JP4090638B2 - 植物病害防除剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2種の有効成分を含有し、イネいもち病の感染に対して相乗的に増強された効果を有する植物保護組成物である。更に詳しくは、有効成分の一方が植物病害防除作用を示す置換チオフェン誘導体であり、他方が有機ヘテロ環化合物、有機りん系化合物、アクリレート系化合物、ジクロシメット、カスガマイシン、ブラストサイジン−Sおよびフェリムゾンから選ばれる化合物である殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年開発された選択的作用を示す殺菌剤は、それまで使用されてきた非選択的な殺菌剤と異なり低薬量で安定した効果を示すが、繰り返し使用した場合に薬剤耐性が出現し、効力の低下を来す恐れがある。その対策として、予防的剤との混合、作用機作の異なる薬剤との混合、あるいは薬剤自身の使用回数の制限も行われているとともに、新たな薬剤の開発が期待されている。
【0003】
特開平9−235282号公報(欧州特許公開第737682号公報)には、新たな置換チオフェン誘導体が種々の病害に対して殺菌効果を有することが知られているが、この特許においては、本発明の構造を有する化合物に関しての記載はない。
【0004】
一方、成分IIは有機ヘテロ環化合物、有機りん系化合物、アクリレート系化合物、ジクロシメット、カスガマイシン、ブラストサイジン−Sおよびフェリムゾンから選ばれる公知の化合物であり、以下に一般名[“商品名(英名)”、頁]で示し、頁とは、[ザ ペスチサイド マニュアル(The Pesticide Manual)、第11版、The British Crop Protection Council、1997年]の記載頁を示す。
【0005】
A.有機ヘテロ環化合物
1.プロベナゾール[“オリゼメート(Oryzemate)”、第999〜1000頁]
2.トリシクラゾール[“ビーム(Beam)”、第1239〜1241頁]
3.ピロキロン[“コラトップ(Coratop)”、第1075〜1076頁]
4.クロベンチアゾン[第1234頁]
5.フサライド[“ラブサイド(Rabcide)”、第974〜975頁]
6.カルプロアミド[“ウイン(Win)”、第744〜746頁]
7.イソプロチオラン[“フジワン(Fuji−one)”、第731〜732頁]
8.アシベンゾラル・S・メチル[“バイオン(Bion)”、第195〜196頁]
9.イソチアゾールカルボン酸誘導体[“US−5240951”]
【0006】
B.有機りん系化合物
1.イプロベンフォス[“キタジンP(Kitazin P)”、第723〜724頁]
2.エジフェンフォス[“ヒノザン(Hinosan)”、第454〜456頁]
【0007】
C.アクリレート系化合物
1.クレソキシム・メチル[“ストロビー”、第743〜744頁]
2.アゾキシストロビルリン[“ヘリテージ(Heritage)”、第70〜72頁]
3.特開昭63−23852号公報に記載の化合物
4.SSF−126(コード番号)[第1114〜1115頁]
【0008】
D.その他
1.ジクロシメット[“S−2900”、特開昭63−72663]
2.カスガマイシン[“カスミン(Kasumin)”第740〜742頁]
3.ブラストサイジン−S[“ブラ−S(Bla−S)”、第133〜134頁]
4.フェリムゾン[“ブラシン(Blasin/フサライドとの混合物)”、第543〜544頁]
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、成分Iの置換チオフェン誘導体の一つと成分IIの有機ヘテロ環化合物、有機りん系化合物、アクリレート系化合物、ジクロシメット、カスガマイシン、ブラストサイジン−Sおよびフェリムゾンから選ばれる公知の化合物のうちの一つとの少なくとも二種の有効成分を含有し、イネいもち病に対して相乗的に増強された作用を有する植物病害防除剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため種々検討した結果、驚くべきことに、成分IIの有機ヘテロ環化合物、有機りん系化合物、アクリレート系化合物、ジクロシメット、カスガマイシン、ブラストサイジン−Sおよびフェリムゾンのうちの少なくとも一つの成分と成分Iの置換チオフェン誘導体の一つとを混合した組成物が、広範囲の植物病害、特にイネいもち病の感染に対して増強された相乗効果を示し、従って前記課題の解決にかなうものであることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、少なくとも2種の有効成分を含有し、イネいもち病の感染に対して相乗効果を有する植物保護組成物であり、成分Iは(化3)
【0012】
【化3】
[式中、Qは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メトキシ基、メチルスルホキシ基、メチルスルホニル基、シアノ基、アセチル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基またはアミノ基を示し、Rは炭素数3〜12の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐のハロゲノアルキル基、炭素数3〜10の直鎖または分岐のアルケニル基、炭素数3〜10の直鎖または分岐のハロゲノアルケニル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換していてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換していてもよい炭素数3〜10のハロゲノ置換シクロアルキル基、または1〜3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基であり、該フェニル基の置換基は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のハロゲノアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のアルキルスルホキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、アミノ基、または炭素数1〜3のアルキル基で置換されたアミノ基であり、Rと−NHCOArは互いに隣り合っており、Arは以下の(A1)から(A8)(化4)
【0013】
【化4】
