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JP4066704B2 - サージアブソーバ - Google Patents

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JP4066704B2 JP2002127356A JP2002127356A JP4066704B2 JP 4066704 B2 JP4066704 B2 JP 4066704B2 JP 2002127356 A JP2002127356 A JP 2002127356A JP 2002127356 A JP2002127356 A JP 2002127356A JP 4066704 B2 JP4066704 B2 JP 4066704B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路を雷サージや静電気等の過渡電圧から保護するサージアブソーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
チップ型サージアブソーバは、電話機、モデムなどの電子機器が通信線と接続する部分、或いはCRT駆動回路など、雷サージや静電気等の異常電圧による電撃を受けやすい部分に接続され、異常電圧によって電子機器が破壊されるのを防ぐために使用されている。
【0003】
従来のチップ型サージアブソーバ1は、図6に示すように、アルミナ等の絶縁材からなる絶縁基板3の板面に放電電極5、7を対向して形成し、その放電電極5と放電電極7との間に、マイクロギャップと称される放電間隙9を設けている。放電電極5と放電電極7とは、電極材料をスクリーン印刷することによって放電間隙9を隔てて対向する一体の印刷パターンとして形成することができる。
【0004】
これら放電電極5、7の上方には、内部空間11を形成するよう、箱状をなす絶縁物からなる蓋体13が絶縁基板3上に被着され、その内部空間11内は放電に好適な種類のガス雰囲気とされている。蓋体13は、絶縁基板3の周囲に塗布された接着剤15によって被着され、放電電極5、7の外端が外部にはみ出すようになっている。蓋体13と絶縁基板3の両端部には端子電極17、19がメッキ等によって形成され、端子電極17、19は各放電電極5、7に接続される。
【0005】
このような構成となるサージアブソーバ1は、放電電極5、7に放電開始電圧を越える大きなサージ電圧が加えられると、放電電極5、7の先端側間で放電間隙9を介してグロー放電aがトリガされ、この放電が矢印bに示すように、内部空間11内を沿面放電の形態で両放電電極5、7の外端側まで次第に伸展し、更にcのように、両放電電極5、7の外端側の間でアーク放電し、これによって回路間に発生したサージ電圧を吸収できるように作動する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のサージアブソーバは、グロー放電を開始する放電電極の先端側間(トリガー電極)と、アーク放電する両放電電極の外端側の間(主放電電極)とが一直線上に存在していたため、放電がトリガー電極上に形成されることになり、熱影響を受けることから寿命特性が劣化し易かった。
また、上記した従来のサージアブソーバは、放電電極の金属材料に、低仕事関数のアルカリ土類金属(例えばセシウム、ナトリウム、バリウム等)或いはこれらの2種以上の混合物を用いることによって、放電開始電圧をコントロールして低電圧化を実現させていた。しかしながら、上記した金属材料は、大気中において不安定であり(非常に酸化し易く)、特にナトリウムの場合には酸化によって爆発的に燃焼する。このため、これら金属材料は、大気中での焼成ができず、アルゴンガス等の不活性ガス中での焼成が必要となり、取り扱いが非常に困難である問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、寿命特性を向上させることのできるサージアブソーバを得ることにある。
また、その第二の目的は、特殊ガスを使用することなく、放電電極の大気中での焼成が可能となるサージアブソーバを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載のサージアブソーバは、絶縁基板上に間隔を隔てて形成した一対の主放電電極と、前記一対の主放電電極に沿うように前記絶縁基板上に形成され該一対の主放電電極の少なくともいずれか一方の主放電電極との間に放電間隙を有するトリガー電極とを具備したことを特徴とする。
【0008】
このサージアブソーバでは、絶縁基板上で、一対の主放電電極に沿うようにトリガー電極が形成され、トリガー電極が主放電電極上から外れた位置となり、主放電電極と同一直線上にトリガー電極を形成する場合に比べて、トリガー電極への熱影響が少なくなる。
【0009】
請求項2記載のサージアブソーバは、請求項1記載のサージアブソーバにおいて、前記トリガー電極は、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成され、且つ該カーボンナノチューブが前記放電間隙に表出していることを特徴とする。
【0010】
このサージアブソーバでは、トリガー電極が、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成され、トリガー電極を従来のアルカリ土類金属で形成した場合に比べ、低電圧での電子放出が可能になる。これに加えて、トリガー電極は、機械的強度も高まり、化学的にも安定する。また、化学的にも安定したカーボンナノチューブを用いるので、特殊ガスを使用することなく大気中での焼成が可能になり、取り扱いが容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサージアブソーバの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るサージアブソーバの分解斜視図、図2は図1に示したサージアブソーバの外観斜視図、図3は図1に示したサージアブソーバの要部平面図である。
