JP4022085B2 - セルロース誘導体粒子及びその製造方法並びにそれを用いた化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシル基を有するセルロース誘導体粒子及びその製造方法並びにそれを用いた化粧料に関する。更に詳しくは、本発明は、形状が球形で親水性を有するセルロース誘導体粒子及びその製造方法、並びに、しっとり感を向上させるよう、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリーム状、ゲル状あるいは液体性状(総称して、液状と呼ぶ。)の剤型を有する化粧料は、水あるいはアルコールのような分散媒体に種々の化合物を配合した組成物であり、組成物の中には、配合した各々の化合物を分散する分散安定剤、性状を安定に維持する保形性能剤、保湿を調整する保湿剤として種々の高分子素材を用いている。
【0003】
現在、このような高分子素材には、セルロース、カルボキシメチルセルロース塩のような水溶性のセルロース誘導体や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等の合成高分子や、キサンタンガム、ヒアルロン酸塩のような天然高分子多糖類があり、このうち、天然由来という意味で理想的なのは天然高分子多糖類であるが、多くは水溶性であり、これらを配合した化粧料は、皮膚に塗布した際に特有のべたつき感を与えるものが多い。又、ものによっては天然抽出成分であるために非常に高価であり、更に、狂牛病の問題により動物由来の保湿成分は嫌われるようになっている。こうした背景から、水溶性高分子特有のべたつき感がない化粧料を提供し得るよう、比較的汎用な植物系の原料を分散安定剤、保形剤、保湿剤等として用いることが求められている。
【0004】
このような要求に関連して、特開平11−116427号には、球状粉末化したセルロース微粒子を化粧料に配合し、化粧料の使用時に、きしまず、さらさらした感触を持たせることを示している。又、特開平5−32519号公報には、天然セルロースを再生処理することなしに加水分解と物理的粉砕により得たセルロース粒子を必須成分として用い、従来の化粧料組成物よりも低い脂肪分率の組成でクリーム状あるいは乳液状の性状を達成できることを示している。更に、特開平5−178723号公報には、セルロースがヒドロキシ化された例を含む水溶性粘着剤により使用感を良好にすることを示している。
【0005】
一方、従来から知られている化粧料として、乳液、クリーム等に、タルク、酸化チタン、二酸化ケイ素等の無機粉体及びナイロンパウダー、ポリエチレン等の有機粉体等を配合し、べたつきを抑え、さらさらした感触を生じさせるものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−116427号に示すものは、さらさらした感触を持たせることを特徴とするため、保湿性がなく、しかも、中性であるため、安定的に分散させることができないという問題がある。又、特開平5−32519号公報に示すものは、粒径にバラツキがあるため、化粧料組成物の分散性が不十分になると共に組成によってはざらつき感を生じ、幅広い組成範囲で適用することができないという問題があり、しかも、セルロース素材に保湿性がない。更に、特開平5−178723号公報に示すものは、ヒドロキシル化されたセルロースに中性の官能基を導入しているため、電荷的反発がなく、安定的に分散させることができないという問題がある。更に又、感触改善効果が得られるよう、乳液、クリーム等に各種の粉体を配合する場合には、粉体同士が直接こすれあって重いきしみ感を生じる虞れがあり、特に、化粧水に配合した場合には感触改善効果が得られず、粉体の硬度によっては、粉体が皮膚に直接あたり、皮膚への刺激が強すぎて、痛みや不快感を生じるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、化粧料に、しっとり感とさらさら感を同時に与えるよう、形状が球形で親水性を有するセルロース誘導体粒子及びその製造方法並びにそれを用いた化粧料を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、セルロースに多価カルボン酸を導入し且つ形状を球形にしたセルロース誘導体粒子を見出し、更に、セルロース誘導体粒子を化粧料に配合した際には、親水性によるしっとり感と、球形によるさらさら感を同時に与え、更に、組成の分散安定性や化粧のノビを向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の請求項1に示すセルロース誘導体粒子は、セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換された構造を有し、且つ形状が球形であると共に、湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μm、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであり、セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持するよう多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したものであり、本発明の請求項2に示すセルロース誘導体粒子は、セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換され、且つ残ったカルボキシル基の一部又は全てがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し、形状が球形で水に不溶であり、セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持した状態で、多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したものであり、本発明の請求項3に示すセルロース誘導体粒子は、セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換され、且つ残ったカルボキシル基の一部又は全てがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し、形状が球形で水に不溶であると共に、湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μm、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであり、セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持するよう多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したものである。
【0010】
又、本発明のセルロース誘導体粒子は、請求項4〜6に示す如く、セルロース球状粒子を膨潤させる溶媒を用いること、
【数2】
円形度 = 円相当半径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
で示される円形度が0.9〜1.0であること、置換された多価カルボン酸が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸であることが好ましい。
【0011】