(式中、R1はトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、メチル基、エチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R2は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基またはアミノ基であり、nは0〜2の整数である)で表される基である]で表される置換チオフェン誘導体であり、成分IIは、トリシクラゾール、ピロキロン、又はフェリムゾンである組成物である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の成分Iで表される化合物のうち、好ましいものは、Arが(A1)で、R1がCF3またはMe基でありR2がMe基;Arが(A2)で、R1がCF3またはCHF2;Arが(A3)で、R1がMe基でありR2が水素原子またはMe基;Arが(A4)で、R1がMe基でありnが0〜1;Arが(A5)で、R1が塩素原子;Arが(A6)または(A7);Arが(A8)で、R1がMe基である化合物、Rが炭素数4〜8の直鎖または分岐のアルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基で置換していてもよい炭素数4〜8のシクロアルキル基である化合物、Qが水素原子である化合物である。
【0015】
本発明の成分Iとして特に好ましい化合物は、Arが(A1)で、R1がCF3またはMe基であり、R2がMe基;Arが(A2)であり、R1がCF3またはCHF2であり、Qが水素原子であり、Rが炭素数4〜8の直鎖または分岐のアルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基で置換してもよい炭素数4〜8のシクロアルキル基である化合物である。
【0016】
以下に、成分Iで表される化合物の具体例の幾つかを示す。
化合物番号1:N−{2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル}−2,4−ジメチルチアゾール−5−カルボン酸アミド
[Qが水素原子であり、Rが1,3−ジメチルブチル基であり、ArがA1(R1=Me,R2=Me)の場合]
化合物番号2:N−{2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル}−3−トリフルオロメチル−1−メチルピラゾール−4−カルボン酸アミド
[Qが水素原子であり、Rが1,3−ジメチルブチル基であり、ArがA2(R1=CF3)の場合]
化合物番号3:N−{2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル}−2−メチルフラン−3−カルボン酸アミド
[Qが水素原子であり、Rが1,3−ジメチルブチル基であり、ArがA3(R1=Me,R2=H)の場合]
化合物番号4:N−{2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル}−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸アミド
[Qが水素原子であり、Rが1,3−ジメチルブチル基であり、ArがA4(R1=Me,n=0)の場合]
化合物番号5:N−{2−(1,3−ジメチルブチル)−3−チエニル}−2−クロロニコチン酸アミド
[Qが水素原子であり、Rが1,3−ジメチルブチル基であり、ArがA6の場合]
【0017】
本発明の組成物は、下記の種類の植物病害に対して有効である:イネのいもち病(Pyricularia oryzae)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.hordei; f.sp.tritici)、さび病(Puccinia striiformis; P. graminis; P.recondita; P.hordei)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、網斑病(Pyrenophora teres)、赤かび病(Gibberella zeae)、雪腐病(Typhula sp.; Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici; U.nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、株腐病(Rhizoctonia cerealis)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum);インゲン、キュウリ、トマト、イチゴ、ブドウ、ジャガイモ、ダイズ、キャベツ、ナス、レタス等の灰色かび病(Botrytis cinerea);ブドウのべと病(Plasmopora viticola)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、うどんこ病(Uncinula necator)、黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata);リンゴのうどんこ病(Podosphaera leucotricha)、黒星病(Venturia inaequalis)、斑点落葉病(Alternaria mali)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、モニリア病(Sclerotinia mali)、腐らん病(Valsa mali);ナシの黒斑病(Alternaria kikuchiana)、黒星病(Venturia nashicola)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、輪紋病(Physalospora piricola);モモの灰星病(Sclerotinia cinerea)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);カキの炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki; Mycosphaerella nawae)、うどんこ病(Phyllactinia kakikora);キュウリのべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ウリ類のうどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、つる枯病(Mycosphaerella melonis);トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvam)、疫病(Phytophthora