JP4019746B2 - 反射体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネルやAVディスプレイ等に用いる反射体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機、PDA、屋外の大型ディスプレイなど表示装置の需要は拡大している。そのなかでも、省電力で画像を表示できる、反射型の液晶ディスプレイ(表示装置)が注目されている。この反射型の液晶ディスプレイは、裏面に反射体を配置したり、電極を反射体として用いることにより、入射した光を液晶層の方向に反射させ、所望の画像を表示するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
明るい画像を表示するためには、反射率の高い反射体が要望されており、特に、表示のカラー化が進む中で、さらに明るいものが要求されている。光の利用効率を向上させるために、反射光を特定の方向に、例えばユーザの方向に集めることが重要であり、そのために、反射面の形状(反射形状)に工夫を凝らしている。例えば、反射形状として指向性のある、1つの凹面または凸面を最小単位とした形状を採用し、この反射形状、さらには反射形状に相似する形状の集合体(反射形状群)を反射面の全体に配置している。そして、そのような反射形状をさらに最適化することにより、光の利用効率を向上することができる。さらには、視野角を広げたり、視野角を狭めたりといった特性も得ることができる。
【0004】
複数の反射形状を備えた反射体を作成(製造)する場合、反射体の全面を対象として反射形状を適当に配置することが可能である。すなわち、反射体の全面を1つの面として、そこに配置される反射形状の空間分布データを作成する。反射形状が規則的に配置されると、それによる回折光により反射光にむらができ、表示される画像の質が劣化する。したがって、反射形状は、規則性がなくランダムに配置することが望ましい。反射体の全面を対象として反射形状をランダムに配置することにより、規則性の少ない反射面を作成することが可能である。その一方で、反射面全体を対象に反射形状を配置するので、取り扱うデータ量は膨大となる。特に、画面のサイズが大きく、あるいは反射形状のサイズが小さくなると、取り扱うデータ量は増大し、1つの反射面の空間分布データを作成するために膨大な時間が必要となる。
【0005】
これに対し、反射面を、ある単位領域(面積)を占める単位セルに分割し、その単位セルの単位で、反射形状をランダムに配置し、その単位セルで反射面を覆うことによっても反射体の表面(反射面)に反射形状をほぼランダムに配置できる。この方法であると、反射形状を配置する対象の面積が限られるので、空間分布データを作成する際のデータ量は非常に小さくできる。その反面、単位セルの境界において、反射形状が不連続となり、その部分においては光の利用効率が低下する。
【0006】
反射形状が単位セルの境界を跨いであるいは食み出して配置されないように単位セル毎の空間分布データを求めることも可能である。図11に、その一例を示してある。反射体の反射面21は単位セル90を隣接して配置することにより形成され、あるいは覆われており、各々の単位セル90の枠91の内部に反射形状28がランダムに配置されている。したがって、単位セル90の枠91の内部の反射形状28の配置を決定する空間分布データφを形成することにより、反射面21にほぼランダムに反射体28を配置することができる。そして、破線で示す枠91を跨いで反射形状28を配置しないことにより、反射形状28が不連続になることを防止でき、反射形状28の性能が喪失されないようにすることができる。
【0007】
図12に、空間分布データφを作成する一例をフローチャートにより示してある。このプロセスでは、図13に示すように、単位セル90の枠91として、X方向のサイズがL(原点からの位置がXMAX)、Y方向のサイズがL(原点からの位置がYMAX)の方形を設定し、その内部に半径cの円形23の反射形状28を配置している。先ず、ステップ151で、単位セル90の枠91の内側となるX座標、すなわち、(0〜XMAX−1)の範囲で、反射形状28となる円23の中心pのx座標をランダムに発生する。次いで、ステップ152で円23の全体がセル90の枠91の内側に入るか否かを確認する。このため、円23のxの座標が、枠91のX座標の一方の端である原点(0,0)から半径cより大きく、他方の端である(XMAX−1)から半径cより小さい範囲、すなわち、L−2cの範囲のものを選択する。この範囲に入らない場合は、反射形状28が枠91の内部に収まらないので、ステップ151に戻り、新たな座標を発生させる。
