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JP4020758B2 - 車両用回転電機 - Google Patents

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JP4020758B2
JP4020758B2 JP2002329248A JP2002329248A JP4020758B2 JP 4020758 B2 JP4020758 B2 JP 4020758B2 JP 2002329248 A JP2002329248 A JP 2002329248A JP 2002329248 A JP2002329248 A JP 2002329248A JP 4020758 B2 JP4020758 B2 JP 4020758B2
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    • H02K1/243Rotor cores with salient poles ; Variable reluctance rotors of the claw-pole type
    • HELECTRICITY
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    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
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  • Power Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、界磁巻線を有する車両用の回転電機、特に発電機、または、発電電動機の騒音低減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される交流発電機、または、交流発電電動機の回転子磁極が生成する磁界は完全な正弦波でなく、高調波を含む波形を有するものである。また、電機子巻線に流れる発電電流による磁界も高調波を含んでおり、高調波を含む両磁束の相互作用により、回転子である界磁鉄心の磁極と固定子である電機子鉄心との間に磁気吸引力が発生し、吸引力中の高調波成分が電磁振動を発生させて騒音、いわゆる電磁音を発生させる。また、磁束の高調波成分は発電電動機を電動機として機能させたときのトルクリップルや、発電機として機能させたときの出力リップルを生成し、特性を悪化させる。
【0003】
従来の車両用回転電機では特許文献1の図14または図17に示されているように、回転子の磁極が固定子との空隙面から見た場合、略台形の形状とされており、磁極の反対面も先端から根元にかけて徐々に厚みが厚くなるように傾斜が設けられ、スキューの効果を利用して回転子が作る磁場の高調波成分を小さくするように考慮されている。しかし、このような形状は製造が容易ではなく、形状を単純化するためには可能な限り傾斜の部分を排除し、回転軸に対して平行な直線状の形状とするのが望ましい。
【0004】
このような要求に対して例えば特許文献1に示されたような技術が開示されている。この文献に開示された技術は、回転子の磁極を軸方向に複数の部位を有する階段状に形成すると共に、それぞれの部位を回転方向に異なる幅に設定することにより、相隣る磁極間隙間の中心線間の回転方向ピッチが軸方向に階段状に変化するようにし、この各回転方向ピッチを特定範囲に設定したものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−218395号公報(第4〜5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように階段状に形成された磁極においては、回転子が生成する高調波が略台型の磁極の場合より大きくなる傾向にあるため高調波の低減が必要となる。そのために、上記の文献では回転子が作る第五次と第七次との高調波の合成が第三次の高調波であるとして軸方向に階段状に変化する磁極間隙間の中心線間の回転方向ピッチを設定している。しかし、本来発生する第三次の高調波は、第五と第七次の高調波を波高値が1/nであるとしての合成値に対する対応では低減しきれるものでなく、波高値の最も高い第三次高調波に対して直接の低減対策を考慮する必要がある。
【0007】