【0012】
この実施の形態によるサージアブソーバ21は、絶縁基板23上に所定の間隔25を隔てて対向する一対の放電電極(主放電電極)27、29を形成している。ここで、所定の間隔25とは、後述する放電間隙より大きい距離の間隔を言う。この間隔25は、20μm〜3mm程度に形成される。本実施の形態では、主放電電極27、29は、この所定の間隔25を隔てて直線状に配設されている。主放電電極27、29は、例えばAg,Fe,Au,Cu,Ru,Ti,Niの材質からなる。主放電電極27、29は、スパッタ法、CVD法、蒸着法、又はスクリーン印刷法によって形成される。
【0013】
絶縁基板23上には、この一対の主放電電極27、29に沿うように、トリガー電極31を形成している。本実施の形態において、トリガー電極31は、主放電電極27、29の間隔25を挟むように、主放電電極27、29の両側(主放電電極27、29の延在方向に直交方向の両側)に二つ設けられている。このトリガー電極31、31のそれぞれは、一対の主放電電極27、29の少なくともいずれか一方の主放電電極との間に放電間隙33を有している。本実施の形態においては、図3に示すように、一つのトリガー電極31が、一対の主放電電極27、29のそれぞれとの間に、二つの放電間隙33、33を有している。従って、絶縁基板23上には、合計四つの放電間隙33、33、33、33が形成されている。この放電間隙33は、1〜200μm程度に形成される。本実施の形態において、トリガー電極31は、例えばAg,Fe,Au,Cu,Ru,Ti,Niの材質からなり、スパッタ法、CVD法、蒸着法、又はスクリーン印刷法によって形成される。
【0014】
主放電電極27、29の外端は、絶縁基板23の左右端面に表出している。絶縁基板23の上面周縁には、後述の蓋体を絶縁基板23に接着するための接着剤35を四角枠形状に塗布している。絶縁基板23の上面には、箱状となった絶縁物からなる蓋体36を、上記の接着剤35によって被着している。蓋体36によって密閉した内部空間には、放電に好適な雰囲気を形成する不活性ガス(例えばArガス)を封入している。蓋体36と絶縁基板23の左右端面には図2に示す端子電極37、39をメッキ等によって形成してあり、端子電極37、39は左右端面に表出した主放電電極27、29の外端に電気的に接続している。
【0015】
このような構成となるサージアブソーバ21は、主放電電極27、29に放電開始電圧を越える大きなサージ電圧が加えられると、放電間隙33、33、33、33でグロー放電がトリガされる。この放電が内部空間内を沿面放電の形態で主放電電極27、29の両外端側まで次第に伸展し、主放電電極27、29上の間でアーク放電し、これによって回路間に発生したサージ電圧を吸収できるように作動する。
【0016】
このサージアブソーバ21によれば、絶縁基板23上で、一対の主放電電極27、29に沿うようにトリガー電極31が形成され、トリガー電極31が主放電電極27、29上から外れた位置となるので、従来構造のように、主放電電極27、29と同一直線上にトリガー電極31を形成する場合に比べて、トリガー電極31への熱影響を少なくすることができる。この結果、サージアブソーバ21の寿命特性を改善することができる。
【0017】
次に、本発明に係るサージアブソーバの他の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係るサージアブソーバは、外観上、上記のサージアブソーバ21と同様となっている。従って、図示は省略する。一方、このサージアブソーバは、トリガー電極が、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成され、且つこのカーボンナノチューブが上記の放電間隙33に表出している。この他の構成は、上記のサージアブソーバ21と同様となっている。
【0018】
このトリガー電極は、カーボンナノチューブを主材にした導電性ペースト(例えば銀ペースト)をスクリーン印刷して、乾燥、焼成して形成される。ここで、「主材」とは主成分を意味するものとする。従って、導電性ペーストのバインダー成分は、最少量を含有していればよい。カーボンナノチューブは、炭素原子のみからなる円筒の端が例えばフラーレンの半球で閉じた配列となり、その立体構造から理想的な機械的強度を有し、化学的にも安定で、且つ外径が1〜数十nmと微細で、形状的には低電圧で電子放出を行わせるのに十分な構造形態を持つ。このカーボンナノチューブは、例えば、ヘリウムガス中で一対の炭素電極間にアーク放電を起こしたときの陰極側の炭素電極先端に凝集した堆積物中に形成される。
【0019】
このトリガー電極は、絶縁基板23上に、カーボンナノチューブを含んだ導電性ペースト(例えば銀ペースト)をスクリーン印刷し、その後に焼成する。次いで、焼成した電極の少なくとも放電間隙に対向する部分を、レーザ光線若しくはダイシングで切断し、或いは印刷時に間隙を形成し、表面処理(通電)することによってカーボンナノチューブを放電間隙に表出させる。
【0020】
このサージアブソーバでは、主放電電極に放電開始電圧を越える大きなサージ電圧が流れると、放電間隙でグロー放電がトリガされる。電子放出部は、鋭利な先端を持つほど、電子放出部に印加される電界強度が高くなることが知られている。このような電子放出部となる放電間隙に、カーボンナノチューブが表出していることで、カーボンナノチューブの先端に高電界が集中して電子が引き出される。即ち、仕事関数を低くして、低電圧で電子が放出されるようになる。この放電が内部空間内を沿面放電の形態で主放電電極の両外端側まで次第に伸展し、銀ペースト等を主材とする主放電電極上の間でアーク放電し、これによって回路間に発生したサージ電圧を吸収できるように作動する。
【0021】