【0008】
X座標の確認ができると、同様に、ステップ153で、枠91の内側となるY座標、すなわち、(0〜YMAX−1)の範囲で、円23の中心pのy座標を乱数で発生する。次に、ステップ154で、枠91のY座標の一方の端である原点(0,0)から半径cより大きく、他方の端である(YMAX−1)から半径c、すなわち、L−2cより小さい範囲のものを選択する。
【0009】
このようにして、発生させた(x,y)の座標が、それを中心として円23を描いたときに円23が枠91に入るか否かを確認できる。そして、枠91の内部に円23が入る場合は、さらに、ステップ155で、円23が既存の円、すなわち、すでに反射形状28として空間分布データφに含まれた円23と重ならないことを確認する。重ならない場合は、さらに、ステップ156で、円23の内部の形状を示す、反射形状28の深さデータ(z座標)を入れて、1つの反射形状28のデータとして単位セル90の空間分布データφに加える。
【0010】
ステップ157で、これらの工程を所定の数だけ繰り返して反射形状28が枠91の内部に所定の密度でほぼ配置されると、単位セル90の空間分布データφが完成する。このようにして得られた、単位セル90毎の空間分布データφを反射面21に割り付けることにより、1つの反射体の全面に反射形状を配置することができる。
【0011】
このように作成された反射体の面21は、反射形状28が不連続にならないので、その点では光の利用効率は高い。しかしながら、枠91の周辺に中心を持つ反射形状28がないので、枠91に沿った空間Sにおける反射形状28の充填率は小さく、その部分では所望の方向に光を反射させることができない。したがって、反射形状28の全体の配置密度(充填率)は下がってしまい、その点では光の利用効率が低下する。それに加えて、枠91の周辺では、所望の方向に反射あるいは配光される光量が枠91の中心部に比べると減るので、暗い領域となり、それが例えば格子状にユーザの目に認識される可能性がある。したがって、単位セル90を繰り返し用いて全体の反射形状を配置したのでは、表示品質が低下する可能性がある。
【0012】
そこで、本発明では、単位セルを用いた空間分布データの計算量を低減できる方法で、さらに、光の利用効率が高く、明暗のパターンが発生することのない反射体を提供することを目的としている。そして、カラー画像を表示するのに適した、さらに明るく鮮明な画像を表示することができる表示装置を提供することも本発明の目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、単位セルの枠内に反射形状を配置する際に、枠内に収まる反射形状(第1の反射形状群)と、枠から食み出す反射形状(第2の反射形状群)とに分けてデータを作成し、枠から食み出す反射形状については、隣接配置される他の単位セルの第2の反射形状群と組み合わせることにより、連続して1つの反射形状になるようにしている。これにより、枠の境界部分の反射形状が損なわれることなく、反射形状の充填度も向上することができる。
【0014】
すなわち、本発明の反射体は、凹状または凸状の複数の反射形状が枠の内側に配置された単位セルを有し、複数の単位セルが隣接して配置されている反射体であって、単位セルは、反射形状が全て枠の内側に入る第1の反射形状群と、反射形状の一部が枠から食み出す第2の反射形状群とを備えており、第2の反射形状群の反射形状は、隣接して配置された他の単位セルの第2の反射形状群の反射形状に連続して繋がるように配置されていることを特徴としている。
【0015】
この反射体であれば、単位セルを隣接配置して反射面を多くすることにより、反射形状を反射面全体に、単位セル同士の境界も含めて高密度で配置することが可能となり、さらに、個々の反射形状も維持できる。したがって、反射体全体の光の利用効率が高くなり、反射むらが生じるのも防止できる。このため、本発明の反射体と、この反射体が裏面に配置される液晶パネルなどの表示体とを組み合わせて表示装置を構成することにより、明るく鮮明な画像を表示できる表示装置を提供できる。また、単位セルという限られた面積で反射形状を配置する空間分布データを生成すればよいので、短時間に低コストで光の利用効率の高い本発明の反射体を製造することができる。
