JP4021746B2 - 電源装置用コイル部品の基板実装構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コイル部品を種々の電子機器用電源装置のプリント基板に取り付けて成る電源装置用コイル部品の基板実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特公平8−8180号公報
従来、電子機器の薄型化に伴いコイル部品も薄型のものが求められ、商品化されている。しかしながら、コイル部品自体を薄くしすぎると、所定の性能を得るために床面積が大きくならざるを得ない。このような課題を解決するため、例えば図6に示すように、基板1の所定位置に取付用透孔2が設けられ、取付用透孔2にコイル部品3が落とし込まれて設けられた基板実装構造があった。このコイル部品3は、ボビン4の軸に巻線5が巻き回され、ボビン4と巻線5の中心及び外側にコア6が取り付けられている。巻線5の各引出線5aは、ボビン4の両側に設けられた端子7に接続されている。端子7は、基板1の表側面1aに折り曲げられて重ねられ、基板1の表側面1aに所定形状に印刷された回路パターン8に接続されている。そして基板1は、所定位置にスル−ホール9が設けられて、基板1の表側面1aと裏側面1bの回路パターン8同士が電気的に接続されている。そして、基板1の表側面1aと裏側面1bに、各種の電子部品10,11が載置され回路パターン8に接続されている。
【0003】
また、その他に図7に示すように、基板1の取付用透孔2にコイル部品12が落とし込まれて設けられているものもある。このコイル部品12は、ブロック状のベース14が設けられ、ベース14には端子16,18がインサート成形されている。ベース14にはコア20が設けられ、コア20の周囲に巻線5が巻き回されている。巻線5の各引き出し線5aは、端子16,18に接続され、端子16,18は、基板1の裏側面1bで取付用透孔2に延出するとともに、基板1の裏側面1bに所定形状に印刷された回路パターン8に接続されている。
【0004】
また、製品の小型化に対応するため、できるだけ巻数を減少させ、作動周波数を高くするため、各巻線を分割して相互を重ね合わせたサンドイッチ構造にして、巻線間の結合係数を大きくする工夫がなされているものとして、特公平8−8108号公報に開示されている基板実装用小形変成器がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の図6、図7に示す技術の場合、端子は基板1の一方の面のみに複数本が設けられ、基板1の表裏面の電極端子の設置スペースを多く必要としていた。さらに、取り付け強度確保のために端子はあまり細くできず、一定の太さが必要である一方で、端子同士の絶縁を確保するためには、一定間隔を離すことが必要であった。従って、限られた実装スペースでは、端子の数を増やすことができず、高密度化の妨げとなっていた。さらに、基板1の表裏面の電子部品10,11に通電するためにスルーホール9が必要であり、スルーホール9の形成箇所には他の電子部品を実装することができず、小型化の妨げとなっていた。さらに、スルーホール9に大電流を流すことになり、発熱する恐れがあり、損失増加や信頼性の低下の恐れがあった。
【0006】
また、特公平8−8108号公報の基板実装用小形変成器の場合も、基板の片面にのみコイル巻線の引き出し線が接続されるため、端子のスペースを多く必要とし、スルーホールも必要とし上記と同様の問題がある。さらに、汎用的なプリント基板の銅箔厚は約100μm以下であるという制約により、基板コイルの等価直列抵抗が大きくなり、損失が増加し効率が低下するという問題もある。また、回路数を増やすには層数が多いプリント基板を採用する必要があるが、コストアップに繋がるものである。各層のコイルを直列接続して巻き数を増やす場合、直列接続のためにスルーホールが必要となり、上記と同様にスルーホールに大きな電流が流れることにより発熱する恐れがあり、損失増加や信頼性の低下の恐れがある。
