JP4063162B2 - 映像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のプロジェクタを用いて、1枚のスクリーン上に投影した大画面の映像表示装置に係り、特に撮影した画像の二値化演算と幾何情報演算を行い、精度の良い画像補正データを演算するのに好適な映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタで映像を投射する映像表示装置には、複数のプロジェクタを用いて、1枚のスクリーン上に各プロジェクタの投射映像を並べて、高精細な大画面に表示する映像表示装置がある。
【0003】
このような映像表示装置においては、各プロジェクタの映像がスクリーン上のどの位置にどのように投射されるかを計測し、その計測したデータに基づいて画像歪の補正を行うことにより、スクリーン上に理想的な映像を投射している。
【0004】
又、従来は平面状のスクリーンが用いられていたが、最近では、球面型や円筒型などの曲面スクリーンも用いられるようになってきている。映像を投射したとき画像歪の大きくなる曲面スクリーンの画像歪を補正する方法として、例えば、【特許文献1】や【特許文献2】に記載されているものがある。
【0005】
【特許文献1】では、理想視点に配置され、角度制御可能なレーザポインタの光点を曲面スクリーンに投影する一方、グラフィックスボードで生成した計測用画像である点画像をプロジェクタからスクリーンに投影し、スクリーン上の光点と点画像を含む投影画像をカメラで撮影し、点画像を移動しながら両点が一致したときに、その点画像のフレームメモリ上の画素座標を光点の入力画像上の座標に置換して画像歪補正に必要な情報を得る方法が述べられている。
【0006】
又、【特許文献2】には、十字や輝点,格子模様などのマーカーを並べたテスト画像をプロジェクタからスクリーンに投射し、これをデジタルカメラで撮影した画像におけるマーカーの並び具合から、画像歪補正関数を求めて補正データとする方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−169211号公報
【特許文献2】
特開2002−72359号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
映像表示装置で曲面スクリーンに映像を投射する場合は、スクリーンに投射した画像を撮影した映像から、マーカーの位置を正確に検出する必要がある。
【0009】
【特許文献1】や【特許文献2】に記載の方法は、マーカーの位置検出が比較的容易である場合には適用できるが、撮影画像が、プロジェクタの面内むらやスクリーンの特性,スクリーンの形状とプロジェクタ,スクリーン,カメラの相互位置関係などにより様々な要因の影響を受ける場合については配慮されていないため、例えば、歪の大きい曲面スクリーンに投射した場合は、図21に示すように撮影画像139の左側が暗くなってマーカー位置を認識できないので、撮影画像139を二値化した二値化データは符号159で示すようになり、正確に二値化できない問題があった。
【0010】
又、【特許文献1】に記載の方法では点画像を、【特許文献2】に記載の方法では十字や輝点,格子模様を、マーカーとして用いている。点や細線で構成されるマーカーは計測誤差の影響を受けやすく、正確な位置情報を得るのが難しいという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、撮影した画像が、プロジェクタの面内むらやスクリーンの特性,スクリーンの形状とプロジェクタ,スクリーン,カメラの相互位置関係など、様々な要因の影響を受ける場合でも、マーカーを撮影した画像を正確に二値化して補正の行える映像表示装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、計測誤差の影響を受けにくく正確な位置情報を取得することができる映像表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、前景画像と後景画像で構成された二値化用画像を保持する二値化用画像データ保持部と二値化用画像を含む画像を表示する画像表示部と、表示した画像を撮影する撮影部と、撮影部が撮影した撮影画像データを保持する撮影画像データ保持部と、撮影画像データ保持部に記録された撮影画像データの二値化演算を行う二値化演算部と、二値化演算部が出力した二値データを保持する二値データ保持部とを有するものである。