【0016】
さらに、空間分布データの量を削減し、発生された理想的な反射形状が残るようにするには、第1および第2の反射形状群の各反射形状は互いに重ならずに配置することが望ましい。
【0017】
本発明の反射体は、枠を備えた単位セルの内側に、反射形状の全体が枠の内側に入るように第1の反射形状群を配置する第1の工程と、反射形状の一部が枠から食み出すように第2の反射形状群を配置し、この第2の反射形状群の反射形状と、隣接して配置される他の単位セルの第2の反射形状群の反射形状とが連続して繋がるようにする第2の工程と、複数の単位セルを並べてこの反射体を覆う第3の工程とを有する製造方法により製造できる。
【0018】
このような反射形状を備えた単位セルの空間分布データは、反射形状の全体が枠の内側に入るように第1の反射形状群を配置する第1の工程と、反射形状の一部が枠から食み出すように第2の反射形状群を配置し、この第2の反射形状群の反射形状と、隣接して配置される他の単位セルの第2の反射形状群の反射形状とが連続して繋がるようにする第2の工程とを実行する命令を有するプログラムにより作成できる。
【0019】
例えば、上記の本発明のプログラムにおいて、単位セルの枠は一辺の長さがLの方形で、反射形状は開口が半径Cの円とする。その際に、第1の工程では、枠の内部にこの枠と同心の一辺の長さがL−2Cの第1の仮想枠を設定し、その第1の仮想枠の内部に反射形状の中心が入るものを第1の反射形状群の反射形状として配置する。そして、第2の工程では、枠の外にこの枠と同心の一辺の長さがL+2Cの第2の仮想枠を設定し、第1の仮想枠と枠との間に反射形状の中心が入るものを第2の反射形状群の反射形状とし、第1の仮想枠と第2の仮想枠との間の共役な位置に反射形状を配置する。このような処理を繰り返し行い、枠内に反射形状が十分に充填され、単位セルのデータが生成できる。
【0020】
この製造方法あるいはプログラムにおいても、第1の反射形状群の反射形状は、他の単位セルから独立しているので、反射形状をランダムに配置することは容易であり、これにより可干渉性の配置を防止し、それによるモアレを防ぐことができ、表示品質の高い反射体を提供できる。
【0021】
したがって、単位セルの第1の反射形状群がランダムとなるので、近距離あるいは短周期の可干渉性はなくなり、同じ単位セルを並べることによっても干渉性の不具合を抑制しながら光の反射方向が整った、光の利用効率の高い反射体を提供できる。さらには、隣接する各単位セル毎に、枠から食み出る第2の反射形状群の配置は共通にしておき、第1の反射形状群の反射形状の配置を異なるようにして、長周期の可干渉性の低い反射体を提供することも可能である。また、方形の単位セルの向きを変えて配置することにより長周期の可干渉性を低減することも可能である。
【0022】
第2の反射形状群の配置が同一の単位セルを隣接して配置するために、ある1辺から食み出した第2の反射形状群を、配置するときに共役となる他の辺、すなわち、単位セルを配置するときに対峙することになる辺を境にして連続して繋がるように割り付けることができる。単位セルが方形で、それを回転させずに配置するのであれば、単位セルを配置するときに対峙する2つの辺は、単位セルの対向あるいは対峙する2つの辺になり、それらから食み出す第2の反射形状群の反射形状を、これら2つの辺を境にして連続して繋がるように配置すれば良い。すなわち、共役な位置は線対称な位置となる。一方、180度回転して配置するのであれば、配置するときに対峙する辺は、同じく単位セルの対向する2つの辺となるが、共役な位置は点対称な位置となる。さらに、90度回転して配置するのであれば、配置するときに対峙する辺は、単位セルの隣接する2つの辺となり、それらから食み出す第2の反射形状群の反射形状を、これら2つの辺を境にして連続して繋がるように配置すればよい。したがって、共役な位置は、4回軸の回転対称な位置となる。
【0023】
さらに、枠の各辺を対称軸とする同一のパターンで第2の反射形状群を構成することも可能であり、そのような単位セルは、回転させなくても、180度回転させても、さらには90度回転させても、枠の周囲に沿って連続した反射形状を形成できる。
【0024】