また、階段状に形成された磁極では、略台型状に形成された従来の磁極と比較すると、磁極先端部における質量が大きくなる傾向にあるため、遠心力により磁極の根元に働く応力が大きくなり、高速回転時において磁極部の変形など機械的な信頼性が損なわれる可能性も大きくなるものであった。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、騒音となり得る高調波成分の加振力を低減することにより、性能低下を伴うことなく、効果的に電磁音、トルクリップル、出力リップルの発生を抑制すると共に、機械的な信頼性の低下を防止することが可能であり、生産性に優れた車載用回転電機を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる車両用回転電機は、電機子鉄心に巻装された多相の電機子巻線を有する固定子と、電機子鉄心の内径側に空隙を介して配設され、回転軸と共に回転する一対の界磁鉄心を有する回転子と、界磁鉄心を磁化する界磁巻線とを備え、一対の界磁鉄心はそれぞれが回転軸の軸方向に延長されて所定のクリアランスDcを介して交互に噛み合うように配列された磁極を有しており、磁極の回転方向の巾が、先端に至るほど順次小さくなる階段状に形成されると共に、相隣る磁極間のクリアランスDcが電気角にて50°〜70°の間に設定されるようにしたものである。
【0010】
また、磁極の回転方向の巾が先端側に狭い多段構成とされ、それぞれの磁極巾を電気角でDa群とDb群とするとき、それぞれの磁極巾Da群とDb群が、
(206−Dc)°≦Da≦(226−Dc)°
(134−Dc)°≦Db≦(154−Dc)°
の範囲内に設定されるようにしたものである。
【0011】
さらに、電機子鉄心の電機子巻線を巻装するためのスロットの数が毎極毎相2であり、各スロットのオープンピッチを不等ピッチとしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1ないし図3は、この発明の実施の形態1による車両用回転電機を説明するもので、図1は車両用回転電機の全体構成断面図の一例、図2は回転子鉄心の磁極形状の展開図で、磁極形状が二段構成の場合を示し、図3は磁極間クリアランスに対する第三次高調波の基本波に対する割合、すなわち、第三次高調波含有率を示す特性図である。
【0013】
図1において、車両用回転電機は固定子1と回転子2とから構成され、固定子1は電機子巻線4を有する電機子鉄心3と、電機子鉄心3を両側から挟持するフロントブラケット5およびリヤブラケット6と、後述する回転子に電流を供給するブラシ構成体7などから構成され、電機子巻線4は多相交流に対応する巻線となっている。また、回転子2はプーリ8を有する回転軸9と、この回転軸9に固定され、回転軸9の軸方向に延長された爪状の磁極10aと11aとが所定のクリアランスを介して噛み合うように配列された界磁鉄心10および11と、この界磁鉄心10および11を磁化するように巻回された界磁巻線12と、界磁巻線12に界磁電流を供給するためのスリップリング13とから構成されている。
【0014】
界磁鉄心10および11に設けられる爪状の磁極10aと11aとは図2のように形成される。N極の磁極とS極の磁極とは同一形状であり、所定の磁極間クリアランスDcを介して噛み合うように配設され、図2の二段構成の磁極では根元側の磁極巾がDaであり、先端側の磁極巾がDbである。従って電気角で表せば、Da+Db+2Dc=360°になる。
【0015】
回転子2の回転により発生する高調波の内、空間第三次高調波は主として磁気飽和と、回転子2の磁極間クリアランス高調波と、回転子2の起磁力高調波との三種類であり、これらが固定子1の起磁力高調波や電機子鉄心3のスロット高調波との相互作用により電磁加振力(振動・騒音)とトルクリップルと発電出力リップルなどを発生する。この空間第三次高調波は理論上、磁極巾DaとDbとが任意の値であっても磁極間クリアランスDcを所定値近辺に設定することにより低減することができる。
【0016】
図3は、このような空間第三次高調波の基本波に対する割合を、磁極間クリアランスDc(電気角)に対して示した特性図であり、磁極巾Da(電気角)をパラメータとして表したものである。このように磁極巾Daに対して第三次高調波含有率は様々な値を取るが、磁極間クリアランスDcが電気角で60°のとき最低値となる。電磁加振力を低減するためには第三次高調波含有率を10%以下に抑制するのが望ましいが、これには磁極間クリアランスDcの値を、
50°≦Dc≦70° ・・・・・・・・(1)
に設定すれば達成でき、これにより空間第三次高調波が抑制されて振動と騒音とトルクリップルと発電出力リップルとを低減することができる。
【0017】
実施の形態2.