【0014】
特に前景画像の前景色と後景画像の後景色は、互いに補色の関係にあるように選定するのが好ましい。
【0015】
前景画像,後景画像にはマーカーを設けることができ、マーカーは、前景色と後景色からなる縞模様,前景色と後景色からなる市松模様等で構成している。又、縞模様は、バイナリコードかグレイコードとすることができる。
【0016】
縦縞模様と横縞模様を重ねてできる市松模様または市松模様の各升目の重心を求め、各升目の重心から幾何情報を求め、あるいはバイナリコードかグレイコードから幾何情報を求め、幾何情報を用いることで、必要な画像補正データの算出を行う。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一の実施例を図1から図8を用いて説明する。図1は、本実施例の映像表示装置の構成図である。
【0018】
図1に示すように、映像表示装置1は、二値化用画像データを保存している二値化用画像データ保持部2と、二値化用画像データ保持部2からの二値化用画像又は二値化用画像を含む投影画像を表示する、あるいは映像入力信号8の映像を表示する画像表示部3と、画像表示部3が表示した画像を撮影する撮影部4と、撮影部4で撮影した画像を撮影画像として保存する撮影画像データ保持部5と、撮影画像データ保持部5に記録された撮影画像を二値化する二値化演算部6と、二値化演算部6で算出した二値データを保存する二値データ保持部7で構成される。
【0019】
二値化用画像データ保持部2は、横pw ピクセル,縦ph ピクセルである画像サイズの前景画像101と後景画像102を有する。画像サイズがSXGA(横1280ピクセル×縦1024ピクセル)の場合、pw 及びph は数1のようになる。
【0020】
【数1】
【0021】
又、色は(赤,緑,青)=(r,g,b)と表し、r,g,bの値の範囲は、数2で表した範囲とする。
【0022】
【数2】
【0023】
図2は、撮影画像を二値化する流れ図である。処理ブロック10は二値化を行う領域を定める処理を、処理ブロック20はマーカーを撮影した画像の二値化を行う処理を示している。
【0024】
二値化を行う領域を表示画面全体とした場合は、図3に示すように、前景画像101では画像全体を前景色であるシアン(0,255,255)で塗り潰し、図4に示すように、後景画像102では画面全体を後景色である赤(255,0,0)で塗り潰す。前景色と後景色の組み合わせは、シアンと赤でなくてもよく、白と黒でも構わないが、後述するようにシアンと赤のように互いに補色である2色を用いるのが望ましい。
【0025】
撮影画像のサイズは、横cw ピクセル,縦ch ピクセルとする。この撮影画像のサイズは、二値化を行う画像サイズより大きく設定しており、例えば、数3で示す値に設定する。
【0026】
【数3】
【0027】
処理ブロック10の前景撮影11では、画像表示部3が前景画像101を表示し、二値化を行う領域が撮影画像内に含まれるように撮影部4が撮影した図5に示す前景撮影画像131を、撮影画像データ保持部5に保存する。
【0028】
後景撮影12では、画像表示部3が後景画像102を表示し、二値化を行う領域が撮影画像内に含まれるように撮影部4が撮影した図6に示す後景撮影画像132を、撮影画像データ保持部5に保存する。
【0029】
前景撮影画像131,後景撮影画像132には、図5,図6に示すように二値化を行う領域とその周辺部が写っており、前景撮影画像131と後景撮影画像132とは、二値化を行う領域の色が異なっている。
【0030】
ここで、ある2点C,Dにおいて、Cの色を(rC,gC,bC)、Dの色を(rD,gD,bD)としたとき、2点C,D間の色の距離を数4で示すL2CD で定義すると、L2CD の範囲は数5となる。
【0031】
【数4】
【0032】
【数5】
【0033】
なお、数4において、√3で割っているのは、最大値を255にするためである。
【0034】
点C,Dの色が互いに補色の関係にあるとき、例えば赤(255,0,0)とシアン(0,255,255)であるときは、L2CD の値は最大値の255となる。又、点C,Dの色が近い程、L2CD の値は小さくなり、点C,Dの色が同じ色のときは、L2CD の値は最小値の0となる。このように、互いに補色である2色を用いると、2色の距離が大きくなり、2色の距離が小さい周辺部と区別することができる。
