JP4094340B2 - クランプの動作検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークなどを固定するクランプの動作状態を検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の動作検出装置は、クランプロッドの一端からハウジングの一端壁の外側へ検出ロッドを突出させ、その検出ロッドの移動状態をリミットスイッチによって検出するようになっていた(例えば、日本国・特開2001−87991を参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、クランプは、例えば、工作機械のワークを固定するために使用される。このため、上記の従来技術では、機械加工時に多量に飛散する切削油によって、上記のリミットスイッチの寿命が短いという問題があった。また、そのリミットスイッチのために大きな設置スペースが要求されるという問題もあった。
本発明の目的は、クランプの動作状態を検出するにあたって、信頼性が高くてコンパクトな装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、例えば、図1から図4、または図5から図9に示すように、クランプの動作検出装置を次のように構成した。
ハウジング3内にクランプロッド5を軸心方向へ移動可能に挿入し、
上記クランプロッド5の軸心とほぼ同心上で上記ハウジング3の一端壁3bに検出孔58を形成し、その検出孔58の周面に圧力流体供給用の入口孔71(72)を開口し、
上記の検出孔58に検出具62を軸心方向へ移動可能に嵌入し、その検出具62の外周面に、上記の入口孔71(72)の開口部71a(72a)を閉じる閉止面68と、上記の開口部71a(72a)を外気へ連通させる凹所69を設け、
上記クランプロッド5の一端部に操作部5aを設けて、その操作部5aを上記の検出具62に半径方向へ相対移動可能に連結した。
【0005】
上記の請求項1の発明は、次の作用効果を奏する。
クランプの動作を検出するときには、前記の入口孔に圧縮空気等の圧力流体を供給する。上記の入口孔の開口部が前記の検出具の前記の凹所に対面している場合には、その入口孔に供給された圧力流体が上記の凹所を通って外部へ排出され、その圧力流体の圧力が設定圧力よりも低下する。これに対して、上記の入口孔の開口部が上記の検出具の前記の閉止面によって閉じられたときには、上記の圧力流体の排出が阻止されて、その圧力流体が設定圧力に保持される。
従って、上記の圧力流体の圧力を検出することにより、上記の検出具の切換え状態を検出でき、これにより、前記クランプロッドの動作状態を検出できる。
上述したように、本発明の動作検出装置は、圧縮空気等の圧力流体を利用するので、前述した従来技術のリミットスイッチ等とは異なり、切削油等による劣化がなくなって寿命が長いうえに信頼性も高い。また、上記の動作検出装置は、前記ハウジングの一端壁に設けることが可能なので、コンパクトに造れる。
【0006】
さらに、本発明は、クランプロッドの一端部に設けた前記の操作部と前記の検出具とを半径方向へ相対移動可能に連結したので、次の作用効果を奏する。
上記クランプロッドの軸心と前記の検出孔の軸心との心ズレを吸収して上記の検出具を上記の検出孔に円滑に挿入できる。
また、クランプ駆動時に上記クランプロッドに大きな曲げモーメントが作用した場合には、そのクランプロッドに設けた上記の操作部が僅かながらも撓むおそれがある。この場合、その撓んだ操作部が前記の検出具に対して半径方向へ相対移動することにより、上記の検出具が前記の検出孔に押圧されることを防止できる。このため、上記の検出具が上記の検出孔内を円滑に移動して、クランプの動作を確実かつ精度よく検出できる。
【0007】
請求項2の発明に示すように、前記の操作部5aを前記の検出具62に軸心方向へ相対移動可能に連結した場合には、前記の撓んだ操作部が上記の検出具を前記の検出孔に押圧することを確実に防止できるので、クランプの動作をさらに精度よく検出できる。
【0008】
請求項3の発明に示すように、前記の操作部5aを前記の検出具62に軸心回りの相対回転を阻止した状態で連結した場合には、上記の検出具をほぼ一定の姿勢に保持できる。これにより、上記の検出具の外周面の面積のうちの前記の凹所が占める面積を小さくすることが可能となる。このため、前記の検出孔に対する上記の検出具のガイド面積が大きくなり、その検出具を円滑に移動できる。
【0009】
請求項4の発明に示すように、本発明には次の構成を加えることが好ましい。