単位セルの枠の形状は正方形に限らず、単位セルを配置した際に接して連続するような形状であれば良い。例えば、単位セルの枠の形状は、3角形、正方形以外の4角形、または6角形などの多角形であっても良い。さらに、単位セルの枠の形状は分割円であっても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1に、携帯電話機1に搭載された、本発明の反射体を備えた表示装置10の構成を拡大して示してある。本例の液晶型の表示装置(ディスプレイ)10は、表示体である液晶セル(液晶パネル)12と、その裏面に配置された反射体20を備えている。この反射体20の、液晶セル(表示パネル)12の裏面と対峙する表面21がアルミニウムなどの反射性の素材で形成された反射面である。この反射面21には、数μmから数10μm程度の微細な複数の反射形状28が形成されており、それによる凹凸29が形成されている。したがって、光源部70等の外部からの光71は、液晶セル12を透過し、反射面21の反射形状28によりユーザの眼77の方向に配光され、外光71により表示パネル12からの出射光72による映像をユーザ77に効率良く表示する。なお、液晶ディスプレイ(表示装置)10は、液晶層、基板、透明電極、偏光板などの公知の構成を供えているが、それらについての説明は省略する。
【0026】
図2に、本例の反射体20の表面(反射面)21を拡大して示してある。本例の反射面21は、凹状で開口23が円形の反射形状28が、互いに重ならないようにランダムに配置されている。これら複数の反射形状28は、サイズは異なっても相互に相似な形状となっている。本例の反射面21は、破線で示した正方形状の枠41で囲われた単位セル31に区分けして形成されている。したがって、各々の単位セル31を構成するように作成された空間分布データφを繋ぎ合わせることにより反射面21の全体をカバーする加工データを作成することが可能であり、その加工データにしたがって反射面21の凹凸29を加工することにより反射面全体に反射形状28が分布した反射体20を製造している。反射面21の凹凸29は、例えば、加工データに沿ってレーザの強度を制御することにより形成できる。また、加工データを反映したグレーマスクを用いて加工することも可能である。反射体を加工データに基づいて直に加工しても良いし、転写型を作成して成形しても良い。
【0027】
図3に、1つの単位セル31を抜き出して示してある。単位セル31は、その周辺を囲い、単位セル31のエリアを定義する方形の枠41で区切られており、その枠41の内部に2種類の反射形状28が形成されている。第1の反射形状群G1を構成する反射形状28aは、形状の全てが枠41の内部に入るものである。また、第2の反射形状群G2を構成する反射形状28bは、形状の一部が枠41から食み出すものであり、区別するために図3では第2の反射形状群G2に属する反射形状28にハッチングを施してある。
【0028】
第1の反射形状群G1に属する反射形状28aは、枠41の内側31aで互いに重ならないようにランダムに配置されている。一方、ハッチングを施した第2の反射形状群G2に属する反射形状28bは、単位セル31の枠41の内部では所定の反射形状28としての形状を構成しないが、複数の単位セル31が隣接して配置されたときに連続して繋がり、所定の反射形状28を構成するように配置されている。
【0029】
図2に示した反射体20では、複数の単位セル31が回転しないで隣接配置されている。このため、本例の単位セル31では、正方形状の枠41を構成する4辺41a〜41dのうち、対峙する辺41aと41c、辺41bと41dが単位セル31を隣接して配置するときに重なる辺、すなわち、共役な辺となる。したがって、反射形状28のうち、辺41aを食み出した形状が辺41cに沿った第2の反射形状群G2の反射形状28bとして配置され、食み出さなかった形状が辺41aに沿った第2の反射形状群G2の反射形状28bとして配置されている。同様に、反射形状28のうち、辺41bを食み出した形状が辺41dに沿った第2の反射形状群G2の反射形状28bとして配置され、食み出さなかった形状が辺41bに沿った第2の反射形状群G2の反射形状28bとして配置されている。
【0030】
また、コーナ45にかかる反射形状28においては、辺41a〜41dを食み出した部分は上記と同様に処理され、さらに、残りの部分については、対角線上のコーナ45に配置され、第2の反射形状群G2の反射形状28bを構成している。すなわち、4つのコーナ45に分散された反射形状28bを集めることにより合成され1つの反射形状が形成されるようになっている。