【0035】
前景撮影画像131の座標(cx,cy)の点Fの色が数6で表され、後景撮影画像132の座標(cx,cy)の点Bの色が数7で表されるとすると、2点B,F間の距離L2(cx,cy)は、数8に示すcxとcyの関数になる。
【0036】
【数6】
【0037】
【数7】
【0038】
【数8】
【0039】
前景撮影画像131と後景撮影画像132の、画素毎の距離L2(cx,cy)を求める。画素毎の距離を0〜255の256階調のいずれかとなるように丸め、グレー画像生成13を行う。
【0040】
グレー画像生成13で作成したグレー画像について、階調毎の画素数のヒストグラムで表すと、図7で示すようになる。二値化を行う領域である前景撮影画像131と後景撮影画像132の部分は、前景撮影画像131がシアンに近い色で、後景撮影画像132が赤に近い色であるので、2色の距離L2 の最大値である255に近いところに画素数の分布の山ができる。一方、二値化を行う領域以外である周辺部は、撮影画像が黒に近い色であるので、2色の距離L2 の値は最小値0に近いところに山ができる。
【0041】
得られたヒストグラムに対し二値化を行う領域と二値化を行わない領域を区別するための閾値εを求める。ここでは、判別分析法と呼ばれる方法を用いる。ある閾値によってヒストグラムを2クラスに分割した場合のクラス間分散を数9により求めて閾値ε算出14を行う。
【0042】
ここで、数9では濃淡レベルを{1,2,・・・,L}とし、閾値εは画素レベル[1,ε]と、レベル[ε+1,L]の2クラスに分割するものとし、niをレベルiの画素数、Nを全画素数としたとき、ω0,ω1,μ0,μ1,μtは数10で計算される。
【0043】
【数9】
【0044】
【数10】
【0045】
グレー画像生成13で作成したグレー画像について、閾値ε以上の画素は二値化を行う領域内の画素と判定し、閾値ε未満の画素は二値化を行う領域外の画素と判定して、二値化を行う領域の判定15を行う。
【0046】
このようにして撮影画像の全画素に対して、二値化を行う領域内外の判定を行い、判定の結果得られた二値化を行う領域内外判定データ151を二値データ保持部7に保存16する。上述したように、シアンと赤のように距離l2 が大きくなる二色を用い前景撮影画像131と後景撮影画像132のヒストグラムの山と、周辺部でのヒストグラムの山との間は距離があるので、確実な二値化の領域判定を行える。
【0047】
次に、マーカーを撮影した画像を二値化する方法について処理ブロック20により説明する。
【0048】
二値化用画像データ保持部2には、図8に示すように、後景画面にマーカーが占める領域を前景色、例えばシアンで塗り潰し、マーカー以外の領域を後景色、例えば赤で塗り潰したマーカー画像103が記録されている。又、マーカーは前景画面に設けても良く、その場合はマーカーが占める領域を後景色、マーカー以外の領域を前景色で塗り潰している。マーカーを撮影した画像を二値化するので、マーカーは二値化を行う領域内に配置する。マーカーの形状は、図8では円形で示したが、点や線や十字,格子などの形状を採用することができ、マーカーは複数個設けてもよい。
【0049】
マーカー撮影21では、画像表示部3によりマーカー画像103を表示し、処理ブロック10で撮影されたのと同じ位置で撮影部4が撮影したマーカー撮影画像133を、撮影画像データ保持部5に保存する。
【0050】
次に、マーカーが占める領域の二値化22を行うが、撮影画像の座標(cx,cy)の画素が、マーカーが占める領域の画素であるか否かを判定する流れを図9により説明する。
【0051】
ステップ31において、上述した領域内外判定データ151の座標(cx,cy)を調べ、その座標が二値化を行う領域外だった場合は、ステップ36によりマーカー撮影画像133の座標(cx,cy)の画素はマーカーが占める領域外の画素と判定する。
【0052】
領域内外判定データ151の座標(cx,cy)が、二値化を行う領域内だった場合は、以下のように処理する。
【0053】
マーカー撮影画像133の座標(cx,cy)に位置する点Mの色を数11で表す。
【0054】
【数11】
【0055】
ここで、ある2点C,Dにおいて、Cの色を(rC,gC,bC)、Dの色を(rD,gD,bD)としたとき、2点C,D間の色の距離L1CD を数12で定義すると、距離L1CD の範囲は数13となる。