前記の検出孔58の一端を外気へ連通させ、前記の検出具62の前記の凹所69を軸心方向へ延びる溝によって構成して、その溝からなる凹所69の一端を上記の検出具62の一端面に開口させると共に、上記の凹所69の他端を同上の検出具62の他端面に開口させたものである。
上記の請求項4の発明によれば、簡素な構成で信頼性の高い検出装置を提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1から図4は、本発明の第1実施形態を示し、本発明を旋回式クランプに適用した場合を例示してある。まず、図1の立面視の部分断面図によって上記クランプの全体構造を説明する。
【0011】
工作機械のテーブル1の取り付け穴1aに上記のクランプ2のハウジング3が挿入され、そのハウジング3が複数のボルト(図示せず)によって上記テーブル1の上面に固定される。そのハウジング3の筒孔4にクランプロッド5が挿入される。そのクランプロッド5の上端部分からアーム6が半径方向の外方へ突出され、そのアーム6の先端部分に押ボルト7が固定される。
【0012】
上記のハウジング3の上端壁3aに上記クランプロッド5の上摺動部分11が摺動自在で保密状に支持される。さらに、同上のハウジング3の下端壁(一端壁)3bにガイド筒13が設けられ、そのガイド筒13に同上クランプロッド5の下摺動部分12が摺動自在に支持される。
【0013】
上記クランプロッド5を駆動する手段は次のように構成されている。
前記の上摺動部分11と下摺動部分12との間で上記クランプロッド5に環状ピストン15が保密状に外嵌され、そのピストン15が前記の筒孔4に保密状に挿入される。なお、ここでは、上記ピストン15を上記クランプロッド5とは別体に形成してあるが、これに代えて、そのピストン15を上記クランプロッド5と一体に形成してもよい。
【0014】
前記の上端壁3aと上記ピストン15との間にクランプ室17が形成され、そのクランプ室17に対してクランプ用の圧油給排口18から圧油が給排可能とされる。また、前記の下端壁3bと同上ピストン15との間にアンクランプ室19が形成される。上記のアンクランプ室19に対してアンクランプ用の圧油給排口(図示せず)と油路20とを介して圧油が給排可能とされる。
【0015】
上記アンクランプ室19内では、上記クランプロッド5の外周面と前記の筒孔4との間の環状空間に旋回操作用のスリーブ22が挿入される。そのスリーブ22が二つの押バネ23・24によって上向きに付勢される。そのスリーブ22の所定量以上の上向き移動がストップ用の段付き壁25によって阻止される。
上記クランプロッド5の外周面と上記スリーブ22の内周面とにわたって変換機構27が設けられる。その変換機構27は、上記クランプロッド5の軸心方向への往復運動を旋回運動へ変換するものであって、ここでは次のように構成されている。
【0016】
上記クランプロッド5の外周面には、その外周面の全周にわたって鋸歯状に連通する第1凹路31を形成してある。その第1凹路31は、二条ネジ状の二つの第1螺旋溝(図示せず)をほぼ1ピッチ分だけ形成すると共に、一方の第1螺旋溝の終端と他方の第1螺旋溝の始端とを連通溝によって連通させると共に、他方の第1螺旋溝の終端と一方の第1螺旋溝の始端とを別の連通溝によって連通させてある。また、前記スリーブ22の内周面には、その内周面の全周にわたって連通する第2凹路32を周方向へ連通させてある。その第2凹路32は、前記の第1螺旋溝に対応する二つの第2螺旋溝(図示せず)を周方向へ所定の間隔をあけて形成すると共に、前記の連通溝に対応する二つの逃がし溝33を周方向へ延びるように形成してある。なお、その図1では、上記の二つの逃がし溝33のうちの一方の逃がし溝33だけを図示してある。そして、上記の第1凹路31と第2凹路32との間に、多数の転動ボール34が充填される。
【0017】
また、前記の筒孔4の周壁4aと上記のスリーブ22との間にトルクリミッタ37が設けられる。そのトルクリミッタ37は、上記クランプロッド5から前記の変換機構27を経て上記スリーブ22に作用するトルクが設定値を越えないときには上記の周壁4aに対して上記スリーブ22が旋回するのを阻止する。これに対して、上記のトルクリミッタ37は、上記トルクが上記の設定値を越えたときには上記の周壁4aに対して上記スリーブ22が旋回するのを許容するようになっている。
【0018】
より詳しくいえば、上記トルクリミッタ37は次のように構成されている。