infestans);ナスのうどんこ病(Erysiphe cichoracorum)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii); アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae);ネギのさび病(Puccinia allii)、黒斑病(Alternaria porri); ダイズの紫斑病(Cercospora kikukuchii)、黒とう病(Elsinoe glycinnes)、黒点病(Diaporthe phaseololum);インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemuthianum);ラッカセイの黒渋病(Mycosphaerella personatum)、褐斑病(Cercospora arachidicola);エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)、べと病(Peronospora pisi);ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、黒あざ病(Rhizoctonia solani)、疫病(Phytophthora infestans);ソラマメのべと病(Peronospora viciae)、疫病(Phytophthora nicotianae);チャの網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis) ;タバコの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、 炭そ病(Colletotrichum tabacum)、疫病(Phytophthora parasitica);テンサイの褐斑病(Cercospora beticola); バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、疫病(Phytophthora megasperma); キクの褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana);イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、疫病(Phytophthora nicotianae);インゲン、キュウリ、トマト、イチゴ、ブドウ、ジャガイモ、ダイズ、キャベツ、ナス、レタス等の菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);カンキツの黒点病(Diaporthe citri); ニンジンの黒葉枯病(Alternaria dauci) 等。なかでも、イネいもち病に対して相乗的に増強された効果を有する。このような増強作用は、個々の有効成分の作用の合計からは予期されることではなかった。
【0018】
本発明の植物病害防除剤組成物において、成分Iの置換チオフェン誘導体と成分IIの化合物の混合割合は特に限定されないが、通常、成分Iの化合物1重量部に対して成分IIの化合物は0.01〜50重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部、より一層好ましくは1〜20重量部の範囲内である。
【0019】
本発明の組成物は、2種の有効成分を含む混合物を直接施用しても良いし、個々の有効成分を別々に同時施用するか、または相前後して施用しても良い。更に、有効成分を含む混合物は、2種の有効成分を含む濃厚組成物を水で希釈しても良いし、また、個々の有効成分を含む2種の濃厚液から使用時に混合物を調製し、これを水で希釈しても良い(タンクミックス法)。本発明組成物を植物病害防除剤として使用する場合は、処理する植物に対して原体をそのまま使用してもよいが、一般には不活性な液体担体、固体担体、界面活性剤と混合し、通常用いられる製剤形態である粉剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤、粒剤およびその他の一般に慣用される形態の製剤として使用される。更に製剤上必要ならば補助剤を添加することもできる。
【0020】
ここでいう担体とは、処理すべき部位への有効成分の到達を助け、また有効成分化合物の貯蔵、輸送、取扱いを容易にするために配合される合成または天然の無機または有機物質を意味する。担体としては、通常農園芸用薬剤に使用されるものであるならば固体または液体のいずれでも使用でき、特定のものに限定されるものではない。
【0021】
例えば、固体担体としては、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土類;珪藻土、白土、タルク、バ−ミュキュライト、石膏、炭酸カルシウム、シリカゲル、硫安等の無機物質;大豆粉、鋸屑、小麦粉等の植物性有機物質および尿素等が挙げられる。物性を改良するために、高分散ケイ酸または高分散吸収性ポリマーを添加することも可能である。
液体担体としては、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;ケロシン、鉱油などのパラフィン系炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒および水等が挙げられる。
【0022】
更に、製剤の剤型、適用場面等を考慮して目的に応じてそれぞれ単独に、または組み合わせて次の様な補助剤を添加することができる。補助剤としては、通常使用される界面活性剤、結合剤(例えば、リグニンスルホン酸、アルギン酸、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、CMCナトリウム等)、安定剤(例えば、酸化防止用としてフェノール系化合物、チオール系化合物または高級脂肪酸エステル等を用いたり、pH調整剤として燐酸塩を用いたり、時に光安定剤も用いる)等を必要に応じて単独または組み合わせて使用できる。更に場合によっては防菌防黴のために工業用殺菌剤、防菌防黴剤などを添加することもできる。
【0023】