【0056】
【数12】
【0057】
【数13】
【0058】
この場合も点C,Dの2色が互いに補色の関係にあるとき、L1CD の値は最大値の765となり、点C,Dの2色の色が近いほど、L1CD の値は小さくなる。点C,Dの2色が同じ色のとき、L1CD の値は最小値の0となる。
【0059】
このとき、前景撮影画像131の座標(cx,cy)に位置する点Fと点Mの距離l1F(cx,cy)は、数14に示すようにcxとcyの関数になり、後景撮影画像132の座標(cx,cy)の点Bと点Mの距離L1B(cx,cy)は、数15に示すようなcxとcyの関数になる。
【0060】
【数14】
【0061】
【数15】
【0062】
2色の距離は色同士が近いほど値が小さくなるので、L1F(cx,cy)の値が小さければ点Mは前景色、例えばシアンであり、L1B(cx,cy)の値が小さければ点Mは後景色、例えば赤であるとみなせる。
【0063】
そこで、ステップ32でL1F(cx,cy)を求め、ステップ33でL1B(cx,cy)を求めて、ステップ34で、L1F(cx,cy)とL1B(cx,cy)の大小を比較する。
【0064】
L1F(cx,cy)がL1B(cx,cy)より小さい場合は、ステップ35で、点Mの画素をマーカーが占める領域内の画素と判定し、小さくない場合は、ステップ36で点Mの画素をマーカーが占める領域外の画素と判定する。このようにして、マーカー撮影画像133の二値化を行う。
【0065】
ステップ31からステップ36の処理を、撮影画像の全画素について行い、図8に示すようなマーカーも含めて二値化したマーカー二値化データ153を求め、二値データ保持部7に結果の保存23を行う。このようにして、マーカーが占める領域かどうか判別して、マーカー撮影画像を二値化することができる。
【0066】
又、プロジェクタの面内むらやスクリーンの特性,スクリーンの形状とプロジェクタ,スクリーン,カメラの相互位置関係など、撮影画像が影響を受ける様々な要因があるが、実際の撮影画像である前景撮影画像と後景撮影画像を元に判定しており、マーカー撮影画像を二値化しているので、上述した要因の影響を受けないようにできる。又、実際の撮影画像である前景撮影画像と後景撮影画像を元に判定しているので、精度が高い二値化を行うことができる。又、数14や数15のような加算,減算からなる単純な式の大小関係で判定ができるので、計算量も少なくて済む。
【0067】
このように、第一の実施例によれば、マーカーを撮影した画像を精度良く容易に二値化することができる。
【0068】
本発明の第二の実施例を図11から図20により説明する。図11は、本実施例の映像表示装置の構成図である。
【0069】
図11に示すように、本実施例の映像表示装置は、二値化用画像データを保存している二値化用画像データ保持部2と、二値化用画像データ保持部2からの前記二値化用画像又は二値化用画像を含む投影画像を表示する、あるいは映像入力信号8の映像を表示する画像表示部3と、画像表示部3が表示した画像を撮影する撮影部4と、映像表示制御装置40(詳細は後述する)で構成される。
【0070】
画像表示部3は、画像出力部111と、プロジェクタ112と、スクリーン113で構成される。又、撮影部4にはデジタルカメラが用いられている。
【0071】
映像表示制御装置40は、1台またはネットワークで接続された複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCと省略する)からなる。映像表示制御装置40は、撮影部4で撮影した画像を撮影画像として保存する撮影画像データ保持部5と、撮影画像データ保持部5に記録された撮影画像を二値化する二値化演算部6と、二値化演算部6で算出した二値データを保存する二値データ保持部7と、二値データ保持部7に保存された二値データに基づき、幾何情報データを算出する幾何情報演算部50と、算出された幾何情報データを記録する幾何情報データ記憶部51と、幾何情報データ記憶部51に記録された幾何情報データから画像補正データを算出する画像補正演算部52と、画像補正演算部52で算出された画像補正データを記録する画像補正データ記憶部53で構成される。
【0072】
