JP4019402B2 - 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 - Google Patents
油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4019402B2 JP4019402B2 JP14777198A JP14777198A JP4019402B2 JP 4019402 B2 JP4019402 B2 JP 4019402B2 JP 14777198 A JP14777198 A JP 14777198A JP 14777198 A JP14777198 A JP 14777198A JP 4019402 B2 JP4019402 B2 JP 4019402B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- soluble substance
- fatty acid
- composition
- solubilized
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
- General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品に関する。さらに詳しくは、本発明は、油溶性物質の酸化安定性を向上させうるとともに、それを水中に透明に可溶化させることのできる油溶性物質可溶化組成物、このものを効率よく製造する方法及び該油溶性物質可溶化組成物を含有する飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲食品、医薬品、化粧品などでは、油溶性物質を添加配合する場合、様々な添加物を配合し熱殺菌処理をするため、耐酸性、他塩性、耐熱性に優れ、かつ、長期間保存してもクリーミングを生じたり、油溶性物質が分離することなく、均一な乳化若しくは可溶化状態を保つことが望まれている。
また飲食品、特に飲料やゼリー等の高い透明性が望まれる飲食品、化粧水等の高い透明性が望まれる化粧料に油溶性物質を配合する場合、油溶性物質が乳化するため、通常白濁し、見た目が悪くなる。このため、このような飲食品、化粧料への油溶性物質の添加量は制限されるのを免れない。
このように、油溶性物質を透明に飲食品や化粧料に配合し、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れる上、これらの条件下で、十分満足しうる安定な可溶化状態を保つことが望まれている。
したがって、このような要望にこたえるために、これまで種々の検討がなされてきた。例えば(1)タンパク質及び糖を含有する水相に油脂を可溶化させる方法(特開昭56−144053号公報)、(2)ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルと糖類又は糖アルコールを用いて油溶性物質を水に可溶化する方法(特公平6−36862号公報)、(3)平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭素数12〜14の飽和脂肪酸とのモノエステルの中から選ばれるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて油溶性物質を水に可溶化する方法(特開平9−168369号公報)などが提案されている。
しかしながら、上記(1)の方法は耐酸性、耐塩性条件下では安定な可溶化状態を保持することができないし、(2)の方法は組成物の保存安定性が悪く、しかも両法共に、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、安定な可溶化状態を保つ組成物として十分に満足しうるものではなかった。一方、(3)の方法で得られた組成物は、耐酸性、耐塩性、耐熱性、保存安定性ともに優れているが、油溶性物質の酸化安定性は満足できるものではなかった。
そのため、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、かつ、長期間保存してもクリーミングを生じたり油脂が分離しないで均一な可溶化状態を保つことができる上、油溶性物質の酸化安定性に優れ、種々の飲食品、医薬品、化粧料などに広く適応できる油溶性物質可溶化組成物の開発が要望されていた。
油溶性物質を添加配合した飲食品、医薬品、化粧料などを長時間保存した場合、油溶性物質の酸化安定性を保つことが望まれている。また、飲食品、医薬品、化粧料などに油溶性物質を配合する場合、油溶性物質の酸化によって、通常臭いが悪くなる。さらに脂溶性ビタミンなどでは酸化によって、その効力が減少する。このように、油溶性物質を飲食品、医薬品、化粧料などに配合し、酸化安定性に優れた油溶性物質を含有する組成物が望まれている。このような飲食品を開発するために、これまでに脂溶性ビタミン、ビタミンCナトリウム、アラビアガム、デキストリン等の食品素材からなる粉末品が検討されてきた。しかしながら、粉末品そのものでは酸化安定性に優れているが、飲食品特に飲料に添加した場合、酸化安定性が悪く、十分満足しうるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、耐酸性、耐塩性及び耐熱性が共に優れ、かつ長期間保存してもクリーミングを生じたり、油脂が分離しないで均一な可溶化状態を保つことができる上、油溶性物質の酸化安定性に優れる油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた機能を有する油溶性物質可溶化組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとレシチンを用い、油溶性物質を可溶化させてなる組成物が、その目的に適合しうること、そして、該組成物は、油溶性物質、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、レシチン及び水を含有する混合物を、ある圧力以上で均質化処理することにより、容易に得られることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)油溶性物質0.05〜30重量%、(B)デカグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0.003〜50重量%、(C)レシチン0.0001〜1重量%及び水を含有した混合物を500kg/cm 2 以上の圧力で均質化処理することを特徴とする油溶性物質可溶化組成物の製造方法、
(2)(A)油溶性物質0 . 05〜30重量%、(B)デカグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0 . 003〜50重量%、(C)レシチン0 . 0001〜1重量%及び水を含有した混合物を500kg/cm2以上の圧力で均質化処理してなることを特徴とする油溶性物質可溶化組成物、及び
(3)第(1)項記載の製造方法で得られた油溶性物質可溶化組成物を含有してなる飲食品、
を提供するものである。
また、本発明の好ましい態様は、