この他の実施の形態によるサージアブソーバによれば、トリガー電極が、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成され、トリガー電極を従来のアルカリ土類金属で形成した場合に比べ、低電圧での電子放出が可能になる。これに加えて、トリガー電極は、機械的強度も高まり、化学的にも安定する。また、化学的にも安定したカーボンナノチューブを用いるので、特殊ガスを使用することなく大気中での焼成が可能になり、取り扱いが容易になる。
【0022】
次に、本発明に係るサージアブソーバの変形例を説明する。
図4は放電間隙が2箇所に形成された本発明に係る変形例1の要部平面図、図5は放電間隙が2箇所に形成された本発明に係る変形例2の要部平面図である。
【0023】
図4に示すサージアブソーバは、一方の主放電電極27に、上側(図4の上側)のトリガー電極31aの基端が重なり、このトリガー電極31aの先端部と他方の主放電電極29との間に放電間隙33が形成されている。また、他方の主放電電極29に、下側(図4の下側)のトリガー電極31bの基端が重なり、このトリガー電極31bの先端部と一方の主放電電極27との間に放電間隙33が形成されている。つまり、対角線上に一対の放電間隙33、33が形成されている。なお、トリガー電極31a,31bは、Ag,Fe,Au,Cu,Ru,Ti,Niの材質からなるものであっても、或いはカーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成されるもののいずれであってもよい。他の構成は、上記したサージアブソーバ21と同様となっている。
この変形例によるサージアブソーバによれば、トリガー電極31a,31bの延在方向一端が主放電電極27又は主放電電極29に接続されるので、放電開始電圧の低電圧化が可能となる。
【0024】
図5に示すサージアブソーバは、一方の主放電電極27より他方の主放電電極29が幅(主放電電極延在方向に直交する方向の幅)狭に形成されている。そして、一方の主放電電極27に、上側のトリガー電極31aと、下側のトリガー電極31bとの基端が重なり、これら一対のトリガー電極31a、31bの先端と他方の主放電電極29との間に放電間隙33、33が形成されている。つまり、他方の主放電電極29とトリガー電極31a、31bとの間に、一対の放電間隙33、33が形成されている。この場合においても、トリガー電極31は、Ag,Fe,Au,Cu,Ru,Ti,Niの材質からなるものであっても、或いはカーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成されるもののいずれであってもよい。他の構成は、上記したサージアブソーバ21と同様となっている。
この変形例によるサージアブソーバによれば、トリガー電極31の延在方向一端が主放電電極27に接続されるので、放電開始電圧の低電圧化が可能となる。これに加え、矩形状となった一対のトリガー電極31a,31bを平行に形成して、平行な放電間隙33、33を形成することができる。
【0025】
なお、上記の各実施の形態では、主放電電極27、29を挟んで一対のトリガー電極31、31、又はトリガー電極31a,31bを設けたが、これらトリガー電極は、一対ではなく、一つのものであっても上記と同様の作用、効果を奏するものであることは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る請求項1記載のサージアブソーバによれば、絶縁基板上に間隔を隔てて一対の主放電電極を形成し、この一対の主放電電極に沿うようにトリガー電極を形成し、且つこのトリガー電極が、一対の主放電電極の少なくともいずれか一方との間に放電間隙を有するので、トリガー電極が主放電電極上から外れた位置となり、主放電電極と同一直線上にトリガー電極を形成する場合に比べて、トリガー電極への熱影響を少なくし、寿命特性を改善することができる。
【0027】
請求項2記載のサージアブソーバによれば、請求項1記載の構成において、トリガー電極が、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成されるので、トリガー電極を従来のアルカリ土類金属で形成した場合に比べ、低電圧での電子放出が可能になり、これに加えて機械的強度も高まり、しかも、化学的にも安定し、寿命特性を向上させることができる。そして、化学的にも安定したカーボンナノチューブを用いるので、特殊ガスを使用することなく大気中での焼成を可能にし、取り扱いを容易にして、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサージアブソーバの分解斜視図である。
【図2】 図1に示したサージアブソーバの外観斜視図である。
【図3】 図1に示したサージアブソーバの要部平面図である。
【図4】 放電間隙が2箇所に形成された本発明に係る変形例1の要部平面図である。
【図5】 放電間隙が2箇所に形成された本発明に係る変形例2の要部平面図である。
【図6】 従来のサージアブソーバの縦断面図である。
【符号の説明】
21…サージアブソーバ
23…絶縁基板
25…間隔
27、29…主放電電極
33…放電間隙
31、31a,31b…トリガー電極

Claims (2)

  1. 絶縁基板上に間隔を隔てて形成した一対の主放電電極と、
    前記一対の主放電電極に沿うように前記絶縁基板上に形成され該一対の主放電電極の少なくともいずれか一方の主放電電極との間に放電間隙を有するトリガー電極と
    を具備したことを特徴とするサージアブソーバ。
  2. 請求項1記載のサージアブソーバにおいて、
    前記トリガー電極は、カーボンナノチューブを含む導電性ペーストを焼成して形成され、且つ該カーボンナノチューブが前記放電間隙に表出していることを特徴とするサージアブソーバ。
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