画像出力部111は、画像歪の補正を行う場合は、PCのHDD内に保存した二値化用画像データの中から、表示する画像データを取り出し、画像信号としてプロジェクタ112に送信し、プロジェクタ112は画像をスクリーン113に投影する。プロジェクタ112がスクリーン113に投射した画像をデジタルカメラである撮影部4で撮影し、撮影した画像を撮影画像データ保持部5に保存する。
【0073】
画像出力部111は、画像を投影する場合は、画像補正データに基づいて、画像入力信号8に対し幾何変形補正を行い、補正した画像信号をプロジェクタ112に送る。プロジェクタ112は、スクリーン113に補正された画像を投射する。
【0074】
二値化演算部6,二値化データ保持部7での二値化を行う領域の判定と、マーカーが占める領域の判定は、第一の実施例と同様にして行われる。本実施例では、二値化を行う領域の判定及びマーカーが占める領域の判定結果を用いて次に説明する幾何情報の演算を行う。
【0075】
ここで、幾何情報とは、デジタルカメラである撮影部4の撮影座標系と、プロジェクタ112の投影座標系との対応付けを意味し、幾何情報の演算とは、撮影座標(cx,cy)と投影座標(px,py)との対応付けを演算することをいう。
【0076】
二値化用画像データ保持部2は、図12,図13に示すような縦縞のマーカーを持つ縦縞マーカー画像104と、横縞のマーカーを持つ横縞マーカー画像105とを有する。
【0077】
縦縞マーカー画像104は、左から右に向って幅bh の赤線とシアン線を交互に並べており、幅bh ,間隔bh で並ぶシアン線がマーカーである。又、横縞マーカー画像105は、上から下に向って幅bv の赤線とシアン線を交互に並べており、幅bv ,間隔bv で並ぶシアン線がマーカーである。ここで、幅bh と幅bv の値は、撮影部4で撮影したとき、個々の縞を識別できる幅に設定される。
【0078】
縦縞マーカー画像104と横縞マーカー画像105をプロジェクタ112からスクリーン113に投射し、撮影部4で撮影した画像を二値化した結果は、それぞれ、図14に示す縦縞マーカー二値データ154と、図15に示す横縞マーカー二値データ155のようになる。縦縞二値データ154と横縞二値データ155は、二値データ保持部7に保存する。
【0079】
この時、図12に示す縦縞画像104と、図13に示す横縞画像105を重ね合わせた格子縞106と、図14に示す縦縞二値データ154と、図14に示す横縞二値データ155を重ね合わせた格子縞156は、それぞれ図16に示すようになる。
【0080】
ここで、格子縞106と格子縞156の各升目の重心を求め、図17に示すように、重心同士を対応付ける。境界や格子点を対応付けず、重心を対応付けているのは、境界や格子点は計測誤差や二値化誤差の影響を受けやすく、重心は計測誤差や二値化誤差の影響を受けにくいからである。
【0081】
このようにして、格子縞の重心位置を用いて撮影座標(cx,cy)と投影座標(px,py)との対応付けを行うことができる。
【0082】
重心以外の点は、図18に示すように重心以外の点の対応付けを行うバイリニア補間、あるいはバイキュービック補間などの補間法で算出する。バイリニア補間では、図18に示すように、投影座標系で並ぶ4点が、撮影座標の4点に対応しているとき、横方向の内分比s:(1−s),縦方向の内分比t:(1−t)で求まる内分点206と内分点256が対応する。このようにして、撮影部4の撮影座標系と、プロジェクタ112の投影座標系との対応付けを算出し、幾何情報を求める。
【0083】
算出された幾何情報データは幾何情報データ記憶部51に記憶され、画像補正演算部52により幾何情報データから位置関係の対応づけを計算して画像補正データを算出し、算出された画像補正データを画像補正データ記憶部53に記録する。例えば、重心位置同士の比較により、画像歪を求めることができ、求められた画像歪をもとに画像歪の補正値を算出することができる。
【0084】
このようにして算出された幾何情報を用いて、前景画像,後景画像に撮影された撮影座標系と、投影された画像を撮影して得られた投影座標系の対応関係から、精度の良い画像補正データを算出することができる。
【0085】
縦縞画像104と横縞画像105を用いる代わりに、図19に示すような、前景色であるシアンと後景色である赤の市松模様画像を用いる方法も適用できる。この場合も、上述したと同様に各升目の重心の対応付けを求め、幾何情報を算出する。ただし、斜め方向に隣接した升目との間で領域を誤認識することがない分、縦縞画像と横縞画像を用いた方法の方がより精度が高い。