更に、本発明の請求項7に示すセルロース誘導体粒子の製造方法は、請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子を製造し得るよう、セルロース球状粒子をアルカリ置換してアルカリ含浸セルロースにすると共に湿潤させ、湿潤状態のアルカリ含浸セルロースに多価カルボン酸の酸無水物を加え、エステル結合を介してセルロース球状粒子のヒドロキシル基にカルボキシル基を導入するものである。
【0012】
更に又、本発明の請求項8に示すセルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子を配合するものであり、本発明の請求項9に示すセルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子の配合量を全組成に対して0.01〜25重量%にするものであり、本発明の請求項10に示すセルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子の配合量を全組成に対して0.01〜10重量%にし、且つ液状にするよう調合したものである。又、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、請求項11に示すごとく、スクラブ剤にするよう調合してもよい。
【0013】
このように、請求項1〜6のセルロース誘導体粒子によれば、セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てを多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換された構造を有するので、親水性を有することができる。ここで、セルロースのヒドロキシル基に対して、カルボキシル基を一つしか有していない一塩基性のカルボン酸を用いた場合には、親水性を有することができない。又、形状が球形であるので、皮膚に使用する製品に用いた場合にはさらさら感を有することができる。更に、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し且つ形状が球形で水に不溶であるので、pHを適切に調節して容易に製品化することができる。
【0014】
湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μmであること、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであること、円形度が0.9〜1.0であること、もしくは、置換された多価カルボン酸が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸であれば、皮膚に使用する製品に好適に用いることができる。
【0015】
請求項7のセロース誘導体粒子の製造方法の如く、セルロース球状粒子をアルカリ置換してアルカリ含浸セルロースにすると共に湿潤させ、湿潤状態のアルカリ含浸セルロースに多価カルボン酸の酸無水物を加え、エステル結合を介してセルロース球状粒子のヒドロキシル基にカルボキシル基を導入すると、セルロースのヒドロキシル基と酸無水物を適切に反応させて多価カルボン酸を導入したセルロース誘導体を確実に製造することができる。
【0016】
請求項8〜11のセルロース誘導体粒子を用いた化粧料によれば、セルロース誘導体を適切に配合するので、親水性によるしっとり感と、球形によるさらさら感を同時に備え、しかも、多価カルボン酸及び球形による電荷的反発を備えて組成を安定的に分散させることができ、且つ化粧のノビを向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセルロース誘導体粒子、及びセルロース誘導体粒子の製造方法並びに、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料を順に説明する。
【0018】
本発明のセルロース誘導体粒子は、平均粒子の直径が1〜1000μmセルロース球状粒子より、セルロースのヒドロキシル基の一部又は全てを多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換させた構造を有し、且つ形状が球形のものである。又、残ったカルボキシル基の一部又は全てがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し、形状が球形で水に不溶であってもよい。ここで、カルボキシル基を有する多価カルボン酸は、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸等であり、カルボキシル基を3つ以上有する三塩基性以上の多価カルボン酸でもよい。一方、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属は、水酸化物のアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることが好ましく、特に、水酸化ナトリウムによるナトリウム、水酸化カリウムによるカリウム、水酸化カルシウムによるカルシウム等がよい。
【0019】
又、セルロース誘導体粒子は、湿潤状態での平均粒子の直径が1〜1000μmの球形であり、好ましくは、3〜100μmの球形である。ここで、平均粒子径が1000μmより大きいものは、皮膚に使用する製品に用いた場合にはきしみ感を生じやすく、1μmより小さいものは、球状で製造することができない。なお、3〜100μmのものは好適な球状を示し、容易に製造することができる。
【0020】
更に、セルロース誘導体粒子は、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであり、好ましくは、0.5〜2.5meq/gである。ここで、カチオン交換基容量が3.0 meq/gより大きいものは球形を維持することができず、0.1 meq/gより小さいものはセルロースに多価カルボン酸を導入することができない。なお、0.5〜2.5meq/gのものは、適切な平均粒子径と同様に、好適な球状を示し、容易に製造することができる。
【0021】
更に又、セルロース誘導体粒子は、
【数3】
円形度 = 円相当半径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
で示される円形度が0.9〜1.0である。ここで、円形度は、Sysmex株式会社のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100により[数3]で算出されるものであり、円形度を、円相当径(実際に撮像された周囲長と同じ投影面積を持つ真円の直径)から算出された周囲長を実際に撮像された粒子の周囲長で割った値として定義し、真円で1になり、形状が複雑になるほど小さい値となる。このため、円形度は0.9以上の極めて球状性が高い粒子が好ましく、微粒子を水等に分散した分散体は、電荷的反発により、極めて安定的に分散しており、製品に使用した際には分散安定性、増粘効果、保湿能力を有する。なお、円形度が0.9より小さい場合には球形でなくなり、安定的な分散性を喪失すると共に、ざらつき感やきしみ感を生じる。
【0022】
又、セルロース誘導体粒子において、透明性を重視する場合には、透明性と関連性がある再生セルロース特有のII型結晶構造の結晶化度を0.3以下にすることが重要である。ここで、結晶性の評価は、広角X線回折法(理学電機(株)社製を使用)によりセルロースII型結晶性の分率(XI)として算出しており、セルロースII型結晶性の分率(XI)は、セルロース試料を錠剤に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6゜における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1とから下記の[数4]により求められるものである。
