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JP4094571B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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本発明は、トレッド表面にサイプにサイプが刻まれた空気入りラジアルタイヤに関し、より詳しくはアイス性能と摩耗性能の両立を図った空気入りラジアルタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、主溝や横溝の他にトレッド表面に更に幅の狭いサイプを切り刻んで、排水性を向上させてきた。また、氷雪路の走行を目的としたスタッドレスタイヤにおいては、更に多くのサイプを刻み、該サイプのエッジ効果を発揮させ、制動・駆動性能及び旋回性能を向上させてきた。
図1(b)に示すように、サイプ1は一定の厚みで刻まれることが多かった。例えば、タイヤ幅方向に刻まれたサイプは、制動時になどにおいて負荷される前後力によりサイプ一様に閉塞してしまう。その結果、サイプが本来発揮すべきエッジ効果や除水効果が低下する。このような問題を解決すべく、特許文献1に開示された空気入りタイヤにおいては、図1(c)に示すように、厚みを他の部分より厚くした幅広部2をサイプ1に設け、エッジ効果や除水効果の向上を図っている。
特開平9−272312号公報
特許文献1に係る空気入りタイヤにおいては、サイプ1の開口部3の閉塞を防止できエッジ効果や除水効果が向上する。しかし、幅広部2はトレッド表面Tからサイプ底4まで延びているので、サイプ1が刻まれたブロック(陸部)の剛性が低下する。その結果、サイプ1が倒れ込み易くなり接地面積の低下を招き、アイス性能が低下したり偏摩耗が発生することがあった。
したがって、本発明の目的は、サイプの開口部の閉塞を抑制しエッジ効果や除水効果を確保し、アイス性能と摩耗性能を向上することにある。
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、請求項1に記載の発明は、トレッド表面にサイプが刻まれた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記サイプは厚みが他の部分より厚い第1幅広部を備え、前記第1幅広部は、トレッド表面から深さ方向に延び前記サイプの底部に至る途中で閉塞し、前記第1幅広部の長さは、前記サイプ全体の長さより短い空気入りラジアルタイヤとした。
タイヤ幅方向に刻まれたサイプの場合、制動時などに前後力がサイプに負荷されるとサイプの開口部が閉塞する。しかし、第1幅広部は他の部分より厚いので、第1幅広部の開口部は完全に閉塞せず、サイプによるエッジ効果や除水効果が確保される。また、当該第1幅広部はトレッド表面から延びるがサイプ底まで達していないので、サイプが刻まれた陸部の剛性の低下を抑えられ、接地面積の低下を招くことない。その結果、アイス性能が低下することもなく、段差偏摩耗を抑止することができる。
請求項2に記載の発明は、前記サイプは更に厚みが他の部分より厚い第2幅広部を備え、前記第2幅広部は、前記第1幅広部の底部と同じ高さ又はトレッド表面側にある位置からサイプ底まで延び、前記第2幅広部の長さは、前記サイプ全体の長さより短く、前記第1幅広部と前記第2幅広部は、サイプ長さ方向において互いに異なる位置にある請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤとした。
摩耗により第1幅広部が消滅しても第2幅広部が出現するので、サイプの開口部が完全に閉塞することがない。その結果、同様にサイプによるエッジ効果や除水効果が確保される。
本発明によれば、サイプに幅広部を設け、当該幅広部はいずれもトレッド表面からサイプ底まで延びていない構造としたので、サイプの開口部が完全に閉塞することを防止し、サイプによるエッジ効果や除水効果が確保される。また、陸部の剛性低下が抑えられ、サイプの倒れ込みが抑制されるので、アイス性能が低下することもなく、段差偏摩耗を抑止することができる。
以下、図面を用いて、本発明に係る空気入りラジアルタイヤの実施形態を説明する。図1(a)は、本発明に係る空気入りラジアルタイヤに刻まれたサイプを示す斜視図である。直線状のサイプ1はブロックやリブなどの陸部に刻まれ、サイプ1の全体の長さに比べて長さが短い、第1幅広部2aと第2幅広部2bを備えている。第1幅広部2aはトレッド表面Tからサイプ底4に至る途中まで延びている。第2幅広部2bは第1幅広部2aの底部5aと同じ高さ、またはそれよりトレッド表面T側にある位置からサイプ底4まで延びている。
図2(a)は、サイプ1がブロック10に刻まれた様子を示す。トレッド表面Tにおいては、第1幅広部2aが出現しているが、第2幅広部2bは出現していない。幅広部2a、2bはブロック10の端部から離して互いに間隔をおいて配置されている。
例えば、サイプ1がタイヤ幅方向に刻まれているとする。制動時などに前後力がサイプ1に負荷されると、サイプ1の開口部3が閉塞する。第1幅広部2aがあるため、第1幅広部の開口部3aは完全に閉塞せず、サイプ1によるエッジ効果や除水効果が確保される。タイヤの摩耗が進行して第1幅広部2aが消滅しても、第2幅広部2bが出現するので、同様に、サイプ1によるエッジ効果や除水効果が確保される。
また、幅広部2a及び2bはトレッド表面Tからサイプ底4まで延びていないので、ブロック10の剛性が低下することがない。その結果、サイプ1に前後力が負荷されてもサイプ1の倒れ込みを抑えられ、接地面積の低下を招くことなく、アイス性能が低下することもない。
第1幅広部2aと第2幅広部2bは、サイプ1に関して同じ側にあっても、互いに異なる側にあってもよい。また、図示したように幅広部2a、2bの長さが深さ方向に一定とするほか、長さが深さ方向に変化する形状としてもよい。例えば、厚さ方向に見た幅広部の形状を図示した長方形とするほか、三角形、逆三角形、台形としてもよい。
タイヤの摩耗が進行しブロック10の高さが低くなりブロック10の剛性が高くなるので、トレッドに開口した第1幅広部2aのみとしてもよい。新品時から摩耗が進行するまでは、サイプ1が刻まれたブロック10が高いので剛性が小さいが、上述したようにサイプ1の倒れ込みを抑えられ、接地面積の低下を招くことなくアイス性能が低下するがない。
幅広部2a、2bの厚みは特に限定されないが、例えばサイプ1の厚みは0.3mm〜0.5mmに対して、幅広部2a、2bの厚みは0.6mm〜1.2mmとすることが好ましく、0.6mm〜0.8mmがより好ましい。また、サイプ1は図示したように両端が開口したオープンサイプのほか、両端が閉塞したクローズドサイプ、片端のみが開口した片オープンサイプでもよい。
実施例として本発明に係る空気入りラジアルタイヤ及び従来例に係る空気入りラジアルタイヤをそれぞれ試作して性能評価を行った。実施例に係るタイヤは図2(a)に示したブロックを備える。従来例1、2に係るタイヤは、それぞれ図2(b)、(c)に示したブロックを備える。サイプの形状及び寸法は表1に示すとおりで、タイヤサイズは195/65R15で、2000ccFFセダン型乗用車に装着して性能評価を行った。ある。
表1において、アイス性能は新品時におけるアイス路面上を時速40kmからのABS制動距離の逆数、摩耗性能はドライ路面を8000km走行した後の段差摩耗量の逆数である。いずれも、従来例1を100とした指数で表し、数字が大きいほど性能が良いことを示す。
Figure 0004094571

