pNPG5M3、pNPG5M4、pNPG5M5、pNPG5M6、pNPG5M7、pNPG5M8、pNPG5M9、pNPG5M10、pNPG5M11、pNPG5M12、pNPG5M13、pNPG5M14、pNPG5M15、pNPG5M16,pNPG5M17の各組換えプラスミドについても上記方法と同様にして発現プラスミドを取得した。得られた発現プラスミドそれぞれpNPG6、pNPG6M2、pNPG6M3、pNPG6M4、pNPG6M5、pNPG6M6、pNPG6M7、pNPG6M8、pNPG6M9、pNPG6M10、pNPG6M11、pNPG6M12、pNPG6M13、pNPG6M14、pNPG6M15、pNPG6M16,pNPG6M17と命名した。
シュードモナス・プチダTE3493(微工研寄12298号)をLBG培地(LB培地+0.3%グリセロール)で30℃、16時間培養し、遠心分離(12,000rpm、10分間)により菌体を回収し、この菌体に氷冷した300mMシュークロースを含む5mMK−リン酸緩衝液(pH7.0)8mlを加え、菌体を懸濁した。再度遠心分離(12,000rpm、10分間)により菌体を回収し、この菌体に氷冷した300mMシュークロースを含む5mMK−リン酸緩衝液(pH7.0)0.4mlを加え、菌体を懸濁した。
該懸濁液に実施例3で得た発現プラスミドpNPG6M1を0.5μg加え、エレクトロポレーション法により形質転換した。100μg/mlのストレプトマイシンを含むLB寒天培地に生育したコロニーより、目的とする形質転換体を得た。
pNPG6、pNPG6M2、pNPG6M3、pNPG6M4、pNPG6M5、pNPG6M6、pNPG6M7、pNPG6M8、pNPG6M9、pNPG6M10、pNPG6M11、pNPG6M12、pNPG6M13、pNPG6M14、pNPG6M15、pNPG6M16,pNPG6M17の各発現プラスミドについても上記方法と同様にして、該形質転換体をそれぞれ取得した。
GDH活性の測定方法
測定原理
D−グルコース+PMS+PQQGDH → D−グルコノ−1,5−ラクトン + PMS(red)
2PMS(red) + NTB → 2PMS + ジホルマザン
フェナジンメトサルフェート(PMS)(red)によるニトロテトラゾリウムブルー(NTB)の還元により形成されたジホルマザンの存在は、570nmで分光光度法により測定した。
単位の定義
1単位は、以下に記載の条件下で1分当たりジホルマザンを0.5ミリモル形成させるPQQGDHの酵素量をいう。
(3)方法
試薬
A.D−グルコース溶液:0.5M(0.9g D−グルコース(分子量180.16)/10ml H2O)
B.PIPES−NaOH緩衝液, pH6.5:50mM(60mLの水中に懸濁した1.51gのPIPES(分子量302.36)を、5N NaOHに溶解し、2.2mlの10% Triton X−100を加える。5N NaOHを用いて25℃でpHを6.5±0.05に調整し、水を加えて100mlとした。)
C.PMS溶液:3.0mM(9.19mgのフェナジンメトサルフェート(分子量817.65)/10mlH2O)
D.NTB溶液:6.6mM(53.96mgのニトロテトラゾリウムブルー(分子量817.65)/10mlH2O)
E.酵素希釈液:1mM CaCl2, 0.1% Triton X−100, 0.1% BSAを含む50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)
手順
遮光ビンに以下の反応混合物を調製し、氷上で貯蔵した(用時調製)
1.8ml D−グルコース溶液 (A)
24.6ml PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5) (B)
2.0ml PMS溶液 (C)
1.0ml NTB溶液 (D)
0.1mlの酵素溶液を加え、穏やかに反転して混合した。
570nmでの水に対する吸光度の増加を37℃に維持しながら分光光度計で4〜5分間記録し、曲線の初期直線部分からの1分当たりのΔODを計算した(ODテスト)。
同時に、酵素溶液に代えて酵素希釈液(E)加えることを除いては同一の方法を繰り返し、ブランク(ΔODブランク)を測定した。
アッセイの直前に氷冷した酵素希釈液(E)で酵素粉末を溶解し、同一の緩衝液で0.1−0.8U/mlに希釈した(該酵素の接着性のためにプラスチックチューブの使用が好ましい)。
計算
活性を以下の式を用いて計算する:
U/ml={ΔOD/min(ΔODテスト− ΔODブランク)×Vt×df}/(20.1×1.0×Vs)
U/mg=(U/ml)×1/C
Vt:総体積(3.1ml)