【0023】
【数4】
XI=h0/h1
【0024】
以上のように、セルロースのヒドロキシル基の一部又は全てを多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換された構造を有するので、親水性を有することができる。ここで、セルロースのヒドロキシル基に対して、カルボキシル基を一つしか有していない一塩基性のカルボン酸を用いた場合には、親水性を有することができない。又、形状が球形であるので、皮膚に使用する製品に用いた場合にはさらさら感を有することができる。更に、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し且つ形状が球形で水に不溶であるので、pHを適切に調節して容易に製品化することができる。
【0025】
又、湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μmであること、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであること、円形度が0.9〜1.0であること、もしくは、置換された多価カルボン酸が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸であれば、皮膚に使用する製品に好適に用いることができる。
【0026】
次に、セルロース誘導体粒子の製造方法について説明する。
【0027】
セルロース誘導体粒子の製造方法は、図1に示す如くフローで製造されており、前処理段階として、平均粒子の直径が1〜1000μmの乾燥セルロース球状粒子もしくは湿潤セルロース球状粒子(セルロース原料)をアルカリ置換しており、アルカリ置換は、乾燥セルロース球状粒子もしくは湿潤セルロース球状粒子を、濃度1〜50重量%、好ましくは10〜25重量%のアルカリ水溶液と、アセトン等の有機溶媒との混合溶媒に十分に浸漬し、室温〜100℃、好ましくは30〜50℃の処理温度で、0.5〜24時間、好ましくは1〜3時間処理する。アルカリ置換された後にはセルロース粒子を濾過して、湿った状態のままで次の反応に供する。ここで、アルカリ置換に用いるアルカリは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア等があげられ、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアが好ましい。なお、ピリジン、トリアルキルアミン、モルホリン類等の有機塩基は、反応が好適に進行せず、好ましくない。又、アルカリはセルロースのグルコース環ユニットに対して0.1〜100当量、好ましくは0.5〜6.0当量使用される。アルカリがこれより少ないと水酸基が多価カルボン酸で置換される割合が小さくなり、好ましくない。更に、部分的に、架橋されていてもよいし、セルロース粒子は、水素結合等の二次構造でその形状を保っているので、まったく架橋されてなくてもよい。
【0028】
乾燥セルロース球状粒子もしくは湿潤セルロース球状粒子を前処理段階で処理した後には、アルカリ置換されたセルロース(アルカリ含浸セルロース)を有機溶媒に浸漬し、多価カルボン酸無水物を滴下により添加し、室温〜100℃、好ましくは30〜50℃の反応温度で、1分〜1日程度、好ましくは30分〜3時間反応させる。ここで、多価カルボン酸無水物は無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水フタル酸、無水マロン酸、無水コハク酸、無水ドデシルコハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水マレイン酸等であって、グルコース環に存在する水酸基に対して0.1〜10倍当量、好ましくは0.3〜3倍当量を添加する。有機溶媒は、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性溶媒、第3ブチルアルコール等のプロトン性溶媒等である。又、多価カルボン酸無水物のセルロースへの導入は、カチオン交換容量0.1〜3.0meq/gと制御でき、しかも高い割合で導入することができる。更に、上述したアルカリ水溶液との混合溶媒も使用でき、その場合、有機溶媒と水溶液との混合比は0.2〜50:1、好ましくは、15〜25:1が望ましい。更に又、膨潤性向上のためにセルロースの分子間水素結合を切断するような塩化リチウム、尿素等の物質を添加してもよい。又、多価カルボン酸無水物は非プロトン性の有機溶媒に溶解して滴下させることが望ましい。
【0029】
反応後には、生成物を、有機溶媒、塩酸、硫酸等の鉱酸等の酸、水によって洗浄し、ろ取等により、湿潤状態での平均粒子の直径が1〜1000μmであるセルロース誘導体粒子(カルボキシル化セルロース)を単離する。この際、金属塩化されたセルロース誘導体粒子を得ることが目的であれば、塩酸、硫酸等の鉱酸等の酸等で洗浄する必要はない。
【0030】
生成物を洗浄した後には、セルロース誘導体粒子(カルボキシル化セルロース)を、濃度0.005〜2モル、好ましくは、0.01〜0.2モルの希薄アルカリ溶液で置換することにより、金属塩化されたセルロース誘導体粒子(図1ではカルボキシルNa塩化セルロース)を得ることができる。ここで、希薄アルカリ水溶液の濃度を変化させることにより、部分的に金属塩化することも、用途によって選択できる。カルボキシル基を部分的にもしくは全部分、金属塩化させることにより、粒子のpHを酸性から中性、アルカリ性に変化させることも可能となる。又、pH調製を目的として、イオン交換容量の異なる粒子を混合してもかまわない。更に、アルカリは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等がよい。
【0031】
セルロース誘導体粒子もしくは、金属塩化されたセルロース誘導体粒子を得た後には、上記に示した、フロー式粒子像分析装置により算出される円形度や、広角X線回折法を用いた結晶性の評価で、セルロース誘導体粒子の状態を確認してもよい。
【0032】
以上のように、セロース誘導体粒子の製造方法の如く、セルロース球状粒子をアルカリ置換してアルカリ含浸セルロースにすると共に湿潤させ、湿潤状態のアルカリ含浸セルロースに多価カルボン酸の酸無水物を加え、エステル結合を介してセルロース球状粒子のヒドロキシル基にカルボキシル基を導入するものであると、セルロースのヒドロキシル基と酸無水物を適切に反応させて多価カルボン酸を導入したセルロース誘導体を確実に製造することができる。
【0033】
続いて、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料を説明する。
【0034】
セルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、上記の製造方法によって得られた、平均粒子が直径15μm以下のセルロース誘導体粒子を全組成に対して0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜20重量%で配合し、通常の製造方法により、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状の形態で調合される。ここで、化粧料は、基礎化粧料、メークアップ化粧料、制汗剤、紫外線保護材、美爪料、医薬品、医薬部外品等であり、セルロース誘導体粒子の配合量が全組成に対して0.01重量より小さい場合は、保湿性が低下し、25重量%より大きい場合は、粘度が高くなって皮膚に塗布しづらくなる。なお、0.05〜20重量%で配合した場合には、保湿性のしっとり感と共にさらさら感を好適に備え、更に皮膚への塗布(使用時のノビ)を極めて良好にすることができる。