上記の筒孔4の上記の周壁4aには、上下方向へ延びる円弧状の直進ガイド溝38・38が向かい合わせに設けられる。上記二つの直進ガイド溝38・38に係合する二つの係合具39・39が前記のスリーブ22に挿入される。各係合具39は、半径方向の外方へ向かうにつれて高さが大きくなる楔状部材によって構成されて上記のスリーブ22のテーパ面40にテーパ係合される。これにより、上記の二つの係合具39・39は、半径方向へ移動自在で周方向への移動が阻止された状態で上記スリーブ22に支持されている。
【0019】
上記の係合具39・39の下面に環状のバネ受け42が装着される。そして、前記の押バネ23・24の下端が前記のハウジング3の下端壁3bによって受け止められると共に、同上の押バネ23・24の上端が上記バネ受け42によって受け止められる。これにより、上記の押バネ23・24の付勢力が前記のテーパ面40を介して上記の係合具39を半径方向の外方へ押圧して、その係合具39の円弧状の係合突起が前記の直進ガイド溝38に嵌入するようになっている。
【0020】
上記クランプ2は次のように作動する。
図1の旋回退避状態では、前記クランプ室17の圧油が排出され、前記アンクランプ室19へ圧油が供給されている。このため、前記ピストン15がその環状断面積に作用する圧力によって上昇すると共に、前記クランプロッド5がその封止断面積に作用する圧力によって上昇し、前記の押バネ23・24によって前記スリーブ22が前記の段付き壁25に接当している。
【0021】
上記の旋回退避状態のクランプ2をクランプ状態へ切換えるときには、上記のアンクランプ室19の圧油を排出し、前記クランプ室17へ圧油を供給する。
すると、前記ピストン15が前記クランプロッド5を押し下げていき、前記の直進ガイド溝38よって旋回が阻止された前記スリーブ22に対して上記クランプロッド5が底面視で反時計回りの方向へ旋回しながら下降していく。このクランプ旋回時には、前記の転動ボール34が前記の第1凹路31および第2凹路32に沿って転動しながら周方向へ循環する。このため、そのクランプ旋回時の摩擦抵抗が小さくなって上記クランプロッド5が滑らかに旋回する。引き続いて、上記ピストン15が上記クランプロッド5及び前記スリーブ22を前記の直進ガイド溝38に沿わせて真っすぐに下降させていき、そのクランプロッド5がクランプ位置(図示せず)へ切換えられる。
【0022】
上記クランプ状態から図1の旋回退避状態へ切換えるときには、前記クランプ室17の圧油を排出し、前記アンクランプ室19へ圧油を供給する。すると、その圧油の圧力と前記の押バネ23・24の付勢力によって前記クランプロッド5及び前記スリーブ22が前記の直進ガイド溝38に沿って真っすぐに上昇していき、そのスリーブ22が前記の段付き壁25によって受け止められる。引き続いて、その段付き壁25によって上昇が阻止された上記スリーブ22に対して上記クランプロッド5が上記の圧油の圧力よって上向きに移動する。これにより、そのクランプロッド5が底面視で時計回りの方向へ旋回しながら上昇し、図1の旋回退避位置へ切換えられる。
【0023】
上記クランプ旋回時または退避旋回時において、前記クランプロッド5から前記の変換機構27を経て前記スリーブ22に作用するトルクが設定値を越えないときには、前記の係合具39の係合突起の外周面に作用する接線方向の力よりも前記の押バネ23・24の付勢力による係合ロック力が大きい。このため、図1に示すように、上記の係合具39の係合突起が前記の直進ガイド溝38に嵌入した状態に保たれ、前記の筒孔4の前記の周壁4aに対して上記スリーブ22が旋回することが阻止される。
【0024】
これに対して、何らかの原因によって上記トルクが上記の設定値を越えたときには、上記の係合具39の係合突起の外周面に作用する接線方向の力が上記の押バネ23・24の付勢力による係合ロック力よりも大きくなる。このため、その付勢力に抗して上記の係合具39が前記テーパ面40に沿って半径方向の内方へ移動して、上記の係合具39の係合突起と上記の直進ガイド溝38との嵌合状態が解除され、上記の周壁4aに対して上記スリーブ22が旋回することを許容する。その結果、上記のクランプロッド5の過大なトルクが前記の変換機構27や上記スリーブ22に作用しなくなる。
従って、上記の過大なトルクによって前記の変換機構27の転動ボール34等の構成部材が損傷するのを確実に防止できる。
【0025】
