JP4019476B2 - 連続鋳造における鋳片冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、垂直曲げ型連続鋳造機による初期の鋳造方法に関し、特に熱間強度の高い鋼種の鋳造において安定操業が可能な連続鋳造における鋳片冷却方法を提案するものである。
【0002】
一般に、鋼の連続鋳造機における鋳造の初期においては、鋳型に注入した溶鋼をある一定時間湯溜めして、冷材および鋳型からの抜熱により最ボトム部を凝固させある程度固めたのち、ダミーバーで鋳片の引き抜きを開始し、そのあとに連続する鋳片は、鋳型内での抜熱で表面からある厚さまで凝固した状態で鋳型から出てくると、直ちに2次冷却水により冷却され鋳片内部の未凝固部分を完全に凝固させる方法が採用されている。
【0003】
このような鋼の連続鋳造に使用される連続鋳造機としては、大別して、鋳型から凝固の完了した鋳片を切断するまでの間を水平面に対し垂直方向になるように配置した機高の高い垂直型連続鋳造機、鋳型から所定長さまでを湾曲形状に配し、機高を低くした全湾曲型連続鋳造機および鋳型から所定長さまでを水平面に対し垂直とし、その後曲げ部、矯正部を順次配した垂直曲げ型連続鋳造機が知られている。
【0004】
連続鋳造に際しては、水平面に垂直な部分の長い方が鋳片の非金属介在物欠陥などが少なくなるため、鋳片の品質面では垂直型連続鋳造機が優れているが、機高が高くなるため建設費が高騰し、また生産性も低いことなどから、新設される連続鋳造機は垂直曲げ型連続鋳造機が主流となっている。
【0005】
一方、連続鋳造の普及により、これまで連続鋳造が困難とされていた種々の鋼種の連続鋳造化が試みられるようになってきている。
【0006】
このような状況のもと、垂直曲げ型連続鋳造機による連続鋳造において、一部の鋼種、特に熱間強度の高い鋼種で、ノロかみ等の鋳片欠陥や、ブレークアウトなどの重大な操業トラブルが発生し、これらの解決が強く望まれていた。
【0007】
【従来の技術】
これまで、熱間強度の高い鋼種を連続鋳造する際には、通常の鋼の鋳造に比し、2次冷却水の水量を減らして鋳造する方法が一般的に行われている。しかしながら、2次冷却水を減量して鋳片の緩冷却化を図る方法では、鋳片が完全ドライ化してバルジングやブレークアウトが発生する場合があり、技術的に限界があった。
【0008】
また、特開平3−291148号公報(鋳片引抜き用ダミーバー及び連続鋳造方法)には、特殊な構成の鋳型と特殊な形状のダミーバーを用いて、鋳造初期における鋳片欠陥の発生やブレークアウトを防止する方法が提案開示されているが、この方法を熱間強度の高い鋼の鋳造に適用する場合、その熱間強度に適したダミーバーを用意する必要があり、通常の熱間強度を有する鋼の鋳造に適したものと2種以上のダミーバーヘッドを持っていなければならないという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記した問題点を有利に解決しようとするものであり、垂直曲げ型連続鋳造機による連続鋳造において、熱間強度の高い鋼種であっても、製造コストを上昇させることなく品質欠陥の少ない鋳片が得られ、かつ安定操業が可能な連続鋳造における鋳片冷却方法を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、連続鋳造における鋳造初期のボトム部鋳片の緩冷却化には、2次冷却水温度を調整することが非常に容易であること、鋳片欠陥の発生防止、安定操業に極めて有効であることを知見し、この発明に至ったものである。
すなわち、この発明の要旨とするところは以下の通りである。
【0011】
垂直曲げ型連続鋳造機で熱間強度の高い SUS304 、 SUS420J1 または SUS420J2 のいずれかの鋼を鋳造するに際し、
鋳造初期のボトム部鋳片の2次冷却水温度を35℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造における鋳片冷却方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明に至った経緯とこの発明の作用効果について以下に述べる。
発明者らは、垂直曲げ型連続鋳造機を用いて各種の鋼の鋳造を行ったところ、一部の鋼種において、鋳造開始直後に、鋳型内湯面が著しく変動することを経験した。この著しい湯面の変動は、鋳型内湯面を覆っているモールドパウダの溶鋼中への巻き込みをもたらし、鋳片のノロかみ等の欠陥をもたらすほか、鋳型内あるいは鋳型下での鋳片のブレークアウト等の重大な操業トラブルを発生させることになる。
【0014】
さらに、初期鋳造時の湯面変動の原因を詳細に検査したところ、SUS304、SUS420J1またはSUS420J2のような熱間強度の高い鋼種で湯面変動が大きく、その変動は、連続鋳造機の曲げ部あるいは矯正部で、ボトム部鋳片が曲がり切らずに、ロールに突きかかるいわゆる段落ち現象により鋳片の引き抜き速度が変化し発生する。
【0015】
そこで、ボトム部鋳片を緩冷却化する方法について実験・検討を重ねた結果、2次冷却水の水温を上昇させることが極めて容易かつ効果的であるとの結論に達したのである。
【0016】
よって、この発明は、鋳造初期におけるボトム部鋳片の2次冷却水温度を35℃以上に保持することとしたものである。
【0017】
すなわち、この発明によれば、垂直曲げ型連続鋳造機にて熱間強度の高い鋼種、例えばSUS304、SUS420J1あるいはSUS420J2などの鋼を鋳造する際に、2次冷却水温度を35℃以上に保持するようにしたので、前記した冷却水量を減らす従来技術のように鋳片がドライ化してトラブルを起すことなく、安定した緩冷却化が可能になり、鋳造機の曲げ部における鋳片の曲がりが容易になって、引き抜き時に鋳片がロールと強く干渉し合い引き抜き速度が変化するいわゆる段落ち現象を防止することができるようになる。
【0018】
また、2次冷却水の35℃以上の温度制御は、例えば水蒸気の投入量調整で極めて容易に行うことができる。
【0019】
ここで、図1に垂直曲げ型連続鋳造機による初期の鋳造状況の説明図を示す。
この図1において、1は連続鋳造用の鋳型、2はロール群でこれらのロール群2はモールド1の直下のA部では水平面に対し垂直方向に直線状に配列され、その下方のB部では曲線状に配列されていて、鋳型1からダミーバー3によって引き抜かれる鋳片4はロール群2が曲線状に配列されているB部で曲げられながら引き抜かれる。したがって鋳型1から引き抜かれた鋳片4が直ちに2次冷却水により冷却されるが、その際、熱間強度の高い鋼種の場合、緩冷却しないとボトム部の鋳片4が固くなって曲がりにくくなり、そのためロール群2と鋳片4とが強く干渉し合っていわゆる段落ち現象を生じ、引き抜き速度が変動することになる。
【0020】
このような状況のもと、熱間強度の高い鋼種の連続鋳造において、2次冷却水の温度が35℃未満では、鋳造初期ボトム部鋳片の強度が大きくなりすぎて、曲げ部やそれに続く矯正部で鋳片が十分に曲がりきらず上記したような段落ちを防止できないが、2次冷却水温度を35℃以上にすることにより、鋳片の強度は十分に小さくなり、曲げ部、矯正部で十分かつ容易に曲げられるので段落ちを生じることがない。
【0021】
ここで、図2に2次冷却水温度と段落ち発生率との関係のグラフを示す。
この図2は、C:0.06%、Si:0.25%、 Mn :0.44%、Cr:18.2%およびNi: 8.1 %を含有するSUS304の溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機で、2次冷却水温度を変化させ、初期鋳造速度:0.5m/min でそれぞれ幅:730 mm、厚さ:260 mmの鋳片を鋳造したときの、鋳造初期における段落ち発生率の調査結果をまとめたものである。
【0022】
この図から明らかなように、2次冷却水温度が35℃以上であれば、鋳造初期における段落ち現象の発生を防止できることが分る。
【0023】
【実施例】
C:0.025 %、Si:0.25%、 Mn :0.44 %、Cr:13.1%、Ni:4.0%およびMo:1.0%を含有するマルテンサイト系ステンレス鋼の溶鋼を垂直曲げ型連続鋳造機により、2次冷却水温度を2水準に変化させ下記する条件でそれぞれ連続鋳造を行い、鋳型内湯面レベルの変動状況を調査した。
【0024】
▲1▼垂直曲げ型連続鋳造機主要諸元
・湾曲部半径:9.6m
・矯正部位置:16.2 〜19.5m
・垂直部長さ:2.5m
・曲げ位置:2.5〜4.3m
▲2▼鋳造条件
・鋳造速度:鋳込初期 0.5m /min
・2次冷却水
水量:200 〜300 l/m2
水温:25℃(従来例)、40℃(適合例)
・鋳片寸法:幅730 mm、厚さ260 mm
【0025】
それらの調査結果を図3(a),(b) に示す。
図3は鋳造開始からの時間と湯面レベルとの関係を示すグラフで、(a) は従来例、(b) は適合例である。
【0026】
これらの図から明らかなように、鋳造初期において、(a) の従来例(2次冷却水温度:25℃)では、ボトム部鋳片が曲げ部、矯正部(ベンディング)通過時にいわゆる段落ち現象が発生し、湯面レベルに大きな変動が認められる。これに対し(b) の適合例(2次冷却水温度:40℃)では、湯面レベルの大きな変動は全くなく、鋳造初期にても安定した鋳造ができている。
【0027】
【発明の効果】
この発明は、垂直曲げ型連続鋳造機により連続鋳造するにあたり、2次冷却水温度を特定するものであり、
この発明によれば、熱間強度の高い鋳造初期に発生するいわゆる段落ち現象による鋳型内湯面変動を防止でき、安定して鋳造を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】垂直曲げ型連続鋳造機による初期の鋳造状況の説図である。
【図2】2次冷却水温度と段落ち発生率との関係のグラフである。
【図3】鋳造開始からの時間と湯面レベルとの関係のグラフである。
(a) は従来例である。
(b) は適合例である。
Claims (1)
- 垂直曲げ型連続鋳造機で熱間強度の高い SUS304 、 SUS420J1 または SUS420J2 のいずれかの鋼を鋳造するに際し、
鋳造初期のボトム部鋳片の2次冷却水温度を35℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造における鋳片冷却方法
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JP33692097A JP4019476B2 (ja) | 1997-12-08 | 1997-12-08 | 連続鋳造における鋳片冷却方法 |
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