【0086】
又、縞模様として、バイナリコードかグレイコードの、複数の縞模様を用いる方法もある。図20は、バイナリコードの縦縞を示した図である。バイナリコードやグレイコードは、座標ごとにビットパターンが決まるので、全ての縦縞の二値化が終わればx方向の演算を省略しても、又、全ての横縞の二値化が終わればy方向の演算を省略しても幾何情報の演算を終了することができるので、演算の簡略化を図れる利点がある。又、バイナリコードよりは、グレイコードの方が誤差に強いので、この方法を用いる場合は、グレイコードを使用する方が望ましい。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、前景画像と後景画像により、二値化を行う領域の判定を行っているので、二値化を精度よく容易に行うことが可能となる。
【0088】
又、縞模様や市松模様を二値化したデータから幾何情報の算出を行うことにより、精度の良い画像補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例である映像表示装置の構成図である。
【図2】撮影画像を二値化する流れ図である。
【図3】前景画像を説明する平面図である。
【図4】後景画像を説明する平面図である。
【図5】前景画像を撮影した画像を説明する平面図である。
【図6】後景画像を撮影した画像を説明する平面図である。
【図7】グレー画像とそのヒストグラムとの関係を示す図である。
【図8】マーカー画像を説明する平面図である。
【図9】マーカーを撮影した画像を二値化する流れ図である。
【図10】マーカー画像の二値化を説明する平面図である。
【図11】本発明の第二の実施例である映像表示装置の構成図である。
【図12】縦縞模様の画像を示す平面図である。
【図13】横縞模様の画像を示す平面図である。
【図14】縦縞模様画像を撮影した画像の二値化を示す平面図である。
【図15】横縞模様画像を撮影した画像の二値化を示す平面図である。
【図16】格子縞の画像と撮影した画像の二値化との対応関係を示す図である。
【図17】格子縞の投影画像と撮影画像の重心同士の対応関係を示す図である。
【図18】バイリニア補間を説明する図である。
【図19】市松模様画像を示す平面図である。
【図20】バイナリコードを説明する平面図である。
【図21】撮影画面の一部が暗くなった場合の二値化を説明する図である。
【符号の説明】
1…映像表示装置、2…二値化用画像データ保持部、3…画像表示部、4…撮影部、5…撮影画像データ保持部、6…二値化演算部、7…二値データ保持部、8…画像入力信号、40…映像表示制御装置、50…幾何情報演算部、51…幾何情報データ記憶部、52…画像補正演算部、53…画像補正データ記憶部、111…画像出力部、112…プロジェクタ、113…スクリーン。
Claims (7)
- 二値化用画像を保存している二値化用画像データ保持部と、該二値化用画像データ保持部からの前記二値化用画像を含む画像を表示する画像表示部と、該画像表示部が表示した画像を撮影する撮影部と、該撮影部で撮影した画像を撮影画像として保存する撮影画像データ保持部と、該撮影画像データ保持部に記録された撮影画像を二値化する二値化演算部と、該二値化演算部で算出した二値データを保存する二値データ保持部を備え、前記二値化用画像データ保持部に保存された二値化用画像は前景色の前景画像と後景色の後景画像で構成されるものであって、前記前景色と後景色が互いに補色であって前記前景画像は前景色で、前記後景画像は後景色で塗り潰したものであり、二値化用画像を含む大きさの前景撮影画像及び後景撮影画像を前記画像表示部で表示して前記撮影部で撮影して前記撮影画像データ保持部に記録し、撮影された前景撮影画像及び後景撮影画像から前記二値化演算部により二値化を行う領域の判別を行い、判別結果を前記二値データ保持部に保存する映像表示装置。
- 映像表示装置を撮影装置を用いて調整する調整装置であって、
前記撮影装置は、前景色で塗り潰した前景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して前景撮影画像を生成し、かつ、後景色で塗り潰した後景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して後景撮影画像を生成し、かつ、前記前景色と前記後景色とで構成されるマーカー画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影してマーカー撮影画像を生成し、
