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JP4008727B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池用酸化物半導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池セルとして、単結晶あるいは多結晶のSiを用い、その中にp−nジャンクションを形成し、太陽光が照射された際にSi内部に生成する電子とホールをp−nジャンクション内部の電位勾配を利用して分離して外部に取り出し、発電を行うものが、現在利用されている。この太陽電池においては、発電効率の向上が主な開発項目となっている。また、製造コスト削減も一方で重要な開発課題であり、a(アモルファス)−Siを用いた太陽電池の開発も進められている。しかしながら、Si系の太陽電池には、高効率と低コストの両立が困難であるという問題点がある。
【0003】
この問題を解決するために、新しい光化学太陽電池が考案されている。この光化学太陽電池では、酸化物半導体材料として比較的安価な材料である酸化チタン微粒子を用い、この表面に太陽光に対する光吸収特性を改良し可視域の波長の光吸収を可能とするための錯体色素を吸着させている。このような太陽電池は、色素増感型太陽電池と呼ばれ、高効率と低コストの両立が可能になった。色素増感型太陽電池は、例えば特開平1−220380号公開公報や、特表平5−504023に開示されている。
【0004】
色素増感型太陽電池としては、以下に説明する構成を有するものが知られている。すなわち、粒径が1μm以下という非常に微細な酸化チタン粒子を比較的低温で焼結することによって得られる厚さ10μm程度のポーラス構造を持つ酸化チタン層に、その比表面積が大きいことを利用して太陽光の可視域の波長の光を吸収しうる錯体色素を多く吸着させることによって、酸化物半導体電極を得る。この酸化物半導体電極と対向電極との間に、液体状あるいは固体状の電解質を介在させる。このような構成にすることによって、Si系太陽電池に比較して高いエネルギー変換効率を維持したまま低コストな太陽電池を実現することが可能になった。
【0005】
しかしながら、この色素増感型太陽電池では以下で述べるようなバックチャージトランスファーという現象が生じる可能性があり、エネルギー変換効率が低下する恐れがあるという問題点がある。
【0006】
すなわち、色素増感型太陽電池において変換効率を向上させるポイントは、太陽光を吸収した錯体色素で生成する電子とホール(正孔)を効率よく外部電極へと取り出す点にある。つまり、色素内で生成した電子を酸化チタンなどの酸化物半導体の伝導帯へ、ホール(正孔)を色素と接する液体電解質へと速やかに授受を行い、色素で生成した電子とホール(正孔)を酸化物半導体と電解質とを通じて外部電極に取り出す必要がある。
【0007】
酸化物半導体電極の酸化チタン薄膜は、前述したように多孔質な構造を有する。このため、電解質の多くはこの酸化チタン薄膜の多孔質部分に浸透しており、色素で覆われていない一部の酸化チタン粒子表面は直接電解質と接している場合がある。酸化チタン薄膜の表面に吸着されている増感色素が太陽光を吸収し、電子とホール(正孔)を生成し、酸化チタン薄膜に電子が注入された場合も、酸化チタン粒子と電解質とが直接接している部分があると増感色素から酸化チタン薄膜に注入された電子が、電解質に受け渡されたホール(正孔)と再結合したり、あるいは増感色素内に残存するホール(正孔)と再結合する現象、つまりバックチャージトランスファーが生じると、電池内部で励起電子が失活し、エネルギー変換効率が低下する。バックチャージトランスファー現象が発生すると、光吸収により得られた電子とホールを外部回路まで取り出すことができず、エネルギー変換効率は低下してしまう。特に、電解質に高濃度の酸化還元対(例えばI/I3 イオン対)を導入した場合に、前記バックチャージトランスファー現象が顕著に生じる。
【0008】
これを解決する一つの手法として、例えばK. TennakoneらがChem. Comm., 15-16 (1999)の中で開示しているように、複数の金属酸化物の混合物を含む酸化物半導体電極を使用する手法がある。彼らは、平均粒径が約2μmの酸化亜鉛(ZnO)粉末と平均粒径が約15nmである酸化スズ(SnO2)粉末との混合物を色素増感型太陽電池の半導体電極として用いた例を報告している。色素内部で励起された電子が酸化亜鉛を通じて酸化スズの伝導帯へと注入される。ここで、単に酸化スズのみを半導体電極として用いた場合と比べて、あいだに粒径の大きな酸化亜鉛粒子が存在することで注入された電子と色素内に残ったホール(正孔)が空間的に大きく隔てられることになる。これにより、従来問題となっていたバックチャージトランスファー現象が起こる可能性が小さくなり、結果として効率が向上するとしている。
