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JP4091317B2 - 光透過性を有するクロスシート - Google Patents

光透過性を有するクロスシート Download PDF

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JP4091317B2 JP2002053339A JP2002053339A JP4091317B2 JP 4091317 B2 JP4091317 B2 JP 4091317B2 JP 2002053339 A JP2002053339 A JP 2002053339A JP 2002053339 A JP2002053339 A JP 2002053339A JP 4091317 B2 JP4091317 B2 JP 4091317B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土嚢、雑袋、コンテナーバッグ等に用いられ、内容物が容易に視認できる光透過性を有するクロスシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、土嚢、雑袋、コンテナーバッグ等に用いられるクロスシートとして、ナイロン、ポリエステル繊維やポリオレフィン樹脂に難燃剤を配合した繊維を経糸と緯糸に用いた織布からなるクロスシートが多数知られている。これらのクロスシートに用いられる難燃剤としては、一般にハロゲン系難燃剤、りん系難燃剤及び水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのクロスシートは、上記難燃剤を含有させることにより、光透過性、即ち、透明性が著しく低下し、内容物の視認性に欠けるという問題があった。また、上記ハロゲン系難燃剤やりん系難燃剤は焼却時にダイオキシン等の有毒ガスを発生して環境汚染問題となるばかりでなく、腐食性ガスによる装置の腐食などの問題があった。そこで、近年では、燃焼時に有害ガスの発生がなく、低煙性で、無公害型の難燃剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機金属化合物の水和物を添加する方法(例えば、特開平2−53845号公報など)が種々検討されているが、多量添加しないと効果がなく、また、無機系難燃剤は焼却後に灰分が発生しフィルターの目詰まりなどのトラブルを生じるという問題があった。
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、焼却時に有毒ガスを発生しない上に残存する灰分のない難燃性を有し、かつ被覆した内容物を容易に視認可能な光透過性を有するクロスシートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のトリアジン誘導体を難燃剤として少量添加することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂製延伸糸を経緯糸に用いた織編布のクロスシートであって、該熱可塑性樹脂に下記一般式(1)で示される窒素含有化合物からなる難燃剤を配合してなり、且つ、該クロスシートの光透過率が40%以上であることを特徴とする光透過性を有するクロスシート、存する。
H(R1)Nー(CH2)aーN(R2)ー(CH2)bーN(R2')ー(CH2)cーN(R1)H (1)
(式中、R1は下記一般式(2)で示されるピペリジル基を含有するトリアジン誘導体基であり、R2、R2'は R1または水素原子を表し、a,b及びcはそれぞれ、2〜5の正数を表す。)
【化3】
Figure 0004091317
(式中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基または水素原子を表し、R4は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数1〜4のアルキル基で置換された炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を表す。)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが挙げられるが、これらのうちでは、延伸効果にすぐれた、高密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体などが好ましい。
【0006】
本発明に使用される難燃剤としては、下記一般式(1)で示される窒素含有化合物が用いられる。
H(R1)Nー(CH2)aーN(R2)ー(CH2)bーN(R2')ー(CH2)cーN(R1)H (1)
(式中、R1は下記一般式(2)で示されるピペリジル基を含有するトリアジン誘導体基であり、R2、R2'は R1または水素原子を表し、a,b及びcはそれぞれ、2〜5の正数を表す。)
【化4】
Figure 0004091317
(式中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基または水素原子を表し、R4は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数1〜4のアルキル基で置換された炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を表す。)
【0007】