【0031】
したがって、単位セル31を2次元方向に並べると、枠41の内部はもちろん、枠41の境界となる領域にも、境界を挟んで所定の形状の反射形状28が配置された反射体20を製造することができる。このため、単位セル31を用いて反射形状28の分布密度が高く均一な反射体20を提供することが可能となる。したがって、反射形状28を反射面21に分布させるために計算する配置あるいは表面形状を示す空間分布データφを形成する量は、単位セル31の範囲で済み、その一方で、単位セル31の境界にも反射形状28が配置された、光の利用効率が高くシームレスな反射面21を備えた反射体20を提供できる。このため、この反射面21を備えた反射体20を表示装置10に採用することにより、単位セル31の枠41に起因する格子模様が表れたりすることのない、光の利用効率の高い、明るい画像を表示可能な表示装置10を提供できる。
【0032】
図4に、本例の単位セル31に反射形状28を配置するプロセスをフローチャートにより示してある。簡単のため、一辺の長さがLの枠41の内部に図12で説明したのと同様に半径cの円形23の反射形状28を配置する例を説明する。長さLのX座標をXMAX、Y座標をYMAXとすると、まず、ステップ51で、図12で説明したように、X座標が0からXMAX−1、Y座標が0からYMAX−1の範囲で円の中心座標を乱数で発生する。そして、図5に示すように、中心座標に半径cの円23を配置したときに、枠41の内部に全ての円23が収まる中心座標の範囲、すなわち、一辺の長さがL−2cの方形の第1の仮想枠42の範囲に中心座標が収まるものは、そのまま反射形状となる円23を配置する。これらの円23で形成される反射形状28aが第1の反射形状群G1を構成する。一方、第1の仮想枠42に中心座標が収まらないものは、その中心座標を中心に円23を配置すると共に、それと共役な位置、たとえば、長さLだけX方向および/またはY方向に移動した位置となる、一辺の長さがL+2cの第2の仮想枠43の内部にも中心座標を設定し、その中心座標を中心として円23を配置する。これらの円23の内、枠41の内部に収まる反射形状28bが第2の反射形状群G2を構成する。なお、図5では、共役な位置における中心座標を求めたときに座標が負にならないように、X−Y座標に対して原点を2cずつ負の方向に移動したX´−Y´座標に設定し、X−Y座標で求められた中心座標(x,y)を、X´−Y´座標の中心座標(x´,y´)に変換している。
【0033】
すなわち、まず、ステップ52において、中心座標(x,y)を、X´−Y´座標の中心座標(x´,y´)に変換し、次に、ステップ53で中心座標(x,y)が第1の仮想枠42の内部に入る第1の反射形状群G1を配置し(第1の工程)、さらに、ステップ54で、中心座標(x、y)が第1の仮想枠42に入らない第2の反射形状群G2を配置する(第2の工程)。
【0034】
図6に、ステップ53および54のさらに詳しい処理を示してある。まず、ステップ91で、X座標の中心位置xが第1の仮想枠42の範囲、すなわち、X座標のcからXMAX−1−cの長さL−2cの範囲に入るか否かを判断する。X座標が第1の仮想枠42に収まる場合は、ステップ92でY座標の中心位置yが第1の仮想枠42の範囲、すなわち、Y座標のcからXMAX−1−cの長さL−2cの範囲に入るか否かを判断する。そして、ステップ91および92で中心座標(x,y)が第1の仮想枠42の範囲に入ると判断されると、ステップ53で、その中心座標、実際にはX´−Y´座標の中心座標(x´,y´)に円23を配置する。
【0035】
一方、ステップ91でX座標の中心座標xが第1の仮想枠42に入り、ステップ92で、y座標が第1の仮想枠42から外れた場合は、ステップ96で、(x’,y’)と、それに共役な位置で第2の仮想枠43に中心座標(x’,y’+YMAX)を持つ半径cの円23を配置する。あるいは、ステップ97で、(x’,y’)と、それに共役な位置(x’,y’−YMAX)とをそれぞれ中心座標として円23を配置する。これらの円23は、一部のみが枠41の内部に収まるので第2の反射形状群G2を構成する反射形状となる。そして、中心座標(x’,y’)の円23と、それにY方向で共役な位置の中心座標(x’,y’+YMAX)の円23とは、枠41を辺41bと辺41dを重ねて、あるいは対峙するように配置すると連続する円となる。
【0036】