上記構成のクランプ2の動作状態を検出する装置が設けられる。その動作検出装置51について、上記の図1を参照しながら図2A・図2Bと図3および図4によって説明する。図2Aは、上記の動作検出装置51の断面図である。図2Bは、上記の図2A中の2B−2B線矢視の断面図である。図3は、上記の図2A中のIII−III線矢視の拡大断面図であって、後述する検出ロッド(検出具)62の旋回退避状態を示す図である。図4は、上記の図3に類似する図面であって、上記の検出ロッド62のクランプ準備状態を示している。
【0026】
前記テーブル1の前記の取付穴1aは、上下に形成した大径穴52および小径穴53とを備える。前記ハウジング3の前記の下端壁(一端壁)3bは、前記の周壁4aに保密状にネジ止めした蓋部材55と、その蓋部材55に複数のボルト54(ここでは1本だけ示している)によって固定した外筒56と、その外筒56に挿入されて上記の蓋部材55に押圧固定される内筒57とを備える。
上記の外筒56が前記の小径穴53に保密状に挿入されている。また、上記の内筒57は、前記クランプロッド5の軸心とほぼ同心上に配置されており、その内筒57の内周面の下半分によって検出孔58が構成されている。その検出孔58の下端は、カバー板59の出口孔60を介して外気へ連通されている。
【0027】
上記クランプロッド5の下向きの突出部(操作部)5aが上記の蓋部材55に保密状に挿入される。その突出部5aの下部が、支持ボルト63を介して筒状の検出ロッド(検出具)62に半径方向かつ上下方向へ相対移動可能で軸心回りの相対回転を阻止した状態で連結される。より詳しくいえば、上記の突出部5aの下面に二つの突起65が向かい合わせに設けられる。これらの突起65に、上記の検出ロッド62の上面に設けた溝66が所定の隙間をあけて外嵌される。また、上記の検出ロッド62の筒孔内に上記の支持ボルト63が所定の半径隙間をあけて挿入される。さらに、上記の検出ロッド62は、前記の突出部5aの下面と上記の支持ボルト63の下部との間で上下方向へ僅かに移動可能になっている。
【0028】
主として図3に示すように、上記の検出ロッド62の外周面の下半部に、上下方向へ延びる3つの閉止面68と上下方向へ延びる3つの凹所69とが周方向へほぼ等間隔に設けられる。上記の凹所69は、溝によって構成され、その凹所69の下端が上記の検出ロッド62の下端面に開口されると共に、同上の凹所69の上端が同上の検出ロッド62の上端面に開口される。その検出ロッド62が前記の検出孔58に上下方向へ移動自在かつ軸心回りに旋回自在に挿入される。
上記の内筒57の上記の検出孔58には、クランプ状態検出用の第1入口孔71と旋回退避状態検出用の第2入口孔72とが、上下方向へ間隔をあけると共に周方向へ約90度の角度をあけて開口される。上記の第1入口孔71は、前記の外筒56の第1周溝73および第1貫通孔74と前記テーブル1の第1供給孔75とを順に経て圧縮空気の供給源(図示せず)へ接続される。また、上記の第2入口孔72も、上記の外筒56の第2周溝77および第2貫通孔78と同上テーブル1の第2供給孔79とを順に経て上記の圧縮空気の供給源へ接続される。
【0029】
上記構成の動作検出装置51は次のように作動する。
上記の検出ロッド62は、前述したクランプロッド5の移動に連動して、図2A中の実線図(および図3)の旋回退避位置Xから図2A中の太線一点鎖線図(および図4)のクランプ準備位置Yへ旋回され、その後、図2A中の二点鎖線図のクランプ位置Zへ直進される。より詳しくいえば次の通りである。
【0030】
上記クランプロッド5が旋回退避状態のときには、図2A中の実線図および図3に示すように、上記の検出ロッド62が旋回退避位置Xとなり、その検出ロッド62の三つの閉止面68のうちの一つの閉止面68が前記の第2入口孔72の第2開口部72aを閉じている。これにより、前記の第2供給孔79へ供給された圧縮空気の圧力が設定圧力に保持され、その第2供給孔79に連通させた第2圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出ロッド62が旋回退避位置Xであることを検出している。
【0031】
上記クランプ2をクランプ駆動すると、まず、上記の検出ロッド62が上記の旋回退避位置Xから底面視で反時計回りの方向へ回転しながら下降して上記クランプ準備位置Yへ切り換わろうとする。
そのクランプ準備位置Yへ切り換わる前の旋回途中状態では、前記の凹所69が前記の第1入口孔71の開口部71aと底面視でオーバーラップしている。このため、前記の第1供給孔75へ供給された圧縮空気は、前記の第1入口孔71の第1開口部71aと上記の凹所69と前記の出口孔60とを経て外部へ排出される。これにより、上記の第1供給孔75の圧力が設定圧力よりも低くなり、その第1給孔75に連通させた第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出ロッド62が旋回途中状態であることを検出している。