図4は、空間第五次高調波含有率を示す特性図であり、この実施の形態においては空間第五次高調波の低減を図るものである。回転子2の空間第五次高調波は電機子鉄心3のスロット高調波との相互作用により、空間第三次高調波の次に電磁加振力やトルクリップルなどに影響するものであり、空間第三次高調波と共に低減を図る必要がある。
【0018】
実施の形態1にて示した図2のような二段構成の磁極において、空間第五次高調波含有率は磁極10aおよび11aの磁極巾により図4のように変化する。図2における磁極巾DaおよびDbに対して空間第五次高調波を低減するための磁極巾は、
(206°−Dc)≦Da≦(226°−Dc) ・・・(2)
(134°−Dc)≦Db≦(154°−Dc) ・・・(3)
により表され、磁極間クリアランスDcが電気角にて60°である場合、磁極巾Daを電気角で146°〜166°の間に設定し、磁極巾Dbを電気角で74°〜94°の間に設定すればよい。
【0019】
図4の特性から、磁極巾DaとDbとの巾を上記の範囲内とすることにより、空間第五次高調波の基本波に対する含有率を10%以下とすることができる。すなわち、実施の形態1の結果と合わせ、磁極間クリアランスDcの値を電気角で約60°とし、磁極巾Daと磁極巾Dbとの値を上記(2)式と(3)式の範囲内とすることにより、空間第三次高調波と空間第五次高調波とを抑制して振動と騒音とトルクリップルと発電出力リップルとを低減することが可能になるものである。
【0020】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による車両用回転電機に使用する磁極の展開図であり、この実施の形態は、図に示すように磁極形状を多段構成にしたものである。実施の形態1で示した図2の二段構成において、磁極間クリアランスDcを磁極の全長に亘って一定とするためにはN極の段部とS極の段部とが軸方向において同一位置となるため、実施の形態2で示したDaとDbとの各値を(2)式と(3)式の範囲内において最小値近辺に設定しないと段部においては隣接する磁極との距離が小さくなり、磁極間の漏れ磁束が増加する。この漏れ磁束の増加は発電機または電動機として機能する場合に性能低下につながるものである。
【0021】
そのために、この実施の形態では磁極形状を多段構成にし、磁極10aと11aの各磁極巾Dを根元側から順次狭めながら実施の形態2で説明した磁極巾DaとDbの範囲内になるように設定するものである。例えば、四段構成の場合、根元側の二段をDaの範囲内、先端側の二段をDbの範囲内に設定して四段構成とするもので、各磁極巾をDa1 , a2、Db1 , Db2とすると、Da1 , Da2、Db1 , Db2とを
(206°−Dc)≦Da1 , Da2≦(226°−Dc) ・・・(4)
(134°−Dc)≦Db1 , Db2≦(154°−Dc) ・・・(5)
とし、各磁極の巾を(4)式と(5)式の範囲内に設定するものである。そして磁極間クリアランスDcは電気角で60°±10°とする。
【0022】
このように設定することにより、実施の形態2の場合と同様に、空間第三次高調波と空間第五次高調波とを抑制して振動と騒音とトルクリップルと発電出力リップルとを低減することが可能になると共に、磁極間の漏れ磁束を低減して発電機または電動機としての性能を維持または向上することができ、効率の良い回転電機とすることができるものである。
【0023】
実施の形態4.
図6と図7とは、この発明の実施の形態4における回転子鉄心の磁極形状を示すもので、この実施の形態は、実施の形態3と同様に漏れ磁束を低減するための磁極形状に関するものである。図6は磁極10aおよび11aの先端部の角部に面取り状の削除部10bおよび11bを設けたものである。磁極の先端部は相手磁極の図示しない円板部と接近するため、このように角部を面取り状に削除することにより漏れ磁束を低減して回転電機の性能を向上することができる。また、図示しないが、磁極巾が変化する段部の角を同様に面取り状に削除することにより、実施の形態3と同様に漏れ磁束を低減することができる。なお、先端部と段部以外の磁極形状は実施の形態1〜3にて説明したものが使用される。
【0024】
図7は、段部における漏れ磁束を低減するために、段部に回転軸の軸方向に磁極巾が変化する傾斜部10cおよび11cを設けるようにしたものである。このように形成することにより段部における隣接する相手磁極との距離が充分に大きくなり、漏れ磁束を低減して回転電機の性能を向上することができる。なお、傾斜部10cと11cとの間の回転方向距離をDcの値としておくことにより空間第三次高調波の低減については実施の形態1と同様の効果が得られ、傾斜部10cおよび11cの一部において磁極巾DaとDbとが実施の形態2の範囲から外れるが、磁極10aおよび11aの全長に対して僅かであり、空間第五次高調波の低減に対しても効果は充分に確保できる。