【0035】
又、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、上記の製造方法によって得られた、平均粒子が直径15μm以下のセルロース誘導体粒子を全組成に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%で配合し、通常の製造方法により液状の形態で調合される。ここで、化粧料は、化粧水、美容液、乳液、医薬品、医薬部外品等であり、セルロース誘導体粒子の配合量が全組成に0.01重量%より小さい場合は、保湿効果が低下し、10重量%より大きい場合は液中組成の分散性が悪くなる。なお、0.05〜5重量%で配合した場合には、保湿性のしっとり感と共にさらさら感を好適に備え、更に、極めて安定的な分散性を備えることができる。
【0036】
更に、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料は、上記の製造方法によって得られた、平均粒子が直径15μmより大きいセルロース誘導体粒子を、0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%で配合し、通常の製造方法により、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状の形態でスクラブ剤に調合される。ここで、スクラブ剤の化粧料は、ピーリング用化粧料や、洗顔フォーム、クレンジング、石けん、頭髪用化粧品(シャンプー、リンス)等の洗浄用化粧料や、医薬品、医薬部外品等であり、セルロース誘導体粒子の配合量が全組成に対して0.1重量%より小さい場合は、スクラブ剤としての機能が弱く、25重量%より大きい場合は、粘度が高くなって皮膚に塗布しづらくなる。なお、0.5〜20重量%で配合した場合には、保湿性のしっとり感と共にさらさら感を好適に備え、更に、皮膚への塗布(使用時のノビ)を極めて良好にすることができる。
【0037】
更に又、セルロース誘導体粒子は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。又、セルロール誘導体粒子のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えばセルロール誘導体粒子以外の粉体、水溶性アルコール類、界面活性剤、粘度調整剤、油分、シリコーン類、pH調整剤、アミノ酸類、抗炎症剤、一重項酸素消去剤又は抗酸化剤、紫外線吸収剤、美白剤、血行促進剤、ビタミン、皮脂抑制剤、制汗剤、収斂剤、防腐剤、金属キレート剤、香料、色素等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して配合することができる。
【0038】
以下、化粧料に用いる、セルロール誘導体粒子のほかの具体的な成分を示すと、前記粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えばケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、チタン被覆雲母、ベンガラ、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン、ゼオライト、カーボンブラック等の無機粉末;ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体等の各種樹脂粉体、あるいはこれらの2種以上からなる共重合樹脂粉体;多糖類、ウール、シルク等の有機粉末;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色204号、黄色401号、青色404号等の有機顔料粉末;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等からなる顔料粉末;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の金属石鹸等を挙げることができる。これらの粉体は、メチルハイドロジェンメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルポリシロキサン等によるシリコーン処理;パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルコール等によるフッ素処理;N−アシルグルタミン酸等によるアミノ酸処理;レシチン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、アルキルリン酸エステル処理等の表面処理を行ったものを用いることもできる。又、これらの粉体を2種以上複合したものを用いることもできる。
【0039】
水溶性アルコール類としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3−プロパンジオール、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン分解糖還元アルコール、ソルビット、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられる。これらのうち、特にグリセリン、1、3−ブチレングリコール、1、3−プロパンジオールが好ましい。又、これらのアルコールを2種以上複合したものを用いることもできる。
【0040】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれをも好適に使用することができる。これらのうち、非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤としては、例えば直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、アルキル基又はアルケニル基を有するα−スルホ脂肪酸塩又はエステル、アシル基及び遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキル基又はアルケニル基を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤としては、例えばアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するイミダゾリン系両性界面活性剤、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系又はアミドスルホベタイン系両性界面活性剤等が挙げられる。ここで、これらの界面活性剤を配合する場合には、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0043】
粘度調整剤としては、例えばキサンタンガム、カチオン化セルロース、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、イオターカラギーナン、ラムダーカラギーナン、プルラン、キクラゲ、ガティガム、トレハロース、寒天、特開昭64−10997号公報記載の酸性ヘテロ多糖類等の多糖類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のビニルポリマー類;キトサンプルランエマルジョン、アクリル酸アルキル共重合エマルジョン等のエマルジョン系;可溶性コラーゲン、加水分解エラスチン、シルク抽出液等のポリペプタイド系;分子量20000〜4000000のポリエチレングリコール;その他ゼラチン、トラガントガム、ペクチン、マンナン、ローカストビンガム、ガラクタン、アラビアガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、クインスシード、ソアギーナ、カゼイン、アルブミン、ポリビニルメチルエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アガロース、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガム等が挙げられる。