【0032】
そして、上記の検出ロッド62が上記クランプ準備位置Yへ旋回下降すると、図2A中の太線一点鎖線図および図4に示すように、前記の閉止面68の下端が前記の第1開口部71aよりも低くなって、その閉止面68が上記の第1開口部71aを閉じる。これにより、前記の第1供給孔75へ供給された圧縮空気の圧力が設定圧力に保持され、その第1給孔75に連通させた前記の第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出ロッド62がクランプ準備位置Yとなったことを検出する。
【0033】
次いで、上記のクランプ準備位置Yの検出ロッド62がクランプ位置Zへ真っ直ぐに下降する。このクランプ位置Zでは、図2A中のニ点鎖線図(及び図4)に示すように、前記の閉止面68の上端が前記の第1開口部71aよりも高い状態に保持されて、上記の閉止面68が上記の第1開口部71aを閉じた状態に保持する。これにより、前記の第1供給孔75へ供給された圧縮空気の圧力が設定圧力に保持され、前記の第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出ロッド62がクランプ位置Zであることを検出する。なお、クランプ領域は、上記のクランプ準備位置Yと上記クランプ位置Zとの間であればよい。
【0034】
また、被固定物であるワーク等が前記テーブル1に装着されてない状態で前記クランプ2をクランプ駆動した場合には、上記の検出ロッド62が上記クランプ位置Zよりも低い空クランプ位置Mへ下降して、図2A中の細線一点鎖線図に示すように、前記の閉止面68の上端が前記の第1開口部71aよりも低くなる。このため、前記の第1供給孔75へ供給された圧縮空気は、上記の第1開口部71aと前記の凹所69と前記の出口孔60とを経て外部へ排出される。これにより、上記の第1供給孔75の圧力が設定圧力よりも低くなり、その第1給孔75に連通させた第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出ロッド62が空クランプ位置Mであることを検出する。
【0035】
なお、上記の第1実施形態では、上記の検出ロッド62が上記クランプ準備位置Yへ旋回下降したときに前記の閉止面68が前記の第1開口部71aを閉じるとしたが、これに代えて、上記の検出ロッド62が上記クランプ準備位置Yよりも下側のクランプ領域へ下降したときに上記の閉止面68が上記の第1開口部71aを閉じるようにしてもよい。
【0036】
上記の第1実施形態は次のように変更可能である。
前記クランプロッド5の旋回角度は、90度に限定されるものではなく、例えば、60度や45度などに変更することも可能である。この場合、上記の変更した旋回角度に対応させて上記の第1入口孔71の設置箇所を変更すればよい。また、そのクランプロッド5の旋回方向は上記の各実施形態とは逆の方向であってもよい。
【0037】
前記の変換機構27の押圧手段は、例示の押バネ23・24に代えて、ゴム等の弾性体によって構成してもよい。
その変換機構27は、前記クランプロッド5の軸心方向の運動を同上クランプロッド5の旋回運動に変更するものであればよく、例示の機構に代えて各種の機構が考えられる。例えば、上記クランプロッド5の外周面に所定の長さのカム溝を形成し、上記スリーブ22に取り付けたボール等の操作具を上記のカム溝に嵌入するのである。
前記クランプ2は、旋回下降した後にクランプ駆動されるものに代えて、水平位置で旋回した後にクランプ駆動されるものであってもよい。また、前記トルクリミッタ37は省略してもよい。
【0038】
図5から図9は、第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材には原則として同一の符号を付けて説明する。
この第2実施形態は、本発明の動作検出装置をリンク式のクランプに適用した場合を例示してあり、前記の第1実施形態とは次の点で異なる。
【0039】
まず、図5の立面視の断面図によって上記リンク式クランプ2の構造を説明する。
前記クランプロッド5の上部に前記アーム6の長手方向の左部が第1ピン45によって垂直面内で揺動自在に連結される。そのアーム6の長手方向の途中部が第2ピン46によって一対のリンク部材47の上部に揺動自在に連結される(ここでは一方のリンク部材47だけを示している)。さらに、上記リンク部材47の下部が、前記ハウジング3の上端壁3aにネジ止めしたボルト48の頭部に、第3ピン49によって揺動自在に連結される。