【0025】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5による車両用回転電機の回転子の構成を示す斜視図であり、この実施の形態による回転子は、階段状に形成された磁極先端部の質量増大に伴う遠心力による応力増大を防止するものである。図8において、回転子2の回転軸9には実施の形態1にて説明した図1の場合と同様に、界磁鉄心10および11が設けられ、界磁鉄心10および11には図8には図示しない界磁巻線が巻回されると共に、この界磁巻線に界磁電流を供給するスリップリング13が設けられている。
【0026】
界磁鉄心10および11には実施の形態1ないし実施の形態4にて説明した爪状の磁極10aと11aとが設けられており、磁極10aの少なくとも先端部外周にはリング状の結合部材14aが嵌着され、また、磁極11aの先端側にも結合部材14bが嵌着されている。そして、二段構成、または、多段構成に形成された、磁極10aと磁極11aとの間には空間第三次高調波を低減するための磁極間クリアランスDcが設けられているが、この磁極間クリアランスには図8に示すように磁化方向の厚さがほぼDcの永久磁石15が設けられている。
【0027】
結合部材14aと14bとは、例えば、薄い非磁性鋼のリングを磁極10aと11aとの外周に圧入などにより固定してもよいし、磁性体の薄いリングを圧入固定してもよい。また、相隣る磁極間が機械的に連結される方法でもよい。磁極10aと11aとを回転軸9と平行な直線状に構成した場合、先端部の質量が増加して遠心力による応力が増大するが、このように構成することにより結合部材14aと14bとが応力の一部を分担し、高速回転時における磁極の変形など、機械的なトラブルを防止することができ、信頼性の高い回転子が得られる。
【0028】
また、磁極間クリアランスに永久磁石15を設けるようにした場合、結合部材14aと14bとに磁性体を使用した場合においても結合部材14aと14bとにより増加する漏れ磁束を補償することができ、永久磁石15による磁束を結合部材14aと14bとを磁気飽和させ得る値以上に選定することにより、車両用回転電機の性能を向上させることも可能になるものである。なお、永久磁石15は当接する磁極とは同一極性に磁化される。
【0029】
実施の形態6.
図9と図10とはこの発明の実施の形態6による車両用回転電機を説明する電機子鉄心3の展開図である。実施の形態1および2において、回転子2の高調波が電機子鉄心3のスロット高調波との相互作用により、電磁加振力やトルクリップルなどに影響することを説明したが、この電機子鉄心3のスロット高調波を低減することによっても電磁加振力やトルクリップルの低減が可能になる。
【0030】
このために、図9は電機子鉄心3のティース3aの回転子2と対向する部分の巾を一例として一スロット毎に交互に異ならせ、スロットのオープンピッチを不等ピッチにしたものである。このように構成することにより、回転子2の高調波低減効果と相俟って電磁加振力やトルクリップルを効果的に低減することができるものである。また、図10は、毎極毎相のスロット数を二とした固定子において、ティース3aの回転子2と対向する部分の幅を変えることによりスロットのオープンピッチを27.5°と32.5°の不等ピッチにした例を示し、この構成により固定子1側の空間第五次高調波を低減することができ、回転子2の空間第五次高調波との相互作用を低減して電磁加振力を低下させることができるものである。なお、オープンピッチ32.5°を隔てたスロットには同一相の巻線が巻装され、オープンピッチ27.5°を隔てたスロットには異なる相の巻線が巻装され、各相の電機子巻線は千鳥結線される。
【0031】
実施の形態7.
上記の実施の形態6により固定子1の空間第五次高調波が低減し、回転子2の空間第五次高調波との相互作用が低減した場合、空間第五次高調波による影響が少なくなるため、回転子2側としては空間第七次高調波を低減して総合的な電磁加振力の低減を図ることができる。実施の形態1で説明した図2の二段構成の磁極において空間第七次高調波を低減するための磁極巾は、
(195.7°−Dc)≦Da≦(215.7°−Dc) ・・(6)
(144.3°−Dc)≦Db≦(164.3°−Dc) ・・(7)
として表される。
【0032】
磁極間クリアランスDcが電気角にて60°の場合、磁極巾Daは電気角で135.7°〜155.7°の間となり、磁極巾Dbは電気角で84.3°〜104.3°の間となる。このように磁極巾を選定し、電機子鉄心3のスロットピッチを実施の形態6に基づき選定することにより空間第三次高調波から空間第七次高調波までを有効に低減して電磁加振力の少ない車両用回転電機を得ることができることになる。
【0033】
また、実施の形態3にて説明したように上記の構成において、段部における隣接する磁極間の漏れ磁束を低減するためには、実施の形態3と同様に磁極を多段構成とし、それぞれの磁極巾を、例えば、電気角でDa範囲内およびDbの範囲内に選定すればよい。すなわち、各磁極巾をDa群およびDb群とするとき、この磁極巾Da群とDb群
(195.7°−Dc)≦Da≦(215.7°−Dc) ・・(8)
(144.3°−Dc)≦Db≦(164.3°−Dc) ・・(9)
とし、各磁極の巾を(8)式と(9)式の範囲内に設定することにより、振動や騒音、および、トルクリップルなどを低減しながら磁極間の漏れ磁束を抑制し、効率の良い回転電機とすることができる。
【0034】
実施の形態8.