【0009】
しかしながら、K. Tennakoneらの手法は、酸化亜鉛と酸化スズのそれぞれの粉末を混合して低温で焼成することにより半導体電極を得るため、両者の粒子間の結合は強固ではなく、また界面には不純物が残存する可能性がある。その結果、酸化亜鉛と酸化スズの間の電子伝導がスムーズに起こらなくなるため、酸化亜鉛中での電子の滞留時間が長くなって電子とホールとの再結合の確率が高くなり、外部回路に有効に電子を取り出すことが難しく、高いエネルギー変換効率が得られないという課題が残っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エネルギー変換効率の向上された色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る色素増感型太陽電池は、透明導電体層と、前記透明導電体層上に担持される酸化物半導体電極と、前記酸化物半導体電極に吸着される色素と、対向電極とを具備する色素増感型太陽電池であり、
前記酸化物半導体電極は、複数の金属酸化物の固溶体を含有する母相と、前記固溶体を構成する金属成分のうち少なくとも1種類が単体もしくは酸化物として前記母相の表面に析出した析出相とを含有する酸化物半導体を含むことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る色素増感型太陽電池の一例を説明する。
【0014】
この色素増感型太陽電池は、第1の透光性基板と、前記第1の透光性基板に形成される透明導電体層と、前記透明導電体層上に担持される酸化物半導体電極と、前記酸化物半導体電極に吸着される色素と、第2の基板に形成される対向電極と、前記酸化物半導体電極と前記対向電極との間に介在される電荷輸送体とを具備する。
【0015】
前記酸化物半導体電極は、複数の金属酸化物の固溶体を含有する母相と、前記固溶体を構成する金属成分のうち少なくとも1種類が単体もしくは酸化物として前記母相の表面に析出した析出相とを含有する酸化物半導体を含む。
【0016】
このような構成の色素増感型太陽電池によれば、複数の金属酸化物の固溶体の表面に析出相が存在している分、色素内部で生成した電子とホールとの物理的な距離を拡大することができると共に、酸化物半導体内の電子の移動をTennakoneらの技術よりも容易にすることが可能である。その結果、光吸収により色素で生成した電子とホールをセル内部で失活させることなく外部回路に取り出すことができるため、色素増感型太陽電池のエネルギー変換効率を高めることができる。
【0017】
以下、酸化物半導体電極、第1の透光性基板、第2の基板、色素、電荷輸送体、対向電極について説明する。
【0018】
1)酸化物半導体電極
この酸化物半導体電極は、複数の金属酸化物の固溶体を含有する母相と、前記固溶体を構成する金属成分のうち少なくとも1種類が単体もしくは酸化物として前記母相の表面に析出した析出相とを含有する酸化物半導体を含む。この酸化物半導体は、粒子か、もしくは薄膜の形態を有することができる。中でも、増感色素の吸着量を増やすため比表面積を大きくできる粒子が好ましい。
【0019】
固溶体を構成する金属酸化物の組み合わせとしては、固溶体を形成しのちの還元処理によりその一部の金属酸化物が還元しうるものであれば特に限定はされないが、例えば酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)、五酸化タンタル(Ta25)と酸化スズ(SnO2)を挙げることができる。
【0020】
母相中には、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化コバルト(CoO)などが含まれていても良い。
【0021】
酸化チタンと酸化スズの固溶体か、もしくは五酸化タンタルと酸化スズの固溶体を含有する母相の表面には、スズが単体もしくは酸化物として析出していることが望ましい。特に、析出相に酸化物が含まれていると、色素の吸着特性が改善され多量の色素を吸着させるのに有利であり、太陽電池のエネルギー変換効率をより向上することができるため、好ましい。
【0022】