また、上記クランプロッド5の途中高さ部に前記ピストン15が固定される。そのピストン15の下側に前記クランプ室17が形成されると共に、上記ピストン15の上側に前記アンクランプ室19が形成される。
【0040】
上記のリンク式クランプ2は次のように作動する。
図5で示すクランプ時には、上記アンクランプ室19の圧油を排出すると共に上記クランプ室17へ圧油を供給してある。これにより、前記クランプロッド5が上昇して前記アーム6を第2ピン46の回りに時計回りの方向へ駆動し、そのアーム6の右部に設けた押ボルト7がワークWを下向きに押圧する。
これとは逆に、アンクランプ時には上記クランプ室17の圧油を排出すると共に上記アンクランプ室19へ圧油を供給する。すると、上記クランプロッド5が下降して前記アーム6を反時計回りの方向へ退避させる。
【0041】
次に、前記の動作検出装置51の構造を図6から図9A・図9B・図9Cによって説明する。図6は、上記の動作検出装置51のアンクランプ状態の断面図である。図7は、上記の図6中のVII−VII線矢視の断面図である。図8Aは、上記の図6中の8A−8A線矢視図に相当する図であって、前記の検出具62のアンクランプ状態を示している。図8Bは、上記の検出具62のクランプ状態を示し、上記の図8Aに類似する図である。図8Cは、同上の検出具62の空クランプ状態を示し、同上の図8Aに類似する図である。図9Aは、上記の図8A中の9A−9A線矢視断面図に相当する図である。図9Bは、同上の図8A中の9B−9B線矢視断面図に相当する図である。図9Cは、同上の図8A中の9C−9C線矢視断面図に相当する図である。
【0042】
前記ハウジング3の前記の下端壁(一端壁)3bは、前記の周壁4aに保密状に挿入した前記の蓋部材55と、その蓋部材55に複数のボルト54によって固定した筒部材81とを備える。上記の蓋部材55はピン80によって回り止めされている。上記の筒部材81が前記の小径穴53に保密状に挿入される。また、上記の筒部材81は、前記クランプロッド5の軸心とほぼ同心上に配置されており、その筒部材81の内周面によって前記の検出孔58が構成されている。その検出孔58の下端空間が前記の出口孔60を介して外気へ連通されている。
【0043】
上記クランプロッド5の前記の下摺動部分12が上記の蓋部材55に保密状に挿入される。そのクランプロッド5の下向きの突出部(操作部)5aの下部が、支持ボルト63を介して筒状の検出具62に半径方向かつ上下方向へ相対移動可能で軸心回りの相対回転を阻止した状態で連結される。その検出具62が上記の検出孔58に上下方向へ移動自在に嵌入されている。
より詳しくいえば、主として図7に示すように、上記の突出部5aの下部に正方形状の外周面82が形成されると共に、上記の検出具62に正方形状の筒孔83が形成される。その正方形状の外周面82に上記の正方形状の筒孔83が所定の隙間をあけて外嵌される。また、上記の検出具62は、上記の検出具62の筒孔83内に挿入した前記の支持ボルト63下部と前記の突出部5aの下面との間で上下方向へ移動可能になっている。参照符号84は、スペーサである。
【0044】
主として、図8Aから図8Cと図9Aから図9Cに示すように、上記の検出具62の外周面に前記の閉止面68および前記の凹所69が設けられる。
より詳しく言えば、上記の検出具62の上下の両端面に連通溝86が開口される。その連通溝86の一方の外側(図8A中の右外側)にクランプ検出用の第1閉止面87と第1逃し溝88とが上下に形成されると共に、上記の連通溝86の他方の外側(図8A中の左外側)にアンクランプ検出用の第2閉止面89と第2逃し溝90とが上下に形成される。上記の第1閉止面87と上記の第2閉止面89とによって前記の閉止面68が構成され、上記の連通溝86と上記の第1逃し溝88と第2逃し溝90とによって前記の凹所69が構成されている。
【0045】
前記の検出孔58には、クランプ状態検出用の第1入口孔71とアンクランプ状態検出用の第2入口孔72とが、上下方向へ間隔をあけると共に水平方向へ所定の間隔をあけて開口される(図6と図7を参照)。上記の第1入口孔71が前記テーブル1の第1供給孔75を経て圧縮空気の供給源(図示せず)へ接続され、上記の第2入口孔72も同上テーブル1の第2供給孔79を経て上記の圧縮空気の供給源へ接続される。
【0046】
上記構成の動作検出装置51は次のように作動する。