同様に、ステップ93または94で、中心座標yが第1の仮想枠42の範囲に入り、中心座標xが第1の仮想枠42の範囲から外れた場合は、ステップ98または101において、中心座標(x’,y’)と、それにX方向で共役な位置の中心座標(x’±XMAX,y’)に円23を配置する。これらも、上記と同様に第2の反射形状群G2を構成する反射形状となる。
【0037】
さらに、ステップ93または94で、中心座標xおよびyが第1の仮想枠42から外れた場合は、ステップ99、100、102および103に示すように、中心座標(x’,y’)に加え、それにX方向に共役な位置(x’+XMAX,y’)と、Y方向に共役な位置(x’,y’+YMAX)と、XY方向、すなわち対角線方向に共役な位置(x’+XMAX,y’+YMAX)を中心とする円23を配置する。これらの円23も、第2の仮想枠43の範囲内に中心を持つ第2の反射形状群G2に相当し、枠41の単位セル31を2次元方向に隣接して配置すると1つの円23を構成する要素となる。
【0038】
このようにして、第2の仮想枠43の内部に中心座標をもつ円23が配置されると、ステップ55で、全ての円23、すなわち、反射形状28が重ならずに配置されていることを確認する。重なりがなければステップ56で円23の内部に反射形状28の深さ(z軸方向)のデータを入れて、単位セル31を形成するための3次元データ(空間分布データ)φが作成される。そして、ステップ57で、単位セル31の枠41の充填率が所定の値に達するまで、あるいは設定した回数に達するまで、ステップ51からの処理を繰り返す。
【0039】
このようにして、単位セル31の空間分布データφが作成されると、ステップ58で枠41の内部のデータを単位セル31の空間分布データφとして切り取り、それを反射面21を覆うように配置することにより反射面21を作成する空間分布データあるいは加工データを形成する(第3の工程)。この結果、反射面21の全体に反射形状28がシームレスに配置された反射体20を製造できる。
【0040】
この方法であると、反射面21の全体にわたって反射形状28を1つ1つ配置する必要がなく、単位セル31の範囲内で反射形状28の配置を決定するだけでよいので、計算にかかるデータを少なくできる。したがって、上記の各工程を実行する命令を有するプログラムにより、短時間で反射面21の全体をカバーする空間分布データを計算できる。
【0041】
上述した単位セル31の作成方法では、第1の反射形状群G1と第2の反射形状群G2とを同時に配置しているが、図7に示したように、予め第2の反射形状群G2を配置しておき、第1の反射形状群G1を個々の単位セル毎に作成することも可能である。すなわち、図8に実線で示す第2の反射形状群G2を備えたパターンの単位セル32をディフォルトあるいはベースパターンとして用意し、この第2の反射形状群G2の反射形状と重ならず、また、枠41から食み出さないように第1の反射形状群G1を構成する反射形状を発生させることにより、シームレスな反射面21を構成できる単位セル32を作成することができる。
【0042】
そのためには、図7に示すように、先ず、ステップ111で、第2の反射形状群G2だけを備えた状態の単位セル32を用意する。次に、ステップ112で、乱数で第1の反射形状群G1を構成する反射形状28の座標となる、円23の中心座標(x,y)を発生させる。この座標(x,y)による円全体が枠41の中に入るか否かを、ステップ113で確認する。この方法は、上述した第1の仮想枠に中心座標が入るか否かで判断できる。さらに、ステップ114で、第2の反射形状群G2を構成する反射形状も含め、既に配置されている反射形状(円)に重なっていないかを確認し、重なっていなければ、ステップ115で、円23の内部に反射形状28の深さデータ(z座標)を入れて、単位セル32に貼り付ける。そして、ステップ116で、所定の繰り返し回数に達するまで、上記のステップ112に戻り同様のプロセスを繰返し行い、単位セル32の空間分布データφを作成する。
【0043】
このように、第2の反射形状群G2が予め用意されたパターンから単位セル32の空間分布データφを作成することにより、さらに計算時間を短縮できる。あるいは、第1の反射形状群G1の配置が異なる単位セル32を複数用意して反射面21を覆うことが可能となり、長周期的なランダム性を高めることができる。したがって、空間分布データφの作成負荷を抑えるメリットを活かしながら、単位セル32を用いることに伴う背反事項である、繰り返し性とランダム性を両立できる。