(4)(A)成分の含有量が0.1〜20重量%、(B)成分の含有量が0.005〜30重量%及び(C)成分の含有量が0.001〜0.5重量%である第(2)項記載の油溶性物質可溶化組成物、及び
(5)(A)成分、(B)成分及び(C)成分と共に、多価アルコール及び/又は他の添加物を含有する第(2)、(4)項記載の油溶性物質可溶化組成物、
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の油溶性物質可溶化組成物において、(A)成分として用いられる油溶性物質は、それ自体油溶性であって、実質的に水溶性でないものをいい、後述のポリグリセリン脂肪酸モノエステル及びレシチンによって、水性媒体に可溶化させられるものである。
この油溶性物質としては、上記性質を有するものであればよく、特に制限されず、例えば油脂類、脂溶性ビタミン類、酸化防止剤、着色料、着香料、保存料、殺菌料などを挙げることができる。
油脂類の具体例としては、一般に食用油である動物、植物、又は微生物を原料とする油脂が挙げられる。例えば、豚脂、牛脂、鶏油、鯨脂、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ油、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油などが挙げられる。さらには、中鎖脂肪酸ジグリセリド、トリグリセリドなどの合成ジグリセリド、トリグリセリドなどが挙げられる。
脂溶性ビタミン類の具体例としては、いずれの脂溶性ビタミンも使用でき、一般にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが挙げられる。
酸化防止剤の具体例としては、ミックストコフェロール、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、γ−オリザノール等が挙げられる。
着色料の具体例としては、β−カロチン、アナトー色素、ウコン色素等が挙げられ、着香料の具体例としては、柑橘系オイル、メントール等が挙げられる。
保存料及び殺菌料の具体例としては、デヒドロ酢酸等が挙げられる。
本発明の組成物においては、この(A)成分の油溶性物質は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は0.05〜30重量%の範囲である。この含有量が0.05重量%未満では生理作用上の効果が期待できないし、30重量%を超えると油溶性物質を容易にかつ安定に可溶化することが困難となる。生理作用上の効果及び可溶化などを考慮すると、この油溶性物質の好ましい含有量は、0.1〜20重量%であり、特に0.3〜10重量%の範囲が好適である。
【0006】
本発明の油溶性物質可溶化組成物における(B)成分のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとしては、平均重合度6〜15のポリグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたものが用いられる。ポリグリセリンの平均重合度が6未満では透明な可溶化物が得られないし、また15を超えるものは入手が困難である。好ましいポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、平均重合度6〜15のポリグリセリンとラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸とから得られたものである。これらのポリグリセリン脂肪酸モノエステルは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物においては、この(B)成分のポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は0.003〜50重量%の範囲である。この含有量が0.003重量%未満では油溶性物質を容易に、かつ安定に可溶化することができないし、50重量%を超えるとその量の割りには効果の向上はあまり認められず、むしろ油溶性物質の含有量が少なくなるという不都合が生じる。可溶化効果及び油溶性物質の含有量などを考慮すると、このポリグリセリン脂肪酸モノエステルの好ましい含有量は0.005〜30重量%の範囲であり、特に0.01〜20重量%の範囲が好適である。
本発明の油溶性物質可溶化組成物における(C)成分のレシチンとしては特に制限はなく、大豆レシチン、卵黄レシチン及びこれらの酵素分解処理レシチンなど、いずれも用いることができる。これらのレシチンは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、特に酵素分解処理レシチンが好適である。
本発明の組成物においては、この(C)成分のレシチンの含有量は0.0001〜1重量%の範囲である。この含有量が0.0001重量%未満では油溶性物質を容易に、かつ安定に可溶化することができないし、1重量%を超えるとその量の割には効果の向上があまり認められず、むしろこの組成物を添加配合した飲食品の味を悪くするおそれがある。可溶化及び食味などを考慮すると、このレシチンの好ましい含有量は0.001〜0.5重量%の範囲であり、特に0.01〜0.3重量%の範囲が好適である。
【0007】
本発明の油溶性物質可溶化組成物においては、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分と共に、水が含有されており、上記水としては、飲食品に配合できる水であればよく、特に制限はない。組成物中の水の含有量は、通常10重量%以下である。
本発明の油溶性物質可溶化組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により多価アルコールや他の各種添加物を含有させることができる。
上記多価アルコールとしては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、グリセリン、さらには、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。これらの中でグリセリン、プロピレングリコール及び糖アルコールが好適である。この多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、他の各種添加物としては、例えば界面活性剤、安定剤、調味料、酸及び塩などが挙げられる。
ここで、界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油及び天然界面活性剤であるサポニン、ステロール、コール酸、デソキシコール酸、さらにはユッカ抽出物などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