Vs:サンプル体積(1.0ml)
20.1:ジホルマザンの1/2ミリモル分子吸光係数
1.0:光路長(cm)
df:希釈係数
C:溶液中の酵素濃度(c mg/ml)
500mlのTerrific brothを2L容坂口フラスコに分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌濾過したストレプトマイシンを100μg/mlになるように添加した。この培地に100μg/mlのストレプトマイシンを含むPY培地で予め30℃、24時間培養したシュードモナス・プチダTE3493(pNPG6M1)の培養液を5ml接種し、30℃で40時間通気攪拌培養した。培養終了時のPQQ依存性グルコース脱水素酵素活性は、前記活性測定において、培養液1ml当たり約120U/mlであった。
上記菌体を遠心分離により集菌し、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した後、超音波処理により破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液をHiTrap−SP(アマシャム−ファルマシア)イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分離・精製した。次いで10mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)で透析した後に終濃度が1mMになるように塩化カルシウムを添加した。最後にHiTrap−DEAE(アマシャム−ファルマシア)イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分離・精製し、精製酵素標品を得た。本方法により得られた標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを示した。
pNPG6、pNPG6M2、pNPG6M3、pNPG6M4、pNPG6M5、pNPG6M6、pNPG6M7、pNPG6M8、pNPG6M9、pNPG6M10、pNPG6M11、pNPG6M12、pNPG6M13、pNPG6M14、pNPG6M15、pNPG6M16,pNPG6M17によるシュードモナス・プチダTE3493形質転換体についても上記方法と同様にして精製酵素標品を取得した。
このようにして取得した精製酵素を用いて性能を評価した。
上記の活性測定方法に従い、PQQGDHの活性を測定した。グルコースに対するKm値の測定は、上記活性測定方法の基質濃度を変化させて実施した。また、マルトースに対するKm値の測定は、上記活性測定方法のグルコース溶液をマルトース溶液に置き換え、グルコースに対するKm値の測定同様基質濃度を変化させて実施した。結果を表2A表2B、表6,表9及び表14に示す。
上記の活性測定方法に従い、PQQGDHの活性を測定した。グルコースを基質溶液とした場合の脱水素酵素活性値とマルトースを基質溶液とした場合の脱水素酵素活性値を測定し、グルコースを基質とした場合の測定値を100とした場合の相対値を求めた。マルトースを基質溶液とした場合の脱水素酵素活性に際しては、0.5Mのマルトース溶液を調製して活性測定に用いた。結果を表2A、表2B、表4、表5、表6、表8、表9、表11、表13及び表14に示す。
各種PQQGDHを酵素濃度5U/ml、緩衝液(1mM CaCl2、1μM PQQを含む10mM PIPES−NaOH(pH6.5)中で保存し、58℃で熱処理後の活性残存率を求めた。結果を表2A、表2B、表6、表9及び表14に示す。なお、熱処理を行なった時間は、表2Bの試験のみ30分間、その他の試験は20分間である。
0.22% Triton−X100を含む 50mMリン酸緩衝液(pH5.0〜8.0)、0.22% Triton−X100を含む50mM 酢酸緩衝液(pH3.0〜6.0)、0.22% Triton−X100を含む50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.0〜7.0)、0.22% Triton−X100を含む50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0〜9.0)中で酵素活性を測定した。結果を図1に示す。また、最も高い活性を示したpHを表2Aに示す。
0.45U/mlのQ76Kを含んだ下記反応試薬を調整した。
50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)
1mM CaCl2
0.22% Triton−X100
0.4mM PMS
0.26mM WST−1(水溶性テトラゾリウム塩、同仁化学研究所製)