【0044】
図9に、本発明のさらに異なる例を示してある。図9(a)に示した単位セル33は正方形状の枠41を備え、各辺41a〜41dに沿った第2の反射形状群G2の配置が同一であり、さらに、各辺41a〜41dに沿った第2の反射形状群G2の配置は、各辺41a〜41dの中点48について対称な配置となっている。したがって、枠41の各辺41a〜41dより食み出した第2の反射形状群G2の反射形状28bの配置は、線対称であると共に、点対称でもあり、さらには、90度回転したときも対称となる4回軸の回転対称な形状となっている。一方、枠41の内部に収まる第1の反射形状群G1の反射形状28aの配置はランダムになっている。
【0045】
したがって、この単位セル33は平行に配置しても、180度回転しても、さらには90度回転してもセル同士の境界の部分をシームレスに接続することができる。図9(b)に示した反射面21の配置は単位セル33を矢印49で示すように、4回軸の回転対称な位置、すなわち90度ずつ回転して配置した例である。隣接して配置されたセル同士では、第1の反射形状群G1の配置が変わるため、長期的なランダム性も向上できる。その一方で、単位セル33は1つ用意すれば良いので、空間分布データφを計算するのは容易であり、短時間に可干渉性の非常に少ない反射面21を作成することができる。
【0046】
さらに、本発明にかかる単位セルの形状は上記の正方形または方形に限定されるものではない。図10(a)〜(c)に本発明の他の例を示してある。図10(a)は、枠46が三角形の単位セル34を示してある。また、図10(b)は、枠47が6角形の単位セル35を示してある。さらに、図10(c)は、枠48が分割円状の単位セル36を示してある。反射体20が多角形である場合は、隣接して繰り返し配置できる多角形の枠を備えた単位セルが望ましい。一方、反射体20が円形であれば、多角形に限らず曲線を備えた分割円状の単位セル36も有効である。さらには、形状やサイズの異なる枠を備えた複数種類の単位セルを組み合わせて反射体20の面を構成することも可能である。また、全反射型の反射体に限らず、部分的にバックライトを透過する半透過型の反射体にも本発明を適用することが可能である。
【0047】
さらに、上記では携帯電話機1に用いる表示装置10を例に説明しているが、これに限らず、他の携帯機器や周辺機器の反射型あるいは半透過型の表示装置にも本発明を適用でき、表示品質の高い表示装置を提供できる。
【0048】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明では、単位セルの枠内に反射形状を配置する際に、枠内に収まる反射形状(第1の反射形状群)と、枠から食み出す反射形状(第2の反射形状群)とに分けてデータを作成し、第2の反射形状群の形状については、隣接配置される他の単位セルの第2の反射形状群の形状と一体となり連続した1つの反射形状になるようにしている。したがって、本発明の単位セルをベースとし、単位セルが全面に配置された反射体の反射面は、全体に一様に反射形状を分散して形成することが可能である。このため、単位セルという限られた形状、あるいは形状を示す空間分布データを作成するだけで、光の利用効率が高く、明暗のないシームレスな反射性能を備えた反射体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射体を用いた反射型の液晶表示装置を備えた携帯電話機の概要を示す図である。
【図2】図1に示した本発明に係る単位セルを用いて反射面全体のデータ(空間分布データ)が作成された様子を示す図である。
【図3】図2に示した1つの単位セルにおける反射形状の配置を示す空間分布データの図である。
【図4】図3に示す単位セルを作成するプロセスを示すフローチャートである。
【図5】図4のプロセスを説明する図である。
【図6】図4の第1および第2の工程のさらに詳しく説明するフローチャートである。
【図7】本発明の異なる例の単位セルを作成するプロセスを示すフローチャートである。
【図8】図7のプロセスで作成した単位セルを示す図である。
【図9】本発明の単位セルのさらに異なるパターン例を示す模式図であり、図9(a)は1つの単位セルを示し、図9(b)は単位セルを複数配置した様子を示す図である。
【図10】本発明の単位セルのさらに異なる例を示す図である。
【図11】単位セルを用いて反射面を形成する一例であり、枠から食み出ないように反射形状を配置した例である。
【図12】図11に示す単位セルを作成するプロセスを示すフローチャートである。
【図13】図12のプロセスを説明する図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機
10 表示装置
12 液晶セル(表示体)
20 反射体、21 反射面
23 反射形状の開口
28 相似な反射形状
31〜36 単位セル
41 単位セルの枠
42 第1の仮想枠、43 第2の仮想枠
Claims (17)
- 凹状または凸状の複数の反射形状が枠の内側に配置された単位セルを有し、複数の前記単位セルが隣接して配置されている反射体であって、前記単位セルは、前記反射形状が全て前記枠の内側に入る第1の反射形状群と、前記反射形状の一部が前記枠から食み出す第2の反射形状群とを備えており、前記第2の反射形状群の反射形状は、隣接して配置された他の前記単位セルの前記第2の反射形状群の反射形状に連続して繋がるように配置されている反射体。
- 請求項1において、前記第1の反射形状群の反射形状は前記枠の内側にランダムに配置されている反射体。
- 請求項1において、前記第1の反射形状群の反射形状の配置は、隣接する前記単位セル毎に異なる反射体。
- 請求項1において、前記枠は、前記単位セルを配置したときに対峙する2つの辺を備えており、これら2つの辺から食み出す前記第2の反射形状群の反射形状は、これら2つの辺を境にして連続して繋がる反射体。
- 請求項1において、前記枠は多角形であり、前記枠の各辺から食み出した前記第2の反射形状群の反射形状により前記枠の各辺を対称軸とする同一のパターンが形成されている反射体。
- 請求項5において、同一の前記第1の反射形状群を備えた前記単位セルが異なる角度で配置されている反射体。
- 請求項1において、前記枠の形状は、多角形である反射体。
- 請求項1において、前記枠の形状は、正方形である反射体。
- 請求項1において、前記枠の形状は分割円である反射体。
- 請求項1において、前記第1および第2の反射形状群の各反射形状は互いに重ならずに配置されている反射体。
- 凹状または凸状の複数の反射形状が配置された反射体の製造方法であって、枠を備えた単位セルの内側に、前記反射形状の全体が前記枠の内側に入るように第1の反射形状群を配置する第1の工程と、前記反射形状の一部が前記枠から食み出すように第2の反射形状群を配置し、当該第2の反射形状群の反射形状と、隣接して配置される他の前記単位セルの前記第2の反射形状群の反射形状とが連続して繋がるようにする第2の工程と、複数の前記単位セルを並べて当該反射体を覆う第3の工程とを有する反射体の製造方法。
- 凹状または凸状の複数の反射形状が枠の内側に配置された複数の単位セルを、隣接して配置し反射体を形成するための前記単位セルを生成するプログラムであって、前記反射形状の全体が前記枠の内側に入るように第1の反射形状群を配置する第1の工程と、前記反射形状の一部が前記枠から食み出すように第2の反射形状群を配置し、当該第2の反射形状群の反射形状と、隣接して配置される他の前記単位セルの前記第2の反射形状群の反射形状とが連続して繋がるようにする第2の工程とを実行する命令を有するプログラム。
- 請求項12において、前記枠は一辺の長さがLの方形で、前記反射形状は開口が半径Cの円であり、前記第1の工程では、前記枠の内部に該枠と同心の一辺の長さがL−2Cの第1の仮想枠を設定し、その第1の仮想枠の内部に前記反射形状の中心が入るものを前記第1の反射形状群の反射形状として配置し、前記第2の工程では、前記枠の外に該枠と同心の一辺の長さがL+2Cの第2の仮想枠を設定し、前記第1の仮想枠と前記枠との間に前記反射形状の中心が入るものを前記第2の反射形状群の反射形状とし、前記第1の仮想枠と前記第2の仮想枠との間の共役な位置に前記反射形状を配置するプログラム。
- 請求項13において、前記共役な位置は、線対称な位置であるプログラム。
- 請求項13において、前記共役な位置は、点対称な位置であるプログラム。
- 請求項13において、前記共役な位置は、4回軸の回転対称な位置であるプログラム。
- 請求項1に記載の反射体と、この反射体が裏面に配置された表示体とを有する表示装置。
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