また、安定剤としては、例えばアラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質が挙げられる。これらの安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、酸及び塩としては、飲食品、医薬品、化粧料、食品添加物などとして使用されているものが用いられる。酸としては、例えばアジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、炭酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸などを挙げることができる。塩として、例えばアルコルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸−ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸−ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどを挙げることができる。
本発明の油溶性物質可溶化組成物は、油溶性物質、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、レシチン、水及び所望により用いられる多価アルコールや各種添加物を混合した際に、油溶性物質の粒子が微細に分散し、透明に可溶化したものである。
本発明における可溶化とは、系が均一で透明性を有し、かつ粒度分布計で測定した分散粒子の平均粒径が約200nm以下であることを指す。
本発明の油溶性物質可溶化組成物の製造方法としては特に制限はないが、以下に示す本発明の方法によれば、効率よく製造することができる。
まず、水にポリグリセリン脂肪酸モノエステルを溶解して水相部を調製し、この水相部と油溶性物質とを、プロペラ式撹拌機やホモミキサーなどの撹拌機を用いてよく混合したのち、レシチン及び所望成分を添加しプロペラ式撹拌機やホモミキサーなどの撹拌機を用いてよく混合し、次いで、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、超高圧ジェット流乳化・分散システムオーガナイザーなどの均質化処理機により500kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うことで、均一な液状としての油溶性物質可溶化組成物が得られる。また、500kg/cm2以上の圧力の均質化処理機以外にも、超音波乳化機などの均質化処理機を用いることができるが、安定性の面で制限を受ける場合もある。
【0009】
このようにして得られた、本発明の油溶性物質可溶化組成物は、60〜100℃程度の温度で殺菌処理又は必要に応じて100〜130℃程度の高温殺菌若しくは滅菌処理を行うことができる。
本発明の油溶性物質可溶化組成物は、長期間保存しても、クリーミングを生じたり、油溶性物質が分離することなく、均一な可溶化状態を保つことができる上、酸化安定性に優れ、異臭の発生や脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制することができる。
本発明の油溶性物質可溶化組成物は、飲食品、医薬品、化粧料などの製造に際して配合することにより、耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、かつ、長期間保存しても、クリーミングを生じたり、油溶性物質が分離しないで均一な可溶化状態を保つことができる油溶性物質を含有した飲食品、医薬品、化粧料などを提供することができる。
飲食品に適用する場合の具体例としては、食塩などのミネラル、酸味料、甘味料、アルコール、ビタミン、フレーバーおよび果汁の中から選ばれた少なくとも1種を含む飲料、例えば、スポーツ飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン・ミネラル飲料、炭酸飲料、栄養飲料、加工乳、豆乳などの飲料;パン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパン・菓子類;ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品;味噌、ソース、たれ、スープ、ドレッシングなどの調味料;豆腐、麺類などの加工食品;マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品、栄養補助食品、医療栄養食品、濃厚流動食品、漬け物などの飲食品に油溶性物質を添加するための配合原料として使用することができ、その範囲は、特に制限はなく、あらゆる種類の飲食品に適用することができる。
医薬品に適用する場合の具体例としては、飲料、毛髪料、クリーム、皮膚外用剤などに油溶性物質を添加するための配合原料として使用することができ、その範囲は、特に制限はなく、あらゆる種類の医薬品に適用することができる。
化粧料に適用する場合の具体例としては、化粧水、ハンドクリーム、口紅、浴用化粧料、ボディーローション、ヘアリキッド、ヘアトニック、育毛剤、浴用剤等に油溶性物質を添加するための配合原料として使用することができ、その範囲は、特に制限はなく、あらゆる種類の化粧料に適用することができる。
本発明の油溶性物質可溶化組成物を食品、医薬品、化粧料などに用いた場合には、その飲食品、医薬品、化粧料などは長期間保存しても、クリーミングを生じたり、油脂が分離することなく、均一な可溶化状態を保つことができる。また、その飲食品、医薬品、化粧料などは長期間保存しても、異臭を生じたり、脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制することができる。
本発明の油溶性物質可溶化組成物を含有する飲食品、医薬品、化粧料などは、60〜100℃程度の温度で殺菌処理又は必要に応じて100〜130℃程度の高温殺菌若しくは滅菌処理を行うことができる。
【0010】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g及び水86.9gを入れ、完全に溶解した。
2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.1g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合した。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油可溶化組成物を得た。
魚油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しなかった。
調製直後の魚油可溶化組成物の平均粒径を粒度分布計[型式:コールターN4SD、コールター製]により測定した。また、魚油可溶化液組成物0.1gを精製水(pH5.38)9.9gに加え、混合した後、85℃で120分間加熱した後の平均粒径を粒度分布計[型式:コールターN4SD、コールター製]により測定した。
第1表にその結果を示す。
実施例2、3
実施例1に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて魚油可溶化組成物を得た。
それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、実施例2はデカグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリスターML−750、阪本薬品工業(株)製]、実施例3はデカグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスターMO−750、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0011】