上記一般式(1)で示される窒素含有化合物として、下記一般式(3)で示される窒素含有化合物が好ましく、特に下記一般式(3)と下記一般式(4)の組み合わせのものが好ましい。
H(R1)Nー(CH2)3ーN(R1)ー(CH2)2ーNHー(CH2)3ーN(R1)H (3)
即ち、上記一般式(3)で示される窒素含有化合物は、上記一般式(1)において、Rが上記一般式(2)で示されるピペリジル基を含有するトリアジン誘導体基であり、R2がR1であり、R2'が水素原子であり、a,b及びcがそれぞれ、3,2,3の正数である窒素含有化合物である。
【化5】
Figure 0004091317
(式中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基または水素原子を表し、R4は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数1〜4のアルキル基で置換された炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を表す。)
【0008】
本発明においては、上記熱可塑性樹脂に対して上記難燃剤を所望量配合し、溶融混練して使用する。上記難燃剤は熱可塑性樹脂の加工温度領域で融点を有し、熱可塑性樹脂に相溶するので、成形品のクロスシートの透明性は良好である。即ち、従来の難燃剤は融点が高く、熱可塑性樹脂に分散させて白濁したものを多量に用いているのに比べ、本発明の難燃剤は熱可塑性樹脂に相溶しているので、該クロスシートの透明性は著しく改善される。
上記難燃剤の配合割合は、熱可塑性樹脂に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%の範囲である。 上記配合量が上記範囲未満では難燃性が不十分であり、上記範囲を超えると難燃性の効果がそれ以上向上せず、逆にコストアップにつながるので好ましくない。
【0009】
延伸糸の形態としては、フィルムをスリットして延伸したフラットヤーンや、フラットヤーンを割繊したスプリットヤーン、また円形または異形ノズルから押し出したフィラメントを延伸したモノフィラメントや、低繊度フィラメントを収束したマルチフィラメントなどの単層型あるいは多層型、芯鞘型、並列型等の複合糸条など制限なく採用される。
【0010】
延伸糸の製造方法はとくに限定されるものではなく、公知の製造方法により一軸延伸を施した延伸糸を形成する。延伸倍率は4〜12倍の範囲であり、好ましくは6〜10倍の範囲である。延伸倍率が4倍未満では、引張強度が不十分となり本発明の目的を達成するのが困難となり、12倍を超えると延伸切れなどのために生産性が低下して好ましくない。延伸処理はポリオレフィンの融点以下、軟化点以上の温度にて行われるが、加熱方式としては、熱ロール式、熱板式、赤外線式、熱風式等いずれの方式も採用でき、これらの内では熱ロール式が延伸効率、高速生産性、安定性の上で好ましい。成形された未延伸糸は加熱され、前後ロールの周速度差により延伸を行う。
【0011】
上記延伸糸の繊度は100〜3000デシテクス(以下、dtと略記する)の範囲であり、好ましくは、500〜2000dtの範囲である。繊度が100dt未満では強度が不十分となり、3000dtを超えると柔軟性が劣り取扱い性が低下するので好ましくない。
【0012】
このようにして得られた熱可塑性樹脂製延伸糸を経緯糸に用いて織成して織編布を形成する。織編布の組織としては、特に限定されるものではなく、織物では、例えば、平織、綾織、模紗織、絽織、絡み織などが挙げられ、編物ではラッセル編、トリコット編み、ミラニーズ編等が挙げられる。上記経緯糸の打込密度は通常5〜40本/2.54cm、好ましくは10〜30本/2.54cmの範囲である。また、織編布の目付量は20〜500g/mの範囲であり、好ましくは30〜250g/mの範囲である。
【0013】
本発明のクロスシートの光透過率はJISL1055A法に準じて測定した値で40%以上、好ましくは45〜85%、さらに好ましくは60〜85%の範囲である。該クロスシートの光透過率が40%未満では、被覆した内容物の視認性に欠けるので好ましくない。
該光透過率を上記範囲にするには、熱可塑性樹脂の種類、延伸糸の繊度及び難燃剤の配合量を上記範囲内で調節することにより、調整可能である。
【0014】
また、上記クロスシートは土嚢、雑袋、コンテナーバッグ等に用いられることから、長期間日光に晒されるために高い耐候性が必要とされている。本発明で用いる難燃剤は、ピペリジル基を有するトリアジン誘導体であり、それ自身がヒンダードアミン系の光安定剤として働くため、非常に高い耐候性を有する。さらに、耐候性を改良する方法としては、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤を添加する方法を採用することもできる。
【0015】
紫外線吸収剤の具体例としては、具体的には2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、オクチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2′-ヒドロキシ -5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3′-5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0016】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物等が挙げられる。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0018】