図11ないし図13はこの発明の実施の形態8による車両用回転電機を説明する回転子の構成図であり、図11は、磁極10aおよび11aの径方向の厚さを階段状に変化させるようにしたものである。上記したように従来の磁極はその断面が図11(a)に示すように先端部ほど直線的に薄くなるように形成されている。そのために高速回転時の遠心力に対しては有利であるが、実施の形態5で説明した漏れ磁束抑制用の永久磁石15を設けた場合、永久磁石15を生産性の良好な矩形形状としたときには図(a)に示すように永久磁石15が磁極の側面からはみ出し、永久磁石15の面積全てを有効に使用することができない。
【0035】
本発明の特徴である二段構成または多段構成の磁極では生産を容易なものとするために、回転軸に対して平行な直線状の形状とすることを基本としているが、図11の(b)に示すように、例えば二段構成の磁極の場合、段部またはその近辺において直線状に磁極の厚みを変え、先端側の内径を拡径することは容易である。このように形成することにより、永久磁石15が矩形であっても全面積を有効に使用して漏れ磁束を抑制することができると共に、永久磁石15の有無に関わらず高速回転時の遠心力に対しても有利な構成とすることができる。
【0036】
また、図12に示すように二段構成(多段構成)にした磁極10aおよび11aの内径側の先端部を面取り状に角部の削除を行うことにより、例えば、磁極10aの先端部から異磁極となる界磁鉄心11の円板部に対する漏れ磁束が抑制でき、回転電機の性能を向上させることができる。さらに、図13に示すように、二段構成にした磁極10aおよび11aの内径の先端側に永久磁石16を介在させることにより、例えば、磁極10aの先端部から界磁鉄心11の円板部に対する漏れ磁束をほとんど無くすることもでき、回転電機の性能を向上させることができるものである。なお、永久磁石16は磁極との当接部が当接する磁極と同一極性に磁化される。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明の車両用回転電機において、請求項1に記載の発明によれば、多相の電機子巻線を有する固定子と、一対の界磁鉄心を有する回転子と、界磁鉄心を磁化する界磁巻線とを備えたものにおいて、一対の界磁鉄心はそれぞれが回転軸の軸方向に延長されて所定のクリアランスを介して交互に噛み合う磁極を有し、磁極の回転方向の巾が先端に至るほど順次小さくなる階段状に形成され、相隣る磁極間のクリアランスが電気角にて50°〜70°の間に設定されるようにしたので、直線状に形成されて生産性の高い磁極を有する回転子において、第三次高調波が有効に抑制され、第三次高調波が起因となる振動と騒音とトルクリップルと発電出力リップルとを低減することが可能になるものである。
【0038】
また、請求項2以降の発明において、多段構成された磁極の回転方向の巾を所定値に設定するようにし、さらに、電機子鉄心のスロットのオープンピッチを不等ピッチとなるように構成したので、第五次高調波や第七次高調波も低減することができ、これらの高調波が起因となる振動と騒音とトルクリップルと発電出力リップルとを総合的に低減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による車両用回転電機の全体構成説明図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による車両用回転電機の磁極形状を示す展開図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による車両用回転電機の第三次高調波含有率の説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態2による車両用回転電機の第五次高調波含有率の説明図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による車両用回転電機の磁極形状を示す展開図である。
【図6】 この発明の実施の形態4による車両用回転電機の回転子鉄心の磁極形状説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態4による車両用回転電機の回転子鉄心の磁極形状説明図である。
【図8】 この発明の実施の形態5による車両用回転電機の回転子の構成を示す斜視図である。
【図9】 この発明の実施の形態6による車両用回転電機の電機子鉄心の展開図である。
【図10】 この発明の実施の形態6による車両用回転電機の電機子鉄心の展開図である。
【図11】 この発明の実施の形態8による車両用回転電機を説明する回転子の構成図である。
【図12】 この発明の実施の形態8による車両用回転電機を説明する回転子の構成図である。
【図13】 この発明の実施の形態8による車両用回転電機を説明する回転子の構成図である。
【符号の説明】
1 固定子、2 回転子、3 電機子鉄心、4 電機子巻線、
9 回転軸、10、11 界磁鉄心、10a、11a 界磁巻線、
12 界磁巻線、14a、14b 結合部材、15、16 永久磁石。

Claims (14)

  1. 電機子鉄心に巻装された多相の電機子巻線を有する固定子、前記電機子鉄心の内径側に空隙を介して配設され、回転軸と共に回転する一対の界磁鉄心を有する回転子、前記界磁鉄心を磁化する界磁巻線を備え、前記一対の界磁鉄心はそれぞれが前記回転軸の軸方向に延長されて所定のクリアランスDcを介して交互に噛み合うように配列された磁極を有しており、前記磁極の回転方向の巾が、先端に至るほど順次小さくなる階段状に形成されると共に、相隣る磁極間の前記クリアランスDcが電気角にて50°〜70°の間に設定された車両用回転電機。
  2. 階段状に形成された前記磁極の回転方向の巾が先端側に狭い二段構成とされ、広い側の磁極巾を電気角でDa、狭い側の磁極巾を電気角でDbとするとき、磁極巾Daと磁極巾Dbとが、
    (206−Dc)°≦Da≦(226−Dc)°
    (134−Dc)°≦Db≦(154−Dc)°
    の範囲に設定された請求項1に記載の車両用回転電機。
  3. 階段状に形成された前記磁極の回転方向の巾が先端側に狭い多段構成とされ、それぞれの磁極巾を電気角でDa群とDb群とするとき、それぞれの磁極巾Da群とDb群が、
    (206−Dc)°≦Da≦(226−Dc)°
    (134−Dc)°≦Db≦(154−Dc)°
    の範囲内に設定された請求項1に記載の車両用回転電機。
  4. 階段状に形成された前記磁極の、段部の角および先端部の角が、面取り状に削除されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  5. 階段状に形成された前記磁極の磁極巾の異なる各部位間に、前記回転軸の軸方向に磁極巾が変化する傾斜部を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  6. 前記磁極の少なくとも先端部外周に、リング状の結合部材が嵌着されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  7. 相隣る前記磁極間に磁化された永久磁石が介在されており、前記結合部材が前記永久磁石の磁束により磁気飽和している請求項6に記載の車両用回転電機。
  8. 前記電機子鉄心は前記電機子巻線を巻装するスロットを有しており、このスロット数が毎極毎相2であり、各スロット間のオープンピッチが不等ピッチである請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  9. 隣り合う同相の巻線が挿入されるスロット間のオープンピッチが電気角にて32.5°、隣り合う異相の巻線が挿入されるスロット間のオープンピッチが電気角にて27.5°である請求項8に記載の車両用回転電機。
  10. 階段状に形成された前記磁極の回転方向の巾が先端側に狭い二段構成とされ、広い側の磁極巾を電気角でDa、狭い側の磁極巾を電気角でDbとするとき、磁極巾Daと磁極巾Dbとが、
    (195.7−Dc)°≦Da≦(215.7−Dc)°
    (144.3−Dc)°≦Db≦(164.3−Dc)°
    の範囲に設定された請求項9に記載の車両用回転電機。
  11. 階段状に形成された前記磁極の回転方向の巾が先端側に狭い多段構成とされ、それぞれの磁極巾を電気角でDa群とDb群とするとき、それぞれの磁極巾Da群とDb群が
    (195.7−Dc)°≦Da≦(215.7−Dc)°
    (144.3−Dc)°≦Db≦(164.3−Dc)°
    の範囲内に設定された請求項9に記載の車両用回転電機。
  12. 階段状に形成された前記磁極の内径側に、前記階段状の段部とほぼ同位置に、先端側が拡径となる段部が設けられた請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  13. 前記磁極の先端部内径側の角部が、面取り状に削除されている請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の車両用回転電機。
  14. 前記磁極の内径に設けられた前記段部の最先端側内面に、永久磁石が装着された請求項12に記載の車両用回転電機。
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