比較例1〜3
500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステル10g及び水87gを入れ、完全に溶解した。その溶解液に精製魚油3gを混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、均質な魚油含有組成物を得た。
それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、比較例1はデカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]、比較例2はデカグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリスターML−750、阪本薬品工業(株)製]、比較例3はデカグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスターMO−750、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。
比較例4〜6
実施例1に準じて、第2表に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて魚油含有組成物を得た。
それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、比較例4はテトラグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリスターML−310、阪本薬品工業(株)製]、比較例5はテトラグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−310、阪本薬品工業(株)製]、比較例6はテトラグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスターMO−310、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。
【0012】
比較例7
実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにHLB値15のショ糖モノオレート[商品名:リョートーシュガーエステルO−1570、三菱化成食品(株)製]を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、水、精製魚油及び界面活性剤を混合・撹拌した時点でゲル状になり、均質化処理を行うことができなかった。
比較例8
実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにHLB値16のショ糖モノラウレート[商品名:リョートーシュガーエステルL−1695、三菱化成食品(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して魚油含有組成物を得た。評価結果を第2表に示す。
調製した魚油含有組成物は白濁した。
比較例9
実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加せず、代わりに酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]10gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、水、精製魚油及び界面活性剤を混合・撹拌した時点で分離したため、均質化処理を行うことができなかった。
比較例10
実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにデカグリセリンジステアレート[商品名:サンソフトQ−182S、太陽化学(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して魚油含有組成物を得た。
調製した魚油含有組成物は水、精製魚油および界面活性剤を混合・撹拌した時点でゲル状になり、均質化処理を行うことができなかった。
【0013】
実施例4〜7
実施例1に準じて行った。
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、第1表に示すポリグリセリン脂肪酸エステル、水を仕込み、完全に溶解した。用いたポリグリセリン脂肪酸エステルはいずれもデカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]である。
2液:第1表に示すレシチン0.1g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合した。用いたレシチンはいずれも酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]である。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油可溶化組成物を得た。
魚油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しなかった。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
実施例8〜10
第1表に示したレシチンを用いて実施例1に準じて、魚油可溶化組成物を得た。
それぞれに配合するレシチンは、実施例8は酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンW−1、太陽化学(株)製]、実施例9は大豆レシチン[商品名:サンレシチンL−6、太陽化学(株)製]、実施例10は、卵黄レシチン[商品名:卵黄レシチンLPL−20、キューピー(株)製]である。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0014】
比較例11
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g及び水87gを入れ、完全に溶解した。
2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.00005g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合た。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。
得られた魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。
比較例12
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g及び水84gを入れ、完全に溶解した。
2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]3g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合した。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。評価結果を第2表に示す。