【実施例】
実施例1
高密度ポリエチレン(密度=0.950g/cm、MFR=0.6g/10分)に対し、上記一般式(3)及び一般式(4)で示されるものを組み合わせた窒素含有化合物からなる難燃剤を2重量%配合し、これを65mmφの押出機を用いて溶融温度230℃でTダイ法を用いてフィルムに押出し、水槽法で冷却してフィルムを形成した。
このフィルムを8mm幅にスリットし、ついで熱ロール法で延伸倍率9倍で延伸して繊度1100dtのフラットヤーンを得た。
このフラットヤーンを用いて、縦横10本×10本/2.54cmの打込密度で、平織の織布を形成した。
得られたポリエチレンクロスシートは無色透明であり、その光透過率はJISL1055A法による値で80%であった。また、難燃性試験において、JISA1322による燃焼試験では炭化長45mmで防炎1級に合格であった。
【0019】
比較例1
実施例1において、難燃剤をメラミンシアヌレート(商品名:MC−610、日産化学株式会社製)に変え、上記ポリエチレン100重量部に対し、メラミンシアヌレート10重量部を配合して行ったこと以外は同様にして行った。
その結果、得られたポリエチレンクロスシートは白色であり、その光透過率はJISL1055A法による値で10%であった。また、難燃性試験では炭化長150mm以上で、JISA1322の防炎性規格に不合格であった。
なお、上記防炎性規格に合格するのに必要なメラミンシアヌレートの配合量は上記ポリエチレン100重量部に対し、それぞれ30重量部必要であり、本発明で用いる難燃剤はわずか2重量%配合することで十分効果を有するのに比べ、大量添加しないと満足する難燃効果が得られないことがわかった。
【0020】
比較例2
実施例1において、難燃剤を臭素系難燃剤デカブロムジフェニルエーテルと三酸化アンチモンを3:1の比率の混合物に変え、上記ポリエチレン100重量部に対し、それぞれ10重量部を配合して行ったこと以外は同様にして行った。
その結果、得られたポリエチレンクロスシートは白色であり、その光透過率はJISL1055A法による値で20%であった。また、難燃性試験では炭化長80mmで、JISA1322の防炎1級に不合格であった。
【0021】
比較例3
実施例1において、難燃剤をトリリン酸アンモンに変え、上記ポリエチレン100重量部に対し、それぞれ10重量部を配合して行ったこと以外は同様にして行った。
その結果、得られたポリエチレンクロスシートは白色であり、その光透過率はJISL1055A法による値で10%であった。また、難燃性試験では炭化長無限大で、JISA1322の防炎性規格に不合格であった。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、熱可塑性樹脂延伸糸を経緯糸に用いた織編布からなるクロスシートであって、該熱可塑性樹脂に上記一般式(1)で示される窒素含有化合物からなる難燃剤を配合してなるものであって、ハロゲン系難燃剤やりん系難燃剤のように有毒ガスの発生の恐れがなく、かつ無機系難燃剤のように燃焼後の灰分の残存する恐れのなく、少量の配合することによって、クロスシートの内容物を容易に視認可能な光透過性を有するものにすることができ、耐候性、及び難燃性に優れたポリオレフィンクロスシートを提供することができる。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂製延伸糸を経緯糸に用いた織編布のクロスシートであって、該熱可塑性樹脂に下記一般式(1)で示される窒素含有化合物からなる難燃剤を配合してなり、且つ、該クロスシートの光透過率が40%以上であることを特徴とする光透過性を有するクロスシート。
    H(R1)Nー(CH2)aーN(R2)ー(CH2)bーN(R2')ー(CH2)cーN(R1)H (1)
    (式中、R1は下記一般式(2)で示されるピペリジル基を含有するトリアジン誘導体基であり、R2、R2'は R1または水素原子を表し、a,b及びcはそれぞれ、2〜5の正数を表す。)
    Figure 0004091317
    (式中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基または水素原子を表し、R4は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基または炭素原子数1〜4のアルキル基で置換された炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を表す。)
  2. 熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項1に記載の光透過性を有するクロスシート。
  3. 難燃剤の配合量がポリオレフィンに対して0.1〜5重量%の範囲である請求項1に記載の光透過性を有するクロスシート。
  4. 難燃剤が下記一般式(3)で示される窒素含有化合物である請求項1に記載の光透過性を有するクロスシート。
    H(R1)Nー(CH2)3ーN(R1)ー(CH2)2ーNHー(CH2)3ーN(R1)H (3)
    (式中、R1は下記一般式(4)で示されるピペリジル基を含有するトリアジン誘導体基である。)
    Figure 0004091317
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