表1によれば、実施例ではサイプに幅広部が設けられいずれの幅広部もトレッド表面からサイプ底まで延びていないので、サイプの倒れ込みが抑えられ従来例2に比べてもアイス性能が向上している。また、タイヤの剛性が低下していないので、幅広部を備えていない従来例1と摩耗性能を確保している。
以上、サイプをタイヤ幅方向に刻んだ場合について説明したが、サイプをタイヤ周方向や斜め方向に刻んでもよい。タイヤ周方向のサイプの場合、横力に対してサイプの閉塞が抑制され旋回性能が向上する。斜め方向のサイプの場合、前後力及び横力に対してサイプの閉塞が抑制されるので、制動性能及び旋回性能が向上する。
(a)は本発明に係る空気入りラジアルタイヤのサイプの斜視図、(b)及び(c)は従来例に係る空気入りラジアルタイヤのサイプの斜視図をそれぞれ示す。 サイプが刻まれたブロックを示す図で、(a)は実施例、(b)は従来例1、(c)は従来例2に係るブロックを示す。
符号の説明
1 サイプ
2a 第1幅広部
2b 第2幅広部
3 開口部

Claims (2)

  1. トレッド表面にサイプが刻まれた空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記サイプは厚みが他の部分より厚い第1幅広部を備え、前記第1幅広部は、トレッド表面から深さ方向に延び前記サイプの底部に至る途中で閉塞し、前記第1幅広部の長さは、前記サイプ全体の長さより短い空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記サイプは更に厚みが他の部分より厚い第2幅広部を備え、前記第2幅広部は、前記第1幅広部の底部と同じ高さ又はトレッド表面側にある位置からサイプ底まで延び、前記第2幅広部の長さは、前記サイプ全体の長さより短く、前記第1幅広部と前記第2幅広部は、サイプ長さ方向において互いに異なる位置にある請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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