前記クランプロッド5がアンクランプ状態のときには、図6および図8Aに示すように、上記の検出具62がアンクランプ位置Eとなり、その検出具62の第2閉止面89が前記の第2入口孔72の第2開口部72aを閉じている。これにより、上記の第2入口孔72へ供給された圧縮空気の圧力が設定圧力に保持され、その第2入口孔72に連通させた第2圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出具62がアンクランプ位置Eであることを検出している。
【0047】
上記クランプロッド5を上向きにクランプ駆動すると、上記の図8Aのアンクランプ位置Eの検出具62が図8Bのクランプ位置Fへ上昇し、その検出具62の第1閉止面87が前記の第1入口孔71の第1開口部71aを閉じる。これにより、上記の第1入口孔71へ供給された圧縮空気の圧力が設定圧力に保持され、その第1入口孔71に連通させた第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出具62がクランプ位置Fであることを検出している。
図8Aから図8Cにおいて、参照符号Jはクランプストロークを示し、参照符号Kは余裕ストロークを示し、参照符号Lは全ストロークを示している。
【0048】
上記クランプ駆動時において、前記ワークW(図5参照)の装着ミス等によって前記アーム6(図5参照)が空クランプした場合には、上記の検出具62が図8Cの空クランプ位置Gへ上昇する。すると、その図8Cに示すように、上記の第1入口孔71の第1開口部71aが前記の第1逃し溝88に対面する。このため、その第1入口孔71へ供給された圧縮空気は、上記の第1開口部71aと上記の第1逃し溝88と前記の出口孔60(図5参照)とを経て外部へ排出される。これにより、上記の第1入口孔71の圧力が設定圧力よりも低くなり、その第1入口孔71に連通させた第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出具62が空クランプ位置Gであることを検出する。
【0049】
また、同上クランプ駆動時において、何らかの原因により、上記の検出具62が図8Bのクランプ位置Fへ上昇せず、上記の第1閉止面87の上端が上記の第1開口部71aよりも低い場合には、上記の第1入口孔71へ供給された圧縮空気は、上記の第1開口部71aと前記の連通溝86と前記の出口孔60(図5参照)とを経て外部へ排出される。これにより、上記の第1入口孔71の圧力が設定圧力よりも低くなり、前記の第1圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出具62がクランプ位置Fではないことを検出する。
【0050】
さらに、上記の検出具62を図8Bのクランプ位置Fから図8Aのアンクランプ位置Eへ移動させるときにおいて、何らかの原因により、上記の検出具62が図8Aのアンクランプ位置Eへ下降せず、前記の第2逃し溝90が前記の第2開口部72aに対面した場合には、前記の第2入口孔72へ供給された圧縮空気は、上記の第2開口部72aと上記の第2逃し溝90と前記の出口孔60(図5参照)とを経て外部へ排出される。これにより、上記の第2入口孔72の圧力が設定圧力よりも低くなり、前記の第2圧力スイッチ(図示せず)によって上記の検出具62がアンクランプ位置Eではないことを検出する。
【0051】
上記の第1実施形態と第2実施形態とは次の長所を奏する。
前記クランプロッド5の前記の突出部(操作部)5aを前記の検出具62に半径方向へ相対移動可能に連結したので、その検出具62を前記の検出孔58に確実かつ円滑に挿入できる。
ところで、クランプ駆動時に上記クランプロッド5に大きな曲げモーメントが作用すると、そのクランプロッド5の下端部に設けた上記の突出部(操作部)5aが僅かながらも撓む。この場合、その突出部5aと上記の検出具62とを半径方向へ相対移動可能に連結したので、上記の撓んだ突出部5aが上記の検出具62を前記の検出孔58に押圧することを防止できる。このため、その検出具62が上記の検出孔58内を円滑に移動する。その結果、上記クランプロッド5の動作を確実かつ精度よく検出できる。
また、上記の突出部(操作部)5aを上記の検出具62に上下方向へも移動可能に連結したので、上記の効果がさらに高まる。
【0052】
なお、上記の各実施形態は次のように変更可能である。
前記クランプロッド5の突出部5aと前記の検出具62との間には、バネやゴム等の弾性体を介在させてもよい。この場合、上記の弾性体の付勢力によって上記の検出具62を初期位置に復帰できるので、クランプロッド5の動作検出をさらに確実に行える。