さらに、
前記マーカー撮影画像を、前記前景撮影画像と前記後景撮影画像とに基づいて二値化する二値化部と、
前記二値化演算部の処理結果に基づいて前記映像表示装置の表示する映像を幾何学的に補正するための画像補正データを算出する画像補正演算部と、
を備え、
前記前景色と前記後景色とは互いに異なる色であるように構成されていることを特徴とする、調整装置。 - 映像表示装置を撮影装置を用いて調整する調整装置であって、
前記撮影装置は、前景色で塗り潰した前景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して前景撮影画像を生成し、かつ、後景色で塗り潰した後景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して後景撮影画像を生成し、かつ、前記前景色と前記後景色とで構成されるマーカー画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影してマーカー撮影画像を生成し、
さらに、
前記前景撮影画像と前記後景撮影画像とに基づいて二値化処理が必要な処理領域を判定する領域判定部と、
前記マーカー撮影画像を、前記前景撮影画像と前記後景撮影画像と前記処理領域とに基づいて二値化する二値化部と、
前記二値化演算部の処理結果に基づいて前記映像表示装置の表示する映像を幾何学的に補正するための画像補正データを算出する画像補正演算部と、
を備え、
前記前景色と前記後景色とは互いに異なる色であるように構成されていることを特徴とする、調整装置。 - 前記前景色と前記後景色とは互いに補色であるように構成されていることを特徴とする、請求項2乃至3に記載の調整装置。
- 映像表示装置を撮影装置を用いて調整する調整方法であって、
前景色で塗り潰した前景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して前景撮影画像を生成する前景色撮影ステップと、
後景色で塗り潰した後景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して後景撮影画像を生成する後景色撮影ステップと、
前記前景色と前記後景色とで構成されるマーカー画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影してマーカー撮影画像を生成するマーカー撮影ステップと、
前記マーカー撮影画像を、前記前景撮影画像と前記後景撮影画像とに基づいて二値化する二値化ステップと、
前記二値化ステップの処理結果に基づいて前記映像表示装置の表示する映像を幾何学的に補正するための画像補正データを算出する画像補正データ算出ステップと、
を備え、
前記前景色と前記後景色とは互いに異なる色であることを特徴とする、調整方法。 - 映像表示装置を撮影装置を用いて調整する調整方法であって、
前景色で塗り潰した前景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して前景撮影画像を生成する前景色撮影ステップと、
後景色で塗り潰した後景画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影して後景撮影画像を生成する後景色撮影ステップと、
前記前景色と前記後景色とで構成されるマーカー画像を前記映像表示装置で表示した状態を撮影してマーカー撮影画像を生成するマーカー撮影ステップと、
前記前景撮影画像と前記後景撮影画像とに基づいて二値化処理が必要な処理領域を判定する領域判定ステップと、
前記マーカー撮影画像を、前記前景撮影画像と前記後景撮影画像と前記処理領域とに基づいて二値化する二値化ステップと、
前記二値化ステップの処理結果に基づいて前記映像表示装置の表示する映像を幾何学的に補正するための画像補正データを算出する画像補正データ算出ステップと、
を備え、
前記前景色と前記後景色とは互いに異なる色であることを特徴とする、調整方法。 - 前記前景色と前記後景色とは互いに補色であることを特徴とする、
請求項5乃至6に記載の調整方法。
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