下記に示すグルコース量の測定方法に従い、試料として精製水、100mg/dl標準液及びグルコース水溶液(600mg/dl)の10水準の希釈系列を測定し、直線性を確認した。
結果を図2に示した。
試料量3μlに試薬300μlを加え、試薬添加後2分後からの1分間における吸光度変化を求め、精製水及びグルコース100mg/dl標準液での2点検量線に基づき試料中のグルコース量を求めた。尚、測定装置は日立7150形自動分析装置を使用し、測定波長は、主波長480nmのみ、測定温度は37℃で実施した。
図2より、0−600mg/dlの範囲で良好な直線性が確認された。
0.45U/mlのQ76Kを含んだ下記反応試薬を調整した。
50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)
1mM CaCl2
0.22% Triton−X100
0.4mM PMS
0.26mM WST−1(同仁化学研究所製)
サンプルとしては100mg/dlまたは300mg/dlのグルコースをベースに0,120,240,360mg/dlのマルトースを上乗せした物を準備した。 上記、グルコース量の測定方法に従い、測定を実施した。
マルトースを含まない100mg/dlグルコース溶液と100とし、ベースに100mg/dlのグルコースを含むサンプルの測定値をそれぞれ相対評価した。同様にマルトースを含まない300mg/dlグルコース溶液と100とし、ベースに300mg/dlのグルコースを含むサンプルの測定値をそれぞれ相対評価した。結果を図3に示す。
Q76Kのマルトース作用性の確認同様にQ168Eを用いて作用性を評価した。酵素は、0.24U/mlの濃度で添加した。結果を図4に示す。
Q76Kのマルトース作用性の確認同様にQ168Vを用いて作用性を評価した。酵素は、0.35U/mlの濃度で添加した。結果を図5に示す。
Q76Kのマルトース作用性の確認同様にQ168Aを用いて作用性を評価した。酵素は、0.6U/mlの濃度で添加した。結果を図6に示す。
Q76Kのマルトース作用性の確認同様に野生型酵素を用いて作用性を評価した。酵素は、0.1U/mlの濃度で添加した。結果を図7に示す。
図3、図4、図5、図6、図7より、Q76K、Q76E、Q168V及びQ168Aは野生型酵素に比べ、マルトースに対する作用性が低下していることが確認された。
発現プラスミドpNPG5をテンプレートとして、PCR法により構造遺伝子中の167−169領域にランダム変異を導入した。PCR反応は表3に示す組成の溶液中で、98℃2分間、次に、98℃20秒間、60℃30秒間、及び72℃4分間を30サイクルの条件で行った。
マルトースに対する反応性の変化したクローンをLB培地(100μg/mlのアンピシリンと26μMのPQQを含む)5mlの分注された試験管で培養し、確認実験を行ったところ、マルトースに対する反応性の変化したクローンが多数得られた。
結果を表4に示す。
結果を表5に示す。
実施例5に記載の方法に準じて、Q168C、Q168D、Q168E,Q168F,Q168G,Q168H,Q168K,Q168L,Q168M,Q168N,Q168P、Q168R,Q168S,Q168T、Q168W、Q168Yの各変異体を調製した。各変異体の調製に使用したプライマーを表7に示す。また、調製した各変異体を用い、試験管培養にて調製した破砕液でマルトースに対する反応性を比較した結果を表8に示す。更に、各変異体からプラスミドを抽出し、実施例3並びに実施例4記載の方法に準じてシュードモナスを形質転換してホロ型酵素を発現し、精製酵素を取得して特性を評価した。結果を表9に示す。
実施例2に記載の方法に準じて、L169A,L169V,L169H、L169Y、L169K,L169D,L169S,L169N,L169G,L169Cの各変異体を調製した。各変異体の調製に使用したプライマーを表10に示す。また、調製した各変異体を用い、試験管培養にて調製した破砕液でマルトースに対する反応性を比較した結果を表11に示す。
実施例5に記載の方法に準じて、Q168A+L169A、Q168A+L169C、Q168A+L169E、Q168A+L169F、Q168A+L169H、Q168A+L169I、Q168A+L169K、Q168A+L169M、Q168A+L169N、Q168A+L169P、Q168A+L169Q、Q168A+L169R、Q168A+L169S、Q168A+L169T、Q168A+L169V、Q168A+L169W、Q168A+L169Yの各変異体を調製した。各変異体の調製に使用したプライマーを表12に示す。また、調製した各変異体を用い、試験管培養にて調製した破砕液でマルトースに対する反応性を比較した結果を表13に示す。更に、各変異体からプラスミドを抽出し、実施例3並びに実施例4記載の方法に準じてシュードモナスを形質転換してホロ型酵素を発現し、精製酵素を取得して特性を評価した。結果を表14に示す。
実施例2に記載の方法に準じて、A170C、A170D、A170E,A170F,A170G,A170H,A170K,A170L,A170M,A170N,A170P、A170R,A170S,A170T、A170W、A170Y,A170V,A170I,A170Qの各変異体を調製した。各変異体の調製にはフォワードプライマーとして配列番号69記載の合成オリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号69と相補的な合成オリゴヌクレオチド使用した。調製した変異ライブラリーをスクリーニングして目的の変異体を取得した。試験管培養にて調製した破砕液を用いてマルトースに対する反応性を比較した結果を表15に示す。
実施例2に記載の方法に準じて、E245C、E245D、E245A,E245F,E245G,E245H,E245K,E245L,E245M,E245N,E245P、E245R,E245S,E245T、E245W、E245Y,E245V,E245I,E245Qの各変異体を調製した。各変異体の調製にはフォワードプライマーとして配列番号70記載の合成オリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号70と相補的な合成オリゴヌクレオチド使用した。調製した変異ライブラリーをスクリーニングして目的の変異体を取得した。試験管培養にて調製した破砕液を用いてマルトースに対する反応性を比較した結果を表16に示す。
実施例2に記載の方法に準じて、N249C、N249D、N249A,N249F,N249G,N249H,N249K,N249L,N249M,N249E,N249P、N249R,N249S,N249T、N249W、N249V,N249I,N249Qの各変異体を調製した。各変異体の調製にはフォワードプライマーとして配列番号71記載の合成オリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号71と相補的な合成オリゴヌクレオチド使用した。調製した変異ライブラリーをスクリーニングして目的の変異体を取得した。試験管培養にて調製した破砕液を用いてマルトースに対する反応性を比較した結果を表17に示す。
実施例2に記載の方法に準じて、(Q168A+L169G+E245D)、(Q168A+L169P+E245D)の各変異体を調製した。各変異体の調製にはフォワードプライマーとして配列番号72記載の合成オリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号72と相補的な合成オリゴヌクレオチド使用した。また、鋳型DNAとしては実施例8で取得した(Q168A+L169G)または(Q168A+L169P)のplasmidを使用した。調製した変異体を、試験管培養にて調製した破砕液でマルトースに対する反応性を比較した結果を表18に示す。
Claims (8)
- 配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型のピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(PQQGDH)において、168位のグルタミン(Q)をアラニン(A)に、および、169位のロイシン(L)をプロリン(P)に、それぞれ置換した、改変型PQQGDH。
- 請求項1に記載の改変型PQQGDHをコードする遺伝子であって、配列番号2の塩基配列を有するDNAがコードするタンパク質の168位のグルタミン(Q)に該当するコドンをアラニン(A)に該当するコドンに、および、169位のロイシン(L)に該当するコドンをプロリン(P)に該当するコドンに、それぞれ置換した、改変型PQQGDHをコードする遺伝子。
- 請求項2に記載の遺伝子を含むベクター。
- 請求項3に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
- 請求項4に記載の形質転換体を培養することを特徴とする改変型PQQGDHの製造法。
- 請求項1に記載の改変型PQQGDHを含むグルコースアッセイキット。
- 請求項1に記載の改変型PQQGDHを含むグルコースセンサー。
- 請求項1に記載の改変型PQQGDHを含むグルコース測定方法。
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