調製した魚油含有組成物は白濁した。
【0015】
実施例11
実施例1の均質化圧1000kg/cm2を500kg/cm2にした以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して均質な魚油可溶化組成物を得た。
魚油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しなかった。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
実施例12
実施例1の均質化圧1000kg/cm2を1500kg/cm2にした以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して均質な魚油可溶化組成物を得た。
魚油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しなかった。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0016】
比較例13
実施例8の均質化圧1000kg/cm2を200kg/cm2にした以外は実施例8と全く同じ操作を繰り返して魚油含有組成物を得た。評価結果を第2表に示す。
魚油含有組成物は白濁し、60℃に1ケ月間保存するとクリーミングを生じた。
参考例13〜15
実施例1に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて魚油可溶化組成物を得た。
それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、参考例13はヘキサグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリスターML−500、阪本薬品工業(株)製]、参考例14はヘキサグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−500、阪本薬品工業(株)製]、参考例15はヘキサグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスターMO−500、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0017】
比較例14
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]0.5g、ショ糖脂肪酸エステル[商品名:DKエステルF−160、第一工業製薬(株)製]0.2g及び水90.7gを入れ、加熱溶解した。
2液:モノグリセリン脂肪酸エステル[商品名:エマルジーMU、理研ビタミン(株)製]0.2g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.2g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合した。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。得られた魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。
比較例15
500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g、クエン酸エステル[商品名:ポエムK−37、理研ビタミン(株)製]1g、ソルビトール[商品名:ソルビット粉、東和化成工業(株)製]23.1g及び水62.9gを入れ、加熱溶解した。
1液を室温に冷却した後、精製魚油3gを併せ、撹拌により溶解し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。得られた魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。
実施例16
500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.1g及び水86.9gを入れ、完全に溶解した。その溶解液にナタネ油3gを混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、均質な菜種油可溶化組成物を得た。
菜種油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しなかった。
これらの菜種油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
実施例17、18
実施例16に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて菜種油可溶化組成物を得た。
それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、実施例17はデカグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリスターML−750、阪本薬品工業(株)製]、実施例18はデカグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスターMO−750、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの菜種油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。
<酸化度評価>
実施例1〜12及び参考例13〜15で得られた魚油可溶化組成物及び実施例16〜18で得られた菜種油可溶化組成物それぞれ40gを精製水60gに加え、撹拌した。高さ20cm、直径1cmの試験管に、それぞれ得られた水溶液5gをとり、テフロン栓をし、37℃に保存した。保存42日目、100日目に、試験管内の空気をガスタイトシリンジで採取し、電気化学検出器付ガスクロマトグラフィーを用いて、酸素濃度を測定した。第1表に結果を示す。
比較例1〜15で得られた魚油含有組成物も同様に評価した。第2表に結果を示す。
第1表、第2表から明らかなように、本発明の可溶化組成物は、酸化安定性に極めて優れていることが分かる。
<官能評価>
実施例1〜12及び参考例13〜15で得られた魚油可溶化組成物及び実施例16〜18で得られた菜種油可溶化組成物それぞれ40gを精製水60gに加え、撹拌した。それぞれ得られた水溶液を20ml容共栓付褐色瓶に5gとり、栓をした後、30℃に保存し、保存42日目の風味を官能評価した。
官能評価は、5名のパネラーから「風味良好である」3点、「異臭が僅かにある」2点、「異臭がある」1点の3段階で評価を得、平均点を算出した。結果を第1表に示す。
比較例1〜15で得られた魚油含有組成物も同様に評価した。第2表に結果を示す。
第1表、第2表から明らかなように、本発明の可溶化組成物は、経時による風味の変化が極めて少ないことが分かる。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