上記の突出部5aと上記の検出具62とを連結する構造は、例示の支持ボルト63を利用することに代えて、止め輪などの他の種類の連結手段を利用してもよい。
【0053】
前記の凹所69や閉止面68は、例示した形状に限定されるものでなく、各種の形状を適用できることは勿論である。
前記の第1入口孔71および第2入口孔72を備えた前記の内筒57(図2A参照)や前記の筒部材81(図6参照)は、上下方向に位置調節可能に構成したり軸心回りに旋回調節可能に構成することが好ましい。また、前記の突出部(操作部)5aに対して前記の検出具62を上下方向へ高さ調節可能に構成することが好ましい。
なお、上記の第1入口孔71と上記の第2入口孔72とは、両方を設けることに代えて、いずれか一方だけを設けるようにしてもよい。
【0054】
前記のクランプ室17とアンクランプ室19とに給排される流体は、圧油に代えて、他の種類の液体や空気等の気体であってもよい。
上記クランプ2は、複動式に代えて単動式であってもよい。この場合、上記クランプ2は、圧力流体によってクランプ駆動する場合と、バネ力によってクランプ駆動する場合とが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、旋回式クランプの立面視の部分断面図である。
【図2】図2Aは、上記の旋回式クランプに設けた動作検出装置の断面図である。図2Bは、上記の図2A中の2B−2B線矢視の断面図である。
【図3】上記の図2A中のIII−III線矢視の拡大断面図であって、検出具の旋回退避状態を示す図である。
【図4】上記の図3に類似する図面であって、上記の検出具のクランプ準備状態を示している。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、リンク式クランプの立面視の部分断面図であって、前記の図1に類似する図である。
【図6】上記のリンク式クランプに設けた動作検出装置のアンクランプ状態の断面図である。
【図7】上記の図6中のVII−VII線矢視の断面図である。
【図8】図8Aは、上記の図6中の8A−8A線矢視図に相当する図であって、検出具のアンクランプ状態を示している。図8Bは、上記の検出具のクランプ状態を示し、上記の図8Aに類似する図である。図8Cは、同上の検出具の空クランプ状態を示し、同上の図8Aに類似する図である。
【図9】図9Aは、上記の図8A中の9A−9A線矢視断面図に相当する図である。図9Bは、同上の図8A中の9B−9B線矢視断面図に相当する図である。図9Cは、同上の図8A中の9C−9C線矢視断面図に相当する図である。
【符号の説明】
3…ハウジング、3b…ハウジング3の一端壁(下端壁)、5…クランプロッド、5a…操作部(突出部)、58…検出孔、62…検出具(検出ロッド)、68…閉止面、69…凹所、71…入口孔(第1入口孔)、71a…開口部(第1開口部)、72…入口孔(第2入口孔)、72a…開口部(第2開口部)。
Claims (4)
- ハウジング内にクランプロッドを軸心方向へ移動可能に挿入し、
上記のクランプロッドの軸心とほぼ同心上で上記ハウジングの一端壁に検出孔を形成し、その検出孔の周面に圧力流体供給用の入口孔を開口し、
上記の検出孔に検出具を軸心方向へ移動可能に嵌入し、その検出具の外周面に、上記の入口孔の開口部を閉じる閉止面と上記の開口部を外気へ連通させる凹所とを設け、
上記クランプロッドの一端部に操作部を設けて、その操作部を上記の検出具に半径方向へ相対移動可能に連結した、ことを特徴とするクランプの動作検出装置。 - 請求項1に記載したクランプの動作検出装置において、
前記の操作部を前記の検出具に軸心方向へ相対移動可能に連結した、ことを特徴とするクランプの動作検出装置。 - 請求項1または2に記載したクランプの動作検出装置において、
前記の操作部を前記の検出具に軸心回りの相対回転を阻止した状態で連結した、ことを特徴とするクランプの動作検出装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載したクランプの動作検出装置において、
前記の検出孔の一端を外気へ連通させ、前記の検出具の前記の凹所を軸心方向へ延びる溝によって構成して、その溝からなる凹所の一端を上記の検出具の一端面に開口させると共に、上記の凹所の他端を同上の検出具の他端面に開口させた、ことを特徴とするクランプの動作検出装置。
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