【0044】
油分としては、特に制限されず、例えば固体状もしくは液体状パラフィン、ワセリン、クリスタルオイル、セレシン、オゾケライト、モンタンロウ、スクワラン、スクワレン等の炭化水素類;ユーカリ油、硬化パーム油、ココヤシ油、ハッカ油、月見草油、ミツロウ、ツバキ油、アーモンド油、カカオ油、ヒマシ油、ゴマ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、アボガド油、牛脂、豚脂、馬脂、卵黄脂、オリーブ油、カルナウバロウ、ラノリン、水添ラノリン、ホホバ油;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、16−ヒドロキシパルミチン酸セチル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアリル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジ−パラメトキシケイヒ酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ペンタエリスリトールテトラエステル、グリセリントリエステル、グリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステル等のエステル油;ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸、ラウリン酸、ベヘニン酸及びこれら脂肪酸のアルキル基にヒドロキシ基を持つヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;ベンジルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、フェニルエチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、2−ヘキシルデカノール等の高級アルコール;リン脂質、天然抽出のスフィンゴシン誘導体及びその合成物(例えばグルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド、セラミド等)等を挙げることができ、これらは1種以上を用いることができる。ここで、これら油分を配合する場合には、乳化、マイクロエマルション化、ゲル化、可溶化できる範囲で用いるのが好ましく、全組成中に0.001〜60重量%、特に30重量%以下配合するのが好ましい。
【0045】
シリコーン類としては、通常化粧料に配合されるものであれば特に制限されず、例えばオクタメチルポリシロキサン、テトラデカメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンのほか、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のメチルポリシクロシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、更には、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル変性シリコーン、オキサゾリル変性シリコーン、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、特開平6−72851号公報記載の特定の変性オルガノポリシロキサン等の変性シリコーン等を挙げることができる。
【0046】
pH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、尿素、ε−アミノカプロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、乳酸、コハク酸、酒石酸等の有機酸類、グリシンベタイン、リジンベタイン等のベタイン類等が挙げられる。本発明の化粧料は、pH2〜11、特にpH4〜8の領域とするのが好ましい。
【0047】
アミノ酸類としては、例えばグリシン、セリン、シスチン、アラニン、トレオニン、システイン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、チロシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン等の中性アミノ酸;アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸等の酸性アミノ酸;アルギニン、ヒスチジン、リジン等の塩基性アミノ酸;又、ベタインやアミノ酸誘導体として、例えばアシルサルコシン及びその塩、アシルグルタミン酸及びその塩、アシル−β−アラニン及びその塩、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸及びその塩;グルタチン、カルノシン、グラムシギンS、チロシジンA、チロシジンB等のオリゴペプチド、特開平6−228023号公報記載のグアニジン誘導体及びその塩等が挙げられる。ここで、これらのアミノ酸類を配合する場合には、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、全組成中に0.001〜30重量%、特に0.01〜5重量%配合するのが好ましい。
【0048】
抗炎症剤としては、例えばグリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、イプシロンアミノカプロン酸及びその塩、アラントイン、塩化リゾチーム、グアイアズレン、サリチル酸メチル、γ−オリザノール、ビサボロール等が挙げられ、これらのうち、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、イプシロンアミノカプロン酸が好ましい。ここで、これらの抗炎症剤を配合する場合には、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、全組成中に0.001〜5重量%、特に0.01〜2重量%配合するのが好ましい。
【0049】
一重項酸素消去剤又は抗酸化剤としては、例えばα−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、リコピン、クリブトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、イソゼアキサンチン、ロドキサンチン、カプサンチン、クロセチン等のカロチノイド;1、4−ジアザシクロオクタン、2、5−ジメチルフラン、2−メチルフラン、2、5−ジフェニルフラン、1、3−ジフェニルイソベンゾフラン、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、d−トコフェロール、ヒスチジン、トリプトファン、メチオニン、L−シスチン、L−システイン、アラニン又はそのアルキルエステル;ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、タンニン酸、エピカテキン、エピカロカテキン、エピカテキンガレート、エピカロカテキンガレート等のタンニン類、ルチン等のフラボノイド;スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ等の酵素類;エンジュ、ペラルミン、プラトニン、カプサイシン、黄ゴンエキス等が挙げられる。これらのうち、カロチン、トコフェロール、アスコルビン酸、タンニン酸、エピカテキンガレート、エピカロカテキンガレートが好ましい。ここで、これらの一重項酸素消去剤又は抗酸化剤を配合する場合には、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、全組成中に0.001〜5重量%、特に0.01〜2重量%配合することが好ましい。