【0007】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で信頼性が高く、小型化が容易に可能な電源装置用コイル部品の基板実装構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、所定形状の回路パターンが表裏面に設けられた絶縁性の基板と、上記基板の所定位置に形成された取付用透孔と、上記取付用透孔にゆとりを有して嵌合されるコイル部品とから成り、上記コイル部品は、各々複数の端子を備えた複数のボビンが上記基板の取付用透孔に挿入されて配置され、複数のコイル巻線の各引出線が上記取付用透孔に挿通されて上記ボビンの各端子に巻き付けられ、上記複数のボビンの各端子が上記取付用透孔の周囲の上記基板表裏の電極に各々接続されて固定され、上記複数のボビンのコイル巻線に上記基板表裏面側からE型コアが貫通し磁気結合して一つのコイル部品に形成されている電源装置用コイル部品の基板実装構造である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1,図2はこの発明の第一実施形態について説明したものであり、この実施形態の、電源装置用コイル部品の基板実装構造21は、絶縁性の基板22が設けられ、基板22の表側面22aと裏側面22bには、所定形状の回路パターン24が設けられている。
【0010】
基板22の所定位置には後述するコイル部品35が落とし込まれて取り付けられる矩形の取付用透孔26が形成されている。基板22の表側面22aには、取付用透孔26の一方の縁部26a近傍に、回路パターン24に接続された電極端子28が2個設けられている。取付用透孔26の縁部26aに対して対向する縁部26b近傍には、回路パターン24に接続された電極端子28が3個設けられている。さらに、基板22の裏側面22bにも同様に、取付用透孔26の縁部26a近傍に電極端子28が2個と、縁部26b近傍に電極端子28が3個設けられている。そして、基板22の取付用透孔26の、縁部26aの外側には、基板22を貫通するスルーホール30が設けられ、スルーホール30の内周面には導体が設けられて基板22の表側面22aと裏側面22bの回路パターン24を電気的に接続している。基板22の表側面22aと裏側面22bの所定位置には、各種の電子部品32,34がそれぞれ回路パターン24に接続されて取り付けられている。
【0011】
取付用透孔26の中には、コイル部品35が落とし込まれて設けられている。コイル部品35は、コイル巻線37が巻かれた空心コイル36が、複数個重ね合わされて筒状に設けられている。空心コイル36は、変形を防ぐために融着コイルでもよい。重ねられた空心コイル36の中心には、E型コア38が基板22の表裏から貫通して取り付けられている。E型コア38は、空心コイル36の中心軸方向に同形の一対を取り付け、互いに端面を接続させて設けられ、磁気結合して一つのコイル部品35を構成するようにしている。複数の空心コイル36の各引出線40は、所定の電極端子28に取付用透孔26を挿通して接続されている。電極端子28の接続は、ハンダ付け等適宜選択される。
【0012】
次に実装構造21の組立方法は、コイル部品35を、空心コイル23の軸方向が取付用透孔26挿通方向に一致させるように落とし込み、引出線40を取付用透孔26を経て電極端子28に接続した後、空心コイル36にE型コア38を取り付ける。または、空心コイル36にE型コア38を予め取り付けてから、引出線40を電極端子28に接続してもよい。さらに、E型コア38は、取付用透孔26の内周面に、接着剤42で適宜固定してもよい。
【0013】
この実施形態の実装構造21によれば、大きな電流がスルーホール30に流れないように、引出線40を、所定の電子部品32,34がある側の基板22の面に、取付用透孔26を挿通させて配置し、基板22の表側面22aと裏側面22bのいずれかの電極端子28を選択することができる。これにより、スルーホール30に空心コイル36からの大きな電流を流さなくても良く、スルーホール30での発熱を抑えてエネルギー損失を少なくし、信頼性が向上する。さらに、電極端子28の数を、片面のみの場合の約2倍に増やせるため、回路数が多い多機能トランスを小型の基板により実現することができる。例えば、一つのトランスで多くの出力を取り出すことが可能となり、容易に多出力電源装置を構成することができる。また、制御用の補助コイルを一体に多数設けることもできるので、回路部品の削減が可能となり、電源装置の小型化を図ることができる。
【0014】
次にこの発明の第二実施形について図3に基づいて説明する。ここで上記実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の実装構造44は、基板22の取付用透孔26に、コイル部品46が落とし込まれて取り付けられている。コイル部品46は、一対のボビン48,50が軸方向に並んで設けられ、ボビン48,50の軸にはコイル巻線37がそれぞれ巻き回されている。
【0015】