注1)評価:均一化直後の目視による魚油、菜種油可溶化組成物の観察結果を、次の基準で評価した。
◎:透明性良好
○:僅かに曇りあり
×:白濁する
*:加熱後に分離
**:調製中にゲル化または調製できず
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
注1)評価:均一化直後の目視による魚油含有組成物の観察結果を、次の基準で評価した。
◎:透明性良好
○:僅かに曇りあり
×:白濁する
*:加熱後に分離
**:調製中にゲル化または調製できず
実施例19
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g及び水86.9gを入れ、完全に溶解した。
2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.1g、ビタミンA油[商品名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]3gを湯煎で溶解混合した。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、3万IU/gのビタミンA油可溶化組成物を得た。
比較例16
500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]10g及び水87gを入れ、完全に溶解した。その溶解液にビタミンA油[商品名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]3gを混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、3万IU/gの均質なビタミンA油組成物を得た。
比較例17
1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]0.5g、ショ糖脂肪酸エステル[商品名:DKエステルF−160、第一工業製薬(株)製]0.2g及び水90.7gを入れ、加熱溶解した。
2液:モノグリセリン脂肪酸エステル[商品名:エマルジーMU、理研ビタミン(株)製]0.2g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製]0.2g、ビタミンA油[商品名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]3gを湯煎で溶解混合した。
2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、3万IU/gのビタミンA油組成物を得た。
比較例18
マルトース100gと還元粉末水飴(DE17)1900gに水850gを加えたのち、105℃、20分加熱して得られた糖液を70℃まで冷却し、水を加えて糖固形分濃度を70重量%に調整した。これにビタミンA油[商品名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]320g、大豆レシチン[商品名:サンレシチンL−6、太陽化学(株)製]60gを予め60℃で混合溶解したものを加え、高速回転撹拌式乳化装置により乳化混合した。得られた乳化液を60℃で真空乾燥し、乾燥後粉砕して、13万IU/gのビタミンA油粉末を得た。
【0024】
<評価>
実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物1g、比較例16、比較例17で得られたビタミンA油組成物それぞれ1g、比較例18で得られたビタミンA油粉末0.23gを精製水99.8gに加え、撹拌溶解した。それぞれ得られた水溶液5gを30ml容共栓付褐色瓶にとり、栓をしたのち、85℃で加熱し経時的にビタミンA含量を測定した。
図1に加熱時間とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。
ゼラチンパウダー[商品名:ゼラチンパウダー、(株)ダイエー製]10g、精製水300g、上白糖45gを混合し、60℃で撹拌溶解したのち、それぞれ実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物3g、比較例16で得られたビタミンA油組成物3g、比較例17で得られたビタミンA油組成物3g、比較例18で得られたビタミンA油粉末0.7gを加え、10分間撹拌したのち、70g容プラスチックカップに充填し、密封した。このゼリーを85℃で30分間加熱殺菌し、ゼリーを得た。このように得られたゼリーを20℃に保管して、経時的にビタミンA含量を測定した。
図2に、保存期間とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。
実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物18g、比較例16、比較例17で得られたビタミンA油組成物それぞれ18g、比較例18で得られたビタミンA油粉末4.14gを5重量%水酸化ナトリウム水溶液1782gに加え、撹拌溶解した。それぞれ得られた水溶液200gを200ml容スチール缶にとり、栓をしたのち、121℃で20分間加熱後、30℃で保存し経時的にビタミンA含量を測定した。
図3に保存期間とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。
クエン酸あるいはリン酸カリウムでpH3、pH4、pH5、pH7に調整された水それぞれ99gに実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物1gを加え、撹拌溶解した。それぞれ得られた水溶液5gを30ml容共栓付褐色瓶にとり、栓をしたのち、85℃で加熱し経時的にビタミンA含量を測定した。
図4に、加熱時間とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。
【0025】
【発明の効果】
本発明の油溶性物質可溶化組成物を各種飲食品、医薬品、化粧料の製造に際して添加配合することにより、耐酸、耐塩及び耐熱性に優れ、かつ、長期間保存しても、クリーミングを生じたり、油溶性物質が分離しないで透明で均一な可溶化状態を保つことができる油溶性物質を含有する飲食品、医薬品、化粧料を提供することができる。また、油溶性物質の酸化を抑制し、異臭を生じたり、脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例19及び比較例16〜18で得られた組成物における加熱時間とビタミンA残存率との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例19及び比較例16〜18で得られた組成物を添加してなるゼリーにおける保存期間とビタミンA残存率との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例19及び比較例16〜18で得られた組成物のアルカリ水溶液中における保存期間とビタミンA残存率との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物のpHの異なる水溶液中における加熱時間とビタミンA残存率との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- (A)油溶性物質0.05〜30重量%、(B)デカグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0.003〜50重量%、(C)レシチン0.0001〜1重量%及び水を含有した混合物を500kg/cm 2 以上の圧力で均質化処理することを特徴とする油溶性物質可溶化組成物の製造方法。