【0050】
以上のように、セルロース誘導体粒子を用いた化粧料によれば、セルロース誘導体粒子を適切に配合するので、親水性によるしっとり感と、球形によるさらさら感を同時に備え、しかも、多価カルボン酸及び球形による電荷的反発を備えて組成を安定的に分散させることができ、且つ化粧のノビを向上させることができる。
【0051】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、下記実施例により限定されるものではない。又原料として真球状のセルロース粒子を使用しているが、原料のセルロース球状粒子の製造方法は特定のものに限定されるものではない。本発明では、保湿剤として使用されるセルロース誘導体粒子の製造例を以下に示す。
〔製造例〕
原料のセルロース球状粒子の製造方法は、特開昭62−246935記載の製造法に示す如く、第一工程でビスコースの微粒子分散液を生成し、第二工程でセルロースの微粒子を生成し、第三工程でセルロースの微粒子を母液から分離し、篩い分けされた真球状のセルロース球状粒子を得るものである(平均粒径5μmあるいは100μm)。
【0052】
5μmのセルロース球状粒子を用いたカルボキシル化セルロース球状粒子(セルロース誘導体粒子)の製造例を示す。
〔実施例1〕
(1)コハク酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径5μm)を分散させ、50℃で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水コハク酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、コハク酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のコハク酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを、未処理のセルロース球状粒子と比較すると、図2に示す如く、FT−IRスペクトルには、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られ、多価カルボン酸のコハク酸が導入されたことが明らかである。
イオン交換容量 2.15meq/g
【0053】
〔実施例2〕
(2)グルタル酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径5μm)を分散させ、50℃で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、グルタル酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のコハク酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図3に示す如く、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られる。
イオン交換容量 1.84meq/g
【0054】
100μmのセルロース球状粒子を用いたカルボキシル化セルロース球状粒子(セルロース誘導体粒子)の製造例を示す。
〔実施例3〕
(1)前処理温度50℃でのコハク酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径100μm)を分散させ、室温で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水コハク酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、コハク酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のコハク酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図4に示す如く、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られた。
イオン交換容量 1.45meq/g(逆滴定法により算出)
【0055】
〔実施例4〕
(2)前処理温度が室温でのコハク酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径100μm)を分散させ、50で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水コハク酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、グルタル酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のコハク酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図5に示す如く、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られた。
イオン交換容量 1.79meq/g(逆滴定法により算出)
【0056】
〔実施例5〕
(3)前処理温度50℃でのグルタル酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径100μm)を分散させ、室温で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水グルタル酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、グルタル酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のグルタル酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図6に示す如く、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られた。
イオン交換容量 1.27meq/g(逆滴定法により算出)
【0057】
〔実施例6〕
(4)前処理温度が室温でのグルタル酸セルロース球状粒子
アセトン/KOH(グルコース残基に対して2倍当量)/水(アセトン:水=20:10)溶液中に、セルロース球状粒子(平均粒径100μm)を分散させ、50℃で2時間かき混ぜた。引き続き、アセトンに溶解させた2倍当量の無水グルタル酸溶液を0.5時間かけて滴下し、滴下終了後、24時間かき混ぜた。反応終了後、粒子をろ取し、アセトン、水、アセトンで洗浄し、更に希塩酸で洗浄し、又水に置換し、グルタル酸セルロース球状粒子を得た。得られた乾燥後のグルタル酸セルロース球状粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図7に示す如く、1740cm−1付近にカルボキシル基のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収が見られた。
イオン交換容量 1.42meq/g(逆滴定法により算出)
【0058】
次に、実施例1〜6のカルボキシル化セルロース(セルロース誘導体粒子)を金属塩化、ナトリウム塩化させるために、各粒子と当量の水酸化ナトリウムを加え、1時間かき混ぜた。ろ取を行い、蒸留水で洗浄した。球状の多価カルボン酸金属塩化セルロース粒子の製造例を以下に示す。
【0059】
〔実施例7〕
実施例1記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると、図8に示す如く、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0060】
〔実施例8〕
実施例2記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると(図示せず)、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0061】
〔実施例9〕
実施例3記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると(図示せず)、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0062】
〔実施例10〕
実施例4記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると(図示せず)、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0063】
〔実施例11〕
実施例5記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると(図示せず)、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0064】
〔実施例12〕
実施例6記載の粒子に0.01M水酸化ナトリウムを実施例1記載の粒子のイオン交換容量と当量加え、ろ取し、水で洗浄した。乾燥後の粒子のFT−IRスペクトルを測定すると(図示せず)、1740cm−1付近にエステル部位のカルボニル基伸縮振動に由来するシャープな吸収と共に、1570cm−1付近にカルボアニオンに由来するシャープな吸収が見られた。
【0065】
〔実施例13〕
示差走査熱量計を用い、各粒子に水を少量添加し、水の熱的挙動により各粒子の保湿性に直接関係する水を束縛させる能力を調査した。又、比較例として、未処理セルロースを掲載した。図9に示すように、多価カルボン酸無水物は、未処理セルロース粒子に比較して、水の融点は、マイナス側にシフトし、ブロードになった。更に、ナトリウム塩化されたものは一層マイナス側にシフトした。これは、同様に、ヒアルロン酸のような吸水性樹脂にも見られるように、束縛する水の量が増大していることを示している。ちなみに、未処理セルロース粒子は−1.0℃、コハク酸セルロース粒子は−1.9℃、コハク酸ナリウム塩化セルロース粒子は−5.3℃、グルタル酸セルロース粒子は−1.3℃、グルタル酸ナリウムセルロース粒子は−4.8℃であった。
【0066】
〔実施例14〕
図10(a)に未処理セルロース粒子を、図10(b)にコハク酸セルロース粒子を、図10(c)にグルタル酸セルロース粒子を、夫々光学顕微鏡写真で示した。未処理セルロース粒子に比較して、球形が整っており、膨潤も見られることが明らかである。
【0067】
〔実施例15〕
コハク酸セルロース粒子、グルタル酸セルロース粒子、コハク酸ナトリウム塩化セルロース粒子、グルタル酸ナトリウム塩化セルロース粒子について円形度を測定した。コハク酸セルロース粒子は0.935、コハク酸ナトリウム塩化セルロース粒子は0.940、グルタル酸セルロース粒子は0.966、グルタル酸ナトリウム塩化セルロース粒子は0.966であり、いずれも0.9以上の高い円形度を示した。
【0068】
〔実施例16〕
結晶性の評価として、図11(a)に未処理セルロース粒子を、図11(b)にコハク酸セルロース粒子を、図11(c)にグルタル酸セルロース粒子を、図11(d)にコハク酸Na塩化セルロース粒子を、図11(e)にグルタル酸Na塩化セルロース粒子を、夫々、X線回折結果として示した。その結果、未処理セルロースの構造は、セルロースII型の高次構造であることが確認された(II型結晶化度XII=0.34)。それに対して多価カルボン酸セルロースの構造は、ピークがブロードになり、これはセルロースII型の高次構造を保っているものの結晶性はXII=0.30未満と低く、このことは多価カルボン酸セルロースの柔軟性に関与していることを示唆している。又Na塩化されたセルロース球状粒子の結晶性は更にピークがブロードになり、II型結晶化度もXII=0.25未満と低くなった。ちなみに、コハク酸セルロース粒子はXII=0.27、コハク酸Na塩化セルロース粒子はXII=0.21、グルタル酸セルロース粒子はXII=0.25、グルタル酸Na塩化セルロース粒子はXII=0.14であった。
【0069】
〔実施例17〕
示差熱天秤により水の蒸発速度を調べた。図12(a)にはグルタル酸セルロースと水のみを、図12(b)にはグルタル酸セルロースと未処理セルロースを、図12(c)にはグルタル酸Naセルロースとグルタル酸セルロースを示し、図13(a)にはコハク酸セルロースと水のみを、図13(b)にはコハク酸セルロースと未処理セルロースを、図13(c)にはコハク酸Naセルロースとコハク酸セルロースを示している。これにより、カルボキシル化セルロース粒子、カルボキシルナトリウム化セルロースは、未処理セルロースに比較して蒸発速度が遅く、乾きにくいという保湿性に優れたものであることが明らかである。
【0070】
〔実施例18〕
セルロース誘導体粒子(コハク酸セルロースビーズもしくはグルタル酸セルロースビーズ)を含む化粧水と、未処理セルロース球状粒子(未処理セルロースビーズ)を含む化粧水とを比較した。これにより夫々の化粧料を使用したときのノビ、べたつき感、しっとり感、さらさら感、及びさっぱり感を評価した。化粧水は常法により製造し、組成及び結果を[表1]に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
(評価方法)女性モニター25名により、化粧水を顔に塗布したときのノビ、べたつき感、しっとり感、さらさら感、及びさっぱり感を官能評価し、以下の基準で判定した。
○;半数以上が効果を認めた。
△;1/4以上半数未満が効果を認めた。
×;1/4以下が効果を認めた。
[表1]の結果から、セルロース誘導体粒子を含む化粧水は、未処理セルロース球状粒子を含む化粧水に比べて、ノビ、さらさら感は良好なままに、しっとり感が得られたことがわかる。又、さらさら感を重視するならば、グルタル酸誘導体化セルロースを含んだ化粧水よりもコハク酸誘導体化セルロースが一層好ましい。
【0073】
【発明の効果】
本発明のセルロース誘導体粒子及びその製造方法並びにそれを用いた化粧料によれば、下記の如き、種々の優れた効果を奏し得る。
【0074】
I)請求項1〜6のセルロース誘導体粒子によれば、セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てを多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換された構造を有するので、親水性を有することができる。又、形状が球形であるので、皮膚に使用する製品に用いた場合にはさらさら感を有することができる。更に、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し且つ形状が球形で水に不溶であるので、pHを適切に調節して容易に製品化することができる。
【0075】
II)湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μmであること、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであること、円形度が0.9〜1.0であること、もしくは、置換された多価カルボン酸が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸であれば、皮膚に使用する製品に好適に用いることができる。
【0076】
III)請求項7のセロース誘導体粒子の製造方法の如く、セルロース球状粒子をアルカリ置換してアルカリ含浸セルロースにすると共に湿潤させ、湿潤状態のアルカリ含浸セルロースに多価カルボン酸の酸無水物を加え、エステル結合を介してセルロース球状粒子のヒドロキシル基にカルボキシル基を導入すると、セルロースのヒドロキシル基と酸無水物を適切に反応させて多価カルボン酸を導入したセルロース誘導体を確実に製造することができる。
【0077】
IV)請求項8〜11のセルロース誘導体粒子を用いた化粧料によれば、セルロース誘導体粒子を適切に配合するので、親水性によるしっとり感と、球形によるさらさら感を同時に備え、しかも、多価カルボン酸及び球形による電荷的反発を備えて組成を安定的に分散させることができ、且つ化粧のノビを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態例におけるセルロース誘導体粒子の製造方法において、カルボキシル化セルロースもしくはカルボキシルNa塩化セルロースの製造過程を示すフローチャートである。
【図2】コハク酸セルロース球状粒子(5μm)と未処理セルロース球状粒子とを示すFT−IRスペクトルである。
【図3】グルタル酸セルロース球状粒子(5μm)を示すFT−IRスペクトルである。
【図4】コハク酸セルロース球状粒子(100μm、前処理温度:50℃)を示すFT−IRスペクトルである。
【図5】コハク酸セルロース球状粒子(100μm、前処理温度:室温)を示すFT−IRスペクトルである。
【図6】グルタル酸セルロース球状粒子(100μm、前処理温度:50℃)を示すFT−IRスペクトルである。
【図7】グルタル酸セルロース球状粒子(100μm、前処理温度:室温)を示すFT−IRスペクトルである。
【図8】コハク酸Na塩化セルロース球状粒子(5μm)を示すFT−IRスペクトルである。
【図9】カルボキシル化セルロース、カルボキシル塩化セルロース粒子及び未処理セルロース粒子の示差走査熱量計による束縛水の定量を示すプロット図である。
【図10】(a)に未処理セルロース粒子を、(b)にコハク酸セルロース粒子を、(c)にグルタル酸セルロース粒子を夫々示す光学顕微鏡写真である。
【図11】(a)に未処理セルロース粒子を、(b)にコハク酸セルロース粒子を、(c)にグルタル酸セルロース粒子を、(d)にコハク酸Na塩化セルロース粒子を、(e)にグルタル酸Na塩化セルロース粒子を夫々示すX線回折のプロット図である。
【図12】水の蒸発速度として(a)にグルタル酸セルロースと水のみを、(b)にグルタル酸セルロースと未処理セルロースを、(c)にグルタル酸Naセルロースとグルタル酸セルロースを夫々示す示差熱天秤のプロット図である。
【図13】水の蒸発速度として(a)にコハク酸セルロースと水のみを、(b)にコハク酸セルロースと未処理セルロースを、(c)にコハク酸Naセルロースとコハク酸セルロースを夫々示す示差熱天秤のプロット図である。
Claims (11)
- セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換された構造を有し、且つ形状が球形であると共に、湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μm、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであり、
セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持するよう多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したことを特徴とするセルロース誘導体粒子。 - セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換され、且つ残ったカルボキシル基の一部又は全てがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し、形状が球形で水に不溶であり、
セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持するよう多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したことを特徴とするセルロース誘導体粒子。 - セルロース球状粒子のヒドロキシル基の一部又は全てが多価カルボン酸のカルボキシル基とエステル結合によって置換され、且つ残ったカルボキシル基の一部又は全てがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属によって金属塩化された構造を有し、形状が球形で水に不溶であると共に、湿潤状態での平均粒子径が1〜1000μm、カチオン交換基容量が0.1〜3.0 meq/gであり、
セルロース球状粒子に多価カルボン酸の酸無水物を添加し、セルロース球状粒子の球形を維持するよう多価カルボン酸の酸無水物を反応させて製造したことを特徴とするセルロース誘導体粒子。 - セルロース球状粒子を膨潤させる溶媒を用いる請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子。
- 置換された多価カルボン酸が、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸である請求項1〜5のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子を製造し得るよう、セルロース球状粒子をアルカリ置換してアルカリ含浸セルロースにすると共に湿潤させ、湿潤状態のアルカリ含浸セルロースに多価カルボン酸の酸無水物を加え、エステル結合を介してセルロース球状粒子のヒドロキシル基にカルボキシル基を導入することを特徴とするセルロース誘導体粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子を配合することを特徴とするセルロース誘導体粒子を用いた化粧料。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子の配合量を全組成に対して0.01〜25重量%にすることを特徴とするセルロース誘導体粒子を用いた化粧料。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子の配合量を全組成に対して0.01〜10重量%にし、且つ液状にするよう調合したことを特徴とするセルロース誘導体粒子を用いた化粧料。
- スクラブ剤にするよう調合した請求項8〜10のいずれか1項記載のセルロース誘導体粒子を用いた化粧料。
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