補助剤について更に詳しく述べる。補助剤としては乳化、分散、拡展、湿潤、結合、安定化等の目的ではリグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルチオエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤;ステアリン酸カルシウム、ワックス等の滑剤;イソプロピルヒドロジエンホスフェート等の安定剤;ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、リゾレシチン等のセファリンまたはレシチン系の天然または合成リン脂質;その他メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム等が挙げられる。しかし、これらの成分は以上のものに限定されるものではない。
【0024】
本発明組成物における有効成分組成物の含有量は、製剤形態によっても異なるが、通常粉剤では0.1〜30重量%、水和剤では0.1〜80重量%、粒剤では0.5〜20重量%、乳剤では2〜50重量%、フロアブル製剤では1〜50重量%、ドライフロアブル製剤では1〜80重量%であり、好ましくは、粉剤では0.5〜10重量%、水和剤では5〜60重量%、乳剤では5〜20重量%、フロアブル製剤では5〜50重量%およびドライフロアブル製剤では5〜50重量%である。
補助剤の含有量は0〜80重量%であり、担体の含有量は100重量%から有効成分化合物のおよび補助剤の含有量を差し引いた量である。
【0025】
本発明の組成物の施用方法としては種子処理、茎葉散布、土壌潅注、水面施用等が挙げられるが、通常当業者が利用するどの様な施用方法にても十分な効力を発揮する。施用量および施用濃度は対象作物、対象病害、病害の発生程度、化合物の剤型、施用方法および各種環境条件等によって変動するが、散布する場合には有効成分量としてヘクタール当たり50〜1,000gが適当であり、望ましくはヘクタール当り100〜500gである。また水和剤、フロアブル剤または乳剤を水で希釈して散布する場合、その希釈倍率は200〜20,000倍が適当であり、望ましくは500〜5,000倍である。また、種子消毒の場合、殺菌剤混合物の使用量は、種子1kg当たり0.001から50g、好ましくは0.01から10gである。
本発明の組成物は他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤および植物成長調節剤等の農薬、土壌改良剤または肥効物質との混合使用は勿論のこと、これらとの混合製剤も可能である。
【0026】
次に、製剤例および試験例にて本発明を更に詳しく説明する。尚、製剤例中の部は重量部を表す。
【0027】
【実施例】
製剤例 1(水和剤)
化合物番号1:10部、トリシクラゾール:10部、リグニンスルホン酸ナトリウム:10部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:20部および珪藻土:50部を粉砕混合して、水和剤を得た。
【0028】
製剤例 2(水和剤)
化合物番号2:20部、ピロキロン:20部、炭酸カルシウム:40部、ソルポール5039(アニオン性界面活性剤とホワイトカーボンの混合物:東邦化学株商品名):10部、ホワイトカーボン:10部を均一に混合粉砕して水和剤とした。
【0029】
製剤例 3(フロアブル剤)
化合物番号1:10部、SSF−126:10部、プロピレングリコール:3部、リグニンスルホン酸ナトリウム:2部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩:1部、および水:74部をサンドグラインダーで湿式粉砕しフロアブル剤を得た。
【0030】
製剤例 4(フロアブル剤)
化合物番号4:10部、ブラシン:5部、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート:3部、カルボキシメチルセルロ−ス:3部および水:79部をサンドグラインダーで湿式粉砕しフロアブル剤を得た。
【0031】
製剤例 5(粒剤)
化合物番号1:5部、トリシクラゾール:5部、ベントナイト:25部、タルク:62部、リグニンスルホン酸ナトリウム:2部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1部を混合した後、適量の水を加えて均一に混練し、バスケット造粒機にて造粒した後乾燥させて粒剤を得た。
【0032】
試験例1 イネいもち病防除効果試験(散布処理)
温室内でポットに2葉期まで30〜40本ずつ生育させたイネ(品種:マンゲツモチ)に、製剤例1に準じて調製した水和剤を所定濃度(有効成分濃度200ppm)に希釈して、3ポット当たり50mlずつ散布した。薬液が乾いた後、オートミール培地上で培養したイネいもち病菌から調製した分生胞子懸濁液(4×105個/ml)をイネ全体に噴霧接種し、温度25℃、湿度95%以上の人工気象室に7日間保った。接種7日後、イネ5本当たりのイネいもち病の病斑数を次の指標に従って調査し、下記の式に従って防除価を求めた。結果を第1表(表1)に示す。
【0033】
各処理区および無処理区の平均値を発病度とした。
防除価(%)=(1−処理区の発病度/無処理区の発病度)×100
【0034】
【表1】
【0035】
試験例2 イネいもち病防除効果試験(水面施用)
5000分の1アールのワグネルポットにイネ(品種:マンゲツモチ;3葉期)を移植し、温室内で1週間生育した後、製剤例5に準じて調製した粒剤を水面施用した。薬剤処理40日経過後に、胞子懸濁液を噴霧接種し、温度25℃、高湿度条件下でそれぞれ1週間置き、病斑数を調査し、防除価は試験例1と同様にして算出した。結果を第2表(表2)に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも2種の有効成分を含有する植物病害防除剤組成物であり、広範囲の植物病害、特にイネいもち病に対して相乗的に増強された効果を示すことから、植物病害防除剤組成物として有用である。本発明の組成物を使用することにより、慣用の方法に比べて予期しない少量の有効成分量で、効果的に病害の防除ができる。
また、本発明の組成物はイネいもち病に対する相乗効果のほか、紋枯病等に対する効果を示す。
Claims (5)
- 少なくとも2種の有効成分を含有し、イネいもち病の感染に対して相乗効果を有する植物病害防除剤組成物であり、成分Iは一般式(1)(化1)
- 前記成分Iにおいて、Qは水素原子であり、Rは炭素数5〜8の直鎖または分岐のアルキル基、または炭素数1〜4のアルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基である請求項1記載の組成物。
- 前記成分IIは、トリシクラゾールである請求項1又は請求項2記載の組成物。
- 前記成分IIは、ピロキロンである請求項1又は請求項2記載の組成物。
- 前記成分IIは、フェリムゾンである請求項1又は請求項2記載の組成物。
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