ボビン48,50の側方には、両側の側方へ突出した板状の複数の端子52が一体に設けられている。そして、ボビン48,50の外側には、コイル巻線37の引出線40が引き出され、取付用透孔26を挿通して各端子52に巻き回されて接続されている。各端子52は、基板22の表側面22a及び裏側面22bの回路パターン24の電極に各々接続されてハンダ付け等により固定されている。一対のボビン48,50は、軸方向に重ねられ、ボビン48,50の外側から、E型コア38が取り付けられている。E型コア38は、ボビン48,50の中心を貫通し、互いに端面を接続させて設けられ、磁気結合して一つのコイル部品46を構成するようにしている。
【0016】
この実施形態の実装構造44によっても、上記実施の形態と同様の効果を有し、小型化と薄型化が可能であり、また信頼性を向上させることができる。
【0017】
次にこの発明の第三実施形態について図4,図5に基づいて説明する。ここで上記実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の実装構造54は、基板22の取付用透孔26に、コイル部品56が落とし込まれて取り付けられている。コイル部品56は、平角線58で作られた空心コイル60が複数個重ねあわされて筒状に設けられている。重ねられた各空心コイル60の外側には、E型コア38が取り付けられている。E型コア38は、空心コイル60の中心軸方向に同形の一対を取り付け、互いに端面を接続させて設けられ、磁気結合して一つのコイル部品56を構成するようにしている。
【0018】
コイル部品56は、空心コイル60の軸方向を取付用透孔26の挿通方向に一致させて落とし込まれて設けられ、複数の空心コイル60の各引出線62は、所定の電極端子28に取付用透孔26を挿通して、スポット溶接等により接続されている。
【0019】
この実施形態の実装構造54によれば、平角線58のコイル60においても上記実施の形態と同様の効果を有し、小型化と薄型化が可能であり、また信頼性を向上させることができる。
【0020】
なお、この発明の電源装置用コイル部品の基板実装構造は、上記各実施の形態に限定されず、適宜変更可能である。コイル部品の巻線の素材、形状、コイルの数など自由に設定することができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明の電源装置用コイル部品の基板実装構造は、コイル部品の取付用透孔を挿通するようにして巻線の引出線が電極端子に取り付けられているので、スルーホールを経由せずに基板の反対側の電子部品にコイル巻線の引出線を接続することが可能であり、簡単な構造で、信頼性が高く、基板実装構造を薄型にすることもできる。さらに、基板に取り付ける電極端子の数を、片面のみの場合よりも多くすることができるため、回路数が多い多機能電源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の電源装置用コイル部品の基板実装構造の縦断面図である。
【図2】 この実施形態の電源装置用コイル部品の基板実装構造の平面図である。
【図3】 この発明の第二実施形態の電源装置用コイル部品の基板実装構造の縦断面図である。
【図4】 この発明の第三実施形態の電源装置用コイル部品の基板実装構造の縦断面図である。
【図5】 この実施形態の電源装置用コイル部品の基板実装構造の平面図である。
【図6】 従来の技術の電源装置用コイル部品の基板実装構造の縦断面図である。
【図7】 従来の技術の電源装置用コイル部品の基板実装構造の縦断面図である。
【符号の説明】
21 基板実装構造
22 基板
24 回路パターン
26 取付用透孔
28 電極端子
30 スルーホール
32,34 電子部品
35 コイル部品
36 空心コイル
37 コイル巻線
38 E型コア
40 引出線
Claims (1)
- 所定形状の回路パターンが表裏面に設けられた絶縁性の基板と、上記基板の所定位置に形成された取付用透孔と、上記取付用透孔にゆとりを有して嵌合されるコイル部品とから成り、上記コイル部品は、各々複数の端子を備えた複数のボビンが上記基板の取付用透孔に挿入されて配置され、複数のコイル巻線の各引出線が上記取付用透孔に挿通されて上記ボビンの各端子に巻き付けられ、上記複数のボビンの各端子が上記取付用透孔の周囲の上記基板表裏の電極に各々接続されて固定され、上記複数のボビンのコイル巻線に上記基板表裏面側からE型コアが貫通し磁気結合して閉磁路を形成し、一つのコイル部品に形成されていることを特徴とする電源装置用コイル部品の基板実装構造。
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