母相の大きさは、10nm〜5μmの範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。母相の大きさが10nmよりも小さいと、粉末として利用する場合はハンドリングが困難となる。また、n型酸化物層内の気孔径が著しく小さくなり、電解質中のイオンの拡散が律速されるなど太陽電池としての性能を低下させる恐れがある。一方、母相の大きさが5μmよりも大きくなると、粉末として用いる場合には低温での焼結が困難となり、酸化物半導体層内部での電荷の移動が妨げられる恐れがある。また、酸化物半導体層の比表面積が著しく小さくなり、吸着できる色素量が少なくなるため、効果的に光電変換を行うことができず太陽電池の性能が著しく低下する恐れがある。母相の大きさのより好ましい範囲は、20nm〜2μmである。
【0023】
析出相の大きさは、5nm〜500nmの範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。析出相の大きさを5nm未満にすると、電子とホールの電荷分離距離が小さくなり、結果としてバックチャージトランスファー抑制効果が低減し、太陽電池の性能低下につながる恐れがある。一方、析出相の大きさが500nmを超えると、色素から注入された電子の析出相内部での滞留時間が長くなり、再び電子とホールの再結合の確率が上昇してしまう恐れがある。析出相の大きさのより好ましい範囲は、10nm〜200nmである。
【0024】
母相ならびに析出相の大きさは、走査型あるいは透過型の電子顕微鏡を用いて微構造を観察して測定することが可能である。
【0025】
酸化物半導体中の析出相の覆う面積は、母相表面に対して、2%〜50%の範囲内にすることが好ましい。これは以下に説明する理由によるものである。析出相による被覆面積を2%未満にすると、バックチャージトランスファー現象を抑制する効果が小さくなり高いエネルギー変換効率を得られない恐れがある。一方、析出相による被覆面積が50%を超えると、特に粉末として用いる場合に母相の粒子同士の焼結を阻害する恐れがある。酸化物半導体中の析出相の覆う面積は、母相表面に対して、3%〜40%の範囲内にすることが好ましい。
【0026】
粒子形状の酸化物半導体は、例えば、以下に説明する方法で合成される。
【0027】
まず所望の組成となるよう、固溶体を構成する当該の金属酸化物原料粉末を秤量し、混合する。均一になるまで混合した原料粉末を耐熱性容器に入れ、固溶体が生成する温度以上まで昇温し、加熱処理を行う。得られた固溶体を必要に応じて粉砕し、再び耐熱容器に入れて水素気流中などの還元雰囲気中で熱処理を行う。この還元雰囲気中での熱処理により、固溶体中を構成する金属酸化物のうち、より還元されやすい金属元素が内部から固溶体表面へと拡散して析出し、酸化物半導体粒子を得る。この酸化物半導体粒子に、空気中、あるいは一部酸素を含む雰囲気中で熱処理を行って固溶体表面に析出した金属を再び酸化することが望ましい。母相である固溶体表面に金属酸化物を含む析出相が析出していると、色素の吸着特性を改善することができ、多量の色素を表面に吸着させることができるので太陽電池のエネルギー変換効率をさらに高くすることができ好ましい。
【0028】
得られた半導体粒子が例えば粉末状であれば、再び溶剤、界面活性剤、バインダーなどを用いてペースト状にし、第1の透光性基板上に形成された透明導電層上に塗布し、熱処理によって焼結することにより、透明導電層上に酸化物半導体電極を形成することができる。
【0029】
固溶体のベースとなる金属酸化物材料は、一般的な電子伝導性(n型)酸化物材料であれば特に限定はされないが、以下で述べる還元処理において金属状態まで還元されることなく安定なものが好ましく、従来から色素増感型太陽電池の電極として適用例がある酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta25)、五酸化ニオブ(Nb25)などが好適である。また、前記ベースとなる金属酸化物材料に固溶し、後工程の還元処理により金属状態で析出する材料としては、ベース材料となる金属酸化物と固溶体を形成し、また還元処理条件で金属状態まで還元しうる金属酸化物であれば特に限定はされないが、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などが好適で、やはりこれまで色素増感型太陽電池の電極材料として適用例のある酸化スズ(SnO2)が特に好適である。また第3成分として酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化コバルト(CoO)などを微量添加することも許容される。
【0030】
固溶体は、例えば、熱処理によって合成される。固溶限界に注意しながら所定の割合となるよう固溶体の構成金属酸化物の粉末を秤量し混合する。混合の方法としては、粉末同士を乾式で混合しても、水や有機溶剤を媒体として湿式混合を行っても良い。得られた混合粉末は、必要に応じて乾燥の後、磁製容器などの耐熱容器に入れて所定の温度・時間で熱処理される。熱処理の際、反応性を改善するためにペレット状に成形してもよい。通常、固溶体を形成するためには800℃以上の温度で熱処理をすることが必要となるが、例えば酸化チタンと酸化スズを原料とする場合は1350℃で12時間程度空気中での熱処理である。
【0031】
得られた固溶体は、通常熱処理により緻密化している場合が多い。色素増感型太陽電池の酸化物半導体電極は、比表面積を大きくし増感色素を多量に吸着して光吸収能を高めることが多いため、前記固溶体をそのまま電極として用いることは好適ではない。したがって、一度粉砕処理を行い、固溶体の微細粉を得ることが好ましい。粉砕は乳鉢等で機械的に行っても良く、また乾式・湿式ボールミル、遊星ボールミルなどの装置を利用して行っても良い。さらには、プラズマフレーム中に粉末を投入し、さらに微細化処理を行うこともできる。必要ならば、得られた微細粉末からさらに分級装置や篩などを用いて必要な範囲の微細な粉末だけを取り出すことも好適である。
【0032】
得られた固溶体微細粉末は、固溶体を構成する金属酸化物の一部を還元し析出させるために還元雰囲気中で熱処理を施す。還元雰囲気としては、水素を含有するガス中などが好適である。例えば酸化チタン−酸化スズ系の固溶体では、700℃前後(600℃から1000℃の範囲が好ましい)の温度で熱処理を行うことによって、スズを固溶体表面に粒状に析出させることができる。
【0033】
母相表面に金属微粒子が析出した粉末はこのまま酸化物半導体電極として用いても良いが、析出した金属は、増感色素の吸着特性を良好にするために酸素含有雰囲気中の熱処理により酸化することが望ましい。なお、この酸化処理は、透光性基板上の透明導電層に半導体粒子を含むペーストを塗布した後に行う熱処理で兼ねても良い。
【0034】
以上の方法により、本発明に係る酸化物半導体微粒子を得ることが可能である。得られた粉末は、水や有機溶剤などの溶媒、分散剤、バインダーなどとともに混合しペースト化する。得られたペーストは、スキージ印刷法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法などを用いて、透光性基板上に形成された透明導電膜上に所望の厚さで塗布される。さらにこの基板を熱処理することによって、透明導電膜上に酸化物半導体電極を形成することができる。
【0035】
酸化物半導体電極は、粉末を利用する以外にCVD法やスパッタ法などで形成することも可能である。例えばスパッタ法を用いるならば、前記と同様の方法で所望の金属酸化物組成の固溶体を熱処理により作製する。これをスパッタ源として利用して、透明導電膜上に固溶体組成の電極膜を形成する。この固溶体酸化物電極膜が形成された基板を、水素含有気流中での還元処理、必要に応じて酸素含有雰囲気中での酸化処理を経ることによって、やはり酸化物固溶体を含有する母相上に構成金属のうちの少なくとも1種類が単体もしくは酸化物として析出した析出相とを含む酸化物半導体電極を形成することも可能である。
【0036】
なお、固溶体の組成は、例えば、EPMAやEDX、オージェ分析などの機器分析手法を用いて確認することができる。また、母相である酸化物微粒子は前述の還元処理によりその内部に酸素欠損が生じていることが多い。酸素欠損の存在は精密熱天秤により酸素気流中で昇温しながら試料の重量変化を測定し、重量増加を観察することで確認することができる。
【0037】
本発明に係る色素増感型太陽電池の酸化物半導体電極では、複数の金属酸化物の固溶体に還元処理を施すことによって、固溶体を構成する金属成分のうちの少なくとも1種類を単体または酸化物として表面に析出させているため、母相にも酸素欠損が存在している。その結果、酸化物半導体電極内部のキャリア濃度が増大するため、母相粒界近傍の空乏層の厚さが薄くなって電子の移動が容易になるという二次的な効果を発現することができる。従って、太陽電池の内部抵抗を減らしエネルギー変換効率を高める効果につながることが期待される。
【0038】
2)第1の透光性基板
この透光性基板としては、例えば、ガラス製やプラスチック製などの透明な基板を用いることが可能である。また、ハンドリングすることが可能であれば、特に厚さは限定されず、フィルム状の薄いものでも適用可能である。
【0039】
2.5)対極を形成する第2の基板
この基板としては、第1の透光性基板と同様にガラスやプラスチック製の基板の表面に電気導電層(金属層あるいは透明導電体層)が形成されたもの、あるいは金属板そのものでも適用可能である。この基板は光透過性を有しているもの、有していないもの、いずれも適用可能である。
【0040】
3)透明導電体層
透明導電体層としては、可視光域に光吸収の少ない導電性材料であれば特に限定されないが、耐熱性や導電特性などの観点からITO(In−Sn−O)やフッ素ドープされた酸化スズあるいはAlをドープした酸化亜鉛などの金属酸化物薄膜が望ましい。
【0041】
4)色素(増感色素)
増感色素は、太陽光などの入射光を吸収して励起状態になり、その内部に電子とホールが生成するものならば特に限定されないが、太陽光の波長分布と近い吸収特性を有する材料が望ましく、また酸化物半導体電極に電子を効率よく注入するためには、増感色素のLUMO準位のエネルギー位置が酸化物半導体の伝導体のそれよりも同じかそれ以上であることが望ましい。中でも、ルテニウム−トリス、ルテニウム−ビス、オスミウム−トリス、オスミウム−ビス型遷移金属錯体、多核錯体、またはルテニウム−シス−ビピリジル錯体、またはフタロシアニンやポルフィリン、多環芳香族化合物が望ましい。
【0042】
5)電荷輸送体(電解質)
電荷輸送体(電解質)の形態は、液体、疑似液体(ゲルなど)、固体のいずれにしても良い。
【0043】
電荷輸送体としては、ヨウ化物、臭化物、キノン錯体、TCNQ錯体などを含む電解質溶液、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体などをマトリックスとして電解質溶液を含浸させた高分子ゲル電解質、高分子アンモニウム塩などの溶融塩電解質が用いられる。特にヨウ素とヨウ化物イオンから供給されるIとI3 からなる酸化還元対を含有する電解質が好ましい。溶融塩電解質としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、第4級アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、イソチアゾリニウム塩、およびイソオキサゾリジニウム塩等の複素環含窒素化合物のヨウ化物を使用することができる。また、固体ホールもしくは電子移動材料なども適用でき、各種金属フタロシアニン、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレンやコロネンなどの多環芳香族、テトラシアノキノジメタンなどの電荷移動錯体などの結晶性材料、CuIなどの無機結晶性p型半導体材料、あるいはAlq3、ジアミン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレンなどのアモルファス導電性高分子なども適用可能である。なお、電解質溶液を用いた場合、多孔質セラミックスやポリ(弗化ビニリデン)などの有機多孔物質に含浸させることも選択可能である。固体電解質の場合は、酸化物半導体電極に含浸させるために、固体電解質のガラス転移温度あるいは融点以上に加熱し、軟化あるいは溶融した固体電解質と酸化物半導体電極を接触させ、必要に応じて加圧することで良好な接合を実現することができる。
【0044】
6)対向電極
対向電極としては、白金や金、銀などの貴金属材料のほか銅やアルミニウムなどの金属材料、さらには先述のITOなどの透明導電性材料が選択可能である。長年の使用でも特性が劣化しない安定性の面を考慮すると貴金属材料がより望ましい。電解質と電極界面の電荷のやりとりを容易にするためには、触媒作用のある白金が最も好適である。
【0045】
本発明に係る色素増感型太陽電池は、例えば、以下に説明する方法で製造される。まず、第1の透光性基板上の透明導電膜上に形成された酸化物半導体電極を基板ごと、増感色素を溶解したアルコールなどの溶液中に浸漬して放置し、酸化物半導体電極上に増感色素を吸着させる。その後、基板を引き上げ乾燥させる。一方、第2の基板に白金などの対向電極を形成する。第1の基板の酸化物半導体電極と第2の基板の対向電極とを所望の間隔を隔てて対向させる。この際、間隔の制御を容易にするためにスペーサを用いることも好適である。次いで、電解液を注入するための開口部を残して周囲をエポキシ樹脂あるいは熱可塑性フィルムなどで封止する。次に電荷輸送材料(例えば、電解液)を2枚の基板の間に充填して完全に封止し、色素増感型太陽電池を得る。
【0046】
上記で述べたような手法で作製された色素増感型太陽電池は、第1、第2の基板において透明導電膜を用いた場合、光透過性の高い太陽電池となる。これは従来のSi系太陽電池においては容易に作製することが困難であったもので、本発明の色素増感型では比較的容易に作製することができる特徴がある。その結果、現在広く利用されている携帯電子機器の液晶部の上に設置することで、液晶部の視認性をそれほど落とすことなく発電し、携帯機器の駆動電源の一部を補完する形で利用することが可能である。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0048】
(実施例1)
アナタース相を70%とルチル相を30%含有する平均粒径が36nmの市販の高純度酸化チタン粉末をモル比で95%と、平均粒径が60nmの市販の高純度酸化スズ粉末をモル比で5%となるよう秤量し、これらの粉末を乳鉢でアセトンを媒体として湿式混合を行った。この混合粉末を、一軸加圧プレスによりペレット状に成形し、この成形体をアルミナるつぼに入れ1350℃で12時間熱処理を行った。得られた焼結体を乳鉢で粉砕後、引き続き遊星ボールミルでジルコニアボールを用いて24時間粉砕処理を行った。粉砕した粉末をX線回折法により構成相を確認したところ、酸化チタンのアナタース相のピークのみが観察され、酸化スズは酸化チタンに固溶していることが確認された。
【0049】
得られた粉末を石英ボートに移し、純水素ガス流量気流中で800℃で30分還元処理を行ってスズを酸化チタン−酸化スズ固溶体から表面に粒子状に析出させた。得られた粉末をさらに水蒸気をバブリングした空気気流中で600℃で30分熱処理を行い、スズの表面を酸化して酸化スズに改質した。
【0050】
得られた酸化物半導体粒子の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。図1から、酸化チタン−酸化スズ固溶体からなる母相Aの表面に、酸化スズが粒子状に析出(析出相B)していることがわかる。また、得られた酸化物半導体粒子は青緑色をしており、これは酸素欠損を補うためにチタンの一部が3価に変化していることを示している。実際に酸素気流中で昇温し、熱天秤で重量変化を測定したところ重量増加が認められ、酸化物半導体粒子の母相に酸素欠損が存在していることを確認することができた。
【0051】
分級し、粒径が0.7μmより大きい母相粒子を除去したのち酸化物半導体粉末12gに5mLの水を添加し、さらに0.4mLのアセチルアセトンを加えて混練した。引き続き16mLの水を加え、Triton X100を添加して混練することによりペーストを調製した。10Ω/□のシート抵抗を持つフッ素ドープ酸化スズ透明導電膜が形成されたガラス基板上に前記ペーストを少量たらし、スキージ印刷法で20mm×5mm×厚さ40μmで塗布を行った。この基板を470℃で1時間熱処理を行い、ガラス基板上の透明導電膜上に酸化物半導体電極を形成した。得られた酸化物半導体電極の最終的な厚さは9μmであった。
【0052】
酸化物半導体電極付きガラス基板を、下記化1に示すRu(2,2’bipyridyl-4,4’-dicarboxilate)2(NCS)2錯体色素が濃度5×10-4mol/Lでエタノールに溶解された溶液中に浸漬し、8時間放置して酸化物半導体電極の表面に錯体色素を吸着させた。次いで、溶液から基板を引き上げ、乾燥した。色素吸着量を透過率から計算したところおよそ1.5×10-7mol/cm2であった。
【0053】
【化1】
Figure 0004008727
【0054】
ガラス基板上に形成された10Ω/□のシート抵抗を持つフッ素ドープ酸化スズ透明導電膜上に、スパッタ法により350nmの白金を形成することによって対向電極を形成した。ガラス基板上の酸化物半導体電極と、ガラス基板上の対向電極とを対向させ、周囲を電解液注入孔を一部残してエポキシ樹脂により封止した。
【0055】
引き続き、アセトニトリルによう化リチウム0.5M、メチルへキシルイミダゾリウムアイオダイド0.3M、t−ブチルピリジン0.5Mおよびヨウ素0.05Mの濃度でそれぞれを溶解した電解液を注入孔から注入した。注入後、注入孔をエポキシ樹脂で封止して図2に示す構造の色素増感型太陽電池を製造した。
【0056】
すなわち、第1の透光性基板(例えば、ガラス基板)1上に、透明導電膜2が形成されている。色素が吸着された酸化物半導体電極3は、透明導電膜2上に担持されている。一方、第2の透光性基板(例えば、ガラス基板)4上には、透明導電膜(図示しない)を介して対向電極5が形成されている。第1の透光性基板の酸化物半導体電極3と第2の透光性基板の対向電極5との間には、例えば電解液からなる電荷輸送体(電解質)6が介在されている。
【0057】
(実施例2)
前述した実施例1で説明したのと同様にして酸化チタン−酸化スズ固溶体を合成、粉砕した後、前述した実施例1で説明したのと同様な条件で還元処理を行ってスズを酸化チタン−酸化スズ固溶体から表面に粒子状に析出させた。得られた粉末を酸化物半導体粒子として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0058】
(実施例3)
以下に説明する方法で合成した酸化物半導体粒子を用いることと、電解質として1−メチル−3プロピルイミダゾリウムアイオダイドにヨウ化リチウムを0.5M、t−ブチルピリジンを0.58M、ヨウ素を0.3M添加し、さらにこの溶液全体に対して10wt%の水を添加したものを使用した以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0059】
2μmの市販の高純度五酸化タンタル粉末をモル比で97%と、平均粒径が70nmの市販の高純度酸化スズ粉末をモル比で3%となるよう秤量し、これらの粉末を乳鉢でアセトンを媒体として湿式混合を行った。この混合粉末を、一軸加圧プレスによりペレット状に成形し、この成形体をアルミナるつぼに入れ1300℃で12時間熱処理を行った。得られた焼結体を乳鉢で粉砕後、引き続き遊星ボールミルでジルコニアボールを用いて36時間粉砕処理を行った。粉砕した粉末をX線回折法により構成相を確認したところ、五酸化タンタルのピークのみが観察され、酸化スズは五酸化タンタルに固溶していることが確認された。
【0060】
得られた粉末を石英ボートに移し、純水素ガス流量気流中で780℃で20分還元処理を行ってスズを五酸化タンタル−酸化スズ固溶体から表面に粒子状に析出させた。得られた粉末をさらに水蒸気をバブリングした空気気流中で600℃で30分熱処理を行い、スズの表面を酸化して酸化スズに改質した。
【0061】
(実施例4)
以下に説明する方法で合成した酸化物半導体粒子を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0062】
平均粒径が0.2μm、純度99.9%の市販の酸化チタン粉末をモル比で92%と、平均粒径が60nmの市販の高純度酸化スズ粉末をモル比で8%となるよう秤量し、これらの粉末を乳鉢でイソブタノールを溶媒としてジルコニアボールを媒体としてボールミルにより湿式混合を行った。エバポレータでブタノールを除去後この混合粉末を、一軸加圧プレスによりペレット状に成形し、この成形体をアルミナるつぼに入れ1300℃で24時間熱処理を行った。得られた焼結体を乳鉢で粉砕後、引き続き遊星ボールミルでジルコニアボールを用いて48時間粉砕処理を行った。粉砕した粉末をX線回折法により構成相を確認したところ、酸化チタンのアナタース相のピークのみが観察され、酸化スズは酸化チタンに固溶していることが確認された。
【0063】
得られた粉末を石英ボートに移し、純水素ガス流量気流中で720℃で30分還元処理を行ってスズを酸化チタン−酸化スズ固溶体から表面に粒子状に析出させた。得られた粉末をさらに水蒸気をバブリングした空気気流中で600℃で30分熱処理を行い、スズの表面を酸化して酸化スズに改質した。
【0064】
(比較例1)
酸化物半導体粒子として、アナタース相を70%とルチル相を30%含有する平均粒径が36nmの市販の高純度酸化チタン粒子を用い、酸化スズ粉末は混合しないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0065】
(比較例2)
実施例4と同じ酸化チタン粉末と酸化スズ粉末を原料とし、酸化チタン粉末のモル比が92%、酸化スズ粉末のモル比が8%となるよう秤量し、これらの混合粉末12gに5mLの水を添加し、さらに0.4mLのアセチルアセトンを加えて混練した。引き続き16mLの水を加え、Triton X100を添加して混練することによりペーストを調製した。10Ω/□のシート抵抗を持つフッ素ドープ酸化スズ透明導電膜が形成されたガラス基板上に前記ペーストを少量たらし、スキージ印刷法で20mm×5mm×厚さ40μmで塗布を行った。この基板を470℃で1時間熱処理を行い、ガラス基板上の透明導電膜上に酸化物半導体電極を形成した。得られた酸化物半導体電極の最終的な厚さは9μmであった。
【0066】
この酸化物半導体電極を用いること以外は、前述した実施例4で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0067】
得られた実施例1〜4および比較例1〜2の太陽電池に90mW/cm2の強度で疑似太陽光を照射し、その電圧−電流測定から出力測定を行い、最高出力とエネルギー変換効率を求め、その結果を下記表1に示す。なお、表1には、酸化物半導体粒子の母相の固溶体を構成する金属酸化物の種類、母相の大きさ、析出相の組成、析出相の大きさ、酸化物半導体粒子表面中の析出相の存在比率を併記する。但し、比較例2については、TiO2粒子を母相、SnO2粒子を析出相と仮定し、TiO2粒子の表面に付着しているSnO2粒子量を析出相表面存在比率として表1に記載した。
【0068】
(実施例5)
アナタース相を90%とルチル相を10%含有する平均粒径が45nmの市販の高純度酸化チタン粉末をモル比で93%と、平均粒径が80nmの市販の高純度酸化スズ粉末をモル比で7%となるよう秤量し、これらの粉末を乳鉢でアセトンを媒体として湿式混合を行った。この混合粉末を、一軸加圧プレスにより円盤に成形し、この成形体をアルミナさやに入れ1350℃で12時間熱処理を行い、酸化チタン−酸化スズ固溶体スパッタ用ターゲットを作製した。
【0069】
このターゲットに対向してフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されたガラス基板を配置し、アルゴン−酸素雰囲気中、出力1.5kWで2時間スパッタを行った。その結果、透明導電膜上には5mm×20mm×厚さ1.5μmの酸化チタン−酸化スズ固溶体薄膜が形成された。
【0070】
この基板を水素気流中、600℃で10分間熱処理を行って、固溶体からスズ粒子を表面に析出させ、さらに雰囲気を酸素雰囲気に切り替えて30分熱処理を行いスズ粒子を酸化して酸化スズとした。
【0071】
得られた酸化物半導体電極を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0072】
(比較例3)
アナタース相を90%とルチル相を10%含有する平均粒径が45nmの市販の高純度酸化チタン粉末を一軸加圧プレスにより円盤に成形し、この成形体をアルミナさやに入れ1350℃で12時間熱処理を行い、スパッタ用ターゲットとして用意した。
【0073】
このターゲットに対向してフッ素ドープ酸化スズ薄膜が形成されたガラス基板を配置し、アルゴン−酸素雰囲気中、出力1.5kWで2時間スパッタを行った。その結果、透明導電膜上には5mm×20mm×厚さ1.5μmの酸化チタン薄膜が形成された。
【0074】
得られた酸化物半導体電極を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして色素増感型太陽電池を製造した。
【0075】
得られた実施例5および比較例3の太陽電池に90mW/cm2の強度で疑似太陽光を照射し、その電圧−電流測定から出力測定を行い、最高出力とエネルギー変換効率を求め、その結果を下記表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004008727
【0077】
表1から明らかなように、複数の金属酸化物の固溶体からなる母相と、前記固溶体を構成する金属成分のうち1種類が単体もしくは酸化物として前記母相の表面に析出した析出相とを含有する酸化物半導体粒子を含む実施例1〜4の太陽電池は、比較例1〜2の太陽電池に比較して最高出力とエネルギー変換効率とが高いことがわかる。特に、実施例1と2を比較することによって、析出相に金属酸化物が含まれている実施例1の方が、析出相が金属である実施例2に比較して最高出力とエネルギー変換効率を高くできることが理解できる。
【0078】
また、比較例2の太陽電池のエネルギー変換効率が低いのは、K. TennakoneらがChem. Comm., 15-16 (1999)の中で開示しているような、金属酸化物の混合物を酸化物半導体として用いているからである。
【0079】
一方、スパッタ法により作製された酸化物半導体電極を備える実施例5の太陽電池は、比較例3の太陽電池に比較して最高出力とエネルギー変換効率が高いものの、実施例1の太陽電池と実施例5の太陽電池を比較すると、実施例1の方が優れていることがわかる。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、エネルギー変換効率の向上された色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の色素増感型太陽電池に含まれる酸化物半導体粒子を示す顕微鏡写真。
【図2】実施例1の色素増感型太陽電池を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1…第1の透光性基板、
2…透明導電膜、
3…酸化物半導体電極、
4…第2の基板、
5…対向電極、
6…電解質(電荷輸送体)。

Claims (2)

  1. 透明導電体層と、前記透明導電体層上に担持される酸化物半導体電極と、前記酸化物半導体電極に吸着される色素と、対向電極とを具備する色素増感型太陽電池であり、
    前記酸化物半導体電極は、複数の金属酸化物の固溶体を含有する母相と、前記固溶体を構成する金属成分のうち少なくとも1種類が単体もしくは酸化物として前記母相の表面に析出した析出相とを含有する酸化物半導体を含むことを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記酸化物半導体は、酸素欠損を有していることを特徴とする請求項1の色素増感型太陽電池。
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