- (A)油溶性物質0 . 05〜30重量%、(B)デカグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0 . 003〜50重量%、(C)レシチン0 . 0001〜1重量%及び水を含有した混合物を500kg/cm2以上の圧力で均質化処理してなることを特徴とする油溶性物質可溶化組成物。
- 請求項1記載の製造方法で得られた油溶性物質可溶化組成物を含有してなる飲食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14777198A JP4019402B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14777198A JP4019402B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11332463A JPH11332463A (ja) | 1999-12-07 |
JP4019402B2 true JP4019402B2 (ja) | 2007-12-12 |
Family
ID=15437818
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14777198A Expired - Lifetime JP4019402B2 (ja) | 1998-05-28 | 1998-05-28 | 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4019402B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4717769B2 (ja) | 2006-09-20 | 2011-07-06 | 辻製油株式会社 | 油溶性物質含有可溶化組成物の製造方法 |
WO2009063962A1 (ja) * | 2007-11-16 | 2009-05-22 | Techno Guard Co. Ltd. | 薬物含有脂肪乳剤およびその製造方法 |
JP6071291B2 (ja) * | 2012-07-12 | 2017-02-01 | キッコーマン株式会社 | 食用油脂含有可溶化醤油及びその製造法 |
-
1998
- 1998-05-28 JP JP14777198A patent/JP4019402B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11332463A (ja) | 1999-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3880265B2 (ja) | 脂溶性物質の水性液剤 | |
JP3414530B2 (ja) | 安定な乳化組成物及びそれを含有する食品 | |
JP4044354B2 (ja) | 耐アルコール性、耐酸性、耐塩性を有する組成物および用途 | |
JP4717769B2 (ja) | 油溶性物質含有可溶化組成物の製造方法 | |
JP3941073B2 (ja) | 油脂組成物及びそれを含む食品 | |
JP7070136B2 (ja) | 乳化組成物及び飲料 | |
JP6715930B2 (ja) | ゲル状食品組成物及びこれを用いた食品 | |
JP2008245588A (ja) | 乳化剤組成物及び水中油型エマルジョン | |
JP4910927B2 (ja) | アスタキサンチン含有乳化物、および製造方法 | |
JP3452713B2 (ja) | 乳化又は粉末機能性物質の製造方法 | |
EP4487696A1 (en) | Oil-in-water emulsion and production method therefor | |
JP3596059B2 (ja) | 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 | |
JP3562010B2 (ja) | 油脂含有水溶性組成物およびこれを含有する飲食品 | |
JP4060587B2 (ja) | カプサイシノイド様物質含有製剤 | |
JP3653884B2 (ja) | 油溶性物質可溶化組成物、その製法及び飲食品 | |
JP4019402B2 (ja) | 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 | |
JP3528382B2 (ja) | 油脂可溶化組成物、その製造方法およびそれを含有する飲食品 | |
JPH06169735A (ja) | 栄養飲料組成物 | |
JP2002291442A (ja) | 植物ステロール含有水溶性組成物、製造方法および用途 | |
JP2004154060A (ja) | ホスファチジルセリン可溶化液、製造方法及び用途 | |
JPH1066855A (ja) | W/o型乳化組成物並びに食品用及び医薬品用基剤 | |
JP2004189749A (ja) | 化粧料組成物 | |
JP4670008B2 (ja) | 高級脂肪族化合物を含有する炊飯用添加剤 | |
JPH03290166A (ja) | 栄養組成物 | |
JPH05209190A (ja) | 油脂含有粉末組成物の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050425 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061012 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061026 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061225 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20061225 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070903 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070916 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111005 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111005 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131005 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |